YouTubeのライブ放送でひきこもりを話す

YouTubeを使い、動画配信している新式のテレビに呼ばれ、ライブ放送を経験しました。ひきこもりについて何かを話すように言われていました。マンションの1室でした。
準備したテキストは「ひきこもりの理由と対応」というごく基本的なことです。
報告は30分ぐらいと聞いていたので、1回じゃ無理とテキストの終わりの方は簡素なもので済ませました。
しかし、2つの予想外がありました。
1つは時間は長くなってもいい(結局は1時間半ほど)、もう一つは私が話している間にも質問が出てきたことです。
そうなると、いやそうなる以前に机を挟んで私を含む5名がこのテーマで話す、というのがこの場でした。私は話題提供をするゲスト役でした。
準備していったテキストを整然と話すのではなく、雑談風に持っていくというのに苦心したというか、新しい試みというか、慣れないことに手を出したというか…。
準備したテキストは落ち着いたら読み直してサイト内のエッセイ欄に掲載します。
テキストの終りの方の簡素のところもライブの場ではそれなりに話したので、テキストを補う予定です。
YouTubeに動画として載っているはずですが、見つかりません。

ひきこもり対応への優先順位の低さとセルフネグレクト

自治体の生活困窮者窓口で対応するAさんと話しました。
生活困窮者自立支援法により自治体が正式にひきこもりに対応できる制度的な条件ができたのが2015年4月です。
Aさんの話では、それでもこの窓口における“ひきこもり”の優先順位は低いようです。
江戸川区の福祉の方から聞いたところでも相談件数の数%でしたからわかる気がします。
しかし、相談件数の少なさだけが理由ではありません。
受け付けた後の対応方法がわからず、多様な状況に対する方法が確立していないからです。
せいぜいどうすれば働けるようになるのかを考えるのですが、それが対応方法ならここまで時間は過ぎてこなかったでしょう。
居場所が大事ですがその相談窓口に居場所があるわけではなく、どこかを紹介するしかありません。
言いかえるとたらいまわしにされるのです。相談しにいく気力が萎えますね。
もう一つは、相談する方の“勢いの弱さ(?)”も予想できます。
相談の多くは親ですが、正当性を強く言う手持ちの材料がありません。
「私の育て方の問題が…」などの自分では背負えない事情もあります。
私はある新聞記事を出し、こういうのが続出しないと本気で動かないのかなと見せました。

Aさんとの話しの場に、Kさんが参加しました。
Kさんは60代後半のお母さんで息子のCさんは40代、定職はなく親が生活を経済的に支える状況です。
息子Cさんは広義のひきこもりといっていいでしょう。
その新聞記事は長いのですが、ここに引用します。

<82歳母と52歳娘、孤立の末に 札幌のアパートに2遺体 「8050問題」支援急務
母親と娘とみられる遺体が見つかったアパート居室の玄関には、立ち入り禁止のテープがはられていた=1月、札幌市中央区
いずれも低栄養、低体温症
80代の親と50代の子どもが身を寄せる世帯が社会から孤立してしまう「8050(はちまるごーまる)問題」―。
全国で表面化する中、札幌市内のアパートの一室でも1月、2人暮らしの母親(82)と娘(52)とみられる遺体が見つかった。娘は長年引きこもり状態だったという。
道警は母親が先に亡くなり、一人になった娘は誰にも気付かれずに衰弱死したとみている。専門家は「支援策を整えなければ同様の孤立死が増え続ける」と訴える。
高層マンションの建設ラッシュが続く札幌市中央区の住宅街の一角。
築40年の2階建てアパートの1階の部屋で2人の遺体は見つかった。道警の司法解剖の結果、2人の死因はいずれも低栄養状態による低体温症。母親は昨年12月中旬に、娘は年末にそれぞれ飢えと寒さで死亡したとみられる。
捜査関係者は「2人は都会の片隅で誰にも気付かれずに亡くなった。何とか救う方法はなかったのか」と漏らした。道警によると、1月6日午後、検針に来たガス業者が異変に気付き、別室の住民が室内に入って遺体を発見した。
ストーブには灯油が入っていたが、エラーと表示され停止していた。冷蔵庫は空で、床には菓子の空き袋や調味料が散乱していた。室内には現金9万円が残されていた。
親子は週に1回だけ近所の銭湯に通っていた。銭湯の女性店主(78)は昨年12月26日、アパート近くの自動販売機でスポーツドリンクを買う娘の姿を目撃した。
「ペットボトルを抱えて何度もしゃがみ込み、ふらふらしていた」
女性店主の息子が駆け寄った。一言も話さなかったが、アパートの前まで送った。
「もう少し手を差し伸べていれば…」。息子は今も悔やんでいる。
近所の住民によると、母親は夫と死別後の1990年ごろに娘とアパートに入居した。
当時、収入は年金だけで生活保護や福祉サービスは受けていなかった。
娘は高校卒業後、就職したものの、人間関係に悩んで退職し、引きこもり状態になったという。〔2018/3/5(月)北海道新聞〕>

