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川崎殺傷・自殺事件

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所在地 神奈川県川崎市
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目次

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ページ名川崎殺傷・自殺事件、神奈川県川崎市 (8050問題、事件事故)
「ラグナロクオンラインに救われた」引きこもりを経験した私が今、思うこと
筆者のメインキャラのイメージイラスト。もう15年以上前のものだが大事に保存している。
川崎市の児童殺傷事件をきっかけに「引きこもり」をめぐる問題への社会的関心が高まる中、2019年6月1日に元農水事務次官が長男を殺害する事件が起きた。
この長男もまた引きこもり傾向にあったとされ、かつ生前はオンラインゲームに没頭していたことから、「引きこもり」と「ゲーム」を結びつけるような言説も、少なからず出ている。
こうした中、かつて自身も引きこもり状態となった経験を持ち、現在はライターとして活動する「ゆうむら」さんは、当時人気だったオンラインゲーム「ラグナロクオンライン」に「救われた」という。
当時の体験と、現在の思いをつづってもらった。
■「ブラック企業」から退職、引きこもる日々に
じっと画面を見つめ、素早くキーボードをたたき、マウスをクリックする。
プロンテラの臨公広場でメンバーを募っては狩りに行き、別れ、また募る。
夜になって社会人のギルメンがログインしたら、一緒になって狩りに行く。
そんなことを繰り返すだけの毎日に、不意に異変が生じることがある。
ドタドタドタドタ! と階段を駆け上がってくる音がして、自室の扉がバタン! と開かれる。
息を切らして現れた母親が、怒り狂いながら金切り声で何かをわめき始める。
まったく日本語になっていないので、何を言っているのかはわからない。
どうでもいいので適当にあしらって追い返し、再びパソコンの画面に集中する。
そう。これはかつて筆者が経験した、引きこもりオンラインゲーマーの日常である。
あの頃の筆者は、いわゆるブラック企業の過酷な労働により心身ともに完全に消耗し、退職を余儀なくされて引きこもっていた。
また仕事を探さなければいけないことは分かっている。それでもまったく立ち上がる気力が湧き上がってこない。
壊れてしまった心と体が元に戻るには時間がかかる。
仮に動けるようになっても、働いたらまた壊れてしまうかもしれないという恐怖心を振り払うのはとても難しいことだった。
「もう、自分はダメかもしれない」人生に希望が見いだせず、自殺が日々脳裏をよぎる生活の中、唯一の救いとなっていたのが当時流行していたオンラインゲーム「ラグナロクオンライン」だった。
ゲームの中で出会った様々な人たち
始めた理由は覚えていない。最初は手あたり次第にプレイしていたゲームの1つという位置づけに過ぎなかったと思う。
あのゲームの中では本当に色々なことがあったのだが、一番良く覚えているのはゲームの中で出会った様々な人たちだ。 色々な職種の社会人がいたし、学生も大勢いた。主婦も多かったし、不登校の子にも何人か出会った記憶がある。
当時の筆者同様に、ラグナロクオンラインだけが社会との接点として機能していた人は大勢いたのではないだろうか。
性別も違えば立場も考え方も何もかも違う。
同じなのはただ「ラグナロクオンライン」というゲームが好きという一点のみで集まっている仲間たちとのたわいない会話は、ささくれだった筆者の心を少しずつではあったが確実に癒してくれた。
人と接する楽しさを存分に味わったことにより、筆者は再び立ち上がる力を得て、今はライターとして活動し、生活できるようになった。
オンラインゲームにはまり、人生を台無しにする人間もいるかもしれない。
これを否定することは難しいが、筆者のように立ち直りのきっかけにした人間がいることも確かだ。
ゲームとは善ではなく、悪でもない。
ただ、人生に楽しみをプラスするためのツールでしかなく、人を救うこともあれば、堕落させることもある。
――今は一方的にゲームを悪として給弾する声も多いが、こういった考えを持つ人間がいることも知ってほしいと思い、今回は思い切って筆を取りました。
ゲームが持つ、人の再生の可能性を少しでも知ってもらうことが出来れば、これに勝る喜びはありません。
〔2019年6/5(水) J-CASTニュース〕

