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カテゴリ:周辺ニュース

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===[[:Category:周辺ニュース|周辺ニュース]]===
 
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ページ名[[いじめの件数横浜市・2018年]]、(いじめの件数・2018年) <br>
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'''いじめ認知過去最多 横浜市立小中、暴力や長期欠席も更新'''<br>
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横浜市役所 <br>
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横浜市の市立小中学校で2018年度に認知したいじめの件数は、前年度比19・3%増の5546件に上り、過去最多を更新したことが、県の児童・生徒の問題行動等調査で分かった。<br>
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また暴力行為や長期欠席も過去最多を更新した。<br>
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いじめの内訳は、小学校が15・6%増の4123件、中学校が31・4%増の1423件で共に増加した。<br>
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様態では「冷やかしやからかい、嫌なことを言われる」が最多で、全体の7割近くを占めた。<br>
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「たたかれたり、蹴られたりする」「仲間外れ、集団による無視」などが続いた。<br>
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「パソコンや携帯電話での誹謗(ひぼう)中傷」が小中合わせて237件を数え、前年度から46件増えた。<br>
+
いわゆる「ネットいじめ」は被害実態が把握しづらく、中学校に多いと思われがちだが、小学校も89件と全体の4割弱あった。<br>
+
市教育委員会もこの点を懸念しており、「小学校段階から多くあることに注意が必要。保護者や低学年への啓発をさらに進める」としている。<br>
+
認知件数から年度内に解消した件数を差し引いたいじめの数は1842件で、解消率は66・8%。県の追跡調査によると、今年7月末の段階で、継続事案の半数に上る923件が解消されたという。<br>
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一方、暴力行為は10・2%増の5432件。<br>
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市教委によると、コミュニケーションが上手に取れず、暴力に至るケースが多い。<br>
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うち小学校の児童間での暴力は3185件と、前年度から3割増えた。<br>
+
年間30日以上の長期欠席は8・2%増の6376人。<br>
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うち不登校は9・2%増の4978人で、年々増加傾向にある。要因は「いじめを除く友人関係を巡る問題」「家庭状況」などが多くを占めた。<br>
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いじめ、暴力行為、長期欠席のいずれも増加している現状について、市教委は「学校側が対応しているという意味で肯定的に捉えている」との認識を示す一方で、「居場所づくりなど、未然防止の取り組みをしっかり進めたい」としている。<br>
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〔2019年11/5(火) カナロコ by 神奈川新聞〕 <br>
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夏休み明け子どもの自殺最多
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夏休み明け子どもの自殺最多 大人ができることは/富山
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8月の下旬から9月の上旬にかけては、子どもの自殺が最も多くなるというデータがあります。
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新学期を前に、不安や悩みを抱える子どもたちの自殺を防ぐには、親や大人たちは、どうすればいいのでしょうか。
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「自分では特に何もしたつもりないのにいじめられることつらくて仲間はずれにされるのつらくて・・。8月31日の夜は次の日が嫌で嫌で・・。祖母には死にたいと言っていた」(学生時代夏休み明けに自殺考えた女性)
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こう話すのは、学生時代、夏休みが終りに近づくと自殺を考えていたという女性(県西部在住)です。
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近年、この女性が経験したように、夏休み明けの子どもの自殺が社会問題となっています。
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これは自殺総合対策推進センターが1972年度から2015年度の小中高生の自殺データを分析したものです。
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データを見てみると、夏休みが終りに近づいた8月下旬から9月上旬にかけて、突出していることがわかります。
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警察庁などの調査では親子関係の不和といった『家庭問題』や、学校における『進路問題』『友人関係』や『恋愛』など自殺の原因は多岐にわたることがわかっています。
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また、夏休み明けなど長期休暇明けに子どもの自殺が増える理由について内閣府は、「子供に大きなプレッシャーや精神的動揺が生じやすい」と指摘しています。
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では一体、何が子どもたちにプレッシャーを生じさせるのかー。
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ひきこもり支援などを行うNPOの代表は次のように話します。
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「今いろんないじめやスクールカーストといわれる中で生きづらさを抱えている子どもたちが大勢いる。生きづらさから開放してあげるために学校へ行かないことも選択肢だと思う」(NPO法人はぁとぴあ21・高和洋子理事長)
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射水市のNPO法人「はぁとぴあ21」。
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県内外から、ひきこもりの当事者やひきこもりの子をもつ親が相談に訪れます。
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ここで毎月行われているのが、悩みをもった親たちが話しあう『親の会』です。
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「ちょうど3年前うちは夏休み明けにパタッと無理だという感じで朝起きられない。行きたくないとなってから、1年くらい別室登校だけでもとか放課後だけでもという感じでちょっと無理やり引っ張ってしまった」(不登校の子をもつ親)
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この日のテーマは、長い休みのあとに多くなる子どもの自殺について。
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長期休暇明けに自殺に悩む子の親や、不登校になった子をもつ親たちが集まりました。
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「自分の子どもが消えたいとか死にたいといった言葉を発してくれたときは、まだ言ってくれているからなんとか手立てを打てるじゃないかというところがありながらも、子どもと自分とで毎日死にたい死にたい消えたいと言われていまうと正常な判断つかなくなる」
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「夏休みは元気だけど学校行くってなったら行けないってことは要は学校は行きたくない場所、つらい場所というところになっているから、行かなくていいじゃないかと、学校行かなくても人生は終わらないよと」(自殺を考えた子をもつ親)
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「(親と)今の子どもたちとは感覚に差がある。育ってきた環境や育ってきた時代の違いが。行かなきゃいけないとか、こうすべき、といったものを親が取っ払うと子どもが変わる」(NPO代表・高和さん)
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高和さんは、長期休暇明けの子どもの自殺を防ぐには、子どもたちを否定せずに『受け入れること』が重要だと話します。
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「多様化の時代といわれるように、生き方もそれぞれ自分で決めていい時代になってきている」
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「子どもがSOSをだし始めたら、つらいとか休みたいとか学校行きたくないとか死にたいとかそういった言葉が少しでも出たらまずは無理をさせない。休んでもいいよと伝えることが大事」(高和さん)
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チューリップテレビ
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〔2019年8/27(火)チューリップテレビ〕 <br>
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小児科医のぼくが伝えたい 最高の子育て
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「見守る子育て」を実践中の私さえ、力をもらった本 『小児科医のぼくが伝えたい 最高の子育て』レビュー
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本書を読んで私は、大船に乗ったような安心感をもらうことができた。
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私も2児の父として、子育てに迷うことがある。しかし正直にいうと、自分が若くないこともあって、あまりストレスなくやりすごしている。子ども達に何かを訊かれればシッカリと答えるが、基本的に、彼らの意志を尊重する見守る子育てをしているからだ。
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本書は、「理想の親を目指す子育て」ではなく、私のような「見守る子育て」を推奨した本である。小児科医の著者には専門的な知識があるし、子供と接した経験も豊富だ。本書を読んで私は、大船に乗ったような安心感をもらうことができた。
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私にしてそうなのだから、理想の親を目指して疲れ果てている人が読んだら、きっと涙腺が崩壊してしまうだろう。ネットには、そのようなレビューがあふれていた。本書から、引用する。
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“・母乳が出なければミルクでOK。おかあさんがラクな方法を選びましょう。 
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・「理想の母」を追い求めないで。子どもが好きなのは、いまのおかあさん。
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・保育園に預けて、働くおかあさん。短くても濃い時間があれば大丈夫です。 
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・「早くしなさい」と言いすぎない。子どもから考える力を奪います。 
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~本書第2章より”
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これだけで、肩が軽くなった方もいらっしゃるのではないだろうか。子育ては「見えない常識」との戦いという面があるが、その多くは都市伝説の類だと私は考えている。そもそも、書店にいけば様々な主張の育児書が並んでいる。結局のところ、子育てに正解はないのだ。
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では、何を目指して子育てをすればよいのだろう。本書には、「共感力」「意志決定力」「自己肯定感」の三つを身につけること、と書いてある。そのためには、親の価値観を押し付けるのではなく、子供が自分で考える時間が必要だというのだ。
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本書で展開されるのは、「こうすべし」という説教ではなく、ゆるやかなゴール。親はずっと遠くにそのゴールを見据え、子供たちの成長を見守り、ゆっくりと過ごせばよい。この夏休みは、旅行につき合わせるのではなく、のんびりと過ごしてみてはどうだろう。
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“子どもの人生をよりよくするには、持って生まれた才能や個性をそのまま花開かせてあげればいいだけ。情報に振り回されるのは無意味です。
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~本書第2章より”
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本書だって、もちろん、情報の一つだ。上記の引用文を解釈すれば、本書に感服したからといってアキラ100%ならぬ孝雄100%になってはならない、という意味にもとれる。多種多様な情報に触れるのは有益だが、もとの自分が少し変わるだけで良いのだ。
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情報に振り回されるということは、つまりロストアイデンティティである。じつは私もダイエット本や育児書、ビジネス書を次々に読み漁ってきたのだが、50歳近くになるとこの辺の機微がわかってきた。最も大切なのは、自分自身を見失わないことである。
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そんなことを考えていると、こんな言葉をみつけた。「親だけでなく、育児をする人みんなが健康でいることが大事です」いやはや、ごもっとも。育児のストレスで不健康になるのは本末転倒だ。子供も心配するし、罪悪感を持つだろう。
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本書には、他にもヒザを打つ言葉が多数あったので、引用したい。
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”「勉強しなさい、は逆効果。伸びるタイミングは自分でつかませる。」
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「習い事は、長続きしなくてもいい。むしろいろいろなものに挑戦させるべき。」
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「どんな子どもでも、みんな、才能のシグナルを発信しています。」
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「不登校の子どもには、休息が必要。「行かなくていいよ」と伝えます。」
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~本書より”
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本書は主張に一貫性があり、かつ一つ一つのセンテンスに力がある。そこから力をもらうだけでも、読んだ意義はある。もちろん、一字一句覚える必要などない。これだと思ったものだけ、吸収するような感覚で読めば良いと思う。
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新学期が始まると、様々な出来事が起きるだろう。子を叱って型にはめるのが親の仕事だと思うと、親自身が楽しくない。善悪の区別のない日々の出来事の中に、変化や成長を感じてみてはどうだろう。ありのまま(天然色)の子育てのワクワク感をもらえる本だ。
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『小児科医のぼくが伝えたい 最高の子育て』
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『小児科医のぼくが伝えたい 最高の子育て』マガジンハウス
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高橋孝雄/著
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吉村博光
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HONZレビュアー
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出版総合商社トーハンで本屋さんへの販売提案を行うほか、書評などを通じて一般の方々に本を紹介する活動を行っている。また、書店×IT「マクルーハンの本棚 」第2弾として企画した「AI書店員ミームさん」は、テレビで取り上げられるなど、業界内外で大きな話題となった。私生活では、2児の父で介護中。趣味は競馬と読書。そんな日常と地続きの本をご紹介していきたい。
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ひきこもりになる4つのタイミング(1)――子どもが不登校・ひきこもりにならない/から脱出するための子育て術
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帝王切開は楽に出産できる? 子どもの健康や発達に悪影響を及ぼす? ――経済学で考える「家族の幸せ」のウソ・ホント
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〔2019年8/27(火)本がすき。〕 <br>
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学校の息苦しさこそ変えるべき
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夏休みの終わりに子どもを死なせないために「学校の息苦しさこそ変えるべき」
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子どもたちが最も多く命を絶つ日
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夏が終わるとまた学校が始まる。大阪市の公立小中学校では8月26日から始まった。近年、前倒しで2学期を始めるところが増えたが、かつては夏休みは8月いっぱいまで。2学期と言えば9月1日に始まるものだった。
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そして、この日は1年で最も多くの子どもたちが命を絶つ日だ。内閣府が過去約40年間に18歳以下の子どもが自殺した日を調べたところ、9月1日が131人と突出している。ほかに100人を超える日はない。前後の8月31日と9月2日も90人台とかなり多い。夏休みが終わって学校に行かなくちゃいけない。それが子どもを追い詰めていることがうかがえる。
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朝よく見かける登校風景(画像は本文と関係ありません・筆者撮影・大阪市内)
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「学校なんて行かなくていいよ」と呼びかける前に、なぜこんなに不登校が増えてるの?
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だから例年この時期に「無理して学校に行かなくていいよ」キャンペーンが行われる。もちろん、死ぬほど嫌な学校なんか行く必要はない。
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でも「行かなくていいよ」と言っておいて、その先はどうなるのだろう? 誰がケアするの? 結局は家族が支える。それももっぱら母親が。公的機関は放ったらかし。それっておかしくない? 子どもたちが死ぬほど行きたくないと訴える学校こそ変わるべきじゃないの? 学校って子どもたちのためにあるんじゃないの? 文部科学省の統計によると、不登校の小中学生はここ数年増え続けている。この子たちに「学校なんて行かなくていいよ」と呼びかけるだけでは無責任ではないのか?
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中学生の集団が学校へと向かう(画像は本文と関係ありません・筆者撮影・大阪市内)
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不登校の子どもの親たちが立ち上がった
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この状況に当事者の親たちが声をあげた。不登校保護者会である。きっかけは今年5月に川崎市登戸で起きたスクールバス殺傷事件で、容疑者が「引きこもり」状態だったと報じられたこと。不登校に対する偏見が強まるのではないかと危機感を持った、全国の不登校の子どもを育てる親たちが、ツイッターで緩やかにつながりながら会を立ち上げた。
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そのブログに8月、「夏休みの終わりに子どもを死なせないために」という記事が掲載された。
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不登校保護者会のブログ「夏休みの終わりに子どもを死なせないために」(筆者撮影)
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子どもが不登校になっても責めないで 奇妙で息苦しい学校こそ問題
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記事はまず不登校の子を持つ保護者たちに、子どものことを理解してあげてほしいと呼びかけている。
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「学校へ行くことは、絶対に必要というわけではないのです」
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「奇妙で息苦しい風潮が、いまの学校教育には蔓延しています。子どもがある日、急に行けなくなったとしても、責められないほど学校は奇妙でおかしいところです」
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学校へ行くことは絶対に必要というわけではない(筆者撮影)
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そして、子どもを大切に思う気持ちを伝え、決して責めないことが大切だと訴える。
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「学校へ行かなくても我が子には価値があることを子どもに伝え続けることがとても大切です」
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「実際、行けなくても叱らないことも重要です」
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「不登校を経ても夢を叶えて頼もしい大人に育っていく子たちがいます」
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「保護者の皆さんには、
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とにかく無理に登校させない。
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学校行けなくても叱責しない。
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夫婦喧嘩を子どもの前でしない。
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これらを最低限、徹底していただきたいです」
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学校の指導が子どもを死に向かわせていないか?
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記事は続いて、学校の先生たちに、子どもたちを追い詰めないように求めている。
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学校の日頃の指導が子どもを死に向かわせていませんか?(筆者撮影)
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「夏休みの宿題提出を絶対に無理強いしないで下さい」
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「『学校に行かなかったらお前の人生は終わり』などという決めつけもやめて下さい」
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「『学校来てない奴に行ける高校なんてない』という誤情報を流さないで下さい。不登校でも進学出来る高校、大学はあります」
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「内申で子どもをコントロールしようとしないで下さい」
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「学校の日頃の指導が子どもを死に向かわせていないか、丁寧に考え直して頂きたいのです」
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不登校保護者「ぽんこ」さんの思い
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不登校保護者会に参加している大阪の女性にお会いした。ツイッター上でのアカウント名は「ぽんこ」さん。小学3年生の息子は自閉スペクトラム症(人との関係が苦手で強いこだわりを持つのが特徴の発達障害の一つ)で、1年生のころから不登校だという。
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「子どもが不登校になった時、私だけではどうにもならないと思っていろんな人に話を聞きました。役所とかお医者さんとか学校の先生にも。でも一番心の支えになったのは『昔子どもが不登校だった』というお母さんや『自分も不登校だった』という当事者のお話ですね。だから私もこうした会の活動を通してできる限り自分の体験をほかの人に伝えたいと思っています」
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小学生たちの格好はカラフル(画像は本文と関係ありません・筆者撮影・大阪市内)
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「初めは『学校のせいで子供の学習権利が奪われた』怒りでいっぱいでした。マジでふざけんなよって。でも、子どもの家庭での学習が軌道に乗って、次第に落ち着いてきたら『先生も大変だよなあ…』という気持ちに変わりました。業務量が過剰で、過酷な仕事を頑張ってくれていますよね」
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「役所の心理士の方や精神科医にも支えられてきました。知識とプロの技術はパニックの闇を払う光ですね。混乱したままでいても何もいいことがないので、自分が冷静で朗らかな気持ちを取り戻すことだと思います」
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不登校は問題行動ではない。やむにやまれぬ行動だ
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不登校保護者会は7月、児童精神科の専門医を招いて勉強会を開いた。東京慈恵会医科大学准教授の井上祐紀さん。児童精神医学の分野で、主にADHD(注意欠陥多動性障害)の幼児、思春期、青年期の子どもたちを診察し、研究を重ねてきた。井上さんは、不登校を問題行動の一環ととらえる教育界の風潮にそもそも問題があると指摘する。
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児童精神科が専門の井上祐紀准教授(不登校保護者会提供・東京都内)
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「不登校を問題行動として見ると、原因がその子の中にしかないことになります。その延長上に引きこもりへの偏見があるんです」
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「不登校は健康問題としての側面があるんです。その子がきつい症状を抱えているんです。そのきつさを避けるためのやむにやまれぬ行動が不登校なんです」
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「発達障害がある子は不安症状が強いから教室に入れないことがある。これは健康問題なのに問題行動と捉えるから指導が強圧的になる。だからますます学校に行きたくなくなる。悪循環です」
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不登校保護者会の勉強会には多くの保護者が集まった(不登校保護者会提供・東京都内)
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「今、学校現場で最も軽視されているのが子どもの健康です。例えば好きな時間に水を飲めない、トイレに行けない。これは健康に悪いですよ。多くの学校では子どもたちは授業中に自由に水分補給ができない。これでは、子どもの健康より集団の規律の方が優先されることになる。学校というのは発達障害などの何もない子どもが頑張ってかろうじて適応できるという社会なんです」
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「すべての子どもが力をうまく発揮できるような配慮が足りていない。いじめへの対処もそうです。子どもファーストで考えるべきなんです。不登校は子どもの問題ではない。学校の問題として責任を認めないといけない。その子はどういうところがきつくて学校に来られないのか、その子に合う環境は何かを考えてあげることが必要です」
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自己満足な放送企画はいらない
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全国の不登校の小中学生は14万4000人。自殺する児童生徒は年間250人。こんなに多くの子どもが学校に行けず、多くの子どもが自殺するって、異常事態ではないか?
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自己満足な放送企画はいらない(筆者撮影)
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 不登校保護者会のブログは、最後にマスコミの報道姿勢に疑問を投げかける。
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「傾聴だけの企画やぼんやりした喋り場を提供してガス抜きして『なんかいい雰囲気』になって終わり、支援に繋がらない自己満足な放送企画は要らないです」
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「『死にたいと思うくらいなら図書館、動物園、水族館へ逃げていいよ』の後がおそろしく過酷であり、逃げた後を自己責任と見捨てている社会を変えなければ何も変わりません。このままでは、死にたい子、心中を企図する家庭、子どもを殺してしまう家庭が減るわけありません」
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「息苦しい子どもを排除する学校自体を変えないと死にたい子は減らないです」
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「学校の息苦しさの本質をえぐり出し改善を求めるのが、報道機関の役目なのではないでしょうか」
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「毎年十万人以上の不登校者と、多くの自殺者を出している学校制度そのものを、客観的な根拠(エビデンス)に基づいて根本的に見直すべき責任が、政府にあります。そして報道機関には、こうした責任を、客観的なエビデンスに基づいて追及してほしいものです」
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学校の息苦しさの本質をえぐる報道を(筆者撮影)
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そして今年も9月1日がやってくる
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学校なんて行きたくないなら行かなくていい。でもそれだけじゃだめだ。学校が変わらなければ。子どもたちが行きたくなるような、真に子どものための学校に。そんな学校に変えるのは、教師、教委、保護者、政治、報道。
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 そう、私たち大人の責務だ。
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【執筆・相澤冬樹】
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相澤冬樹
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大阪日日新聞編集局長・記者(元NHK記者)
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1962年宮崎県生まれ。1987年NHK記者に。山口、神戸、東京、徳島、大阪で勤務。神戸で阪神・淡路大震災を取材。大阪でJR福知山線脱線事故を取材。大阪司法記者クラブ担当の2017年に森友事件に遭遇して取材を進めるが、2018年記者を外されてNHKを退職。この時の経緯を「安倍官邸vs.NHK 森友事件をスクープした私が辞めた理由」(文藝春秋刊)という本にまとめた。現在、大阪日日新聞に務めながらYahoo!ニュースをはじめ日刊ゲンダイや週刊文春など様々な媒体で記事を書いている。
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〔2019年8/27(火) 相澤冬樹  大阪日日新聞編集局長・記者(元NHK記者)〕 <br>
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不登校・ひきこもりから脱出するための子育て術
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今日から変える子どもへの接し方 3つのポイント(1)――子どもが不登校・ひきこもりにならない/から脱出するための子育て術
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親の関わり方でまず絶対に必要なのは、親が本気で向き合う姿勢です。
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2019年5月。元号が平成から令和に変わり、日本中が新しい時代の幕開けに心躍らせていた矢先に起こったのが、スクールバス襲撃や元農水省幹部の長男刺殺といった「ひきこもり」に関連した凄惨な事件の数々でした。若者の不登校・ひきこもり問題に30年以上支援活動を続け、延べ1万人以上の生徒を立ち直らせてきた著者が、事例を踏まえて解決の糸口を贈る『不登校・ひきこもりの9割は治せる』(7月18日発売・光文社刊)より、子どもに対する親のあり方、関わり方をご紹介します。
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◆ひきこもりは日々の接し方の積み重ねで起きる
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当たり前ですが、不登校やひきこもりに、ある日突然なるわけではありません。
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たくさんの不登校やひきこもりの子どもを見ていると、小さいころからの親の接し方が、その原因になっていると感じます。今に始まった問題ではないのです。
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不登校・ひきこもりから脱したいと相談に来るお父さんお母さんに、最初にお願いするのは、子どもへの関わり方を変えることです。こうなってしまった大きな原因のひとつは親の接し方だと私は思っています。
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具体的には次の3つの接し方が重要です。
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(1)親(特に父親)が本気で向き合う
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(2)無条件の愛情で接する
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(3)甘い対応はしない
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◆子どもへの関わり方(1) 親(特に父親)が本気で向き合う
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親の関わり方でまず絶対に必要なのは、親が本気で向き合う姿勢です。
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最初に相談へ来るのは、圧倒的にお母さんが多いのですが、私は必ず「次回はお父さんと一緒に来てください」と伝えます。ここでお父さんがちゃんと来るかどうかに、親の本気度の違いが出るのです。
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お父さんが本気を出さなくては、不登校やひきこもりから立ち直れるわけがありません。
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前述したように高学歴のエリートが多いのが、不登校・ひきこもりの子どものお父さんの特徴です。「仕事が忙しいから子どものことは妻に任せている」などと言って逃げているようでは、子どもは立ち直ることができません。本気で子どもにぶつかっていかなくては、子どもは変わらないのです。
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私のところへ相談に来るお父さんには大学の教授なども多いのですが、大学ではある程度理解力や判断力の高い学生が相手ですから、穏やかに話せば事足りるのかもしれません。
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しかし、不登校・ひきこもりの我が子に対する態度がそれと同じでよいわけがありません。
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三者面談をしても、子どもの言うことをそのまま私たちに「こう言ってますので」と伝えてくるだけで、父親自身の意思や本気さが感じられないのです。
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長期間にわたって不登校やひきこもりの状態にある子どもの精神状態は、冷静な判断を下せるものではありません。だからご両親が本気を出して、選択肢を与え、決断を促さない限り、ずるずるとひきこもり生活が続いてしまいます。
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また、お父さんお母さん、スタッフの全員が同じ認識を持ち、ぶれない態度で子どもに対応することが大事です。これが一番手強いハードルともいえます。子どもに対する考えが、お父さんお母さんで違っていたり、ちぐはぐだったりすることも多く、そうなるとうまくいかなくなります。
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例えばお父さんが単身赴任などできちんと話し合いができなかった場合、対応の方針がお母さんとスタッフの間で決まって、それを実行し始めたばかりなのに、効果がでないと、お父さんがすぐに別の手段をとりだすのです。お父さんが違う本を読んで、目移りしたのでしょう。不登校やひきこもりは放っておいてよいという専門家もいますから。
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しかし、私は不登校・ひきこもりは放っておいてはいけないと思っています。早ければ早いほど立ち直れる可能性が高いのですから。
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父親が本気を出したことでひきこもりから立ち直ったタツマくんの例です。
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【タツマくんの事例】
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(現在20歳の大学生。中1から中3まで約3年、高1で2カ月と、2度の不登校とひきこもりを経験)
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タツマくんのお父さんは小さい時から厳しく、そんなお父さんをタツマくんは「マジで死んでくれと思っていた」と言います。
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中学受験をさせられて規則の厳しい私立の中高一貫進学校に入学しましたが「勉強しないといい大学に入れない、社会でうまくやっていけないぞと脅す学校だった」そうで、中1の5月には不登校になってしまいました。
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お母さんがカウンセラーやさまざまな教育機関に相談したところ、不登校はそっとしておけばいずれ治ると言われたのです。お父さんはどうにかしたいと思いましたが、「有名な先生に、特に父親は何も関わらないようにと言われたので、何もできませんでした」と言います。
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不登校が続いた状況を変えようと、高校は全寮制高校に進学しました。しかし、冬休みで家に戻ってきた際、タツマくんは部屋に立て籠もってしまったのです。誰も部屋に入れないようにバリケードを作り、お母さんが部屋に入ろうとすると暴力を振るいました。
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こうした痛い思いをして初めて、両親は当会へ相談に来ました。「お父さんが本気を出して子どもと関わって下さい」とお願いすると、すぐにお父さんは態度を変えてくれました。
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数日後、お父さんは、タツマくんがトイレから部屋に戻ってバリケードのセットを組み立てているところに、乗り込んでいったのです。タツマくんを階段から引きずり降ろし、車に乗せて当会に連れてきました。
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面談では「これからどうするのか、高卒支援会に通うのか、そうじゃなかったら家を出て働け」とお父さんはタツマくんに厳しく迫りました。
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「ものすごい気迫だったので、通わなければ本当に働かされると思いました。それで、通うことにしたのです。オヤジのパワープレーがなければ、今もひきこもっていたと思います」とタツマくんは振り返ります。
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その後は、進路に関してもお父さんは「お前が決めて、俺に説明しろ、大学受験をしないなら、働け」と厳しい態度だったといいます。浪人をすると決めた時には、「1日16時間、感謝して勉強するのが普通だからな」と釘を刺され、猛勉強した結果、有名難関私大に合格しました。
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今ではタツマくんはお父さんに対し、「昔は嫌いだったけど、きっと当時は一生懸命にやってくれたんだろうなと今になればわかります」と気持ちも変わってきました。お父さんが本気で向き合ったからこそ、ひきこもりから脱出できた例です。
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◆母子家庭の場合
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お父さんがいない家庭では、お母さんに本気を出してもらいます。たとえ子どもが暴れたとしても、お母さんが毅然と立ち向かっていると、子どもが変化してきます。
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母子家庭のケイタくんの例です。
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【ケイタくんの事例】
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(現在20歳。中1から不登校・ひきこもりになり、18歳で都立定時制高校を受験して合格。19歳で高校1年になり、現在も在学中)
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ケイタくんが小学生のころ、お父さんの暴力が原因で両親は離婚。それからはお母さんと2人暮らしでしたが、中1で不登校になり、部屋にひきこもってパソコンゲームにのめりこむ日が続きました。
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中学卒業後は通信制高校へ入学したものの、結局スクーリングに全く行けずに退学しました。お母さんと一緒に相談に来た時は、すでに18歳でした。
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ゲーム依存だったので、当会でパソコンを預かることにしました。しかし、ケイタくんは家に帰ると暴れます。お母さんはそれでも、私たちと約束したからパソコンを返すことはできない、と厳しい態度で一歩も譲りませんでした。
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そのうち、ケイタくんは当会に登校するようになり、アルバイトを始めたことで人の役に立つ実感を得て、自信をつけていきました。
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その後「中1からできなかった学生生活を取り戻したい」と、猛勉強して定時制の都立高校に合格、19歳で高校1年生になり、現在も働きながら通っています。
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〔2019年8/27(火)本がすき。〕 <br>
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乳幼児期の愛着形成
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子どもの発達障害の権威が語る「乳幼児期の愛着形成」の大切さ
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mi-mollet(ミモレ)
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子どもが発達障害になったときに親はどう対応すればよいのか、しつけと体罰の境界線は?etc.……、子育てに関するさまざまな情報が溢れる昨今。親たちはただ自分たちの子を「よい子に育てたい」と思いながら、「何が子育ての正解か正直分からない……」と思っている人が少なくないのではないでしょうか。
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児童精神医学の第一人者として著名な杉山登志郎医師は、子育ての基本を書いた著書『子育てで一番大切なこと 愛着形成と発達障害』 (講談社現代新書)で、「いくつかの大事なことだけ押さえておけば、子供はじぶんで成長し、しっかり育っていきます」というメッセージを送っています。
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よい子に育つ“コツ”というものは存在しない
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多くの親やマスコミは、「よい子に育てるための“コツ”は何でしょうか?」と聞く。しかし、「これはしないほうがいい」ということは分かっても、「これはしたほうがいい」ということは断定することができない。
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たとえばタバコの場合、吸うと不健康になる道筋は明らかだ。だが吸わなければ健康が保証されるかというと、そうではない。タバコを吸わなくても肺がんになる人もいるからだ。同様に、誰しもがよい子になれるコツというものも、おそらく存在しないだろう。
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たとえば子供に関心を持たず、全く声がけをしなかったらネグレクト(育児放棄)で、とんでもないことが子供に起きてしまうのは当然だ。だがずっと子供を見続けて、一挙手一投足に声がけをすることが素晴らしい子育てなのかというと、それは疑問だ。
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また子供には個人差があって、子育ては子供本人の気質の違いでかなり左右されるものでもある。子育てのコツを一般論にして語るのは、不可能に近いというのが事実だ。
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種としてのヒトの子供は、少なくとも生まれてしばらくの時期は脆弱な存在であるのは確かだ。全面的なケアが必要だし、中学生になっても親の存在は重要だ。子育ての期間はとても長いと言っていい。
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しかも環境のみで子供の性質が決まるわけではない。子供たちの持っている生まれながらの気質、つまり遺伝的な素因で、ある子には良いことが別の子にとっては悪いこともある。
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子育てにおいて重要なキーワードは“安心”と“好奇心”
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それでも子育ての基本はある。ひと言で言えば“安心”だ。それは、母親と子供の両方にとって、である。
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妊娠中から母親が安心していること、出産授乳期を通して安心して赤ちゃんに向き合えること、そして赤ちゃんが親に信頼を寄せる親子関係を作るうえでも欠かせないキーワードが“安心”だ。
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もう一つ重要なことがある。それは、生命はその本質において多様性を愛する、ということだ。そうれでなければ自らが生き残ることができないからだ。
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では生命を多様なあり方へと成長させる原動力は何かというと、好奇心である。
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ヒトの子供に限らず、哺乳類の子供、さらには鳥の子供であっても、巣立ちの時には「これから何が起こるんだろう、世界には何があるんだろう」という喜びに満ちている。高い学習能力を持つ哺乳類や鳥類の知能の本質というものは、新しいものへの好奇心だ。そして好奇心によって、住む環境を変えたり、個体によって様々な変化を起こす。好奇心に導かれ、多様なあり方へと成長することは、地球上の生命として文明の存在以前に既定された、基本的な育ちのあり方なのである。
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多様な子供達が、好奇心に支えられて多様な成長をしていくこと、それが良いことなのだ。もしそれが妨げられるとしたら、それこそが子供の育ちに困難をもたらすだろう。
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“愛着”が形成されると外の世界に探索に行けるようになる
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もう一点、子育てにおいて重要な「愛着」について話をしたいと思う。
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「愛着」とは“アタッチメント”という英語を訳した言葉である。日本では「愛」という漢字に引っ張られてニュアンスが変わりがちだが、アタッチメントとはタッチするということ、つまり触れてくっつくということだ。
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もちろん「愛」があってのアタッチメントであるが、大事なのは何のために触れてくっつくか、ということだ。それは、赤ちゃんが“安心”するためである。
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赤ちゃんは0歳の後半を過ぎると人見知りを始める。安心できる人とできない人の識別を始め、不安に駆られるとお母さんに泣いて訴えて、じっと見つめる。さらに月齢が進んでハイハイができるようになると、不安になったらにじり寄るようになる。この、泣く、見つめる、にじり寄る、というのが愛着行動である。
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子供は親から離れると不安になる、そこでまた親にくっつく。すると元気になってまた外の世界に探索に行く。これが日常的に繰り返されるわけだ。
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たとえば見知らぬ人が来たとき、子供は母親にくっついて安心を得たら、見知らぬ人にも興味を示したり、相手ができるようにもなる。つまり、お母さんが安全地帯となっているのだ。
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では保育園に行っている子供の場合、愛着形成はどうなるのか? 子供一人一人に対応できるだけの大人の数がきちんと揃えられている保育園であれば、全く問題はない。保育園に行っている子供の方が、ずっと母親が子供に付き合っている場合よりも親子関係が良い例が多い、というデータもたくさん出ている。
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mi-mollet(ミモレ)
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『子育てで一番大切なこと』杉山登志郎著 講談社現代新書 ¥840
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『発達障害の子どもたち』『発達障害のいま』などの著書を持つ児童精神科医の杉山登志郎医師が、発達障害や不登校、虐待にはあまり関心のない普通の読者が読めるようにと書いた子育て本。編集者との対話形式で綴られているので、専門的な内容も非常に分かりやすい。子育ての基本を、妊娠時期から乳幼児期、小学生時期と、時期別に分析。また見逃されがちな発達障害、そして子育てにおける課題などについても解説している。
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〔2019年9/6(金)webマガジン mi-mollet〕 <br>
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磯村 暖
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医学部志望から藝大満票合格へ。魂の叫びに従い社会課題を描く現代美術家 #30UNDER30
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現代美術家 磯村 暖
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アトリエに所狭しと並ぶカオティックな作品群。制作したのは、鮮やかなブルーの髪の毛が印象的な現代美術家・磯村 暖だ。
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独学で多摩美術大学に一発合格。翌年に挑んだ東京藝術大学の入試では、審査員である教授たちが磯村の作品に満票を投じた。現在は国内外の展示会出品のために各地を飛び回り、この9月からはAsian Cultural Councilのフェローに選ばれ、ニューヨークに拠点を移すことが決定している。
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Forbes JAPANは、そんな磯村を30歳未満の世界を変える人物を表彰する「30 UNDER 30 JAPAN 2019」アート部門受賞者のひとりに選出した。
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彼がテーマにするのは、「民衆の芸術(フォークアート)」だ。例えば、彼の代表作のひとつである彫刻「地獄の亡者像」は、タイの寺院に設置されていたフォークアートへのオマージュ。なかには、「同性愛の罪」や「国籍を持たない罪」と書かれた像もある。
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「いったい誰のための地獄なのか、彼らにその苦しみを味わう必要があるのか」──。居場所を奪われた側に寄り添い、民衆に共感の眼差しを向ける。
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彼がこうしたLGBTQへの差別や難民などの社会問題を反映した作品づくりをするのには理由がある。
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「自分にはずっと居場所がなかった」と語る彼は、ずっと美術をやりたいという本当の気持ちを押し殺し続け、一度限界を見た。
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そんな磯村は、いまの活躍に至るまで、どんな道を歩んできたのか。
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ずっと居場所のない「カビ人間」だった
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「絵ばかり描いていました。一生布団から出られないカビ人間の気分で。居場所がなくて、僕自身がずっと追いやられる側だったんです」
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小さいころから絵を描くのは好きだったが、その場所はいつも布団の中だった。5歳で両親が別居。以来、東大出身の医師である父と姉と暮らしていたが、小学生のころはいつも喘息の発作に悩まされ、いつしか外に出られなくなった。それでも医師の父から「病院に行く必要はない」と言われ、発作で夜も眠れず無気力状態の日々が続いた。
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不登校から留学へ
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「小学校6年生で不登校になりました。体調が悪くて、学校に行ったり友達と話したりする元気が湧いてこなかったんです。体は動かないし、眠れないから頭も働かない。テレビを見ながら絵を描いて、ひたすら犬と過ごしていました」
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当時は将来のことなど考える余裕もなく、夢も希望もなかった。保護者である父は多忙で、養育やコミュニケーションもままならず、家庭内でありながら常に孤独と緊張を強いられ、居場所がないと感じていた。引きこもりが長くなると、線すらまっすぐ引けなくなって絵も次第に描けなくなった。
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そんな生活から抜け出そうと、離れて暮らしていた母の導きで13歳のときにオーストラリアに単身留学を決めたことが転機となる。そこは小学5年生のときに一度旅行で数日訪れた場所だった。
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「不思議なことにあんなにひどかった喘息が、オーストラリアでは起きなかったんです。久しぶりに深呼吸できて頭がすっきりした。最初は英語はまったく話せなかったけど、日本の学校の時よりも生き生きと過ごせました。ご飯も美味しく感じられて、やっと『生きている』と実感しました」
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オーストラリアで過ごしたのは13歳から15歳まで。居場所もあるし、健康にもなったことで、将来を考えられるようになった。友達もできて、もう日本に帰らなくていいとも思ったが、だんだんと「逃げてきた日本でもう一度やり直したい」という気持ちが強くなった。
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家族として受け入れてもらうために医師を目指す
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そして、高校入学を機に帰国。母と暮らしたいという願いは叶ったが、「今度はわがままを聞いてくれた母に親孝行をしなければ」と思い、母の希望を聞いて父と同じ医師への道を歩もうと決意する。「東大理Ⅲに入って父と同じ医師になる」。それが高校時代の磯村の大きな目標になった。
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「ずっと絵は描き続けていたし、美術がやりたくて美術系高校の説明会にも行きましたが、母に強く反対されました。母には感謝もあったし、僕が家族として受け入れてもらうには立派な理由が必要だと思い込んでいた。期待に応えたい、東大理Ⅲに入れなければ自分は幸せになれないと思い込んでいました」
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その後、都立の進学校に進んだ磯村は、学外の友達と原宿や渋谷へ遊びに行くようになる。一緒に遊んでいた学外の友達は、東大を目指してなどいなかったが、生き生きとやりたいことに没頭していた。その姿を見て「洗脳が解けた」。
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抑えきれない心の声
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東大を目指さなければならない状況と本当にやりたいことの狭間でもがいたが、高校3年生の冬、「美術をやりたい」という心の声が無視できないほどに大きくなった。
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「人って、何かやりたいことを目標にしたり、それを叶えるために努力したりしながら生きていると思うんですけど、その時は自分のやりたいことにフタをしすぎちゃってたから、またあのころみたいなカビ人間に戻ってしまった。あまりにも心の声を抑え過ぎて、こんなの自分の人生じゃないと絶望していました」
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死にたくなるような人生だけど、美術をやれる人生だったら生きていく覚悟が自分にはあるか。それを真摯に問うた結果、どうしても美術がやりたいと心に決め、反対する母を命を懸けて説得した。
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その結果、高3の冬、すでにセンター試験の願書も出した後に、そのまま美術系の予備校にも行かず、ほとんど準備もせずに受けた多摩美術大学に一発合格。念願だった美術の道へと踏み出し、息を吹き返した。その1年後には、藝大も受験。見事審査員の満票を獲得して合格した。
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「僕は魂から描きたくて描いているんだぞっていう気持ちでした。整えられた絵よりも自分の絵の方を教授たちもきっと面白がってくれると思っていました」
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心置きなく美術の制作ができる環境を手に入れた磯村は、「新しい人生を手に入れたような気分。描いていいし、描けるし、つくっていいのが嬉しくて、体力が続く限り毎日描きまくりました」。美術家となったいまは「毎日が楽しくて仕方がない」という。
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追いやられた側に立ったからわかること
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磯村がテーマにするのは、民衆の芸術だ。「王様が描かせたような絵画よりも、自然発生的に民衆が発展させていった美術に興味がある。そういうものは、社会の思想や変動を如実に反映していたり、連動していたりするから」だ。
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幼いころから家庭にも学校にも居場所がなかった。オーストラリアの留学では、東洋人ということで人種差別にもあった。そんな経験から、自分がつらいときに手を差し伸べてくれた人の優しさが心に染み、自分と同じようにつらいと感じている人の気持ちもわかるようになった。
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「それまでは、社会問題をアートにするのは不純かもしれないと思っていたけれど、2016年にイギリスの欧州連合離脱問題(ブレグジット)が出てきたときにゾッとしたんです。これが決定したら、人々の中に潜んでいる差別的な感覚が助長されるのではないかと思って。日本も無関係ではないと。それ以来、自然にそういうテーマが増えていきました」
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そこにいるだけで価値がある
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その延長が彫刻「地獄の亡者」シリーズだった。以来、難民やLGBTQなど、気がつけば居場所を追われた人々に寄り添う作品をつくり続けている。
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「アートは自分が絶好調のときでも、絶不調のときでも唯一できること。なので、それができるようになったいまがとても幸せだと感じている。僕は、人間はただそこにいるだけで肯定される価値があると思っているので、そうではない環境に置かれている人たちのために、何かアクションを起こせたら。人はそこにいるだけで価値があると作品を通して伝えたい」
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美術家は投資家や権力者、そして同時に絶望の淵に追いやられている人たちともつながることができ、フラットなコミュニケーションをとることもできる。やれることは多い。
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「世の中では美術を享受できている人はまだ限られている。僕が絵を描くことに救われたように、今後は美術に触れる場づくりもしていきたい」
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いそむら・だん◎1992年東京生まれ。東京藝術大学卒。Asian Cultural Councilのフェローに選ばれ、2019年9月からニューヨークを拠点に活動予定。
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Forbes JAPAN 編集部
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〔2019年8/27(火)Forbes JAPAN〕 <br>
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8050問題
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8050問題を巡る、社会・親子の「認識のズレ」。大切なのは「ゴールを設定しない対話」
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深刻化する8050問題。家族や周囲、そして社会はどう対処すべきか。引きこもり問題を20年以上にわたって取材を続けてきたジャーナリストの池上正樹氏と、多数の引きこもり患者の診察を行ってきた精神科医の春日武彦氏に、引きこもり中年問題の課題と対処法を論じてもらった。
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「曖昧な定義」は危険
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春日:まず僕が懸念するのは、現在「引きこもり」の定義が非常に曖昧な点です。かつての引きこもりといえば思春期の挫折が長期化、または統合失調症などに罹患しているケースでした。でも、現在話題になってる引きこもり中年は、むしろセルフネグレクトであり、文脈が違います。原因や対処法も異なるのに、一括りに「引きこもり」と認識するのは危険だなと思います。
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池上:おっしゃる通りです。引きこもり中年は、不登校の延長でなく会社や仕事の危機から起こるケースが多い。非正規雇用による将来への閉塞感や、ハラスメントなどの過酷な労働環境から自分を守るために、引きこもらざるを得なくなる人も増えています。本質は安心して相談できる場や居場所づくりの問題なのに、行政は就労支援ばかりで、適切に対処できていないことが、8050問題の元凶だと思います。
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欠けている家族間のコミュニケーション
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春日:引きこもり本人のケア以上に、家族のケアももっと必要なんですけどね。「川崎殺傷事件」と「元農水事務次官事件」以降、当事者の家庭で「我が家もこうなるのではないか」と不安を抱く人が増えていると思います。
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池上:私のところにも相談がかなり来ていて、親だけでなく子の側も「自分も親に殺されるかもしれない」と、怯えていますね。
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春日:両事件で共通するのは、家族間でコミュニケーションが取れていないこと。交流があれば支援できたこともあるはずです。
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池上:「元農水事務次官事件」にしても、会話ができていれば、「事件を起こすのでは」という強迫観念に囚われて、息子を刺すことにはならなかったんじゃないかと。「川崎殺傷事件」では、行政の助言で叔父夫婦が、加害男性に手紙を送っています。手紙の内容はわかりませんが、仮に「引きこもりをやめて」などと書いたなら、相手を追い詰めるトリガーになってしまった可能性があります。
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春日:手紙という手段自体は悪くないですが、否定的なことを書くのは逆効果ですよね。
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ゴールを設定せずに子供の話を聞いてあげてほしい
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池上:まず子供の話をよく聞いてあげてほしいです。親側はよく「ちゃんと聞いている」と言うんですが、「外に出て働くこと」をゴールに設定して話してしまっていたら、子供は「何を言っても無駄だ」と諦めます。結果、家は安住の場ではないと思い、コミュニケーションの断絶や家庭内暴力につながりかねません。あとは否定せず、褒めることも大事です。「元事務次官事件」の息子のネットゲームにしても評価するべきでした。強みになる可能性があって、実際、開発中のゲームのデバッグ(実際にプレイしてバグを探すこと)の人材を求めている大手企業もありますからね。
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病院に行くことで手当を受け取れるようになることも
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春日:働いて自立してくれるのがベストでも、長期間の引きこもりから一気にそこまでいくのは困難ですからね。生活費などの経済的な問題については、セーフティネットとして障害者年金や生活保護など公的機関に頼りながら、段階的に就労する手段もあります。その受給資格を得るためにも、本人抜きの家族だけでもいいから早めに病院に行き、医師に相談してほしいです。
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池上:あとは、公的機関の相談窓口や、家族会に行くのも手です。実例でも「名士の親が、子どもの引きこもりを隠して孤立し、悪化する」というケースが多いですが、場に行けば、いろんな当事者家族に出会えます。意外と地元の名士のご家族も多いので安心できるはず。「うちだけが変なのではないか」と思い詰めず、ぜひ積極的に外部に相談してほしいですね。
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【春日武彦氏】
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精神科医、作家。都立中部総合精神保健福祉センター、都立松沢病院部長、墨東病院精神科部長などを経て、成仁病院院長を務める。近著に『猫と偶然』(作品社)
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【池上正樹氏】
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ジャーナリスト、日本文藝家協会会員。KHJ全国ひきこもり家族会連合会事業委員としても活動する。近著に『ルポ ひきこもり未満』(集英社新書)などがある
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― 引きこもり中年の衝撃 ―
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ハーバービジネスオンライン
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〔2019年8/27(火)HARBOR BUSINESS Online〕 <br>
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絶望名言
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[大弦小弦]絶望の中でも一人じゃない
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NHK「ラジオ深夜便」の人気コーナーを書籍化した「絶望名言」は、古今東西の文学作品から絶望に寄り添う言葉を紹介する。大学時代に難病を発症し、13年に及ぶ療養生活を経験した頭木(かしらぎ)弘樹さんが選定・解説する言葉は奥深い
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▼例えば、作家カフカの〈生きることは、たえずわき道にそれていくことだ〉。思いがけず大病を患い、「本来の人生を失った。脱線してしまった」との意識に苦しんだ頃に出合い、救われたという
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▼一見ネガティブ。だが悲しい時にバラードが聴きたくなるように、つらい気持ちを代弁する言葉に、無理に前を向かなくてもいいと言われている気がして心が軽くなる
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▼夏休み明け前後に増える子どもの自殺を防ごうとの取り組みが広がっている。新聞各紙では、いじめや挫折を経験した著名人らの体験談を掲載。県内でも「#不登校は不幸じゃない」と題した全国一斉のイベントがあり、不登校経験者が「学校に行けなくても大丈夫」と語り掛けた
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▼千差万別の体験談に共通のメッセージが読み取れる。生きづらさを抱えている「君」へ、焦らなくてもいい。絶望の中でも一人じゃない、と
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▼頭木さんは、絶望している人誰しもが真っすぐ立ち直れるわけでないとし「ゆっくりそばにいて、せかさずに」と助言する。君の周りにも寄り添う大人がいる。(大門雅子)
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〔2019年8/27(火) 沖縄タイムス〕 <br>
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夏休み終盤
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夏休み終盤に限って、親は子どもの「観察魔」なるべき理由
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「いつもと違う何か」を察知することが大切
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夏休みももうすぐ終わります。そのようなタイミングで、もし子どもが「学校に行きたくない」と言ってきたら、親であるあなたはどうしますか?
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国立精神・神経医療研究センター(小平市小川東町)内の「自殺総合対策推進センター」の調べによると、小学生から高校生までを対象にした直近10年間のデータで、自殺者数は8月下旬から9月上旬にかけて多くなることが分かっています。
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こういった結果を踏まえ、子どもの親としてどう対処していけば良いのか考えていきます。
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夏休みが後半にさしかかると、「早起き生活がまた始まるから嫌」「学校に行くのが面倒」と冗談めかしく話す子が多く現れます。こういった言動の中に、子どもの異変が隠れています。
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上記のような言葉のほか、子どもが頭痛や腹痛などの体調不良を訴えてきても、異変と考えていいでしょう。学校再開までのカウントダウンが始まると、不安で夜に眠れなくなる子どもは少なくありません。これまでの様子と比べ、子どもが落ち込んでいたり、口数が少なくなったりしていないかを観察しましょう。
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子どもは成長するにつれ、「親に心配をかけたくない」と敢えて明るく振舞うようになります。「もう思春期なのかな」と思う親もいるかもしれません。しかし子どもは小学校高学年前後から空気を読み、本音を言わなくなります。元気過ぎたり、家族に優しすぎたりするなど、「妙に良い子になっている」と感じたら、それも危険なサインなのです。
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「なんで行きたくないの」と子どもを問い詰めない
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子どもが学校に行きたがらないと、大半の親は「どうして行きたくないの?」と理由を聞きたがります。イジメだけが原因ではありません。学力不振や対人関係の疲れなど、複合的な要素が積み重なっているケースもあります。
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そのような要素を親が強引に解決しようとしても、本当の解決とは言えません。親が子どもに対してすぐに答えを求めてしまうと、心を閉ざしてしまう恐れがあります。
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理由を聞きたくなるのはわかりますが、まずは子どもが抱えている不安や悩みを聞くようにしましょう。声に耳を傾けるだけでよいのです。否定の言葉や人生訓を説くのはかえって逆効果ですので控えましょう。「親は自分の味方」であることを言動で示すのです。
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「うちの子に限って」という思い込みを捨てる
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親と言えども、子どもの本心を見抜くのは簡単ではありません。近すぎるからこそ見えないこともあります。「ここまで追い詰められていたなんて」と、後から事実を知ることだけは避けなければいけません。
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普段と様子が違うと感じたら、声がけはもちろんのこと、心療内科やスクールカウンセラーといった第三者に頼りましょう。子どもは成長すればするほど、自分の気持ちを親にストレートに伝えることに抵抗感を覚えます。まずは専門家に診てもらい、抱えている不安を吐露できる機会を作ってあげてください。
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「子どもはそのうち、本当の気持ちを打ち明けるだろう」と様子を見ていると、状況は悪化します。子どもは「親は結局、自分を学校に行かせようとしている」と思ってしまうので、決して胸の内を見せようとしなくなります。あらゆる事態を想定し、身内で話を済ませようとせず、外部の人に頼ることを考えてください。
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悩んでいる子どものイメージ(画像:写真AC)
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「学校がすべてではない」と親が態度で示す
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子どもが学校に対して不安や恐怖を抱いているなら、無理に学校へ通わせないようにしましょう。「そのくらい我慢しろ」など親から言われたら、子どもは絶望的な気持ちになり、誰も信じられなくなります。
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現在、不登校に対するサポートは充実しています。私たち親世代とは、考え方も雰囲気も変化しているとまず自覚しましょう。もはや、「学校に行かなければ人生が終わってしまう」という時代ではないのです。
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子どもを守ることを最優先し、無理に学校に通わせようと必死になってはいけません。学校外の教育サポートや、不登校児を積極的に支援している民間団体に一緒に見学に行ったり、関連する資料を集めたりして、「学校だけがすべてではない」という考えを持っていることを子どもに示してあげましょう。
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夏休み前後はいつも以上に注意する
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前述のとおり、夏休み前後に子どもの自殺数は増えます。「わが家には関係のない」と考えず、子どもの様子や言動の変化に注意してください。
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「笑顔が少ない」「自室にこもる」「外出したがらない」など、1年前の夏と違うところはないか比較してください。そういった些細な変化を自分の「思い過ごし」とせず、子どもから発せられているSOSに積極的に気づくことが、親に求められているのです。
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中山まち子(ライター、元塾講師)
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〔2019年8/26(月) アーバン ライフ メトロ〕 <br>
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展覧会「表現の生態系」
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白川昌生、高山明ら31組による「世界との関係をつくり変える」実践。展覧会「表現の生態系」がアーツ前橋で開催
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鴻池朋子 Dream Hunting Grounds(部分)2018 作家蔵
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いま、芸術や美術館にはどのような役割が求められているのか。これを「世界との関係をつくり変えていく実践」ととらえ、アーティストによる作品・プロジェクトを紹介する展覧会が群馬の
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アーツ前橋で開催される。会期は10月12日~2020年1月13日。
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本展を手がけるのは、芸術人類学や神話学を専門とする石倉敏明、都市社会学を専門とする山田創平、アーティスト・白川昌生、そしてアーツ前橋の学芸員からなる企画委員会。分野を横断しながら、社会における芸術の役割を様々な視点から検証する。
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同館は2016年から福祉、医療、教育などの分野と協働し、社会における「生きづらさ」に対して表現が持つ可能性を考える「表現の森」プロジェクトを始動。本展では同プロジェクトの4年間の活動に加え、LGBTQ支援をテーマに活動を行う団体「ハレルワ」と山田創平、ブブ・ド・ラ・マドレーヌ、あかたちかこによる新プロジェクト・作品を展覧する。
