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13. 「お鍬祭り」へのかかわり

大島建彦先生のすすめ

私は、某大学の大学院の修士課程にて、民俗学を専攻していました。そのときに、東洋大学名誉教授で、日本を代表する民俗学者の大島建彦先生が、非常勤講師として、きておられました。

私は、卒業後、日本石仏協会に参加し、地蔵や道祖神などの石仏を研究していましたが、協会主催の石仏写真展にも、石仏の写真を出品していました。その際に大島先生が写真展に来られて、「愛知県に伝わる『お鍬祭り』という行事を調査してみないか」といわれました。

「お鍬祭り」は、江戸時代から、おこなわれた行事で、伊勢神宮への信仰がもとになっており、60年に一回おこなわれているという行事です。平成19年から、平成20年にかけて、愛知県のなかで、60ヵ所近くおこなわれているとのことです。

具体的な行事内容としては、鍬のかたちをして木製のご神体を神社の社殿に奉納し、その後、村人が仮装したり、いろいろな飾り物を持って、村や地域をねりあるくというものです。

江戸時代に高力猿猴庵という武士の書いた「御鍬祭真景図略」という書物を見ると、当時の「お鍬祭り」が、地域によって、様々な仮装行列や様々な飾り物を持った行列で、おこなわれていたことが、絵入りで紹介されており、当時から、個性的で、ユニークな行事だったことがわかります。

甚目寺観音

個人で、60ヵ所近く全部調査するのは、不可能なので、地域を限定して、調査することにし、平成20年4月13日に愛知県海部郡甚目寺町上萱津で開催された行事と、平成20年10月13日に愛知県海部郡美和町蜂須賀で開催された行事の2ヵ所を見学しました。

「お鍬祭り」については、将来、民俗学関係の学会で発表するつもりなので、概略だけにとどめておくことにし、ここでは、「身近にある史跡と名所」というこの連載の本題にしたがって、この見学にともなって、訪問した周辺の史跡と名所を紹介しておきたいと思います。

甚目寺町甚目寺にある甚目寺観音は、尾張四観音のひとつとして、知らせており、推古天皇五年(597年)、伊勢の住人、甚目龍麿が海中で、ひろいあげた観音像を祀ったことにはじまるといわれています。

南大門、三重塔、東門などの建築物が、国の重要文化財に指定されています。また寺宝として、絹本著色仏涅槃図、絹本著色不動明王画像なども国の重要文化財に指定されています。

三重塔内の木造愛染明王像および、南大門の木造仁王像は県の文化財に指定されています。境内にある漆部神社でも、平成20年4月19日に「お鍬祭り」が開催されたとのことです。

甚目寺観音の境内にも、石仏が多いのですが、周辺の藤華山薬師寺という寺にも十一面観音や地蔵菩薩像などの個性的な石仏があります。甚目寺では、「こまっちゃん」というマドレーヌも名物として、知られています。

蜂須賀の「お鍬祭り」

美和町蜂須賀には、弘安二年(818年)に弘法大師によって、創建されたといわれる蓮華寺があります。境内には、地蔵菩薩像などの石仏が多数ありますが、庭園は県の名勝に指定されています。蜂須賀の地は、戦国時代の武将で、のちに阿波の領主となった蜂須賀小六正勝の出生地で、境内には、その記念碑もあります。

それゆえに、蜂須賀地区の「お鍬祭り」では、阿波踊りが催されるといわれています。蜂須賀に隣接する愛知県稲沢市北麻績町にも富士社、天神社などの由緒ある神社があります。

「南無妙法蓮華経」と刻まれた、日蓮宗系の信仰を伝える、石の題目塔もあり、「高祖日蓮大菩薩 妙法社」と書かれたのぼりもあがっていました。また、天神社には、神のお使いである牛の石像もありました。

名古屋市内の博物館・図書館

平成21年1月10日には、名古屋市瑞穂区瑞穂通にある名古屋市博物館にて、学芸員の武藤真氏による「第10回はくぶつかん講座 きいた みた やった お鍬祭り」という講演を聴きました。

武藤氏は「お鍬祭り」の研究の第一人者でもあり、講演のあと、博物館内の喫茶室にて、個別に「お鍬祭り」について、お話をさせていただき、「お鍬祭り」に関する資料もいただくことが出来ました。

博物館の近くには、秋葉神社という由緒ある神社もあります。博物館では、「日本の絵葉書展」という特別展も開催されていました。

当日は愛知県名古屋市中区三の丸にある愛知県図書館にて、「お鍬祭り」の資料を探しました。その際、図書館近くの史跡や名所も訪問しました。那古野神社という立派な神社があり、境内には東照宮もあります。ライオンズパークという公園には、ライオンの石像もあります。名城公園には、彫刻の森があり、加藤清正の銅像もあります。名古屋城も見学しました。城内にも入れました。「名古屋城新春書道展」も開催されていました。有名なしゃちほこの模型も見ました。また、名古屋城の近くには、自民党の事務所もありました。

名古屋駅前  

以上のように、平成20年より21年にかけて、三回、愛知に行ったのですが、全部、新宿と名古屋間の夜間高速バスを利用しました。バスを待っている間、夜の名古屋の街を散策したりもしました。名古屋駅前では、ジュンク堂などの立派な本屋やJR名古屋駅のきれいは電光掲示板が、印象に残りました。

現在、自宅で、「お鍬祭り」に関する資料やデータを整理しながら、研究を続けています。前述のように、将来、民俗学関係の学会で「お鍬祭り」について、発表できるように、がんばりたいと思います。