居場所テント

火曜日, 9月 4th, 2012

小学生の頃、M君とU君と団地の広場で遊んでいたところ雨が降ってきました。

 

M君が家に小さなテントがあると言い出し、団地の下にテントを張って雨宿りごっこをしようということになりました。

 

案の定テントを張っている間に雨足が強まり3人供ずぶ濡れになりました。

 

U君は心が折れ始め半べそになっていましたが、M君と私でU君を鼓舞しながらテントを張りました。

 

そしてM君の家からお菓子やバケツやゲームを持ち出し再びテントへ、確かにテントは小さく子供3人でもぎゅうぎゅうといった趣。

 

私たちはU君をテントに入れました。

 

U君は泣きながらゲームをしていました。

 

私たちはU君がこれ以上雨に濡れないようにとの配慮からテントに入れさせたのでした。

 

M君は雨足に満足しないのか、もっと降れとばかりオリジナル雨乞いダンスをし始めました。

 

テントの周りで奇怪な舞をするM君を尻目に、私はバケツに雨を貯めようとひたすらバケツの中を凝視していました。

 

私はバケツの底を弾く雨粒に強いこだわりを示していました。

 

テントからはU君のしくしく泣く声とゲームの電子音。

 

外はM君の珍妙な舞。

 

私はなかなか雨が貯まらないバケツに痺れを切らし、バケツを持って辺りを徘徊していました。

 

端から見ると邪教の儀式のように写ったかもしれません。

 

すると同級生のお母さんが通りかかり「あんたたち何やってるの?」と呆れられました。

 

こうしてテント遊びは終わりました。

 

私はテントに一度も入れませんでした。

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