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スクールハラスメント相談窓口

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スクールハラスメント相談窓口

「スクハラ」私立校の子どもは要注意?親にできることとは
セクハラ、パワハラ、モラハラ…昨今、「嫌がらせ」を定義するハラスメントという言葉が、シチュエーションや立場により細分化されています。
その中でも、本来子どもを守る立場にある教師から生徒への「スクールハラスメント」が問題視されています。
定義があることによって自身の経験がスクールハラスメントに該当するかもしれない、子どもが被害にあっているかもしれない。
声を上げることができる今だからこそ、問題について目を向けてみましょう。
スクールハラスメントとは
スクールハラスメントとは、文字どおり「学校で行われる嫌がらせ行為」のことをいいます。
先月スクールハラスメントに苦しむ小中高校生が相談できる窓口の設置を求め、自身も被害にあった学生がインターネットによる署名活動を始めました。
学生は中学時代、担任教師から家庭環境に関する心ない一言を言われます。
その言葉にショックを受け不登校となってしまいますが、さらに追い討ちをかけるように学校側から転校を勧められ精神的に追い詰められました。
このことが原因で、今もなお睡眠障害に苦しめられているといいます。
このように体罰はもっての外ですが、生徒を精神的に追い詰める言動などもスクールハラスメントといえるのです。
さらに教師が教育と称し身体を触る、立場を利用して異性との交際を一方的に禁止するなど、性的な嫌がらせ「スクールセクシャルハラスメント」も問題視されています。
またメールやSNSなどでのやり取りも含め、スクールハラスメントは様々な形で増加しています。
スクールハラスメントから派生する二次被害
スクールハラスメントはとくに教師という立場を悪用し、自分より弱い立場にある生徒が対象となっているため、生徒が声をあげにくいという現状があります。
生徒自身も「友人に知られたくない」「成績に影響するのではないか」「単位をもらえないのでは」などと考え、被害を周りに相談できない状況も多くあります。
さらには相談された他の教師や学校が、問題が大きくなることを恐れ加害者である教師ではなく、被害者である生徒を説得しハラスメント行為が解決しないという事例もあるようです。
さらに、「セカンドハラスメント」という言葉をご存知でしょうか。
勇気を持ってハラスメントへの声をあげた人が、味方だと思っていた周囲の人からバッシングを受けたり、協力を得られずさらに苦しんでしまう状況を指します。
先述のスクールハラスメント被害にあった学生は、ハラスメント行為がきっかけとなり不登校になってしまいました。
さらにその精神的苦痛から今もなお睡眠障害に苦しめられており、1度のハラスメントが二次被害を生んでしまっていることがわかります。
「教師がやっているから…」と他の生徒からの無視や暴言など、いじめの引き金にもなりかねません。
過去に性的被害を受けたために「男性に触れられることで記憶がよみがえってしまう…」など、どんな些細なものであれ、被害にあった生徒は大人になってからもそのトラウマに苦しめられています。
スクールハラスメントから自分の子どもを守るために
ハラスメントは目に見える基準がなくとも、自身が嫌だと感じたり人権を侵害されたと感じた場合はそれを定義づけることができます。
そのため少しでも嫌だと感じる教師からの行為があれば、まずは生徒自身が「スクールハラスメントではないか」と意識をすることが必要です。
その上で、その行為が不快だという意思をしっかりと表示することが大切になります。
それでも執拗に行為が続く場合は、信頼のできる教師や大人、友人に声をあげ、意思を表示することが重要です。
家庭でも、学校のことを話し合える環境作りが大切になるのではないでしょうか。
また、学校内ではサポートが得られない場合、公立学校ではその地方自治体や教育委員会が設置する相談窓口など、第三者に相談する方が効果的な場合があります。
しかし私立学校では声をあげられない、相談する場所がないということも問題視されています。
