親と一緒の外出、外からの自宅訪問

会報『ポラリス通信』11月号で「外出を促す方法」の概要を書きました。12月の親の会では具体的な詳細をテキストにしました。そのうちキーポイント部分を伏字にして公表します。伏字にしたのでわかりづらくなる所もあります。全文は相談に来た方にお渡しします。

ひきこもっている人がどこかの居場所(みたいなところ)に行くようになるには、そこが最低限の安全と安心の場所であると感じられることが前提です。
外出したいと思いながら、なぜ外出できないかの直接的な理由は恐怖がわき起こるからです。特に玄関を出るときは周囲の目がとても気になります。そこにはある程度、自分を知っている人がいるかもしれません。
一瞬自分を見たその人は、自分の最近情報として尾ひれを付けて近所にうわさ話をするかもしれません。恐怖心にはこのような自分の姿を吹聴されるかもしれない心配も含まれます。
自分の様子を知っている家族が一緒にいることは、この安全と安心を支える役割をします。外の世界と自分の間にあって緩衝材の役割になります。ちょうど幼い子どもが町中に一人ではおれない心理状態と似ています。家族となら入れるけれども一人では入れないのは、漠然とした恐怖感と不安によります。
この状態の強い程度は神経症領域とみられます。しかし、外出できない人のすべてが神経症領域ではありません。一般に薬物療法による対応にしないほうがいいのです。気分的に追い込まないで、一緒に同行して外出の機会をつくる形がいいと思います。これが家族と一緒に外出時に付け加えることです。

次に訪問についてです。これは私の場合を想定し情報センターに来る点を中心に話します。
私が自宅を訪問して、本人に会ってその後、不登校情報センターに来るようになった人は十人以上はいます。
しかし、訪問しても本人に会えないこともありました。会う回数を重ねながら情報センターには来なかった人もいます。自宅を訪問した後、情報センターに来るというのは100%確実ではありませんが、それでも高い割合になります。
自宅を訪問の場合は、事前の準備がいります。これを軽視しないでおきたいです。何らかの形で本人の意思を確かめ、生かさなくてはなりません。そういう過程が安心感をつくります。
方法は、5~7つの選択肢を提示します。項目は実情によります(その例)。
サポートステ―ションに行く、親の知人の仕事を手伝う、○○教室でパソコンを習う、カウンセリングに行く、など継続的に出かけられる所を提示します。本人にもわかる、聞かれれば親が少しは説明できる所です。
この選択項目を紙に書いて渡し、1週回程度あと(○月○日まで)に返事をもらいます。上の例の他に重要な2項目がありますがこれは伏字とします(十行以上のセンテンスになります)。
××××××
××××××
××××××
××××××
××××××
数日して返事をもらいます。「知人のところを手伝う」などの回答があれば、その方向に進みます。継続状況を見ながら対応を考えます。
返事がないまま期限が来たときは、「○日から不登校情報センターの○○に来てもらう」と本人に伝えます。〔*伏字の関係で説明がわかりづらい点があります。〕
私が自宅を訪ねたとき、自室のドアを開けるのは(家族や私ではなく)本人です。家族や私が開けないほうがいいのです。自分の意思が尊重されるという安心・安全確認の一つです。
声をかけたりノックをしてもドアが開けられなければしばらく待ちます。それでも開けられないと別の場所で家族と少し話してその日は終わりにします。これを繰り返します。
初回から開く人もいますし、2・3回であく人もいます。家族と話している時に顔を見せる人もいます。ほとんどは数回で自室のドアは開いて本人と会えるようになりますし、話せるようになります。それからがいろいろなのです。
開かないことが続くとドアなどに書き置きをはさむこともあります。10か月ほど訪問を繰り返しても、ドアが開けられなかった人がいます。これは最初の選択項目の設定を省略して始まったことが影響したものと考えています。
またもっと期間をかけてもよかったと反省しています。他の実例ですが2年かけてやっと会えるようになった例もあります。安心・安全を確認するにはそれぐらいの期間や回数が必要になる人もいます。
会って話せるようになったけれどもそれを繰り返すだけで、次への進展がなかった人もいます。情報センターに来てしてもらうことを提起できなかったことがあります。近場の役所などへの同行して行く提案などを思いつかなかったことも影響しています。また自宅にいて出来る作業の提案もできるようになりましたので、人によってはそこから進める方法も考えられます。
これらは上手くいかなかった経験からいろいろ試行錯誤して取り入れた方法です。
情報センターに来るようになればめでたしめでたしではありません。そこからは次の物語になります。