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また本展では、前橋の赤城山に着目した宗教性や共同性に関するリサーチを通して、9作家が新作を発表。なかでも白川昌生は岡本天明、金井南龍、ヨーゼフ・ボイスやシュタイナーなどを取り上げながら、日本における精神の流れとヨーロッパの芸術の関係を提示する。
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そのほかにも高山明/Port
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Bは、インドシナ難民で精神疾患を持つ人々を受け入れてきた施設「あかつきの村」を舞台に、その歴史を体験できる新作を発表。また滝沢達史は、ひきこもりや不登校を経験した若者たちが通う「アリスの広場」と協働し、まちなか商店街での拠点づくりを新たなプロジェクトとして展開する。
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教員や美術・医療・福祉・教育を専門に学ぶ学生は入場無料の本展。会期中にはトークや上映など様々なイベントも予定されているため、こちらもあわせてチェックしてほしい。
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〔2019年8/26(月)美術手帖〕 <br>
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白石あづさ
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「神も仏もありません」インド仏教の最高指導者は日本人!母国とかけ離れた日常生活
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13億人の人口のほとんどがヒンドゥー教徒だったはずのインドに異変が起きている。社会に強く根づいているカースト制度にすら入れず、「触ると穢れる」と長い間、差別されてきた不可触民の人々を中心に、仏教に改宗する人が急増しているのだ。
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半世紀前には数十万人のみだったインドの仏教徒数は現在、1億5千万人を超え、今でも増え続けている。その偉業を成し遂げたインド仏教の最高指導者が日本人であることは、あまり知られていない。
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まるでヤクザの親分
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白石あづささんの最新刊『世界が驚くニッポンのお坊さん 佐々井秀嶺、インドに笑う』は、今や伝説的な僧侶・佐々井秀嶺氏の人生と日常に密着したノンフィクションだ。
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「佐々井さんと知り合ったのは、2015年の春です。インドでの佐々井さんの活動を支援する南天会の方から、“ちょうど佐々井さんが帰国しているので、取材をしませんか”とお話をいただいたんです。
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以前からユニークな方だと聞いていたので、1時間ほどのインタビューをさせていただきました。その際に、“あんた、インタビューが上手だな。ぜひインドに取材に来なさい”と声をかけられたんです」
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世界100か国以上への渡航経験がある白石さんはインドを訪れたこともあるという。
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「そのときには佐々井さんの言葉を真に受けたわけではなくて、遊びがてら久しぶりにインドに行ってみようかなぁ、くらいの気持ちでした。ちょうどインドが涼しくなる10月に、インド仏教最大の祭典『大改宗式』が行われたので、それを見に行ったんです。
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日本で取材をさせてもらったときの佐々井さんは気さくでニコニコしていたというのに、大改修式ではインド人僧侶たちをドスの効いた声で統率していて、まるでヤクザの親分のようでした」
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大改宗式の取材写真が『週刊文春』に掲載されると、白石さんのもとには佐々井秀嶺氏のノンフィクション本の執筆依頼が10社以上から寄せられたという。
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「でも、正直なところ、佐々井さんは強烈な人間ですし、インドは埃っぽいし、普通に歩いているだけで牛がぶつかってくるし。旅行でも大変なのに、また仕事で行くことはもうないだろうと思いました」
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風向きが変わったのは『週刊女性』の「人間ドキュメント」に佐々井氏の記事を寄稿したのがきっかけだった。
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「その記事を読んだ佐々井さんがとても喜んでいて、“あいつ、本を書けばいいのに”と言っていると人づてに聞いたんです。佐々井さんは自分が有名になりたいわけではなくて、インドの仏教事情をもっと知ってもらいたいから本を書いてほしいんだろうなぁと思いました。
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すでに80歳を越えるご高齢ですし、“よし、書こう!”と決め、いちばん最初に書籍の執筆依頼をくださった文藝春秋の方に連絡をしたんです。そしたら、すぐに予算が組まれて、“気が変わらないうちに行ってきてください”と言われました(笑)」
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色に溺れた佐々井青年
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佐々井秀嶺氏は岡山県で生まれ、成長とともに女性に対して並々ならぬ関心を抱くようになった。
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色に溺れ、3度の自殺未遂を経て仏教に出会い、タイへ渡ったのちにインドの中央に位置する都市ナグプールへとやって来た。波乱万丈のその人生には、しばしば神秘的な瞬間が訪れている。
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「子どものころにひどく衰弱したとき、山伏のお告げにしたがって赤い目の蛇の心臓を150個も200個も飲んだとか、3度目の自殺を図ろうとしたときに妙見菩薩の声で思いとどまったとか、大乗仏教の開祖・龍樹のお告げを聞いてナグプールに来たとか。
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つっこみどころ満載ではあるのですが、でも、どのエピソードも本当らしいんです」
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天に導かれるように現在の地位までたどり着いた佐々井秀嶺氏は、妬み嫉みの対象になりやすい人物でもある。実は、白石さん、インドでの取材中にしばしばスパイ映画さながらの場面に直面したという。
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「私はおいしいものが大好きなのですが、佐々井さんには“誰かにもらったものを食べてはいかん”、“お前は食いしん坊だから毒殺されないか心配だ”としょっちゅう言われていました。実際、佐々井さんは何度も毒殺の標的になっているらしいんです。
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あと、2週間のインド滞在中は基本的に佐々井さんに密着していたので、暗殺される可能性がある場所へも一緒に行くはめになり……。無事に帰って来られてよかったです(笑)」 
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偉大なる存在の佐々井秀嶺氏だが、その日常は日本のお坊さんのイメージとは大きくかけ離れている。
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「食事は近所の信者の方々が持参する料理で、住まいは12畳ほどの質素な部屋です。その部屋で結婚相談とか、娘さんの留学先のトラブルといった市井の人たちの悩みを聞き、解決策を講じたりするんです。
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佐々井さんは“民衆を守るのが僧侶の役目だから”とおっしゃっていて、行政では対応できないことを全部、引き受けているように感じました」
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白石さんは、佐々井氏から深く学んだことがあるという。
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「佐々井さんはよく、“神も仏もありません。泣いてすがるんじゃなくて、寺に集まり相談し助け合え”と説法しています。日本でもみんなで集まって相談できる場所があれば、引きこもりとか不登校といった問題を解決できるんじゃないかなぁって。
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佐々井さんの活動を間近で見るうちに、そんな考えを持てるようになりました」
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ライターは見た!著者の素顔 佐々井氏に日本食を食べてもらいたい一心で、食材持参でインドに渡ったという白石さん。
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「高野豆腐や乾燥わかめ、鮭の燻製、缶詰といった食材と、めんつゆ、だし、お酢などの調味料を持っていきました。滞在した宿坊には台所がなかったので、湯沸かし器で煮物や汁物を作ったんです。
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佐々井さんはすごく喜んで食べてくれたのですが、だんだん舌が肥えて“今日のは味が薄い”などと言われるようになり……。取材期間が2週間でよかったです(笑)」
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PROFILE ●しらいし・あづさ。日本大学藝術学部美術学科卒業。フリーライター&フォトグラファー。地域紙の記者を経て約3年の世界放浪へと旅立ち、帰国後は旅行雑誌や週刊誌などに執筆。これまでに訪れた国は100以上にのぼる。著書に『世界のへんな肉』など。
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(撮影/北村史成 取材・文/熊谷あづさ)
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〔2019年8/26(月) 週刊女性PRIME〕 <br>
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春名風花
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春名風花「声を大にして書く」 いじめている人へ「学校なんて来なくても良いんだよ」
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女優で声優の春名風花が25日から26日にかけてツイッターを更新。夏休みが終わるこの時期に、いじめられている子たちへ「つらいなら学校へ行かなくてもいい」と訴える声が増えることに「『学校に行かなくてもいいんだよ』というメッセージは、本来、いじめている側にかけるべき言葉です」と持論を訴えた。
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春名は「毎年この時期になると『無理して学校に行かなくて良いんだよ』というツイートがタイムラインに溢れます」と切り出し「一見優しい言葉に見えますし、緊急対応としても間違いではありません。でも『学校に行かなくてもいいんだよ』というメッセージは、本来、いじめている側にかけるべき言葉です」と訴えた。
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そして「他人の学ぶ権利を邪魔するのならば、学校には来ないでください」「真面目に学校に通いたい人達の迷惑になります」と“いじめている側”へ呼び掛け、いじめられている人へは「あなた方は堂々と学校に行く権利があります。誰にも遠慮せず学ぶ権利があります。その事を絶対に忘れないでください」と強く訴えた。
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さらには「『つらいなら学校なんか行かなくて良いんだよ』と、いじめられた側を追い出して、何事もなかったように学校生活を送る人達を、僕は絶対に許さない」ともつぶやいた。そして「なので、夏休みの終わりに声を大にして書いておきます。『いじめをするのなら、学校なんて来なくても良いんだよ』」と、自身の考えをつぶやいた。
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その後も春名は、いじめられ不登校になった側が勉強が遅れたり、社会復帰できないことの理不尽さをつぶやき、「不登校の受け皿が用意されているなら不登校でも良いと思います。けれど現状は、いじめで不登校を選択した末に学歴もなく引きこもり、社会復帰すらままならない子が大勢いる」。一方いじめた側は、普通に生活を送れることに「納得がいかない」ともコメント。「なぜいじめられた上に勉強する権利まで奪われるのか」など、つぶやきは止まらない。
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翌日にもツイートは続き、「これからは被害者を不登校にすることで『その時だけ』問題を解決したことにしている現状から、もう一歩先の『本当の解決』に踏み出して欲しいと僕は思う」とも呼び掛けていた。
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〔2019年8/26(月) デイリースポーツ〕 <br>
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沖縄県 令和の小さな偉人プレゼン大会 
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いじめをなくす方法 「小さな偉人」は考えた 子どもが今思うこと、14組がプレゼン
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子どもたちに伸び伸びと自分の意見を主張する場をつくろうと、「令和の小さな偉人プレゼン大会 子供は平和を作る天才!!」(主催・子供社長クリエイタースクール)が24日、沖縄県豊見城市の中央公民館であった。
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県内の子どもを中心に14組が舞台に立ち、日頃思っていることや取り組んでいる芸能活動、抱いている夢などを自由に発表した。
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沖縄アミークスインターナショナル小学校(うるま市)6年の松山航世さんは、いじめをなくすために、どうしていじめが起きるのかを友人らと表現した映画を上映。「いじめは自分のことばかり考えているから起きる。いじめる側もいじめられる側も苦しくなる」と主張した。
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また、補聴器を日頃から利用する同小5年の山本朝日さんは、学校生活で困ったことなどを動画で紹介。「補聴器は耳の眼鏡。耳は聞こえにくいけれどこれが僕。違うことを認め合えることが大切だと思う」と発表した。
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金武小学校6年の田場日那詩(ひなた)さんは、辺野古新基地建設について「争いの無い平和な世界へ」と題して発表。自分なりに調べた賛成派と反対派の意見を紹介し、「トラブルの原因は、相手を否定することから始まる。すぐ否定せず、意見の違いを楽しめば対話もできるのでは」と思いを伝えた。
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審査員はダンサーで演出家のRYON・RYONさんらが務め、子どもたちの発表に一つずつうなずきながら聴き入っていた。
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子供社長クリエイタースクール校長の仲宗根美幸さんは、自らが不登校になったことのある過去を振り返り、「枠にはまらず、言いたいことを表現できる場にしたかった。大人になって忘れていたことを、子どもたちが来場者に教えてくれたのでは」と話していた。
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〔2019年8/26(月)沖縄タイムス〕 <br>
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志堅原京子
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学校がつらい君へ 登校で吐いていた少女、伝えたいのは「自分を責めないで」
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つらい不登校経験を発信する志堅原京子さん。悩む人へ「自分を責めず、リラックスを心掛けて」と笑顔で語り掛ける=23日、那覇市内
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多くの学校で夏休みが終わる。学校に行くのを憂鬱(ゆううつ)に感じる子どもたちは少なくなく、8月下旬から9月上旬は、全国的に子どもの自殺が増える傾向にある。小中学生のころ、学校に行けなかった志堅原京子さん(41)=那覇市=は、つらい思いを抱える「君」へ語り掛ける。「学校に行かなきゃ、と自分を責める必要はない。自分を大切に、リラックスすることを何より心掛けてほしい」
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【「ハーフは強み」】ミス沖縄に5度の挑戦 24歳の秘めた思い
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志堅原さんは、小学3年から中学3年の2学期まで不登校だった。原因は分からないが、学校に行こうとすると吐いてしまう。次第に水しか受け付けなくなり、体重は一時16キロにまで落ち込んだ。
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入退院を繰り返すも、原因は見つからない。「学校に行かなきゃ。行きたい」と思い続けていたが、体がついていかなかった。「やり直したい」と考えるようになった中3の時、7年間続いた嘔吐(おうと)が止まった。「学校に行けるようになるタイミングは人それぞれ。周りが行かせようとしても、行けない時は行けない」と理解を求める。
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悩む親子は「夏休み明けからは頑張ろうね」と約束しがちだ。志堅原さんは「行きたくても行けない子が多いと思うので、周りの人はプレッシャーを与えず、見守ってほしい。待ってほしい」と呼び掛ける。
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将来への不安を口にする親子も少なくない。志堅原さんは高校卒業後、大学に進学し、ヨーロッパへの短期留学や一人旅も経験。IT企業に勤めてからは優秀な営業成績を収め、現在はピラティスのインストラクターで、2児の母。「社会で活躍する不登校経験者はたくさんいる。心配することはない」とほほ笑む。
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2年ほど前から始めたブログで、自身の不登校経験をつづっている。18日には「#不登校は不幸じゃない」と題したイベントで、体験を語った。終了後、娘が同じように嘔吐で苦しんでいるという保護者に「学校に行かせようと考えていたけれど、変わろうと思った」と声を掛けられた。
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「そう思ってくれたことが本当にうれしかった」と志堅原さん。「私が不登校だった頃から30年近くたった今もつらい思いをする子がいて、むしろ増えている。発信を続けて誰かの救いになりたい」と話した。
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(社会部・嘉数よしの)
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〔2019年8/26(月) 沖縄タイムス〕 <br>
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HSC(ハイリー・センシティブ・チャイルド)
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新学期に注意したい不登校・引きこもりの一因となるHSCとその対応策とは?
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不登校の一因のHSCとは?
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若い時と中年期からの引きこもりは区別して考えたほうが良い
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引きこもりによる様々な問題が明らかになり、特に8050問題と呼ばれる中高年の引きこもりが大きな社会問題となっています。8050問題と言われる背景には学生の時の不登校が引き続き、長い間引きこもりになる例やいったん就職はできたものの様々なストレスで会社を辞めて引きこもりになる例があります。若い時に退職して長く引きこもる場合と、中高年になって疲れ果てた状態で引きこもる場合がありますが、両者は少し区別をしておいたほうがよいのかもしれません。
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若い人が就職して間もなく引きこもりになるのは学生時代からの引きこもりとある程度同じような原因と思われます。40-50歳で会社を退職して引きこもる場合は過重労働やパワハラなどの環境的な要素で多くはうつ病やうつ状態または不安障害が原因のことが多いようです。中年まで仕事をしていたので、結婚して子供がいる方も少なくありませんが、離職したとたんに収入が途絶えて別居や離婚に至るケースもよくあります。精神的に落ち込んで一人で暮らすのは困難なために実家に戻って両親と生活する人も多いでしょう。
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男性更年期から引きこもりへ
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私の男性更年期外来には、働き盛りで精神的ストレスから仕事ができなくなって訪れる人が多いです。まだ休職中なら何とか復職できるように我々も頑張るのですが、すでに退職してしまった人が新しい職場を見つけるのは大変です。どちらにしても精神状態を立て直して仕事に復帰することが一番重要であり、何とか定年まで引っ張ることが我々の務めと思っています。定年、あるいは再雇用まで引っ張れば少ないながらも自分の年金でしばらく生活することは可能です。8050問題をはじめ引きこもりの大きな問題は経済活動ができないということでしょう。
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子供の不登校・ひきこもりの一因となるHSCとは?
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さらに9月前には子供たちの不登校にも気を付けていただきたい。最近では啓発活動が進み、新学期に無理に子供たちを学校に行かせることが、大きなストレスとなり危険な行動になる可能性があることが周知され始めました。そして不登校や引きこもりの原因としてHSC(ハイリー・センシティブ・チャイルド)という概念が注目されています。一言でいうと周囲の刺激に敏感な子供たちのことで、大人になっても敏感な人はHSP(ハイリー・センシティブ・パーソン)と呼ばれます。HSCもHSPも病気ではありませんが、勉強や仕事などの社会生活が辛くなる場合があります。特に敏感なのは五感と気遣いです。
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HSCは人の多いにぎやかな場所が苦手、光やにおい・味に敏感で、人の気持ちを察しすぎるという特徴があり、幼い時にはちょっとしたことで泣いたり、睡眠が浅かったりします。気配りが上手で、繊細さがあることからうまく自分の感情をコントロールできれば社会でも優れた才能を発揮する可能性があります。性格なので病気ではありませんが、医師の診察を受けると発達障害や不安障害と診断されることもあります。
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HSCやHSPはエレイン・N・アーロン博士が提唱した概念です。日本では2015年に「ひといちばい敏感な子」(明橋大二訳)として紹介され、その後色々な専門家がHSCに関する本を出版しておられます。病気ではないので診断基準というものはありませんが、23項目のチェックリストなどが紹介されています。この23項目には少しわかりにくい設問もあるために、私が患者さんなどの聞き取りから、少し簡単なチェックリストを作ってみました。このチェックリストは特に広く認められていないものですのでこんなものかな?と考えていただければ幸いです。(8/19の関西のおはよう朝日でも紹介されました)
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1 すぐにびっくりし、驚かされるのが苦手
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2 服の布地がチクチク感じ、縫い目や服のラベルが気になる
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3 しつけは、怒るよりも、優しい注意のほうが効果的
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4 親や友人の心を読んで気を使う
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5 においや音・光・痛みに敏感
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6 慎重で、大きな変化にうまく適応できない 
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7 細かいことに気づき、よく質問する
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8 服がぬれたり、汚れるとすぐに着替えたがる
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9 大勢より、一人で静かに遊ぶのを好む
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半分以上当てはまればHSCまたはHSPの傾向があるかもしれませんが、あくまでも目安と考えてください。まだ十分に検討していませんが私の男性更年期外来の患者さんの約半数が昔はHSC的、いまもHSPであると言います。またそのようなご両親から引きこもりや不登校の子供たちの相談にも応じてきましたが、かなりの子供たちがHSCに該当します。HSCは遺伝するというわけではありませんが、親子の性格が似るために、親子で生きづらい状態になっている人は少なくありません。
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現代社会では敏感な人は生きにくい
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昔からHSC/HSPの方はおられたと思いますが、最近大きな問題になってきた背景はなんでしょうか?色々な要素があると思いますが、私は世の中が情報であふれかえり、良いことではありますがコンプライアンスが重視されきちんと生きていくことが重要な時代になってHSC/HSPのような敏感な人が生きにくくなったように思えます。特に過敏なだけで社会生活に支障がなければ問題はありませんが、少し人と違っているなと感じた時にはまず本人や保護者がHSCを自覚し、先生や友人など周囲の人に理解してもらうことが必要です。周囲からあまり理解されないと、学校に行くことや友人関係に疲れて不登校や引き籠りになる可能性もあります。自分がHSC/HSPとわかるだけで気が楽になる人もいます。
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多くの方がHSCやHSPに対しての知識があり、それなりの対応をしていただければ大きな問題は起こりませんが、それはあまり簡単なことではありません。特に小学生くらいの子供たちにそんな配慮を求めるのは難しいことです。そのために友達や先生の心無い発言や態度に心が傷つき不登校にいたる敏感な子供たちは少なくありません。言った本人ですらいじめと意識しないような言葉でも心が傷つく子供たちはいます。引きこもりや不登校の原因には明確ないじめは比較的少なく、友人関係や体調不良が大きな原因と言われています。実際に調査をしても明確ないじめがない場合も多いですが、友人の何気ない言動に敏感な子供が傷ついている場合があります。
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HSCを理解する以外の対応策とは?
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周囲の理解を十分得ることができないときは対応の方法はないのでしょうか?以下の対応方法は私の大学での研究成果と臨床の経験からのお話で一般的ではないことはご了解いただきたいと思います。
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非常に敏感ということは少し鈍感になれば楽になるはずです。性格的に鈍感になるように指導するのは結構大変ですので、私は少し鈍感になる薬を処方することしています。そんな薬はあるのでしょうか?それは私もよく服用しているベータ遮断剤です。ベータ遮断剤の主な適応は高血圧ですが、中には頻脈(脈が速い)、片頭痛、本態性振戦(手先が細かく震える)などにも効果が認められている薬もあります。HSCの方は大概上記のような症状がありますので、処方することは可能です。ただ気管支喘息のような呼吸器の疾患が疑われる場合は使用できないこともあります。向精神薬ではないので依存の心配もほとんどありません。薬である程度過敏な感覚が緩和すると学校や社会で過剰に気を遣うことがなくなり症状が改善することが多いです。視覚や聴覚は10歳代で、味覚や嗅覚も20歳代で、鈍感になりますので、多くの方は年とともに薬を必要としなくなります。
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HSCは豊かな感性や思いやりの心で社会に貢献できる可能性を秘めていますが、引きこもりや不登校が長期間続くと社会生活が困難になる恐れもあります。HSCそのものは病気ではありませんが、社会生活に支障をきたすのであれば専門家に相談する(実際は理解できる専門家が少ないのも問題ですが・・)ことも考えてもよいのではないでしょうか?
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石蔵文信
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医師/循環器、心療内科医/家族・夫婦・定年問題専門
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内科専門医・循環器専門医・性機能専門医・超音波指導医。大阪市内と都内で男性更年期外来担当。循環器病・夫婦問題や定年後男性の生き方などが専門。各地で料理教室を開催。主な著書として『夫源病』(大阪大学出版会)『男のええかげん料理』(講談社)『なぜ妻は、夫のやることなすこと気に食わないのか エイリアン妻と共生するための15の戦略』 (幻冬舎新書) 『妻の病気の9割は夫がつくる (医師が教える「夫源病」の治し方)』『親を殺したくなったら読む本 (親に疲れた症候群の治し方)』(マキノ出版)など多数。日本原始力発電所協会代表(http://eco-powerplant.com)
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〔2019年8/25(日) 石蔵文信  医師/循環器、心療内科医/家族・夫婦・定年問題専門〕 <br>
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漫画「君が教えてくれた居場所」
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いつも明るかったあの子が過呼吸に……教室の憂鬱さ晴れるまでを描いた漫画「好きなものを探すのが一番」
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ヒヅキオキナさんの「君が教えてくれた居場所」
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【#withyou~きみとともに~】
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特別大きな悩みがあるわけではないけれど「いつも憂鬱だった」と話す女の子は、ある出来事がきっかけで世界が色づいていくーー。漫画「君が教えてくれた居場所」の作者のヒヅキオキナさんは、「手放したくないことが一つでもあれば生きていける」と語ります。withnewsと漫画のSNS運営する「コミチ」がコラボし、「#わたしの居場所」をテーマに作品を募集。入賞した本作は、「居場所」に気付くきっかけを教えてくれます。(朝日新聞記者・金澤ひかり)
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明るかったあの子が過呼吸に……教室の憂鬱さ晴れるまで描いた漫画
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ムードメーカー「マチちゃん」にうらやましさ
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「私はいつも憂鬱だった」。物語は、教室でほおづえをつく女の子・ケイちゃんの心の声から始まります。「勉強は兄と比べられる」「美術部だって私より上手な人ばかり」――。
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一方、同じ教室には、いつも笑顔のグループがあり、中心には「マチちゃん」がいます。勉強もスポーツもできるマチちゃんは「ムードメーカー」です。
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うらやましさを抱くケイちゃんでしたが、ある日、いつも明るいマチちゃんが過呼吸を起こしていることを知ります。
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「この子も生き辛さを感じていたのかな」「笑顔の裏でどんな思いを抱えてきたんだろう」。そんな気持ちがケイちゃんに芽生えます。そして「苦しいのは、私だけじゃなかったんだ…」とも。
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しばらく経って、マチちゃんから「ライブ来ない?」と話しかけられるケイちゃん。公園で路上ライブをするというのです。
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放課後、ライブの場所に急ぐケイちゃんの耳に、マチちゃんの歌声とギターの音色が響きます。
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ケイちゃんに音楽が届いた瞬間、それまでモノクロで描かれていた作品には、オレンジを基調にした色がつきます。
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ケイちゃんは「のびのびと自由に歌う彼女の姿に心が揺さぶられた」と感じ、気づくのです。「彼女の居場所はきっとここなんだ」
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そしてケイちゃんは再び絵を描くことを始めます。「今までは人と比べて嫌になってやめちゃってたけど 余計なことは考えないようにしたんだ」と友達に話します。友達が「いいな なんか楽しそうだね」と応じると、ケイちゃんはスッキリとした表情で「大丈夫!きっと楽しいこと見つかるよ」。
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モヤモヤの10代がベース
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作者のヒヅキさんは、「不登校になるくらい思い悩んでいたことはそんなに多くなかった」と話しますが、モヤモヤとした気持ちを抱えて過ごした10代だったといいます。「友達をうらやましく思う気持ちがあったり、自信がなくて何をやってもだめだと思ったり…」。
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そんな自身の経験が作品のベースにあります。「ミチちゃんにはモデルがいて、ケイちゃんは、私寄りの子です」
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路上ライブは「オレンジ色」
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モヤモヤを抱えていた高校1年生のヒヅキさん。ある同級生が、自分が演奏する路上ライブに誘い出してくれたそうです。ミチちゃんのモデルになった同級生です。
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当時、路上でギターを弾き、歌う彼女の姿がとても印象的で、「堂々としていて、楽しそうだった。自由に何かをできるのはいいなと思ったんです」
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そのときの様子を、作品でも描きました。
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作中、「ミチちゃん」が路上ライブを始めると、世界はオレンジ色に変化します。ヒヅキさんは「歌を聴いて、ケイちゃんの世界が拓けたことを表現したかった」と話します
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なぜ、「オレンジ色」に変化したのか――。ヒヅキさんは「ミチちゃんのモデルになった同級生の路上ライブを聞きに行ったとき、夕焼けの中で歌う彼女の姿がとても印象的だったから」と振り返ります。
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劣等感も他人の目も気にならない時間
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昔から絵を描くことが好きだったというヒヅキさん。「絵を描いている時間は、劣等感を感じることも、他人の目を気にすることもなく、没頭できるんです」と話します。
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「人の目を完全に無視することは、なかなかできないですよね。でも、他のことを考えずに夢中になれて、のびのびとできる時間は、それを忘れさせてくれる時間です」
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そんな自由で開放的な時間を、どう見つけたら良いのでしょうか。
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「好きなものを探すのが一番です。本でも楽器でも、アニメでもゲームでもいい。好きで、手放したくないものが、一つでもあればそれを支えに生きていける。それがある意味、居場所の一つになるんじゃないかな」
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     ◇
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withnewsはマンガのSNSを運営する「コミチ」とコラボし、「#わたしの居場所」をテーマに生きづらさを抱える10代へ向けた作品を募集しました。のべ35作品が集まり、4作品を入賞に選びました。入賞者のみなさんは、どんな思いでマンガを描いたのか、ご自身の経験とともに振り返ってもらいました。
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ヒヅキオキナさんのTwitter:@hiz_oki
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いろんな相談先があります
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・24時間こどもSOSダイヤル 0120-0-78310(なやみ言おう)
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・こどものSOS相談窓口(文部科学省サイト)→http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/06112210.htm
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・いのち支える窓口一覧(自殺総合対策推進センターサイト)→https://jssc.ncnp.go.jp/soudan.php
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【#withyou~きみとともに~】
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withnewsでは、生きづらさを抱える10代への企画「#withyou ~きみとともに~」を進めています。今年のテーマは「#居場所」。目に見える「場所」でなくても、本や音楽...好きなことや、救いになった言葉でもいいです。生きづらい時間や不安な日々をしのげる「居場所」をみなさんと共有できたらと思います。
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〔2019年8/25(日) withnews〕 <br>
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ブラック校則
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その校則、ちゃんと説明できますか? ― なぜ、理不尽な校則は変わらないのか
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理不尽な校則に6万人のNO!
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スカート丈から下着の色の指定、髪の毛を染めさせることまで、なぜ、学校にはわけの分からない校則があるのか、なぜ直そうとしないのか。
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子どもたちに苦痛を与える理不尽な校則をなくしてほしい、そんな願いから6万人もの署名が集まり、8月23日に文科省に提出された。
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報道記事によると、署名とともに文科大臣に提出された要望書では、次のことを述べている。
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(1)生徒の心身を傷つける「ブラック校則」をなくし、いきいきと過ごせる学校にしてほしい。
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(2)「校則」と「校則に伴う指導」に関して改めて実態調査をしてほしい。
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(3)「ブラック校則」についての問題を認識し、各都道府県、各教育委員会、各学校に対して、校則を改めて見直し、子どもたちの声を反映した改善を行って、適切な運用がされるように通知を出して周知徹底してほしい。
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出典:BuzzFeed Japan 記事(2019年8月23日)
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当事者や署名に賛同した方の気持ちは大事にしたいが、本来は、校則は、国が出しゃばる話ではない。
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各学校の判断(校長の裁量、権限)で修正していくことも、やめることもできるものだ。置き勉などもそうだが、なんでも文科省の判断や通知に頼らないといけないのでは、「なんのために校長がいるのだ?」という話にもなるのではないか?
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「○○ということは校則で定めなければならない」なんて言う法律はどこにもないし、学習指導要領にもない。校則には法的拘束力はないし、本来はその程度のものなのだ。
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参考記事として、先日、憲法学者の木村草太先生に聞いたことをまとめた
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毛染め強要あるいは禁止から考える、校則はなんのため?【もっと学校をゆるやかにしよう】
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校則をなくした中学校が報道などで注目を集めたりするが、それも、オカシナ話だ。小学校の多くには変な校則はないし(制服・標準服もないところが多い)、中学校だからといって、校則があることを前提にしているほうがヘンだ。
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また、下着チェックなどのセクハラは言うまでもないが、外国にゆかりのある子の増加や発達障がい、LGBTをはじめとして、児童生徒の状況は多様化しているのに、画一的なルールを強要しようとするのは、弊害も大きい。人権を大事にしよう、とか生徒には言っておきながら、教育が必要なのは教員側のほうではないか、と思ってしまう。
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だが、現実には、理不尽な校則が幅をきかせている学校が少なくない。「ここに自浄作用はないのだろうか」と思える学校もある。だから、これほど署名活動にまでなるのだろうし、文科省にお願いせざるを得ない状況になっているのだろう。
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変な校則は、なぜ生き残っているのか。学校がなかなか変わらない理由をいくつか考えてみた。
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理由1:「校則をゆるめると、生徒指導上、面倒になる」と考えているから。教員にとっては「これは校則だ、ルールだ」として押しつけていたほうが、ラクだから。
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「なんで茶髪だとアカンのですか?」、「どうしてピアスはいけないんですか?」、「お化粧はダメですか?」などなど、言っていくとキリがないことは多い。学校、教員としては、「ルールで決まっている。ルールを守れないヤツは社会人としてもやっていけないぞ」などと言っておいたほうが、話が早いのだ。
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だが、この理屈はかなり苦しい、と思う。ルールと言うなら、守らないといけないのは、校則よりも法律だ。日本は法治国家なのだし。法律で未成年は黒髪でなけれならない、とか規定されていないのだし、法律で決まっていること以外は、学校も、もう少し自由でいいのではないか。私立学校のように、入学を選択するときに、その校則があることを理解、承知のうえで入る場合ならまだしも、公立中などでは学校を選べない場合も多い。なのに、「これは学校で決まっていることだから」という理由で押しつけるのは、かなり乱暴だと思う。
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それに、生徒指導上大変になるとはよく言われるけれど、本当にそうなら、全国各地の小学校はもっと荒れているはずだ。
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だいたい、中学校や高校で生徒指導が大変になるのは、別の背景がある。もちろんケースバイケースだけれど、ひとつは授業が難しくなって、分からなくなることの影響も大きい。日中の大部分を占める授業がつまらないので、反抗したくなる子も出てくる。もちろん、これに家庭環境や友達関係でのストレス、あるいは何かのことがきっかけで膨らんだ教員への不信感などが加わってくることもある。
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校則を厳しくすることや、校則に(or 校則で)従わせようとすることは、こういう生徒指導上のしんどい子の背景、要因とはミートしない対策だし、前述のとおり、むしろ生徒の多様化を踏まえると、マイナス影響(校則による指導がイヤで不登校になるなど)のほうが大きいかもしれない。
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「頭髪指導とか、スカート丈のチェックをやるヒマがあるなら、授業改善か生徒の本音を聞き出そうとすることに時間とエネルギーを使え!」そう、ぼくは申し上げたい。
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理由2:茶髪等では就職活動や入試の面接のときに不利になるなど、校則を正当化する理由を疑っていないから。
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これもよく聞く話なのだが、少なくとも2点ツッコミどころがある。
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第1に、仮にそうだとしても、それで不利になる(可能性がある)ことは生徒に知らせたうえで、決めるのは本人でもよいはずで、一律に全員に対して規制する理由にはならない。
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第2に、「髪の毛の色などで判断されるくらいの就職先なら、わたしは行きたくありません」という子がいてもいい。IT業界をはじめとして、企業側もそうとうゆるやかになっているところも多い。こういう意見に、教員側はきちんと向き合えるだろうか?
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また、校則を維持する別の理由としては、「学校は勉強するところであり、ファッションを見せる場ではない」というのがある。それはそうだろうし、たとえば香水がキツくて周りに迷惑がかかるような場合などでは規制してもよいと思うが、特段、学習環境に支障をきたすものでないかぎり、規制する合理的な理由はない。髪の毛の色がなんであっても、勉強も運動もできる。
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仮に「学校は勉強する場であり、ファッションはするな」という理由が通るなら、教員側も化粧なし、毛染めなしにするのだろうか?
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理由3:変えると、保護者等の一部から反対があり、面倒だから。
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髪の毛の色、化粧などを自由にすると、保護者や地域からクレームが来る。この対応は、正直毎日が忙しい学校にとっては、大きな負担になるだろう。一番目の理由とも重なるが、校則で規制しておいたほうがラクなのだ。
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だが、この理由もオカシイ。校則を見直す理由をきちんと説明すれば、それほど大きなクレームにはならない可能性もあるのだが、そういう説明や対話をはっしょっている。
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また、面倒だ、負担になるからといって、理不尽な校則や必要性の低い校則を維持、強要する理由にはならない。当たり前の話だ。
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上記3点の理由以外もあるだろうが、その校則はなんのためにあるのか、十分に合理的な理由はあるだろうか、理由はあっても別の規制方法もあるのではないか、なども考えてほしい。子どもたちに主体性や思考力が大事だなどと言っておきながら、学校があまりにも前例踏襲で、先生たちに主体性も思考力もないようでは、困る。
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★妹尾の記事一覧
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妹尾昌俊
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教育研究家、学校業務改善アドバイザー、中教審委員(第9期)
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徳島県出身。野村総合研究所を経て2016年から独立し、全国各地で学校、教育委員会向けの研修・講演などを手がけている。学校業務改善アドバイザー(文科省、埼玉県、横浜市等より委嘱)、中央教育審議会「学校における働き方改革特別部会」委員、スポーツ庁、文化庁の部活動ガイドライン作成検討会議委員、NPO法人まちと学校のみらい理事。主な著書に『変わる学校、変わらない学校』、『こうすれば、学校は変わる! 「忙しいのは当たり前」への挑戦』、『学校をおもしろくする思考法―卓越した企業の失敗と成功に学ぶ』、『「先生が忙しすぎる」をあきらめない』など。4人の子育て中。
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〔2019年8/24(土) 妹尾昌俊 教育研究家、学校業務改善アドバイザー、中教審委員(第9期)〕 <br>
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夜間中学支援を拡充方針
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文科省、夜間中学支援を拡充方針 全国に設置目指す
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文部科学省
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不登校などで学校に通えなかった人が再び学びの場を確保できるようにするため、文部科学省が来年度予算の概算要求に、夜間中学に関連する経費として本年度の3倍近い1億3千万円程度を盛り込む方針を固めたことが24日、分かった。
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夜間中学については、在留外国人が増える中で、義務教育を終えず来日した人の勉強の場としても需要が高まっている。文科省は全都道府県と政令市で設置を目指しており、新設を検討する自治体を手厚く支援する。
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〔2019年8/24(土) 共同通信〕 <br>
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不登校・ひきこもりから脱出するための子育て術
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不登校を生む教育現場の課題(2)「スポーツ推薦」「スクールカウンセラー」の真実――子どもが不登校・ひきこもりにならない/から脱出するための子育て術
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私立校で不登校や退学になりやすい背景に、スポーツ推薦制度があります。
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2019年5月。元号が平成から令和に変わり、日本中が新しい時代の幕開けに心躍らせていた矢先に起こったのが、スクールバス襲撃や元農水省幹部の長男刺殺といった「ひきこもり」に関連した凄惨な事件の数々でした。若者の不登校・ひきこもり問題に30年以上支援活動を続け、延べ1万人以上の生徒を立ち直らせてきた著者が、事例を踏まえて解決の糸口を贈る『不登校・ひきこもりの9割は治せる』(7月18日発売・光文社刊)より、不登校を引き起こす教育現場の内情についてご紹介します。「スポーツ推薦」、「スクールカウンセラー」編です。
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◆スポーツ推薦は退部=退学?
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もうひとつ、私立校で不登校や退学になりやすい背景に、スポーツ推薦制度があります。
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昨年は日本大学アメリカンフットボール部の悪質タックル事件を皮切りに、スポーツ現場でのパワハラ問題が相次ぎましたが、事の本質は同じです。
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朝日新聞記者の中小路徹さんのスポーツ推薦や部活動の問題に迫った『脱ブラック部活』(洋泉社)という本にも詳しく現状が書かれています(私もこの取材に協力しています)。
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スポーツの強豪校では、部活動の成績が学校の知名度や評価に直結しますから、監督やコーチも、勝てれば何をやってもいいといったマインドになりがちです。先輩からのしごき、いじめもあります。
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相談を受けたあるケースでは、柔道部で先輩からのいじめがありました。
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団体戦に出られる選手は1年生から3年生までを含めて5人だけなので、実力のある1年生が、試合に出られない3年生の先輩に猛烈ないじめを受けるのです。
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こうしたことはたいてい、大人が見ていないところで起こります。相談に来た生徒は、先輩から「締め技ってこうなんだぞ」と死にそうになるくらいの技をかけられたり、わざと耳をつぶされたり、指一本だけを持って背負い投げされて、けがをしたりしたといいます。
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こうしたパワハラを受けて部活を辞めようとしても、スポーツ推薦で入学した場合、部活を辞めてしまうと、事実上高校生活自体を続けられなくなります。
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部活のスポーツばかりをやらされて、きちんと勉強を教えてもらっていないので、スポーツ推薦の生徒が在籍するコース以外の普通コースに移れないのです。実際にあったハルトくん、リュウタくんの例をあげます。
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【ハルトくんの事例】
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(現在、通信制高校2年生。野球のスポーツ推薦で高校入学後、不登校になり、退学)
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中学3年生の時、ある大会で活躍したハルトくんが、都心の私立高校のスカウトの目に留まり、チームの監督の薦めもあり、この私立高にスポーツ推薦で入学しました。
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順風満帆に見えたハルトくんでしたが、野球部のグラウンドが電車で1時間以上かかる郊外にあったのが誤算でした。
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朝は5時に家を出て、朝練をこなしてから授業を受け、放課後に部活でみっちり練習して帰宅すると、いつも夜10時をまわっていました。監督や先輩からのいじめはなかったものの、あまりに厳しく長時間にわたる練習で、身も心もすり減ってしまったのです。
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勉強して大学進学を目指す普通コースと、部活で結果を出して推薦で大学進学を目指すスポーツコースでは、校舎の場所も違い、グラウンドのすぐ隣がスポーツコースの校舎でした。当然、部活を休んだのに、学校だけに行ける雰囲気ではありません。
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ハルトくんは部活に出なくなると同時に、学校にも行かなくなりました。行かなくなって1週間くらいしてから、学校だけに行ってみたのですが、ハルトくんが教室に来ただけで、クラスの空気が一変したといいます。
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「異様な空気で、とてもその場にいられませんでした」とハルトくんは振り返ります。
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スポーツコースから普通コースへすぐ移りたいと学校へ願い出たものの、受け入れてもらえず、それ以来、学校へは一度も行かず、1年間ひきこもってゲームばかりしていたそうです。その後、ひきこもりから脱出して、通信制高校に編入学しました。
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ハルトくんは「スポーツ推薦で入学すると、あまり勉強は教えてもらえずにスポーツばかりやらされますが、そのスポーツがうまくいかなくなったら、学校にいられず、進学の道も閉ざされてしまいます。将来生きていくためには、やはり勉強して高卒資格を取ったり、大学に進学したりすることが大事です」と言い、今は大学受験に向けて勉強しています。
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【リュウタくんの事例】
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(現在、通信制高校2年生。サッカーのスポーツ推薦で私立高校に入学し、先輩から執拗ないじめを受けて退学。その後通信制高校で高卒資格取得を目指している)
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リュウタくんは幼稚園生の時にサッカーを始め、地元のクラブチームでめきめきと力をつけて、小学生の時は全国大会で活躍し、海外へサッカー留学していました。
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現地では朝から昼までサッカーの練習で、昼ご飯の時だけ日本語学校へ行き、ご飯を食べながら勉強しました。
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午後はまたサッカーの練習をして、サッカー漬けの毎日を送っていました。中学校3年生で日本へ帰国すると、全国の高校からスポーツ推薦入学のオファーが来たといいます。
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そのなかのひとつのサッカー名門高校に進学しましたが、リュウタくんは1年生なのに最初からレギュラーで特別待遇だったことが、先輩たちのいじめにつながりました。
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いじめをするのは、レギュラー以外の2年生、3年生です。部室に呼び出され、先輩たちに周りを囲まれて、スパイクで体を蹴られるなどの暴行を受けました。いじめは半年くらい続いたといいます。
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監督もまるで独裁者のようで、自分の思った通りにしないと、試合にも出してもらえず、個人攻撃されたそうです。
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「自分のプレーの質も落ちるし、モチベーションもなくなった」とリュウタくんは退学しました。現在は通信制高校で高校卒業資格を取るのを目標にしながら、同時にクラブチームでサッカーの練習をしてプロを目指しています。
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これまで見てきたように、私立校で不登校や中退、ひきこもりが生まれる背景はさまざまです。ただ、学校側がその対策をとっているかどうかといえば、私は不十分だと考えています。
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◆スクールカウンセラーへの過剰な期待
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私立側が不登校対策としてよくあげているのが、スクールカウンセラーです。「スクールカウンセラーが週に3日来ているので相談できます」などと、胸をはって言いますが、私に言わせれば、何の解決にもなりません。
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なぜかというと、カウンセラーは聞くだけだからです。受容して肯定するだけなのです。
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「不登校なのです。どうしたらいいですか」と相談しても、「そうなのね、不登校なのね」と言うだけ、肯定するだけで終わってしまいます。確かに生徒や親の気持ちを肯定することも非常に大事ですが、そこから先に進めません。
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また、スクールカウンセラーは外部委託の場合が多く、学校内の人間関係もほぼわかっていません。
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「A先生がこうで、B先生がこう言った」と相談されても、わかってあげられないのです。「ああ、B先生、ちょっと面倒臭いところあるよね」などと生徒に共感してあげることもできません。ですから、適切なアドバイスをしにくいのです。
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「スクールカウンセラーに相談して、カウンセラーさんと仲良くなったはいいけど、その後、結局何も事態は変わらず困っています」といって当会に相談に来るケースはよくあります。
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当たり前ですが、先生は自分のクラスの担任だけでなく、教科ごとにいます。9教科あれば9人の先生がいるわけです。
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担任の先生に悩みを相談できればいいのですが、担任の先生と相性が合わない場合もあります。それなら別の先生に相談すればいいのです。
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すると、学校内の人間関係もよくわかっているので、生徒の納得するアドバイスができるのですが、最近多い外部委託のカウンセラーでは、ほとんど話が通じなくなっているのです。
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不登校の子が学校へ行くようになるために、ひきこもりの子が自分の部屋から出てくるために必要なのは、カウンセラーのような自分と全く違うポジションにいる人ではありません。
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一番効果があるのは、親でも先生でもない、ちょっと前まで自分と同じ体験をしていたような、同じくらいの年齢の友達と関わることなのです。
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〔2019年8/24(土) 本がすき。〕 <br>
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子どもの居心地のいい場所
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「逃げろ」だけでは無責任 子どもの居心地のいい場所を見つけるために
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発達外来で今も発達障害のある子どもや不登校のある子どもの診療を続ける平岩幹男さん
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夏休みがもうすぐ終わろうとする今、ひとりぼっちでつらい思いをしている子どもがたくさんいる。
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学校に行きたくない。でも家にもいられない。どこにも自分の居場所がない。
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追い詰められていく心にどうやったら手を差し伸べることができるのだろう。
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発達障害の専門家で、不登校の子どもや学校に行きしぶる子どもを長年診てきた小児科医、平岩幹男さんにお話を伺った。
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【BuzzFeed Japan Medical / 岩永直子】
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不登校、行きしぶりも含めたらもっと多い
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ーーなぜ子どもの自殺や不登校は増えているのでしょう。
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まず、現状を把握しましょう。厚生労働省の人口動態統計によると、2017年に10歳から14歳までの死因でもっとも多いのはがんを抜いて自殺になりました。大人の自殺が減っているのに対し、子どもの自殺は食い止めるための効果的な手段が見出せていません。
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日本財団が2018年に18~22歳の若者を対象に行ったインターネット調査では、3割の若者が本気で自殺をしたいと考えたことがあると答え、もっとも多かった理由は「学校問題」で約半数を占めました。
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この学校問題を詳しく見るといじめが多く、いじめや不登校を経験した若者の多くが自殺を本気で考えていたことがわかりました。
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ーー小中学生の不登校は13万人と言われていますから、それは深刻ですね。
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13万人だけではありません。不登校の定義は年間30日以上欠席することですが、30日まで行かなくても学校に行きたくない「行きしぶり」の段階の子どもはもっと多くいるのです。
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「お腹が痛い」「頭痛がする」「布団から起きられない」「トイレから出られない」などと訴えて、学校に行きたがらない経験をしたことがある人は多いでしょう。
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日本財団の「不登校傾向にある子どもの実態調査」では、不登校まで行かない年間欠席数が30日未満の子どもは全中学生の1割以上に当たる約33万人と推計されています。自殺の可能性も決して他人事ではないのです。
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発達障害が背景にある子どもも
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ーー不登校や行きしぶりですが、先生の専門である発達障害がある子どもは多いのでしょうか?
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多いのかどうかはわかりませんが、診療している間に行きしぶりや不登校になったり、不登校ということで受診して発達障害と診断する子どもはたくさん診てきました。
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発達障害があっても学校で友達とうまくやる子はうまくやるのですが、コミュニケーションがすごく下手な子がいじめを受けることはよくあります。
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また、例えば学習障害があって字を書くのが苦手な子が、みんなは3回漢字の練習をするのに、一人だけ5回やりましょうと指示されたり、ADHD(注意欠陥・多動性障害)の子が授業中立ち歩きをするため、20分休みを取り上げられたり、教師の不適切な指導で、気持ちが潰れてしまうことがあります。
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20分休みは子どもの権利ですからね。教師が発達障害の対応や支援について不勉強で、そうした行動に罰を与えるような指導を繰り返したら、学校に行きたくなくなるのは当たり前でしょう。
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ASD(自閉スペクトラム、アスペルガー症候群)はコミュニケーションがうまくできないと言いますが、逆に、疲れ切ってしまうほど周りの子どもや先生の気持ちを忖度する子どももいるんです。それで学校に行くのが嫌になってしまう。
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ASDとADHDは併せ持つことも多いですし、症状はグラデーションがあります。また、診断を受けていない子どもも多いです。先生や親にも友達にも行動や感覚の特性を理解されないまま、学校で居心地が悪くなっていくということはよくあると思います。
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また、感覚過敏で学校に行きづらい子どもたちは、学校で過敏に耐えていた経験を持っていると不登校になりやすくなります。
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最近では聴覚過敏や視覚過敏などに対して学校で合理的配慮をしてもらえることも増えてきましたが、まだまだ苦しんでいる子どもたちもいます。これについてはまた別の機会に詳しくお話ししたいと思います。
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「睡眠」「食欲」「感情失禁」が要注意
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ーー医学的に診て、自殺につながる要注意のサインはあるのでしょうか?
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例えば睡眠に乱れが出てきたら要注意です。
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睡眠障害には、寝つきが悪くなる「入眠障害」、途中で起きてしまう「中途覚醒」、朝早く起きてしまう「早朝覚醒」、寝る時間や起きる時間のリズムが狂ってしまう「リズム障害」があります。
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発達障害がある子は、3時間以下の「少眠期」と10時間を超える「過眠期」を交互に繰り返すこともありますが、発達障害の有無に関係なく、こういう睡眠障害がある子どもはストレスや不安が強くなっている可能性があります。
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不安状態が続くと、特に寝つきや寝起きが悪くなるのも特徴です。
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他に「食欲がなくなる」、逆に「過食に陥ってしまう」のも危険なサインです。
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摂食障害は思春期の頭と青年期の頭にピークがあることが知られていますが、夏休みが終わりに近づいて急に食欲が落ちたり、逆に甘いものをいっぺんにたくさん食べたりするようになるのはストレスが高まっている可能性があります。
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さらに、「感情失禁」と呼ばれる、感情を抑えられない状態になることも要注意です。急に涙を流す、笑いが止まらない、ハイな状態が続く、急に落ち込む、急に攻撃的になるなどの形で現れることがあります。感情失禁を見せる子どもは、うつ状態に陥っている可能性がありますので、危険性が高いと言えます。
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まずは気分を変える行動を
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ーーそういう危険な状態に気づいたら、周りは何をしたらいいのでしょう。
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親が気づいたら、まずは親子で温泉に行ったり、山登りに行ったりなど環境を変えて、気分を変えることを勧めています。都内なら、近くの高尾山のような場所でいいんです。できたら軽く汗を流すようなこと、身体活動も伴うことを親子で一緒にやる。
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嫌な感情がないところで、親子が時間と空間を共有することが重要です。
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無理に「最近、調子悪いんじゃない?」「何かあったの?」と聞き出さなくていいです。世間話だけしていればいいのです。世間話ができているうちは死ぬ可能性は低いと思います。本当につらくなると、世間話をする余裕もなくなります。
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日常生活ではないところに連れ出して、一緒に色々なことをすることが大事です。
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親はその時に仕事を言い訳にしないことです。子どもを最優先にして、子どもと非日常の楽しい時間を過ごすことが、子どもを救う可能性があると考えてください。
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家にいるのも居心地がいいわけではない 生活リズムは崩さないように
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ーーその状態が続いて、「学校に行きたくない」と言われたら、どう対応するのがいいのでしょうか?
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まずは、休ませることです。ここで休ませたら、引きこもりになるんじゃないかと心配して無理に行かせようとする親もいるようですが、無理に行かせることは全くおすすめしていません。
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だいたい義務教育の9年間で学校に行くのが一度も嫌になったことがない人なんているのでしょうか?
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ただ、生活のルーチン(お決まりの習慣)は崩さないようにしてください。朝は学校に行くのと同じ時間に起きさせ、着替えさせましょう。好きな時に寝起きさせて昼夜逆転になると、生活リズムが崩れ、本人がやりたいことができた時に何もできない心身状態になってしまいます。
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私の患者で、軽い発達障害がある小学校2年生の男の子は、教師がささいなことで何度も注意するなどの不適切介入で不登校になったのですが、朝は決まった時間に起きてもらい、週2回、スポーツジムに通ってもらうようにしました。
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学校に楽しく行けないなら行かせる必要はないですが、不登校の子どもは学校に行かず家にいることについてもまた、居心地の悪さを感じています。
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「こうしていていいのだろうか?」という不安を抱えている子どもに、「いいんだよ。好きに過ごしなさい」と不登校を容認するのも、逆に子どもを追い詰めることになりかねません。
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無理をして学校に行かなくてもいいですが、その代わりにやれることやその子にとっての「居心地の良い場所」を見つけないと、その子は生きていけません。
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「これをやってみる?」「こんな本を読んでみたら?」と親はその子の心に小さなさざ波のようなメッセージを送って、勉強や運動をさせた方がいい。やりたいことが見つかった時に挑戦できる「準備運動」をさせておかないと、自分のやりたいことが見つかっても動けない状態になります。それは子どもにとってもつらいことです。
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学校や家庭以外で相談できる場所があるだろうか?
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なぜ「9月1日問題」なのか?
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ーー夏休み明けだけではないですが、その前後は特に子どもの自殺が多いことが人口動態統計で明らかになっていますね。なぜ長期の休みの後に、自殺したいという気持ちが高まるのでしょう。
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9月1日問題って日本だけなんです。アメリカやイギリスでは起こらない。なぜだと思いますか?
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日本では子どもたちが家庭や学校以外に相談できる場所がないからです。夏休みが終わりに近づいて学校が始まると行き詰まってしまう。
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だから「逃げよう」となりますね。でも、「逃げろ」と言っても具体性に乏しいです。私もこの時期、学校にいくのがつらい子どもに向けて図書館に行ってごらんとは言いますが、ずっと図書館に通い続けるわけにもいかないのは子どもが一番わかっています。
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緊急避難でしかありません。どこに逃げたらいいのか具体的な場所を示さないまま、ただ逃げろというのは無責任です。
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例えば相談窓口としては、相談電話で「いのちの電話」や「チャイルドライン」などがありますが、いのちの電話はなかなかつながらないし、チャイルドラインも24時間365日ではありません。
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また、24時間365日の電話相談ができても、顔が見えないのはいい面でもあり、悪い面でもありますし、当たり前ですが電話相談には相談の継続性がない。学校の代わりになる、自分の居場所にはなり得ないのです。
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学校健診はメンタルの問題を気にかけていない
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ーーではどうすればいいのかと思ってしまいます。家庭でも学校でもない相談場所として、先生方のような医療の専門家は助けにならないのでしょうか?
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正直、小児精神科医でおすすめできる医療機関がそう多くないのが現実です。
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親が医療機関に連れて行く以外で、医療に接する機会と言えば、学校の健康診断になりますが、不登校の子はそもそも学校健診が受けられないですね。
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そして、健康診断をする学校医の何割が小児科医かご存じでしょうか? 2割だけなんです。ほとんどが内科医です。そして、学校医も思春期の心理状態を勉強し、適切に面談できる医師は多くないのが現状です。
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文部科学省が監修し、日本学校保健会が出している「児童生徒等の健康診断マニュアル」というものがあり、これに基づいて学校医は健診をします。このマニュアルの中にメンタルに関するページはたった2ページです。日本の学校健診は身体的な問題しか対象にしていないと言っても過言ではありません。
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これに比べ、アメリカ小児科学会が出している小児健診のマニュアル「Bright Futures(明るい未来)」は思春期の子どもの精神状態を診るための方法が何ページにもわたって書かれています。
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子どもと親それぞれに、子どものストレス状態やそれに対処できているか聞き出すための問診例まで書かれ、家庭の貧困状態など健康の社会決定要因に気を配る必要性にまで触れています。
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「日本では子どもの精神状態を診るための診療体制も整っていない」と語る平岩さん
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身体だけでなく、心理、社会的側面にも気を配る診療へ
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ーー身体面だけでなく、子どもの心理状態や社会経済的な状態にも気を配る健診や診療は日本では難しいものなのでしょうか?
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実は2018年度から厚生労働省の研究班(主任研究者=岡明・東京大学小児科教授)が設置され、「日本版Bright Futures」を作っているところです。
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乳幼児期から高校生までを対象に、身体的な病気の可能性をチェックするだけでなく、虐待・ネグレクト、食事、睡眠、アレルギー、メディア・ゲーム、発達障害、こころ、性教育、LGBTなどまで、多岐にわたって心身の健康を守るためのチェックポイントや介入方法について専門家がガイドラインを書いています。