この現状を打破したいと考え、先述のインターネットでの署名活動では、文部科学省に教育委員会から独立した組織としての相談・紛争処理機関の設置を、都知事と世田谷区長には相談窓口の設置を求めています。
自分の子どもが心の内を打ち明けられるようなサポートができるように、このような相談の場が自分の地域にもあるか知識を持っておくと良いでしょう。
まとめ
ハラスメント問題は大人だけではなく、子どもたちにとっても深刻な問題となっています。
被害を受けることが恥ずかしいことや罪悪感をおぼえることではないと、子どもや弱い立場の人に社会が示していく必要があります。
スクールハラスメントから子どもたちを守るために、どんな些細なことでも声をあげられるような家庭、学校、社会の環境作りが重要なのではないでしょうか。
参考『「スクールハラスメント」相談窓口を 学生が署名活動へ』朝日新聞
『ハラスメントの二次被害「セカンドハラスメント」を考える』 NHKハートネット
〔2019年8/9(金) LIMO 吉永 涼〕
私立校のスクハラを野放しにしていいのか
スクールハラスメントを受けた当事者で、署名活動を呼びかけている佐藤悠司さん(撮影=プレジデントオンライン編集部)
私立校で学校からパワハラを受けたらどうすればいいか。
公立校なら自治体に訴えられるが、私立校の相談窓口はどこにもない。
東京都の私立中高一貫校「世田谷学園」の教員からパワハラを受け、4年間不登校を強いられた男性が、7月17日から国や東京都などに「スクールハラスメント」の窓口設置を求める署名活動を行う。
いまも睡眠障害などに苦しむ男性に、その思いを聞いた――。
■担任からのパワハラと2度の転校勧奨
「私立学校の場合、現状では先生からパワハラを受けたときに相談できる窓口がありません。
東京都や世田谷区の教育委員会からは、『自分たちには私学を指導する権限はない』と言われました。
このままでは、被害者は泣き寝入りするしかないのです」
こう話すのは、東京都世田谷区の私立中高一貫校「世田谷学園」で、中学生の時に担任教員からパワハラを受けた佐藤悠司さん(19)だ。
担任からのパワハラが原因で、中学2年生の終わりから高校卒業まで不登校を余儀なくされ、2度の転校勧奨も受けた。
現在は早稲田大学に通っているが、パワハラが原因で発症した睡眠障害の治療を続けている。
プレジデントオンラインではこれまで2度にわたり、世田谷学園による佐藤さんへのパワハラ疑惑を報じている(「名門私立“世田谷学園”の教員パワハラ疑惑」「“離婚家庭の子はダメ”パワハラ発言の顛末」)。
学園側は事実関係を認めて謝罪していたが、佐藤さんらが原因究明と関係者の処分を求めると態度を変え、去年11月以降はパワハラについても全面否定している。
両者の主張が食い違っている状況だが、この問題について被害者である佐藤さんが相談できる公的な窓口はない。
このため現状では、学校側が話し合いに応じないのであれば、裁判に訴えるしかない。
佐藤さんはこうした状況を変えたいと、実名を明らかにして署名活動を展開することを決めた。
プレジデントオンラインでも、これまでの記事と異なり、今回は佐藤さんの実名を表記している。

■文科省の通知に反した世田谷学園の対応
佐藤さんが不登校になったきっかけは、部活動をめぐり担任から大声で怒鳴られ、「お前は離婚家庭の子どもだから心が弱い」などとののしられたことだ。
その後も担任からの暴言が続き、佐藤さんは慢性的な腹痛を発症。
「担任に会いたくない」という思いから不登校になった。
さらに問題なのは、世田谷学園が不登校となった佐藤さんに、2度にわたって転校勧奨した点だ。
この対応は文部科学省の通知に反している疑いがある。
文部科学省は児童・生徒の不登校の増加を問題視し、学校による支援の在り方について、2003年、2009年、2016年と3度、通知を出している。
特に2009年の通知では、不登校になった高校生が学校以外の公的機関や民間施設で相談や指導を受けた場合、それを出席日数と認めることなど、生徒の進路形成への支援を求めている。
■自治体は「私学を指導する権限はない」と言うばかり
佐藤さんは腹痛に加えて不眠などの症状も出るようになり、適応障害と診断された。
登校できなかったため、学習の遅れを取り戻そうと個別学習指導塾に通い始めてすぐに、転校勧奨を受けたのだ。
