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ひきこもり国語辞典・辞書編あ行

(版間での差分)
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==あ行==
 
==あ行==
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●追加、○合格、×△、■いろいろ(要改善)、Cコラムの候補 ★提案中
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あ行4
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○あい (哀)
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人の感情全体を端的に表現するのが喜怒哀楽。そのなかで私には哀しかありません。嬉しいとか楽しいというのもあったはずですが、記憶の下にかすんで思い出しません。喜・怒・楽は積極的で表出する表現、哀は受身的で水平面から内側に落ち込む感情です。喜楽が少なく、怒りの感情をいつの間にか哀に変換してしまい感情が哀に覆われるのです。
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○あいこんたくと (アイコンタクト)
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目を見て話すのが会話の基本といいますができません。人と向き合って座るのは苦手です。相手の目を見て話すアイコンタクトがとにかく大事という人がいます。けれども、生理的にできない人もいることを理解してほしいものです。人間ほど多様性のある動物はいませんから。
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○あいさつ (挨拶)
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あいさつは大事です。人と会ったらせめてあいさつをしなければ…と思っています。でも本当は心配もあります。あいさつを普通にする人間になったら、社会につながるベルトコンベアに乗るのではないかという不安です。「社会につながらなくてもいいからあいさつだけはしなさい」という人はいません。私もあいさつができるようになりたいです。でも、それは自分が社会につながったとき、最低限の自分を維持する自信ができたときです。そのときは安心してあいさつできると思えます。
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○あうぇいかん (アウェイ感)   挿し絵
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スポーツの試合で、自分のホームグラウンドで試合をするのをホーム、相手側のホームグラウンドで試合をするのをアウェイといいますね。どこかの[[居場所に行ったときの感覚がアウェイ感です。周囲の人も環境も自分に向かってくるような感じがして、どうしても身構えてしまいます。なにか落ち着かない、不安感があるといえば表現が強すぎるので、そういうのをアウェイ感といいたいです。かといって自分にはホームというほどの安定した場所はないので、ほとんど全部の場所がアウェイにしかなりません。
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■上がる (上がる)
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自分が場違いなところにいて、人に見られ、自分を意識するとき気分がそわそわする状態をさします。同年齢の同性(女性らしく化粧している)を目前にすると、気恥ずかしくなり、そわそわと挙動不審になります。自分ではどうすることもできません。こんなときはたいてい上がっています。相手が異性でも同じです。
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■あくどい (悪どい) ⇒ばれる
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普通にしているようで、本人に有利なことがあります。本当は必死で有利にするようにねらっているのにうまく隠しているのです。私がそんなことをしてもなぜかすぐにばれてしまいます。ばれないための工夫をして自分の利益を図る人は悪どいのです。
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〔註〕 本来の語源は「灰汁(あく)くどい」であり、悪どいは誤用らしい。
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○あくむ (悪夢)  4コマ
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悪夢をよく見ます。ほとんどが追いつめられ、焦らされるようなストーリーで目が覚めます。辞書で見ると「えんぎの悪い夢、恐ろしい夢、不吉な夢」とありますが、「追いつめられる夢」が私には実感です。
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■あしもと (足元) ★
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① 私がよく見ている部分です。自分が関わりたいと思える人なのか、支援者にしたい人なのかを判断する基準になります。「足元を見る」は人の弱みにつけこむ意味がありますが、私が見ているのは相手の弱みではありません。本質的な意図を見ようとする気持ちがあるのです。
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② 「足元をそろえる」とこちら側に降りて理解しようとする人もいます。それは必要条件ですが、必要十分条件ではありません。実際の行動や態度もみなくてはなりません。足元をそろえようとする人にさえなかなか会えません。
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○あたりはずれ (当たりはずれ)
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子どもにとって学校での教師との相性は大事です。相性がよければ当たり、そうでなければはずれです。同じく親にも当たりはずれがあります。親は選べないので、はずれの親だったらどう生きるのかが問題です。数十年たちますが未解決です。
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■あてさき (宛先)
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郵便物を出すために宛名を書き終えてみたら、封筒の右上隅に細長く宛先を書いているのに気がつきました。一字一字をみると、それなりにちゃんとしていると思うのですが、バランスが悪いのです。書き直すといっても代わりの封筒がないし「まっいいや!」という感じで出しました。
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○あとぴーのあざ (アトピーの痣)
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顔の表情が人間関係を左右することは多いでしょう。顔にアトピー性の痣のような変色模様ができて人と会えなくなりました。治療でそれは消えましたが、足には残っています。そして顔の痣が消えても人には会えません。後遺症といっていいか、顔に出なくても醜面恐怖、対人恐怖の一種だといいます。ごみ出しと医者に行くだけが外出です。外とのつながりは主にネットです。
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×あまえせいかつ (甘え生活) ★
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結婚は両性の合意による愛情関係で成り立つといいます。主に女性が男性に依存的に傾いてしまう結婚生活が甘え生活です。
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(1) とてもやさしい人です。私のことを理解し受け入れてくれています。それで結婚しました。自分でいうのも恥ずかしいですが甘えちゃってばかりの生活です。ずいぶん負担をかけている気はします。自分なりにがんばるつもりです。
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(2) 年上の彼ができました。彼というよりも親代わりのように甘えました。兄や父から欲しかった気持ちの表れです。それで結婚になりました。
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〔註〕 結婚している数名の女性から聞いたことばが甘え生活です。幼年期に得られなかった愛情を充足する感情生活です。これが唯一の充実結婚とはいえませんが、愛情の充足を得られずに苦心する人もいます。
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○■あまえている (甘えている)
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鬱病の人にがんばれとは言わないように、ひきこもりには甘えていると言わないで欲しい。自立した大人に言われると正論なので返すことばがありません。過剰な依存の表われが甘えでしょう。苦しい渦中に言われることになるので、それだけに傷つきます。
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■あまてらすおおみかみ (天照大神)
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日本神話(古事記)に出てくる女神。天岩戸(あめのいわと)にひきこもった話があり、ひきこもりの元祖と称す人もいます。
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○あるいていけるきょり (歩いて行ける距離)
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一般的には徒歩十五分以内を歩いていける距離といいませんか。だが、交通費を一円でも節約したい私には電車で数駅ぐらいの距離を平気で歩いたりするので、徒歩二時間、三時間でも「歩いていける距離」になってしまいます。みなさん、ひきこもりに道を聞いて「ああ、それなら歩いて行ける距離ですよ!」と言われても、決して鵜呑みにしてはいけません。
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○あるばいと (アルバイト)
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働くのはハードルの高い課題です。居場所に一緒にいた人が「アルバイトを始めた」話をきくと「えっ!」と思います。「なんであいつがアルバイト?」という驚き、うらやましさ。「自分にはできるのか」という焦り、取り残された感があります。一大発奮して急いでアルバイトの面接を申し込みました。けれども面接直前になり、怖くて足が動かず、落ち込みました。気を取り直すのにしばらく時間がかかります。アルバイトを始めた人が辞めたときいてホッとしました。そんな自分がイヤなやつに思えます。
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○あわれ (哀れ)
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日本人の精神文化を表すもので「おかし(をかし)」と対照的に使われるのがあわれです。あわれは悲しい・苦しい心情を表し、おかしは楽しい、愉快な心情を表します。ひきこもりの心情はこの対比のなかでは「あわれ」(哀れ)に属します。
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■あんしんえいじんぐ (安心エイジング)
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ひきこもりは若く見えることが多いです。実年齢よりも顔のつくりを幼くとめておくことで、無意識のうちに「かわいがって」「守って」と訴えているのです。表面にでている年齢が自覚している年齢に近づいています。安心エイジングとよびたいです。
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○あんぜんきち (安全基地)
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カウンセラーに通っています。とても信頼できるカウンセラーで、あるとき「あなたのことは絶対に守るから」と言われました。そのことばで私には安全基地ができたようで安心感が生まれています。
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○あんていていひこう(安定低飛行)
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体調・精神状態はよくないけれども、苦しいとか痛みがあるレベルではありません。静かにし寝ていれば、ゆったりと過ごせる状態です。これが安定低飛行のときです。不安感を少しは遠ざけられたときでしょう。
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△あんらくし (安楽死) ★