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私も「学童期のいじめ・不登校」について書きました。問題を発見するための問診票の開発もここで目指しています。
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ーー身体的な問題だけではなく、子どもの精神状態もキャッチできるようなアプローチは可能なのでしょうか?
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1977年に、アメリカの精神科医のジョージ・エンゲルは、「Bio-Psycho-Social model(身体ー心理ー社会モデル)」を提唱しました。要は、「身体に現れる症状だけを診てもだめで、身体と心と社会関係は複雑に絡み合っており、総合的に診るべきだ」という考え方です。
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例えば、アトピー性皮膚炎が悪化した子どもがいるとしましょう。
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「かゆい」という症状は身体的なものですが、「かゆくて眠れなくてイライラする」は心理的な問題、それが理由で不登校になる、または学校や家庭のストレスが原因でアトピーが悪化するという側面は社会的な問題です。
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ADHDで教室内で立ち歩いて先生や友達に衝動的な行為をするのは身体の問題、繰り返して注意を受けて落ち込むのは心理的な問題、その結果、行きしぶりや不登校になるというのは社会的な問題です。
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いじめ、不登校、そして自殺もこうした「Bio-Psycho-Social model」で多面的に見ながら対処することが必要です。日本版Bright Futuresもその視点を取り込んで作っているところです。
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小児医療で、こうした視点での診療を始めるための取り組みはまだ始まったばかりです。「Bio-Psycho-Social model」の診療を広げ、子どもの命が少しでも守られることを願っています。
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【平岩幹男(ひらいわ・みきお)】小児科専門医、Rabbit Developmental Research(ラビット発達臨床研究所)代表、国立成育医療研究センター理事、なかじまクリニック発達外来担当
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1976年、東京大学医学部卒業。三井記念病院、帝京大学医学部小児科講師、戸田市立医療保健センター参事・健康推進室長(2007年3月退職)を経て、2007年4月、Rabbit Developmental Researchの前身となる研究所を設立し、後に改称。2009年1月からなかじまクリニックで発達外来を開設し、発達障害の子どもの診療に当たっている。2012年4月から国立成育医療研究センター理事。
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発達障害(自閉症)、乳幼児健診、思春期医学を専門とし、『乳幼児健診ハンドブック』(診断と治療社)、『自閉症スペクトラム障害:療育と対応を考える』(岩波新書)、『発達性読み書き障害(ディスレクシア)トレーニングブック』(合同出版)『発達が気になる子のライフスキルトレーニング:幼児期~学童期編』(同)など著書多数。
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ホームページはこちら(http://rabbit.ciao.jp/)。
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岩永直子
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〔2019年8/24(土) BuzzFeed Japan〕 <br>
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===[[:Category:周辺ニュース|周辺ニュース]]===
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完食指導
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激怒して食缶をひっくり返す…過剰な「完食指導」をなくすため、学校に今求められること
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過剰な「完食指導」をなくすには?
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学校給食を残さず食べるように強引に指導する「完食指導」で、指導が過剰になって体調を崩したり、不登校になったりする子どもがいます。さらに、それが原因で「会食恐怖症」という精神疾患になるケースもあります。
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筆者も会食恐怖症を経験した一人です。克服しましたが、同じような悩みを持ち、苦しんでいる人を少しでも助けられればと、一般社団法人日本会食恐怖症克服支援協会を設立して、生徒・保護者と教師の両方から、給食指導や会食恐怖症についての相談を受けています。過剰な完食指導をなくすために、学校側ができることは何なのかをご説明します。
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多くの教師が文科省の手引を知らない
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筆者は、学校給食の過剰な完食指導や会食恐怖症についての相談会を定期的に行っています。先日、開催した保護者向けの相談会では、「担任の教師が給食の過剰な完食指導を行うため、子どもが登校することを渋るようになった」というお母さんが複数参加していました。
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完食指導といっても、筆者が相談を受ける事例は「全員が全て食べ終わるまでお昼休みはなし」「食べないことに激怒し、食缶(給食を保温して運搬する容器)をひっくり返す」「牛乳が飲めない子に、授業そっちのけで5時間目もずっと牛乳を机に置く」など、時代錯誤と言わざるを得ない“過剰な指導”がほとんどです。そして、保護者の中には、自分の子どもが受けたこうした過剰な指導について、涙を流しながら話す人もいます。
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もちろん、時代の流れからすると、全体的にはそうした過剰な指導は徐々に減っているとは思います。しかし、いまだにこうした指導が行われているケースを聞くと、とても残念な気持ちになります。
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では、どうすれば過剰な完食指導をなくすことができるのでしょうか。筆者は、教師や学校側でできることが、まだまだあるのではないかと考えています。実は、給食時の児童生徒に対する指導方針を文部科学省が定めた手引があるのですが、それを教師が知らないケースが多いというのです。
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この手引は「食に関する指導の手引(第2次改訂版)」といいます。その中に「個別相談」という項目があり、給食を食べられない児童生徒への改善を促す指導を行うときの留意点として、以下の9点を挙げています。
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(1)対象児童生徒の過大な重荷にならないようにすること
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(2)対象児童生徒以外からのいじめのきっかけになったりしないように、対象児童生徒の周囲の実態を踏まえた指導を行うこと
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(3)指導者として、高い倫理観とスキルをもって指導を行うこと
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(4)指導上得られた個人情報の保護を徹底すること
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(5)指導者側のプライバシーや個人情報の提供についても、十分注意して指導を行うこと
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(6)保護者を始め関係者の理解を得て、密に連携を取りながら指導を進めること
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(7)成果にとらわれ、対象児童生徒に過度なプレッシャーをかけないこと
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(8)確実に行動変容を促すことができるよう計画的に指導すること
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(9)安易な計画での指導は、心身の発育に支障をきたす重大な事態になる可能性があることを認識すること
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基本的には、この9点が守られているのであれば、会食恐怖症や、給食をきっかけとした不登校などの大きな問題にはならないはずです。しかし、現状としては「手引に目を通したことがない」と話す教師も多いようです。
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毎日、多忙な教師からすれば、「そんな余裕がない」というのが正直なところかもしれません。だからこそ、職員会議などの時間を使い、学校全体でこういったことを確認・共有する機会を設けるべきだと思います。
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また、保護者から児童の給食に関する相談を受けた場合は、なるべく柔軟に対応してほしいと思います。クラスの残飯を気にするよりも先に、生徒の健康を気にすべきです。それができている前提での「完食率」なのではないでしょうか。
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完食率が高い学校の共通点
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ちなみに、給食は自分の学校に給食室がある「自校方式」や、地域の給食センターにお願いする「センター方式」など、形式が学校によって違います。例えば、給食センターによっては、学校に向けて「○○小学校の○年生の残飯はこれくらいでした」という通知を出すところもあるようです。
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それを学校側が、そのままクラス担任の教師に伝えるだけでは、教師個人にプレッシャーをかける結果になり、それが児童生徒への過剰な完食指導につながってしまう可能性もあります。学校側として、ただ教師個人にプレッシャーをかけるだけではなく、「どうすれば、クラスの食べられない子は食べられるようになるのか」も同時に考える必要があるのではないでしょうか。
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筆者がさまざまな教育機関を訪問したところ、給食の完食率が高い学校やクラスには、1つの共通点があることが分かりました。それは「子どもたちの食の個性」を尊重した指導をしていることです。これは当たり前のように聞こえますが、過剰な完食指導をなくすには、こうした当たり前の積み重ねこそが大切なのだと思います。
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日本会食恐怖症克服支援協会 山口健太
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〔2019年8/24(土) オトナンサー〕 <br>
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発達障がいの子どもと「戦略的ハードル設定」
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発達障がいの子どもが“結果”を出せる 「戦略的ハードル設定」とは
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発達障がいで登校渋りがある子どもでも「戦略的ハードル設定」で登校可能に
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発達障がいを「障がい」でなくすためには、「ハードルを下げる」「褒める」ことが大切です。しかし「具体的にどのようにしたらよいかわからない」「それをやっても結果が出ないのであれば、解決にならない(将来自立できない)」と考える方も多いと思います。しかし、そんなことはありません。今回は本人や周囲の人々(養育者・教育者・医療者など)ができる“結果を出すためのハードルの下げ方”を紹介します。【国際医療福祉大学病院小児科部長・病院教授・門田行史/メディカルノートNEWS & JOURNAL】
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◇不安で積極的になれないケースも
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発達障がいの症状に「発達の遅れ」があります。実際には生まれつきの脳の機能異常が原因とされ、本人が遅れを取り戻したくても、すぐに結果を出すのは非常に難しい状態にあります。にもかかわらず周囲や本人が頑張りすぎると、失敗経験が増えて余計にうまくいかなくなり、頭痛・腹痛・めまい・睡眠不足といった体の症状が現れるほか、登校渋り・不登校に至るケースもあります。このような場合に“ハードルを下げる”という対策が有効なことが多く、積極的に勧めています。
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ところが、周囲の人たちは「許容や評価の水準を下げる」ととらえがちです。その結果、「養育者も本人も楽になるかもしれないが、許してばかりでは甘やかしになるのでは?」「社会に出て通用しなくなるのでは?」と不安を感じ、積極的になれないケースをしばしば経験します。
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小さなステップを1つずつクリアしながら最終的な課題達成を目指す「シェイピング法」のイメージ
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◇ハードルの高さ設定は「シェイピング法」で
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ハードルの“高さ”は何を考慮して設定すればいいのでしょうか。
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発達障がいの特性には時や場所を選ばずに出現してしまう「頑固な傾向」があります。「傾向」の現れ方は人それぞれで、得意(強み)と不得意(弱み)の差が大きいのが特徴です。
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ところが、養育者・教育者は、弱みにばかり目を向け、一生懸命になるあまりに(無意識に)ハードルを上げ、それが子どもの負担になってしまう……という悪循環をよく目にします。支援にあたっては、強みと弱みに分け、個人の指標に合わせた目標を設定し、それを達成するためのハードル設定を行うという、“戦略的なハードル設定”が重要となります。
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その方法として、アメリカの心理学者バラス・スキナーが開発した「シェイピング法」があります。比較的簡単にできる目標から始めて段階的に取り組み、最終的に課題達成を目指すやり方です。小さな目標から難易度を少しずつ上げながら1段1段上がっていけるよう、具体的なステップを設定していきます。すぐにできそうな小目標から導入するので成功する可能性が高く、“できた感”を大切にして本人のやる気を保つことができます。
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この過程を踏むと、本人と養育者の共同作業により信頼関係が深まるケースが多いと考えられます。
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戦略的ハードル設定とは子どもと養育者が、結果につながる小さな成功を踏みしめながらベストを尽くすプロセスです。私は外来でこのプロセスを「作戦会議」と呼んでいます。本人主体となるよう大人がサポートしながらご家族で、自発的に共同で「作戦」を立案。私たちからは子どもの特性から考えうる課題解決や悩みを乗り越える方法をアドバイスしています。
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「戦略的ハードル設定」とはすなわち、作戦会議+シェイピング法によって成り立ちます。
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◇「保健室登校」から教室へのステップ
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私たちが国際医療福祉大学病院で実践しているシェイピング法の実例をご紹介します。
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●登校渋り・女子A子さん(12歳)
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頑張って登校しようと努力するが、できなくなりました。夕方から夜にかけて、明日は学校に行くと言いますが、朝になると行けなくなります。学校のことを考えるとおなかが痛い、頭痛がする、夜眠れなくなり、その結果朝起きられません。自信がなくなり行き渋りがでてくることがあります。
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また、学校に行くことはできても、「教室」に不安があり、保健室登校になるケースもしばしばみられます。
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実例:
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作戦会議:まずはできている保健室登校を一定の期間続けてみよう
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1.保健室の扉の前に立つ
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(今日から1週間は廊下を歩けそうでも、扉の前で立つということのみを継続する)
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2.保健室から1歩出る(休み時間ごとに1歩出ることを1週間継続する)
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作戦会議:本人「そういえば、保健室から出たときに廊下を歩いていても怖くなくなってきた気がする」
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3.廊下を歩く(休み時間ごとに歩いてトイレに行くことを1週間継続する)
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作戦会議:本人「廊下に出ていたら友達から誘われて、2階にある教室に行ってみてもよいかな? 怖いけど」。医療者「試してみて、できなかったら、廊下を歩くのをもう少し長く続けるか、別の目標を立ててみましょう。ひとまず教室のある階に行くことを目標にしてみましょう」
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4.教室のある階まで行く(休み時間だと他の生徒がいるかもしれないので、授業時間に行くことを1週間継続する)
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5.教室の前まで行く(授業時間に教室の前まで行くことを数回継続する)
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6.扉を開ける(放課後、他の生徒がいない状況で扉を開けてみる)
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7.入ってみる
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(放課後、他の生徒がいない状況で中に入ってみる。できれば椅子に座ってみる)
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8.放課後、教室の席に座り、できそうなプリントを1枚やってみる
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――このケースでは、結果的には3カ月程度で一部の授業に参加できました。
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お子さんのタイプにもよりますが、更に細かく段階付けをしたり、1~7に期間(いつまでに達成する)を設けたりすると、積極性が増すケースもありました。
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特に意識しているのが、「目標立てと振り返り」です。個人に合った目標を立て、実際に行動しながら、振り返り・修正を加えていきます。
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この過程を通して、実際に必要なスキル獲得・問題解消も目指せます。また、「自分はこれが苦手・これはできる」という自己理解や不安を言葉や文字にする事で、心的負担軽減につながるので便利な技法だと思っています。
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◇ゲーム感覚で苦手意識を克服
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●書字が苦手・男子B君(9歳)
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B君は発達性協調運動障がいと自閉スペクトラム症(ASD)で通院しています。
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発達性協調運動障がいは生まれつきの脳機能障がいが原因で、「頑固な不器用さ」が特徴です。具体的には、書字の問題(筆圧が強い/弱い、枠からはみ出るくらい字が大きく/小さくなる)、手先の不器用さ、姿勢をキープすることが困難――などがみられます。また、学習障がいや注意欠如・多動症(ADHD)、ASDなどとの併存も多くみられます。本人は学校生活の大半で困難さを感じることが多く、書字の苦手さから、(2次障がいとして)登校渋りや不登校の原因となることもあります。
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対策:
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まず、作戦会議です。「君の不器用さは頑固なので、一緒に作戦を練らなければならない。どうしよう?」と、本人と養育者・教育者が相談。
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本人から、
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・書くよりも読む方が得意かな
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・既に習った字は書きやすいような気がする
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・そういえば、ボールペンの方が書きやすかった!
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・大きな字になってよいのなら書けるけどね
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などの意見が出てきたとしましょう。
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次に、シェイピング法を導入します。
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目標を決める:書字の苦手意識を減らすことをゴールに一歩一歩進めてゆく
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上記の対策を書面などにして、クリアしたらシールを張るなど、達成感を与えられる(ゲームをクリアしていく)ような方法をとる。苦手意識を減らす→その学習に取り組むのが楽しくなる→積極性を引き出す――という流れを意識して介入します。
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当院では図のシートを使用することがあります。
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これらは、もちろん、学校の先生との相談が必要です。
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作戦会議では、不器用さを克服しようとせずに話し合うことが重要です。作戦会議を進める過程で、子どもは、自主的に解決できる(特性と付き合える)能力がつきます。また、「自分の特性を否定せず、尊重してくれた!」と感じ、養育者・教育者と子どもの間に信頼関係ができます。まずは、家でのみ実践し、うまくいく場合に学校でも実践可能な方法を作戦会議するのもよいと思います。
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◇「強み」を探して伸ばす
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発達障がいは頑固な傾向があると紹介しましたが、この「傾向」は強みもあります。上記B君は、書字の苦手さを克服する過程でパソコンを使って文字を書かずに勉強する方法を見つけました。それだけでなく、頑固な傾向である「こだわり」を生かしてプログラミングを習得。今では全国大会で優勝するほどの実力の持ち主です。ほかにも私の外来では、4歳で言葉(日本語)の遅れがあるが英語は短期間でできるようになった男の子や、アイデアが次々と出て学級委員長として活躍している女の子もいます。発達障がいの当事者などが自身の強みについて執筆した本も最近よく見かけます。
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本人も養育者も、弱みをなんとかしたいという思いから、強みを探す行動を忘れてしまいがちです。弱みによるストレスをカバーできる強みを探すのは、人生経験が少ない子どもたちよりも周囲の大人の方が得意かもしれません。強みに注目するイメージを持っていただくために、診療現場では「強みはハードルを上げて伸ばし、弱みは後からついてくる」――そんなことを説明することもあります。
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メディカルノート
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〔2019年8/23(金) Medical Note〕 <br>
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中年引きこもり支援団体
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中年でも大丈夫。引きこもり支援団体の取り組み
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山奥の竹林を平地にして農地を造るプログラムが人気。「大変だけど、利用者に0から1をつくる楽しさを知ってもらいたい」(吉田氏)
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引きこもりの社会復帰を促進するさまざまな支援団体の取り組み
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引きこもりの数が増加し、ますます社会問題化する一方で、彼らの社会復帰を支援する団体も存在する。不登校やニートを中心に支援をする自立支援施設「NPO法人MIRAI(ミライ)」もその一つだ。施設では自立を促す取り組みがあると講師の吉田将史氏は説明する。
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一般的な学習塾と違い、協調性やコミュニケーション能力の向上が主な目的である「CARPE・FIDEM(カルペ・フィデム)LLC」
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「MIRAIの寮は都会の喧騒から離れた千葉の成田空港近くにあります。現在の入寮者は15人で、プログラムの質を維持するためにおおむねこの人数を保っています。内容は掃除、洗濯、炊事といった家事指導から、農業、職業体験まで。共同生活を行うことで自立心の向上を促し、労働して報酬を得る経験をすることで社会復帰後に働く自分をイメージしやすくします。20代が中心ですが、40歳前後の入寮者もいますね」
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施設職員と話し合い、社会復帰できると判断すれば卒業する仕組み。職業あっせんもあり、卒業後は定職に就く人も多いという。
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職業体験を通じて働く楽しさを改めて実感
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厚労省が運営する就労支援サイト「地域若者サポートステーション」と連携して、パン作りやDTPデザインなど、企業での職業体験を提供するのが「NPO法人文化学習協同ネットワーク」。代表の佐藤洋作氏が意義を語る。
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「例えば、パンはその日の温度や湿度によっても適切な焼き加減が変わるため、おいしく作るにはスキルと経験が必要。五感を使いながら働く楽しさを改めて感じてもらうことが、職業体験の狙いです」
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取材当日、驚いたのは利用者の明るさだ。「こんにちは!」と元気よく声をかけてくれたのだ。
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「お客さんはスタッフが引きこもりだと知ると驚くんですよ。ネガティブに取られがちな引きこもりですが、きちんと居場所を提供すれば、元気に働きだせる人も多いんです。特に、うちに相談に来るのは、事情があって一度働けなくなったものの、就労に意欲を持っている人が多いです」
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引きこもり支援を拡充しつつ進学実績の高い塾
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3つ目に紹介するのは不登校や引きこもりの生徒が対象の大学進学塾を運営する「CARPE・FIDEM(カルペ・フィデム)LLC」。一般的な学習塾と違い、教室にはゲームやマンガなどの娯楽品や、ベッドやハンモックなど寝具も置いてあり、定期的に無料で参加できる旅行や合宿も実施している。その理由を代表の大村悠輝氏は次のように語る。
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「うちは単に学力の向上よりも、協調性やコミュニケーション能力の向上が主な目的なんです。そのため、生徒同士の仲を深められるような設備の導入や、いろんなものに触れる体験ができる場所の提供を心がけています」
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10代だけでなく、引きこもっていた30代が、勉強を改めてやり直し、大学進学を目指すべく入塾するパターンもあるのだとか。
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「薬学部に進学した例があります。また、その他にも、国公立の医学部や早慶上智などの難関私立大学に合格する人もいますね。仲間と学びや遊びを共にし、成長していく過程が大きいと感じています」
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信頼できる仲間や、働く楽しさ、生きがいを見つけることが、社会復帰への第一歩になるのだ。
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引きこもりを食い物にする悪徳支援団体に要注意
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引きこもりの支援組織が増える一方で、状況を利用した悪徳業者も生まれ、存在が問題視されている。長年、週刊誌で引きこもり問題を追い続けてきたライターのT氏は次のように語る。
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「ヤツらが隠れ蓑にするのは滞在型の自立支援施設です。寮費が月15万円前後に、別途入寮費として15万~30万円。高いカネを取るだけ取って、専門家もついていません。引きこもり中年の親世代は情報収集をする手段に乏しく、言葉巧みに騙されて多額のお金を支払わされるトラブルが後を絶たないんです。なかには、初期費用+3か月分の寮費で500万円以上の契約を結ばされたケースもあります」
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さらに支援プログラムの中身がなく、実質放置しておきながら、長期滞在させて寮費を搾り取ろうとする場合もあるとか。
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「ほかにも、研修と称して入寮者をタダ働きさせ、労働先からの報酬は業者が全額懐に入れるのも常套手段。施設職員による虐待にも気をつけたいです」
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支援団体の透明化も急がれる。
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― 引きこもり中年の衝撃 ―
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ハーバービジネスオンライン
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〔2019年8/23(金) HARBOR BUSINESS Online〕 <br>
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居場所の見つけ方
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「封筒いっぱいの手紙」より欲しかったもの…不登校経験を漫画に 看護師が行き着いた「居場所の見つけ方」
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のまりさんの「学校に行かないことを認めて欲しかったそんなわたしは、」=コミチ
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【#withyou ~きみとともに~】
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仲がいい友達グループと離れ、クラスになじめず不登校になった中学生の女の子。学校に行かなくなっても、「きょうも行かなかったね」と話しかける親や、同級生の「お手紙」に、お腹がジュクジュク痛む日々を過ごします。「家にいる時くらい、安心したいよ」と涙をこぼした少女が大人になって――。withnewsと漫画投稿サイト・コミチが、「#わたしの居場所」をテーマに作品を募ったところ、看護師をしながら漫画を描くのまりさんが「学校に行かないことを認めて欲しかったそんなわたしは、」と題した作品を寄せてくれました。漫画を手がけた、のまりさんは不登校の経験があります。作品に込めた思いを聞きました。(withnews編集部・丹治翔)
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【マンガ本編はこちら】不登校の少女が大人になって……ラストは看護師の経験が書かせた主人公の決意
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のまりさんの「学校に行かないことを認めて欲しかったそんなわたしは、」
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「あんたは、今日うちで1日何してるの?」
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そう言い、仕事へ出かける母親に、「んー、色々……」とあいまいに答えるところから、主人公の女の子の1日が始まります。誰もいない家で、残された朝ご飯を温めている間、頭をよぎるのは昨晩の会話。「きょうも学校行かなかったね」と言う声に、ジュクジュクと痛むお腹をさすります。
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不登校になったのは、クラス替えで仲のいい友達たちと離れてから。「呼んでないのにこっち見た!!」「ねえ!! 何読んでんの!?」。意地悪グループの存在がプレッシャーになり、「あんなとこ、行けないよ」とSOSを出します。
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それでも心は、自宅にいても休まりません。帰宅した母親が手渡したのは、学校の先生から託された同級生からのお手紙。一枚一枚を開ける度に「学級会とかで書かせたのかな…」と気分が重くなり、意地悪い子の名前を見た瞬間、つらい記憶が蘇ります。
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食事を知らせる母親に、「いらない」と答える女の子。心配そうな表情を見せる母親ですが、次の言葉に女の子は心を閉ざします。「あしたは…学校は…?」
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「行かないよ!!」。そう叫んだ女の子は、ベッドの上で涙をこぼします。
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「なんで学校に行くことだけ選ばせようとするの?」「家にいる時くらい安心したいよ……」
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物語の後半は、大人になった主人公が、精神科の訪問看護師として、学校や社会にうまくなじめなくて悩む人たちと接する姿が描かれています。
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「家にいても、色々考えて焦っちゃって……」と相談する利用者の女の子に、「周りがよく見えて焦っちゃうんですね」と寄り添います。
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「看護師さん来てくれるのうれしい」と笑みを浮かべる女の子に「よかった」と返す主人公。そして、こう締めくくります。
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「この仕事をするようになったのは、学校でも家でも安心できなかった自分の気持ちを、忘れたくないからだと思う」
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いつか世に出したいと思っていた
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「いつか世に出したいと思っていた、中学生の頃の気持ちやエピソードを描きました」
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そう語る通り、漫画は、のまりさん(@nmr_psco)の中学2年生ごろの実体験が基となっています。クラス替えで一緒になったのは、意地悪な子たちが集まるグループ。小学生の時にいじめられた経験があるのまりさんは、当時の思い出がフラッシュバックしてしまったそうです。
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他にも、担任が「先生の気持ちを押しつける」などして、「『もうだめだ』と思って、学校に行かなくなった」と振り返ります。
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それからは、両親や妹の通勤・通学を見送り、日中は一人で過ごす日々。一人で過ごす時間に学校のことを考えたり、夕食などで母親から学校の話をされたりする度に、お腹が痛くなったと言います。「母親は完璧主義なところがあったので、学校に行っていない私をどこか許せなかったんだと思います」
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お手紙のエピソードは2学期に入った頃のことです。学校の封筒いっぱいに入った手紙をある日、母親から渡されました。全員からのメッセージが書かれていましたが、「うれしいという気持ちはありませんでした」。クラス替えの直後に不登校になったので、よく知っている人も少なく、無理して書いてくれているのが伝わってきたそうです。
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「大人になった今なら、みんな頑張って書いてくれたと分かりますが、当時は受け入れられなかった。気を使わせて申し訳ないとみじめな気持ちでした」
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漫画のエピソードは「ごく一部」と語る、のまりさん。学校の配慮もあって、3年生から通学を再開しましたが、「休んでいた分、勉強についていけなかったり、男子生徒からは悪口を言われたりしたので、毎日行けたわけではなかった。『かろうじて』通っていました」。
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知り合いのいない高校に行くことも考えましたが、体調面から地元の学校に進学。「なので高校もあまりなじめませんでした。今でいう『隠キャ』。学生生活で楽しい思い出はなかったですね」
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訪問看護の利用者と「あの頃の私」がリンク
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のまりさんは高校卒業後、大学進学のため地元を離れました。「私を知っている人が誰もいない土地で、一人暮らし。子どものころから好きだった漫画を好きなだけ書いて、バイトもして、とすっきりしました」。そして、就活のタイミングになって「一生働ける仕事を」と看護学校に入り直しました。
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看護学校で、自分のような不登校の子どもにも関わることを知り、「この道に進んでみたら、色んなことが見えてくるのかな」と精神科の看護師に。病院の外来などで数年キャリアを積み、昨年、児童精神科の外来で働くようになって、「あの頃の自分もそうだった」と今回のベースとなる漫画を描き始めました。
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ただ、「書きたいことの整理がつかなくて、何を伝えたいのか分からなくなってしまった」と、のまりさん。いったんは執筆から離れ、コミチが開く講座などで漫画の勉強を続けました。
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転機になったのは、今春から始めた訪問看護の仕事です。家を訪れるのは引きこもりの人も多く、「みなさん、『家にいても居場所がない』と言うんです。だいたいは、社会にも居場所がなくて。そのことが、『ああ、私も昔感じた』とリアルに感じられたんです」。
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「その時、漫画のテーマの『#わたしの居場所』がすっと入って来ました。中学生の時の学校に行っていなかった気持ちと、今は訪問看護がすごく楽しいという気持ちをつなげて描けるかなって。1年ぐらい悩んでいた話が、4~5日で完成しました」
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看護師経験が書かせたセリフ
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看護師の経験が生かされているのは、主人公が最後に発した「学校でも家でも安心できなかった自分の気持ちを忘れたくない」というセリフです。
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「この仕事を長くしてきて、自分が関わっても必ずしもいい結果につながるわけではない経験をいくつかしてきました。人によって、学校に行けなくなったり、精神的な病気になったりするきっかけは違います」
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「自分の体験を基に患者さんたちと接しても、ほとんど通用しない。むしろ、こっちが挫折してしまう。それだったら、あの頃の気持ちを自分の中で大事にし続けた方が、挫折した時にも、原点に戻れるんじゃないか。そう思って、あの言葉を書きました」
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ジャンプが居場所だった
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不登校中にベテランの先生から「今はつらいかもしれないけど、未来は明るいから」と声をかけられた時、「今つらいのを何とかしてほしいんだけどな」と受け止めきれなかったという、のまりさん。親や周りの大人、友達にも自分の気持ちを分かってもらえない。「仕方ないな」と半ば諦めながら生きていた時に、楽しみにしていたのが、週刊少年ジャンプでした。
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「ささいなことなんですけど、毎週発売するジャンプをすごく読みたいとか、ジャンプの漫画をマネして絵が描きたいとか、そういったことが支えになっていた部分がありました。いわゆる『逃避』という行動だったのかもしれないんですけど、それが自分の居場所だったというのは、間違いないです」
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「私は今、子どもたちと接する時に『振り返り』を大事にしています。一人でもできますし、この人にだったら話せるという人と、好きなことや楽しいことを振り返るだけでも、気持ちが少し楽になることがあります。あの頃、学校でも家でも安心できなかったけど、『こういう人もいるんだ』というのが分かってもらえたらうれしいです」
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のまりさんのTwitter:@nmr_psco
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     ◇
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withnewsはマンガのSNSを運営する「コミチ」とコラボし、「#わたしの居場所」をテーマに生きづらさを抱える10代へ向けた作品を募集しました。のべ35作品が集まり、4作品を入賞に選びました。入賞者のみなさんは、どんな思いでマンガを描いたのか、ご自身の経験とともに振り返ってもらいました。
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いろんな相談先があります
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・24時間こどもSOSダイヤル 0120-0-78310(なやみ言おう)
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・こどものSOS相談窓口(文部科学省サイト)→http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/06112210.htm
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・いのち支える窓口一覧(自殺総合対策推進センターサイト)→https://jssc.ncnp.go.jp/soudan.php
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     ◇
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【#withyou ~きみとともに~】
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withnewsでは、生きづらさを抱える10代への企画「#withyou ~きみとともに~」を進めています。今年のテーマは「#居場所」。目に見える「場所」でなくても、本や音楽…好きなことや、救いになった言葉でもいいです。生きづらい時間や不安な日々をしのげる「居場所」をみなさんと共有できたらと思います。
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〔2019年8/23(金) withnews〕 <br>
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不登校の当事者によるメッセージ
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「学校に行かない選択」も つらさ否定しないで 不登校当事者らがメッセージ
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不登校の経験を話すさゆりさん=東京都内
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夏休みの終了を前に、NPO法人「全国不登校新聞社」(東京)が23日から、不登校の当事者によるメッセージを発信する。学校の再開が近づく8月下旬は、登校が苦しいと感じている子どもたちが悩みを深める時期。その思いを知る当事者は「つらいなら先生に相談して。それがだめなら、無理して学校に行かないで」「あなた自身が幸せにならなければ意味はない」と声を上げる。
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同法人では、18歳以下の自殺は9月1日が突出して多いというデータが出た2015年から、ほぼ毎年この時期にメッセージを発信している。同法人が発行する「不登校新聞」編集長で当事者だった石井志昂さん(37)は、「子どもは、学校に行けない自分は生きられないと受け止めがち。学校に行かずに生きている人がいることを知ってほしい」と目的を話す。
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今年は不登校中の14歳の中学生から、40代までの5人がメッセージを寄せた。
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川崎市内に住む、さゆりさん(18)もその1人だ。周囲に合わせることが苦手で、小学校時代はいじめにも遭った。
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中学3年生の夏休みは「親にも迷惑をかけてきたし、進路のためにも学校に行かないといけない」と気が重かった。「ささいなことで悩んでばかりの人生なら、死んでやり直したい」と考えているうちに、休みが終わったという。
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最もつらかった夏休み明けに、体調を崩し休みがちになった。なんとか参加した学校行事で教員に欠席の多さを責められ、10月から不登校に。そのまま登校せず卒業した。「学校に行かない選択をしたと割り切ったら、気持ちが楽になった」と振り返る。
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さゆりさんは、通信制高校のオープンスクールで信頼できる教員と出会って進学。在学中は、かつての自分と似た状態の中学生の話に耳を傾け、「楽になった」と言われたこともあった。高校を卒業した今は、不登校者の支援をしたいと活動中だ。「私も死ぬことを考えた。そういう自分の気持ちを否定しなくていい。世の中には、つらい気持ちを丸ごと聞いてくれる人がいる。私もそういう人に出会って救われた」と呼び掛ける。
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不登校当事者からのメッセージは、全国不登校新聞社のウェブサイト(http://www.futoko.org/)で公開される。
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神奈川新聞社
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〔2019年8/22(木) カナロコ by 神奈川新聞〕 <br>
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岐阜市立中学3年男子転落死
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岐阜市中3転落死受け教育の在り方議論
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岐阜市立中学校3年の男子生徒がマンションで転落死し自宅からいじめをほのめかすメモが見つかった問題を受けて設置された市長の諮問機関「市公教育検討会議」の初会合が9日、同市司町のみんなの森ぎふメディアコスモスで開かれた。柴橋正直市長は「(中学生の死という)痛ましい結果を受け、市の教育を見つめ直すため会議をスタートする。自由闊達(かったつ)に議論してもらい、市のあるべき教育の姿について提言をまとめてほしい」と求めた。会議では公教育の在り方などについて話し合い、来年6月をめどに市長に答申する。
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会議は、医療や教育などの専門家やPTAの代表ら8人で構成。月1回開き、子どもたちが互いを大事にする学校風土の醸成や、不登校の子どもたちの教育機会確保といった学びの在り方のほか、教員の働き方改革、地域との関わりなどについて意見を交わす。
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会議の答申を受けて、総合教育会議で市長と市教育委員会が協議し、教育大綱の見直しや教育施策の内容を検討する。
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この日の会合では、委員から「子どもたちの生きづらさがどこにあるのかを深掘りしないといけない」「学校がやらないといけないことが多く、工夫すべき」などの意見が出た。
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岐阜新聞社
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〔2019年10/10(木) 岐阜新聞Web〕 <br>
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通信制高校の質の確保
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通信制が高校改革を変える
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文部科学省が、有識者を集めた「通信制高等学校の質の確保・向上に関する調査研究協力者会議」を発足させました。通信制高校をめぐっては以前、株式会社立ウィッツ青山学園高校(三重県伊賀市、2017年3月閉鎖)など一部高校での違法・不適切な経営や教育が問題になり、対策が強化された経緯があります。
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一方、今回は通信制高校の「前向き」(初会合での複数委員発言)な面にも焦点が当てられる見込みです。議論によっては、中央教育審議会で検討が行われている高校全体の教育改革にも影響を与えそうです。
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実態の変化で違法・不適切な運営も
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高校の通信制課程は戦後、全日制課程の高校に通えない生徒に教育の機会を提供するものとして、定時制課程とともに制度化されました。当初は勤労青年が中心でしたが、近年では不登校や中退など多様な生徒の受け皿として、生徒数や学校数が増加しました。
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それに弾みをつけたのが、私立や、構造改革特区で認められた株式会社立の「広域通信制高校」でした。広域通信制とは、高校の所在する都道府県に限らず、全国や複数の都道府県から生徒を募集するものです。本校舎とは別に、「通学コース」として面接指導などを行うサテライト施設を設けたり、民間のサポート施設と提携したりする例が多く、それによって多様な生徒の実態に対応してきた一方、一部では違法・不適切な運営を誘発するケースが少なくなかったのも事実です。
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そうした事態を是正するため、文科省は2015年12月に緊急タスクフォース(特別作業班、TF)を設置。2017年7月には「広域通信制高等学校の質の確保・向上に関する調査研究協力者会議」が審議まとめを行い、制度改正やガイドラインの策定・改定、点検調査などの対策が取られました。
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今や無視できない存在に
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今回の協力者会議は、会議名に「広域」が付いていません。前回の会議と比べても、「時代の変化、現場の実態に即した通信制高等学校の在り方について」が検討事項に挙がっていることが注目されます。
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最近の通信制高校には、不登校をはじめ全日制や定時制に通えないという消極的な理由ばかりではなく、自由に時間を使いたいという積極的な理由で選択する生徒も増えています。インターネットを活用した高校の登場も、そうした動きに弾みをつけています。文科省の学校基本調査によると今年度、通信制課程を設置する学校は253校(うち通信制のみを設置する「独立校」が113校)で、生徒数は約20万人と、全日制・定時制の4,887校、約317万人と比べても、決して無視できない存在感を示しています。
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通信教育では自主的・自律的に勉強する姿勢が必要になるため、学校側にも全日制や定時制とは違った、独自のきめ細かな指導が求められます。さらに、多様な可能性を期待して通信制を選択した生徒のニーズに応えることも期待されます。一方で、高校教育に求められる資質・能力を育成すべきことは、全日制や定時制の高校と変わりません。「質の確保」は、依然として大きな課題です。
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逆に言えば、質の確保や「向上」は、全日制や定時制にも共通して求められることです。協力者会議で検討される通信制の質の確保・向上策は、通信制の問題にとどまらず、高校教育全体の質の確保・向上策としても問われることになりそうです。
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(筆者:渡辺敦司)
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※通信制高等学校の質の確保・向上に関する調査研究協力者会議
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http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/153/index.htm
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※広域通信制高等学校の質の確保・向上に関する調査研究協力者会議(以前の会議)
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http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/125/index.htm
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プロフィール
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渡辺敦司
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1964年北海道生まれ。横浜国立大学教育学部卒。1990年、教育専門紙「日本教育新聞」記者となり、文部省、進路指導問題などを担当。1998年よりフリー。連載に「『学力』新時代~模索する教育現場から」(時事通信社「内外教育」)など。
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〔2019年11/7(木) ベネッセ 教育情報サイト〕 <br>
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岡田好美(このみ)
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松山初、伊予銀行久米支店で「岡田好美Wordアート作品展」夢は全国制覇
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"あかがねミュージアムアート工房での作品展開催の様子(2019年8月)"
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岡田好美(このみ)さんが描く「Wordイラスト作品展」が伊予銀行久米支店(松山市南久米町、TEL 089-976-0014)で11月5日から開催されている。(松山経済新聞)
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「Wordイラストレーター」を夢に活動する好美さんは、新居浜県市出身の22歳。「Wordイラスト」制作との出会いは、自閉症スペクトラム障害のある好美さんが不登校を選択した中学1年生の時だった。
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「Wordイラスト(Wordシェイプアート)」は、Microsoft Office Wordの「描画ツール」を使って絵を描く技法。老人ホームでパソコンボランティアをしていた埼玉県在住の高倉幸江さんが、2002(平成14)年ごろ「文字入力が苦手なシニアにも楽しい時間を過ごしてもらいたい」と、Wordの図形描画機能を使って絵を描く方法を教えるようになり、その後、お年寄りから子ども達まで幅広い層に広がった。
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最初のきかっけは、不登校を機にパソコンと向き合って過ごす時間が長くなった好美さんに、母の直子さんが「Wordイラスト」を勧めたことだった。元々絵を描くことが好きだった好美さんは、一冊のテキストと出合い、1カ月ほどかけて独学で基本の技法をマスター。さらに新しいテキストや、高倉さんとの交流などをきっかけに作品の幅を大きく広げ、現在は「子猫」のペンネームで作品を発表している。
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Wordイラストに出合った翌年の2011(平成23)年からは、オリジナル作品の制作をスタート。イラストコンテストなどへの応募も開始し、師匠と慕う高倉さんのホームページにも、好美さんの作品を紹介する「子猫ギャラリー」が開設された。
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その後は、子ども発達支援センターでの作品展示や、冊子の挿絵制作などに加え、キャラクターデザインや名刺イラストの制作なども経験。全国各地の作品展などへの応募や入賞の経験も重ねた。2018(平成30)年には、オリジナルキャラクターの「コマリマ」をモチーフにした「風神雷神困利魔図屏風(ふうじんらいじんこまりまずびょうぶ)」が「世界自閉症啓発デー2018シンポジウムプログラム」の代表作品に選ばれ、作品がプログラムの表紙に採用されたほか、地元ケーブルテレビ局の番組タイトルロゴ制作の依頼を受け、現在も放映されている。
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「他の高機能な描画ソフトを実際に体験してみたこともあったが、好美には『Wordイラスト』が一番合っていたようだ」と母の直子さんは話す。「多くの出会いやご縁に後押しされて、たくさんの発表の機会を頂いてきた。テーマを決めて描き始めるまではいつも悩んで苦労しているが、作品が完成した時のうれしさは格別のよう。公募展などで受賞することは本人にとっても大きなモチベーションになっているし、ロビー展で設置しているノートに寄せられる感想も宝物」と周囲のサポートへの感謝を語る。
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銀行でのロビー展は、2016(平成28)年4月に愛媛銀行新居浜東支店で、6月に伊予銀行新居浜東支店で初開催。その後は支店間の紹介で次々と縁が続き、これまで30以上の支店で4年にわたって開催を続けてきた。松山市内の伊予銀行の支店では、今回が初の開催となる。
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好美さんは、松山市で10月12日・13日に開催された「48時間デザインマラソン」でも「TANPRO.」(祝谷町)の池田武仁さんとチームを組んで銀賞を受賞。精力的な活動は、愛媛県外でも今年の10月中だけで「ポコラート全国公募応募作品一挙公開」(アーツ千代田3331、東京都千代田区)、「Art to You!東北障がい者芸術全国公募展」(せんだいメディアテーク、宮城県仙台市)、「小さな星が輝く未来」(鯖江市まなべの館、福井県鯖江市)、「障害者アートフェスティバル~芸術作品全国公募展~」(新潟県民会館、新潟市中央区)など数多い。
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直子さんは「大変だけど、夢は全国制覇。より多くの方に見て、知ってもらいたい。頑張っていることが、少しでも同じ思いをしている人たちの光になれたら」と笑顔を見せる。
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「娘のカラフルな作品の背景には、『生きづらさ、しんどさ』を忘れて元気になりたい、という思いがある」と直子さんは話す。「娘の好きなことが、生きる糧になるように。社会とつながりながら『ありのままに生きる』ことが変わらない家族の願い。なるようにしかならない。なるようになる。なんとかなる、という気持ちで、今できることで、娘の夢を応援するためにコツコツ発信を続けている。その中から、新しい出会いや機会、応援してくれる人やサポートしてくれる人とのつながりをたくさん頂いている」と、感謝と今後への意欲を語る。
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伊予銀行久米支店でのロビー展は、11月5日~29日まで。営業時間は平日9時~15時。
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みんなの経済新聞ネットワーク
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〔2019年11/7(木) みんなの経済新聞ネットワーク〕 <br>
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映画「もみの家」
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南沙良が少女の成長を演じる『もみの家』、10名の追加キャストが発表!
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南沙良が主演を務める『もみの家』の公開日が3月20日(金・祝)に決定!
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昨年夏に単館公開ながらスマッシュヒットを記録した『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』(18)で、ブルーリボン賞や報知映画賞など多くの新人賞に輝いた南沙良が主演を務める『もみの家』の全国公開日が3月20日(金・祝)に決定。このたび実力派ぞろいの追加キャストが発表された。
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】“あな番”のあの人も出演!実力派から注目の若手俳優まで勢ぞろい
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『真白の恋』(16)で第32回高崎映画祭新進監督グランプリを受賞した坂本欣弘監督がメガホンをとる本作は、心に悩みを抱え不登校になってしまった16歳の彩花が、若者たちの自立を支援する施設“もみの家”での出会いや経験を通して成長していく姿を描いた物語。主人公の彩花を南が演じ、問題を抱えた若者たちを受け入れる“もみの家”の経営者夫婦を緒形直人と田中美里が演じる。
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そしてこのたび、新たに10名のキャストの出演が発表に。彩花の母役には『風の電話』(2020年1月24日公開)や『サーティセブンセカンズ』(2020年2月公開)が控える渡辺真紀子。彩花の父役には『愛唄-約束のナクヒト-』(19)や『貞子』(19)の二階堂智。そして農家の丹保役を菅原大吉が演じ、彩花に手を差しのべ心を通わせるハナエ役を今年2月に亡くなった佐々木すみ江が演じる。
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また、ほかにも島丈明や上原一翔、モデルとして活躍する二見悠や「あなたの番です」のシンイー役で注目を集めた金澤美穂、「中学聖日記」や『見えない目撃者』(19)に出演した中田青渚などフレッシュな顔ぶれが“もみの家”の寮生として出演。さらに彩花が想いを寄せるOBの淳平役を、中村蒼が演じる。
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坂本監督の生まれ育った富山県を舞台に、雄大な自然と少女の心が共鳴する瑞々しくもあたたかな1年間の物語が紡がれていく本作。新たに出演が発表された実力派キャスト陣が、いま最も注目の若手女優・南とどのような化学反応を起こしてくれるのか。期待は高まるばかりだ。(Movie Walker・文/久保田 和馬)
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〔2019年11/8(金) Movie Walker〕 <br>
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映画「もみの家」
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渡辺真起子、二階堂智、菅原大吉、中村蒼らが南沙良の主演作「もみの家」参加
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上段左から渡辺真起子、二階堂智、菅原大吉、佐々木すみ江、中村蒼。下段左から島丈明、上原一翔、二見悠、金澤美穂、中田青渚。 (c)「もみの家」製作委員会
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南沙良が主演を務める「もみの家」の公開日が2020年3月20日に決定。あわせて追加キャストが発表された。
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本作は不登校の少女・彩花が、若者の自立支援施設“もみの家”での出会いと経験を通し、少しずつ自分の気持ちと向き合っていくさまを描く物語。南が彩花に扮するほか、緒形直人、田中美里がキャストに名を連ねる。
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このたび、彩花の母と父をドラマ「わたし旦那をシェアしてた」の渡辺真起子と「愛唄 ー約束のナクヒトー」の二階堂智が演じることが明らかに。もみの家の寮生へ農業を教える農家・丹保に菅原大吉、ふさぎ込む彩花へ手を差し伸べるハナエに佐々木すみ江が扮した。なお2019年2月に死去した佐々木にとって、「もみの家」は最後の出演作となる。
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さらに、もみの家の寮生役でドラマ「スパイラル~町工場の奇跡~」の島丈明、ドラマ「KBOYS」の上原一翔、映画「町田くんの世界」の二見悠、ドラマ「あなたの番です」の金澤美穂、映画「見えない目撃者」の中田青渚が出演。そして彩花がほのかに思いを寄せるもみの家のOB・淳平には、中村蒼がキャスティングされた。
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「もみの家」は2020年2月28日に富山県で先行公開されたのち、東京・新宿武蔵野館ほか全国で順次ロードショー。
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(c)「もみの家」製作委員会
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〔2019年11/8(金) 映画ナタリー〕 <br>
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教育改革
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大学入試改革が中学受験におよぼす影響は? 専門家に聞く〈AERA〉
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「探求×受験」をコンセプトにした統合学習塾「知窓学舎」を運営
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ますます混迷を極める大学入試改革。大学受験目前の受験生はともかく、小学生を持つ親御さんにとってもこれからどんな教育をしていったらいいのか悩むところ。
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「AERA with Kids 秋号」では、中学受験に詳しい算数教育家・中学受験専門カウンセラーの安浪京子さんと、教育実践ジャーナリストの矢萩邦彦さんに、今、親はどんな心構えをもつべきか、そして中学受験を控えるご家庭へのアドバイスもお聞きしました。ここでは、その対談の一部をご紹介します。
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安浪:2020年度からの大学入試改革、なにかと話題になってますね。
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矢萩:そうですね。内容の是非はいろいろ言われていますが、実は今回の教育改革、今までの教育改革とは決定的に違うところがあるんです。
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安浪:それはどんなところですか?
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矢萩:今までの教育改革は、一言でいえば「戦後復興のための教育」を少しずつ修正してきたものでした。しかし今回の教育改革は、社会からの要請があった、ということ。つまり、企業側から「今の教育を受けてきた人材は使いにくいですよ。だから、教育を変えてください」と教育界に要望があった。
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安浪:今の時代に合ってない教育じゃないか、と気づかれ始めたんですね。
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矢萩:そうなんです。社会はいろいろ劇的に変わってきていますからね。社会背景の変化については、いくつか要因があると考えています。一つ目は、リーマンショックや震災など、予測不可能な事態が重なってきたこと。不測の事態に柔軟に対応できる人材育成が急務になりました。二つ目は、AIの台頭とシンギュラリティー(技術的特異点)問題があらわになってきたことです。
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安浪:2045年には、AIが人間の知能を超えるほど技術が進むとされる指摘ですね。
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矢萩:今後20年で、多くの職業がAIに取って代わられるといわれていますね。研究者の間では、そんな劇的には変わらないよという考えの人もかなり多いのですが……。新しい展開としては、これまではブルーカラーの仕事が取って代わられると考えられていたのが、いや実はホワイトカラーの仕事も奪われるのではないか、と予測されるようになったことです。PC上の作業はもちろん、事務的な作業のいくつかは、すでにソフトウェアロボットによって実現可能になっていますから、当然といえば当然の流れですね。
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安浪:なるほど。
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矢萩:また、日本の人口は減少が続き、企業が即戦力になる中途採用や資格保有者を優遇するようになってきた。これにより人材の奪い合いになり、次世代を担う新しい人材の育成が必要になってきました。
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安浪:そうですね。それで出た結論が、大学入試に知識や技能だけでなく、思考力、判断力、表現力を測る問題を入れていこうということですね。今はそれだけでも足りなくて、主体性、多様性、協働性も入れていきたいという流れになっています。
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矢萩:もうひとつ、大学入試改革の理由のひとつに、日本の若者の自己肯定感の低さがあったんです。日本人は謙虚だから「自分はイケてる」ってあまり言わないからじゃないか、っていう専門家の分析もあったんですけど、それにしても他の先進国と比べて低い。何が問題なのか、ってなったとき、従来型の詰め込み教育がいけないんじゃないか、もっと主体性を持って学べる教育をしないといけないんじゃないか、と。
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安浪:でも、大学受験でそれを求めるとなると、主体性をどうやって測るかという問題が出てきますよね。結局、ペーパーテストでは測れないから、就活と同じように自己アピールが必要になる。高校で生徒会をやった、部活をやった、ボランティアをやったとか。当然、みんな点をかせぐためにいろいろやろうとするだろうから、そうした活動がしやすい環境の充実した私学に行こう、という流れになりませんか。
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矢萩:実際、今求められているような教育を突き詰めていくと、教育の本質が私学や民間の塾、そして家庭に移行している感じはありますね。現実問題、大学入試改革の具体的な中身が決まらない現在、公立の学校でこれに対応していくのはなかなか難しい。だから中学・高校での有用な学びの環境を得るために、今は詰め込み教育をしてでも中学受験をするしかない、というねじれた状況になってしまう。
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安浪:私は大学教育改革のフォーラムに参加することも多いのですが、いろいろ話を聞いていると、だんだん親として腹が立ってくることもあって(笑)。今回の大学入試改革は例えば80年後の日本にも通用するものなのか、それとも10年ちょっとでまた変わるものなのか、と。もし国の方針でころころ変わるとしたら、それにいちいちわが子が影響されてたまるか、と。
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矢萩:すでに大学は就活の予備校と化しています。そして、高校は大学の予備校化。中学校は高校の予備校化。そして、小学校は中学校の予備校化……。予備校化が、豊かな人生を疎外していると感じますね。そんな「逆算時代」は終わりにしたほうがいいと思うのです。
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安浪:同感ですね。例えば、大学入試の英語が4技能になるからと一生懸命勉強して大学は合格しました。でも自分でそれを使いたいと思わない限り、社会に出ても使わないままでしょう。親の言う通りに一生懸命勉強して、いい大学に入った。そこで一生懸命就活していい会社に入った。収入的にも安定しました。でも、それで幸せを感じていない人がいることは確かです。
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矢萩:これから、社会はより不確実性が高まっていくと見られています。そんな時代を生きるのは、誰にとっても大変です。今を犠牲にしても、誰も将来を保障してはくれません。
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安浪:本当にそうです。
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矢萩:ポイントは、「今を犠牲にしない」という感覚を持つことが大事です。中学受験に関しても同様です。中学受験を選ぶのはいいんです。ただし、「将来のために今を犠牲にして頑張る」と思ってしまうと、親も子もしんどくなってしまう。そうではなく、「今やっていることはきっと将来のためになる」と視点を変えてほしいと思います。それがハードなスケジュールを乗り切るための原動力になります。
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安浪:その通りですね。勉強って何のためにするかといったら、幸せで豊かな人生を送るためにやるんですもんね。大学入試に備えて勉強するのではない。
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矢萩:そのためにはやはり、受験や合格を目的としすぎず、リアルな子どもの姿をよく見ることが大切です。実は私自身も中学受験をして進学校に行ったのですが、そこで不登校になりまして。家族との関係も良くなかった。そしてこの仕事をするようになってからも、中学受験で不幸になる人をたくさん見てきました。塾の言うとおりに勉強していても塾が将来を保障してくれるわけではない。
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安浪:合格したから幸せになる、というのは幻想だということですね。
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矢萩:はい。とにかく今の状況をしっかり見る。もし今、子どもがつらそうだ、幸せでなさそうだと思ったら、何か行動に移してみたほうがいいのかもしれません。塾が完全に合わないな、と思ったら次を探したほうがいいし、勉強についていけていないのなら家庭教師をつけるなどプラスアルファを考えてみてもいい。がまんをしてもいいことはないんです。親御さんは「せっかく今まで通ったんだし」「これまで払ったお金がもったいない」と思いがちですが、ときには「損切り」することも大切です。
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安浪:そうですね。特に10、11月は、「魔の月」。子ども以上に保護者が焦って我を忘れがちになりますが、そういう時期だという心づもりがあるだけで、少しは冷静になることができます。
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矢萩:「受験という特別な体験はきっと将来の役に立つ」というポジティブな気持ちを親子で共有して乗り切っていただきたいですね!
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(取材・文/堤谷孝人)
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〔2019年11/8(金) AERA dot.〕 <br>
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映画『閉鎖病棟-それぞれの朝-』
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笑福亭鶴瓶、10年ぶり主演映画 お忍びで劇場へ 客に神対応
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全国のいろいろな劇場にお忍びで足を運ぶことを宣言!
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落語家の笑福亭鶴瓶が8日、東京・丸の内TOEIにて、10年ぶりの主演映画『閉鎖病棟-それぞれの朝-』(公開中)の公開記念舞台あいさつを平山秀幸監督と共に行った。落語の全国ツアーで訪れた北九州の映画館に、自らチケットを買ってお忍びで赴き、最前列に位置した鶴瓶は、上映後に振り返ると「6人しかいなかったんですよ」とぶっちゃけトークを展開したが、「今後も続けます。1対1になるまでやる!」と全国の映画館に出没することを宣言した。
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本作は、精神科医でもある作家・帚木蓬生(ははきぎ ほうせい)の小説を『エヴェレスト 神々の山嶺』や『愛を乞うひと』などの平山秀幸監督が映画化。長野県にある精神科病院を舞台に、死刑囚だったが、執行に失敗し生き延びてしまった梶木秀丸(笑福亭鶴瓶)、幻聴が原因で周囲とうまくいかなくなってしまった元サラリーマンのチュウさん(綾野剛)、不登校のため通院する高校生の由紀(小松菜奈)が、心を通わせていくさまを描く。
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11月1日の公開から1週間がたったが、鶴瓶は「久米宏さんや古舘伊知郎さんなど、業界の人もすごく観てくださっているようで、こっちが気づかないところもいろいろ感想を言ってくれるんです」と反響があることを明かす。自身も劇場にお忍びで足を運んでいるというと「劇場の人にも知らせず、チケット買って最前列に座るんです。それで終わったあと、パッと客席に振り返るのですが、北九州の劇場では6人ですよ」と笑いながら語った。
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それでも鶴瓶は「写真も一緒に撮ったし、お客さんは喜んでくれるんですよね」と語ると「自分でこういうことを言うのは珍しいのですが、2回目観ても素晴らしい映画だと思いました。お客さんも大人なのに、言葉にならないぐらい泣いている人もいるぐらい。いま落語で全国ツアーを行っているので、抜け駆けでいろいろな劇場に行きます。いつか僕とお客さんの1対1にならないかな。それまで続けますから」と全国の映画館にお忍びで足を運ぶことを宣言していた。
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またイベント後半には、劇中で鶴瓶が陶芸をするシーンで作った壺をプレゼントするコーナーも。運ばれてきた大きな壺を見た鶴瓶は「いる? こんな大きな壺。どうやって持ち帰るの?」と客席に呼び掛けると、大きな拍手が沸き起こる。鶴瓶は「変わった人たちやな」と客席をいじりつつも「今日はたくさん人がいてよかった」と満員の客席を見渡し、満面の笑みを浮かべていた。(磯部正和)
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〔2019年11/8(金) シネマトゥデイ〕 <br>
  