転校勧奨は高校に入ってからも行われた。
この点を学園に問い合わせると、「文科省の通知を知らなかった」との回答だった。
公立学校であれば、学校側によるハラスメントは教育委員会に相談できる。
しかし、私立学校の場合は東京都も世田谷区も「私学を指導する権限はない」と言うばかりで、相談窓口はない。
佐藤さんは当時の苦しみを次のように語る。
「誰も僕の身に起こったことを信じてくれませんでした。
言われた内容が内容だけに、すぐに親に話すこともできず、意を決して母親に話すと、先生がそんなことをするはずがない、と言われてしまいました。
被害者であることを否定されたことがつらかったし、苦しかったです。
自分は確かにひどいことを言われたはずなのに、そのことすら信じられなくなっていきました」
■泣き寝入りしている生徒が、全国にいるはず
佐藤さんは不登校のまま、高校2年生の時から予備校に通って、早稲田大学教育学部に現役合格した。
奮起したのは、不登校のままで高校を卒業しても、社会に寄与できない、生きていけないという不安からだった。
「不登校であることは、それだけで社会的立場を失います。
パワハラの被害を受けたと手を挙げても、救われることがありません。
僕の場合は家族やさまざまな人が助けてくれたおかげで、大学にも合格し、学生としての社会的立場を取り戻すことができました。
しかし、世田谷学園はパワハラの事実を隠蔽し続けており、再発防止策も講じられていません。
もしかしたら、僕のように苦しめられている在校生がいる可能性もありますし、声を上げることができないまま泣き寝入りしている生徒が、全国にいるのではないでしょうか。
現状では学校側からハラスメントを受けたときに、相談ができて、対応してもらえる制度があるとは言い難いです。
自分の経験からも、生徒が安心して相談できる窓口は、必要だと強く感じています」

■「子どもの声を受け止めるための取り組みが必要だ」
佐藤さんは7月16日、相談窓口の設置を求める署名活動について、文部科学省記者会で記者会見を行う。
翌日から1カ月間かけて署名キャンペーンの発信サイト「Change.org」で呼びかけ(※)、文部科学省と東京都、世田谷区に署名と要望書を提出する予定だ。
※Change.org「先生から生徒へのパワハラをなくすため、生徒が相談しやすい公的窓口を設置してください! 」
(https://www.change.org/SchoolHarassment)
この署名キャンペーンでは、小学生、中学生、高校生がスクールハラスメントに遭った場合、文部科学省に対して教育委員会から独立した「先生から生徒へのパワハラ」の相談・紛争処理機関を設立するように求めている。
また東京都と世田谷区には、気軽に相談できる場所として、学校で起きている「隠されたハラスメント」の相談窓口の設置を求めている。
学校でのハラスメントに詳しい名古屋大学大学院の内田良准教授はこう話す。
「子ども間のいじめについては、各自治体でさまざまな相談体制が整備されてきた。
一方で、教師から子どもに対する暴言や体罰などのハラスメントについては、相談体制がほとんど構築されていない。
時に教師が生徒の権利を侵害することはありうる。
そうした前提から、大学では相談窓口の設置が一般的になった。
小中高でもこの考え方を広げるべきだ。
理不尽な指導から子どもを守るために、子どもの声を受け止めるための取り組みが必要だ」
■「苦しんでいる人の力になりたい」
佐藤さんは、スクールハラスメントの被害に遭い、苦しんでいる人に、こう呼びかける。
「周囲の無理解に苦しみ、自分を信じられなくなるかもしれません。心が折れそうになるかもしれません。
でも、どうか決して自分を疑わないで、そして諦めないでください。
自分を強く持って諦めずにいれば、道が開ける瞬間は必ずやってきます」
相談窓口や紛争処理機関ができたからといって、佐藤さんの苦しみがすぐに解決するわけではない。
しかし、学校側からのハラスメントについて相談窓口さえないという現状では、学校で何が起きているのかは外からは分からない。
被害者は不登校や退学に追い込まれても、泣き寝入りするしかないのだ、
佐藤さんは「苦しんでいる人の力になりたい」と話す。
「相談できる場所があれば、孤立せずに救われる人もいるはずです。