〔参考:外出を促す方法〕http://www.futoko.info/…/%E5%A4%96%E5%87%BA%E3%82%92%E4%BF%…

ごみ屋敷の家主と話せるようになった例に学ぶ

ごみは扱いようにより人と人とを結びつける話です。まずはその1。
豊中市は40万近い人口を持つ大阪市の衛星都市の一つです。
そこの社協(社会福祉協議会)の取り組みがNHKで報じられていました。
ごみ屋敷状態をご近所の人の協力を得ながら400か所をなくしたというものです。
私が注目したのは、そのごみ屋敷の家主に社協の人が2年間かけて話ができるようになったところです。ごみ屋敷の人は周囲から孤立しています。孤立状態から社会につながるには訪ねてくる人への安心感がいります。それは容易なことではなく、2年の粘り強い働きかけで実現したのです。
近所の人の協力はごみを片づけた後のつながりをつくるものでしょう。

私はひきこもり状態の人に訪問を重ねていますが、一度も会えずに終わった人もいます。
豊中社協の人の2年間の話を聞いてもう少し粘ってみるべきだった、そう思える人がいます。特に私から訪問をやめようと提案した家族にたいしてそうです。
訪問を始める前に、家族とある準備をします。それをした人はだいたいが会えてきたのですが、この家族とはそれが不十分なまま訪問を始めました。
10か月程度、ほぼ毎週訪問しました。それでも本人は部屋を閉ざしたままです。私はこの事前準備の不十分さが会えないことに関係していると考え始めました。やり直すつもりで私から訪問の中止を申し出しました。
それから5年以上たちます。ときどき会報を送りますが、これという連絡のないままです。
豊中社協のやり方を見て、訪問を続けながらやり方の工夫を考えてもよかったのです。2年、いやもっと長くなっても粘っていくべきでした。

ひきこもり実践交流会の「訪問活動」にトカネットが関与①

全国若者・ひきこもり協同実践交流会の実行委員会がありました。今回で3回目の実行委員会ですが、私的にはようやく全容がわかってきたところです。特に分科会の構成が仮案の形ですが出されてきたので考えやすくなったと思います。またこの会の傾向もわかってきたようです。

分科会の構成を見て、すぐに同行の藤原宏美さんに話しました。生活ブロックで話し合う分散会テーマ「訪問・家庭支援」―訪問は藤原さんがぜひテーマとして取り入れてほしいと言っていたテーマ―に、トカネットとしてかかわるように話しました。
私の言いたかったのはトカネットとしてレポート報告者を出す意味だったのですが、生活ブロックのミーティングでは藤原さんは他の活動団体も考えて、運営をサポートするような関与に決めたようです。
といってもそのブロックのミーティングには実際の訪問活動をしている他に人はいません。この日は不参加のKHJのUさん、トカネットの関係者で具体策を話し合っていくことになりそうです。
生活ブロックが扱うもう一つのテーマは、「ひきこもりと生活困窮者支援」は「住まいをデザイン」と変えるようです。
全国若者・ひきこもり協同実践交流会の全容がわかり、こういう方向が見えてきたし、具体的に考えられるようになったと思います。

活動報告を「かつしかネット」に送る

かつしか子ども・若者応援ネットワークでまとめる活動報告に、原稿を送りました。
3点に分けました。
1、引きこもり当事者に同行する取り組み
2、30代以上の引きこもりへの訪問と居場所ワーク
3、引きこもりの親の会の役割と最近の様子
全体分量は原稿用紙換算で40枚近くになります。
あちこちに部分的に書いてきたことをまとめて整理した感じです。

「家庭教師・訪問活動」ページを立ち上げるミニ改革に着手

個人広告の企画は意外な波及をしました。
家庭教師をしている人に個人広告の案内をします。不登校情報センターサイトで紹介する家庭教師とその組織を選び出し、情報更新の依頼と個人広告の案内をしました。そのなかには訪問カウンセラーなども混じっています。
そこでカウンセラーのうち訪問活動をしている人にも同じ案内をしました。それが意外な波及につながり、サイト構成のミニ改革になりました。
家庭教師はサイト内のカテゴリで「フリースクール類」としてきましたが、無理やり分けた状態を改善するしかなくなりました。アウトリーチ型・訪問活動を一本にまとめる方がいいという結論です。作業途中からこれに着手です。
現在、フリースクール類のなかに家庭教師があるのは18以上の都道府県です。ここに新カテゴリ「家庭教師・訪問活動」を導入しました。そのあとはフリースクール類から家庭教師を抜き出していく作業…などがつづきます。家庭教師(団体を含む)紹介ページも分類やパンくずリストも変更しなくてはなりません。都道府県単位の種類別カテゴリも変更します。これらはかなりの作業ですが、一段落すれば落ち着いた感じになるでしょう。
新カテゴリ「家庭教師・訪問活動」には、アウトリーチ型と在宅型が入るとみています。家庭教師、ネット(Web)スクール、ホームスクール、メンタルフレンド、訪問カウンセラー、訪問相談員などです。往診専門の鍼灸師もいました。まだありませんがSkypeを使う学習指導やカウンセリングもありそうです。これらを統合的に扱うページです。
作業は途中ですが、個人広告と紹介情報の更新の案内は第1次分として27名(団体含む)です。新規の情報掲載を兼ねた依頼も考えています。