 
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2019年11月9日 (土) 08:18時点における版

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夏休み明け子どもの自殺最多 夏休み明け子どもの自殺最多 大人ができることは/富山 8月の下旬から9月の上旬にかけては、子どもの自殺が最も多くなるというデータがあります。 新学期を前に、不安や悩みを抱える子どもたちの自殺を防ぐには、親や大人たちは、どうすればいいのでしょうか。 「自分では特に何もしたつもりないのにいじめられることつらくて仲間はずれにされるのつらくて・・。8月31日の夜は次の日が嫌で嫌で・・。祖母には死にたいと言っていた」(学生時代夏休み明けに自殺考えた女性) こう話すのは、学生時代、夏休みが終りに近づくと自殺を考えていたという女性(県西部在住)です。 近年、この女性が経験したように、夏休み明けの子どもの自殺が社会問題となっています。 これは自殺総合対策推進センターが1972年度から2015年度の小中高生の自殺データを分析したものです。 データを見てみると、夏休みが終りに近づいた8月下旬から9月上旬にかけて、突出していることがわかります。 警察庁などの調査では親子関係の不和といった『家庭問題』や、学校における『進路問題』『友人関係』や『恋愛』など自殺の原因は多岐にわたることがわかっています。 また、夏休み明けなど長期休暇明けに子どもの自殺が増える理由について内閣府は、「子供に大きなプレッシャーや精神的動揺が生じやすい」と指摘しています。 では一体、何が子どもたちにプレッシャーを生じさせるのかー。 ひきこもり支援などを行うNPOの代表は次のように話します。 「今いろんないじめやスクールカーストといわれる中で生きづらさを抱えている子どもたちが大勢いる。生きづらさから開放してあげるために学校へ行かないことも選択肢だと思う」(NPO法人はぁとぴあ21・高和洋子理事長) 射水市のNPO法人「はぁとぴあ21」。 県内外から、ひきこもりの当事者やひきこもりの子をもつ親が相談に訪れます。 ここで毎月行われているのが、悩みをもった親たちが話しあう『親の会』です。 「ちょうど3年前うちは夏休み明けにパタッと無理だという感じで朝起きられない。行きたくないとなってから、1年くらい別室登校だけでもとか放課後だけでもという感じでちょっと無理やり引っ張ってしまった」(不登校の子をもつ親) この日のテーマは、長い休みのあとに多くなる子どもの自殺について。 長期休暇明けに自殺に悩む子の親や、不登校になった子をもつ親たちが集まりました。 「自分の子どもが消えたいとか死にたいといった言葉を発してくれたときは、まだ言ってくれているからなんとか手立てを打てるじゃないかというところがありながらも、子どもと自分とで毎日死にたい死にたい消えたいと言われていまうと正常な判断つかなくなる」 「夏休みは元気だけど学校行くってなったら行けないってことは要は学校は行きたくない場所、つらい場所というところになっているから、行かなくていいじゃないかと、学校行かなくても人生は終わらないよと」(自殺を考えた子をもつ親) 「(親と)今の子どもたちとは感覚に差がある。育ってきた環境や育ってきた時代の違いが。行かなきゃいけないとか、こうすべき、といったものを親が取っ払うと子どもが変わる」(NPO代表・高和さん) 高和さんは、長期休暇明けの子どもの自殺を防ぐには、子どもたちを否定せずに『受け入れること』が重要だと話します。 「多様化の時代といわれるように、生き方もそれぞれ自分で決めていい時代になってきている」 「子どもがSOSをだし始めたら、つらいとか休みたいとか学校行きたくないとか死にたいとかそういった言葉が少しでも出たらまずは無理をさせない。休んでもいいよと伝えることが大事」(高和さん) チューリップテレビ 〔2019年8/27(火)チューリップテレビ〕

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小児科医のぼくが伝えたい 最高の子育て 「見守る子育て」を実践中の私さえ、力をもらった本 『小児科医のぼくが伝えたい 最高の子育て』レビュー 本書を読んで私は、大船に乗ったような安心感をもらうことができた。 私も2児の父として、子育てに迷うことがある。しかし正直にいうと、自分が若くないこともあって、あまりストレスなくやりすごしている。子ども達に何かを訊かれればシッカリと答えるが、基本的に、彼らの意志を尊重する見守る子育てをしているからだ。 本書は、「理想の親を目指す子育て」ではなく、私のような「見守る子育て」を推奨した本である。小児科医の著者には専門的な知識があるし、子供と接した経験も豊富だ。本書を読んで私は、大船に乗ったような安心感をもらうことができた。 私にしてそうなのだから、理想の親を目指して疲れ果てている人が読んだら、きっと涙腺が崩壊してしまうだろう。ネットには、そのようなレビューがあふれていた。本書から、引用する。 “・母乳が出なければミルクでOK。おかあさんがラクな方法を選びましょう。  ・「理想の母」を追い求めないで。子どもが好きなのは、いまのおかあさん。 ・保育園に預けて、働くおかあさん。短くても濃い時間があれば大丈夫です。  ・「早くしなさい」と言いすぎない。子どもから考える力を奪います。  ~本書第2章より” これだけで、肩が軽くなった方もいらっしゃるのではないだろうか。子育ては「見えない常識」との戦いという面があるが、その多くは都市伝説の類だと私は考えている。そもそも、書店にいけば様々な主張の育児書が並んでいる。結局のところ、子育てに正解はないのだ。 では、何を目指して子育てをすればよいのだろう。本書には、「共感力」「意志決定力」「自己肯定感」の三つを身につけること、と書いてある。そのためには、親の価値観を押し付けるのではなく、子供が自分で考える時間が必要だというのだ。 本書で展開されるのは、「こうすべし」という説教ではなく、ゆるやかなゴール。親はずっと遠くにそのゴールを見据え、子供たちの成長を見守り、ゆっくりと過ごせばよい。この夏休みは、旅行につき合わせるのではなく、のんびりと過ごしてみてはどうだろう。 “子どもの人生をよりよくするには、持って生まれた才能や個性をそのまま花開かせてあげればいいだけ。情報に振り回されるのは無意味です。 ~本書第2章より” 本書だって、もちろん、情報の一つだ。上記の引用文を解釈すれば、本書に感服したからといってアキラ100%ならぬ孝雄100%になってはならない、という意味にもとれる。多種多様な情報に触れるのは有益だが、もとの自分が少し変わるだけで良いのだ。 情報に振り回されるということは、つまりロストアイデンティティである。じつは私もダイエット本や育児書、ビジネス書を次々に読み漁ってきたのだが、50歳近くになるとこの辺の機微がわかってきた。最も大切なのは、自分自身を見失わないことである。 そんなことを考えていると、こんな言葉をみつけた。「親だけでなく、育児をする人みんなが健康でいることが大事です」いやはや、ごもっとも。育児のストレスで不健康になるのは本末転倒だ。子供も心配するし、罪悪感を持つだろう。 本書には、他にもヒザを打つ言葉が多数あったので、引用したい。 ”「勉強しなさい、は逆効果。伸びるタイミングは自分でつかませる。」 「習い事は、長続きしなくてもいい。むしろいろいろなものに挑戦させるべき。」 「どんな子どもでも、みんな、才能のシグナルを発信しています。」 「不登校の子どもには、休息が必要。「行かなくていいよ」と伝えます。」 ~本書より” 本書は主張に一貫性があり、かつ一つ一つのセンテンスに力がある。そこから力をもらうだけでも、読んだ意義はある。もちろん、一字一句覚える必要などない。これだと思ったものだけ、吸収するような感覚で読めば良いと思う。 新学期が始まると、様々な出来事が起きるだろう。子を叱って型にはめるのが親の仕事だと思うと、親自身が楽しくない。善悪の区別のない日々の出来事の中に、変化や成長を感じてみてはどうだろう。ありのまま(天然色)の子育てのワクワク感をもらえる本だ。 『小児科医のぼくが伝えたい 最高の子育て』 『小児科医のぼくが伝えたい 最高の子育て』マガジンハウス 高橋孝雄/著 吉村博光 HONZレビュアー 出版総合商社トーハンで本屋さんへの販売提案を行うほか、書評などを通じて一般の方々に本を紹介する活動を行っている。また、書店×IT「マクルーハンの本棚 」第2弾として企画した「AI書店員ミームさん」は、テレビで取り上げられるなど、業界内外で大きな話題となった。私生活では、2児の父で介護中。趣味は競馬と読書。そんな日常と地続きの本をご紹介していきたい。 【関連記事】 TVで話題!2度離婚し5人の子育てをした元人気モデルの今 ひきこもりになる4つのタイミング(1)――子どもが不登校・ひきこもりにならない/から脱出するための子育て術 専門家とは真逆のやり方で成功 自閉症の息子を開花させた母の愛『ぼくは数式で宇宙の美しさを伝えたい』 世界基準の子どもに育てたい?イマドキ育児に「家訓」が必要なワケ 帝王切開は楽に出産できる? 子どもの健康や発達に悪影響を及ぼす? ――経済学で考える「家族の幸せ」のウソ・ホント 〔2019年8/27(火)本がすき。〕

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学校の息苦しさこそ変えるべき 夏休みの終わりに子どもを死なせないために「学校の息苦しさこそ変えるべき」 子どもたちが最も多く命を絶つ日 夏が終わるとまた学校が始まる。大阪市の公立小中学校では8月26日から始まった。近年、前倒しで2学期を始めるところが増えたが、かつては夏休みは8月いっぱいまで。2学期と言えば9月1日に始まるものだった。 そして、この日は1年で最も多くの子どもたちが命を絶つ日だ。内閣府が過去約40年間に18歳以下の子どもが自殺した日を調べたところ、9月1日が131人と突出している。ほかに100人を超える日はない。前後の8月31日と9月2日も90人台とかなり多い。夏休みが終わって学校に行かなくちゃいけない。それが子どもを追い詰めていることがうかがえる。

朝よく見かける登校風景(画像は本文と関係ありません・筆者撮影・大阪市内) 「学校なんて行かなくていいよ」と呼びかける前に、なぜこんなに不登校が増えてるの? だから例年この時期に「無理して学校に行かなくていいよ」キャンペーンが行われる。もちろん、死ぬほど嫌な学校なんか行く必要はない。 でも「行かなくていいよ」と言っておいて、その先はどうなるのだろう? 誰がケアするの? 結局は家族が支える。それももっぱら母親が。公的機関は放ったらかし。それっておかしくない? 子どもたちが死ぬほど行きたくないと訴える学校こそ変わるべきじゃないの? 学校って子どもたちのためにあるんじゃないの? 文部科学省の統計によると、不登校の小中学生はここ数年増え続けている。この子たちに「学校なんて行かなくていいよ」と呼びかけるだけでは無責任ではないのか?