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安楽死という選択肢が認められれば、がんばってもダメなら死ねばいいことになります。精神的な保険です。それは能動的になるきっかけにできそうです。スイスなどでは安楽死は合法になっているので、日本でも導入してほしいです。
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〔註〕 積極的な(?)安楽死肯定論でしょう。自殺者が少なからずいる社会を省みる要望とみます。監修者は「自殺と犯罪は容認できない」と考えます。安楽死は自殺の特別な形です。しかし、設定する居場所の利用者に複数の自殺者がでました。その人たちの追い込まれ絶望を察するに安楽死の肯定論が出る背景事情を思わずにはおれません。
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○いえつきほーむれす (家付きホームレス)   挿し絵
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親と一緒に住んでいるので家はあります。けれども気分的にはホームレスです。誰もホームレスとは見てくれません。家があるのに気分はホームレス、これが家付きホームレスです。
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〔類似語〕 家族あり孤児。
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■C いかり (怒り)
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主に親への怒りが抑制的、穏やかに表現される〔参照語〕を紹介します。
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〔参照語〕 哀、当たりはずれ、居間、押し付け、親の許可、親の逃げ出し、親を殺す、飼いならされた象、壁は薄い、空っぽ、鬼門、呪縛、そうだね、父親、知的な親、日常生活、縫いぐるみ、母、払われる、他人事、百点満点、不条理、風呂の蓋、ベットの解体、包丁、暴力、マニックディフェンス、無自覚ハラスメント、虫の気持ち、もう大人なんだから、自棄になる、郵便物、要塞、よけいな一言、立派に育てる、籠城。
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■C いきづらさ (生きづらさ)
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〔註〕 ひきこもりにかぎらず、いろいろなタイプの人が生きづらさを感じています。窮屈なストレスの強い社会になっている証拠でしょう。いじめや虐待を受けた後の心身状況、家庭・家族がばらばら・崩壊、経済的に苦しい貧困、LGBTs(性的少数者)の疎外感、犯罪被害者の違和感、障害者の肩身の狭い思いなどに生きづらさを感じる人がいます。生きづらさを感じる人はひきこもりに似た生活・心理状況になることがあります。この辞典にその人達の生活状況や言動が混じるのは、そのタイプの人たちがひきこもり生活に近づいているからです。
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△いけたらいく (行けたら行く)
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私が誘われたときの答え方です。行くつもりで「行く」と答えたのに行けないことが重なりました。それで「行けたら行く」と答えることが多くなりました。
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〔註〕 遠まわしに「参加できない」意思表示の人から、参加率七〇%まで使い方に個人差があります。直接的なことばで「行きません」と断るのが苦手なタイプ、心身状態に不調が多く「行きます」と答えて行けなくなると申しわけないと思うタイプが混じります。
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○いけるところまでいく (行けるところまで行く)
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生活について「この先どうする?」と聞かれたときに、「行けるところまで行く」と答えるようになりました。同じようなことをいろいろな人、いろいろなときに聞かれたどり着いた答え方です。嘘はありません。「行けなくなったらどうするんだよ」と問い詰められたらその答えもあります。ただ家族はそこからの追及はしてこなくなりました。
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×いけんのちがい (意見の違い)⇒当事者主語に ★
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通所する人の友人が私(監修者)に会いに来るといいます。歓迎しますと待っていたのですが結局は来ませんでした。あとでその通所者から聞いた話です。私がブログに書いている内容を話すために「会いに来る」つもりでした。その時間が近づくと意見が違う(異議申し立てのため)と受け取られるのが怖くて来られなかったと言います。意見が違うのに不安や恐れを感じるのです。
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★ひきこもり相談をしている人が書いているブログを読んでいます。知り合いがその相談者の居場所に通っているので、「一度話してみたい」と伝えておいたところ「歓迎します」とのことです。ブログに書いていることと自分の考えが違うので意見交換するつもりでした。当日になったらそんな批判めいたことを言うために会うのは怖くなりました。約束を破る形ですが、会いに行けませんでした。
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○いしのうえにもろっかげつ (石の上にも六か月)
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石の上にも三年と言います。同じ会社に三年勤める基準は長すぎます。私には六か月お勤めができればがんばったと言えます。人によっては三か月という人もいます。週五日勤務がもともと困難な人もいます。個人差が大きいので週五日勤務を基準にしないでください。
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○いじめこういしょう (いじめ後遺症)
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ひきこもり的な状況になったのは、中学時代にいじめを受けて対人恐怖になったことが原因です。いじめられた経験があるとひきこもりやすくなります。いじめを放っておかれたことでひきこもりになったのです。いじめを見て見ぬふりをしてきた社会に責任にもお鉢が回ってきます。
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○いじめたひと (いじめた人)
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学生時代に自分をいじめた人を忘れていません。ときどき子ども時代のいじめを裁判にかける人が現われてきたので、これからも増えそうな気がします。こういうのに何かを期待する自分がいます。私をいじめた人を一生忘れません。
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●いしょがわり (遺書代わり) ★
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自分の存在証明は遺書代わりの日記です。小遣いに任せて買い集めたCDの多さを自分の存在理由とする人もいます。自分の学歴、知識が豊富さを存在理由の根拠にしたり、親の資産を依拠にする人もいます。それらを聞いたときそれは違うと思いました。でも自分に何があるのか考えると、遺書代わりの日記だけです。これでは存在証明にはならないのでしょうか。
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■いじり
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「いじめ」と似ていますが、暴力的なことは少なくみえます。しかし精神的には残酷な面があります。ことばの責めで試される、からかわれる、自分の力のなさを、やんわりと、ズシンと重く知らされます。力がないのに反発すると、それを周囲にはたのしみな“発表会”の場にされます。いじめよりもいじりの方がつらい意味で「めよりもりがひどい」という本はありませんでしたっけ?
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〔参照語〕 いびり、ハラスメント。
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■ いぞん (依存)
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愛情を渇望する表われの言動と理解します。
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〔参照語〕 甘えている、安心エイジング、おんぶ、承認欲求、ちやほやされたい、つけ上がる、ツンでれ、T字型、乗っ取られ感、のろ電、はしゃぐ。
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○いちにち (一日)
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家にいて特に何をするでもなくすごす一日はなかなか終わりません。でも一年たってみるとあっという間にすぎます。新年を迎えるころや、誕生日が近づくとため息とともに出てくる気分が「一日は長く、一年は早い」です。
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■いっかつ (一喝) ★
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少しは耳の痛いことも言われてもいいと思いました。ひきこもりの自分に対しては腫れ物に触れる感じで関わる人ばかりでした。それでこれまでとは違う人に相談しました。「ひきこもってばかりいるんじゃない!」と一喝されてもいいと覚悟をしました。怒られる気持ちで本音をぶつけました。しかし、怒られることはなく静かに詳しく聞いてくれました。自分でやるしかないと悟ったいい相談だったと思います。自信は持てませんが、本音を話せたのがよかったと思います。
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○いっしゅうおくれのせんとう (一周遅れの先頭)
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マンガばかり描いているひきこもり生活でした。人間関係や社会生活に自信はまるでありません。描いていたマンガをおそるおそる見せたら人が寄ってきて「すごい!」と言ってくれました。他のことはさっぱりですが、マンガが役に立ちそうです。オーバーかもしれませんが一周遅れの先頭じゃないですか。
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○いつだつじんしゅ (逸脱人種)
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悪いことはしない(できない)、悪いことは嫌いだと思います。悪人にはなりたくない思いも強いです。でも自分は逸脱人種の一味になる感じも持っています。だから人種と人間は使い分けています。通常人とはっきり違うときは人種を、通常人と同じときは人間を使います。
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○いなかぐらし (田舎暮らし)
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三十代の半ばを過ぎたので、いまさら就職するのがいいとは思えません。田舎で農業をしながら一人暮らしをしたいのが本音です。難題はあると思いますが穏やかな人と穏やかな環境を求めています。
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×いぬ (犬) →外す    挿し絵(ペット)
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周りの人の範囲だけれど、イヌを買ってもらう人はよくいるけど、ネコを買ってもらった人はいないですよ。ネコは拾ったり、もらってくるものですね。ネコは何匹も飼うけれど、イヌはなかなか二匹以上にはなりません。イヌとは仲良くなれますが、ネコは愛されるペットという関係しかありません。例外もあるとは思いますけどね。私のばあいはイヌのほうが好きです。
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■ いばしょ (居場所)
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ひきこもりなどの訳ありの人が集まり、交流でき、心の傷をいやし、回復する場が居場所です。対人関係づくり、社会生活の情報をやり取する場にもなります。
