158 無の教室

1月 3rd, 2022  / Author: 中崎シホ

生きてる夢から

目覚めてみれば

そこには誰も

いないだろう


くたびれた教室のような

薄暗い空間


寄り合う面々

それぞれの夢

彼らは目覚めて

立ち去った


夢が死ぬとき

僕らは目覚める

目覚めた僕らは

夢を知る


眠りすぎて

生きすぎて

デジャヴだらけの

世界のほころび


夢からの

微妙な合図を

受けとって

読み取れないまま

現実という曖昧さ


そして

あの教室で

誰も僕を待っていない

157 不条理のひとすじ

12月 1st, 2021  / Author: 中崎シホ

つなぐことが

できない者の

孤独と生滅


たくすバトンを

持たずして


つながることを

恐れる者の

羞恥と隠遁


網の目の中

失われ


つながれている

罪ある者の

祈りと覚醒


善悪もはや

混然として


つなぎ目ひとつ

おぼつかなくて

自己と世界の

理不尽さ


意図ある

糸の断絶

一条の光に

絡め取られる

156 不思議な気分のつくり方

11月 1st, 2021  / Author: 中崎シホ

眠りたくない夜

目覚めたくない朝


クリアな沈黙

クールな発語


デジャヴはいつも

つかまえそこねる


一瞬の匂いのように

消え去ってゆく


名前のない感覚だけが

うっすらと残ったりする

155 彼らの彼方

10月 2nd, 2021  / Author: 中崎シホ

かくも生きづらかった

彼らの声を聞く


声さえ出せなかった

彼らの文字をたどる


文字さえ綴れなかった

彼らの沈黙を察する


自我はもはや

虫の息

消えてゆくのは

超えてゆくこと


人差し指を

天に向け

のぼり龍の鼻の先


腕を広げて

地に立って

降ってくるのはヤリの雨


地と天空の

はざまに生きて


無と存在の

彼方を目指す

154 動いてる

9月 2nd, 2021  / Author: 中崎シホ

一歩ずつでも

半歩ずつでも

一ミリずつでも

動いてる


進んでいるも

退いてるも

どちらにしても

動いてる


動いているのは

自分か時代か

世界か内界か


動かぬものは

きっと無い


波動を身に受け

血肉も動く


波動そのものになって

ここに在る

153 第三の道

8月 2nd, 2021  / Author: 中崎シホ

三人目の反存在


かろうじて

生かされて在る

名も無い生


先に立って

名を得た

二人の背を見て

一人こぼれる三人目


光を受けて

先行する者

闇を授かり

逆行する者


成長と再生

その

必然の世界を外れた

三人目の遠いまなざし


そしてこの

退行と消滅

陰なる世界の

絶え入るみちすじ


どのみち見えない

未知のゆきさき


命ののちの

おちる道

152 世界の本意

7月 1st, 2021  / Author: 中崎シホ

僕が

僕たる

僕の自我


なんて

要らない

知らない

くだらない


世界は仮りもの

あるいは

僕のつくった

僕だけのまぼろし


暗黙の気付きに

従って

ほんとうのことに

気付かないふり


ゆらぐ客観

ひそむ異界


ある道端では

暗示が落ちてる

行く先々では

合図と出会う


しかしながら

世界の本意は

くみとりがたく

畏怖を抱いて

途方にくれる