Kさんは、いいました。
こういうのを見ると行き先を想像するので見たくない。テレビなんかはチャンネルを変えるといいます。
この記事をみると亡くなった80代の母と50代の娘は、何かの事件を起こしたわけではありません。
誰かが被害者になったわけでもありません。これらは報じられる他の場合でもかなり共通しています。
行政側もこれという落ち度は感じないかもしれません。それだけに深刻な背景事情をとらえらないのです。
Kさんは「こうなるのも最悪ではないかもしれません」という意味を口にしました。
心の奥にある本音の気がします。
Kさんが何を言わんとしたのかおわかりでしょうか
Kさんの息子Cさんには、「やがて援助はできなくなる」旨を伝えました。
息子さんは「わかっている」と答えながらかなり落ち込んでしまうといいます。
彼は「そうなったら死ぬしかない」と言ったこともあります。これも本音でしょう。
Kさんが心配するのは事件になるような行動をしてほしくはないことです。
それならば事件性のない記事のような死亡事件の方がまだましだと言ったのです。
これはセルフネグレクトにつながります。

そこで、Aさんと私が勧めたのが福祉窓口に相談に行くことです。
お母さんもすでに行きました。
以前にCさんは私と一緒に福祉の窓口に向かったのですが、直前でCさんの足が止まりました。
息子Cさん自身まだ決心がつかないことが大きいのですが、それだけではありません。
福祉として何ができるのかを期待できないし、むしろ負担を持たされて返されるのではないかと心配があるのです。
働ける自信はまったくないのに「働く方向でのレールがつくられる」相談しに行く意味はないからです。
私なりにはこうすればいいのではないかという方向は考えたつもりです。
これだけの経済大国にして、関心をよせる多くの人がいても動きは表面をなぜている程度です。
ある社会問題に対して政府関係者が「それで何人死んだんだ」と言っているような国なんですね。
「死者が続出しないと本気で取り組もうとしない」社会になっています。
愚痴ぽくなりましたので、時間をおいて書き直します。

2月18日に二条淳也さんの第2回目の相談室

二条淳也さんの第2回相談室を行います。
今回は女性の恋愛相談に加えて親御さんからの相談も受け付けています。
二条淳也さんの21日のブログ「高齢ひきこもり」を転載します。

<「女性読者の皆様」と「ひきこもりの親御さん」へ
いつもブログを読んで頂き、ありがとうございます。
女性読者の皆様、二条淳也に恋愛相談してみませんか。私はひきこもりでありながら、結婚して妻がいます。
恋愛で悩んでいる女性に、なんらかの力になれるかもしれません。
また、ひきこもりの子を持つ親御さん。二条淳也に相談してみませんか。
劇的に状況が改善することはないかもしれませんが、なんらかのヒントめいたものは得られるかもしれません。
予約制で、一時間三千円です。
日時 2018年 2月18日(日曜日)
場所 不登校情報センター(東京都江戸川区平井3ー23ー5 桜コーポ101)
時間 13時 14時 15時 16時の計四回
相談者と二条との一対一の個人面談です。
参加希望の方は二条淳也あてメール junyahk7289@yahoo.co.jp
地図希望の方は連絡先を教えて下されば、お送りします。
不登校情報センターの「引きこもり居場所だより」もご参考下さい。
予約〆切りは2月14日です。>

生活リズムのために定期の一人手芸教室を勧める

「俺が死んだらどうする?」と父から言われたそうです。
ときどき相談に来るKさんは、こんな言葉から話を始めました。
はて、どこかで聞いたような…「親が死んだらどうする」という一般社団法人ができました。
親側からの言葉と当事者側からの言葉の違いはあってもイニシャルはOSDで共通です。
当事者も40の声を聴くとOSDの雰囲気になります。
Kさんは本人なりには朝の散歩などを続け、生活リズムをつくろうと努力しています。
しかし、体調は安定せず、過食に過眠(オーバースリープ)そして鬱の3点がセットです。
医師から処方される薬は飲んでいないと、意欲がわかないそうですが、それもだんだん増えてきました。
薬は減らしたいのですが逆になっています。
*私は減薬カウンセラーを名乗ろうと考えたこともありますが、症状に何かあったらすべての責任を負わされるのでやめた方がいいと忠告され、やめました。