自分と同じようなつらい経験をする人を、これ以上増やしたくない。
署名活動は遠回りな方法かもしれませんが、苦しんでいる人のために少しでも貢献できればと思っています」
ジャーナリスト 田中 圭太郎 撮影=プレジデントオンライン編集部
〔2019年7/15(月) プレジデントオンライン〕

私立校のスクハラを野放しにしていいのか
スクールハラスメントを受けた当事者で、署名活動を呼びかけている佐藤悠司さん(撮影=プレジデントオンライン編集部)
私立校で学校からパワハラを受けたらどうすればいいか。
公立校なら自治体に訴えられるが、私立校の相談窓口はどこにもない。
東京都の私立中高一貫校「世田谷学園」の教員からパワハラを受け、4年間不登校を強いられた男性が、7月17日から国や東京都などに「スクールハラスメント」の窓口設置を求める署名活動を行う。
いまも睡眠障害などに苦しむ男性に、その思いを聞いた――。

■担任からのパワハラと2度の転校勧奨
「私立学校の場合、現状では先生からパワハラを受けたときに相談できる窓口がありません。
東京都や世田谷区の教育委員会からは、『自分たちには私学を指導する権限はない』と言われました。
このままでは、被害者は泣き寝入りするしかないのです」
こう話すのは、東京都世田谷区の私立中高一貫校「世田谷学園」で、中学生の時に担任教員からパワハラを受けた佐藤悠司さん(19)だ。
担任からのパワハラが原因で、中学2年生の終わりから高校卒業まで不登校を余儀なくされ、2度の転校勧奨も受けた。
現在は早稲田大学に通っているが、パワハラが原因で発症した睡眠障害の治療を続けている。
プレジデントオンラインではこれまで2度にわたり、世田谷学園による佐藤さんへのパワハラ疑惑を報じている(「名門私立“世田谷学園”の教員パワハラ疑惑」「“離婚家庭の子はダメ”パワハラ発言の顛末」)。
学園側は事実関係を認めて謝罪していたが、佐藤さんらが原因究明と関係者の処分を求めると態度を変え、去年11月以降はパワハラについても全面否定している。
両者の主張が食い違っている状況だが、この問題について被害者である佐藤さんが相談できる公的な窓口はない。
このため現状では、学校側が話し合いに応じないのであれば、裁判に訴えるしかない。
佐藤さんはこうした状況を変えたいと、実名を明らかにして署名活動を展開することを決めた。
プレジデントオンラインでも、これまでの記事と異なり、今回は佐藤さんの実名を表記している。
■文科省の通知に反した世田谷学園の対応
佐藤さんが不登校になったきっかけは、部活動をめぐり担任から大声で怒鳴られ、「お前は離婚家庭の子どもだから心が弱い」などとののしられたことだ。
その後も担任からの暴言が続き、佐藤さんは慢性的な腹痛を発症。
「担任に会いたくない」という思いから不登校になった。
さらに問題なのは、世田谷学園が不登校となった佐藤さんに、2度にわたって転校勧奨した点だ。
この対応は文部科学省の通知に反している疑いがある。
文部科学省は児童・生徒の不登校の増加を問題視し、学校による支援の在り方について、2003年、2009年、2016年と3度、通知を出している。
特に2009年の通知では、不登校になった高校生が学校以外の公的機関や民間施設で相談や指導を受けた場合、それを出席日数と認めることなど、生徒の進路形成への支援を求めている。
■自治体は「私学を指導する権限はない」と言うばかり
佐藤さんは腹痛に加えて不眠などの症状も出るようになり、適応障害と診断された。
登校できなかったため、学習の遅れを取り戻そうと個別学習指導塾に通い始めてすぐに、転校勧奨を受けたのだ。
転校勧奨は高校に入ってからも行われた。
この点を学園に問い合わせると、「文科省の通知を知らなかった」との回答だった。
公立学校であれば、学校側によるハラスメントは教育委員会に相談できる。
しかし、私立学校の場合は東京都も世田谷区も「私学を指導する権限はない」と言うばかりで、相談窓口はない。
佐藤さんは当時の苦しみを次のように語る。
「誰も僕の身に起こったことを信じてくれませんでした。
言われた内容が内容だけに、すぐに親に話すこともできず、意を決して母親に話すと、先生がそんなことをするはずがない、と言われてしまいました。
被害者であることを否定されたことがつらかったし、苦しかったです。
