(46)『雨が降る池の景観』

8月 2nd, 2008

 降りしきる雨の日の午後、本日、六月二十二日の日曜での昼下がり。今年も梅雨入りの気候となった。
 自宅で一人閉じこもってはいられずに、何となくぶらりと外へ出かけた。
 どこに行きたいといったあてもなく、できるだけ人出の少ないような所へ足を向け、たどり着いた先は広い庭園であった。
 そこには、広い池があって庭園の中には休む事のできる東屋もある。暫くその東屋にある椅子に腰かけて、じっと目の前にある池を眺めていた。
 雨がしとしとと降っているせいなのか、周りには誰も居なく、自分だけが一人寂しく、ただ池を眺めているだけであった。
 周囲が静かで人もなく、雨が降りしきる中での池の様子をじっとみていると、過ぎ去ってしまった様々な思い出が心によぎりだす。
 何年か前の時に、自分が今一人で切ない気持ちを抱きながら雨の降る池を目の前に見ている同じ場所におき、ある一人の女の子と一緒に晴天であった日に二人で池を眺めていた事。
 そして、この池のある庭園へと始めて彼女が自分を連れてきた事。
 雨の日は、ずっと前に暫く忘れかけていた過去での出来事などが、心切ない程に甦ってくる事もある。
 何でもすぐに、忘れ去ってしまってはいけないような気持ちに戒められる。
 今では、その女の子の消息もわからなくなった。どこかで幸福に暮らしている事を願いたい一心である。

Leave a Reply