この日の話では本人の好きなことを生かす2つの提案をしました。
Kさんは手芸が好きだと聞いています。
その材料もいまはしまってあるのですが、生かそうというわけです。
生活リズムづくりのためには、手芸教室のようなところに定期的に行くのがよさそうです。
1つは住んでいる地域の社会福祉協議会で手芸教室らしきものがあれば参加すること……。
Kさんは私が訪問したことのある地域に住み、社会福祉協議会がそれらしい活動をしていた記憶があります。
もう1つは、不登校情報センターに来て、定期的に一人手芸教室をすることです。
Kさんは対人恐怖もありますから、通所者のいない時間帯に来るように勧めました。
例えば火・水・金曜日の午前中などです。
私はとても手芸につき合えませんから一人黙々とやればいいんじゃないでしょうか。

◎対人恐怖があり、1人で取り組める趣味がある人はこの方法を考えてはどうでしょうか。
創作活動、食べ物づくり、などが該当します。

ひきこもり「80・50問題」はすでに始まっている

「大人のひきこもりを考える教室+ひきこもりから<できそうな>仕事探しの説明会」を何とか(手堅く?)終えました。
ひきこもりを考える教室では、近い将来の危機を思い切って打ち明けたあるお母さんの話が波紋を呼びました。
現在の落ち着いた親子間の平穏を壊すかも知れません。
しかし、今のうちに伝えておかないと手の打ちようがなくなる、という思いから年末に伝えました。
40代の息子さんはうつむきかげんに「わかっている…」と答えたそうです。
この危険な個所を通り抜けないと、先に続く道に進めないせっぱつまった気持ちです。
同席の方も、「うちも…必要かも」とうなずいていました。
2020年といわれる、「親70代・子40代」といわれる「70・40問題」または「80・50問題」はすでに始まっています。
<できそうな>仕事探し説明会は、いろいろな質問を繰り返しながら介護現場の仕事の様子がわかってきたように思います。
子ども側の状況を考えながら、採用する事業所側にはいろいろな注文をしてしまいます。
今回は〈出来そうもないと承知のうえで〉親子合同の採用みたいなことができれば…というような話も出ました。
頭から問題にならないというのではなく、それならできるかもしれないという発想から出たものなので、〈やるとしたらどんな条件になるのか〉を考えてみてほしいと思います。
次回は見学者を募り、グループホームを実際に訪ねて話を聞く機会にしたいと思います。
今回の企画のもとの考え方「ひきこもりから働き始める可能性と条件」をサイトにアップしておきました。
http://urx3.nu/I9yO

二条淳也さんの恋愛相談と自身の結婚報告

二条淳也さんの恋愛相談日を無事終えました(14日)。
かなり熱のこもった内容になったようです。終わった後「自信になりました」との実感を聞きました。
相談室をこれからも継続します。次回は2月18日(第3日曜日)の午後です。
その際、二条さんは相談の対象を親御さんにも広げたいといいます(予約制です)。
相談室の名称をどうするのか。「二条淳也さんの恋愛相談室」ではそぐわない面が出てきます。
ここはもう少し考えてもらうことになります。

二条淳也さんブログ「高齢ひきこもり」は1月3日に「結婚報告」をした後、それまでの経過や思いを「ひきこもりでも結婚できる」というタイトルで書き続けています。
14日までに7回になりました。
関心がある人・ない人、現実感がある人・ない人、嘘かと思う人、希望が持てるようになった人…いろいろでしょう。
どうであれ人間として誠実であり、それだけに「ひきこもりながら結婚する」という状態になった人の葛藤や言葉は、並のドラマでは見られない人間の真実を見せてくれます。
二条淳也の相談室にするとブログ「高齢ひきこもり」は投稿は700件に達しました。
今回の結婚報告シリーズはその最近状況です。
こちらです⇒http://www.futoko.info/zzblogd/

会報『ひきこもり周辺だより』の読者が増加中

不登校情報センターの会報『ひきこもり周辺だより』のエッセイをちゃんと書こうとして数か月が過ぎました。
9月号・4号に書いたエッセイにある人から大事なことを見逃していた気がする…という趣旨の手紙をいただきました。
それ以降は特に内容をよく検討して書き始めています。
会報ですから親の会など予定のお知らせもあります。
また4号から「催促がましくて申し訳ありませんが」として郵便振替用紙を同封してきました。
10月に入ってから“会報読者”が生まれ始めました。
1月13日までに16名が読者に加わり、うち5名は1月に入ってからです。
紙代といっても年12回発行で1200円ですから送料分相当です。
それよりも毎号のエッセイをちゃんと書こうと思い、何とか出来ていることが成果です。
4号以降のタイトルは次の通りです。