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〔参照語〕 居場所の卒業、さよなら、仕事に就く前、新参加者特別、座っているのがテーマ、室内密度、純粋培養、隅が落ち着く、たっぷりの時間、ちょっと休む、疲れた、とてもよかった、はしゃぐ、ひきこもり字東京都、フリースペース。
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■いばしょじぷしー (居場所ジプシー)
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最近はひきこもりの当事者が自ら居場所を運営し、SNSなどのメディアを持って発言し社会に影響を与える人が評価されます。数年前までは居場所を巡っているひきこもり当事者が活発でいいねと評価されました。いまは居場所巡りをする当事者はそれとの対比で、居場所ジプシーともよびます。
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〔註〕 ジプシーはときに差別語扱かいされますが「居場所ジプシー」にはそのニュアンスはないと判断します。
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■いばしょのそつぎょう (居場所の卒業)
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「まだ居場所に行ってるの?」 と言われました。その言い方は「早く卒業しなさい」「おれはもう行かなくなったのにお前は何をしているの」的な上から目線になっています。ひきこもり経験者として居場所から抜けきれない人もいるのはわかりそうなものですがでもダメな人もいますね。
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〔註〕 いったん居場所から離れても戻る人、他の居場所を探す人、再ひきこもり状態になる人もいます。居場所の卒業は途中経過であり、社会に入る力、自分で生き続ける方法を身に着けることを目標にしたいです。そのために卒業してもできる範囲で居場所につながるといいです。
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△いびり
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就職などで会社に入る際の通過儀礼、ときには裏入社試験のようになるのがいびりです。この通過儀礼により、それ以降は蹴落とされるか、仲間として認められるか、立ち打ちできない相手として放流されるかに振り分けされます。どっちつかずにいるといびりは長引くことがあります。
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〔類似語〕いじり(別の意味もあるので、いじりを参照して下さい)。
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○いぶにんぐふぉーるしょうこうぐん (イブニングフォール症候群)
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イブニングフォールとは夕暮れのこと。ひきこもりだから家にいて当たり前かもしれないけれども逆もあります。あの家から出てきて、なんとなくたのしい時間を過ごした日なんかは特にそう。夕闇がせまりそろそろ家に帰る時間になると落ち込む気分におそわれます。またあの家に戻らなくてはならないのかと思うと気が滅入るのです。さらに強くなると帰宅拒否症候群です。家に帰れるのは、まだ落ち込みが浅いことなのかもしれません。
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○いま (居間)
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家族の誰もが集まる部屋が居間。ここをどうするのか。この場から家族によって排除されてしまうのか自分が占拠するのか、それが明確になってくる自宅内の空間。自室は自分の物置部屋にして、居間が自分の寝室代わりです。
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○いんきょせいかつ (隠居生活)
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中学のころ学校を休み始め、親や学校とすったもんだの後、親が「学校を休んでもいい」といいました。はじめは慣れない生活もゲーム、テレビ、漫画、絵描き、音楽などだんだんマイペースの生活ができました。高校のころになって「老後をたのしく過ごすご隠居さんみたい」と母から言われ、はっとしました。
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インドア彼希望 indoor  ①②4コマ
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○うえからめせん (上から目線)
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上目線と略します。人生経験や物事の知識の差は避けられないし、同年齢でなければ普通は気になりません。たとえ上目線だとしても人間として認めてくれる人からは嫌な感じは受けません。それはよくできた人でしょう。支援者にしろ当事者にしろ、上から目線でものをいう人はその人自身に何かが足りず、自分の問題を外に押しつけているのです。そういう人は避けたいです。
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〽〔反対語・川柳もどき五七五〕 ひきこもり 下から目線の さらに下  (古菫)
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○うしろむき (後ろ向き)
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「Zくん、これやっといてくれる」⇒Z「なんですか? あ、後ろ向きに考えときます」。〔註〕 前向きの反対語が後ろ向き。できない、やらないと直接に言わないで、ちょっとユーモアを込めて断ることばが後ろ向きです。
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○うた (歌) ★
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ひきこもりはおとなしいイメージですが歌の上手い人が多いです。音に関するセンサーがいい人が多いのが関係すると思います。しかし、自分の歌についても自己評価は高くはないです。また逆にまったく歌わない人もいます。人前で歌う表現を避けます。両極端に分かれるのが特徴です。
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○うたれよわい (打たれ弱い)
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「打たれ強い」の反対語。自分の気にしていることや、思いのほかの弱点を指摘されると落ち込みやすい気持ちをさします。立ち直るのに時間がかかり、うつ的な状態になることもあります。何事も深く考えるタイプでもあります。
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○うちゅうご  (宇宙語)
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あれこれ話しているのに聞く相手によく伝わらないときは自分が宇宙語を話している気持ちになります。頭に浮かぶことを次つぎに話し、追加したり枝分かれしたりする話を整理できずの収集がつきません。話す側の自分がよくつかみきれないくらいですから、聞く相手にはさっぱりわからないでしょう。自分でも宇宙語だと実感します。
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○うめ (梅)
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桜の対極にある花。集団行動をせまらない花の地味さがいい。親しい人とか自分一人でもゆっくりと見られ、静かに喜んでいる花。それは自分だとも思います。
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■うらいばしょ (裏居場所)
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居場所は正式なものと同じところに非公式なものができ、それが裏居場所です。非公式なものはだいたいが当事者のなかの関係でできます。こっちのほうが重要なことも少なくないですよ。本当に親しい友達ができるのはこっちかもしれません。一緒にファストフードに行くとか美術館に行くとかね。逆に居場所から弾かれたりする場合もあります。この場面にスタッフが絡むとめんどうになります。
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○うらしまたろう (浦島太郎)   4コマ漫画
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ほとんど外出できませんでした(二十代後半)。きのうの強風で家がメリメリってして、怖くなり、外出しようと思いました。前に新聞記事でこの居場所を見かけ、その記事を切り取っておきました。久しぶりに電車に乗り、街中を歩きました。浦島太郎ほどじゃないですが、街中は記憶に残る風景とは全然違っていました。
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■うらはら (裏腹) ⇒万能感 に見出しを変えます。
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ひきこもり当事者が相手に対し謙遜し、ほめたたえ、感謝する。また自分を極端に卑下することがあります。これは上下関係をはっきりさせる言動です。それは反対の感情から出ています。むしろ自己万能感を感じて、相手を見下げているから、自分を卑下し謙遜してみせるのです。気持ちと表現が裏腹になります。人間を上下関係のなかに固定して見るからです。
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★自分を極端に卑下してしまいます。相手に対しては謙遜し、ほめたたえ感謝をしたりします。形式的な表わし方になりやすいです。これは自分の気持ちと表現が一致していないのです。自分に万能感を感じて相手を見下げて、謙遜して見せたりするのです。人間関係を上下関係に固定させて見ているのかもしれません。
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○うろたえる
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挙動不審、パニックも同類のことばですが、私には「うろたえる」がいちばん当たっています。さかんに動くけれどもなんのために動くのか目標がわからない状況です。予期しない出来事にあうときが最大にうろたえますが、予期していても受けとめられないとうろたえます。挙動不審は、落ち着こうという意識がまだ働いています。パニックも事態を覆い美化した言い方です。
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○うわがき (上書き)
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パソコンによる文書作成で、前の文章を新しく書き換えることを上書きといいます。人との関係、社会的経験を重ねるのは、この上書きに似ています。子どものころや昔のことをよく思い出すのは、上書き部分が少ないからです。たのしい思い出をほとんど覚えていないのは、嫌な思い出に上書きされてつらい思い出に押し潰されているからです。
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○うんどうぶそく (運動不足)
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ひきこもっていたころ、お笑い番組を見て、数年振りに笑ったら、次の日に頬のあたりが痛くなりました。顔の筋肉が筋肉痛になったと気が付くのにしばらく時間がかかりました。ひきこもりの運動不足とはこのレベルです。サラリーマンが家と会社の往復しかしていないからおれは運動不足だと言うのとは次元が違います。
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●えかき (絵描き) ★
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絵を描いていました。油絵も描いていてその内の一点を父の知り合いが買ってくれました。かなりの高額です。しかし後になって手放したのを残念に思うようになっています。取り戻す方法はないのですが。油絵のほかにも鉛筆画、水彩画なども描きました。
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〔参考〕 太田勝巳作品「ART BANANAFISH」
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http://www.futoko.info/kojin/artbananafish/newpage1.htm
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〔註〕 創作活動のうちの絵画(イラスト・漫画を含む)を描く人は多いです。現代アート作品、洋画を持参した人がいます。無意識に生活の活路を探っていると思えます。
