居場所に通う交通費を考える(その3=粗案の提案)

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 これまでの(その1)と(その2)は序章です。ここからが中心点です。

この交通費の基本的な性格は、行政による“ひきこもり支援策”です。 では誰に「ひきこもり支援の交通費援助」をするのか、どこがそれを決めるのか、これが明確でないと実行できません。通学定期券は学校が通学証明を発行し、交通機関が学割定期券を発行します。通勤定期券は勤務先の事業所が通勤証明を発行し、交通機関が通勤定期券を発行します。

ひきこもりが居場所等に通う証明は居場所が発行するのでしょうか。その居場所は自主申告すれば「居場所に通所している証明書」を出せるのでしょうか。月1回の居場所開催の主催者にそのような役割を認められるのでしょうか。 自治体等が認定した居場所にすべきでしょうか。その認定基準は何でしょうか。これらを明確にしないと制度として信頼されませんし、安定的に定着しないでしょう。

この制度設定はいろいろ考えられるでしょう。1つの粗案を提示します。

(1)東京都は「ひきこもり支援の交通費援助」制度をつくります。都内の交通機関(シルバーパスを使えるか同等以上の交通機関を利用できる)が、低額で(年間1万円以下)、1年単位で利用できる制度です。

(2)東京都と市区町村とその公式の出先機関で、“ひきこもり”に対応するセクションを「自治体の相談窓口等」とします。生活困窮者相談窓口、福祉事務所、社会福祉協議会、民生委員、就労支援相談窓口などが該当します。ひきこもり及びそれに準じる相談に行ったとき、希望者を「当事者」に登録します。当事者には相談窓口に行くことで、「利用持ち点1点」をカウントされます。

(3)「自治体の相談窓口等」は、対人関係づくり・居場所・技術就業訓練など相談以外の場として、「ひきこもり等の対応支援団体」を紹介します。

*そのためには「自治体の相談窓口等」と「ひきこもり等の対応支援団体」は、一定の情報交流と紹介確約をします。両者は当事者を加えて協力関係を結ぶことになります。これがひきこもり支援を実質化する内容になります。 「ひきこもり等の対応支援団体」は、ひきこもりの居場所、フリースペース、社会参加・技術訓練団体、相談会・集会などの主催者です。 同一自治体内に限定しないで協力関係を結ぶのが実情に合っています。当事者が加わることでその意味は理解できるでしょう。

(4)「ひきこもり等の対応支援団体」側は、紹介された「当事者」が参加したとき、「利用持ち点1点」を与えます。当事者は「利用持ち点」を重ねることが「ひきこもり支援の交通券」を購入する条件になります。ポイントカードの要領です。 「ひきこもり等の対応支援団体」の多くは毎日開かれていません。紹介を受けた当事者は通常は複数の「ひきこもり等の対応支援団体」に参加し、「利用持ち点」を増やします。

(5)当事者の「利用持ち点」が一定点数になれば(例えば10点)、「ひきこもり支援の交通費援助」の対象者として承認を受けます。 承認を受けた人はその時点から年間利用の「ひきこもり支援の交通券」を購入できます。交通券の購入後も「ひきこもり等の対応支援団体」への参加は「利用持ち点」を得られるようにします。

(6)全国的に実施するには国の制度としなくてはなりません。また市区町村から取り組む制度をつくることも可能でしょう。 その場合いろいろな問題がでます。北海道在住者が東京の「ひきこもり等の対応支援団体」に参加するときその交通券が使えるのは不公平ではないか…。千葉県市川市の人が隣の東京都江戸川の「ひきこもり等の対応支援団体」に参加しやすくなります。

私の考えるこの「ひきこもり支援の交通費援助」は、詰めていくべき点が多く 粗案レベルです。ひきこもりの人が動く動機づけになり、行政とひきこもり支援団体の協力関係を促進する要素もあります。ひきこもり支援策を有効に働くようにする方策を交通費から考えるものとして、関係者に提案したいと思います。当事者、関係者のご意見をお待ちします。

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