10月 1st, 2024 / Author: 中崎シホ
夜は明けない
日は出ない
見えない路を
徘徊する
夢とも何とも
いえないところで
自らそこへと
入っていった
その隅っこは
暗かった
顔が闇に
埋ずもれた
そうだ僕は
なにものでもない
顔をもたない
無機物だ
そろいもそろって
よくもまあ
不毛さだらけで
つどったものだ
というよりそれは
集まりではなく
それぞれに在る
一人の僕だ
独りの闇で
虚空をつかんで
握ったこぶしを
解く指の一本ずつ
9月 1st, 2024 / Author: 中崎シホ
春が僕を
けだるい空気へ
誘いこむ
失われた夢のように
消えてゆくのは
あおい春
夢を
夢と認識するために
毎日めざめる
夢では現実を
目覚めれば夢を
忘却するばかり
目覚めなければ
夢は
永久に閉じられた
異世界
死
個人的であり
普遍的でもある
了解不能の世界
世界として
漂う夢らは
見えない
言えない
質量もない
8月 1st, 2024 / Author: 中崎シホ
風にしたがう
空にかしずく
夜によりそう
日にひらかれる
そうして青山を
求めて歩く
それはおそらく
至るところにある
青山に立つことは
眠りか覚醒か
そこに満ちるのは
祈りか沈黙か
流れのままに
立つその地
救われるのか
失われるのか
7月 1st, 2024 / Author: 中崎シホ
手にもつスプーンを
ナイフにかえて
闘うことを
覚悟する
甘いミルクを
吸うのはやめて
勝利の美酒に
酔うため闘う
かざすナイフを
ペンにかえ
闘い方を
熟慮する
士気高める酒で
渇きは満たせず
万事をうるおす
清水を求める
6月 1st, 2024 / Author: 中崎シホ
十四才のはじけ方
十七才の倦怠感
歯をむいて立ち上がるのを
余儀なくしたのは
あなた方だ
人差し指を
天に向け
昇るイメージ
空の道
振りあげた
拳を解くのは
不本意だ
陽は輝いて
闇夜は深く
くり返される
波にのる
自分の足で
立つために
自分の目玉で
見るために
いまだ未完の
僕たちだ
5月 3rd, 2024 / Author: 中崎シホ
リズムをとる歯
おどる舌
口びる震えて
言葉は無くて
リズムのうちに
はさむ休止符
打って休んで
消えゆくうた
眠らぬ夜は
すでに過ぎ
覚醒のまま
深みに落ちてく
絶望的に
切望するのは
いま在ることの
真実味
ゆめのような
まことのかずかず
つぎはぎだらけの
文字の列
4月 1st, 2024 / Author: 中崎シホ
漆黒だ
純白だ
闇夜はつねに
うごめいている
光の朝は
来る度ちがう
闇も光も
一色ではない
泥のように
涙を重ね
頭の中の泡が
パチパチ弾け
いつものように寝て覚めて
泥の中から目醒めを手繰る