17年9月号(4) 判断基準における「公平感覚vs親近感」のバランス
17年10月号(5)ひきこもりからの社会参加
17年11月号(6)厳格な社会人父と家庭を守る母のもとで成長した女性
17年12月号(7)自分の性格を変えるためにはどうするのか
18年1月号(8) ひきこもりから仕事を始める可能性と条件

生活状態のアンケートの回答をお願いします

「ひきこもり当事者へのアンケート」と「ひきこもり家族(親)へのアンケート」の2種類を作り、サイト内にも掲裁しました。
*サイトの「体験者・当事者に関するページ」の下段「状態を示すデータ」からアクセスしてください。
ひきこもり当事者、ひきこもりの家族からの回答をお待ちします。
回答は不登校情報センターにお送りください。
郵送:東京都江戸川区平井3-23-5-101(〒132-0035)
メール:open@futoko.info (件名をアンケート係としてください)
FAX:03-5875-3731
回答者は原則として無記名です。支障なければお名前やご住所もお願いいたします。
このアンケートは12月の「葛飾区子ども・若者支援地域協議会」に提案したものとほぼ同じです。
不登校情報センターにとっては2001年から2003年にかけて行った「引きこもりの人が望む生来生活の姿」に次ぐアンケート調査です。
http://ur0.biz/HSBE
アンケート自体は1月21日の「ひきこもりから<できそうな>仕事探し説明会」案内チラシと一緒に配付中です。
配付作業はまだ完了していませんが、6日までに3通の回答がありました。
〔追記〕12日までに15通の回答を受け取りました。

「ひきこもりから<できそうな>仕事探し」の即席案内

チラシ「1月21日 ひきこもりから<できそうな>仕事探しの説明会」を送る作業をしていました。
突然そこにTさんに案内されて弁護士さんが来られました。
目ざとくこのチラシをみつけて「ひきこもりの方も仕事につけるといいんですよね」と言われました。
一瞬何か違う感じがしたのです。
「働ける状態というか、そういう気持ちになるまでの活動…」みたいな答えをしてしまいました。
外出時間が迫っていたので10分ほど話したのですが、うまく伝えられず残念感があります。
「仕事がしたくなった人はハローワークへどうぞ」とどう違うのかの説明が必要だったのです。

仕事をしようとか、何ができそうな仕事を探す状態になっている人が対象とは言えません。
ひきこもり当事者の多くはそうではないし、それだけの背景理由があります。
対人関係における不全感というか不信感、自信のなさ、普通に働いている人と接触することへの気後れ、怖さ…が少なくならないと「仕事探し」は難しいのです。
生活の困窮が迫っているときは、そうも言っておれないのですが、精神的にそこまで追い詰められてはいない人も多いです。
どちらかといえばその人たちを対象にする仕事探しです。
<できそうな>仕事探しをテーマにして、話してみる、聞いてみる、人と交流してみる。
それを積み重ねるうちに対人関係における不全感を徐々に下げていく取り組みです。
それを達成するためには時間が必要です。対人関係を含むいろいろな経験を重ねなくてはなりません。
これは年齢が低いほどいいのですが、30代や40代になるとそう早くに目的は達成できません。
自分で<仕事についてみよう>と意識できる状態にならないのです。
こういう場に参加して、仕事について語る、職場についてイメージできるようになる、そういう社会経験の助走の場です。
そのつもりで参加するように呼び掛けていきます。
いろいろ質問を受ければそれぞれのところで答えられるのに、今回の即席案内は、私の中にまだそれが熟していないことが露見したようです。
文章化したのですが、十分な説明とは自分でもまだ納得できていないです。

二条淳也さんが結婚報告をしました

二条淳也さんのブログ「高齢ひきこもり」1月3日付に発表がありました。

<読者の皆様へ。
あけまして、おめでとうございます。
ひきこもり当事者の私、二条淳也はこのたび、交際していたR子さんと結婚しました。
以上、報告させて頂きます。>
http://www.futoko.info/zzblogd/

新年とともにダブルおめでとうございます、と祝しましょう。
私が関わった男性のなかで結婚した3人目の人になります。
女性も同様に数名が結婚していまして、子育てに嬉しい悲鳴や大変な思いが寄せられています。
人の生き方はさまざまであり、こうであらねばならないと制約するつもりはないです。でも結婚は祝すべき出来事です。
二条さんは1月14日に女性のための恋愛相談室を開きます。
あえて二条さんの事情を聞くことはないですが、ご自分の事情を話し意見を聞いてみてはどうでしょうか。