中学生の集団が学校へと向かう(画像は本文と関係ありません・筆者撮影・大阪市内) 不登校の子どもの親たちが立ち上がった この状況に当事者の親たちが声をあげた。不登校保護者会である。きっかけは今年5月に川崎市登戸で起きたスクールバス殺傷事件で、容疑者が「引きこもり」状態だったと報じられたこと。不登校に対する偏見が強まるのではないかと危機感を持った、全国の不登校の子どもを育てる親たちが、ツイッターで緩やかにつながりながら会を立ち上げた。 そのブログに8月、「夏休みの終わりに子どもを死なせないために」という記事が掲載された。

不登校保護者会のブログ「夏休みの終わりに子どもを死なせないために」(筆者撮影) 子どもが不登校になっても責めないで 奇妙で息苦しい学校こそ問題 記事はまず不登校の子を持つ保護者たちに、子どものことを理解してあげてほしいと呼びかけている。 「学校へ行くことは、絶対に必要というわけではないのです」 「奇妙で息苦しい風潮が、いまの学校教育には蔓延しています。子どもがある日、急に行けなくなったとしても、責められないほど学校は奇妙でおかしいところです」

学校へ行くことは絶対に必要というわけではない(筆者撮影) そして、子どもを大切に思う気持ちを伝え、決して責めないことが大切だと訴える。 「学校へ行かなくても我が子には価値があることを子どもに伝え続けることがとても大切です」 「実際、行けなくても叱らないことも重要です」 「不登校を経ても夢を叶えて頼もしい大人に育っていく子たちがいます」 「保護者の皆さんには、 とにかく無理に登校させない。 学校行けなくても叱責しない。 夫婦喧嘩を子どもの前でしない。 これらを最低限、徹底していただきたいです」 学校の指導が子どもを死に向かわせていないか? 記事は続いて、学校の先生たちに、子どもたちを追い詰めないように求めている。

学校の日頃の指導が子どもを死に向かわせていませんか?(筆者撮影) 「夏休みの宿題提出を絶対に無理強いしないで下さい」 「『学校に行かなかったらお前の人生は終わり』などという決めつけもやめて下さい」 「『学校来てない奴に行ける高校なんてない』という誤情報を流さないで下さい。不登校でも進学出来る高校、大学はあります」 「内申で子どもをコントロールしようとしないで下さい」 「学校の日頃の指導が子どもを死に向かわせていないか、丁寧に考え直して頂きたいのです」 不登校保護者「ぽんこ」さんの思い 不登校保護者会に参加している大阪の女性にお会いした。ツイッター上でのアカウント名は「ぽんこ」さん。小学3年生の息子は自閉スペクトラム症(人との関係が苦手で強いこだわりを持つのが特徴の発達障害の一つ)で、1年生のころから不登校だという。 「子どもが不登校になった時、私だけではどうにもならないと思っていろんな人に話を聞きました。役所とかお医者さんとか学校の先生にも。でも一番心の支えになったのは『昔子どもが不登校だった』というお母さんや『自分も不登校だった』という当事者のお話ですね。だから私もこうした会の活動を通してできる限り自分の体験をほかの人に伝えたいと思っています」

小学生たちの格好はカラフル(画像は本文と関係ありません・筆者撮影・大阪市内) 「初めは『学校のせいで子供の学習権利が奪われた』怒りでいっぱいでした。マジでふざけんなよって。でも、子どもの家庭での学習が軌道に乗って、次第に落ち着いてきたら『先生も大変だよなあ…』という気持ちに変わりました。業務量が過剰で、過酷な仕事を頑張ってくれていますよね」 「役所の心理士の方や精神科医にも支えられてきました。知識とプロの技術はパニックの闇を払う光ですね。混乱したままでいても何もいいことがないので、自分が冷静で朗らかな気持ちを取り戻すことだと思います」 不登校は問題行動ではない。やむにやまれぬ行動だ 不登校保護者会は7月、児童精神科の専門医を招いて勉強会を開いた。東京慈恵会医科大学准教授の井上祐紀さん。児童精神医学の分野で、主にADHD(注意欠陥多動性障害)の幼児、思春期、青年期の子どもたちを診察し、研究を重ねてきた。井上さんは、不登校を問題行動の一環ととらえる教育界の風潮にそもそも問題があると指摘する。

児童精神科が専門の井上祐紀准教授(不登校保護者会提供・東京都内) 「不登校を問題行動として見ると、原因がその子の中にしかないことになります。その延長上に引きこもりへの偏見があるんです」 「不登校は健康問題としての側面があるんです。その子がきつい症状を抱えているんです。そのきつさを避けるためのやむにやまれぬ行動が不登校なんです」 「発達障害がある子は不安症状が強いから教室に入れないことがある。これは健康問題なのに問題行動と捉えるから指導が強圧的になる。だからますます学校に行きたくなくなる。悪循環です」

不登校保護者会の勉強会には多くの保護者が集まった(不登校保護者会提供・東京都内) 「今、学校現場で最も軽視されているのが子どもの健康です。例えば好きな時間に水を飲めない、トイレに行けない。これは健康に悪いですよ。多くの学校では子どもたちは授業中に自由に水分補給ができない。これでは、子どもの健康より集団の規律の方が優先されることになる。学校というのは発達障害などの何もない子どもが頑張ってかろうじて適応できるという社会なんです」 「すべての子どもが力をうまく発揮できるような配慮が足りていない。いじめへの対処もそうです。子どもファーストで考えるべきなんです。不登校は子どもの問題ではない。学校の問題として責任を認めないといけない。その子はどういうところがきつくて学校に来られないのか、その子に合う環境は何かを考えてあげることが必要です」 自己満足な放送企画はいらない 全国の不登校の小中学生は14万4000人。自殺する児童生徒は年間250人。こんなに多くの子どもが学校に行けず、多くの子どもが自殺するって、異常事態ではないか?

自己満足な放送企画はいらない(筆者撮影)  不登校保護者会のブログは、最後にマスコミの報道姿勢に疑問を投げかける。 「傾聴だけの企画やぼんやりした喋り場を提供してガス抜きして『なんかいい雰囲気』になって終わり、支援に繋がらない自己満足な放送企画は要らないです」 「『死にたいと思うくらいなら図書館、動物園、水族館へ逃げていいよ』の後がおそろしく過酷であり、逃げた後を自己責任と見捨てている社会を変えなければ何も変わりません。このままでは、死にたい子、心中を企図する家庭、子どもを殺してしまう家庭が減るわけありません」 「息苦しい子どもを排除する学校自体を変えないと死にたい子は減らないです」 「学校の息苦しさの本質をえぐり出し改善を求めるのが、報道機関の役目なのではないでしょうか」 「毎年十万人以上の不登校者と、多くの自殺者を出している学校制度そのものを、客観的な根拠(エビデンス)に基づいて根本的に見直すべき責任が、政府にあります。そして報道機関には、こうした責任を、客観的なエビデンスに基づいて追及してほしいものです」

学校の息苦しさの本質をえぐる報道を(筆者撮影) そして今年も9月1日がやってくる 学校なんて行きたくないなら行かなくていい。でもそれだけじゃだめだ。学校が変わらなければ。子どもたちが行きたくなるような、真に子どものための学校に。そんな学校に変えるのは、教師、教委、保護者、政治、報道。  そう、私たち大人の責務だ。 【執筆・相澤冬樹】

相澤冬樹 大阪日日新聞編集局長・記者(元NHK記者) 1962年宮崎県生まれ。1987年NHK記者に。山口、神戸、東京、徳島、大阪で勤務。神戸で阪神・淡路大震災を取材。大阪でJR福知山線脱線事故を取材。大阪司法記者クラブ担当の2017年に森友事件に遭遇して取材を進めるが、2018年記者を外されてNHKを退職。この時の経緯を「安倍官邸vs.NHK 森友事件をスクープした私が辞めた理由」(文藝春秋刊)という本にまとめた。現在、大阪日日新聞に務めながらYahoo!ニュースをはじめ日刊ゲンダイや週刊文春など様々な媒体で記事を書いている。 〔2019年8/27(火) 相澤冬樹 大阪日日新聞編集局長・記者(元NHK記者)〕

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不登校・ひきこもりから脱出するための子育て術 今日から変える子どもへの接し方 3つのポイント(1)――子どもが不登校・ひきこもりにならない/から脱出するための子育て術 親の関わり方でまず絶対に必要なのは、親が本気で向き合う姿勢です。 2019年5月。元号が平成から令和に変わり、日本中が新しい時代の幕開けに心躍らせていた矢先に起こったのが、スクールバス襲撃や元農水省幹部の長男刺殺といった「ひきこもり」に関連した凄惨な事件の数々でした。若者の不登校・ひきこもり問題に30年以上支援活動を続け、延べ1万人以上の生徒を立ち直らせてきた著者が、事例を踏まえて解決の糸口を贈る『不登校・ひきこもりの9割は治せる』(7月18日発売・光文社刊)より、子どもに対する親のあり方、関わり方をご紹介します。

◆ひきこもりは日々の接し方の積み重ねで起きる 当たり前ですが、不登校やひきこもりに、ある日突然なるわけではありません。 たくさんの不登校やひきこもりの子どもを見ていると、小さいころからの親の接し方が、その原因になっていると感じます。今に始まった問題ではないのです。 不登校・ひきこもりから脱したいと相談に来るお父さんお母さんに、最初にお願いするのは、子どもへの関わり方を変えることです。こうなってしまった大きな原因のひとつは親の接し方だと私は思っています。 具体的には次の3つの接し方が重要です。

(1)親(特に父親)が本気で向き合う (2)無条件の愛情で接する (3)甘い対応はしない

◆子どもへの関わり方(1) 親(特に父親)が本気で向き合う 親の関わり方でまず絶対に必要なのは、親が本気で向き合う姿勢です。 最初に相談へ来るのは、圧倒的にお母さんが多いのですが、私は必ず「次回はお父さんと一緒に来てください」と伝えます。ここでお父さんがちゃんと来るかどうかに、親の本気度の違いが出るのです。 お父さんが本気を出さなくては、不登校やひきこもりから立ち直れるわけがありません。 前述したように高学歴のエリートが多いのが、不登校・ひきこもりの子どものお父さんの特徴です。「仕事が忙しいから子どものことは妻に任せている」などと言って逃げているようでは、子どもは立ち直ることができません。本気で子どもにぶつかっていかなくては、子どもは変わらないのです。 私のところへ相談に来るお父さんには大学の教授なども多いのですが、大学ではある程度理解力や判断力の高い学生が相手ですから、穏やかに話せば事足りるのかもしれません。 しかし、不登校・ひきこもりの我が子に対する態度がそれと同じでよいわけがありません。 三者面談をしても、子どもの言うことをそのまま私たちに「こう言ってますので」と伝えてくるだけで、父親自身の意思や本気さが感じられないのです。 長期間にわたって不登校やひきこもりの状態にある子どもの精神状態は、冷静な判断を下せるものではありません。だからご両親が本気を出して、選択肢を与え、決断を促さない限り、ずるずるとひきこもり生活が続いてしまいます。 また、お父さんお母さん、スタッフの全員が同じ認識を持ち、ぶれない態度で子どもに対応することが大事です。これが一番手強いハードルともいえます。子どもに対する考えが、お父さんお母さんで違っていたり、ちぐはぐだったりすることも多く、そうなるとうまくいかなくなります。 例えばお父さんが単身赴任などできちんと話し合いができなかった場合、対応の方針がお母さんとスタッフの間で決まって、それを実行し始めたばかりなのに、効果がでないと、お父さんがすぐに別の手段をとりだすのです。お父さんが違う本を読んで、目移りしたのでしょう。不登校やひきこもりは放っておいてよいという専門家もいますから。 しかし、私は不登校・ひきこもりは放っておいてはいけないと思っています。早ければ早いほど立ち直れる可能性が高いのですから。 父親が本気を出したことでひきこもりから立ち直ったタツマくんの例です。 【タツマくんの事例】 (現在20歳の大学生。中1から中3まで約3年、高1で2カ月と、2度の不登校とひきこもりを経験) タツマくんのお父さんは小さい時から厳しく、そんなお父さんをタツマくんは「マジで死んでくれと思っていた」と言います。 中学受験をさせられて規則の厳しい私立の中高一貫進学校に入学しましたが「勉強しないといい大学に入れない、社会でうまくやっていけないぞと脅す学校だった」そうで、中1の5月には不登校になってしまいました。 お母さんがカウンセラーやさまざまな教育機関に相談したところ、不登校はそっとしておけばいずれ治ると言われたのです。お父さんはどうにかしたいと思いましたが、「有名な先生に、特に父親は何も関わらないようにと言われたので、何もできませんでした」と言います。 不登校が続いた状況を変えようと、高校は全寮制高校に進学しました。しかし、冬休みで家に戻ってきた際、タツマくんは部屋に立て籠もってしまったのです。誰も部屋に入れないようにバリケードを作り、お母さんが部屋に入ろうとすると暴力を振るいました。 こうした痛い思いをして初めて、両親は当会へ相談に来ました。「お父さんが本気を出して子どもと関わって下さい」とお願いすると、すぐにお父さんは態度を変えてくれました。 数日後、お父さんは、タツマくんがトイレから部屋に戻ってバリケードのセットを組み立てているところに、乗り込んでいったのです。タツマくんを階段から引きずり降ろし、車に乗せて当会に連れてきました。 面談では「これからどうするのか、高卒支援会に通うのか、そうじゃなかったら家を出て働け」とお父さんはタツマくんに厳しく迫りました。 「ものすごい気迫だったので、通わなければ本当に働かされると思いました。それで、通うことにしたのです。オヤジのパワープレーがなければ、今もひきこもっていたと思います」とタツマくんは振り返ります。 その後は、進路に関してもお父さんは「お前が決めて、俺に説明しろ、大学受験をしないなら、働け」と厳しい態度だったといいます。浪人をすると決めた時には、「1日16時間、感謝して勉強するのが普通だからな」と釘を刺され、猛勉強した結果、有名難関私大に合格しました。 今ではタツマくんはお父さんに対し、「昔は嫌いだったけど、きっと当時は一生懸命にやってくれたんだろうなと今になればわかります」と気持ちも変わってきました。お父さんが本気で向き合ったからこそ、ひきこもりから脱出できた例です。

◆母子家庭の場合 お父さんがいない家庭では、お母さんに本気を出してもらいます。たとえ子どもが暴れたとしても、お母さんが毅然と立ち向かっていると、子どもが変化してきます。 母子家庭のケイタくんの例です。 【ケイタくんの事例】 (現在20歳。中1から不登校・ひきこもりになり、18歳で都立定時制高校を受験して合格。19歳で高校1年になり、現在も在学中) ケイタくんが小学生のころ、お父さんの暴力が原因で両親は離婚。それからはお母さんと2人暮らしでしたが、中1で不登校になり、部屋にひきこもってパソコンゲームにのめりこむ日が続きました。 中学卒業後は通信制高校へ入学したものの、結局スクーリングに全く行けずに退学しました。お母さんと一緒に相談に来た時は、すでに18歳でした。 ゲーム依存だったので、当会でパソコンを預かることにしました。しかし、ケイタくんは家に帰ると暴れます。お母さんはそれでも、私たちと約束したからパソコンを返すことはできない、と厳しい態度で一歩も譲りませんでした。 そのうち、ケイタくんは当会に登校するようになり、アルバイトを始めたことで人の役に立つ実感を得て、自信をつけていきました。 その後「中1からできなかった学生生活を取り戻したい」と、猛勉強して定時制の都立高校に合格、19歳で高校1年生になり、現在も働きながら通っています。 〔2019年8/27(火)本がすき。〕

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乳幼児期の愛着形成 子どもの発達障害の権威が語る「乳幼児期の愛着形成」の大切さ mi-mollet(ミモレ) 子どもが発達障害になったときに親はどう対応すればよいのか、しつけと体罰の境界線は?etc.……、子育てに関するさまざまな情報が溢れる昨今。親たちはただ自分たちの子を「よい子に育てたい」と思いながら、「何が子育ての正解か正直分からない……」と思っている人が少なくないのではないでしょうか。 児童精神医学の第一人者として著名な杉山登志郎医師は、子育ての基本を書いた著書『子育てで一番大切なこと 愛着形成と発達障害』 (講談社現代新書)で、「いくつかの大事なことだけ押さえておけば、子供はじぶんで成長し、しっかり育っていきます」というメッセージを送っています。

よい子に育つ“コツ”というものは存在しない 多くの親やマスコミは、「よい子に育てるための“コツ”は何でしょうか?」と聞く。しかし、「これはしないほうがいい」ということは分かっても、「これはしたほうがいい」ということは断定することができない。 たとえばタバコの場合、吸うと不健康になる道筋は明らかだ。だが吸わなければ健康が保証されるかというと、そうではない。タバコを吸わなくても肺がんになる人もいるからだ。同様に、誰しもがよい子になれるコツというものも、おそらく存在しないだろう。

たとえば子供に関心を持たず、全く声がけをしなかったらネグレクト(育児放棄)で、とんでもないことが子供に起きてしまうのは当然だ。だがずっと子供を見続けて、一挙手一投足に声がけをすることが素晴らしい子育てなのかというと、それは疑問だ。 また子供には個人差があって、子育ては子供本人の気質の違いでかなり左右されるものでもある。子育てのコツを一般論にして語るのは、不可能に近いというのが事実だ。

種としてのヒトの子供は、少なくとも生まれてしばらくの時期は脆弱な存在であるのは確かだ。全面的なケアが必要だし、中学生になっても親の存在は重要だ。子育ての期間はとても長いと言っていい。 しかも環境のみで子供の性質が決まるわけではない。子供たちの持っている生まれながらの気質、つまり遺伝的な素因で、ある子には良いことが別の子にとっては悪いこともある。 子育てにおいて重要なキーワードは“安心”と“好奇心” それでも子育ての基本はある。ひと言で言えば“安心”だ。それは、母親と子供の両方にとって、である。 妊娠中から母親が安心していること、出産授乳期を通して安心して赤ちゃんに向き合えること、そして赤ちゃんが親に信頼を寄せる親子関係を作るうえでも欠かせないキーワードが“安心”だ。

もう一つ重要なことがある。それは、生命はその本質において多様性を愛する、ということだ。そうれでなければ自らが生き残ることができないからだ。 では生命を多様なあり方へと成長させる原動力は何かというと、好奇心である。 ヒトの子供に限らず、哺乳類の子供、さらには鳥の子供であっても、巣立ちの時には「これから何が起こるんだろう、世界には何があるんだろう」という喜びに満ちている。高い学習能力を持つ哺乳類や鳥類の知能の本質というものは、新しいものへの好奇心だ。そして好奇心によって、住む環境を変えたり、個体によって様々な変化を起こす。好奇心に導かれ、多様なあり方へと成長することは、地球上の生命として文明の存在以前に既定された、基本的な育ちのあり方なのである。 多様な子供達が、好奇心に支えられて多様な成長をしていくこと、それが良いことなのだ。もしそれが妨げられるとしたら、それこそが子供の育ちに困難をもたらすだろう。 “愛着”が形成されると外の世界に探索に行けるようになる もう一点、子育てにおいて重要な「愛着」について話をしたいと思う。 「愛着」とは“アタッチメント”という英語を訳した言葉である。日本では「愛」という漢字に引っ張られてニュアンスが変わりがちだが、アタッチメントとはタッチするということ、つまり触れてくっつくということだ。 もちろん「愛」があってのアタッチメントであるが、大事なのは何のために触れてくっつくか、ということだ。それは、赤ちゃんが“安心”するためである。 赤ちゃんは0歳の後半を過ぎると人見知りを始める。安心できる人とできない人の識別を始め、不安に駆られるとお母さんに泣いて訴えて、じっと見つめる。さらに月齢が進んでハイハイができるようになると、不安になったらにじり寄るようになる。この、泣く、見つめる、にじり寄る、というのが愛着行動である。 子供は親から離れると不安になる、そこでまた親にくっつく。すると元気になってまた外の世界に探索に行く。これが日常的に繰り返されるわけだ。 たとえば見知らぬ人が来たとき、子供は母親にくっついて安心を得たら、見知らぬ人にも興味を示したり、相手ができるようにもなる。つまり、お母さんが安全地帯となっているのだ。 では保育園に行っている子供の場合、愛着形成はどうなるのか? 子供一人一人に対応できるだけの大人の数がきちんと揃えられている保育園であれば、全く問題はない。保育園に行っている子供の方が、ずっと母親が子供に付き合っている場合よりも親子関係が良い例が多い、というデータもたくさん出ている。

mi-mollet(ミモレ) 『子育てで一番大切なこと』杉山登志郎著 講談社現代新書 ¥840 『発達障害の子どもたち』『発達障害のいま』などの著書を持つ児童精神科医の杉山登志郎医師が、発達障害や不登校、虐待にはあまり関心のない普通の読者が読めるようにと書いた子育て本。編集者との対話形式で綴られているので、専門的な内容も非常に分かりやすい。子育ての基本を、妊娠時期から乳幼児期、小学生時期と、時期別に分析。また見逃されがちな発達障害、そして子育てにおける課題などについても解説している。 〔2019年9/6(金)webマガジン mi-mollet〕

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磯村 暖 医学部志望から藝大満票合格へ。魂の叫びに従い社会課題を描く現代美術家 #30UNDER30 現代美術家 磯村 暖 アトリエに所狭しと並ぶカオティックな作品群。制作したのは、鮮やかなブルーの髪の毛が印象的な現代美術家・磯村 暖だ。 独学で多摩美術大学に一発合格。翌年に挑んだ東京藝術大学の入試では、審査員である教授たちが磯村の作品に満票を投じた。現在は国内外の展示会出品のために各地を飛び回り、この9月からはAsian Cultural Councilのフェローに選ばれ、ニューヨークに拠点を移すことが決定している。 Forbes JAPANは、そんな磯村を30歳未満の世界を変える人物を表彰する「30 UNDER 30 JAPAN 2019」アート部門受賞者のひとりに選出した。 彼がテーマにするのは、「民衆の芸術(フォークアート)」だ。例えば、彼の代表作のひとつである彫刻「地獄の亡者像」は、タイの寺院に設置されていたフォークアートへのオマージュ。なかには、「同性愛の罪」や「国籍を持たない罪」と書かれた像もある。 「いったい誰のための地獄なのか、彼らにその苦しみを味わう必要があるのか」──。居場所を奪われた側に寄り添い、民衆に共感の眼差しを向ける。 彼がこうしたLGBTQへの差別や難民などの社会問題を反映した作品づくりをするのには理由がある。 「自分にはずっと居場所がなかった」と語る彼は、ずっと美術をやりたいという本当の気持ちを押し殺し続け、一度限界を見た。 そんな磯村は、いまの活躍に至るまで、どんな道を歩んできたのか。 ずっと居場所のない「カビ人間」だった 「絵ばかり描いていました。一生布団から出られないカビ人間の気分で。居場所がなくて、僕自身がずっと追いやられる側だったんです」 小さいころから絵を描くのは好きだったが、その場所はいつも布団の中だった。5歳で両親が別居。以来、東大出身の医師である父と姉と暮らしていたが、小学生のころはいつも喘息の発作に悩まされ、いつしか外に出られなくなった。それでも医師の父から「病院に行く必要はない」と言われ、発作で夜も眠れず無気力状態の日々が続いた。 不登校から留学へ 「小学校6年生で不登校になりました。体調が悪くて、学校に行ったり友達と話したりする元気が湧いてこなかったんです。体は動かないし、眠れないから頭も働かない。テレビを見ながら絵を描いて、ひたすら犬と過ごしていました」 当時は将来のことなど考える余裕もなく、夢も希望もなかった。保護者である父は多忙で、養育やコミュニケーションもままならず、家庭内でありながら常に孤独と緊張を強いられ、居場所がないと感じていた。引きこもりが長くなると、線すらまっすぐ引けなくなって絵も次第に描けなくなった。 そんな生活から抜け出そうと、離れて暮らしていた母の導きで13歳のときにオーストラリアに単身留学を決めたことが転機となる。そこは小学5年生のときに一度旅行で数日訪れた場所だった。 「不思議なことにあんなにひどかった喘息が、オーストラリアでは起きなかったんです。久しぶりに深呼吸できて頭がすっきりした。最初は英語はまったく話せなかったけど、日本の学校の時よりも生き生きと過ごせました。ご飯も美味しく感じられて、やっと『生きている』と実感しました」 オーストラリアで過ごしたのは13歳から15歳まで。居場所もあるし、健康にもなったことで、将来を考えられるようになった。友達もできて、もう日本に帰らなくていいとも思ったが、だんだんと「逃げてきた日本でもう一度やり直したい」という気持ちが強くなった。 家族として受け入れてもらうために医師を目指す そして、高校入学を機に帰国。母と暮らしたいという願いは叶ったが、「今度はわがままを聞いてくれた母に親孝行をしなければ」と思い、母の希望を聞いて父と同じ医師への道を歩もうと決意する。「東大理Ⅲに入って父と同じ医師になる」。それが高校時代の磯村の大きな目標になった。 「ずっと絵は描き続けていたし、美術がやりたくて美術系高校の説明会にも行きましたが、母に強く反対されました。母には感謝もあったし、僕が家族として受け入れてもらうには立派な理由が必要だと思い込んでいた。期待に応えたい、東大理Ⅲに入れなければ自分は幸せになれないと思い込んでいました」 その後、都立の進学校に進んだ磯村は、学外の友達と原宿や渋谷へ遊びに行くようになる。一緒に遊んでいた学外の友達は、東大を目指してなどいなかったが、生き生きとやりたいことに没頭していた。その姿を見て「洗脳が解けた」。 抑えきれない心の声 東大を目指さなければならない状況と本当にやりたいことの狭間でもがいたが、高校3年生の冬、「美術をやりたい」という心の声が無視できないほどに大きくなった。 「人って、何かやりたいことを目標にしたり、それを叶えるために努力したりしながら生きていると思うんですけど、その時は自分のやりたいことにフタをしすぎちゃってたから、またあのころみたいなカビ人間に戻ってしまった。あまりにも心の声を抑え過ぎて、こんなの自分の人生じゃないと絶望していました」 死にたくなるような人生だけど、美術をやれる人生だったら生きていく覚悟が自分にはあるか。それを真摯に問うた結果、どうしても美術がやりたいと心に決め、反対する母を命を懸けて説得した。 その結果、高3の冬、すでにセンター試験の願書も出した後に、そのまま美術系の予備校にも行かず、ほとんど準備もせずに受けた多摩美術大学に一発合格。念願だった美術の道へと踏み出し、息を吹き返した。その1年後には、藝大も受験。見事審査員の満票を獲得して合格した。 「僕は魂から描きたくて描いているんだぞっていう気持ちでした。整えられた絵よりも自分の絵の方を教授たちもきっと面白がってくれると思っていました」 心置きなく美術の制作ができる環境を手に入れた磯村は、「新しい人生を手に入れたような気分。描いていいし、描けるし、つくっていいのが嬉しくて、体力が続く限り毎日描きまくりました」。美術家となったいまは「毎日が楽しくて仕方がない」という。 追いやられた側に立ったからわかること 磯村がテーマにするのは、民衆の芸術だ。「王様が描かせたような絵画よりも、自然発生的に民衆が発展させていった美術に興味がある。そういうものは、社会の思想や変動を如実に反映していたり、連動していたりするから」だ。 幼いころから家庭にも学校にも居場所がなかった。オーストラリアの留学では、東洋人ということで人種差別にもあった。そんな経験から、自分がつらいときに手を差し伸べてくれた人の優しさが心に染み、自分と同じようにつらいと感じている人の気持ちもわかるようになった。 「それまでは、社会問題をアートにするのは不純かもしれないと思っていたけれど、2016年にイギリスの欧州連合離脱問題(ブレグジット)が出てきたときにゾッとしたんです。これが決定したら、人々の中に潜んでいる差別的な感覚が助長されるのではないかと思って。日本も無関係ではないと。それ以来、自然にそういうテーマが増えていきました」 そこにいるだけで価値がある その延長が彫刻「地獄の亡者」シリーズだった。以来、難民やLGBTQなど、気がつけば居場所を追われた人々に寄り添う作品をつくり続けている。 「アートは自分が絶好調のときでも、絶不調のときでも唯一できること。なので、それができるようになったいまがとても幸せだと感じている。僕は、人間はただそこにいるだけで肯定される価値があると思っているので、そうではない環境に置かれている人たちのために、何かアクションを起こせたら。人はそこにいるだけで価値があると作品を通して伝えたい」 美術家は投資家や権力者、そして同時に絶望の淵に追いやられている人たちともつながることができ、フラットなコミュニケーションをとることもできる。やれることは多い。 「世の中では美術を享受できている人はまだ限られている。僕が絵を描くことに救われたように、今後は美術に触れる場づくりもしていきたい」

いそむら・だん◎1992年東京生まれ。東京藝術大学卒。Asian Cultural Councilのフェローに選ばれ、2019年9月からニューヨークを拠点に活動予定。 Forbes JAPAN 編集部 〔2019年8/27(火)Forbes JAPAN〕

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8050問題 8050問題を巡る、社会・親子の「認識のズレ」。大切なのは「ゴールを設定しない対話」 深刻化する8050問題。家族や周囲、そして社会はどう対処すべきか。引きこもり問題を20年以上にわたって取材を続けてきたジャーナリストの池上正樹氏と、多数の引きこもり患者の診察を行ってきた精神科医の春日武彦氏に、引きこもり中年問題の課題と対処法を論じてもらった。 「曖昧な定義」は危険 春日:まず僕が懸念するのは、現在「引きこもり」の定義が非常に曖昧な点です。かつての引きこもりといえば思春期の挫折が長期化、または統合失調症などに罹患しているケースでした。でも、現在話題になってる引きこもり中年は、むしろセルフネグレクトであり、文脈が違います。原因や対処法も異なるのに、一括りに「引きこもり」と認識するのは危険だなと思います。 池上:おっしゃる通りです。引きこもり中年は、不登校の延長でなく会社や仕事の危機から起こるケースが多い。非正規雇用による将来への閉塞感や、ハラスメントなどの過酷な労働環境から自分を守るために、引きこもらざるを得なくなる人も増えています。本質は安心して相談できる場や居場所づくりの問題なのに、行政は就労支援ばかりで、適切に対処できていないことが、8050問題の元凶だと思います。 欠けている家族間のコミュニケーション 春日:引きこもり本人のケア以上に、家族のケアももっと必要なんですけどね。「川崎殺傷事件」と「元農水事務次官事件」以降、当事者の家庭で「我が家もこうなるのではないか」と不安を抱く人が増えていると思います。 池上:私のところにも相談がかなり来ていて、親だけでなく子の側も「自分も親に殺されるかもしれない」と、怯えていますね。 春日:両事件で共通するのは、家族間でコミュニケーションが取れていないこと。交流があれば支援できたこともあるはずです。 池上:「元農水事務次官事件」にしても、会話ができていれば、「事件を起こすのでは」という強迫観念に囚われて、息子を刺すことにはならなかったんじゃないかと。「川崎殺傷事件」では、行政の助言で叔父夫婦が、加害男性に手紙を送っています。手紙の内容はわかりませんが、仮に「引きこもりをやめて」などと書いたなら、相手を追い詰めるトリガーになってしまった可能性があります。 春日:手紙という手段自体は悪くないですが、否定的なことを書くのは逆効果ですよね。 ゴールを設定せずに子供の話を聞いてあげてほしい 池上:まず子供の話をよく聞いてあげてほしいです。親側はよく「ちゃんと聞いている」と言うんですが、「外に出て働くこと」をゴールに設定して話してしまっていたら、子供は「何を言っても無駄だ」と諦めます。結果、家は安住の場ではないと思い、コミュニケーションの断絶や家庭内暴力につながりかねません。あとは否定せず、褒めることも大事です。「元事務次官事件」の息子のネットゲームにしても評価するべきでした。強みになる可能性があって、実際、開発中のゲームのデバッグ(実際にプレイしてバグを探すこと)の人材を求めている大手企業もありますからね。 病院に行くことで手当を受け取れるようになることも 春日:働いて自立してくれるのがベストでも、長期間の引きこもりから一気にそこまでいくのは困難ですからね。生活費などの経済的な問題については、セーフティネットとして障害者年金や生活保護など公的機関に頼りながら、段階的に就労する手段もあります。その受給資格を得るためにも、本人抜きの家族だけでもいいから早めに病院に行き、医師に相談してほしいです。 池上:あとは、公的機関の相談窓口や、家族会に行くのも手です。実例でも「名士の親が、子どもの引きこもりを隠して孤立し、悪化する」というケースが多いですが、場に行けば、いろんな当事者家族に出会えます。意外と地元の名士のご家族も多いので安心できるはず。「うちだけが変なのではないか」と思い詰めず、ぜひ積極的に外部に相談してほしいですね。

【春日武彦氏】 精神科医、作家。都立中部総合精神保健福祉センター、都立松沢病院部長、墨東病院精神科部長などを経て、成仁病院院長を務める。近著に『猫と偶然』(作品社) 【池上正樹氏】 ジャーナリスト、日本文藝家協会会員。KHJ全国ひきこもり家族会連合会事業委員としても活動する。近著に『ルポ ひきこもり未満』(集英社新書)などがある ― 引きこもり中年の衝撃 ― ハーバービジネスオンライン 〔2019年8/27(火)HARBOR BUSINESS Online〕

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絶望名言 [大弦小弦]絶望の中でも一人じゃない NHK「ラジオ深夜便」の人気コーナーを書籍化した「絶望名言」は、古今東西の文学作品から絶望に寄り添う言葉を紹介する。大学時代に難病を発症し、13年に及ぶ療養生活を経験した頭木(かしらぎ)弘樹さんが選定・解説する言葉は奥深い ▼例えば、作家カフカの〈生きることは、たえずわき道にそれていくことだ〉。思いがけず大病を患い、「本来の人生を失った。脱線してしまった」との意識に苦しんだ頃に出合い、救われたという ▼一見ネガティブ。だが悲しい時にバラードが聴きたくなるように、つらい気持ちを代弁する言葉に、無理に前を向かなくてもいいと言われている気がして心が軽くなる ▼夏休み明け前後に増える子どもの自殺を防ごうとの取り組みが広がっている。新聞各紙では、いじめや挫折を経験した著名人らの体験談を掲載。県内でも「#不登校は不幸じゃない」と題した全国一斉のイベントがあり、不登校経験者が「学校に行けなくても大丈夫」と語り掛けた ▼千差万別の体験談に共通のメッセージが読み取れる。生きづらさを抱えている「君」へ、焦らなくてもいい。絶望の中でも一人じゃない、と ▼頭木さんは、絶望している人誰しもが真っすぐ立ち直れるわけでないとし「ゆっくりそばにいて、せかさずに」と助言する。君の周りにも寄り添う大人がいる。(大門雅子) 〔2019年8/27(火) 沖縄タイムス〕

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夏休み終盤 夏休み終盤に限って、親は子どもの「観察魔」なるべき理由

「いつもと違う何か」を察知することが大切

夏休みももうすぐ終わります。そのようなタイミングで、もし子どもが「学校に行きたくない」と言ってきたら、親であるあなたはどうしますか? 国立精神・神経医療研究センター(小平市小川東町)内の「自殺総合対策推進センター」の調べによると、小学生から高校生までを対象にした直近10年間のデータで、自殺者数は8月下旬から9月上旬にかけて多くなることが分かっています。 こういった結果を踏まえ、子どもの親としてどう対処していけば良いのか考えていきます。 夏休みが後半にさしかかると、「早起き生活がまた始まるから嫌」「学校に行くのが面倒」と冗談めかしく話す子が多く現れます。こういった言動の中に、子どもの異変が隠れています。 上記のような言葉のほか、子どもが頭痛や腹痛などの体調不良を訴えてきても、異変と考えていいでしょう。学校再開までのカウントダウンが始まると、不安で夜に眠れなくなる子どもは少なくありません。これまでの様子と比べ、子どもが落ち込んでいたり、口数が少なくなったりしていないかを観察しましょう。 子どもは成長するにつれ、「親に心配をかけたくない」と敢えて明るく振舞うようになります。「もう思春期なのかな」と思う親もいるかもしれません。しかし子どもは小学校高学年前後から空気を読み、本音を言わなくなります。元気過ぎたり、家族に優しすぎたりするなど、「妙に良い子になっている」と感じたら、それも危険なサインなのです。 「なんで行きたくないの」と子どもを問い詰めない 子どもが学校に行きたがらないと、大半の親は「どうして行きたくないの?」と理由を聞きたがります。イジメだけが原因ではありません。学力不振や対人関係の疲れなど、複合的な要素が積み重なっているケースもあります。 そのような要素を親が強引に解決しようとしても、本当の解決とは言えません。親が子どもに対してすぐに答えを求めてしまうと、心を閉ざしてしまう恐れがあります。 理由を聞きたくなるのはわかりますが、まずは子どもが抱えている不安や悩みを聞くようにしましょう。声に耳を傾けるだけでよいのです。否定の言葉や人生訓を説くのはかえって逆効果ですので控えましょう。「親は自分の味方」であることを言動で示すのです。 「うちの子に限って」という思い込みを捨てる 親と言えども、子どもの本心を見抜くのは簡単ではありません。近すぎるからこそ見えないこともあります。「ここまで追い詰められていたなんて」と、後から事実を知ることだけは避けなければいけません。 普段と様子が違うと感じたら、声がけはもちろんのこと、心療内科やスクールカウンセラーといった第三者に頼りましょう。子どもは成長すればするほど、自分の気持ちを親にストレートに伝えることに抵抗感を覚えます。まずは専門家に診てもらい、抱えている不安を吐露できる機会を作ってあげてください。 「子どもはそのうち、本当の気持ちを打ち明けるだろう」と様子を見ていると、状況は悪化します。子どもは「親は結局、自分を学校に行かせようとしている」と思ってしまうので、決して胸の内を見せようとしなくなります。あらゆる事態を想定し、身内で話を済ませようとせず、外部の人に頼ることを考えてください。 悩んでいる子どものイメージ(画像:写真AC) 「学校がすべてではない」と親が態度で示す 子どもが学校に対して不安や恐怖を抱いているなら、無理に学校へ通わせないようにしましょう。「そのくらい我慢しろ」など親から言われたら、子どもは絶望的な気持ちになり、誰も信じられなくなります。 現在、不登校に対するサポートは充実しています。私たち親世代とは、考え方も雰囲気も変化しているとまず自覚しましょう。もはや、「学校に行かなければ人生が終わってしまう」という時代ではないのです。 子どもを守ることを最優先し、無理に学校に通わせようと必死になってはいけません。学校外の教育サポートや、不登校児を積極的に支援している民間団体に一緒に見学に行ったり、関連する資料を集めたりして、「学校だけがすべてではない」という考えを持っていることを子どもに示してあげましょう。 夏休み前後はいつも以上に注意する 前述のとおり、夏休み前後に子どもの自殺数は増えます。「わが家には関係のない」と考えず、子どもの様子や言動の変化に注意してください。 「笑顔が少ない」「自室にこもる」「外出したがらない」など、1年前の夏と違うところはないか比較してください。そういった些細な変化を自分の「思い過ごし」とせず、子どもから発せられているSOSに積極的に気づくことが、親に求められているのです。 中山まち子(ライター、元塾講師) 〔2019年8/26(月) アーバン ライフ メトロ〕