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×えきしゃ (易者)   4コマ
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占いを習い、易者を仕事か副業にしたいと思います。どう思いますか(二十代初めの青年)。
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〔註〕 易者を仕事にするには賛同し難い面もあります。しかし、人とのコミュニケーションの方法になり、この点で反対しませんでした。タロット占いの資格をとる人もいます。カウンセリングの代わりに易者に相談を重ねる当事者もいます。できることをする意味で肯定できます。
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○えどのかたきをながさきで (江戸の仇を長崎で)
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もとの意味は知りませんが、見当違いをさすのでしょうか。不満足感を本当の相手ではなく、言いやすい人にぶつけることがあり、そのときこのことばがちらついていました。八つ当たりです。でもそうでもしないとさらに酷い結果になったかもしれません。ストレスの発散方法なので、大目に見てください。
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×えにっき (絵日記) ⇒コラム?
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〔註〕 日記を数人から見せてもらいました。絵日記にしている人もいます。公開するブログよりも内密のプライベートなことがあります。絵のほうがことばにできないものを表現できる場合もあります。「自分の分身・自分の一部」に感じる人もいて、預かってから数日で返すように求められました。
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○おこられる (怒られる)
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子どものころから父親によく怒られました。父親の顔色を見て行動していると思います。父親だけでなく、同級生や教師に対しても同じです。人の顔色、雰囲気を気にしすぎて怒られないことが行動基準になっています。自分がありません。
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○おさえぐせ (抑え癖)
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自分が密かに描いた絵を見せたところ「おっ!」という感じで受けとめられ「上手いなー」とか「すごいところを見てるよね」と言われました。本当は嬉しいのに、そのまま嬉しそうにするのは気が引けて(慣れていなくて)、つい「いやーダメですよ」とその絵を隠したい気になります。どうしてもっとうまい反応をしなかったのかと後悔しています。
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×おしうり (押し売り)
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思い切って就職しました。栄養補助剤(サプリメント)の販売会社だったので悪くはないはずでした。ところが給与は基本給+売上げ歩合制です。売らないと給与は少ないので、指定された地域の訪問販売に回りました。そこでは相手が必要としない物を押しつける、押し売りしている感じです。それが気になり始め、ついにこの会社は辞めました。ホッとしています。また無職に戻りました。
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○おしつけ (押し付け お躾)
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母の躾(しつけ)は細かくて完璧でした。話し方、座り方、食べるとき、衣服の選び方から着方などなど。私のやり方が少しでも気になると注意し、変えられました。過干渉だと思います。ときには身を削られる気がしたこともあります。躾(しつけ)が丁寧すぎておしつけ(お躾、押し付け)だったのです。
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お嬢様属性 4コマ
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■おそい (遅い) ★
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仕事に限らないですが何をするにしても遅いです。一つひとつをちゃんとするのが性格みたいです。そうしかできないです。まず仕事をする場の周りを整理する。次はこうという手順を丁寧に始める。そういう段取りを確かめないと次にいけません。次を考えながら動いていくのが苦手、結局は遅くなります。
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★何をするにも遅いです。何事も取り掛かる前に周りを整理します。そして自分で決めた手順に沿って丁寧に始めます。そういう段取りをふまないと次に進めません。一つひとつをちゃんとするのが性格みたいです。次を考えながら同時に動くのが苦手で、いろんなことが遅くなります。
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 +
○おとしあな (落とし穴)
 +
信用して話に乗っかると、思わぬところでえらい目にあいます。まるで落とし穴にはまった気分です。どこまで信用すればいいのか、どこを疑うべきかをつかみかねています。慎重にならざるを得ませんし、決心がつきません。これも社会に入っていけない理由です。
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■おとしだま (お年玉)
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正月に会う親戚の子どもにお年玉をあげます。ひきこもりなので自分がもらったお年玉だったり小遣いから回します。プライドによる行動なので恥ずかしいです。
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★おとなじゃない (大人じゃない)
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父がよく繰り返していたことばです。「お前が間違っている、大人じゃない。だいたい個人的な感情は出すもんじゃない。そんなことをすると周りの人に迷惑がかかる。そうならないために早く大人になり、着実に人生を歩んでくれ」。父によると、大人とは自分を抑えて周りの人に同調することです。そういう大人に私はなれませんでした。
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■おーばーどーず (オーバードーズ) ★
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明け方の四時頃、眠れず鬱っぽく、睡眠薬をのみ続けました。三十錠になるころまずいと思い無理を聞いてくれそうな人に電話。「何かあったの?」と話しかけられたので、「眠れない、薬を三十錠ぐらいのんだ」と答えました。話を続けていると「救急車に電話する」といって、固定電話から119番に連絡しました。八十錠のんだあたりで「いま救急車に連絡した」。百錠に近づいたころ玄関で音がして救急車が来ました。この経過は後で電話をした人から教えてもらいました。
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〔註〕 処方された薬を一気に服用して体調不良などを招く行為がオーバードーズ(過剰摂取)です。自己否定感などのマイナス感情を回避する自傷行為の形です。
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○おぼれる (溺れる)
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社会では溺れそうです。水におぼれるとか、酒におぼれるとかいいますよね。溺れるというのは自分の力や意思ではできない状態に追い込まれてなるのです。しかし同じ間違いをやり直せないまま、自己満足感で空回りしています。私が社会で溺れそうに感じるのはそれです。自分の力が弱く意思では決まらならないからです。
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○おまけ      挿し絵
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自分の存在、自分の人生、自分の役割などいろいろなことがだいたい当てはまるのが「おまけ」です。主役、中心と対置することばです。
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●おまもり (お守り) ★
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刃物を持ち歩くことはよくないとされています。でも私は自分を守るためにのみ、かばんにカッターナイフを入れて持ち歩くようにしています。お守りなんですが、不審がられるので絶対秘密です。
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○おやのきょか  (親の許可)
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身につける衣類について親からいつも注文が付きます。あまり派手にならないようにしているのですが、念押しされる感じが嫌です。あるときアクセサリーを勧められ興味がわいてきました。でも「親に聞いてからにします」と答えました。自分が決めればいいことも親の許しを得ないと踏み切れません。すべてがこんな感じです。
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■おやのにげだし (親の逃げ出し)
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不安感でイラついていたとき母から説教され、家の中で切れました。手を出すつもりはなかったのですが怒りが表れていたのでしょう。親は危険を感じたみたいで、その日のうちに家を出ていきました。前にもあったのでそのうち帰ると思ったのですが、どこかに部屋を借りたみたいです。そのあと自分の預金通帳にお金が振り込まれるようになり、一人生活です。通販を利用して買い物をしています(通販は前からしていた)。ときどき親からの差し入れも届きます。親は離れて様子を見ているようです。
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△おやをころす (親を殺す)
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親を殺す事件が起きたとき、ひきこもり界隈ではそこまで追い詰めた親が悪いとの論調になることがあります。だが殺人は殺人です。背景理由を考えるにしても、他人に危害を加え殺害した事実を見失ってはいけないでしょう。
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〔参照語〕 監修者は犯罪と自殺以外は許容します。何らかの理由はあると推測しますが、これは犯罪です。
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×おんなまえ (女前)
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髪型変えたら女前が上がったと思うんだよねー。自分らしい自分っていうの? イメージしていた感じになって、自分でもうれしくて。そういうのってやっぱり表情にでるよね。自分のことなら嬉しい感情をストレートに表わせることもあります。
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〔参照語〕 哀、自己否定感、やっかみ。
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〔註〕 女前の反対語は(女性の)男前(?)。男性の男前との違いがあり反対語はどうするんでしょうか?
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■おんぶ ⇒これ以上は書き込めない、書かないほうがいいのでは? ★
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からだの力が抜けて動けなくなり、おんぶして運んでもらったことがあります。とても気持ちが楽というか落ち着いた気持ちになりました。体重全部を任せるからだの接触がよかったのだと思います。少ししてからそのおんぶをしてくれた人と顔を会わせたとき、「またおんぶして」と言いました。笑いながら向こうに逃げられました。でも嫌がってはいなかったはずです。
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〔註〕 スキンシップの方法です。女性が男性におんぶしてもらう経験は複数の人から聞きました。
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◎『ひきこもり国語辞典』を出版することになりました。<br>
 