周辺ニュース

ページ名川崎殺傷・自殺事件、神奈川県川崎市 (8050問題、事件事故)
川崎殺傷事件と元官僚の父親の、ひきこもりに関するふたつの事件
「引きこもり」の子が関わる事件で、親の責任はどこまで問えるか
引きこもりの子が関わる事件の多くは、「8050問題」がベースにある。
親の責任はどこまで問えるのだろうか(写真はイメージです) Photo:PIXTA
●2つの「引きこもり」関連事件 当事者である息子たちの声は
5月28日、神奈川県川崎市で51歳の男が私立小学校に通学中の小学生らを包丁で死傷し、自らも首を刺して死んだ。
男は、高齢のおじ・おばと同居していた。
4日後の6月1日、東京都練馬区で、76歳の父親が44歳の息子を刺殺した。
2つの事件の共通項は、「高齢の両親(または血縁者)と、引きこもり状態の息子」という組み合わせと、息子たちの「良好」とは言えそうにもない精神状態だ。
川崎市の事件では、容疑者の男に対する「死ぬなら1人で死ね」という非難が、ネット空間に沸き上がった。
4日後の練馬区の事件は、暴力を伴う引きこもり状態にあった息子が同様の事件を起こす可能性を懸念した、父親によるものだった。
ネット空間には、父親に対する同情論と共感が沸き上がった。
2つの事件の背景に、引きこもりの「8050問題」があることは、確かではないかと思われる。
引きこもったまま中年期に達した子と、高齢化する親の関係の中で、こじれや煮詰まりが年々積み重なっていくことは、大いに考えられる。
親が高齢期を迎えれば、介護も必要になる。
そして親亡き後、親の年金や資産を前提に成り立っていた子の生活は、基盤を失うことになる。
しかしながら、報道や「ネット世論」を見ていて私が気になるのは、引きこもり当事者の声が聞こえてこないことと、親に対する責任論の2点だ。
2つの事件の息子たちと同年代の引きこもり中年は、少なくとも数万人以上、日本社会のどこかで生きている。
引きこもりが原因なのか結果なのかはともかく、「良好」とは言えない精神状態にあることも多いだろう。
しかし、ほとんど全員は事件の加害者とならずに毎日を送り、少しずつ老いている。
危険な衝動や願望を抱く瞬間があっても、現実化しない成り行きを繰り返す“秘訣”は、当事者でないと語れないはずだ。
そこで私は、引きこもり経験を持つライターで格闘家の遠藤一さん(39歳)に尋ねてみた。
すると開口一番、意外な回答が返ってきた。
「もう『引きこもり』ってのは、過去の言葉なんですよ。当事者は使っていません」
●「引きこもり」は過去の言葉 当事者が求めている自認とは
1979年生まれの遠藤さんは、いわゆるエリート会社員の父と専業主婦の母のもとで育ち、首都圏で進学校として知られる高校に進学した。
高校には強い違和感を覚えていたが、不登校にはならず「単位ギリギリで卒業」したという。
大学には進学しなかった。
高校卒業後の遠藤さんは、平日の日中は引きこもり、土曜日と日曜日はカメラマンのアルバイトをしていたという。
しかし、遠藤さんが閉塞感からリストカットなどの自傷を繰り返していると、「家の中の雰囲気が悪くなってきた」(遠藤さん)。
そこで実家を出て1人暮らしを始めた遠藤さんは、アパートでも引きこもった。
1人暮らしを始めるにあたっては、自活するつもりだったが、両親は生活費の仕送りをしてくれたという。
もっとも、遠藤さんが高校を卒業してから1人暮らしを始めた1998年から2000年ごろの時期、「引きこもり」という用語は社会でほとんど認知されていなかった。
遠藤さんの記憶では、2001年以後、精神科医の斎藤環氏らによる一般市民向けの著述活動から、認知が爆発的に進行したようだ。
「日中は外に出ず、夜になると何か食べるために外に出てイベントに参加したりしていたわけですけど、そういう自分の状態を言い表す『引きこもり』という言葉は、まだ出現していませんでした」(遠藤さん)
遠藤さんの生活を変えたものの1つは、一般社会からハミ出してしまう人々をテーマとしたイベントでの出会いだった。
「参加するイベントには、自分と何らかの共通項のある人が参加しています。
そこで、『親と価値観が違う』『生きづらい』といった共通項を認識していったんです」(遠藤さん)
そして21歳で、フルコンタクト空手を始めた遠藤さんは、心身ともに変わっていった。25歳のときには、自活できるようになっていた。
現在、現役の格闘家でもある遠藤さんは、国内外の数多くの大会で、優勝や入賞などの成果を挙げてきている。
執筆活動と空手だけではなく、いわゆる「引きこもり支援」と呼べなくはない活動も行っている。
「でも、対策や問題解決はできないと思っています。だから、しません」(遠藤さん)
あくまでも、注目するのは「その人」。支援するのではなく、その人をエンパワメントする。
その人が「したい」と思えることをできるようになる歩みに、伴走する。
遠藤さんによれば、当事者たちは2012年頃から、「引きこもり」という用語を使わなくなってきたという。
2015年頃になると、自己認識の用語としてはほぼ使われなくなったそうだ。