自分は確かにひどいことを言われたはずなのに、そのことすら信じられなくなっていきました」
■泣き寝入りしている生徒が、全国にいるはず
佐藤さんは不登校のまま、高校2年生の時から予備校に通って、早稲田大学教育学部に現役合格した。
奮起したのは、不登校のままで高校を卒業しても、社会に寄与できない、生きていけないという不安からだった。
「不登校であることは、それだけで社会的立場を失います。
パワハラの被害を受けたと手を挙げても、救われることがありません。
僕の場合は家族やさまざまな人が助けてくれたおかげで、大学にも合格し、学生としての社会的立場を取り戻すことができました。
しかし、世田谷学園はパワハラの事実を隠蔽し続けており、再発防止策も講じられていません。
もしかしたら、僕のように苦しめられている在校生がいる可能性もありますし、声を上げることができないまま泣き寝入りしている生徒が、全国にいるのではないでしょうか。
現状では学校側からハラスメントを受けたときに、相談ができて、対応してもらえる制度があるとは言い難いです。
自分の経験からも、生徒が安心して相談できる窓口は、必要だと強く感じています」

■「子どもの声を受け止めるための取り組みが必要だ」
佐藤さんは7月16日、相談窓口の設置を求める署名活動について、文部科学省記者会で記者会見を行う。
翌日から1カ月間かけて署名キャンペーンの発信サイト「Change.org」で呼びかけ(※)、文部科学省と東京都、世田谷区に署名と要望書を提出する予定だ。
※Change.org「先生から生徒へのパワハラをなくすため、生徒が相談しやすい公的窓口を設置してください! 」
(https://www.change.org/SchoolHarassment)
この署名キャンペーンでは、小学生、中学生、高校生がスクールハラスメントに遭った場合、文部科学省に対して教育委員会から独立した「先生から生徒へのパワハラ」の相談・紛争処理機関を設立するように求めている。
また東京都と世田谷区には、気軽に相談できる場所として、学校で起きている「隠されたハラスメント」の相談窓口の設置を求めている。
学校でのハラスメントに詳しい名古屋大学大学院の内田良准教授はこう話す。
「子ども間のいじめについては、各自治体でさまざまな相談体制が整備されてきた。
一方で、教師から子どもに対する暴言や体罰などのハラスメントについては、相談体制がほとんど構築されていない。
時に教師が生徒の権利を侵害することはありうる。
そうした前提から、大学では相談窓口の設置が一般的になった。
小中高でもこの考え方を広げるべきだ。
理不尽な指導から子どもを守るために、子どもの声を受け止めるための取り組みが必要だ」
■「苦しんでいる人の力になりたい」
佐藤さんは、スクールハラスメントの被害に遭い、苦しんでいる人に、こう呼びかける。
「周囲の無理解に苦しみ、自分を信じられなくなるかもしれません。心が折れそうになるかもしれません。
でも、どうか決して自分を疑わないで、そして諦めないでください。
自分を強く持って諦めずにいれば、道が開ける瞬間は必ずやってきます」
相談窓口や紛争処理機関ができたからといって、佐藤さんの苦しみがすぐに解決するわけではない。
しかし、学校側からのハラスメントについて相談窓口さえないという現状では、学校で何が起きているのかは外からは分からない。
被害者は不登校や退学に追い込まれても、泣き寝入りするしかないのだ、
佐藤さんは「苦しんでいる人の力になりたい」と話す。
「相談できる場所があれば、孤立せずに救われる人もいるはずです。
自分と同じようなつらい経験をする人を、これ以上増やしたくない。
署名活動は遠回りな方法かもしれませんが、苦しんでいる人のために少しでも貢献できればと思っています」
ジャーナリスト 田中 圭太郎 撮影=プレジデントオンライン編集部
〔2019年7/15(月) プレジデントオンライン〕

「スクールハラスメント」相談窓口を 学生が署名活動へ
先生や学校からの嫌がらせ「スクール・ハラスメント」に苦しむ小中高校生が相談できる窓口の設置を求め、早稲田大学2年の佐藤悠司さん(19)が17日からネットで署名活動を始める。
中学時代に教員からハラスメントを受け不登校になったという佐藤さんは16日、都内で会見し、「今は実効性を持った公的な相談窓口がない。