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編集の事情があり、当分このページは取り下げます。<br>
 
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2020年5月29日 (金) 14:52時点における版

あ行

●追加、○合格、×△、■いろいろ(要改善)、Cコラムの候補 ★提案中 あ行4 ○あい (哀) 人の感情全体を端的に表現するのが喜怒哀楽。そのなかで私には哀しかありません。嬉しいとか楽しいというのもあったはずですが、記憶の下にかすんで思い出しません。喜・怒・楽は積極的で表出する表現、哀は受身的で水平面から内側に落ち込む感情です。喜楽が少なく、怒りの感情をいつの間にか哀に変換してしまい感情が哀に覆われるのです。

○あいこんたくと (アイコンタクト) 目を見て話すのが会話の基本といいますができません。人と向き合って座るのは苦手です。相手の目を見て話すアイコンタクトがとにかく大事という人がいます。けれども、生理的にできない人もいることを理解してほしいものです。人間ほど多様性のある動物はいませんから。

○あいさつ (挨拶) あいさつは大事です。人と会ったらせめてあいさつをしなければ…と思っています。でも本当は心配もあります。あいさつを普通にする人間になったら、社会につながるベルトコンベアに乗るのではないかという不安です。「社会につながらなくてもいいからあいさつだけはしなさい」という人はいません。私もあいさつができるようになりたいです。でも、それは自分が社会につながったとき、最低限の自分を維持する自信ができたときです。そのときは安心してあいさつできると思えます。

○あうぇいかん (アウェイ感)   挿し絵 スポーツの試合で、自分のホームグラウンドで試合をするのをホーム、相手側のホームグラウンドで試合をするのをアウェイといいますね。どこかの[[居場所に行ったときの感覚がアウェイ感です。周囲の人も環境も自分に向かってくるような感じがして、どうしても身構えてしまいます。なにか落ち着かない、不安感があるといえば表現が強すぎるので、そういうのをアウェイ感といいたいです。かといって自分にはホームというほどの安定した場所はないので、ほとんど全部の場所がアウェイにしかなりません。

■上がる (上がる) 自分が場違いなところにいて、人に見られ、自分を意識するとき気分がそわそわする状態をさします。同年齢の同性(女性らしく化粧している)を目前にすると、気恥ずかしくなり、そわそわと挙動不審になります。自分ではどうすることもできません。こんなときはたいてい上がっています。相手が異性でも同じです。

■あくどい (悪どい) ⇒ばれる 普通にしているようで、本人に有利なことがあります。本当は必死で有利にするようにねらっているのにうまく隠しているのです。私がそんなことをしてもなぜかすぐにばれてしまいます。ばれないための工夫をして自分の利益を図る人は悪どいのです。 〔註〕 本来の語源は「灰汁(あく)くどい」であり、悪どいは誤用らしい。

○あくむ (悪夢)  4コマ 悪夢をよく見ます。ほとんどが追いつめられ、焦らされるようなストーリーで目が覚めます。辞書で見ると「えんぎの悪い夢、恐ろしい夢、不吉な夢」とありますが、「追いつめられる夢」が私には実感です。

■あしもと (足元) ★ ① 私がよく見ている部分です。自分が関わりたいと思える人なのか、支援者にしたい人なのかを判断する基準になります。「足元を見る」は人の弱みにつけこむ意味がありますが、私が見ているのは相手の弱みではありません。本質的な意図を見ようとする気持ちがあるのです。 ② 「足元をそろえる」とこちら側に降りて理解しようとする人もいます。それは必要条件ですが、必要十分条件ではありません。実際の行動や態度もみなくてはなりません。足元をそろえようとする人にさえなかなか会えません。

○あたりはずれ (当たりはずれ) 子どもにとって学校での教師との相性は大事です。相性がよければ当たり、そうでなければはずれです。同じく親にも当たりはずれがあります。親は選べないので、はずれの親だったらどう生きるのかが問題です。数十年たちますが未解決です。

■あてさき (宛先) 郵便物を出すために宛名を書き終えてみたら、封筒の右上隅に細長く宛先を書いているのに気がつきました。一字一字をみると、それなりにちゃんとしていると思うのですが、バランスが悪いのです。書き直すといっても代わりの封筒がないし「まっいいや!」という感じで出しました。

○あとぴーのあざ (アトピーの痣) 顔の表情が人間関係を左右することは多いでしょう。顔にアトピー性の痣のような変色模様ができて人と会えなくなりました。治療でそれは消えましたが、足には残っています。そして顔の痣が消えても人には会えません。後遺症といっていいか、顔に出なくても醜面恐怖、対人恐怖の一種だといいます。ごみ出しと医者に行くだけが外出です。外とのつながりは主にネットです。

×あまえせいかつ (甘え生活) ★ 結婚は両性の合意による愛情関係で成り立つといいます。主に女性が男性に依存的に傾いてしまう結婚生活が甘え生活です。 (1) とてもやさしい人です。私のことを理解し受け入れてくれています。それで結婚しました。自分でいうのも恥ずかしいですが甘えちゃってばかりの生活です。ずいぶん負担をかけている気はします。自分なりにがんばるつもりです。 (2) 年上の彼ができました。彼というよりも親代わりのように甘えました。兄や父から欲しかった気持ちの表れです。それで結婚になりました。 〔註〕 結婚している数名の女性から聞いたことばが甘え生活です。幼年期に得られなかった愛情を充足する感情生活です。これが唯一の充実結婚とはいえませんが、愛情の充足を得られずに苦心する人もいます。

○■あまえている (甘えている) 鬱病の人にがんばれとは言わないように、ひきこもりには甘えていると言わないで欲しい。自立した大人に言われると正論なので返すことばがありません。過剰な依存の表われが甘えでしょう。苦しい渦中に言われることになるので、それだけに傷つきます。

■あまてらすおおみかみ (天照大神) 日本神話(古事記)に出てくる女神。天岩戸(あめのいわと)にひきこもった話があり、ひきこもりの元祖と称す人もいます。

○あるいていけるきょり (歩いて行ける距離) 一般的には徒歩十五分以内を歩いていける距離といいませんか。だが、交通費を一円でも節約したい私には電車で数駅ぐらいの距離を平気で歩いたりするので、徒歩二時間、三時間でも「歩いていける距離」になってしまいます。みなさん、ひきこもりに道を聞いて「ああ、それなら歩いて行ける距離ですよ!」と言われても、決して鵜呑みにしてはいけません。

○あるばいと (アルバイト) 働くのはハードルの高い課題です。居場所に一緒にいた人が「アルバイトを始めた」話をきくと「えっ!」と思います。「なんであいつがアルバイト?」という驚き、うらやましさ。「自分にはできるのか」という焦り、取り残された感があります。一大発奮して急いでアルバイトの面接を申し込みました。けれども面接直前になり、怖くて足が動かず、落ち込みました。気を取り直すのにしばらく時間がかかります。アルバイトを始めた人が辞めたときいてホッとしました。そんな自分がイヤなやつに思えます。

○あわれ (哀れ) 日本人の精神文化を表すもので「おかし(をかし)」と対照的に使われるのがあわれです。あわれは悲しい・苦しい心情を表し、おかしは楽しい、愉快な心情を表します。ひきこもりの心情はこの対比のなかでは「あわれ」(哀れ)に属します。

■あんしんえいじんぐ (安心エイジング) ひきこもりは若く見えることが多いです。実年齢よりも顔のつくりを幼くとめておくことで、無意識のうちに「かわいがって」「守って」と訴えているのです。表面にでている年齢が自覚している年齢に近づいています。安心エイジングとよびたいです。

○あんぜんきち (安全基地) カウンセラーに通っています。とても信頼できるカウンセラーで、あるとき「あなたのことは絶対に守るから」と言われました。そのことばで私には安全基地ができたようで安心感が生まれています。

○あんていていひこう(安定低飛行) 体調・精神状態はよくないけれども、苦しいとか痛みがあるレベルではありません。静かにし寝ていれば、ゆったりと過ごせる状態です。これが安定低飛行のときです。不安感を少しは遠ざけられたときでしょう。