メンタルフレンド等の問い合わせへの回答

福島県中通り地域のお母さんから連絡のあったメンタルフレンドの要請を近隣のいくつかの団体に照会をしました(1月7日「福島県の方からメンタルフレンドの要請です」)。
マインドヘルスパーソナリティセンターから次の回答が来ましたので、これを転送しました。照会先は5か所ですが、他に電話回答が1件ありました。マインドヘルスパーソナリティセンターからの回答を紹介します。

<(1)メンタルフレンドは現在、配置しておりませんが専門のスタッフが対応しています。
(2)親御さんの相談は随時受け付けています。是非御連絡ください。
電話:024-943-1678
Email:info@mhpc.jp
AM8:00~PM5:00(土・日可)
◎AM6:30~PM7:00 090-4639-6036(矢吹まで)

*不登校やひきこもりに関する情報のアドバイスは、当センターホームページを参照してください。http://www.mhpc.jp/
*フリースクール&スペースも運営しています。

マインドヘルスパーソナリティセンター(郡山市芳賀2丁目21-10)
代表 矢吹孝志  1月12日>

ネットカフェ初入室はてこずりながらもいい体験

ネットカフェに初めて入りました。
小さく区切られたスペースが並ぶ様子は悪くはないと思います。長期の“宿泊”に利用している話もありましたが、今はどうなんでしょうか。
さて今回は、自宅にパソコン環境のないKyくんに見てほしいサイトがありそれを見るためです。Kyくんが近い地域のネットカフェに入りました。
テレビ、CD、パソコン等がそろう小さな部屋です。別に漫画中心の本が並ぶスペース、ジュース・お茶等が並ぶドリンクサービス、シャワーもありました。トイレは当然ですから数時間過ごすには支障はなさそうです。
さてパソコンです。問題はないはずですが、いつもは使っていない勝手の違いが出ます。個人使用のカスタマイズの不十分さはまぬがれません。
いくつかのことを調べたのですが、Kyくんの関心を調べるのに思いのほか時間をとりました。Kyくんは30代ですが、ずーっとパソコンに触れていないので私以上にてこずっています。文字入力がスムーズにいきません。およそ2時間かけて調べ物をしながら話しました。半分近くはネットカフェの使い方、パソコンの使い方に費やしたでしょうが、いい時間でした。入会金200円を含めて1人1220円です。長時間のときは別料金体系になり割安になるはずです。
〔入室したネットカフェ〕http://loco.yahoo.co.jp/place/g-7FvA7zRUhuA/…

靴がなくては、外出するのが難しくなります

<自宅近くで火事がありました。心配になって(好奇心もあって)見に行こうと玄関に急ぎます。自分の靴がない! そうかこのところ外に出ていなかったので、どこかに片付けられたらしい。
セッタのような履物で出かけましたが、近所の火事は消防車が来たわりにはたいしたことにはなりません。それより自分の靴はどうなったかが気がかりな一日でした。>
この話はかなり以前に聞いたことで『ひきこもり国語辞典』に「靴」の項目で説明しました。
さてあるお宅を訪ねました。30代の子どもは十年以上は家から出ていません。玄関先に靴があるので何気なく「この靴は誰のですか」と聞くとお父さんのものだと言います。玄関から入って話すうちに「子どもの靴は?」と確かめるつもりで聞いてみると、靴はないとのことです。数年前に引っ越しがありその時は車の中にじっとしていたそうです。
いざ、外出というときはスリッパのようなものを使うつもりのようです。引っ越しのときもそうしたのです。
外出はすぐにはできそうもありませんが、それでも靴や外出時に着られる平服などは用意してほしいと話しました。自然災害だってありうるのですから…。

〔ひきこもり国語辞典』のか行〕http://www.futoko.info/…/%E3%81%B2%E3%81%8D%E3%81%93%E3%82%…

閉じこもり状態の人への接触する機会をつくる

日曜日8日の「大人の引きこもりを考える教室」では、家族からきく引きこもり当事者の状況に種類と段階を感じました。多くの人の例を引けばさらに細かくなります。
1、家族ともほとんど話がなく外出しない人。
2、家族との会話は少ないけれども外出はそこそこしている人。
3、一人住まいになり外出はするが特定の人や場には行っていない人。
4、家族とは通常の話はしているが外の人や場には特につながりのない人。
5、特定の場所には通っているが家族とは日常の話以外はできない人。
6、一人住まいで働けるようになっているが経済的な自立にはまだ心配のある人。
要約的に分けるとこうなり、各タイプの引きこもり状態について話しました。だいたいが30代以上の男性です。各人それぞれのテーマを明確にし、さしあたりの対応方法を考えあう、学びあうのがこの教室です。
派遣型の就労などをしている引きこもり経験者なども加わり内容のある場になりました。