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展覧会「表現の生態系」 白川昌生、高山明ら31組による「世界との関係をつくり変える」実践。展覧会「表現の生態系」がアーツ前橋で開催 鴻池朋子 Dream Hunting Grounds(部分)2018 作家蔵 いま、芸術や美術館にはどのような役割が求められているのか。これを「世界との関係をつくり変えていく実践」ととらえ、アーティストによる作品・プロジェクトを紹介する展覧会が群馬の アーツ前橋で開催される。会期は10月12日~2020年1月13日。 本展を手がけるのは、芸術人類学や神話学を専門とする石倉敏明、都市社会学を専門とする山田創平、アーティスト・白川昌生、そしてアーツ前橋の学芸員からなる企画委員会。分野を横断しながら、社会における芸術の役割を様々な視点から検証する。 同館は2016年から福祉、医療、教育などの分野と協働し、社会における「生きづらさ」に対して表現が持つ可能性を考える「表現の森」プロジェクトを始動。本展では同プロジェクトの4年間の活動に加え、LGBTQ支援をテーマに活動を行う団体「ハレルワ」と山田創平、ブブ・ド・ラ・マドレーヌ、あかたちかこによる新プロジェクト・作品を展覧する。 また本展では、前橋の赤城山に着目した宗教性や共同性に関するリサーチを通して、9作家が新作を発表。なかでも白川昌生は岡本天明、金井南龍、ヨーゼフ・ボイスやシュタイナーなどを取り上げながら、日本における精神の流れとヨーロッパの芸術の関係を提示する。 そのほかにも高山明/Port Bは、インドシナ難民で精神疾患を持つ人々を受け入れてきた施設「あかつきの村」を舞台に、その歴史を体験できる新作を発表。また滝沢達史は、ひきこもりや不登校を経験した若者たちが通う「アリスの広場」と協働し、まちなか商店街での拠点づくりを新たなプロジェクトとして展開する。 教員や美術・医療・福祉・教育を専門に学ぶ学生は入場無料の本展。会期中にはトークや上映など様々なイベントも予定されているため、こちらもあわせてチェックしてほしい。 〔2019年8/26(月)美術手帖〕

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白石あづさ 「神も仏もありません」インド仏教の最高指導者は日本人!母国とかけ離れた日常生活 13億人の人口のほとんどがヒンドゥー教徒だったはずのインドに異変が起きている。社会に強く根づいているカースト制度にすら入れず、「触ると穢れる」と長い間、差別されてきた不可触民の人々を中心に、仏教に改宗する人が急増しているのだ。 半世紀前には数十万人のみだったインドの仏教徒数は現在、1億5千万人を超え、今でも増え続けている。その偉業を成し遂げたインド仏教の最高指導者が日本人であることは、あまり知られていない。 まるでヤクザの親分 白石あづささんの最新刊『世界が驚くニッポンのお坊さん 佐々井秀嶺、インドに笑う』は、今や伝説的な僧侶・佐々井秀嶺氏の人生と日常に密着したノンフィクションだ。 「佐々井さんと知り合ったのは、2015年の春です。インドでの佐々井さんの活動を支援する南天会の方から、“ちょうど佐々井さんが帰国しているので、取材をしませんか”とお話をいただいたんです。 以前からユニークな方だと聞いていたので、1時間ほどのインタビューをさせていただきました。その際に、“あんた、インタビューが上手だな。ぜひインドに取材に来なさい”と声をかけられたんです」 世界100か国以上への渡航経験がある白石さんはインドを訪れたこともあるという。 「そのときには佐々井さんの言葉を真に受けたわけではなくて、遊びがてら久しぶりにインドに行ってみようかなぁ、くらいの気持ちでした。ちょうどインドが涼しくなる10月に、インド仏教最大の祭典『大改宗式』が行われたので、それを見に行ったんです。 日本で取材をさせてもらったときの佐々井さんは気さくでニコニコしていたというのに、大改修式ではインド人僧侶たちをドスの効いた声で統率していて、まるでヤクザの親分のようでした」 大改宗式の取材写真が『週刊文春』に掲載されると、白石さんのもとには佐々井秀嶺氏のノンフィクション本の執筆依頼が10社以上から寄せられたという。 「でも、正直なところ、佐々井さんは強烈な人間ですし、インドは埃っぽいし、普通に歩いているだけで牛がぶつかってくるし。旅行でも大変なのに、また仕事で行くことはもうないだろうと思いました」 風向きが変わったのは『週刊女性』の「人間ドキュメント」に佐々井氏の記事を寄稿したのがきっかけだった。 「その記事を読んだ佐々井さんがとても喜んでいて、“あいつ、本を書けばいいのに”と言っていると人づてに聞いたんです。佐々井さんは自分が有名になりたいわけではなくて、インドの仏教事情をもっと知ってもらいたいから本を書いてほしいんだろうなぁと思いました。 すでに80歳を越えるご高齢ですし、“よし、書こう!”と決め、いちばん最初に書籍の執筆依頼をくださった文藝春秋の方に連絡をしたんです。そしたら、すぐに予算が組まれて、“気が変わらないうちに行ってきてください”と言われました(笑)」 色に溺れた佐々井青年 佐々井秀嶺氏は岡山県で生まれ、成長とともに女性に対して並々ならぬ関心を抱くようになった。 色に溺れ、3度の自殺未遂を経て仏教に出会い、タイへ渡ったのちにインドの中央に位置する都市ナグプールへとやって来た。波乱万丈のその人生には、しばしば神秘的な瞬間が訪れている。 「子どものころにひどく衰弱したとき、山伏のお告げにしたがって赤い目の蛇の心臓を150個も200個も飲んだとか、3度目の自殺を図ろうとしたときに妙見菩薩の声で思いとどまったとか、大乗仏教の開祖・龍樹のお告げを聞いてナグプールに来たとか。 つっこみどころ満載ではあるのですが、でも、どのエピソードも本当らしいんです」 天に導かれるように現在の地位までたどり着いた佐々井秀嶺氏は、妬み嫉みの対象になりやすい人物でもある。実は、白石さん、インドでの取材中にしばしばスパイ映画さながらの場面に直面したという。 「私はおいしいものが大好きなのですが、佐々井さんには“誰かにもらったものを食べてはいかん”、“お前は食いしん坊だから毒殺されないか心配だ”としょっちゅう言われていました。実際、佐々井さんは何度も毒殺の標的になっているらしいんです。 あと、2週間のインド滞在中は基本的に佐々井さんに密着していたので、暗殺される可能性がある場所へも一緒に行くはめになり……。無事に帰って来られてよかったです(笑)」  偉大なる存在の佐々井秀嶺氏だが、その日常は日本のお坊さんのイメージとは大きくかけ離れている。 「食事は近所の信者の方々が持参する料理で、住まいは12畳ほどの質素な部屋です。その部屋で結婚相談とか、娘さんの留学先のトラブルといった市井の人たちの悩みを聞き、解決策を講じたりするんです。 佐々井さんは“民衆を守るのが僧侶の役目だから”とおっしゃっていて、行政では対応できないことを全部、引き受けているように感じました」 白石さんは、佐々井氏から深く学んだことがあるという。 「佐々井さんはよく、“神も仏もありません。泣いてすがるんじゃなくて、寺に集まり相談し助け合え”と説法しています。日本でもみんなで集まって相談できる場所があれば、引きこもりとか不登校といった問題を解決できるんじゃないかなぁって。 佐々井さんの活動を間近で見るうちに、そんな考えを持てるようになりました」 ライターは見た!著者の素顔 佐々井氏に日本食を食べてもらいたい一心で、食材持参でインドに渡ったという白石さん。 「高野豆腐や乾燥わかめ、鮭の燻製、缶詰といった食材と、めんつゆ、だし、お酢などの調味料を持っていきました。滞在した宿坊には台所がなかったので、湯沸かし器で煮物や汁物を作ったんです。 佐々井さんはすごく喜んで食べてくれたのですが、だんだん舌が肥えて“今日のは味が薄い”などと言われるようになり……。取材期間が2週間でよかったです(笑)」

PROFILE ●しらいし・あづさ。日本大学藝術学部美術学科卒業。フリーライター&フォトグラファー。地域紙の記者を経て約3年の世界放浪へと旅立ち、帰国後は旅行雑誌や週刊誌などに執筆。これまでに訪れた国は100以上にのぼる。著書に『世界のへんな肉』など。 (撮影/北村史成 取材・文/熊谷あづさ) 〔2019年8/26(月) 週刊女性PRIME〕

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春名風花 春名風花「声を大にして書く」 いじめている人へ「学校なんて来なくても良いんだよ」 女優で声優の春名風花が25日から26日にかけてツイッターを更新。夏休みが終わるこの時期に、いじめられている子たちへ「つらいなら学校へ行かなくてもいい」と訴える声が増えることに「『学校に行かなくてもいいんだよ』というメッセージは、本来、いじめている側にかけるべき言葉です」と持論を訴えた。 春名は「毎年この時期になると『無理して学校に行かなくて良いんだよ』というツイートがタイムラインに溢れます」と切り出し「一見優しい言葉に見えますし、緊急対応としても間違いではありません。でも『学校に行かなくてもいいんだよ』というメッセージは、本来、いじめている側にかけるべき言葉です」と訴えた。 そして「他人の学ぶ権利を邪魔するのならば、学校には来ないでください」「真面目に学校に通いたい人達の迷惑になります」と“いじめている側”へ呼び掛け、いじめられている人へは「あなた方は堂々と学校に行く権利があります。誰にも遠慮せず学ぶ権利があります。その事を絶対に忘れないでください」と強く訴えた。 さらには「『つらいなら学校なんか行かなくて良いんだよ』と、いじめられた側を追い出して、何事もなかったように学校生活を送る人達を、僕は絶対に許さない」ともつぶやいた。そして「なので、夏休みの終わりに声を大にして書いておきます。『いじめをするのなら、学校なんて来なくても良いんだよ』」と、自身の考えをつぶやいた。 その後も春名は、いじめられ不登校になった側が勉強が遅れたり、社会復帰できないことの理不尽さをつぶやき、「不登校の受け皿が用意されているなら不登校でも良いと思います。けれど現状は、いじめで不登校を選択した末に学歴もなく引きこもり、社会復帰すらままならない子が大勢いる」。一方いじめた側は、普通に生活を送れることに「納得がいかない」ともコメント。「なぜいじめられた上に勉強する権利まで奪われるのか」など、つぶやきは止まらない。 翌日にもツイートは続き、「これからは被害者を不登校にすることで『その時だけ』問題を解決したことにしている現状から、もう一歩先の『本当の解決』に踏み出して欲しいと僕は思う」とも呼び掛けていた。 〔2019年8/26(月) デイリースポーツ〕

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沖縄県 令和の小さな偉人プレゼン大会  いじめをなくす方法 「小さな偉人」は考えた 子どもが今思うこと、14組がプレゼン 子どもたちに伸び伸びと自分の意見を主張する場をつくろうと、「令和の小さな偉人プレゼン大会 子供は平和を作る天才!!」(主催・子供社長クリエイタースクール)が24日、沖縄県豊見城市の中央公民館であった。 県内の子どもを中心に14組が舞台に立ち、日頃思っていることや取り組んでいる芸能活動、抱いている夢などを自由に発表した。 沖縄アミークスインターナショナル小学校(うるま市)6年の松山航世さんは、いじめをなくすために、どうしていじめが起きるのかを友人らと表現した映画を上映。「いじめは自分のことばかり考えているから起きる。いじめる側もいじめられる側も苦しくなる」と主張した。 また、補聴器を日頃から利用する同小5年の山本朝日さんは、学校生活で困ったことなどを動画で紹介。「補聴器は耳の眼鏡。耳は聞こえにくいけれどこれが僕。違うことを認め合えることが大切だと思う」と発表した。 金武小学校6年の田場日那詩(ひなた)さんは、辺野古新基地建設について「争いの無い平和な世界へ」と題して発表。自分なりに調べた賛成派と反対派の意見を紹介し、「トラブルの原因は、相手を否定することから始まる。すぐ否定せず、意見の違いを楽しめば対話もできるのでは」と思いを伝えた。 審査員はダンサーで演出家のRYON・RYONさんらが務め、子どもたちの発表に一つずつうなずきながら聴き入っていた。 子供社長クリエイタースクール校長の仲宗根美幸さんは、自らが不登校になったことのある過去を振り返り、「枠にはまらず、言いたいことを表現できる場にしたかった。大人になって忘れていたことを、子どもたちが来場者に教えてくれたのでは」と話していた。 〔2019年8/26(月)沖縄タイムス〕

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志堅原京子 学校がつらい君へ 登校で吐いていた少女、伝えたいのは「自分を責めないで」 つらい不登校経験を発信する志堅原京子さん。悩む人へ「自分を責めず、リラックスを心掛けて」と笑顔で語り掛ける=23日、那覇市内 多くの学校で夏休みが終わる。学校に行くのを憂鬱(ゆううつ)に感じる子どもたちは少なくなく、8月下旬から9月上旬は、全国的に子どもの自殺が増える傾向にある。小中学生のころ、学校に行けなかった志堅原京子さん(41)=那覇市=は、つらい思いを抱える「君」へ語り掛ける。「学校に行かなきゃ、と自分を責める必要はない。自分を大切に、リラックスすることを何より心掛けてほしい」

【「ハーフは強み」】ミス沖縄に5度の挑戦 24歳の秘めた思い 志堅原さんは、小学3年から中学3年の2学期まで不登校だった。原因は分からないが、学校に行こうとすると吐いてしまう。次第に水しか受け付けなくなり、体重は一時16キロにまで落ち込んだ。 入退院を繰り返すも、原因は見つからない。「学校に行かなきゃ。行きたい」と思い続けていたが、体がついていかなかった。「やり直したい」と考えるようになった中3の時、7年間続いた嘔吐(おうと)が止まった。「学校に行けるようになるタイミングは人それぞれ。周りが行かせようとしても、行けない時は行けない」と理解を求める。 悩む親子は「夏休み明けからは頑張ろうね」と約束しがちだ。志堅原さんは「行きたくても行けない子が多いと思うので、周りの人はプレッシャーを与えず、見守ってほしい。待ってほしい」と呼び掛ける。 将来への不安を口にする親子も少なくない。志堅原さんは高校卒業後、大学に進学し、ヨーロッパへの短期留学や一人旅も経験。IT企業に勤めてからは優秀な営業成績を収め、現在はピラティスのインストラクターで、2児の母。「社会で活躍する不登校経験者はたくさんいる。心配することはない」とほほ笑む。 2年ほど前から始めたブログで、自身の不登校経験をつづっている。18日には「#不登校は不幸じゃない」と題したイベントで、体験を語った。終了後、娘が同じように嘔吐で苦しんでいるという保護者に「学校に行かせようと考えていたけれど、変わろうと思った」と声を掛けられた。 「そう思ってくれたことが本当にうれしかった」と志堅原さん。「私が不登校だった頃から30年近くたった今もつらい思いをする子がいて、むしろ増えている。発信を続けて誰かの救いになりたい」と話した。 (社会部・嘉数よしの) 〔2019年8/26(月) 沖縄タイムス〕

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HSC(ハイリー・センシティブ・チャイルド) 新学期に注意したい不登校・引きこもりの一因となるHSCとその対応策とは? 不登校の一因のHSCとは? 若い時と中年期からの引きこもりは区別して考えたほうが良い 引きこもりによる様々な問題が明らかになり、特に8050問題と呼ばれる中高年の引きこもりが大きな社会問題となっています。8050問題と言われる背景には学生の時の不登校が引き続き、長い間引きこもりになる例やいったん就職はできたものの様々なストレスで会社を辞めて引きこもりになる例があります。若い時に退職して長く引きこもる場合と、中高年になって疲れ果てた状態で引きこもる場合がありますが、両者は少し区別をしておいたほうがよいのかもしれません。 若い人が就職して間もなく引きこもりになるのは学生時代からの引きこもりとある程度同じような原因と思われます。40-50歳で会社を退職して引きこもる場合は過重労働やパワハラなどの環境的な要素で多くはうつ病やうつ状態または不安障害が原因のことが多いようです。中年まで仕事をしていたので、結婚して子供がいる方も少なくありませんが、離職したとたんに収入が途絶えて別居や離婚に至るケースもよくあります。精神的に落ち込んで一人で暮らすのは困難なために実家に戻って両親と生活する人も多いでしょう。 男性更年期から引きこもりへ 私の男性更年期外来には、働き盛りで精神的ストレスから仕事ができなくなって訪れる人が多いです。まだ休職中なら何とか復職できるように我々も頑張るのですが、すでに退職してしまった人が新しい職場を見つけるのは大変です。どちらにしても精神状態を立て直して仕事に復帰することが一番重要であり、何とか定年まで引っ張ることが我々の務めと思っています。定年、あるいは再雇用まで引っ張れば少ないながらも自分の年金でしばらく生活することは可能です。8050問題をはじめ引きこもりの大きな問題は経済活動ができないということでしょう。 子供の不登校・ひきこもりの一因となるHSCとは? さらに9月前には子供たちの不登校にも気を付けていただきたい。最近では啓発活動が進み、新学期に無理に子供たちを学校に行かせることが、大きなストレスとなり危険な行動になる可能性があることが周知され始めました。そして不登校や引きこもりの原因としてHSC(ハイリー・センシティブ・チャイルド)という概念が注目されています。一言でいうと周囲の刺激に敏感な子供たちのことで、大人になっても敏感な人はHSP(ハイリー・センシティブ・パーソン)と呼ばれます。HSCもHSPも病気ではありませんが、勉強や仕事などの社会生活が辛くなる場合があります。特に敏感なのは五感と気遣いです。 HSCは人の多いにぎやかな場所が苦手、光やにおい・味に敏感で、人の気持ちを察しすぎるという特徴があり、幼い時にはちょっとしたことで泣いたり、睡眠が浅かったりします。気配りが上手で、繊細さがあることからうまく自分の感情をコントロールできれば社会でも優れた才能を発揮する可能性があります。性格なので病気ではありませんが、医師の診察を受けると発達障害や不安障害と診断されることもあります。 HSCやHSPはエレイン・N・アーロン博士が提唱した概念です。日本では2015年に「ひといちばい敏感な子」(明橋大二訳)として紹介され、その後色々な専門家がHSCに関する本を出版しておられます。病気ではないので診断基準というものはありませんが、23項目のチェックリストなどが紹介されています。この23項目には少しわかりにくい設問もあるために、私が患者さんなどの聞き取りから、少し簡単なチェックリストを作ってみました。このチェックリストは特に広く認められていないものですのでこんなものかな?と考えていただければ幸いです。(8/19の関西のおはよう朝日でも紹介されました) 1 すぐにびっくりし、驚かされるのが苦手 2 服の布地がチクチク感じ、縫い目や服のラベルが気になる 3 しつけは、怒るよりも、優しい注意のほうが効果的 4 親や友人の心を読んで気を使う 5 においや音・光・痛みに敏感 6 慎重で、大きな変化にうまく適応できない  7 細かいことに気づき、よく質問する 8 服がぬれたり、汚れるとすぐに着替えたがる 9 大勢より、一人で静かに遊ぶのを好む 半分以上当てはまればHSCまたはHSPの傾向があるかもしれませんが、あくまでも目安と考えてください。まだ十分に検討していませんが私の男性更年期外来の患者さんの約半数が昔はHSC的、いまもHSPであると言います。またそのようなご両親から引きこもりや不登校の子供たちの相談にも応じてきましたが、かなりの子供たちがHSCに該当します。HSCは遺伝するというわけではありませんが、親子の性格が似るために、親子で生きづらい状態になっている人は少なくありません。 現代社会では敏感な人は生きにくい 昔からHSC/HSPの方はおられたと思いますが、最近大きな問題になってきた背景はなんでしょうか?色々な要素があると思いますが、私は世の中が情報であふれかえり、良いことではありますがコンプライアンスが重視されきちんと生きていくことが重要な時代になってHSC/HSPのような敏感な人が生きにくくなったように思えます。特に過敏なだけで社会生活に支障がなければ問題はありませんが、少し人と違っているなと感じた時にはまず本人や保護者がHSCを自覚し、先生や友人など周囲の人に理解してもらうことが必要です。周囲からあまり理解されないと、学校に行くことや友人関係に疲れて不登校や引き籠りになる可能性もあります。自分がHSC/HSPとわかるだけで気が楽になる人もいます。 多くの方がHSCやHSPに対しての知識があり、それなりの対応をしていただければ大きな問題は起こりませんが、それはあまり簡単なことではありません。特に小学生くらいの子供たちにそんな配慮を求めるのは難しいことです。そのために友達や先生の心無い発言や態度に心が傷つき不登校にいたる敏感な子供たちは少なくありません。言った本人ですらいじめと意識しないような言葉でも心が傷つく子供たちはいます。引きこもりや不登校の原因には明確ないじめは比較的少なく、友人関係や体調不良が大きな原因と言われています。実際に調査をしても明確ないじめがない場合も多いですが、友人の何気ない言動に敏感な子供が傷ついている場合があります。 HSCを理解する以外の対応策とは? 周囲の理解を十分得ることができないときは対応の方法はないのでしょうか?以下の対応方法は私の大学での研究成果と臨床の経験からのお話で一般的ではないことはご了解いただきたいと思います。 非常に敏感ということは少し鈍感になれば楽になるはずです。性格的に鈍感になるように指導するのは結構大変ですので、私は少し鈍感になる薬を処方することしています。そんな薬はあるのでしょうか?それは私もよく服用しているベータ遮断剤です。ベータ遮断剤の主な適応は高血圧ですが、中には頻脈(脈が速い)、片頭痛、本態性振戦(手先が細かく震える)などにも効果が認められている薬もあります。HSCの方は大概上記のような症状がありますので、処方することは可能です。ただ気管支喘息のような呼吸器の疾患が疑われる場合は使用できないこともあります。向精神薬ではないので依存の心配もほとんどありません。薬である程度過敏な感覚が緩和すると学校や社会で過剰に気を遣うことがなくなり症状が改善することが多いです。視覚や聴覚は10歳代で、味覚や嗅覚も20歳代で、鈍感になりますので、多くの方は年とともに薬を必要としなくなります。 HSCは豊かな感性や思いやりの心で社会に貢献できる可能性を秘めていますが、引きこもりや不登校が長期間続くと社会生活が困難になる恐れもあります。HSCそのものは病気ではありませんが、社会生活に支障をきたすのであれば専門家に相談する(実際は理解できる専門家が少ないのも問題ですが・・)ことも考えてもよいのではないでしょうか?

石蔵文信 医師/循環器、心療内科医/家族・夫婦・定年問題専門 内科専門医・循環器専門医・性機能専門医・超音波指導医。大阪市内と都内で男性更年期外来担当。循環器病・夫婦問題や定年後男性の生き方などが専門。各地で料理教室を開催。主な著書として『夫源病』(大阪大学出版会)『男のええかげん料理』(講談社)『なぜ妻は、夫のやることなすこと気に食わないのか エイリアン妻と共生するための15の戦略』 (幻冬舎新書) 『妻の病気の9割は夫がつくる (医師が教える「夫源病」の治し方)』『親を殺したくなったら読む本 (親に疲れた症候群の治し方)』(マキノ出版)など多数。日本原始力発電所協会代表(http://eco-powerplant.com) 〔2019年8/25(日) 石蔵文信 医師/循環器、心療内科医/家族・夫婦・定年問題専門〕

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漫画「君が教えてくれた居場所」 いつも明るかったあの子が過呼吸に……教室の憂鬱さ晴れるまでを描いた漫画「好きなものを探すのが一番」 ヒヅキオキナさんの「君が教えてくれた居場所」 【#withyou~きみとともに~】 特別大きな悩みがあるわけではないけれど「いつも憂鬱だった」と話す女の子は、ある出来事がきっかけで世界が色づいていくーー。漫画「君が教えてくれた居場所」の作者のヒヅキオキナさんは、「手放したくないことが一つでもあれば生きていける」と語ります。withnewsと漫画のSNS運営する「コミチ」がコラボし、「#わたしの居場所」をテーマに作品を募集。入賞した本作は、「居場所」に気付くきっかけを教えてくれます。(朝日新聞記者・金澤ひかり)

明るかったあの子が過呼吸に……教室の憂鬱さ晴れるまで描いた漫画 ムードメーカー「マチちゃん」にうらやましさ 「私はいつも憂鬱だった」。物語は、教室でほおづえをつく女の子・ケイちゃんの心の声から始まります。「勉強は兄と比べられる」「美術部だって私より上手な人ばかり」――。 一方、同じ教室には、いつも笑顔のグループがあり、中心には「マチちゃん」がいます。勉強もスポーツもできるマチちゃんは「ムードメーカー」です。 うらやましさを抱くケイちゃんでしたが、ある日、いつも明るいマチちゃんが過呼吸を起こしていることを知ります。 「この子も生き辛さを感じていたのかな」「笑顔の裏でどんな思いを抱えてきたんだろう」。そんな気持ちがケイちゃんに芽生えます。そして「苦しいのは、私だけじゃなかったんだ…」とも。 しばらく経って、マチちゃんから「ライブ来ない?」と話しかけられるケイちゃん。公園で路上ライブをするというのです。 放課後、ライブの場所に急ぐケイちゃんの耳に、マチちゃんの歌声とギターの音色が響きます。 ケイちゃんに音楽が届いた瞬間、それまでモノクロで描かれていた作品には、オレンジを基調にした色がつきます。 ケイちゃんは「のびのびと自由に歌う彼女の姿に心が揺さぶられた」と感じ、気づくのです。「彼女の居場所はきっとここなんだ」 そしてケイちゃんは再び絵を描くことを始めます。「今までは人と比べて嫌になってやめちゃってたけど 余計なことは考えないようにしたんだ」と友達に話します。友達が「いいな なんか楽しそうだね」と応じると、ケイちゃんはスッキリとした表情で「大丈夫!きっと楽しいこと見つかるよ」。 モヤモヤの10代がベース 作者のヒヅキさんは、「不登校になるくらい思い悩んでいたことはそんなに多くなかった」と話しますが、モヤモヤとした気持ちを抱えて過ごした10代だったといいます。「友達をうらやましく思う気持ちがあったり、自信がなくて何をやってもだめだと思ったり…」。 そんな自身の経験が作品のベースにあります。「ミチちゃんにはモデルがいて、ケイちゃんは、私寄りの子です」 路上ライブは「オレンジ色」 モヤモヤを抱えていた高校1年生のヒヅキさん。ある同級生が、自分が演奏する路上ライブに誘い出してくれたそうです。ミチちゃんのモデルになった同級生です。

当時、路上でギターを弾き、歌う彼女の姿がとても印象的で、「堂々としていて、楽しそうだった。自由に何かをできるのはいいなと思ったんです」 そのときの様子を、作品でも描きました。 作中、「ミチちゃん」が路上ライブを始めると、世界はオレンジ色に変化します。ヒヅキさんは「歌を聴いて、ケイちゃんの世界が拓けたことを表現したかった」と話します なぜ、「オレンジ色」に変化したのか――。ヒヅキさんは「ミチちゃんのモデルになった同級生の路上ライブを聞きに行ったとき、夕焼けの中で歌う彼女の姿がとても印象的だったから」と振り返ります。 劣等感も他人の目も気にならない時間 昔から絵を描くことが好きだったというヒヅキさん。「絵を描いている時間は、劣等感を感じることも、他人の目を気にすることもなく、没頭できるんです」と話します。 「人の目を完全に無視することは、なかなかできないですよね。でも、他のことを考えずに夢中になれて、のびのびとできる時間は、それを忘れさせてくれる時間です」 そんな自由で開放的な時間を、どう見つけたら良いのでしょうか。 「好きなものを探すのが一番です。本でも楽器でも、アニメでもゲームでもいい。好きで、手放したくないものが、一つでもあればそれを支えに生きていける。それがある意味、居場所の一つになるんじゃないかな」      ◇ withnewsはマンガのSNSを運営する「コミチ」とコラボし、「#わたしの居場所」をテーマに生きづらさを抱える10代へ向けた作品を募集しました。のべ35作品が集まり、4作品を入賞に選びました。入賞者のみなさんは、どんな思いでマンガを描いたのか、ご自身の経験とともに振り返ってもらいました。 ヒヅキオキナさんのTwitter:@hiz_oki いろんな相談先があります ・24時間こどもSOSダイヤル 0120-0-78310(なやみ言おう) ・こどものSOS相談窓口(文部科学省サイト)→http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/06112210.htm ・いのち支える窓口一覧(自殺総合対策推進センターサイト)→https://jssc.ncnp.go.jp/soudan.php      ◇ 【#withyou~きみとともに~】 withnewsでは、生きづらさを抱える10代への企画「#withyou ~きみとともに~」を進めています。今年のテーマは「#居場所」。目に見える「場所」でなくても、本や音楽...好きなことや、救いになった言葉でもいいです。生きづらい時間や不安な日々をしのげる「居場所」をみなさんと共有できたらと思います。 〔2019年8/25(日) withnews〕

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ブラック校則 その校則、ちゃんと説明できますか? ― なぜ、理不尽な校則は変わらないのか 理不尽な校則に6万人のNO! スカート丈から下着の色の指定、髪の毛を染めさせることまで、なぜ、学校にはわけの分からない校則があるのか、なぜ直そうとしないのか。 子どもたちに苦痛を与える理不尽な校則をなくしてほしい、そんな願いから6万人もの署名が集まり、8月23日に文科省に提出された。 報道記事によると、署名とともに文科大臣に提出された要望書では、次のことを述べている。 (1)生徒の心身を傷つける「ブラック校則」をなくし、いきいきと過ごせる学校にしてほしい。 (2)「校則」と「校則に伴う指導」に関して改めて実態調査をしてほしい。 (3)「ブラック校則」についての問題を認識し、各都道府県、各教育委員会、各学校に対して、校則を改めて見直し、子どもたちの声を反映した改善を行って、適切な運用がされるように通知を出して周知徹底してほしい。 出典:BuzzFeed Japan 記事(2019年8月23日) 当事者や署名に賛同した方の気持ちは大事にしたいが、本来は、校則は、国が出しゃばる話ではない。 各学校の判断(校長の裁量、権限)で修正していくことも、やめることもできるものだ。置き勉などもそうだが、なんでも文科省の判断や通知に頼らないといけないのでは、「なんのために校長がいるのだ?」という話にもなるのではないか? 「○○ということは校則で定めなければならない」なんて言う法律はどこにもないし、学習指導要領にもない。校則には法的拘束力はないし、本来はその程度のものなのだ。 参考記事として、先日、憲法学者の木村草太先生に聞いたことをまとめた 毛染め強要あるいは禁止から考える、校則はなんのため?【もっと学校をゆるやかにしよう】 校則をなくした中学校が報道などで注目を集めたりするが、それも、オカシナ話だ。小学校の多くには変な校則はないし(制服・標準服もないところが多い)、中学校だからといって、校則があることを前提にしているほうがヘンだ。

また、下着チェックなどのセクハラは言うまでもないが、外国にゆかりのある子の増加や発達障がい、LGBTをはじめとして、児童生徒の状況は多様化しているのに、画一的なルールを強要しようとするのは、弊害も大きい。人権を大事にしよう、とか生徒には言っておきながら、教育が必要なのは教員側のほうではないか、と思ってしまう。 だが、現実には、理不尽な校則が幅をきかせている学校が少なくない。「ここに自浄作用はないのだろうか」と思える学校もある。だから、これほど署名活動にまでなるのだろうし、文科省にお願いせざるを得ない状況になっているのだろう。 変な校則は、なぜ生き残っているのか。学校がなかなか変わらない理由をいくつか考えてみた。 理由1:「校則をゆるめると、生徒指導上、面倒になる」と考えているから。教員にとっては「これは校則だ、ルールだ」として押しつけていたほうが、ラクだから。 「なんで茶髪だとアカンのですか?」、「どうしてピアスはいけないんですか?」、「お化粧はダメですか?」などなど、言っていくとキリがないことは多い。学校、教員としては、「ルールで決まっている。ルールを守れないヤツは社会人としてもやっていけないぞ」などと言っておいたほうが、話が早いのだ。 だが、この理屈はかなり苦しい、と思う。ルールと言うなら、守らないといけないのは、校則よりも法律だ。日本は法治国家なのだし。法律で未成年は黒髪でなけれならない、とか規定されていないのだし、法律で決まっていること以外は、学校も、もう少し自由でいいのではないか。私立学校のように、入学を選択するときに、その校則があることを理解、承知のうえで入る場合ならまだしも、公立中などでは学校を選べない場合も多い。なのに、「これは学校で決まっていることだから」という理由で押しつけるのは、かなり乱暴だと思う。 それに、生徒指導上大変になるとはよく言われるけれど、本当にそうなら、全国各地の小学校はもっと荒れているはずだ。

だいたい、中学校や高校で生徒指導が大変になるのは、別の背景がある。もちろんケースバイケースだけれど、ひとつは授業が難しくなって、分からなくなることの影響も大きい。日中の大部分を占める授業がつまらないので、反抗したくなる子も出てくる。もちろん、これに家庭環境や友達関係でのストレス、あるいは何かのことがきっかけで膨らんだ教員への不信感などが加わってくることもある。 校則を厳しくすることや、校則に(or 校則で)従わせようとすることは、こういう生徒指導上のしんどい子の背景、要因とはミートしない対策だし、前述のとおり、むしろ生徒の多様化を踏まえると、マイナス影響(校則による指導がイヤで不登校になるなど)のほうが大きいかもしれない。 「頭髪指導とか、スカート丈のチェックをやるヒマがあるなら、授業改善か生徒の本音を聞き出そうとすることに時間とエネルギーを使え!」そう、ぼくは申し上げたい。 理由2:茶髪等では就職活動や入試の面接のときに不利になるなど、校則を正当化する理由を疑っていないから。 これもよく聞く話なのだが、少なくとも2点ツッコミどころがある。 第1に、仮にそうだとしても、それで不利になる(可能性がある)ことは生徒に知らせたうえで、決めるのは本人でもよいはずで、一律に全員に対して規制する理由にはならない。 第2に、「髪の毛の色などで判断されるくらいの就職先なら、わたしは行きたくありません」という子がいてもいい。IT業界をはじめとして、企業側もそうとうゆるやかになっているところも多い。こういう意見に、教員側はきちんと向き合えるだろうか? また、校則を維持する別の理由としては、「学校は勉強するところであり、ファッションを見せる場ではない」というのがある。それはそうだろうし、たとえば香水がキツくて周りに迷惑がかかるような場合などでは規制してもよいと思うが、特段、学習環境に支障をきたすものでないかぎり、規制する合理的な理由はない。髪の毛の色がなんであっても、勉強も運動もできる。 仮に「学校は勉強する場であり、ファッションはするな」という理由が通るなら、教員側も化粧なし、毛染めなしにするのだろうか?   理由3:変えると、保護者等の一部から反対があり、面倒だから。 髪の毛の色、化粧などを自由にすると、保護者や地域からクレームが来る。この対応は、正直毎日が忙しい学校にとっては、大きな負担になるだろう。一番目の理由とも重なるが、校則で規制しておいたほうがラクなのだ。 だが、この理由もオカシイ。校則を見直す理由をきちんと説明すれば、それほど大きなクレームにはならない可能性もあるのだが、そういう説明や対話をはっしょっている。 また、面倒だ、負担になるからといって、理不尽な校則や必要性の低い校則を維持、強要する理由にはならない。当たり前の話だ。 上記3点の理由以外もあるだろうが、その校則はなんのためにあるのか、十分に合理的な理由はあるだろうか、理由はあっても別の規制方法もあるのではないか、なども考えてほしい。子どもたちに主体性や思考力が大事だなどと言っておきながら、学校があまりにも前例踏襲で、先生たちに主体性も思考力もないようでは、困る。

★妹尾の記事一覧 妹尾昌俊 教育研究家、学校業務改善アドバイザー、中教審委員(第9期) 徳島県出身。野村総合研究所を経て2016年から独立し、全国各地で学校、教育委員会向けの研修・講演などを手がけている。学校業務改善アドバイザー(文科省、埼玉県、横浜市等より委嘱)、中央教育審議会「学校における働き方改革特別部会」委員、スポーツ庁、文化庁の部活動ガイドライン作成検討会議委員、NPO法人まちと学校のみらい理事。主な著書に『変わる学校、変わらない学校』、『こうすれば、学校は変わる! 「忙しいのは当たり前」への挑戦』、『学校をおもしろくする思考法―卓越した企業の失敗と成功に学ぶ』、『「先生が忙しすぎる」をあきらめない』など。4人の子育て中。 〔2019年8/24(土) 妹尾昌俊 教育研究家、学校業務改善アドバイザー、中教審委員(第9期)〕

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夜間中学支援を拡充方針 文科省、夜間中学支援を拡充方針 全国に設置目指す 文部科学省 不登校などで学校に通えなかった人が再び学びの場を確保できるようにするため、文部科学省が来年度予算の概算要求に、夜間中学に関連する経費として本年度の3倍近い1億3千万円程度を盛り込む方針を固めたことが24日、分かった。 夜間中学については、在留外国人が増える中で、義務教育を終えず来日した人の勉強の場としても需要が高まっている。文科省は全都道府県と政令市で設置を目指しており、新設を検討する自治体を手厚く支援する。 〔2019年8/24(土) 共同通信〕

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不登校・ひきこもりから脱出するための子育て術 不登校を生む教育現場の課題(2)「スポーツ推薦」「スクールカウンセラー」の真実――子どもが不登校・ひきこもりにならない/から脱出するための子育て術 私立校で不登校や退学になりやすい背景に、スポーツ推薦制度があります。 2019年5月。元号が平成から令和に変わり、日本中が新しい時代の幕開けに心躍らせていた矢先に起こったのが、スクールバス襲撃や元農水省幹部の長男刺殺といった「ひきこもり」に関連した凄惨な事件の数々でした。若者の不登校・ひきこもり問題に30年以上支援活動を続け、延べ1万人以上の生徒を立ち直らせてきた著者が、事例を踏まえて解決の糸口を贈る『不登校・ひきこもりの9割は治せる』(7月18日発売・光文社刊)より、不登校を引き起こす教育現場の内情についてご紹介します。「スポーツ推薦」、「スクールカウンセラー」編です。

◆スポーツ推薦は退部=退学? もうひとつ、私立校で不登校や退学になりやすい背景に、スポーツ推薦制度があります。 昨年は日本大学アメリカンフットボール部の悪質タックル事件を皮切りに、スポーツ現場でのパワハラ問題が相次ぎましたが、事の本質は同じです。 朝日新聞記者の中小路徹さんのスポーツ推薦や部活動の問題に迫った『脱ブラック部活』(洋泉社)という本にも詳しく現状が書かれています(私もこの取材に協力しています)。 スポーツの強豪校では、部活動の成績が学校の知名度や評価に直結しますから、監督やコーチも、勝てれば何をやってもいいといったマインドになりがちです。先輩からのしごき、いじめもあります。

相談を受けたあるケースでは、柔道部で先輩からのいじめがありました。 団体戦に出られる選手は1年生から3年生までを含めて5人だけなので、実力のある1年生が、試合に出られない3年生の先輩に猛烈ないじめを受けるのです。 こうしたことはたいてい、大人が見ていないところで起こります。相談に来た生徒は、先輩から「締め技ってこうなんだぞ」と死にそうになるくらいの技をかけられたり、わざと耳をつぶされたり、指一本だけを持って背負い投げされて、けがをしたりしたといいます。 こうしたパワハラを受けて部活を辞めようとしても、スポーツ推薦で入学した場合、部活を辞めてしまうと、事実上高校生活自体を続けられなくなります。

部活のスポーツばかりをやらされて、きちんと勉強を教えてもらっていないので、スポーツ推薦の生徒が在籍するコース以外の普通コースに移れないのです。実際にあったハルトくん、リュウタくんの例をあげます。 【ハルトくんの事例】 (現在、通信制高校2年生。野球のスポーツ推薦で高校入学後、不登校になり、退学) 中学3年生の時、ある大会で活躍したハルトくんが、都心の私立高校のスカウトの目に留まり、チームの監督の薦めもあり、この私立高にスポーツ推薦で入学しました。 順風満帆に見えたハルトくんでしたが、野球部のグラウンドが電車で1時間以上かかる郊外にあったのが誤算でした。 朝は5時に家を出て、朝練をこなしてから授業を受け、放課後に部活でみっちり練習して帰宅すると、いつも夜10時をまわっていました。監督や先輩からのいじめはなかったものの、あまりに厳しく長時間にわたる練習で、身も心もすり減ってしまったのです。 勉強して大学進学を目指す普通コースと、部活で結果を出して推薦で大学進学を目指すスポーツコースでは、校舎の場所も違い、グラウンドのすぐ隣がスポーツコースの校舎でした。当然、部活を休んだのに、学校だけに行ける雰囲気ではありません。 ハルトくんは部活に出なくなると同時に、学校にも行かなくなりました。行かなくなって1週間くらいしてから、学校だけに行ってみたのですが、ハルトくんが教室に来ただけで、クラスの空気が一変したといいます。

「異様な空気で、とてもその場にいられませんでした」とハルトくんは振り返ります。 スポーツコースから普通コースへすぐ移りたいと学校へ願い出たものの、受け入れてもらえず、それ以来、学校へは一度も行かず、1年間ひきこもってゲームばかりしていたそうです。その後、ひきこもりから脱出して、通信制高校に編入学しました。 ハルトくんは「スポーツ推薦で入学すると、あまり勉強は教えてもらえずにスポーツばかりやらされますが、そのスポーツがうまくいかなくなったら、学校にいられず、進学の道も閉ざされてしまいます。将来生きていくためには、やはり勉強して高卒資格を取ったり、大学に進学したりすることが大事です」と言い、今は大学受験に向けて勉強しています。 【リュウタくんの事例】 (現在、通信制高校2年生。サッカーのスポーツ推薦で私立高校に入学し、先輩から執拗ないじめを受けて退学。その後通信制高校で高卒資格取得を目指している) リュウタくんは幼稚園生の時にサッカーを始め、地元のクラブチームでめきめきと力をつけて、小学生の時は全国大会で活躍し、海外へサッカー留学していました。 現地では朝から昼までサッカーの練習で、昼ご飯の時だけ日本語学校へ行き、ご飯を食べながら勉強しました。