とりわけ私学に通う子どもは訴える先があまりない。
『先生が間違ったことをするわけがない』という意識もある。活動を通じ、実態も知ってほしい」と訴えた。
佐藤さんによると、東京都世田谷区内の私立中高一貫校に通っていた2014年1月、男性担任教諭に「お前は離婚家庭の子どもだからダメなんだ!」などと罵倒された。
ショックを受け、不登校に。その後、学校からは3回にわたって転校を勧められ、精神的に追い詰められたという。今も睡眠障害に苦しむ。
「ハラスメントに遭い、苦しんでいる子は他にも絶対にいる。自分を強く持って、どうか諦めないで、と伝えたい」と話す。
学校側は朝日新聞の取材に「先生から生徒へのパワハラというような事実関係はなかったと判断している」としている。
署名は約1カ月間受け付ける。
文部科学省に教育委員会から独立した組織としての相談・紛争処理機関の設置を、都知事と世田谷区長には相談窓口の設置などを求める。
署名はホームページ(http://www.change.org/SchoolHarassment)で。(山下知子)
〔2019年7/16(火) 朝日新聞デジタル〕

公的な「スクハラ相談窓口」は、なぜ必要か 教員の暴言に傷ついた19歳が、署名活動に立ち上がるまで
会見を開いた佐藤さん
東京都世田谷区の私立中高一貫校に通っていた中学2年当時、担任教諭から「お前は離婚家庭の子どもだからダメなんだ」と言われるなどして、不登校になったと訴える大学生が2019年7月16日、都内で記者会見を開き、国などにスクールハラスメントの公的な相談窓口設置を求めた。
会見を開いたのは、早稲田大学教育学部2年の佐藤悠司さん(19)。
相談窓口設置を求める署名活動をChange.org(チェンジ・ドット・オーグ)で始め、1カ月後の締め切りを予定する。

■「学校に来い、学校に来い、学校に来い」
中学2年当時、佐藤さんは陸上部に所属、担任教諭は美術部の顧問を務めており、佐藤さんは美術部にも所属していた。
次第に陸上部に居づらさを感じるようになり、部活に行けなくなった。
中学2年の1月、この担任の教諭から「陸上部に顔を出したらいい」と勧められた。
陸上部に負い目を感じて行ったが、既に退部扱いにされている旨を伝えられた。
次の大会があると聞かされ観戦に行ったが、風邪を引き学校を休んだ。
母親は、退部扱いとなってショックを受けた佐藤さんが不登校になってしまったと勘違いをし、担任教諭に説明を求めた。
担任は「ぼくに任せてください」と母親に電話で伝え、その後佐藤さんの携帯電話にかけ、「学校に来い、学校に来い、学校に来い」と言ってきた。
佐藤さんは、「担任の口調は尋常ではなかった」と振り返る。
体調が回復し、学校に行ったが、佐藤さんは担任への不信感を感じていた。
担任の教師と話をし、電話でのしゃべり口調が尋常ではなかったことに恐怖を抱いたことから、「美術部をやめさせてください」と伝えたが、突然、担任の教師は怒りだし、長時間にわたっていかに人間としてだめなのかを言い続けられた。
「その中で特にぼくの心を深く傷つけた一言が、『離婚家庭の子どもだからお前はダメなんだ』でありました。言われた言葉はこれ一つではありません。でも一番傷つけた一言であります」(佐藤さん)
先生に会いたくないと思うようになり、学校の近くに行くだけで腹痛が起こるようになった。
不登校、引きこもりと言われる状態にもなった。睡眠障害にもなり、5年たった現在も治療を続けているという。
家族からの抗議を受け、学校側は一定の謝罪をした。ところが佐藤さんによると、「ハラスメントの事実を公表することを求めたが、校長は拒否した」という。

佐藤さんは、「教員によるハラスメントに遭った際、被害を相談し、指導してくれる実効性を持った公的な窓口がないことを痛感しました」と主張。
大津市で発生した中学生のいじめ自殺を機に2013年制定された「いじめ防止対策推進法」にも言及し、「生徒間のいじめにおいては枠組みがつくられつつあるが、教員からのハラスメントは想定されていないのではないか」と疑問を投げかける。
「私学」理由に指導はできず
精神的にも追い詰められていた佐藤さん。
父親は行政機関に相談したが、東京都教委や世田谷区教委からは「私学を指導する権限はない」「保護者からの訴えがあったことを、私学運営者に伝えることしかできない」などの回答が得られたという。