では現在、当事者たちはどのような用語で自己認識しているのだろうか。
「自分の症状名の組み合わせです。『広汎性発達障害で、うつ病もあって、HSP(通常より刺激に鋭敏な特性)』というふうに」(遠藤さん)
現在、「引きこもり」という用語を用いているのは、当事者家族や当事者の周辺の支援者たち。
小規模ながら歴史を積み重ねてきた専門メディアにも、媒体名に「引きこもり」「ヒキ」といった用語が残っている。
しかし、当事者にとっては「過去の言葉」(遠藤さん)ということだ。
●引きこもりという用語は 多くの人にとって「安心」となった
そう言われて、私は2003年頃の出来事を思い出す。
引きこもり状態の息子について「近隣や親類から白眼視されている」と悩んでいた母親に対して、私の目の前で、ある著名精神科医が「子どもは引きこもってます」と開示するようにアドバイスした。
そして、「今は『引きこもり』という言葉があるから、それで『ああ、引きこもりね』とわかってもらえる」と続けたのだった。
「引きこもり」という用語が、ざっくりとした理解のシンボルとして、安心のレッテルとして、数多くの人々を救ってきたことは認めてよいだろう。
しかし、自分の人生を生きる当事者たちは、簡単な理解や安心にとどまっていられない。
●「親には何の責任もない」 改めて確認したい民法の原則
それでは次に、引きこもりの子を持つ親に対する責任がクローズアップされていることについて眺め直してみよう。
そもそも、成人した子に関して、親の責任はあるのか。
長年にわたって関西の生活保護の現場で働いてきた元自治体職員・Iさんは、私の問いに対して、まず、親の責任に関する民法の規定を整理した。
子の行為によって親が責任を問われるのは、子が「責任無能力者」である場合だ(民法712条および713条)。
具体的には、子が未成年の場合と「精神上の障害により自己の行為の責任を弁識する能力を欠く状態にあった場合」である。
責任無能力者が第三者に損害を与えた場合には、法で定められた監督者が賠償する原則となっている(同714条)。
「つまり、子が責任無能力者である場合にのみ親は損害賠償義務を負うわけですが、『引きこもり』であるだけなら、責任無能力者とは言えませんね」(Iさん)
この規定は、「精神障害者は閉じ込めておかなくては」という考え方の源の1つでもあり、全面肯定はしにくいのだが、ともあれ引きこもりの子を持つ親に責任はない。
そもそも、成人年齢をはるかに超えた子どもを、親が扶養する必要はあるのだろうか。 「成人した子と親の関係は、生活扶助義務関係です。『自身の社会的地位にふさわしい生活をした上で余裕があれば援助』という軽い義務です」(Iさん)
未成熟の子に対する重い義務とは異なる。
引きこもりの子と別居することは、親子関係の困難をこじらせないために有効な手段の1つだ。
しかし、別居している子に仕送りを続けることは、老いていく親にとっては困難、あるいは不可能かもしれない。
生活保護は利用できるのだろうか。
「別居している親が扶養(仕送り)は困難、または少額しかできないという意思表示をすれば、生活保護の利用は難しくありません。
別居なら、扶養義務が保護利用の問題となることはありません。扶養は保護の要件とはされていません」(Iさん)
●生活保護で別居して幸せに 最強の処方箋を現実にできるか
課題は、子の1人暮らしが実現できるかどうかにある。
「最大の壁は、引きこもりの本人を説得する仕組みが不十分なことです。
親子関係は良好でない場合が多いので、親が説得することは困難です。
行政やNPOなどの専門職が、引きこもりの本人と粘り強く関係をつくり、親世帯から脱出する支援をしていく必要があります。
この点の取り組みが弱いため、親から引きこもりの相談があっても、アドバイスでとどまっていることが多いのではないかと思います。
引きこもりの子の本人の尊厳を尊重しつつ、もっと積極的に介入していく仕組みが必要なのだと思います」(Iさん)
しかし「積極的な介入」は、どの地域でも、資金難と人手不足から困難であることが多い。
児童虐待では、悲劇が繰り返された後、児童相談所のスタッフが増員されることとなった。
しかし、単純にスタッフを増員すれば済む問題だろうか。
本人たちの望まない支援が強力に押し付けられ、逆効果になる可能性はないだろうか。
介入や支援において、何をすべきであり、何をすべきではないのかを最も知っているのは、当事者だ。
とはいえ、何を語っても聞き手の聞きたいようにしか聞かれないのであれば、必死で口を開いた当事者は消耗し、二度と語らなくなるだけだろう。
当事者が安心して語るためには、「うっかり聞き手が困惑することを語ったり、感情を正直に表現したりしたら、精神疾患の可能性を疑われて入院させられるかも」といった恐れのない状況が必要だ。そういう状況は、日本にはほぼ存在しない。
それでも、誰かを殺したり殺されたりする前に語れれば、悲劇的な結末は回避されるかもしれない。
まずは、当事者たちの声に耳を傾ける必要があるのではないだろうか。
〔2019年6/7(金)(フリーランス・ライター みわよしこ) ダイヤモンド・オンライン〕