午後はまたサッカーの練習をして、サッカー漬けの毎日を送っていました。中学校3年生で日本へ帰国すると、全国の高校からスポーツ推薦入学のオファーが来たといいます。 そのなかのひとつのサッカー名門高校に進学しましたが、リュウタくんは1年生なのに最初からレギュラーで特別待遇だったことが、先輩たちのいじめにつながりました。 いじめをするのは、レギュラー以外の2年生、3年生です。部室に呼び出され、先輩たちに周りを囲まれて、スパイクで体を蹴られるなどの暴行を受けました。いじめは半年くらい続いたといいます。 監督もまるで独裁者のようで、自分の思った通りにしないと、試合にも出してもらえず、個人攻撃されたそうです。 「自分のプレーの質も落ちるし、モチベーションもなくなった」とリュウタくんは退学しました。現在は通信制高校で高校卒業資格を取るのを目標にしながら、同時にクラブチームでサッカーの練習をしてプロを目指しています。 これまで見てきたように、私立校で不登校や中退、ひきこもりが生まれる背景はさまざまです。ただ、学校側がその対策をとっているかどうかといえば、私は不十分だと考えています。

◆スクールカウンセラーへの過剰な期待 私立側が不登校対策としてよくあげているのが、スクールカウンセラーです。「スクールカウンセラーが週に3日来ているので相談できます」などと、胸をはって言いますが、私に言わせれば、何の解決にもなりません。 なぜかというと、カウンセラーは聞くだけだからです。受容して肯定するだけなのです。 「不登校なのです。どうしたらいいですか」と相談しても、「そうなのね、不登校なのね」と言うだけ、肯定するだけで終わってしまいます。確かに生徒や親の気持ちを肯定することも非常に大事ですが、そこから先に進めません。 また、スクールカウンセラーは外部委託の場合が多く、学校内の人間関係もほぼわかっていません。 「A先生がこうで、B先生がこう言った」と相談されても、わかってあげられないのです。「ああ、B先生、ちょっと面倒臭いところあるよね」などと生徒に共感してあげることもできません。ですから、適切なアドバイスをしにくいのです。 「スクールカウンセラーに相談して、カウンセラーさんと仲良くなったはいいけど、その後、結局何も事態は変わらず困っています」といって当会に相談に来るケースはよくあります。 当たり前ですが、先生は自分のクラスの担任だけでなく、教科ごとにいます。9教科あれば9人の先生がいるわけです。 担任の先生に悩みを相談できればいいのですが、担任の先生と相性が合わない場合もあります。それなら別の先生に相談すればいいのです。 すると、学校内の人間関係もよくわかっているので、生徒の納得するアドバイスができるのですが、最近多い外部委託のカウンセラーでは、ほとんど話が通じなくなっているのです。 不登校の子が学校へ行くようになるために、ひきこもりの子が自分の部屋から出てくるために必要なのは、カウンセラーのような自分と全く違うポジションにいる人ではありません。 一番効果があるのは、親でも先生でもない、ちょっと前まで自分と同じ体験をしていたような、同じくらいの年齢の友達と関わることなのです。 〔2019年8/24(土) 本がすき。〕

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子どもの居心地のいい場所 「逃げろ」だけでは無責任 子どもの居心地のいい場所を見つけるために 発達外来で今も発達障害のある子どもや不登校のある子どもの診療を続ける平岩幹男さん 夏休みがもうすぐ終わろうとする今、ひとりぼっちでつらい思いをしている子どもがたくさんいる。 学校に行きたくない。でも家にもいられない。どこにも自分の居場所がない。 追い詰められていく心にどうやったら手を差し伸べることができるのだろう。 発達障害の専門家で、不登校の子どもや学校に行きしぶる子どもを長年診てきた小児科医、平岩幹男さんにお話を伺った。 【BuzzFeed Japan Medical / 岩永直子】 不登校、行きしぶりも含めたらもっと多い ーーなぜ子どもの自殺や不登校は増えているのでしょう。 まず、現状を把握しましょう。厚生労働省の人口動態統計によると、2017年に10歳から14歳までの死因でもっとも多いのはがんを抜いて自殺になりました。大人の自殺が減っているのに対し、子どもの自殺は食い止めるための効果的な手段が見出せていません。 日本財団が2018年に18~22歳の若者を対象に行ったインターネット調査では、3割の若者が本気で自殺をしたいと考えたことがあると答え、もっとも多かった理由は「学校問題」で約半数を占めました。 この学校問題を詳しく見るといじめが多く、いじめや不登校を経験した若者の多くが自殺を本気で考えていたことがわかりました。 ーー小中学生の不登校は13万人と言われていますから、それは深刻ですね。 13万人だけではありません。不登校の定義は年間30日以上欠席することですが、30日まで行かなくても学校に行きたくない「行きしぶり」の段階の子どもはもっと多くいるのです。 「お腹が痛い」「頭痛がする」「布団から起きられない」「トイレから出られない」などと訴えて、学校に行きたがらない経験をしたことがある人は多いでしょう。 日本財団の「不登校傾向にある子どもの実態調査」では、不登校まで行かない年間欠席数が30日未満の子どもは全中学生の1割以上に当たる約33万人と推計されています。自殺の可能性も決して他人事ではないのです。 発達障害が背景にある子どもも ーー不登校や行きしぶりですが、先生の専門である発達障害がある子どもは多いのでしょうか? 多いのかどうかはわかりませんが、診療している間に行きしぶりや不登校になったり、不登校ということで受診して発達障害と診断する子どもはたくさん診てきました。 発達障害があっても学校で友達とうまくやる子はうまくやるのですが、コミュニケーションがすごく下手な子がいじめを受けることはよくあります。 また、例えば学習障害があって字を書くのが苦手な子が、みんなは3回漢字の練習をするのに、一人だけ5回やりましょうと指示されたり、ADHD(注意欠陥・多動性障害)の子が授業中立ち歩きをするため、20分休みを取り上げられたり、教師の不適切な指導で、気持ちが潰れてしまうことがあります。 20分休みは子どもの権利ですからね。教師が発達障害の対応や支援について不勉強で、そうした行動に罰を与えるような指導を繰り返したら、学校に行きたくなくなるのは当たり前でしょう。 ASD(自閉スペクトラム、アスペルガー症候群)はコミュニケーションがうまくできないと言いますが、逆に、疲れ切ってしまうほど周りの子どもや先生の気持ちを忖度する子どももいるんです。それで学校に行くのが嫌になってしまう。 ASDとADHDは併せ持つことも多いですし、症状はグラデーションがあります。また、診断を受けていない子どもも多いです。先生や親にも友達にも行動や感覚の特性を理解されないまま、学校で居心地が悪くなっていくということはよくあると思います。 また、感覚過敏で学校に行きづらい子どもたちは、学校で過敏に耐えていた経験を持っていると不登校になりやすくなります。 最近では聴覚過敏や視覚過敏などに対して学校で合理的配慮をしてもらえることも増えてきましたが、まだまだ苦しんでいる子どもたちもいます。これについてはまた別の機会に詳しくお話ししたいと思います。 「睡眠」「食欲」「感情失禁」が要注意 ーー医学的に診て、自殺につながる要注意のサインはあるのでしょうか? 例えば睡眠に乱れが出てきたら要注意です。 睡眠障害には、寝つきが悪くなる「入眠障害」、途中で起きてしまう「中途覚醒」、朝早く起きてしまう「早朝覚醒」、寝る時間や起きる時間のリズムが狂ってしまう「リズム障害」があります。 発達障害がある子は、3時間以下の「少眠期」と10時間を超える「過眠期」を交互に繰り返すこともありますが、発達障害の有無に関係なく、こういう睡眠障害がある子どもはストレスや不安が強くなっている可能性があります。 不安状態が続くと、特に寝つきや寝起きが悪くなるのも特徴です。 他に「食欲がなくなる」、逆に「過食に陥ってしまう」のも危険なサインです。 摂食障害は思春期の頭と青年期の頭にピークがあることが知られていますが、夏休みが終わりに近づいて急に食欲が落ちたり、逆に甘いものをいっぺんにたくさん食べたりするようになるのはストレスが高まっている可能性があります。 さらに、「感情失禁」と呼ばれる、感情を抑えられない状態になることも要注意です。急に涙を流す、笑いが止まらない、ハイな状態が続く、急に落ち込む、急に攻撃的になるなどの形で現れることがあります。感情失禁を見せる子どもは、うつ状態に陥っている可能性がありますので、危険性が高いと言えます。 まずは気分を変える行動を ーーそういう危険な状態に気づいたら、周りは何をしたらいいのでしょう。 親が気づいたら、まずは親子で温泉に行ったり、山登りに行ったりなど環境を変えて、気分を変えることを勧めています。都内なら、近くの高尾山のような場所でいいんです。できたら軽く汗を流すようなこと、身体活動も伴うことを親子で一緒にやる。 嫌な感情がないところで、親子が時間と空間を共有することが重要です。 無理に「最近、調子悪いんじゃない?」「何かあったの?」と聞き出さなくていいです。世間話だけしていればいいのです。世間話ができているうちは死ぬ可能性は低いと思います。本当につらくなると、世間話をする余裕もなくなります。 日常生活ではないところに連れ出して、一緒に色々なことをすることが大事です。 親はその時に仕事を言い訳にしないことです。子どもを最優先にして、子どもと非日常の楽しい時間を過ごすことが、子どもを救う可能性があると考えてください。 家にいるのも居心地がいいわけではない 生活リズムは崩さないように ーーその状態が続いて、「学校に行きたくない」と言われたら、どう対応するのがいいのでしょうか? まずは、休ませることです。ここで休ませたら、引きこもりになるんじゃないかと心配して無理に行かせようとする親もいるようですが、無理に行かせることは全くおすすめしていません。 だいたい義務教育の9年間で学校に行くのが一度も嫌になったことがない人なんているのでしょうか? ただ、生活のルーチン(お決まりの習慣)は崩さないようにしてください。朝は学校に行くのと同じ時間に起きさせ、着替えさせましょう。好きな時に寝起きさせて昼夜逆転になると、生活リズムが崩れ、本人がやりたいことができた時に何もできない心身状態になってしまいます。 私の患者で、軽い発達障害がある小学校2年生の男の子は、教師がささいなことで何度も注意するなどの不適切介入で不登校になったのですが、朝は決まった時間に起きてもらい、週2回、スポーツジムに通ってもらうようにしました。 学校に楽しく行けないなら行かせる必要はないですが、不登校の子どもは学校に行かず家にいることについてもまた、居心地の悪さを感じています。 「こうしていていいのだろうか?」という不安を抱えている子どもに、「いいんだよ。好きに過ごしなさい」と不登校を容認するのも、逆に子どもを追い詰めることになりかねません。 無理をして学校に行かなくてもいいですが、その代わりにやれることやその子にとっての「居心地の良い場所」を見つけないと、その子は生きていけません。 「これをやってみる?」「こんな本を読んでみたら?」と親はその子の心に小さなさざ波のようなメッセージを送って、勉強や運動をさせた方がいい。やりたいことが見つかった時に挑戦できる「準備運動」をさせておかないと、自分のやりたいことが見つかっても動けない状態になります。それは子どもにとってもつらいことです。 学校や家庭以外で相談できる場所があるだろうか? なぜ「9月1日問題」なのか? ーー夏休み明けだけではないですが、その前後は特に子どもの自殺が多いことが人口動態統計で明らかになっていますね。なぜ長期の休みの後に、自殺したいという気持ちが高まるのでしょう。 9月1日問題って日本だけなんです。アメリカやイギリスでは起こらない。なぜだと思いますか? 日本では子どもたちが家庭や学校以外に相談できる場所がないからです。夏休みが終わりに近づいて学校が始まると行き詰まってしまう。 だから「逃げよう」となりますね。でも、「逃げろ」と言っても具体性に乏しいです。私もこの時期、学校にいくのがつらい子どもに向けて図書館に行ってごらんとは言いますが、ずっと図書館に通い続けるわけにもいかないのは子どもが一番わかっています。 緊急避難でしかありません。どこに逃げたらいいのか具体的な場所を示さないまま、ただ逃げろというのは無責任です。 例えば相談窓口としては、相談電話で「いのちの電話」や「チャイルドライン」などがありますが、いのちの電話はなかなかつながらないし、チャイルドラインも24時間365日ではありません。 また、24時間365日の電話相談ができても、顔が見えないのはいい面でもあり、悪い面でもありますし、当たり前ですが電話相談には相談の継続性がない。学校の代わりになる、自分の居場所にはなり得ないのです。 学校健診はメンタルの問題を気にかけていない ーーではどうすればいいのかと思ってしまいます。家庭でも学校でもない相談場所として、先生方のような医療の専門家は助けにならないのでしょうか? 正直、小児精神科医でおすすめできる医療機関がそう多くないのが現実です。 親が医療機関に連れて行く以外で、医療に接する機会と言えば、学校の健康診断になりますが、不登校の子はそもそも学校健診が受けられないですね。 そして、健康診断をする学校医の何割が小児科医かご存じでしょうか? 2割だけなんです。ほとんどが内科医です。そして、学校医も思春期の心理状態を勉強し、適切に面談できる医師は多くないのが現状です。 文部科学省が監修し、日本学校保健会が出している「児童生徒等の健康診断マニュアル」というものがあり、これに基づいて学校医は健診をします。このマニュアルの中にメンタルに関するページはたった2ページです。日本の学校健診は身体的な問題しか対象にしていないと言っても過言ではありません。 これに比べ、アメリカ小児科学会が出している小児健診のマニュアル「Bright Futures(明るい未来)」は思春期の子どもの精神状態を診るための方法が何ページにもわたって書かれています。 子どもと親それぞれに、子どものストレス状態やそれに対処できているか聞き出すための問診例まで書かれ、家庭の貧困状態など健康の社会決定要因に気を配る必要性にまで触れています。 「日本では子どもの精神状態を診るための診療体制も整っていない」と語る平岩さん 身体だけでなく、心理、社会的側面にも気を配る診療へ ーー身体面だけでなく、子どもの心理状態や社会経済的な状態にも気を配る健診や診療は日本では難しいものなのでしょうか? 実は2018年度から厚生労働省の研究班(主任研究者=岡明・東京大学小児科教授)が設置され、「日本版Bright Futures」を作っているところです。 乳幼児期から高校生までを対象に、身体的な病気の可能性をチェックするだけでなく、虐待・ネグレクト、食事、睡眠、アレルギー、メディア・ゲーム、発達障害、こころ、性教育、LGBTなどまで、多岐にわたって心身の健康を守るためのチェックポイントや介入方法について専門家がガイドラインを書いています。 私も「学童期のいじめ・不登校」について書きました。問題を発見するための問診票の開発もここで目指しています。 ーー身体的な問題だけではなく、子どもの精神状態もキャッチできるようなアプローチは可能なのでしょうか? 1977年に、アメリカの精神科医のジョージ・エンゲルは、「Bio-Psycho-Social model(身体ー心理ー社会モデル)」を提唱しました。要は、「身体に現れる症状だけを診てもだめで、身体と心と社会関係は複雑に絡み合っており、総合的に診るべきだ」という考え方です。 例えば、アトピー性皮膚炎が悪化した子どもがいるとしましょう。 「かゆい」という症状は身体的なものですが、「かゆくて眠れなくてイライラする」は心理的な問題、それが理由で不登校になる、または学校や家庭のストレスが原因でアトピーが悪化するという側面は社会的な問題です。 ADHDで教室内で立ち歩いて先生や友達に衝動的な行為をするのは身体の問題、繰り返して注意を受けて落ち込むのは心理的な問題、その結果、行きしぶりや不登校になるというのは社会的な問題です。 いじめ、不登校、そして自殺もこうした「Bio-Psycho-Social model」で多面的に見ながら対処することが必要です。日本版Bright Futuresもその視点を取り込んで作っているところです。

小児医療で、こうした視点での診療を始めるための取り組みはまだ始まったばかりです。「Bio-Psycho-Social model」の診療を広げ、子どもの命が少しでも守られることを願っています。 【平岩幹男(ひらいわ・みきお)】小児科専門医、Rabbit Developmental Research(ラビット発達臨床研究所)代表、国立成育医療研究センター理事、なかじまクリニック発達外来担当 1976年、東京大学医学部卒業。三井記念病院、帝京大学医学部小児科講師、戸田市立医療保健センター参事・健康推進室長(2007年3月退職)を経て、2007年4月、Rabbit Developmental Researchの前身となる研究所を設立し、後に改称。2009年1月からなかじまクリニックで発達外来を開設し、発達障害の子どもの診療に当たっている。2012年4月から国立成育医療研究センター理事。

発達障害(自閉症)、乳幼児健診、思春期医学を専門とし、『乳幼児健診ハンドブック』(診断と治療社)、『自閉症スペクトラム障害:療育と対応を考える』(岩波新書)、『発達性読み書き障害(ディスレクシア)トレーニングブック』(合同出版)『発達が気になる子のライフスキルトレーニング:幼児期~学童期編』(同)など著書多数。 ホームページはこちら(http://rabbit.ciao.jp/)。 岩永直子 〔2019年8/24(土) BuzzFeed Japan〕

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完食指導 激怒して食缶をひっくり返す…過剰な「完食指導」をなくすため、学校に今求められること 過剰な「完食指導」をなくすには? 学校給食を残さず食べるように強引に指導する「完食指導」で、指導が過剰になって体調を崩したり、不登校になったりする子どもがいます。さらに、それが原因で「会食恐怖症」という精神疾患になるケースもあります。 筆者も会食恐怖症を経験した一人です。克服しましたが、同じような悩みを持ち、苦しんでいる人を少しでも助けられればと、一般社団法人日本会食恐怖症克服支援協会を設立して、生徒・保護者と教師の両方から、給食指導や会食恐怖症についての相談を受けています。過剰な完食指導をなくすために、学校側ができることは何なのかをご説明します。 多くの教師が文科省の手引を知らない 筆者は、学校給食の過剰な完食指導や会食恐怖症についての相談会を定期的に行っています。先日、開催した保護者向けの相談会では、「担任の教師が給食の過剰な完食指導を行うため、子どもが登校することを渋るようになった」というお母さんが複数参加していました。 完食指導といっても、筆者が相談を受ける事例は「全員が全て食べ終わるまでお昼休みはなし」「食べないことに激怒し、食缶(給食を保温して運搬する容器)をひっくり返す」「牛乳が飲めない子に、授業そっちのけで5時間目もずっと牛乳を机に置く」など、時代錯誤と言わざるを得ない“過剰な指導”がほとんどです。そして、保護者の中には、自分の子どもが受けたこうした過剰な指導について、涙を流しながら話す人もいます。 もちろん、時代の流れからすると、全体的にはそうした過剰な指導は徐々に減っているとは思います。しかし、いまだにこうした指導が行われているケースを聞くと、とても残念な気持ちになります。 では、どうすれば過剰な完食指導をなくすことができるのでしょうか。筆者は、教師や学校側でできることが、まだまだあるのではないかと考えています。実は、給食時の児童生徒に対する指導方針を文部科学省が定めた手引があるのですが、それを教師が知らないケースが多いというのです。 この手引は「食に関する指導の手引(第2次改訂版)」といいます。その中に「個別相談」という項目があり、給食を食べられない児童生徒への改善を促す指導を行うときの留意点として、以下の9点を挙げています。

(1)対象児童生徒の過大な重荷にならないようにすること (2)対象児童生徒以外からのいじめのきっかけになったりしないように、対象児童生徒の周囲の実態を踏まえた指導を行うこと (3)指導者として、高い倫理観とスキルをもって指導を行うこと (4)指導上得られた個人情報の保護を徹底すること (5)指導者側のプライバシーや個人情報の提供についても、十分注意して指導を行うこと (6)保護者を始め関係者の理解を得て、密に連携を取りながら指導を進めること (7)成果にとらわれ、対象児童生徒に過度なプレッシャーをかけないこと (8)確実に行動変容を促すことができるよう計画的に指導すること (9)安易な計画での指導は、心身の発育に支障をきたす重大な事態になる可能性があることを認識すること

基本的には、この9点が守られているのであれば、会食恐怖症や、給食をきっかけとした不登校などの大きな問題にはならないはずです。しかし、現状としては「手引に目を通したことがない」と話す教師も多いようです。 毎日、多忙な教師からすれば、「そんな余裕がない」というのが正直なところかもしれません。だからこそ、職員会議などの時間を使い、学校全体でこういったことを確認・共有する機会を設けるべきだと思います。 また、保護者から児童の給食に関する相談を受けた場合は、なるべく柔軟に対応してほしいと思います。クラスの残飯を気にするよりも先に、生徒の健康を気にすべきです。それができている前提での「完食率」なのではないでしょうか。 完食率が高い学校の共通点 ちなみに、給食は自分の学校に給食室がある「自校方式」や、地域の給食センターにお願いする「センター方式」など、形式が学校によって違います。例えば、給食センターによっては、学校に向けて「○○小学校の○年生の残飯はこれくらいでした」という通知を出すところもあるようです。 それを学校側が、そのままクラス担任の教師に伝えるだけでは、教師個人にプレッシャーをかける結果になり、それが児童生徒への過剰な完食指導につながってしまう可能性もあります。学校側として、ただ教師個人にプレッシャーをかけるだけではなく、「どうすれば、クラスの食べられない子は食べられるようになるのか」も同時に考える必要があるのではないでしょうか。 筆者がさまざまな教育機関を訪問したところ、給食の完食率が高い学校やクラスには、1つの共通点があることが分かりました。それは「子どもたちの食の個性」を尊重した指導をしていることです。これは当たり前のように聞こえますが、過剰な完食指導をなくすには、こうした当たり前の積み重ねこそが大切なのだと思います。 日本会食恐怖症克服支援協会 山口健太 〔2019年8/24(土) オトナンサー〕

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発達障がいの子どもと「戦略的ハードル設定」 発達障がいの子どもが“結果”を出せる 「戦略的ハードル設定」とは 発達障がいで登校渋りがある子どもでも「戦略的ハードル設定」で登校可能に 発達障がいを「障がい」でなくすためには、「ハードルを下げる」「褒める」ことが大切です。しかし「具体的にどのようにしたらよいかわからない」「それをやっても結果が出ないのであれば、解決にならない(将来自立できない)」と考える方も多いと思います。しかし、そんなことはありません。今回は本人や周囲の人々(養育者・教育者・医療者など)ができる“結果を出すためのハードルの下げ方”を紹介します。【国際医療福祉大学病院小児科部長・病院教授・門田行史/メディカルノートNEWS & JOURNAL】 ◇不安で積極的になれないケースも 発達障がいの症状に「発達の遅れ」があります。実際には生まれつきの脳の機能異常が原因とされ、本人が遅れを取り戻したくても、すぐに結果を出すのは非常に難しい状態にあります。にもかかわらず周囲や本人が頑張りすぎると、失敗経験が増えて余計にうまくいかなくなり、頭痛・腹痛・めまい・睡眠不足といった体の症状が現れるほか、登校渋り・不登校に至るケースもあります。このような場合に“ハードルを下げる”という対策が有効なことが多く、積極的に勧めています。

ところが、周囲の人たちは「許容や評価の水準を下げる」ととらえがちです。その結果、「養育者も本人も楽になるかもしれないが、許してばかりでは甘やかしになるのでは?」「社会に出て通用しなくなるのでは?」と不安を感じ、積極的になれないケースをしばしば経験します。 小さなステップを1つずつクリアしながら最終的な課題達成を目指す「シェイピング法」のイメージ ◇ハードルの高さ設定は「シェイピング法」で ハードルの“高さ”は何を考慮して設定すればいいのでしょうか。 発達障がいの特性には時や場所を選ばずに出現してしまう「頑固な傾向」があります。「傾向」の現れ方は人それぞれで、得意(強み)と不得意(弱み)の差が大きいのが特徴です。 ところが、養育者・教育者は、弱みにばかり目を向け、一生懸命になるあまりに(無意識に)ハードルを上げ、それが子どもの負担になってしまう……という悪循環をよく目にします。支援にあたっては、強みと弱みに分け、個人の指標に合わせた目標を設定し、それを達成するためのハードル設定を行うという、“戦略的なハードル設定”が重要となります。 その方法として、アメリカの心理学者バラス・スキナーが開発した「シェイピング法」があります。比較的簡単にできる目標から始めて段階的に取り組み、最終的に課題達成を目指すやり方です。小さな目標から難易度を少しずつ上げながら1段1段上がっていけるよう、具体的なステップを設定していきます。すぐにできそうな小目標から導入するので成功する可能性が高く、“できた感”を大切にして本人のやる気を保つことができます。 この過程を踏むと、本人と養育者の共同作業により信頼関係が深まるケースが多いと考えられます。 戦略的ハードル設定とは子どもと養育者が、結果につながる小さな成功を踏みしめながらベストを尽くすプロセスです。私は外来でこのプロセスを「作戦会議」と呼んでいます。本人主体となるよう大人がサポートしながらご家族で、自発的に共同で「作戦」を立案。私たちからは子どもの特性から考えうる課題解決や悩みを乗り越える方法をアドバイスしています。

「戦略的ハードル設定」とはすなわち、作戦会議+シェイピング法によって成り立ちます。 ◇「保健室登校」から教室へのステップ 私たちが国際医療福祉大学病院で実践しているシェイピング法の実例をご紹介します。

●登校渋り・女子A子さん(12歳) 頑張って登校しようと努力するが、できなくなりました。夕方から夜にかけて、明日は学校に行くと言いますが、朝になると行けなくなります。学校のことを考えるとおなかが痛い、頭痛がする、夜眠れなくなり、その結果朝起きられません。自信がなくなり行き渋りがでてくることがあります。 また、学校に行くことはできても、「教室」に不安があり、保健室登校になるケースもしばしばみられます。

実例: 作戦会議:まずはできている保健室登校を一定の期間続けてみよう

1.保健室の扉の前に立つ (今日から1週間は廊下を歩けそうでも、扉の前で立つということのみを継続する) 2.保健室から1歩出る(休み時間ごとに1歩出ることを1週間継続する) 作戦会議:本人「そういえば、保健室から出たときに廊下を歩いていても怖くなくなってきた気がする」 3.廊下を歩く(休み時間ごとに歩いてトイレに行くことを1週間継続する) 作戦会議:本人「廊下に出ていたら友達から誘われて、2階にある教室に行ってみてもよいかな? 怖いけど」。医療者「試してみて、できなかったら、廊下を歩くのをもう少し長く続けるか、別の目標を立ててみましょう。ひとまず教室のある階に行くことを目標にしてみましょう」 4.教室のある階まで行く(休み時間だと他の生徒がいるかもしれないので、授業時間に行くことを1週間継続する) 5.教室の前まで行く(授業時間に教室の前まで行くことを数回継続する) 6.扉を開ける(放課後、他の生徒がいない状況で扉を開けてみる) 7.入ってみる (放課後、他の生徒がいない状況で中に入ってみる。できれば椅子に座ってみる) 8.放課後、教室の席に座り、できそうなプリントを1枚やってみる

――このケースでは、結果的には3カ月程度で一部の授業に参加できました。 お子さんのタイプにもよりますが、更に細かく段階付けをしたり、1~7に期間(いつまでに達成する)を設けたりすると、積極性が増すケースもありました。 特に意識しているのが、「目標立てと振り返り」です。個人に合った目標を立て、実際に行動しながら、振り返り・修正を加えていきます。 この過程を通して、実際に必要なスキル獲得・問題解消も目指せます。また、「自分はこれが苦手・これはできる」という自己理解や不安を言葉や文字にする事で、心的負担軽減につながるので便利な技法だと思っています。 ◇ゲーム感覚で苦手意識を克服 ●書字が苦手・男子B君(9歳) B君は発達性協調運動障がいと自閉スペクトラム症(ASD)で通院しています。

発達性協調運動障がいは生まれつきの脳機能障がいが原因で、「頑固な不器用さ」が特徴です。具体的には、書字の問題(筆圧が強い/弱い、枠からはみ出るくらい字が大きく/小さくなる)、手先の不器用さ、姿勢をキープすることが困難――などがみられます。また、学習障がいや注意欠如・多動症(ADHD)、ASDなどとの併存も多くみられます。本人は学校生活の大半で困難さを感じることが多く、書字の苦手さから、(2次障がいとして)登校渋りや不登校の原因となることもあります。

対策: まず、作戦会議です。「君の不器用さは頑固なので、一緒に作戦を練らなければならない。どうしよう?」と、本人と養育者・教育者が相談。 本人から、

・書くよりも読む方が得意かな ・既に習った字は書きやすいような気がする ・そういえば、ボールペンの方が書きやすかった! ・大きな字になってよいのなら書けるけどね

などの意見が出てきたとしましょう。 次に、シェイピング法を導入します。 目標を決める:書字の苦手意識を減らすことをゴールに一歩一歩進めてゆく 上記の対策を書面などにして、クリアしたらシールを張るなど、達成感を与えられる(ゲームをクリアしていく)ような方法をとる。苦手意識を減らす→その学習に取り組むのが楽しくなる→積極性を引き出す――という流れを意識して介入します。

当院では図のシートを使用することがあります。 これらは、もちろん、学校の先生との相談が必要です。 作戦会議では、不器用さを克服しようとせずに話し合うことが重要です。作戦会議を進める過程で、子どもは、自主的に解決できる(特性と付き合える)能力がつきます。また、「自分の特性を否定せず、尊重してくれた!」と感じ、養育者・教育者と子どもの間に信頼関係ができます。まずは、家でのみ実践し、うまくいく場合に学校でも実践可能な方法を作戦会議するのもよいと思います。 ◇「強み」を探して伸ばす 発達障がいは頑固な傾向があると紹介しましたが、この「傾向」は強みもあります。上記B君は、書字の苦手さを克服する過程でパソコンを使って文字を書かずに勉強する方法を見つけました。それだけでなく、頑固な傾向である「こだわり」を生かしてプログラミングを習得。今では全国大会で優勝するほどの実力の持ち主です。ほかにも私の外来では、4歳で言葉(日本語)の遅れがあるが英語は短期間でできるようになった男の子や、アイデアが次々と出て学級委員長として活躍している女の子もいます。発達障がいの当事者などが自身の強みについて執筆した本も最近よく見かけます。

本人も養育者も、弱みをなんとかしたいという思いから、強みを探す行動を忘れてしまいがちです。弱みによるストレスをカバーできる強みを探すのは、人生経験が少ない子どもたちよりも周囲の大人の方が得意かもしれません。強みに注目するイメージを持っていただくために、診療現場では「強みはハードルを上げて伸ばし、弱みは後からついてくる」――そんなことを説明することもあります。 メディカルノート 〔2019年8/23(金) Medical Note〕

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中年引きこもり支援団体 中年でも大丈夫。引きこもり支援団体の取り組み 山奥の竹林を平地にして農地を造るプログラムが人気。「大変だけど、利用者に0から1をつくる楽しさを知ってもらいたい」(吉田氏) 引きこもりの社会復帰を促進するさまざまな支援団体の取り組み 引きこもりの数が増加し、ますます社会問題化する一方で、彼らの社会復帰を支援する団体も存在する。不登校やニートを中心に支援をする自立支援施設「NPO法人MIRAI(ミライ)」もその一つだ。施設では自立を促す取り組みがあると講師の吉田将史氏は説明する。

一般的な学習塾と違い、協調性やコミュニケーション能力の向上が主な目的である「CARPE・FIDEM(カルペ・フィデム)LLC」 「MIRAIの寮は都会の喧騒から離れた千葉の成田空港近くにあります。現在の入寮者は15人で、プログラムの質を維持するためにおおむねこの人数を保っています。内容は掃除、洗濯、炊事といった家事指導から、農業、職業体験まで。共同生活を行うことで自立心の向上を促し、労働して報酬を得る経験をすることで社会復帰後に働く自分をイメージしやすくします。20代が中心ですが、40歳前後の入寮者もいますね」 施設職員と話し合い、社会復帰できると判断すれば卒業する仕組み。職業あっせんもあり、卒業後は定職に就く人も多いという。 職業体験を通じて働く楽しさを改めて実感 厚労省が運営する就労支援サイト「地域若者サポートステーション」と連携して、パン作りやDTPデザインなど、企業での職業体験を提供するのが「NPO法人文化学習協同ネットワーク」。代表の佐藤洋作氏が意義を語る。 「例えば、パンはその日の温度や湿度によっても適切な焼き加減が変わるため、おいしく作るにはスキルと経験が必要。五感を使いながら働く楽しさを改めて感じてもらうことが、職業体験の狙いです」 取材当日、驚いたのは利用者の明るさだ。「こんにちは!」と元気よく声をかけてくれたのだ。 「お客さんはスタッフが引きこもりだと知ると驚くんですよ。ネガティブに取られがちな引きこもりですが、きちんと居場所を提供すれば、元気に働きだせる人も多いんです。特に、うちに相談に来るのは、事情があって一度働けなくなったものの、就労に意欲を持っている人が多いです」 引きこもり支援を拡充しつつ進学実績の高い塾 3つ目に紹介するのは不登校や引きこもりの生徒が対象の大学進学塾を運営する「CARPE・FIDEM(カルペ・フィデム)LLC」。一般的な学習塾と違い、教室にはゲームやマンガなどの娯楽品や、ベッドやハンモックなど寝具も置いてあり、定期的に無料で参加できる旅行や合宿も実施している。その理由を代表の大村悠輝氏は次のように語る。 「うちは単に学力の向上よりも、協調性やコミュニケーション能力の向上が主な目的なんです。そのため、生徒同士の仲を深められるような設備の導入や、いろんなものに触れる体験ができる場所の提供を心がけています」 10代だけでなく、引きこもっていた30代が、勉強を改めてやり直し、大学進学を目指すべく入塾するパターンもあるのだとか。 「薬学部に進学した例があります。また、その他にも、国公立の医学部や早慶上智などの難関私立大学に合格する人もいますね。仲間と学びや遊びを共にし、成長していく過程が大きいと感じています」 信頼できる仲間や、働く楽しさ、生きがいを見つけることが、社会復帰への第一歩になるのだ。 引きこもりを食い物にする悪徳支援団体に要注意 引きこもりの支援組織が増える一方で、状況を利用した悪徳業者も生まれ、存在が問題視されている。長年、週刊誌で引きこもり問題を追い続けてきたライターのT氏は次のように語る。 「ヤツらが隠れ蓑にするのは滞在型の自立支援施設です。寮費が月15万円前後に、別途入寮費として15万~30万円。高いカネを取るだけ取って、専門家もついていません。引きこもり中年の親世代は情報収集をする手段に乏しく、言葉巧みに騙されて多額のお金を支払わされるトラブルが後を絶たないんです。なかには、初期費用+3か月分の寮費で500万円以上の契約を結ばされたケースもあります」 さらに支援プログラムの中身がなく、実質放置しておきながら、長期滞在させて寮費を搾り取ろうとする場合もあるとか。 「ほかにも、研修と称して入寮者をタダ働きさせ、労働先からの報酬は業者が全額懐に入れるのも常套手段。施設職員による虐待にも気をつけたいです」 支援団体の透明化も急がれる。

― 引きこもり中年の衝撃 ― ハーバービジネスオンライン 〔2019年8/23(金) HARBOR BUSINESS Online〕

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居場所の見つけ方 「封筒いっぱいの手紙」より欲しかったもの…不登校経験を漫画に 看護師が行き着いた「居場所の見つけ方」 のまりさんの「学校に行かないことを認めて欲しかったそんなわたしは、」=コミチ 【#withyou ~きみとともに~】 仲がいい友達グループと離れ、クラスになじめず不登校になった中学生の女の子。学校に行かなくなっても、「きょうも行かなかったね」と話しかける親や、同級生の「お手紙」に、お腹がジュクジュク痛む日々を過ごします。「家にいる時くらい、安心したいよ」と涙をこぼした少女が大人になって――。withnewsと漫画投稿サイト・コミチが、「#わたしの居場所」をテーマに作品を募ったところ、看護師をしながら漫画を描くのまりさんが「学校に行かないことを認めて欲しかったそんなわたしは、」と題した作品を寄せてくれました。漫画を手がけた、のまりさんは不登校の経験があります。作品に込めた思いを聞きました。(withnews編集部・丹治翔)

【マンガ本編はこちら】不登校の少女が大人になって……ラストは看護師の経験が書かせた主人公の決意 のまりさんの「学校に行かないことを認めて欲しかったそんなわたしは、」 「あんたは、今日うちで1日何してるの?」

そう言い、仕事へ出かける母親に、「んー、色々……」とあいまいに答えるところから、主人公の女の子の1日が始まります。誰もいない家で、残された朝ご飯を温めている間、頭をよぎるのは昨晩の会話。「きょうも学校行かなかったね」と言う声に、ジュクジュクと痛むお腹をさすります。 不登校になったのは、クラス替えで仲のいい友達たちと離れてから。「呼んでないのにこっち見た!!」「ねえ!! 何読んでんの!?」。意地悪グループの存在がプレッシャーになり、「あんなとこ、行けないよ」とSOSを出します。 それでも心は、自宅にいても休まりません。帰宅した母親が手渡したのは、学校の先生から託された同級生からのお手紙。一枚一枚を開ける度に「学級会とかで書かせたのかな…」と気分が重くなり、意地悪い子の名前を見た瞬間、つらい記憶が蘇ります。

食事を知らせる母親に、「いらない」と答える女の子。心配そうな表情を見せる母親ですが、次の言葉に女の子は心を閉ざします。「あしたは…学校は…?」 「行かないよ!!」。そう叫んだ女の子は、ベッドの上で涙をこぼします。 「なんで学校に行くことだけ選ばせようとするの?」「家にいる時くらい安心したいよ……」

物語の後半は、大人になった主人公が、精神科の訪問看護師として、学校や社会にうまくなじめなくて悩む人たちと接する姿が描かれています。 「家にいても、色々考えて焦っちゃって……」と相談する利用者の女の子に、「周りがよく見えて焦っちゃうんですね」と寄り添います。 「看護師さん来てくれるのうれしい」と笑みを浮かべる女の子に「よかった」と返す主人公。そして、こう締めくくります。 「この仕事をするようになったのは、学校でも家でも安心できなかった自分の気持ちを、忘れたくないからだと思う」

いつか世に出したいと思っていた 「いつか世に出したいと思っていた、中学生の頃の気持ちやエピソードを描きました」 そう語る通り、漫画は、のまりさん(@nmr_psco)の中学2年生ごろの実体験が基となっています。クラス替えで一緒になったのは、意地悪な子たちが集まるグループ。小学生の時にいじめられた経験があるのまりさんは、当時の思い出がフラッシュバックしてしまったそうです。 他にも、担任が「先生の気持ちを押しつける」などして、「『もうだめだ』と思って、学校に行かなくなった」と振り返ります。 それからは、両親や妹の通勤・通学を見送り、日中は一人で過ごす日々。一人で過ごす時間に学校のことを考えたり、夕食などで母親から学校の話をされたりする度に、お腹が痛くなったと言います。「母親は完璧主義なところがあったので、学校に行っていない私をどこか許せなかったんだと思います」 お手紙のエピソードは2学期に入った頃のことです。学校の封筒いっぱいに入った手紙をある日、母親から渡されました。全員からのメッセージが書かれていましたが、「うれしいという気持ちはありませんでした」。クラス替えの直後に不登校になったので、よく知っている人も少なく、無理して書いてくれているのが伝わってきたそうです。

「大人になった今なら、みんな頑張って書いてくれたと分かりますが、当時は受け入れられなかった。気を使わせて申し訳ないとみじめな気持ちでした」 漫画のエピソードは「ごく一部」と語る、のまりさん。学校の配慮もあって、3年生から通学を再開しましたが、「休んでいた分、勉強についていけなかったり、男子生徒からは悪口を言われたりしたので、毎日行けたわけではなかった。『かろうじて』通っていました」。 知り合いのいない高校に行くことも考えましたが、体調面から地元の学校に進学。「なので高校もあまりなじめませんでした。今でいう『隠キャ』。学生生活で楽しい思い出はなかったですね」 訪問看護の利用者と「あの頃の私」がリンク のまりさんは高校卒業後、大学進学のため地元を離れました。「私を知っている人が誰もいない土地で、一人暮らし。子どものころから好きだった漫画を好きなだけ書いて、バイトもして、とすっきりしました」。そして、就活のタイミングになって「一生働ける仕事を」と看護学校に入り直しました。 看護学校で、自分のような不登校の子どもにも関わることを知り、「この道に進んでみたら、色んなことが見えてくるのかな」と精神科の看護師に。病院の外来などで数年キャリアを積み、昨年、児童精神科の外来で働くようになって、「あの頃の自分もそうだった」と今回のベースとなる漫画を描き始めました。 ただ、「書きたいことの整理がつかなくて、何を伝えたいのか分からなくなってしまった」と、のまりさん。いったんは執筆から離れ、コミチが開く講座などで漫画の勉強を続けました。 転機になったのは、今春から始めた訪問看護の仕事です。家を訪れるのは引きこもりの人も多く、「みなさん、『家にいても居場所がない』と言うんです。だいたいは、社会にも居場所がなくて。そのことが、『ああ、私も昔感じた』とリアルに感じられたんです」。

「その時、漫画のテーマの『#わたしの居場所』がすっと入って来ました。中学生の時の学校に行っていなかった気持ちと、今は訪問看護がすごく楽しいという気持ちをつなげて描けるかなって。1年ぐらい悩んでいた話が、4~5日で完成しました」 看護師経験が書かせたセリフ 看護師の経験が生かされているのは、主人公が最後に発した「学校でも家でも安心できなかった自分の気持ちを忘れたくない」というセリフです。

「この仕事を長くしてきて、自分が関わっても必ずしもいい結果につながるわけではない経験をいくつかしてきました。人によって、学校に行けなくなったり、精神的な病気になったりするきっかけは違います」 「自分の体験を基に患者さんたちと接しても、ほとんど通用しない。むしろ、こっちが挫折してしまう。それだったら、あの頃の気持ちを自分の中で大事にし続けた方が、挫折した時にも、原点に戻れるんじゃないか。そう思って、あの言葉を書きました」