ここでは最初の「家族ともほとんど話がなく外出しない人」の人が引きこもりの状態、閉じこもり状態といっていいのですが、それについて紹介します。
この人はこれまでの経験の中で嫌な体験をし、その思いから強い人間不信、対人恐怖になっていると推測できます。そうであると受けとめるスタンスが必要です。その体験していることを軽く見ては何も始まらないでしょう。人と接触することはそれだけで恐怖がありストレスです。医療者に出会うことも必要レベルかもしれませんが、それも対人恐怖になります。
家族から聞くと1年ごとに火災警報器の点検があり、去年は自室から逃れて風呂場にいたそうです。その点検日が近づいています。給湯器も古くなって新しくしなくてはならないかもしれません。こういう家族ではどうにもできないとき、当事者は外から入る人を歓迎はしないけれども拒否もしない人が多いようです。
これは家族以外の人が家に入ってくる機会です。この方法を生かして「できるだけ“侵害”しない形で接触する」機会をつくるように提案しました。これは非常にゾーンの狭い接触ルートですが、抵抗感の少ない方法を探すヒントです。私は訪問活動をしてきた経験からどういう接触方法があるのかを話しました(ここでは「教室」で話したこと以外にも言及します)。
外から人が入る場合は自室に入り出てこないことが多いのです。「おじゃまします」という部屋の外からのあいさつ、「おじゃましました」という退去の連絡は静かにすることです。大きな声はそれだけで威圧的になります。静かに話していたはずでも「大声で怒鳴っていた」と感じるものです。
自室は“聖域”ですから入ることは“侵害”と心得ましょう。とはいっても、あいさつのとき「入ってもいいですか?」というと、内から戸を開けたり、うなずいてOKしてくれる人もいます。無言でいるときは了解していないのですが、姿を見ていれば瞬時に話の糸口を見つけられれば入ってもいいと合図をされることもあります。それらが基本であると理解したうえで、“聞く機会”をつくるために、入り口のところでその時、その場で思いつく声かけをします。話をするためではなく、話を聞くために会うのが基本です。
自然な声かけができなければさっと撤退し、次回を期します。「無理押ししない姿勢を」そこで表すのです。それを貫くと、次回以降には少し話せることがあります。声をかける自分の方が「観察され評価を受ける人」なのです。家族から様子を聞き、当事者の振る舞いや表情を見てどういう言葉から“聞く機会”にできるのかを考えるのです。

先日の「大人の引きこもりを考える教室」では、最初の人の例をここまで詳しくは話していません。引きこもりの状態の理解は、状態に困難を感じる人ほど深い理解が必要です。自分の子どもの場合もそこまで掘り下げて理解できるヒントになると私は信じています。

〔大人の引きこもりを考える教室〕http://www.futoko.info/…/%E3%82%AB%E3%83%86%E3%82%B4%E3%83%… 

 

生活困窮者支援の窓口を居場所や訪問に直結させたい

偶然に生活困窮者支援法の対応に関して2人から相談・連絡がありました。
一人はその窓口に電話相談をした当事者から、もう一人は相談を受けている自治体の担当者からです。両者の自治体は異なります。
当事者からのものは、電話をしたところ別の業務委託を受けている団体につながり、そこに連絡をすると以前にお世話になった準公共の〇センターを紹介されました。それで業務委託を受けている団体と〇センターの人がそろって自宅に来るそうです。逃げるわけにいかず、〇センターの人とは何回もあっているので結果は見えているので何も期待できない、困ったというものです。
自治体のセクションの担当者からはこの法が「生活保護の予備軍への予防的な性格がある」と教えていただいた後、担当者としても困ったので教えてほしいというものです。この新しい制度のもとで40代の働くに働けない人の行き場がない(紹介するところがない)のです。
ハローワークやジョブカフェ(東京の場合は東京しごとセンター)はハードルが高すぎる、若者サポートステーションは年齢をオーバーしています。実際は若者サポートステーションでもきわめて多数の引きこもり状態の人には(年齢条件は満たしていても)ハードルが高いのですがそれもないのです。
問題をつきつめていくと、長期間の引きこもっている人への対応策は、もっとマイルドな居場所づくりと訪問サポートや同行援助的な活動が必要になります。それがない中では「たらい回し」の対応が発生します。生活困窮者支援法の対応窓口にそれをつくるのが解決策です。引きこもりの人との接触を持ったうえでの引きこもりの理解と職員の経験がいるので時間はかかります。これまで引きこもり対策としてきた表面を飾るだけに見える対応を振り返れば、時間がかかるようでもここを原点にするのが近道だと思います。