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ページ名川崎殺傷・自殺事件、神奈川県川崎市 (8050問題、事件事故)
53%が40代以上 島根県に“中高年ひきこもり”が多い理由は
縁起の良い県だが…(出雲大社)/(C)共同通信社
元農水省事務次官の熊沢英昭容疑者(76・写真)が無職の長男(44)を殺害した。
川崎市でひきこもり中年男による無差別殺人事件があったばかりで、思い余った末の犯行であると供述している。
ひきこもり者への偏見は決してあってはならないが、「中高年ひきこもり」は注目キーワードになっている。
中でも中高年ひきこもりが多いのが島根県だ。
「ひきこもり等に関する実態調査」(2014年)を行ったところ、おおむね6カ月以上、学校や仕事に行けずにいる状態の県内のひきこもり該当者は1040人。
うち40歳以上が53%と半数を超えている。
全国平均が29%台だから島根県は異常に突出している。
特に40代と50代のひきこもりの8割が男性だ。
なぜ島根県は中高年ひきこもりが多いのか?
「なぜ40代以上に多いのか、その理由までは分かりません」(島根県障がい福祉課・自立支援医療グループ担当者)
同県ではひきこもり支援センターや各市に相談窓口を設けているが、さほど効果は上がっていない。
ひきこもりというと、不登校の10代少年をイメージするものだが、島根県の異質ぶりにはどんな土壌があるのか。
ひきこもり年数が「10年以上」にわたるひきこもりは半分以下で、「1~10年未満」がそれよりも多い。
つまり、学生の頃からひきこもりがちだったのではなく、社会人になってあるきっかけから、突如自宅にひきこもってしまった人が多いということだ。
40代では、67人が「失業」を契機にひきこもっているが、同県では10年ほど前から自動車部品や電気器具製造の工場の撤退や縮小が相次いだ。
また中国電力の島根原発1号機の廃炉が決まり、2号機、3号機の再稼働も遅れたままだ。
さらに、生涯未婚率の男女間格差が激しい。
男性の未婚率は23%。
女性の未婚率が11%と全国平均を下回っているため、男性の方があぶれてしまっている可能性は高い。
それでいて勤労世帯の平均貯蓄率は全国5位。悪い意味で、同居の親の貯蓄で生活が成り立ってしまうのだ。
加えて、保守的な県民気質も背景にあるのかもしれない。
いずれにせよ、ひきこもり者を抱える親の苦悩は察して余りある。
〔2019年6/7(金) 日刊ゲンダイDIGITAL〕

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ページ名川崎殺傷・自殺事件、神奈川県川崎市 (8050問題、事件事故)
引きこもり家族「不安ある」元次官の長男刺殺や川崎殺傷受け心情吐露
長男を刺殺したとして逮捕された元農林水産事務次官の熊沢英昭容疑者=6月3日、都内
元農林水産事務次官が引きこもりとみられる長男を刺殺したとして逮捕された事件や、引きこもりがちだった男による川崎市の20人殺傷事件は、福井県内の関係者にも大きな衝撃を与えている。
引きこもりの家族を持つ80代男性は「事件が連鎖し自宅でも起きるのではないかと、毎日ビクビクしている」と吐露。
引きこもりの経験者は「家族は本人の心の安定を最優先してほしい。味方であり続けてほしい」と訴えた。
■家族の思い■
元事務次官の熊沢英昭容疑者(76)は長男について「引きこもりがちで家庭内暴力もあった」と供述している。
引きこもりの家族を持つ県内の80代男性は「(引きこもりの)本人が扉を思い切り閉めたりすると怖くなる。
自分たちも殺されるのではないかという不安がある。本人も同じ思いだろう。一般の人には想像できない世界」と話す。
引きこもりの息子を持つ60代女性は「(元事務次官がやったことは)許されないが、理解できる」と涙ぐんだ。
事件後、ある子ども食堂には「そこに行けば不登校が治ると聞いたんですが…」といった家族からの電話がかかってきた。
食堂運営者は「ご家族はわらをもつかむ思い。社会の支援体制は十分だろうか」と疑問を投げかけた。
■根深い問題■
「引きこもりは感受性が豊かな人が多い。
『甘えや怠け者』とは違う」と指摘するのは不登校の子を持つ親の会「やよい会」の代表世話人、中嶋良三さん(79)=福井市。
「本人や家族は、社会全体のプレッシャーによって追い込まれている。
ただそのプレッシャーの正体を明確にする思想は、まだ生まれていない。本人や家族は毎日を命懸けで生きている」と問題の根深さを語った。
複数の子どもが不登校だった経験を持つ同市の40代女性は「引きこもっているときは、エネルギーをためている時期だと理解してくれる社会であってほしい。
『生きているだけで百点』という気持ちがみんなにあれば、悲惨な事件は防げたかもしれない」。
引きこもりという言葉が、犯罪と結びついて広がることを危ぐする。
■心の安定を■
不登校を含め、10年以上引きこもり、現在は福祉施設で働いている同市の男性(42)は「自分が引きこもっていた時期にも、いろいろな事件をニュースで見ていた。
近所の人に『やばい人』と思われることを恐れていた」。
そう思われたくないから、町内の社会奉仕は出るようにしていた。
家族の接し方について「本人の心の安定を最優先してほしい。
例えばゲームばかりやっていても、取り上げたりせず、好きなことをさせてあげてほしい。
心が安定すれば罪は犯さないし、その先に進めるかもしれないから」と訴える。
引きこもっていると、家族と話が合わず、「早く仕事をしろ」といった説教をされ、さらに孤独に陥る悪循環になる。
「それでも家族は、最後まで味方であり続けてほしい」。
引きこもりのとき習慣になっていた夜の散歩に、仕事で疲れて帰ってきても付き合ってくれた母には「本当にありがたかった」と感謝している。
〔2019年6/7(金) 福井新聞ONLINE〕