佐藤さんは、「私学の学校においては強い独自性を持っているため、外部の公的機関から指導することが公立の学校と比べて特に難しいことがわかりました。
相談したどの行政機関もこの問題はあってはならないとしつつも、最終的には私立学校であることを理由に指導ができない、と回答しました」と振り返った。
今回の署名は、文科省、東京都知事、そして世田谷区長を宛先としている。
活動を通じて、「現行の教育制度やその不備を広く世間の皆さまに知っていただき、不備に対応する公的な窓口や機関の設置を求めたいと強く思いました」と主張し、次のように求めた。
「文科省には教育委員会とは違う第三者による公正な調停機関設立を、東京都には公立学校よりも指導がしにくい私立学校への対応として、私学助成金を管轄する部署にスクールハラスメント等の窓口を設け助成金の審査を厳格に行うこと、世田谷区においてはわたくし自身も在住しておりますし、問題になった学校もあります。保坂(展人)区長は教育について積極的な改革に取り組んでおられ、訴えを前向きに聞いてくれるのではないかと願っています」
「耐え忍んだあなたのがんばる姿が周囲からの理解へとつながっていく」
その上で佐藤さんは、このように呼び掛けた。
「スクールハラスメントの被害に遭い、今なお苦しんでる生徒さんは絶対います。
周囲の無理解に苦しみ、自分すらも信じられなくなってしまうことがあるかもしれません。
心が折れそうになってしまうことがあるかもしれません。
どうか決して自分を疑わないで、諦めないでほしいと思います。
今がすごくつらいと思います。でも報われるときは必ず来ます。
自分を強く持ってあきらめずにいれば、道が開ける瞬間は必ずあります。
耐え忍んだあなたのがんばる姿が周囲からの理解へとつながっていくと思います。どうか自分を強く持ってほしい」
顔と実名を出したことについて佐藤さんは、「全国でスクールハラスメントに苦しんでいる生徒さんは絶対いて、ハラスメントの大半は突発的に起こりうるものという認識があり、証拠を確保するのは非常に難しいのではないかと思います。
その中で泣き寝入りという形を仕方なく取らされてしまうことがたくさんあるかと思います。
でも、それはあってはならないことだと思いますし、正していくべきではないかなと。
満身創痍ではありますが、私の体験をいま苦しんでいる生徒さんが知ることで、少しでも勇気になれば」と決意した理由を明かした。
内田良氏「学校現場では、大人側の権威は守られている」
『学校ハラスメント 暴力・セクハラ・部活動―なぜ教育は『行き過ぎる』か』(朝日新書)などの著者として知られる、名古屋大学大学院教育発達科学研究科の内田良准教授は16日、J-CASTニュースの取材に、次のように話した。
「いじめは道徳の教材でも扱われうる。
他方、教科書やコミュニケーションの場でいじめのことは扱われても、先生が子どもに暴力をするとか、ハラスメントすることは学校現場でほとんど扱われていない。
ニュースにはなっているからいじめ・ハラスメントも問題視されていると思いがちだが、学校現場では大人側の権威は守られているのが今回の大事なポイント。
大人の側も当然ながら体罰やハラスメント、セクシャルハラスメントを含めて、子どもに危害を与えることもある。
その相談窓口は必要でしょうという訴え。今まで学校教育では想定されにくい事態だっただけに、非常に意義のある活動かなと思います」
そのうえで内田准教授は、学校の中に相談窓口を設ける難しさを指摘し、第三者としての窓口設置の意義をこう説明する。
「テストの点数が高ければいい時代は昔で、いまは子どもの態度や関心など目に見えにくいとこも評価されますので、先生のさじ加減っていうのは子どもたちに利いてしまう状況。
先生になかなか歯向かえない条件下に子どもたちは置かれている。
なかなか学校の中にハラスメント対策の窓口を作っても、子どもとしては非常に相談しにくい。
学校の外だからこそ相談しやすいし、第三者としての客観的な判断によって事案を取り扱ってくれる」
(J-CASTニュース編集部 田中美知生)
〔2019年7/16(火) J-CASTニュース〕

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