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40. 三浦市三崎の「いなりっこ」

 神奈川県三浦市三崎には、「いなりっこ」という、子どもたちが、狐などのお面をかぶって、舞をまったりするお神楽の興味深い伝統行事が伝承されています。今年の2月19日の読売新聞の地域欄に紹介されました。三浦市の無形民俗文化財に指定されています。
 私は、この行事を研究し、民俗学の研究雑誌に紹介したいと思って、5月1日、三崎を訪問しました。まず、三浦市図書館にて、「いなりっこ」の資料を探しました。その後、本瑞寺、光念寺、子育て稲荷などの史跡も訪問しました。
 本瑞寺は、源頼朝が三崎に来遊した三御所のひとつで、桜の御所として知られます。三浦地蔵三十八ヶ所の霊場の礼所のひとつでもあり、三十八ヶ所の地蔵のご開帳も、開催中でした。
 ちなみに三崎の三御所のうち、椿の御所は大椿寺であり、桃の御所は、見桃寺です。光念寺には、境内より、階段をおりたところの洞窟内に多数の石仏がありました。
 これらの史跡を訪問したのち、「チャッキラコ昭和館」を見学しました。この建物は、昭和の旧家をもとに、昔から伝えられてきた民具を展示して、昭和の生活を再現しているミニ博物館です。
 三崎で有名な「チャッキラコ」という伝統行事(小正月におこなわれる少女の舞の行事で、国指定重要無形民俗文化財およびユネスコ無形文化遺産に指定されている)の資料も展示しています。
 私は、以前、「チャッキラコ」に関する論考を日本民俗学会の「日本民俗学」という研究誌において、発表したことがあります。また、「チャッキラコ昭和館」の説明のボランティアをしていた方で、「いなりっこ」の経験をしていた方がおられ、「いなりっこ」の行事について、お話を聞くことができました。
 そのかたの紹介で、海南神社の社務所で聞くと、「いなりっこ」の保存会の役員の連絡先を教えてくれるといわれ、その後、海南神社で、役員の連絡先を聞くことが出来ました。その後、最福寺という寺院も訪問しました。

面神楽
 その後、役員に連絡すると、5月15日の海南神社の「食の神フェスティバル」という行事で、「いなりっこ」の大人版ともういうべき、「面神楽」が上演されるので、そのときにいろいろお話しますということなので、5月15日に再び三崎を訪問しました。三崎は、まぐろ料理で知られ、多くのまぐろ料理店がありますが、立花屋でまぐろ料理を食べました。
 当日は、海南神社に食の神様に奉納する地元の料理店やホテルなどからの「奉納料理」が数多く奉納されました。来場者へけんちん汁や野菜などがふるまわれました。
 食の神様である磐鹿六雁命(いわかむつかりのみこと)への対する神事、四条古流家元・倉橋柏山氏の「包丁式」や前述の「面神楽」(海南神社神楽師会による)、張海輪氏による中国雑技の披露などがおこなわれました。
 神社の社務所にて、「いなりっこ」の保存会の会長および事務局長から、「いなりっこ」のお話を聞き、資料までいただきました。
 子ども時代に「いなりっこ」を経験した人が、おとなになって、「面神楽」を経験することが多かったとのことです。現在、「いなりっこ」の発表会を10月第一日曜日に開催するとのことです。
 私も今後も「いなりっこ」の研究を続けていき、将来的には、どこかの民俗学の研究雑誌で発表できるようにがんばりたいです。15日には、前述の「チャッキラコ昭和館」も見学しました。