周辺ニュース

ページ名川崎殺傷・自殺事件、神奈川県川崎市 (8050問題、事件事故)
川崎殺傷事件と元官僚の父親の、ひきこもりに関するふたつの事件
「子どもがひきこもったら怖い」親や周囲がひきこもる人に打てる3つの手立て
ひきこもり当事者によるメディア『ひきポス』編集長の石崎森人さん
ふたつの事件によって「ひきこもり」が再注目されています。
ひとつは児童を含む17人を殺傷した川崎殺傷事件。事件翌日の5月29日、川崎市が容疑者(51歳)は「長期間のひきこもり傾向にあった」と発表。
その数日後、6月1日に元官僚の父親(76歳)がひきこもる長男(44歳)を殺害する事件が起きました(以下、練馬事件)。
ふたつの事件は「ひきこもり」というワードが共通しており、ひきこもりに関する報道が、連日されています。
そうした影響も受け、ひきこもりの当事者や親には波紋が広がっています。
「うちの子は中学生だが、学校へ行かずひきこもっているのは正直、怖い」(40代・主婦)
「やっぱり自分も最後は親に殺されるのではないかと思った」(20代・ひきこもり男性)
そんな声も聞かれました。
川崎殺傷事件と練馬事件が「ひきこもりだから起きた」という短絡的な見方には疑問がありますが、今日は、ひきこもりの人に周囲はどんな手が打てるのかを書きたいと思います。
以下は、私がひきこもりや不登校の当事者、親、支援者を取材するなかで見えてきたことです。
ひきこもるメカニズム
「どんな手が打てるのか」の前に、そもそも「なぜひきこもるのか」を知ってもらわなければ、いかなる対応も空回りに終わってしまいます。
「ひきこもるメカニズム」を最初に書きます。
ひきこもりは、体が緊急停止した状態だと言われています。
多くの場合、ひきこもる要因は、ひとつではありません。
いじめ、パワハラ、就職活動や受験の失敗、親からの期待が重圧に感じていたなどの理由が相まって、心にストレスが溜まり、限界を超えたときに体が緊急停止します。
緊急停止と言っても指や目が動かすなどの単純な行動ができないわけではありません。
学校へ行こうと思っても頭痛や腹痛が起きる。朝起きようと思っても起きあがれない。
働こうと思っても強烈な不安感などに襲われるなど、いままでと同じ生活ができなくなる、という状況が「緊急停止」の状況です。
つまり、心に負担をかけすぎて体が「もうムリはできない」とストップをかける。
それが「ひきこもるメカニズム」なのです。
ひきこもりはなぜ長期化するのか
ひきこもりが長期化するのは、緊急停止の状態が解除されないことが多いからです。
ひきこもった後でも心の傷が深まるのが、その要因です。
ひきこもった後、本人は「働けない自分はおかしい」「学校へ行けない自分は怠けている」「こんなの甘えだ」と罪悪感や自責の念、そして早くなんと解決しなければという焦燥感を感じ、自分を否定します。
この際には、周囲による「がんばろう」という励ましの言葉も、本人からすれば責められたような気持になってしまいます。
このように、ひきこもったあとでも自責の念が絶えず、心の傷が深まるのが長期化の要因の一つになっています。
たとえば練馬事件で殺害された英一郎さんは、ツイッターなどで攻撃的なツイッターもされていました。
ネットのなかでは、よく見られる書き込みとも言えますが、ひきこもりに理解の深い人であれば、自責の念が強いあまりに他者に対して攻撃的な言葉を吐いて自分を落ち着かせている、と考えるのが自然です。
病気として噴出するケースも
また、傷が深まっていくとその苦しさは「病気」として噴出することもあります。
躁うつ病、強迫神経症、摂食障害、パニック発作など。なかには自傷行為や家庭内暴力が出ることもあります。
すべて心のSOSだと言っていいでしょう。
家庭内暴力は、家族からも孤立感を感じ、自己否定感が高い状態が長く続くときに起きるものです。
自己否定の末に、まずは「物」に当たる期間が長く続き、それでも改善されない場合は人に当たります。
報道によれば、練馬事件の英一郎さんも中学生のころから母親への家庭内暴力が出ていたそうです。
の場合は、中学生になる以前から苦しい思いを抱えていたと考えざるを得ません。
本来なら「人」に当たる前の期間は長いはずですから、その期間に本人が苦しんでいる背景を掴む必要がありました。
周囲にできること1「相談」
ここから先はひきこもりの当事者らに聞いた「必要だと感じたサポート」について書いていきます。
まず周囲からの適切なサポートは、ひきこもり当事者にとって大きな力になります。
本人は「どうにかしたい」と思っていても、うまく体が動かなかったりするからです。
周囲は、まず緊急性の高いものから手を打ってください。
つまり自分と他人の健康を害する症状(状況)の場合は、早めに精神科医やメンタルクリニックなどにご相談ください。
この際、本人が病院へは行かず、親や祖父母だけが相談に行っても大丈夫です。
医師も千差万別です。
たくさんの病院を転々とするのは、お勧めできませんが、相性の悪い医師にかかっているのもよくありません。
当事者たちからの経験則をもとにすると「よい医師」は、決まって当事者の苦しさに共感できる人でした。
世間体や常識よりも当事者の立場に立って物を言える人、こういう人に相談を続けられるのがよいかと思います。
相談がうまくいないのは
しかし、相談してもうまくいかないケースもあります。
練馬事件などでも「相談してもうまくいかなかった」と報じられています。
一般論として相談してもうまくいかないケースは、ふたつに大別されます。
ひとつは相談先に専門的な知識がなかった場合。
もうひとつは「周囲が解決策を決めつけている」場合です。
いじめによって不登校になった子の親から一番多い相談が「なんとか学校へ行けるようにしたい」です。
学校へ行くことのみを解決策として決めつけられても、子ども本人は、すぐに登校できる状態にないことがあります。
相談者の親や先生がゴールを決めつけていると、相談機関としては打つ手がありません。
ふつうの相談機関ならば、子どもの困りごとを掘り出し、本人が安心できる環境を整備し、その先に子どもが求めているゴールを探る、という手はずをとります。
ゴールのなかには学校復帰もありますし、家で学ぶこともあります。
状況次第でゴールは揺れ動きます。
誤解が多い言い方ですが、親や先生の「思い通りの結果」を求めて相談されてもうまくいかないケースが多いです。
周囲にできること2「安全基地」
本人にとっての安全基地をつくることは有効な支援です。
安全基地とは、衣食住が保障されていこと。親や周囲が干渉されすぎないこと。
そして本人を快く受け入れられている場のことです。
そんな安全基地があると「ますます外に出られなくなる」「一生ひきこもる」と不安に思われる方がいます。
それは誤解です。「ダメになったら戻れる場所がある」と思えることが、チャレンジを支えます。
登山といっしょでベースキャンプ(基地)がなければ、トライできません。
自然と自暴自棄な選択肢が生まれてしまいます。
私が取材した当事者も、みなさん安全基地(家)と外の世界(会社や学校)を行ったり来たりしながら、社会との距離の取り方を学んでいました。
周囲にできること3「話し相手」
自分の気持ちを整理するためには話し相手が必要です。
ひきこもりの人も、病院の先生、カウンセラー、当事者グループの集まり、親などに「気持ちを聞いてほしい」という場合があります。
話し相手になった方は、本人の気持ちを否定せずにじっくり話しをきいてほしいと思います。
ということで周囲が打てる対応は3つです。
•自分と他人の健康を害する場合は医師に相談
•本人の安心基地をつくる
•本人から選ばれたら話し相手になること
サポートをする際は、自分のサポートやケアを忘れないでいただけたらと思います。
サポートをする人もしんどいのは事実です。
ひきこもれたから生きられた
最後になりましたが「ひきこもることでやっと自分らしく生きられた」、「本当の自分になれた」という人もいます。
なので「ひきこもり=悪」だと決めつけないでもらいたいとは思っています。
ひきこもり経験者の石崎森人さんがその例です。
石崎さんは就職活動と就労に疲れ果て、自殺未遂を経てひきこもり始めました。
ひきこもった直後から「この状況から抜け出したい」とアルバイトを始めるも吐いてしまうなどまともに働けませんでした。
石崎さんは、ひきこもりながら自分と向き合い、将来のプランニングを始めました。
その後、石崎さんは、ひきこもり当事者から担がれるようなかたちで「ひきポス」というひきこもり専門メディアの編集長をしています。
石崎さんは、ひきこもりを経て「以前の僕よりはるかに真剣に生きている気がする」と感じたそうです。
ひきこもりには、自分と向き合う作用もあります。
また、もし親や周囲の方が、ひきこもりについて心配になったら、本人に直接アプローチをする前に当事者や親の経験談を聞いたり、ネットで読んだりしてください。
体験談などは『ひきポス』や『不登校新聞』にはもちろん、たくさんネットで読めます。
できれば「浴びる」ように読んでもらえると、本人の気持ちが少しずつ見えてきます。
気持ちが見えてくること、それが最初の手掛かりになるはずです。
石井志昂 『不登校新聞』編集長、不登校経験者
〔2019年6/7(金) 石井志昂 『不登校新聞』編集長、不登校経験者〕