△あんらくし (安楽死) ★ 安楽死という選択肢が認められれば、がんばってもダメなら死ねばいいことになります。精神的な保険です。それは能動的になるきっかけにできそうです。スイスなどでは安楽死は合法になっているので、日本でも導入してほしいです。 〔註〕 積極的な(?)安楽死肯定論でしょう。自殺者が少なからずいる社会を省みる要望とみます。監修者は「自殺と犯罪は容認できない」と考えます。安楽死は自殺の特別な形です。しかし、設定する居場所の利用者に複数の自殺者がでました。その人たちの追い込まれ絶望を察するに安楽死の肯定論が出る背景事情を思わずにはおれません。

○いえつきほーむれす (家付きホームレス)   挿し絵 親と一緒に住んでいるので家はあります。けれども気分的にはホームレスです。誰もホームレスとは見てくれません。家があるのに気分はホームレス、これが家付きホームレスです。 〔類似語〕 家族あり孤児。

■C いかり (怒り) 主に親への怒りが抑制的、穏やかに表現される〔参照語〕を紹介します。 〔参照語〕 哀、当たりはずれ、居間、押し付け、親の許可、親の逃げ出し、親を殺す、飼いならされた象、壁は薄い、空っぽ、鬼門、呪縛、そうだね、父親、知的な親、日常生活、縫いぐるみ、母、払われる、他人事、百点満点、不条理、風呂の蓋、ベットの解体、包丁、暴力、マニックディフェンス、無自覚ハラスメント、虫の気持ち、もう大人なんだから、自棄になる、郵便物、要塞、よけいな一言、立派に育てる、籠城。

■C いきづらさ (生きづらさ) 〔註〕 ひきこもりにかぎらず、いろいろなタイプの人が生きづらさを感じています。窮屈なストレスの強い社会になっている証拠でしょう。いじめや虐待を受けた後の心身状況、家庭・家族がばらばら・崩壊、経済的に苦しい貧困、LGBTs(性的少数者)の疎外感、犯罪被害者の違和感、障害者の肩身の狭い思いなどに生きづらさを感じる人がいます。生きづらさを感じる人はひきこもりに似た生活・心理状況になることがあります。この辞典にその人達の生活状況や言動が混じるのは、そのタイプの人たちがひきこもり生活に近づいているからです。

△いけたらいく (行けたら行く) 私が誘われたときの答え方です。行くつもりで「行く」と答えたのに行けないことが重なりました。それで「行けたら行く」と答えることが多くなりました。 〔註〕 遠まわしに「参加できない」意思表示の人から、参加率七〇%まで使い方に個人差があります。直接的なことばで「行きません」と断るのが苦手なタイプ、心身状態に不調が多く「行きます」と答えて行けなくなると申しわけないと思うタイプが混じります。

○いけるところまでいく (行けるところまで行く) 生活について「この先どうする?」と聞かれたときに、「行けるところまで行く」と答えるようになりました。同じようなことをいろいろな人、いろいろなときに聞かれたどり着いた答え方です。嘘はありません。「行けなくなったらどうするんだよ」と問い詰められたらその答えもあります。ただ家族はそこからの追及はしてこなくなりました。

×いけんのちがい (意見の違い)⇒当事者主語に ★ 通所する人の友人が私(監修者)に会いに来るといいます。歓迎しますと待っていたのですが結局は来ませんでした。あとでその通所者から聞いた話です。私がブログに書いている内容を話すために「会いに来る」つもりでした。その時間が近づくと意見が違う(異議申し立てのため)と受け取られるのが怖くて来られなかったと言います。意見が違うのに不安や恐れを感じるのです。 ★ひきこもり相談をしている人が書いているブログを読んでいます。知り合いがその相談者の居場所に通っているので、「一度話してみたい」と伝えておいたところ「歓迎します」とのことです。ブログに書いていることと自分の考えが違うので意見交換するつもりでした。当日になったらそんな批判めいたことを言うために会うのは怖くなりました。約束を破る形ですが、会いに行けませんでした。

○いしのうえにもろっかげつ (石の上にも六か月) 石の上にも三年と言います。同じ会社に三年勤める基準は長すぎます。私には六か月お勤めができればがんばったと言えます。人によっては三か月という人もいます。週五日勤務がもともと困難な人もいます。個人差が大きいので週五日勤務を基準にしないでください。

○いじめこういしょう (いじめ後遺症) ひきこもり的な状況になったのは、中学時代にいじめを受けて対人恐怖になったことが原因です。いじめられた経験があるとひきこもりやすくなります。いじめを放っておかれたことでひきこもりになったのです。いじめを見て見ぬふりをしてきた社会に責任にもお鉢が回ってきます。

○いじめたひと (いじめた人) 学生時代に自分をいじめた人を忘れていません。ときどき子ども時代のいじめを裁判にかける人が現われてきたので、これからも増えそうな気がします。こういうのに何かを期待する自分がいます。私をいじめた人を一生忘れません。

●いしょがわり (遺書代わり) ★ 自分の存在証明は遺書代わりの日記です。小遣いに任せて買い集めたCDの多さを自分の存在理由とする人もいます。自分の学歴、知識が豊富さを存在理由の根拠にしたり、親の資産を依拠にする人もいます。それらを聞いたときそれは違うと思いました。でも自分に何があるのか考えると、遺書代わりの日記だけです。これでは存在証明にはならないのでしょうか。

■いじり 「いじめ」と似ていますが、暴力的なことは少なくみえます。しかし精神的には残酷な面があります。ことばの責めで試される、からかわれる、自分の力のなさを、やんわりと、ズシンと重く知らされます。力がないのに反発すると、それを周囲にはたのしみな“発表会”の場にされます。いじめよりもいじりの方がつらい意味で「めよりもりがひどい」という本はありませんでしたっけ? 〔参照語〕 いびり、ハラスメント。

■ いぞん (依存) 愛情を渇望する表われの言動と理解します。 〔参照語〕 甘えている、安心エイジング、おんぶ、承認欲求、ちやほやされたい、つけ上がる、ツンでれ、T字型、乗っ取られ感、のろ電、はしゃぐ。

○いちにち (一日) 家にいて特に何をするでもなくすごす一日はなかなか終わりません。でも一年たってみるとあっという間にすぎます。新年を迎えるころや、誕生日が近づくとため息とともに出てくる気分が「一日は長く、一年は早い」です。

■いっかつ (一喝) ★ 少しは耳の痛いことも言われてもいいと思いました。ひきこもりの自分に対しては腫れ物に触れる感じで関わる人ばかりでした。それでこれまでとは違う人に相談しました。「ひきこもってばかりいるんじゃない!」と一喝されてもいいと覚悟をしました。怒られる気持ちで本音をぶつけました。しかし、怒られることはなく静かに詳しく聞いてくれました。自分でやるしかないと悟ったいい相談だったと思います。自信は持てませんが、本音を話せたのがよかったと思います。

○いっしゅうおくれのせんとう (一周遅れの先頭) マンガばかり描いているひきこもり生活でした。人間関係や社会生活に自信はまるでありません。描いていたマンガをおそるおそる見せたら人が寄ってきて「すごい!」と言ってくれました。他のことはさっぱりですが、マンガが役に立ちそうです。オーバーかもしれませんが一周遅れの先頭じゃないですか。

○いつだつじんしゅ (逸脱人種) 悪いことはしない(できない)、悪いことは嫌いだと思います。悪人にはなりたくない思いも強いです。でも自分は逸脱人種の一味になる感じも持っています。だから人種と人間は使い分けています。通常人とはっきり違うときは人種を、通常人と同じときは人間を使います。

○いなかぐらし (田舎暮らし) 三十代の半ばを過ぎたので、いまさら就職するのがいいとは思えません。田舎で農業をしながら一人暮らしをしたいのが本音です。難題はあると思いますが穏やかな人と穏やかな環境を求めています。

×いぬ (犬) →外す    挿し絵(ペット) 周りの人の範囲だけれど、イヌを買ってもらう人はよくいるけど、ネコを買ってもらった人はいないですよ。ネコは拾ったり、もらってくるものですね。ネコは何匹も飼うけれど、イヌはなかなか二匹以上にはなりません。イヌとは仲良くなれますが、ネコは愛されるペットという関係しかありません。例外もあるとは思いますけどね。私のばあいはイヌのほうが好きです。

■ いばしょ (居場所) ひきこもりなどの訳ありの人が集まり、交流でき、心の傷をいやし、回復する場が居場所です。対人関係づくり、社会生活の情報をやり取する場にもなります。 〔参照語〕 居場所の卒業、さよなら、仕事に就く前、新参加者特別、座っているのがテーマ、室内密度、純粋培養、隅が落ち着く、たっぷりの時間、ちょっと休む、疲れた、とてもよかった、はしゃぐ、ひきこもり字東京都、フリースペース。