周辺ニュース

ページ名川崎殺傷・自殺事件、神奈川県川崎市 (8050問題、事件事故)
テレビが報じない「中高年のひきこもり」57歳男性が明かすリアルな日常と心を開いた言葉〈dot.〉
杉本賢治さん(本人提供)
連日、「中高年のひきこもり」が話題になっています。きっかけは川崎殺傷事件の岩崎隆一容疑者(51歳)が「ひきこもり傾向」だと報じられたこと(5月29日)。
そして6月1日に、元官僚の熊澤英昭容疑者(76歳)が、ひきこもりの息子・熊澤英一郎さん(44歳)を殺害したことです(以下、練馬事件)。
川崎殺傷事件をひきこもりと短絡的に結び付けるのには疑問も残りますが、かつてこれほどまでに「中高年のひきこもり」に注目が集まったことはありません。
ひきこもりは「若者の問題」だと言われてきたからです。今回の事件は、ひきこもりの若者やその家族にも波紋が広がっています。
「いずれは自分も親に殺されるのかもしれないと思った」(20代・ひきこもり男性)
「不登校の娘と心中しようと思ったことは一度や二度じゃない。息子を刺した父親のことは他人ごとに思えない」(50代・ひきこもりの子を持つ親)
そんな声が聞こえてきます。
そこで事件を追うだけでは見えてこない「ひきこもりの日常」を知るべく、ひきこもり経験者で現在も「半分ひきこもりの生活」を続けているという杉本賢治さん(57歳)に話を聞きました。
*  *  *
――ご自身のひきこもり経験と現在の生活のようすを教えてください。
私がひきこもったのは高校中退後の10代後半と、その後、大学卒業後からの20代後半です。
ひきこもりの期間は累計で9年ほどですが、今も正社員としては働いていません。
おもに清掃のバイトをしています。
バイトの報酬は自分の社会保険料や通信費、取材費などに充て、母と二人暮らしの生活費は父の遺族年金などで賄っています。
現在の生活は「半ごもり状態」というところでしょうか。
完全なひきこもりではなく、半分ぐらいひきこもっている。
その理由は、バイト以外に個人的なインタビュー活動をしていて、自分の働き方のために時間を割かれるからです。
2年前から母が認知症になり要介護状態になりました。
兄弟は離れて暮らしていますので、私が母の世話をしています。家事はある程度、母と分担しながらやっています。
そういう意味では8050問題(介護問題など高齢化するひきこもり親子の問題)のど真ん中でしょうが、介護問題はひきこもりに限った話ではなく、誰にでも起きる話であって、ぼくはむしろ独身者問題だと捉えています。
8050問題はいずれ社会の問題となる。
いまの8050問題の取り上げ方は社会問題ではなく、社会の病理という捉えかたでしょう。
それはあまり生産的な議論ではありません。
――川崎殺傷事件や練馬事件の報道を見て、どう思われたでしょうか。
一連の事件によって、ひきこもりは「犯罪予備軍だ」という印象が強くなったのは間違いありません。
ただ、それはごく一部の人のことであり、当然ながらひきこもり全体のイメージとして語るのは間違っていると思わざるを得ません。
――いまの社会状況では「中高年のひきこもり経験者」である杉本さんも、日ごろからナイフを待って街中をうろついているという偏見を持たれそうですけれども?
そんなこと想像もつかなかったなぁ(笑)。
私も若い時そうでしたが、そもそも家の外に出るのが怖かったり、疲れやすかったりするのがひきこもりではないでしょうか。
――「みんなを道ずれに死にたい」という衝動に駆られたことは? むしろ私は死ぬのが怖い人間なんですよ。死ぬくらいならとことん逃げます。
確かに10代のころはパンクロックが好きでしたし、その気持ちもわからないくもないですが、いまそんな衝動はないし、自分自身では想像もつかない。
逆に若い世代の夫婦と小さな子が公園で遊んでいると「これぞあるべき平和だな」と思います。
今でも戦争やテロがある中で。ですから基本的に平和主義者です。
しかし、孤立感や絶望感が深く、理不尽な目にあった人は暴発することもあるでしょう。
それはひきこもりだからというより、人の中にあるさまざまな感情の混乱だと思います。
――犯行に及ぶまで気持ちが暴発してしまう人と、杉本さんのように公園で親子を見て目を細める人、その差はどこにあると思いますか?
私がひきこもったきっかけは、そもそも兄と父の関係が悪く、その反動で兄から私は「お前は軟弱者だ」などとよく言われました。
いまから考えればたいしたことがない話ですが、長く続く威圧的な言動によって「家に居場所がない」と感じるようになりました。
そんななか中学時代、私はテストでのカンニングを見咎められ、それを機会にクラスの人たちが自分をさげずんでいるのでは?と邪推したのが対人恐怖のきっかけなんです。
学校と家に居場所がない。そのストレスによって、自分が醜いという強い妄想(醜形恐怖)に捉われ始めます。
当然、対人恐怖もありましたし、当時の私は病的でした。
「オレを見たらみんな逃げるんだ」と私が言うと、両親は「そんなことはないよ」と言ってくれるのですが、妄想が否定されるほどに自分の醜形に確信を深めていきました。
そんなときに救われたのがセラピストとの出会いです。
その先生は、私の話をさえぎらず、否定せずに聞き、最後に「つらいでしょうね」と言ってくれたんです。
最初、私はその先生も信じてなかったんです。どうせオレを説得する気だろう、と。
でも、説得はせず「つらさを軽減できる方法を探りましょうか」と言ってくれました。
そこからですね、徐々に変わったのは。世の中いろいろな人がいるなぁと。
もちろん、すぐに対人恐怖は抜けませんでしたが、頭のどこかで「わかってくれる人がいる」と思えたんです。
いま現在、さまざまな研究者の人などにインタビューする活動をしていますが「人と出会うことでワクワクする」という経験を積み重ねています。
苦しくても「この世に生まれた自分を殺したい」とまで思わなかったのは、苦しさに共感してくれた人と出会えたからだと思うんです。
――なるほど。ちなみに、ひきこもりのきっかけとなったお兄さんとの関係は今ではどうでしょうか?
それはもう大人の付き合いですよ。おたがいに会っても「どうも」「どうも」と礼儀正しく、サラリーマンどうしみたいな深入りをしない関係です(笑)。
――ありがとうございました。(聞き手/全国不登校新聞編集長・石井志昂)
*  *  *
一口に「中高年のひきこもり」と言っても、そのかたちは実に多様です。そして、杉本さんの話のポイントは「共感」だったと私は思います。
子どもが「オレの顔を見たらみんな逃げ出す」と言っていたら、私だって杉本さんの親と同じように「そんなことないよ」と言ってしまいます。
でも、その一言は本人からすれば「私の苦しさが否定された」と思うのです。
逆に否定も肯定もせずに「つらかったよね」と共感することで、本人は「苦しい自分が受け入れられた」と思い、心を開いて快方へと向かう。
それが杉本さんの例でしたが、これは理想論ではなく、数々のひきこもり経験談で語られてきた実践的な手法です。
こうした手法が広がっていくことは、川崎事件や練馬事件のように許されざる犯行を防ぐ手立てのひとつになるのかもしれない。
私はそういうふうにも思っています。
■プロフィール
すぎもと・けんじ/1961年、札幌市生まれ。高校で不登校中退。中退後と20代後半に長期間、ひきこもった。
現在はフリーターのかたわら、『ひきこもる心のケア』(世界思想社)を出版。
WEBサイト「インタビューサイト・ユーフォニアム」運営。
〔2019年6/6(木) AERA dot.〕

周辺ニュース

ページ名川崎殺傷・自殺事件、神奈川県川崎市 (8050問題、事件事故)
川崎殺傷事件と元官僚の父親の、ひきこもりに関するふたつの事件 川崎20人殺傷、元農水事務次官事件で浮かび上がる中高年引きこもりの深刻度〈週刊朝日〉
警視庁に逮捕された元農林水産事務次官の熊沢英昭容疑者(c)朝日新聞社
引きこもりだった51歳の男が神奈川県川崎市で20人を殺傷した事件に連鎖するように、元農林水産事務次官の熊沢英昭容疑者(76)が6月1日、引きこもりだった長男(44)を自宅で殺害するというショッキングな事件が起こった。
熊沢容疑者は警視庁の調べに対し、川崎事件に触れ、「長男が子どもたちに危害を加えてはいけないと思った」と供述しているという。
「事件当日、長男が『小学校の運動会がうるさい』と言い出し、熊沢容疑者がたしなめようとしたら、『ぶっ殺すぞ』と反発。小学校に乗り込むという言動があり、思い詰めて犯行に及んだようだ。長男はずっと引きこもり、暴れるなど家庭内暴力が続いていた。熊沢容疑者は自分や妻の身の危険も感じていたと話している。長男への刺し傷は10か所以上で、腹や胸に集中していることから、かなりの覚悟を持っての犯行のようだ」(捜査関係者)
熊沢容疑者のように、引きこもりの当事者が家族に暴力を振るうため、家族が危機感を抱き、殺してしまったりする事件はこれまでもあった。 逆に当事者が家族の言葉に逆上して、殺してしまったケースもあるという。
20年間引きこもっていた経験があるという一般社団法人「ひきこもりUX会議」代表理事の林恭子さんは、「引きこもりは、ひとごとではない。仕事や家庭でつらいことが二つ、三つ重なって心身にダメージがあれば、人に会いたくない、自宅にこもっていたいとなると思う。これは一つの防衛反応」と話す。
KHJ全国ひきこもり家族会連合会事務局の森下徹さん(51)は、これまでに二度引きこもった経験がある。
幼稚園の頃から友達とはうまくいかず、高校の時も色々なことが重なり不登校に。卒業して大学に進んだが、また不登校になり、20歳までの2年間引きこもった。その後、いったん回復するが、20代の途中から12年間引きこもった。
「アルバイトとか就職とかは自信がなくて。対人恐怖症的なところがあった。今もそう。人が怖い。人の目を見て話すのが怖い。引きこもっている間は『このままではよくない』と『諦め』の間で揺れていた。最後の方は諦めていたぐらい。家族とうまくいかなかった時とかは、死んでもいいな、と思うことはあった」
現在は当時よりは良くなっているが、85歳の父親とはあまりうまくいっていないという。
内閣府が昨年初めて実施した前出の40~64歳対象の調査では、引きこもりは男性のほうが多く、その割合は7割を超える。一度引きこもると社会復帰は難しく、長期化する傾向がある。約5割の人が7年以上引きこもっており、20年以上にわたる人も2割弱いた。引きこもった理由はさまざまだが、「就職活動の失敗」や「退職」など仕事にかかわるものが多い。
これまで引きこもりは若者の問題として捉えられてきたが、引きこもり本人、家族ともに高齢化が進んでいる実態がある。KHJの調査によると、引きこもり本人の平均年齢は2002年に26・6歳だったのが、18年には35・2歳に上昇。3割で本人の年齢が40歳以上。親の年齢も高齢化しており、18年は65・9歳だった。
03年に厚生労働省から公表された引きこもり問題のガイドラインによると、家庭内での問題行動が少なくない。親に対する暴力が17・6%、家族への支配的な言動が15・7%などになっている。また、4%が家族以外の外部に対して問題行動を起こしていた。
国としても大きな課題だ。引きこもりになれば、収入がなく、将来的には低年金や年金がもらえないということも想定される。親の死後、多くの人が生活保護に頼ることも懸念されている。将来的には生活保護費の総額が数十兆円増えるという見立てもある。
この問題で改めて注目を集めているのが「就職氷河期世代」だ。バブルが崩壊し、景気低迷に苦しんでいた1993~04年ごろに大学や高校を卒業し、就職活動に苦しみ、非正規など不安定な職に就いた人たちが多い。
労働力調査によると、氷河期世代にあたる35~44歳の非正規雇用の数は約371万人。25~34歳では264万人で、100万人以上も氷河期世代が多い。就職活動や不安定な雇用でつまずき、引きこもりになった人が多く、それが80代の親と無職の子どもの家族が社会から孤立する「8050問題」につながっているとの指摘もある。
国はこの世代を対象にした抜本的な対策をしなかったのだろうか。
04~06年に内閣府参事官(少子化担当)を務めた増田雅暢さんは、「就職氷河期世代に注目し、就労支援などを進めるように動いた」と話す。しかし、高齢者向けの政策や財政再建などが優先され、就職氷河期世代に対する十分な財源を確保できなかったという。
「年長の政治家に『自己責任』という意識が強く、就職氷河期世代を支援するという動きにはならなかった。これが今の引きこもりや結婚できず子どもも産めないという少子化の問題につながっている」(増田さん)
国が、引きこもりを若者の課題と決めつけていたことも、中高年の引きこもりに対する対応の遅れを招いた。今回、中高年を対象に調査を行った内閣府では、10年と15年にも調査を行っているが、対象は15~39歳だった。「子供・若者育成支援推進大綱」で40歳未満を若者と定義しており、それに従っているという。
自治体でも同様に対策は後手に回った。東京都ではこれまで引きこもり家庭への訪問などは34歳までとしてきた。引きこもりの中高年化に合わせて、今後は年齢制限を撤廃するという。自治体の窓口によっては、40歳程度と制限を持つところが多かった。
今後、有効な手立てが進んだとしても、引きこもりの問題は現代社会が抱える大きな問題だ。小中学校の不登校の数は17年度は14万4千人。少子化で生徒数が減る中で、不登校児童は増えてきている。15年の15~39歳の引きこもり数は推計54・1万人だ。中高年の引きこもりを合わせると、全体の数は100万人以上いるとの指摘もある。 前出の林さんは、引きこもりを対象にした「女子会」を各地で開いている。すると毎回必ず、「駅までは来たけれど、たどり着けない」「建物の前まで来たのに中に入れない」という人がいるという。
「人や電車が怖いから、彼女たちは、電車に乗っては外を歩く練習を重ね、その日に備える。10年ぶりに電車に乗るという人もいる。それだけの思いをして女子会に行こうとするのは、孤立から抜け出したいとの思いがあるから。それだけ彼女たちは居場所がない」
KHJ理事で20年以上、引きこもりを取材してきたジャーナリストの池上正樹さんもこう話す。
「よく聞くのは、『生きていたいと思えるようになりたい』という一言。社会は、それだけ厳しい。社会のレールからひとたび外れるとなかなか元に戻れない」
孤立すると自分を責め、「『自分みたいな人間がこの世に存在しているのが申し訳ない』『たまに外出しても道の真ん中を歩けない』という人もいるのです」(林さん)。
昔のように地域が一緒になって助け合う時代ではなくなり、親は「働けなくなった子どもが恥ずかしい」と周囲から隠そうとする。そしてさらに孤立が深まる悪循環。
親はどうすればいいのか―。 池上さんはこう指摘する。「『働け』はNGワード。親は、仕事をさせたいという思いを切り替える。就労よりもまずは生活や本人の望み、生き方の支援。社会も『孤立するのは自己責任』という考え方では、8050問題はさらに増えていくことになる」
KHJ共同代表の伊藤正俊さんは、「親が全部抱え込むのが問題です。それが何かの間違いで、一家心中や殺したり、殺されたりになってしまう。子どもは子どもの人生があっていい。困ったときは、無理して家庭内で解決しようとせず、さまざまな機関に相談すればいい。場合によっては警察にも」と助言する。
30年以上引きこもりに接し、一般社団法人「OSDよりそいネットワーク」を設立した臨床心理士の池田佳世さんは、こう話す。
「親が動じるからいけない。引きこもっていても、口を利かなくても、生きていればいい、あなたはそのままでいい、と接することが大事。子どもに『親のせいだ』と言われたら、『そうだね』とただ応じ、言い返したり、価値観を押し付けたりせず、何でも聞いて言葉を引き出す。コミュニケーション能力を家庭で高めつつ、安心させることです」
多くの引きこもりと接してきた人たちによると、引きこもりの当事者に「最も怖いことは?」と聞くと、多くが「親の死」と答えるという。自分が生きていけなくなるという不安からだ。 前出の林さんはこう語った。
「8050問題の当事者たちはすごく焦りを感じています。彼らに大事なのは、孤立しないこと。つながりが絶たれると、当事者はたぶん死んでしまうと思います。親が生きているうちに、行政の窓口、保健所の担当者、民生委員、社会福祉協議会、地域包括支援センターなどとつながっておくことです」
【子どもが引きこもった場合、「親」にすすめる五つの行動】
(1) 家族会など、共通の悩みを持つ人々の集まりに行って愚痴や悩みを吐き出そう。
(2) 子どもが生きていてくれることにまず感謝しよう。
(3) 子どもには、魔法の言葉「そうだね」を言おう。
(4) 子どもから責められても言い返さずに応じるのみ。聞くことに徹底して、言葉を引き出そう。
(5) 家庭内で解決しようとせずに、行政の窓口や保健所、民生委員らに相談しよう。
(本誌 大崎百紀、吉崎洋夫、上田耕司/今西憲之)
週刊朝日2019年6月14日号に加筆
〔2019年6/4(火) AERA dot.〕