■いばしょじぷしー (居場所ジプシー) 最近はひきこもりの当事者が自ら居場所を運営し、SNSなどのメディアを持って発言し社会に影響を与える人が評価されます。数年前までは居場所を巡っているひきこもり当事者が活発でいいねと評価されました。いまは居場所巡りをする当事者はそれとの対比で、居場所ジプシーともよびます。 〔註〕 ジプシーはときに差別語扱かいされますが「居場所ジプシー」にはそのニュアンスはないと判断します。

■いばしょのそつぎょう (居場所の卒業) 「まだ居場所に行ってるの?」 と言われました。その言い方は「早く卒業しなさい」「おれはもう行かなくなったのにお前は何をしているの」的な上から目線になっています。ひきこもり経験者として居場所から抜けきれない人もいるのはわかりそうなものですがでもダメな人もいますね。 〔註〕 いったん居場所から離れても戻る人、他の居場所を探す人、再ひきこもり状態になる人もいます。居場所の卒業は途中経過であり、社会に入る力、自分で生き続ける方法を身に着けることを目標にしたいです。そのために卒業してもできる範囲で居場所につながるといいです。

△いびり 就職などで会社に入る際の通過儀礼、ときには裏入社試験のようになるのがいびりです。この通過儀礼により、それ以降は蹴落とされるか、仲間として認められるか、立ち打ちできない相手として放流されるかに振り分けされます。どっちつかずにいるといびりは長引くことがあります。 〔類似語〕いじり(別の意味もあるので、いじりを参照して下さい)。

○いぶにんぐふぉーるしょうこうぐん (イブニングフォール症候群) イブニングフォールとは夕暮れのこと。ひきこもりだから家にいて当たり前かもしれないけれども逆もあります。あの家から出てきて、なんとなくたのしい時間を過ごした日なんかは特にそう。夕闇がせまりそろそろ家に帰る時間になると落ち込む気分におそわれます。またあの家に戻らなくてはならないのかと思うと気が滅入るのです。さらに強くなると帰宅拒否症候群です。家に帰れるのは、まだ落ち込みが浅いことなのかもしれません。

○いま (居間) 家族の誰もが集まる部屋が居間。ここをどうするのか。この場から家族によって排除されてしまうのか自分が占拠するのか、それが明確になってくる自宅内の空間。自室は自分の物置部屋にして、居間が自分の寝室代わりです。

○いんきょせいかつ (隠居生活) 中学のころ学校を休み始め、親や学校とすったもんだの後、親が「学校を休んでもいい」といいました。はじめは慣れない生活もゲーム、テレビ、漫画、絵描き、音楽などだんだんマイペースの生活ができました。高校のころになって「老後をたのしく過ごすご隠居さんみたい」と母から言われ、はっとしました。

インドア彼希望 indoor  ①②4コマ

○うえからめせん (上から目線) 上目線と略します。人生経験や物事の知識の差は避けられないし、同年齢でなければ普通は気になりません。たとえ上目線だとしても人間として認めてくれる人からは嫌な感じは受けません。それはよくできた人でしょう。支援者にしろ当事者にしろ、上から目線でものをいう人はその人自身に何かが足りず、自分の問題を外に押しつけているのです。そういう人は避けたいです。 〽〔反対語・川柳もどき五七五〕 ひきこもり 下から目線の さらに下  (古菫)

○うしろむき (後ろ向き) 「Zくん、これやっといてくれる」⇒Z「なんですか? あ、後ろ向きに考えときます」。〔註〕 前向きの反対語が後ろ向き。できない、やらないと直接に言わないで、ちょっとユーモアを込めて断ることばが後ろ向きです。

○うた (歌) ★ ひきこもりはおとなしいイメージですが歌の上手い人が多いです。音に関するセンサーがいい人が多いのが関係すると思います。しかし、自分の歌についても自己評価は高くはないです。また逆にまったく歌わない人もいます。人前で歌う表現を避けます。両極端に分かれるのが特徴です。

○うたれよわい (打たれ弱い) 「打たれ強い」の反対語。自分の気にしていることや、思いのほかの弱点を指摘されると落ち込みやすい気持ちをさします。立ち直るのに時間がかかり、うつ的な状態になることもあります。何事も深く考えるタイプでもあります。

○うちゅうご  (宇宙語) あれこれ話しているのに聞く相手によく伝わらないときは自分が宇宙語を話している気持ちになります。頭に浮かぶことを次つぎに話し、追加したり枝分かれしたりする話を整理できずの収集がつきません。話す側の自分がよくつかみきれないくらいですから、聞く相手にはさっぱりわからないでしょう。自分でも宇宙語だと実感します。

○うめ (梅) 桜の対極にある花。集団行動をせまらない花の地味さがいい。親しい人とか自分一人でもゆっくりと見られ、静かに喜んでいる花。それは自分だとも思います。

■うらいばしょ (裏居場所) 居場所は正式なものと同じところに非公式なものができ、それが裏居場所です。非公式なものはだいたいが当事者のなかの関係でできます。こっちのほうが重要なことも少なくないですよ。本当に親しい友達ができるのはこっちかもしれません。一緒にファストフードに行くとか美術館に行くとかね。逆に居場所から弾かれたりする場合もあります。この場面にスタッフが絡むとめんどうになります。

○うらしまたろう (浦島太郎)   4コマ漫画 ほとんど外出できませんでした(二十代後半)。きのうの強風で家がメリメリってして、怖くなり、外出しようと思いました。前に新聞記事でこの居場所を見かけ、その記事を切り取っておきました。久しぶりに電車に乗り、街中を歩きました。浦島太郎ほどじゃないですが、街中は記憶に残る風景とは全然違っていました。

■うらはら (裏腹) ⇒万能感 に見出しを変えます。 ひきこもり当事者が相手に対し謙遜し、ほめたたえ、感謝する。また自分を極端に卑下することがあります。これは上下関係をはっきりさせる言動です。それは反対の感情から出ています。むしろ自己万能感を感じて、相手を見下げているから、自分を卑下し謙遜してみせるのです。気持ちと表現が裏腹になります。人間を上下関係のなかに固定して見るからです。 ★自分を極端に卑下してしまいます。相手に対しては謙遜し、ほめたたえ感謝をしたりします。形式的な表わし方になりやすいです。これは自分の気持ちと表現が一致していないのです。自分に万能感を感じて相手を見下げて、謙遜して見せたりするのです。人間関係を上下関係に固定させて見ているのかもしれません。

○うろたえる 挙動不審、パニックも同類のことばですが、私には「うろたえる」がいちばん当たっています。さかんに動くけれどもなんのために動くのか目標がわからない状況です。予期しない出来事にあうときが最大にうろたえますが、予期していても受けとめられないとうろたえます。挙動不審は、落ち着こうという意識がまだ働いています。パニックも事態を覆い美化した言い方です。

○うわがき (上書き) パソコンによる文書作成で、前の文章を新しく書き換えることを上書きといいます。人との関係、社会的経験を重ねるのは、この上書きに似ています。子どものころや昔のことをよく思い出すのは、上書き部分が少ないからです。たのしい思い出をほとんど覚えていないのは、嫌な思い出に上書きされてつらい思い出に押し潰されているからです。

○うんどうぶそく (運動不足) ひきこもっていたころ、お笑い番組を見て、数年振りに笑ったら、次の日に頬のあたりが痛くなりました。顔の筋肉が筋肉痛になったと気が付くのにしばらく時間がかかりました。ひきこもりの運動不足とはこのレベルです。サラリーマンが家と会社の往復しかしていないからおれは運動不足だと言うのとは次元が違います。

●えかき (絵描き) ★ 絵を描いていました。油絵も描いていてその内の一点を父の知り合いが買ってくれました。かなりの高額です。しかし後になって手放したのを残念に思うようになっています。取り戻す方法はないのですが。油絵のほかにも鉛筆画、水彩画なども描きました。 〔参考〕 太田勝巳作品「ART BANANAFISH」 http://www.futoko.info/kojin/artbananafish/newpage1.htm 〔註〕 創作活動のうちの絵画(イラスト・漫画を含む)を描く人は多いです。現代アート作品、洋画を持参した人がいます。無意識に生活の活路を探っていると思えます。