周辺ニュース

ページ名川崎殺傷・自殺事件、神奈川県川崎市 (8050問題、事件事故)
《川崎殺傷事件》容疑者の孤独な生活と、“地雷”となった伯父夫婦からの手紙
「彼は叫び声を上げるでもなく、怒鳴り散らしているわけでもなく、無言でした。だから子どもたちは気づかなかった。子どもたちは、犯人を背にしスクールバスのバス停を見ているから、後ろから走りながら切りつけてきている犯人が視界に入っていない。“キャー”とか“痛い”と聞こえて、(子どもたちは)それぞれ初めて後ろを振り向いた」
私立カリタス学園の倭文覚教頭は、事件発生時に見た光景をそう振り返る。
首から大量の血を流していた
60代の男性は、直後、「『通り魔だ!』という叫び声を聞きました。見てみると、子どもが数人倒れていました」
事件現場近くに住む70代の男性は、「“ギャー”という聞いたことがない悲鳴が聞こえてきた。路上に子どもたちが倒れていました。時刻は7時45分くらいだったと思います」
5月28日午前7時40分ごろ、川崎市多摩区登戸新町の路上で、スクールバスを待っていた私立カリタス小の児童ら20人が殺傷される事件が起きた。
「小学校1~3年生までは必ずスクールバスで通います」(20代の同校OG)という現場は修羅場と化し、多くの目撃者は、怖がる子どもたちの表情、悲鳴を上げている子、途方に暮れて立ち尽くす大人たち、「お母さん頑張れ」という声、お腹を刺されている女の子、“お母さん”と助けを求める子、担架で運ばれる女の子の手をずっと握っている女の人……をなすすべもなく見ていた。そんな中に、犯行後に自殺した岩崎隆一容疑者(51)の姿も目撃されていた。
「バス停の前で倒れていました。丸刈りの頭で、黒のTシャツを着ていて、両手には何も持っていませんでした。首から大量の血を流していて、時折、頭が動いていました」(前出・70代男性)
岩崎容疑者は事件現場から直線距離で約4キロ、小田急線読売ランド前駅から徒歩で約15分に位置する築約60年の木造住宅に、80代になる伯父夫婦と3人で暮らしていた。
事件の数日前に岩崎容疑者を見かけたという近隣住民は、
「両手に買い物のビニール袋をぶら下げて帰宅するところを見ました。髪は白髪まじりで、長くて耳までありました」
と証言する。
岩崎容疑者と同年代の近隣住民は、「両親が離婚したため、小学校入学前に父親の兄の家に預けられた。伯父夫婦と伯父夫婦の長女(容疑者より4歳ほど年上とみられる)と長男(同じく3歳ほど年上とみられる)と一緒に住んでいました」と家族関係を説明し、
「上級生と走り回ったり、野球をしたりしましたが、体力的についてこられないと、泣きはしなかったけどひとりで家に帰ったり、家の前でポツンと座っていたりしましたね」
と振り返る。親に捨てられ、親戚に預けられた少年は、近くの公立学校に通っていたが、同居するいとこは名門私立カリタス小に通っていた。格差がすでに、岩崎容疑者に巣くっていたのだ。
スイッチとなった言葉
こころぎふ臨床心理センターの長谷川博一センター長は、犯行動機について、
「学校や学校関係者への復讐心が強い。学校があるから家族からこういう扱いを受けて、今でも悶々と苦しんでいるんだ、と。親から見捨てられた容疑者にとって、幸せ=カリタスだったと考えられます。いとこが今幸せに過ごしているのもカリタスだから。そういうふうに視野が狭くなった可能性はあります」
と指摘し、さらに踏み込む。
「昼間は部屋にこもりながら、悶々とそのことばかり考えてしまうという、思考がスパイラルに陥っていた。差別的に傷つけられた自分といとこの違いを生んだのは学校。学校を出るか出ないかによって、こんなに違ってしまったととらえたのではないか」
犯行時、ほかの学校の集団に見向きもしなかった岩崎容疑者は、無差別殺人を企てたのではなく、子どもたちを狙ったのでもなく、カリタスを体現している子どもや保護者を狙った─。その引き金があった、と長谷川センター長は、次のようにみる。
「実行に移る前に、何らかのトリガーがあった。それが(伯父夫婦からの)手紙です。その中にあった『ひきこもり』という言葉がスイッチになっている。育ての親に強い口調で言い返していますから」
容疑者の親族は、面談で8回、電話で6回、都合14回、川崎市に相談していたという。先月29日に記者会見した川崎市は「長期間、就労せずに、ひきこもり傾向にある」「伯父と伯母に介護サービスを受けさせたいが、外部の人が家の中に入ったときの(容疑者の)反応が心配だ」といった相談を受けていたことを明かした。
伯父夫婦は川崎市の提案に従い今年1月、手紙を書き、岩崎容疑者の部屋の前に置いたという。
その反応は「自分のことは自分でやっている。食事や洗濯も自分でやっているのに、ひきこもりとはなんだ」という怒りに満ちた返事だった。
80代の伯父夫婦に51歳の岩崎容疑者。典型的な『8050問題』が内在する家だった。コミュニケーションは限りなく少なく、職にも就かず、伯父夫婦がお小遣いを渡し、伯母が冷蔵庫に作り置いたおかずで、ひとりでご飯を食べる生活……。スマホもパソコンもなく、外部との接触はゼロ……。そこに岩崎容疑者の何かをえぐる手紙。
「引きこもり=危険」ではない 「コミュニケーションがない中で、親から正論を突きつけられると、多くの場合が爆発するしかない」
そう明かすのは、新潟青陵大学大学院の碓井真史教授(犯罪心理学)だ。
「中高生が不登校になると親が心配しますが、中高生には未来がある。それが30、40、50となると、そうはいかなくなる。学校に入り直すことも難しく、正社員での就職も厳しい。そうなると八方ふさがりで、ひきこもりになってしまいがちです。
親も、自宅に中年のひきこもりがいるとは人には言えない。とても恥ずかしい、と地域からも疎遠となり、二重のひきこもり状態になってしまいます。
ひきこもっていると、自分自身に意識が向いて、理想と現実のはざまで苦しみ、自分はダメ、みんな殺して俺も死ぬ、そんな思考が出やすい」
伯父伯母の手紙に、岩崎容疑者は激しく爆発し、
「興奮状態になって犯行計画を考えるようになったのではないでしょうか。今回のことを考えついたのは、この手紙のやりとりをした後と考えられます」(前出・長谷川センター長) 40歳から64歳までのひきこもりの推定人数は約61万人。
前出・碓井教授は、「ひきこもり=危険ではありません。ひきこもりだからやったわけではないと思いますが、ひきこもっていなければ事件は起きなかった」ときっぱり。
そして、「(ひきこもりの当事者と)手を取り合っていく雰囲気づくりに社会が取り組むことが、悲劇を起こさないためにも必要です」
前出・長谷川センター長も、「中高年のひきこもりに対する法整備も必要だと思います」
岩崎容疑者が何を抱え込み、なぜ爆発させたのか。
真相は闇の中だ。
〔2019年6/4(火) 週刊女性PRIME〕
[[Category:|かわさきさっしょう・じさつじけん]]

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