×えきしゃ (易者)   4コマ 占いを習い、易者を仕事か副業にしたいと思います。どう思いますか(二十代初めの青年)。 〔註〕 易者を仕事にするには賛同し難い面もあります。しかし、人とのコミュニケーションの方法になり、この点で反対しませんでした。タロット占いの資格をとる人もいます。カウンセリングの代わりに易者に相談を重ねる当事者もいます。できることをする意味で肯定できます。

○えどのかたきをながさきで (江戸の仇を長崎で) もとの意味は知りませんが、見当違いをさすのでしょうか。不満足感を本当の相手ではなく、言いやすい人にぶつけることがあり、そのときこのことばがちらついていました。八つ当たりです。でもそうでもしないとさらに酷い結果になったかもしれません。ストレスの発散方法なので、大目に見てください。

×えにっき (絵日記) ⇒コラム? 〔註〕 日記を数人から見せてもらいました。絵日記にしている人もいます。公開するブログよりも内密のプライベートなことがあります。絵のほうがことばにできないものを表現できる場合もあります。「自分の分身・自分の一部」に感じる人もいて、預かってから数日で返すように求められました。

○おこられる (怒られる) 子どものころから父親によく怒られました。父親の顔色を見て行動していると思います。父親だけでなく、同級生や教師に対しても同じです。人の顔色、雰囲気を気にしすぎて怒られないことが行動基準になっています。自分がありません。

○おさえぐせ (抑え癖) 自分が密かに描いた絵を見せたところ「おっ!」という感じで受けとめられ「上手いなー」とか「すごいところを見てるよね」と言われました。本当は嬉しいのに、そのまま嬉しそうにするのは気が引けて(慣れていなくて)、つい「いやーダメですよ」とその絵を隠したい気になります。どうしてもっとうまい反応をしなかったのかと後悔しています。

×おしうり (押し売り) 思い切って就職しました。栄養補助剤(サプリメント)の販売会社だったので悪くはないはずでした。ところが給与は基本給+売上げ歩合制です。売らないと給与は少ないので、指定された地域の訪問販売に回りました。そこでは相手が必要としない物を押しつける、押し売りしている感じです。それが気になり始め、ついにこの会社は辞めました。ホッとしています。また無職に戻りました。

○おしつけ (押し付け お躾) 母の躾(しつけ)は細かくて完璧でした。話し方、座り方、食べるとき、衣服の選び方から着方などなど。私のやり方が少しでも気になると注意し、変えられました。過干渉だと思います。ときには身を削られる気がしたこともあります。躾(しつけ)が丁寧すぎておしつけ(お躾、押し付け)だったのです。

お嬢様属性 4コマ

■おそい (遅い) ★ 仕事に限らないですが何をするにしても遅いです。一つひとつをちゃんとするのが性格みたいです。そうしかできないです。まず仕事をする場の周りを整理する。次はこうという手順を丁寧に始める。そういう段取りを確かめないと次にいけません。次を考えながら動いていくのが苦手、結局は遅くなります。 ★何をするにも遅いです。何事も取り掛かる前に周りを整理します。そして自分で決めた手順に沿って丁寧に始めます。そういう段取りをふまないと次に進めません。一つひとつをちゃんとするのが性格みたいです。次を考えながら同時に動くのが苦手で、いろんなことが遅くなります。

○おとしあな (落とし穴) 信用して話に乗っかると、思わぬところでえらい目にあいます。まるで落とし穴にはまった気分です。どこまで信用すればいいのか、どこを疑うべきかをつかみかねています。慎重にならざるを得ませんし、決心がつきません。これも社会に入っていけない理由です。

■おとしだま (お年玉) 正月に会う親戚の子どもにお年玉をあげます。ひきこもりなので自分がもらったお年玉だったり小遣いから回します。プライドによる行動なので恥ずかしいです。

★おとなじゃない (大人じゃない) 父がよく繰り返していたことばです。「お前が間違っている、大人じゃない。だいたい個人的な感情は出すもんじゃない。そんなことをすると周りの人に迷惑がかかる。そうならないために早く大人になり、着実に人生を歩んでくれ」。父によると、大人とは自分を抑えて周りの人に同調することです。そういう大人に私はなれませんでした。

■おーばーどーず (オーバードーズ) ★ 明け方の四時頃、眠れず鬱っぽく、睡眠薬をのみ続けました。三十錠になるころまずいと思い無理を聞いてくれそうな人に電話。「何かあったの?」と話しかけられたので、「眠れない、薬を三十錠ぐらいのんだ」と答えました。話を続けていると「救急車に電話する」といって、固定電話から119番に連絡しました。八十錠のんだあたりで「いま救急車に連絡した」。百錠に近づいたころ玄関で音がして救急車が来ました。この経過は後で電話をした人から教えてもらいました。 〔註〕 処方された薬を一気に服用して体調不良などを招く行為がオーバードーズ(過剰摂取)です。自己否定感などのマイナス感情を回避する自傷行為の形です。

○おぼれる (溺れる) 社会では溺れそうです。水におぼれるとか、酒におぼれるとかいいますよね。溺れるというのは自分の力や意思ではできない状態に追い込まれてなるのです。しかし同じ間違いをやり直せないまま、自己満足感で空回りしています。私が社会で溺れそうに感じるのはそれです。自分の力が弱く意思では決まらならないからです。

○おまけ      挿し絵 自分の存在、自分の人生、自分の役割などいろいろなことがだいたい当てはまるのが「おまけ」です。主役、中心と対置することばです。

●おまもり (お守り) ★ 刃物を持ち歩くことはよくないとされています。でも私は自分を守るためにのみ、かばんにカッターナイフを入れて持ち歩くようにしています。お守りなんですが、不審がられるので絶対秘密です。

○おやのきょか  (親の許可) 身につける衣類について親からいつも注文が付きます。あまり派手にならないようにしているのですが、念押しされる感じが嫌です。あるときアクセサリーを勧められ興味がわいてきました。でも「親に聞いてからにします」と答えました。自分が決めればいいことも親の許しを得ないと踏み切れません。すべてがこんな感じです。

■おやのにげだし (親の逃げ出し) 不安感でイラついていたとき母から説教され、家の中で切れました。手を出すつもりはなかったのですが怒りが表れていたのでしょう。親は危険を感じたみたいで、その日のうちに家を出ていきました。前にもあったのでそのうち帰ると思ったのですが、どこかに部屋を借りたみたいです。そのあと自分の預金通帳にお金が振り込まれるようになり、一人生活です。通販を利用して買い物をしています(通販は前からしていた)。ときどき親からの差し入れも届きます。親は離れて様子を見ているようです。

△おやをころす (親を殺す) 親を殺す事件が起きたとき、ひきこもり界隈ではそこまで追い詰めた親が悪いとの論調になることがあります。だが殺人は殺人です。背景理由を考えるにしても、他人に危害を加え殺害した事実を見失ってはいけないでしょう。 〔参照語〕 監修者は犯罪と自殺以外は許容します。何らかの理由はあると推測しますが、これは犯罪です。

×おんなまえ (女前) 髪型変えたら女前が上がったと思うんだよねー。自分らしい自分っていうの? イメージしていた感じになって、自分でもうれしくて。そういうのってやっぱり表情にでるよね。自分のことなら嬉しい感情をストレートに表わせることもあります。 〔参照語〕 哀、自己否定感、やっかみ。 〔註〕 女前の反対語は(女性の)男前(?)。男性の男前との違いがあり反対語はどうするんでしょうか?

■おんぶ ⇒これ以上は書き込めない、書かないほうがいいのでは? ★ からだの力が抜けて動けなくなり、おんぶして運んでもらったことがあります。とても気持ちが楽というか落ち着いた気持ちになりました。体重全部を任せるからだの接触がよかったのだと思います。少ししてからそのおんぶをしてくれた人と顔を会わせたとき、「またおんぶして」と言いました。笑いながら向こうに逃げられました。でも嫌がってはいなかったはずです。 〔註〕 スキンシップの方法です。女性が男性におんぶしてもらう経験は複数の人から聞きました。


◎『ひきこもり国語辞典』を出版することになりました。
編集の事情があり、当分このページは取り下げます。
手作り版『ひきこもり国語辞典』の販売を中止します。
2020年の販売をお待ちください(発行は時事通信出版局)。
2019年12月21日
不登校情報センター 松田武己

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