ジャンプが居場所だった 不登校中にベテランの先生から「今はつらいかもしれないけど、未来は明るいから」と声をかけられた時、「今つらいのを何とかしてほしいんだけどな」と受け止めきれなかったという、のまりさん。親や周りの大人、友達にも自分の気持ちを分かってもらえない。「仕方ないな」と半ば諦めながら生きていた時に、楽しみにしていたのが、週刊少年ジャンプでした。 「ささいなことなんですけど、毎週発売するジャンプをすごく読みたいとか、ジャンプの漫画をマネして絵が描きたいとか、そういったことが支えになっていた部分がありました。いわゆる『逃避』という行動だったのかもしれないんですけど、それが自分の居場所だったというのは、間違いないです」 「私は今、子どもたちと接する時に『振り返り』を大事にしています。一人でもできますし、この人にだったら話せるという人と、好きなことや楽しいことを振り返るだけでも、気持ちが少し楽になることがあります。あの頃、学校でも家でも安心できなかったけど、『こういう人もいるんだ』というのが分かってもらえたらうれしいです」 のまりさんのTwitter:@nmr_psco      ◇ withnewsはマンガのSNSを運営する「コミチ」とコラボし、「#わたしの居場所」をテーマに生きづらさを抱える10代へ向けた作品を募集しました。のべ35作品が集まり、4作品を入賞に選びました。入賞者のみなさんは、どんな思いでマンガを描いたのか、ご自身の経験とともに振り返ってもらいました。 いろんな相談先があります ・24時間こどもSOSダイヤル 0120-0-78310(なやみ言おう) ・こどものSOS相談窓口(文部科学省サイト)→http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/06112210.htm ・いのち支える窓口一覧(自殺総合対策推進センターサイト)→https://jssc.ncnp.go.jp/soudan.php      ◇ 【#withyou ~きみとともに~】 withnewsでは、生きづらさを抱える10代への企画「#withyou ~きみとともに~」を進めています。今年のテーマは「#居場所」。目に見える「場所」でなくても、本や音楽…好きなことや、救いになった言葉でもいいです。生きづらい時間や不安な日々をしのげる「居場所」をみなさんと共有できたらと思います。 〔2019年8/23(金) withnews〕

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不登校の当事者によるメッセージ 「学校に行かない選択」も つらさ否定しないで 不登校当事者らがメッセージ 不登校の経験を話すさゆりさん=東京都内 夏休みの終了を前に、NPO法人「全国不登校新聞社」(東京)が23日から、不登校の当事者によるメッセージを発信する。学校の再開が近づく8月下旬は、登校が苦しいと感じている子どもたちが悩みを深める時期。その思いを知る当事者は「つらいなら先生に相談して。それがだめなら、無理して学校に行かないで」「あなた自身が幸せにならなければ意味はない」と声を上げる。 同法人では、18歳以下の自殺は9月1日が突出して多いというデータが出た2015年から、ほぼ毎年この時期にメッセージを発信している。同法人が発行する「不登校新聞」編集長で当事者だった石井志昂さん(37)は、「子どもは、学校に行けない自分は生きられないと受け止めがち。学校に行かずに生きている人がいることを知ってほしい」と目的を話す。 今年は不登校中の14歳の中学生から、40代までの5人がメッセージを寄せた。 川崎市内に住む、さゆりさん(18)もその1人だ。周囲に合わせることが苦手で、小学校時代はいじめにも遭った。 中学3年生の夏休みは「親にも迷惑をかけてきたし、進路のためにも学校に行かないといけない」と気が重かった。「ささいなことで悩んでばかりの人生なら、死んでやり直したい」と考えているうちに、休みが終わったという。 最もつらかった夏休み明けに、体調を崩し休みがちになった。なんとか参加した学校行事で教員に欠席の多さを責められ、10月から不登校に。そのまま登校せず卒業した。「学校に行かない選択をしたと割り切ったら、気持ちが楽になった」と振り返る。 さゆりさんは、通信制高校のオープンスクールで信頼できる教員と出会って進学。在学中は、かつての自分と似た状態の中学生の話に耳を傾け、「楽になった」と言われたこともあった。高校を卒業した今は、不登校者の支援をしたいと活動中だ。「私も死ぬことを考えた。そういう自分の気持ちを否定しなくていい。世の中には、つらい気持ちを丸ごと聞いてくれる人がいる。私もそういう人に出会って救われた」と呼び掛ける。 不登校当事者からのメッセージは、全国不登校新聞社のウェブサイト(http://www.futoko.org/)で公開される。 神奈川新聞社 〔2019年8/22(木) カナロコ by 神奈川新聞〕

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岐阜市立中学3年男子転落死 岐阜市中3転落死受け教育の在り方議論 岐阜市立中学校3年の男子生徒がマンションで転落死し自宅からいじめをほのめかすメモが見つかった問題を受けて設置された市長の諮問機関「市公教育検討会議」の初会合が9日、同市司町のみんなの森ぎふメディアコスモスで開かれた。柴橋正直市長は「(中学生の死という)痛ましい結果を受け、市の教育を見つめ直すため会議をスタートする。自由闊達(かったつ)に議論してもらい、市のあるべき教育の姿について提言をまとめてほしい」と求めた。会議では公教育の在り方などについて話し合い、来年6月をめどに市長に答申する。 会議は、医療や教育などの専門家やPTAの代表ら8人で構成。月1回開き、子どもたちが互いを大事にする学校風土の醸成や、不登校の子どもたちの教育機会確保といった学びの在り方のほか、教員の働き方改革、地域との関わりなどについて意見を交わす。 会議の答申を受けて、総合教育会議で市長と市教育委員会が協議し、教育大綱の見直しや教育施策の内容を検討する。 この日の会合では、委員から「子どもたちの生きづらさがどこにあるのかを深掘りしないといけない」「学校がやらないといけないことが多く、工夫すべき」などの意見が出た。 岐阜新聞社 〔2019年10/10(木) 岐阜新聞Web〕

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通信制高校の質の確保 通信制が高校改革を変える 文部科学省が、有識者を集めた「通信制高等学校の質の確保・向上に関する調査研究協力者会議」を発足させました。通信制高校をめぐっては以前、株式会社立ウィッツ青山学園高校(三重県伊賀市、2017年3月閉鎖)など一部高校での違法・不適切な経営や教育が問題になり、対策が強化された経緯があります。 一方、今回は通信制高校の「前向き」(初会合での複数委員発言)な面にも焦点が当てられる見込みです。議論によっては、中央教育審議会で検討が行われている高校全体の教育改革にも影響を与えそうです。 実態の変化で違法・不適切な運営も 高校の通信制課程は戦後、全日制課程の高校に通えない生徒に教育の機会を提供するものとして、定時制課程とともに制度化されました。当初は勤労青年が中心でしたが、近年では不登校や中退など多様な生徒の受け皿として、生徒数や学校数が増加しました。 それに弾みをつけたのが、私立や、構造改革特区で認められた株式会社立の「広域通信制高校」でした。広域通信制とは、高校の所在する都道府県に限らず、全国や複数の都道府県から生徒を募集するものです。本校舎とは別に、「通学コース」として面接指導などを行うサテライト施設を設けたり、民間のサポート施設と提携したりする例が多く、それによって多様な生徒の実態に対応してきた一方、一部では違法・不適切な運営を誘発するケースが少なくなかったのも事実です。 そうした事態を是正するため、文科省は2015年12月に緊急タスクフォース(特別作業班、TF)を設置。2017年7月には「広域通信制高等学校の質の確保・向上に関する調査研究協力者会議」が審議まとめを行い、制度改正やガイドラインの策定・改定、点検調査などの対策が取られました。 今や無視できない存在に 今回の協力者会議は、会議名に「広域」が付いていません。前回の会議と比べても、「時代の変化、現場の実態に即した通信制高等学校の在り方について」が検討事項に挙がっていることが注目されます。 最近の通信制高校には、不登校をはじめ全日制や定時制に通えないという消極的な理由ばかりではなく、自由に時間を使いたいという積極的な理由で選択する生徒も増えています。インターネットを活用した高校の登場も、そうした動きに弾みをつけています。文科省の学校基本調査によると今年度、通信制課程を設置する学校は253校(うち通信制のみを設置する「独立校」が113校)で、生徒数は約20万人と、全日制・定時制の4,887校、約317万人と比べても、決して無視できない存在感を示しています。 通信教育では自主的・自律的に勉強する姿勢が必要になるため、学校側にも全日制や定時制とは違った、独自のきめ細かな指導が求められます。さらに、多様な可能性を期待して通信制を選択した生徒のニーズに応えることも期待されます。一方で、高校教育に求められる資質・能力を育成すべきことは、全日制や定時制の高校と変わりません。「質の確保」は、依然として大きな課題です。 逆に言えば、質の確保や「向上」は、全日制や定時制にも共通して求められることです。協力者会議で検討される通信制の質の確保・向上策は、通信制の問題にとどまらず、高校教育全体の質の確保・向上策としても問われることになりそうです。 (筆者:渡辺敦司)

※通信制高等学校の質の確保・向上に関する調査研究協力者会議 http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/153/index.htm

※広域通信制高等学校の質の確保・向上に関する調査研究協力者会議(以前の会議) http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/125/index.htm プロフィール 渡辺敦司 1964年北海道生まれ。横浜国立大学教育学部卒。1990年、教育専門紙「日本教育新聞」記者となり、文部省、進路指導問題などを担当。1998年よりフリー。連載に「『学力』新時代~模索する教育現場から」(時事通信社「内外教育」)など。 〔2019年11/7(木) ベネッセ 教育情報サイト〕

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岡田好美(このみ) 松山初、伊予銀行久米支店で「岡田好美Wordアート作品展」夢は全国制覇 "あかがねミュージアムアート工房での作品展開催の様子(2019年8月)" 岡田好美(このみ)さんが描く「Wordイラスト作品展」が伊予銀行久米支店(松山市南久米町、TEL 089-976-0014)で11月5日から開催されている。(松山経済新聞) 「Wordイラストレーター」を夢に活動する好美さんは、新居浜県市出身の22歳。「Wordイラスト」制作との出会いは、自閉症スペクトラム障害のある好美さんが不登校を選択した中学1年生の時だった。 「Wordイラスト(Wordシェイプアート)」は、Microsoft Office Wordの「描画ツール」を使って絵を描く技法。老人ホームでパソコンボランティアをしていた埼玉県在住の高倉幸江さんが、2002(平成14)年ごろ「文字入力が苦手なシニアにも楽しい時間を過ごしてもらいたい」と、Wordの図形描画機能を使って絵を描く方法を教えるようになり、その後、お年寄りから子ども達まで幅広い層に広がった。 最初のきかっけは、不登校を機にパソコンと向き合って過ごす時間が長くなった好美さんに、母の直子さんが「Wordイラスト」を勧めたことだった。元々絵を描くことが好きだった好美さんは、一冊のテキストと出合い、1カ月ほどかけて独学で基本の技法をマスター。さらに新しいテキストや、高倉さんとの交流などをきっかけに作品の幅を大きく広げ、現在は「子猫」のペンネームで作品を発表している。 Wordイラストに出合った翌年の2011(平成23)年からは、オリジナル作品の制作をスタート。イラストコンテストなどへの応募も開始し、師匠と慕う高倉さんのホームページにも、好美さんの作品を紹介する「子猫ギャラリー」が開設された。 その後は、子ども発達支援センターでの作品展示や、冊子の挿絵制作などに加え、キャラクターデザインや名刺イラストの制作なども経験。全国各地の作品展などへの応募や入賞の経験も重ねた。2018(平成30)年には、オリジナルキャラクターの「コマリマ」をモチーフにした「風神雷神困利魔図屏風(ふうじんらいじんこまりまずびょうぶ)」が「世界自閉症啓発デー2018シンポジウムプログラム」の代表作品に選ばれ、作品がプログラムの表紙に採用されたほか、地元ケーブルテレビ局の番組タイトルロゴ制作の依頼を受け、現在も放映されている。 「他の高機能な描画ソフトを実際に体験してみたこともあったが、好美には『Wordイラスト』が一番合っていたようだ」と母の直子さんは話す。「多くの出会いやご縁に後押しされて、たくさんの発表の機会を頂いてきた。テーマを決めて描き始めるまではいつも悩んで苦労しているが、作品が完成した時のうれしさは格別のよう。公募展などで受賞することは本人にとっても大きなモチベーションになっているし、ロビー展で設置しているノートに寄せられる感想も宝物」と周囲のサポートへの感謝を語る。 銀行でのロビー展は、2016(平成28)年4月に愛媛銀行新居浜東支店で、6月に伊予銀行新居浜東支店で初開催。その後は支店間の紹介で次々と縁が続き、これまで30以上の支店で4年にわたって開催を続けてきた。松山市内の伊予銀行の支店では、今回が初の開催となる。 好美さんは、松山市で10月12日・13日に開催された「48時間デザインマラソン」でも「TANPRO.」(祝谷町)の池田武仁さんとチームを組んで銀賞を受賞。精力的な活動は、愛媛県外でも今年の10月中だけで「ポコラート全国公募応募作品一挙公開」(アーツ千代田3331、東京都千代田区)、「Art to You!東北障がい者芸術全国公募展」(せんだいメディアテーク、宮城県仙台市)、「小さな星が輝く未来」(鯖江市まなべの館、福井県鯖江市)、「障害者アートフェスティバル~芸術作品全国公募展~」(新潟県民会館、新潟市中央区)など数多い。 直子さんは「大変だけど、夢は全国制覇。より多くの方に見て、知ってもらいたい。頑張っていることが、少しでも同じ思いをしている人たちの光になれたら」と笑顔を見せる。 「娘のカラフルな作品の背景には、『生きづらさ、しんどさ』を忘れて元気になりたい、という思いがある」と直子さんは話す。「娘の好きなことが、生きる糧になるように。社会とつながりながら『ありのままに生きる』ことが変わらない家族の願い。なるようにしかならない。なるようになる。なんとかなる、という気持ちで、今できることで、娘の夢を応援するためにコツコツ発信を続けている。その中から、新しい出会いや機会、応援してくれる人やサポートしてくれる人とのつながりをたくさん頂いている」と、感謝と今後への意欲を語る。 伊予銀行久米支店でのロビー展は、11月5日~29日まで。営業時間は平日9時~15時。 みんなの経済新聞ネットワーク 〔2019年11/7(木) みんなの経済新聞ネットワーク〕

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映画「もみの家」 南沙良が少女の成長を演じる『もみの家』、10名の追加キャストが発表! 南沙良が主演を務める『もみの家』の公開日が3月20日(金・祝)に決定! 昨年夏に単館公開ながらスマッシュヒットを記録した『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』(18)で、ブルーリボン賞や報知映画賞など多くの新人賞に輝いた南沙良が主演を務める『もみの家』の全国公開日が3月20日(金・祝)に決定。このたび実力派ぞろいの追加キャストが発表された。 】“あな番”のあの人も出演!実力派から注目の若手俳優まで勢ぞろい 『真白の恋』(16)で第32回高崎映画祭新進監督グランプリを受賞した坂本欣弘監督がメガホンをとる本作は、心に悩みを抱え不登校になってしまった16歳の彩花が、若者たちの自立を支援する施設“もみの家”での出会いや経験を通して成長していく姿を描いた物語。主人公の彩花を南が演じ、問題を抱えた若者たちを受け入れる“もみの家”の経営者夫婦を緒形直人と田中美里が演じる。 そしてこのたび、新たに10名のキャストの出演が発表に。彩花の母役には『風の電話』(2020年1月24日公開)や『サーティセブンセカンズ』(2020年2月公開)が控える渡辺真紀子。彩花の父役には『愛唄-約束のナクヒト-』(19)や『貞子』(19)の二階堂智。そして農家の丹保役を菅原大吉が演じ、彩花に手を差しのべ心を通わせるハナエ役を今年2月に亡くなった佐々木すみ江が演じる。 また、ほかにも島丈明や上原一翔、モデルとして活躍する二見悠や「あなたの番です」のシンイー役で注目を集めた金澤美穂、「中学聖日記」や『見えない目撃者』(19)に出演した中田青渚などフレッシュな顔ぶれが“もみの家”の寮生として出演。さらに彩花が想いを寄せるOBの淳平役を、中村蒼が演じる。 坂本監督の生まれ育った富山県を舞台に、雄大な自然と少女の心が共鳴する瑞々しくもあたたかな1年間の物語が紡がれていく本作。新たに出演が発表された実力派キャスト陣が、いま最も注目の若手女優・南とどのような化学反応を起こしてくれるのか。期待は高まるばかりだ。(Movie Walker・文/久保田 和馬) 」 〔2019年11/8(金) Movie Walker〕

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映画「もみの家」 渡辺真起子、二階堂智、菅原大吉、中村蒼らが南沙良の主演作「もみの家」参加 上段左から渡辺真起子、二階堂智、菅原大吉、佐々木すみ江、中村蒼。下段左から島丈明、上原一翔、二見悠、金澤美穂、中田青渚。 (c)「もみの家」製作委員会 南沙良が主演を務める「もみの家」の公開日が2020年3月20日に決定。あわせて追加キャストが発表された。 本作は不登校の少女・彩花が、若者の自立支援施設“もみの家”での出会いと経験を通し、少しずつ自分の気持ちと向き合っていくさまを描く物語。南が彩花に扮するほか、緒形直人、田中美里がキャストに名を連ねる。 このたび、彩花の母と父をドラマ「わたし旦那をシェアしてた」の渡辺真起子と「愛唄 ー約束のナクヒトー」の二階堂智が演じることが明らかに。もみの家の寮生へ農業を教える農家・丹保に菅原大吉、ふさぎ込む彩花へ手を差し伸べるハナエに佐々木すみ江が扮した。なお2019年2月に死去した佐々木にとって、「もみの家」は最後の出演作となる。 さらに、もみの家の寮生役でドラマ「スパイラル~町工場の奇跡~」の島丈明、ドラマ「KBOYS」の上原一翔、映画「町田くんの世界」の二見悠、ドラマ「あなたの番です」の金澤美穂、映画「見えない目撃者」の中田青渚が出演。そして彩花がほのかに思いを寄せるもみの家のOB・淳平には、中村蒼がキャスティングされた。 「もみの家」は2020年2月28日に富山県で先行公開されたのち、東京・新宿武蔵野館ほか全国で順次ロードショー。 (c)「もみの家」製作委員会 〔2019年11/8(金) 映画ナタリー〕

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教育改革 大学入試改革が中学受験におよぼす影響は? 専門家に聞く〈AERA〉 「探求×受験」をコンセプトにした統合学習塾「知窓学舎」を運営 ますます混迷を極める大学入試改革。大学受験目前の受験生はともかく、小学生を持つ親御さんにとってもこれからどんな教育をしていったらいいのか悩むところ。 「AERA with Kids 秋号」では、中学受験に詳しい算数教育家・中学受験専門カウンセラーの安浪京子さんと、教育実践ジャーナリストの矢萩邦彦さんに、今、親はどんな心構えをもつべきか、そして中学受験を控えるご家庭へのアドバイスもお聞きしました。ここでは、その対談の一部をご紹介します。      *  *  * 安浪:2020年度からの大学入試改革、なにかと話題になってますね。 矢萩:そうですね。内容の是非はいろいろ言われていますが、実は今回の教育改革、今までの教育改革とは決定的に違うところがあるんです。 安浪:それはどんなところですか? 矢萩:今までの教育改革は、一言でいえば「戦後復興のための教育」を少しずつ修正してきたものでした。しかし今回の教育改革は、社会からの要請があった、ということ。つまり、企業側から「今の教育を受けてきた人材は使いにくいですよ。だから、教育を変えてください」と教育界に要望があった。 安浪:今の時代に合ってない教育じゃないか、と気づかれ始めたんですね。 矢萩:そうなんです。社会はいろいろ劇的に変わってきていますからね。社会背景の変化については、いくつか要因があると考えています。一つ目は、リーマンショックや震災など、予測不可能な事態が重なってきたこと。不測の事態に柔軟に対応できる人材育成が急務になりました。二つ目は、AIの台頭とシンギュラリティー(技術的特異点)問題があらわになってきたことです。 安浪:2045年には、AIが人間の知能を超えるほど技術が進むとされる指摘ですね。 矢萩:今後20年で、多くの職業がAIに取って代わられるといわれていますね。研究者の間では、そんな劇的には変わらないよという考えの人もかなり多いのですが……。新しい展開としては、これまではブルーカラーの仕事が取って代わられると考えられていたのが、いや実はホワイトカラーの仕事も奪われるのではないか、と予測されるようになったことです。PC上の作業はもちろん、事務的な作業のいくつかは、すでにソフトウェアロボットによって実現可能になっていますから、当然といえば当然の流れですね。 安浪:なるほど。 矢萩:また、日本の人口は減少が続き、企業が即戦力になる中途採用や資格保有者を優遇するようになってきた。これにより人材の奪い合いになり、次世代を担う新しい人材の育成が必要になってきました。 安浪:そうですね。それで出た結論が、大学入試に知識や技能だけでなく、思考力、判断力、表現力を測る問題を入れていこうということですね。今はそれだけでも足りなくて、主体性、多様性、協働性も入れていきたいという流れになっています。 矢萩:もうひとつ、大学入試改革の理由のひとつに、日本の若者の自己肯定感の低さがあったんです。日本人は謙虚だから「自分はイケてる」ってあまり言わないからじゃないか、っていう専門家の分析もあったんですけど、それにしても他の先進国と比べて低い。何が問題なのか、ってなったとき、従来型の詰め込み教育がいけないんじゃないか、もっと主体性を持って学べる教育をしないといけないんじゃないか、と。 安浪:でも、大学受験でそれを求めるとなると、主体性をどうやって測るかという問題が出てきますよね。結局、ペーパーテストでは測れないから、就活と同じように自己アピールが必要になる。高校で生徒会をやった、部活をやった、ボランティアをやったとか。当然、みんな点をかせぐためにいろいろやろうとするだろうから、そうした活動がしやすい環境の充実した私学に行こう、という流れになりませんか。 矢萩:実際、今求められているような教育を突き詰めていくと、教育の本質が私学や民間の塾、そして家庭に移行している感じはありますね。現実問題、大学入試改革の具体的な中身が決まらない現在、公立の学校でこれに対応していくのはなかなか難しい。だから中学・高校での有用な学びの環境を得るために、今は詰め込み教育をしてでも中学受験をするしかない、というねじれた状況になってしまう。 安浪:私は大学教育改革のフォーラムに参加することも多いのですが、いろいろ話を聞いていると、だんだん親として腹が立ってくることもあって(笑)。今回の大学入試改革は例えば80年後の日本にも通用するものなのか、それとも10年ちょっとでまた変わるものなのか、と。もし国の方針でころころ変わるとしたら、それにいちいちわが子が影響されてたまるか、と。 矢萩:すでに大学は就活の予備校と化しています。そして、高校は大学の予備校化。中学校は高校の予備校化。そして、小学校は中学校の予備校化……。予備校化が、豊かな人生を疎外していると感じますね。そんな「逆算時代」は終わりにしたほうがいいと思うのです。 安浪:同感ですね。例えば、大学入試の英語が4技能になるからと一生懸命勉強して大学は合格しました。でも自分でそれを使いたいと思わない限り、社会に出ても使わないままでしょう。親の言う通りに一生懸命勉強して、いい大学に入った。そこで一生懸命就活していい会社に入った。収入的にも安定しました。でも、それで幸せを感じていない人がいることは確かです。 矢萩:これから、社会はより不確実性が高まっていくと見られています。そんな時代を生きるのは、誰にとっても大変です。今を犠牲にしても、誰も将来を保障してはくれません。 安浪:本当にそうです。 矢萩:ポイントは、「今を犠牲にしない」という感覚を持つことが大事です。中学受験に関しても同様です。中学受験を選ぶのはいいんです。ただし、「将来のために今を犠牲にして頑張る」と思ってしまうと、親も子もしんどくなってしまう。そうではなく、「今やっていることはきっと将来のためになる」と視点を変えてほしいと思います。それがハードなスケジュールを乗り切るための原動力になります。 安浪:その通りですね。勉強って何のためにするかといったら、幸せで豊かな人生を送るためにやるんですもんね。大学入試に備えて勉強するのではない。 矢萩:そのためにはやはり、受験や合格を目的としすぎず、リアルな子どもの姿をよく見ることが大切です。実は私自身も中学受験をして進学校に行ったのですが、そこで不登校になりまして。家族との関係も良くなかった。そしてこの仕事をするようになってからも、中学受験で不幸になる人をたくさん見てきました。塾の言うとおりに勉強していても塾が将来を保障してくれるわけではない。 安浪:合格したから幸せになる、というのは幻想だということですね。 矢萩:はい。とにかく今の状況をしっかり見る。もし今、子どもがつらそうだ、幸せでなさそうだと思ったら、何か行動に移してみたほうがいいのかもしれません。塾が完全に合わないな、と思ったら次を探したほうがいいし、勉強についていけていないのなら家庭教師をつけるなどプラスアルファを考えてみてもいい。がまんをしてもいいことはないんです。親御さんは「せっかく今まで通ったんだし」「これまで払ったお金がもったいない」と思いがちですが、ときには「損切り」することも大切です。 安浪:そうですね。特に10、11月は、「魔の月」。子ども以上に保護者が焦って我を忘れがちになりますが、そういう時期だという心づもりがあるだけで、少しは冷静になることができます。 矢萩:「受験という特別な体験はきっと将来の役に立つ」というポジティブな気持ちを親子で共有して乗り切っていただきたいですね! (取材・文/堤谷孝人) 〔2019年11/8(金) AERA dot.〕

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映画『閉鎖病棟-それぞれの朝-』 笑福亭鶴瓶、10年ぶり主演映画 お忍びで劇場へ 客に神対応 全国のいろいろな劇場にお忍びで足を運ぶことを宣言! 落語家の笑福亭鶴瓶が8日、東京・丸の内TOEIにて、10年ぶりの主演映画『閉鎖病棟-それぞれの朝-』(公開中)の公開記念舞台あいさつを平山秀幸監督と共に行った。落語の全国ツアーで訪れた北九州の映画館に、自らチケットを買ってお忍びで赴き、最前列に位置した鶴瓶は、上映後に振り返ると「6人しかいなかったんですよ」とぶっちゃけトークを展開したが、「今後も続けます。1対1になるまでやる!」と全国の映画館に出没することを宣言した。

本作は、精神科医でもある作家・帚木蓬生(ははきぎ ほうせい)の小説を『エヴェレスト 神々の山嶺』や『愛を乞うひと』などの平山秀幸監督が映画化。長野県にある精神科病院を舞台に、死刑囚だったが、執行に失敗し生き延びてしまった梶木秀丸(笑福亭鶴瓶)、幻聴が原因で周囲とうまくいかなくなってしまった元サラリーマンのチュウさん(綾野剛)、不登校のため通院する高校生の由紀(小松菜奈)が、心を通わせていくさまを描く。 11月1日の公開から1週間がたったが、鶴瓶は「久米宏さんや古舘伊知郎さんなど、業界の人もすごく観てくださっているようで、こっちが気づかないところもいろいろ感想を言ってくれるんです」と反響があることを明かす。自身も劇場にお忍びで足を運んでいるというと「劇場の人にも知らせず、チケット買って最前列に座るんです。それで終わったあと、パッと客席に振り返るのですが、北九州の劇場では6人ですよ」と笑いながら語った。 それでも鶴瓶は「写真も一緒に撮ったし、お客さんは喜んでくれるんですよね」と語ると「自分でこういうことを言うのは珍しいのですが、2回目観ても素晴らしい映画だと思いました。お客さんも大人なのに、言葉にならないぐらい泣いている人もいるぐらい。いま落語で全国ツアーを行っているので、抜け駆けでいろいろな劇場に行きます。いつか僕とお客さんの1対1にならないかな。それまで続けますから」と全国の映画館にお忍びで足を運ぶことを宣言していた。 またイベント後半には、劇中で鶴瓶が陶芸をするシーンで作った壺をプレゼントするコーナーも。運ばれてきた大きな壺を見た鶴瓶は「いる? こんな大きな壺。どうやって持ち帰るの?」と客席に呼び掛けると、大きな拍手が沸き起こる。鶴瓶は「変わった人たちやな」と客席をいじりつつも「今日はたくさん人がいてよかった」と満員の客席を見渡し、満面の笑みを浮かべていた。(磯部正和) 〔2019年11/8(金) シネマトゥデイ〕

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アートセラピー 思春期発達デイケアでお絵描きタブレット「raytrektab」活用、心療内科クリニックの「アートセラピー」に導入 思春期や若年成人を対象としたデイケア(通所リハビリテーション)において、タブレット端末やPCなどのデジタルデバイスを使ったクリエイティブなプログラムに取り組んでいるクリニックがある。2018年1月に東京・上野駅近くで開院した「ストレスケア東京上野駅前クリニック」だ。 同院は、診療・カウンセリングと思春期発達デイケアを中心とした心療内科・精神科クリニック。主に中学生から30代までの人を中心に、クリエイティブなプログラムやコミュニケーション、運動、交流外出、集団療法などを行う「思春期発達デイケア」を実施している。 デイケアに通所しているメンバーは、不登校や引きこもり、休学・休職中、コミュニケーションが苦手で自信を失っている人など、さまざまな悩みを抱えており、そのような人たちの心の奥に眠っている「やりたいこと」を引き出し、クリエイティブな活動を支援するプログラムとなっている。 この「思春期発達デイケア」のプログラムの1つとして実施しているのが、絵画やクラフトなどを行う「アートセラピー」だ。色鉛筆やパステルなどを使った「絵画教室ベーシック」や、水彩やさまざまな技法を使った「絵画教室クラシック」、粘土やハーバリウム、折り紙などを使った「クラフト」など多彩なメニューがある。 このプログラムに今年5月、新たに追加したのが、タブレットを使ってキャラクターのイラストやマンガを描く「絵画教室デジタル」だ。

■クリエイティブに自分を表現し、生きる力につなげていく 絵画教室デジタルは、毎週金曜日の午後に行われており、毎回、約10人のメンバーが参加する。使用しているのは、株式会社サードウェーブのWindowsタブレット「raytrektab 10インチモデル」だ。同製品には、筆圧4096階調で、5gと軽量なWacom製の「三菱鉛筆9800 デジタイザーペン」と、ペイントツール「CLIP STUDIO PAINT DEBUT」が付属しており、すぐにイラスト制作を楽しめる。 アートセラピーの現場を実際に見せていただいた。広々としたデイケアルームに入ると、さまざまな年齢層のメンバーがデジタイザーペンを操作している。この日のテーマは「マンガの1コマを描いてみよう!」だった。ひたすら黙々と絵を描いている人もいれば、ときおりスタッフと談笑しながら描いている人もいる。こうしてそれぞれが自由に好きな絵を描き、最後に集まったメンバー同士でその日に描いた作品を発表して終了する。メンバーの絵の力量はさまざまだが、中にはプロ並みのクオリティの高いイラストを描く人もいた。 このアートセラピーを始めた理由として、院長の細川大雅氏は「当院は主に思春期の方が来られることが多いのですが、不登校や引きこもりなどで悩んでいる方に医療としてなにができるかを考えたときに、薬だけに頼るのではなく、アートを通して自分というものをうまく出していくことで自信につながれば、それが彼らにとって生きていくエネルギーになるのではないかと思って始めました」と語る。 同院のような思春期専門のクリニックは日本ではあまり例がなく、デイケアで思春期を対象としたアートセラピーや集団療法などを実施しているクリニックも前例がほとんどないため、医師もまた試行錯誤で取り組んでいるという。 「アートセラピーという取り組み自体は昔からありますが、それは主に、絵を描くことで自分の心理を把握するために行うものでした。当院で行うアートセラピーは、それに加えてクリエイティブに自分を表現して、生きる力につなげていこうというものです。」(細川院長) 当初、色鉛筆や水彩を使って、絵画の講師を呼んでアナログで実施していたアートセラピーに、タブレットを使ったデジタルのプログラムを追加したのはなぜだったのだろうか? 医師の緒方優氏によると、デジタルの場合はインターネットへの公開が容易だからだという。 「アナログの場合、完成した絵はクリニック内に掲示したり、家に持ち帰って自分で見たりするだけですが、デジタルで作品を作ることで、もっといろいろな人に見てもらうことで自分を表現したり、そこで新たなコミュニケーションが生まれたりするのではないかと考えました。インターネットで公開するだけでなく、LINEのスタンプを作って販売するなど、自分オリジナルのプロダクトを売ることで、より自分を表現し、強みを明らかにできます。」(緒方医師) 「家で絵を描いているだけでは、なかなか社会とつながるのが難しいですが、デジタルで描いて広く公開することで、社会からなにかしら反応を得られます。そういうことを通じて社会につながっていくというのは、非常に大切なことです。」(細川院長)

■自己表現・自己の強みを見つけるというニーズにマッチ デジタルのプログラムを始めるにあたって細川氏は、どのような端末を使うのか悩んだという。 「最初に手持ちのタブレットで試してみたのですが、今ひとつ感触が良くありませんでした。操作方法も分かりにくく、やはりデジタルの導入は難しいなと思っていました。もしかしたらこれは機材の問題ではないかと思い、秋葉原でいろいろと店を回って試していたら、raytrektabを見つけて、これは使いやすいと思ってサードウェーブさんにお願いすることにしました。」(細川院長) 「最初から20~30万円の大きな液晶タブレットを導入するのは敷居が高いし、機能が多くてもそれを使いこなすのは難しい。raytrektabなら大きさもちょうどよくて、机に置くだけでなく膝の上に置いて使うこともできるし、デジタイザーペンの筆圧感知も良い。使いやすいペイントツール『CLIP STUDIO PAINT DEBUT』もインストールされているので、アナログで絵を書き慣れている人から、あまり絵を描いたことがない人まで、幅広い人たちがすぐにデジタルに移行できます。」(緒方医師)

アートセラピーへのタブレット導入について依頼を受けたサードウェーブ営業統括本部の田中基文氏によると、同社にとってもこのような案件は初めてだったという。 「raytrektabはもともと、女性からの『手軽にイラストを描いてみたい』という要望から始まった機種ですが、デイケアに使われるというのは初めてのケースです。細川先生から、この取り組みについて相談されまして、タブレットやPCの活用によってメンバーの方にぜひ良くなっていただきたいと思い、ご協力させていただきました。納品したのはraytrektabを10台と、デスクトップPCの『GALLERIA』です。raytrektabで描いたものを本格的に編集していただくために、高性能のグラフィックカードを搭載しています。」(田中氏) デジタルのアートセラピーについてはメンバーからの評判も良く、金曜日の午後はこれまでクラフトや工作などいろいろと試行錯誤していたのが、「絵画教室デジタル」を開始してからはメンバーの参加率が高いという。最後に同プログラムの今後の方針について、緒方氏に聞いてみた。 「メンバーからは『絵を描いていると楽しい』という声をよく聞きます。タブレットを使ったアートセラピーはメンバーの自己表現や自己の強みを見つけるというニーズにマッチしているのだと思います。現在のところ、デスクトップPCはメインに使っていませんが、今後はraytrektabで描いた作品をクラウド経由でPCに移して、Photoshopで加工したり、After Effectsでアニメを作ったりする機会を作ってみたいと考えています。」(緒方医師) INTERNET Watch,片岡 義明 〔2019年11/1(金) Impress Watch〕

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オンライン署名サイト「Change.org」 「これっておかしいよね」が社会を変える――オンライン署名サイト「Change.org」が目指すもの 「あいちトリエンナーレ2019」補助金交付中止の撤回を求めるキャンペーン 学校にはびこる理不尽なルールである「#ブラック校則」の撤廃。職場でのヒールやパンプス強制をなくすための活動「#KuToo」。文化庁による「あいちトリエンナーレ2019」補助金交付中止への強い抗議。

【写真】Change.orgの「中の人」 近年、ネット上から火がついた運動が社会全体を巻き込んで広がっていくケースが増えてきています。その背景には「オンライン署名サイト」の存在が。世界196カ国にユーザーを持つ「Change.org(チェンジ・ドット・オーグ)」の“中の人”(運営者)に、オンライン署名の影響力や、どんなキャンペーンが成功しやすいかについて聞きました。 ●紙の署名との違いは? 街頭に立って賛同を集めている「紙の署名」の人たちの姿は、誰でも一度や二度は目にしたことがあるでしょう。オンライン署名は紙の署名と違って、炎天下でも吹雪の日でも労力をかけずに24時間集めることができるという特徴がありますが、違いはそれだけではありません。

<オンライン署名の場合>

・労力をかけずに多くの賛同数を集めることができる ・課題の当事者の声が集まりやすい ・同じ想いの人たちがどんどん広めてくれる

<紙の署名の場合>

 ・決まった書式で行えば自治体や国への請願に使える  ・手間がかかる分、仲間の結束力が高まる たとえば紙の署名の場合、特定の地域に暮らしている人たちに名前や住所を自筆で書いてもらい、ある程度の数を集めると、「自治体への請願」という制度を使うことが可能になります。 一方でネット署名の場合は、同じ課題を抱えた当事者の声が集まりやすいという傾向があります。「保育園に落ちた人」「ベジタリアン」「車椅子ユーザー」などが直面している困りごとを変えたい、という場合には、街頭に立つよりもインターネットを使ったほうが当事者の声を集約しやすいというわけです。 このように、紙署名とネット署名はそもそも性質が違うものなので、目的によって使い分けるのがいいと言われています。

●オンライン署名の影響力 2017年、髪の毛が生まれつき茶色いにも関わらず、教員から黒く染めるよう強要され、精神的苦痛を受けて不登校になった大阪の女子高校生が裁判を起こしたことがニュースになりました。このような校則をなくそう、と立ち上がったオンライン署名は6万人以上の賛同を集め、これを受けて柴山昌彦文部科学大臣はブラック校則に真摯に向き合うことをツイートしました。 「職場でヒールやパンプスを女性に着用するよう義務づけるのはやめよう」と呼びかける「#KuToo」も成功したキャンペーンの1つです。2019年2月、Twitterでヒールに悩む女性たちの声が盛り上がっていたとき、グラビア女優・ライターの石川優実さんが「職場での義務付けはやめよう」と署名を立ち上げ、社会現象となりました。 オンライン署名がなければ、これらのニュースは1カ月後には忘れ去られていたかもしれません。しかし、署名によって多くの人が自分の考えを表明する機会を得たことで、署名ページはSNSで何万回とシェアされ、結果的に世論を動かすこととなりました。 ブラック校則も#KuTooも、それまでは大きな社会問題にはなっておらず、既存の政党なども積極的に取りあげてはいませんでした。当事者たちは人知れず「うちの学校マジ無理だわ」「パンプスと相性の悪い自分の小指がいけないのか」と悩んでいたのです。

●どんなキャンペーンがうまくいく? 自分でもオンライン署名を立ち上げてみたいという人のために、成功のためのポイントを中の人に聞きました。賛同数を伸ばすことはもちろん重要ですが、それよりも大事なポイントがいくつかあると言います。

<ストーリーとデータ> ポイントの1つ目は、「なるほど」「確かに」と思ってもらえる説得力のあるキャンペーンにすること。そのために大事な要素は、「共感を呼ぶストーリー」と「根拠となる事実・データ・事例」です。 自分が「おかしい」と感じたり、問題意識を持ったりしたきっかけを思い出し、具体的に伝えること。また、どういう状況でどんな気持ちになったのかを知ってもらうことで、関心のない人たちに共感してもらえる可能性が高まります。自分の体験がない場合は、今困っている当事者たちの体験や声を伝えるのが効果的です。 さらに、現状を正確に伝えることやデータ・事例を示すことで、キャンペーンに対する信頼も高まり、メディアにも関心を持ってもらいやすくなります。「こういう事実があったのか」と気づいてもらうことで、そのキャンペーンが立ち上がった理由や何を目的としているのかが明確になり、問題の当事者ではない人たちにも賛同してもらいやすくなります。

<仲間を見つける> 2つ目は一緒に声をあげる仲間を見つけること。周りには誰も賛同者がいなかったとしても、住んでいる都道府県や日本全体には同じ思いや悩みを抱えている人がいるはず。その分野の専門家やすでに活動している団体はいないか、体験をシェアしてくれる当事者がいないか、すでに取材をしているメディアや記者がいないかを調べてみるといった方法があります。 問題意識を共有するハッシュタグを作って、SNSで発信するのも有効です。「#KuToo」や「#ブラック校則」のように覚えやすい短い言葉でハッシュタグを作ることで、そのキャンペーンを知る人が広がり、仲間が増えていくというのが最近の傾向。キャンペーンタイトルにハッシュタグを入れると、キャンペーンページも検索されやすくなります。 また、キャンペーンページの機能にある進捗投稿を利用して、小まめに情報をアップデートしたり、共有することで、すでにキャンペーンに賛同している人とのつながりを強めることができます。

●インフルエンサーでなくてもいい? 人々の賛同を集めるという性質上、署名発信者が有名人であれば有利につながるケースは多いはず。しかし、「成功しているキャンペーンの大半は、もともと知名度の高くない人や団体により立ち上げられている」と中の人は言います。説得力があり共感してもらえるキャンペーンであれば、インフルエンサーでなくても、共感し賛同してくれる人たちが見つかるそうです。 Change.orgは会員やユーザーからの寄付、キャンペーン広告(サイト内でキャンペーンを広めるもの)などの支援により運営されており、キャンペーンを立ち上げるのに費用は掛かりません (運営のための寄付を月額1000円から受け付けています) 。また、 署名をするためには個人名義を使うことになりますが、キャンペーンは団体名義として立ち上げることも可能です。

●「自分だけじゃなかったんだ」に光を Change.orgのミッションは、「誰もが自分の想いや意見に価値があると信じられ、声に出して変化を起こすことが当たり前となる社会になること」(中の人)。 オンライン署名の影響力とは、いまだ世に出ていない問題に対して「自分だけじゃなかったんだ」「これって変えられるかも」とスポットライトを当てられることだと言います。 「たくさんの人の共感を集める署名キャンペーンや何万通もの賛同が集まる署名キャンペーンが増えて欲しいという気持ちももちろんありますが、社会が変わっていくためには、小さな積み重ねもとても大事です。誰かの署名キャンペーンに賛同する。それをシェアして、知人や友人、家族と『これっておかしいよね』『変えていきたいよね』と話しあうきっかけにする。こんなふうに『変えたい』気持ちを形にできるプラットフォームとして、オンライン署名を利用してくれる人が増えていくことを願っています」 ねとらぼ調査隊 前へ 〔2019年11/1(金) ねとらぼ〕

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学生限定SNS「ひま部」 性犯罪の温床に…学生限定SNS「ひま部」年内でサービス終了 若者に人気のSNS「ひま部」が、2019年12月31日をもってサービスを終了する。 「ひま部」は学生を対象としたスマホ向けアプリで、中学生から大学生の間で爆発的な人気を誇った。学生限定という登録要件があるにもかかわらず、登録者数は800万人を超え、1日の投稿数も600万件以上あったという。 サービス終了が決まったのは、利用者同士が出会い、さまざまな事件に巻き込まれることが多発したからだ。個人情報をむやみに公開してしまう学生がいる一方、学生でない大人が不正登録して、中高生を含む未成年に嫌がらせをしたり、出会い系アプリとして使っていた。 警察庁の発表では、SNSに起因する、18歳未満の子どもが被害にあった事件は、2018年で1811人。淫行、児童買春、児童ポルノなどだが、使われたSNSで最も多いのがツイッターの718人。「ひま部」は214人で2位となっている。今年2月にも、56歳の男性が「ひま部」で知り合った13歳の少女に性的暴行を加え、逮捕されている。 サービスを提供する「ナナメウエ」社は、公式ブログで、次のように説明している。

《運営の手が届かない他社製アプリを交換してその中で犯罪行為を行ったり、実際に出会って乱暴をしたり。個人情報をタイムラインに載せる嫌がらせや、なりすましが多く発生しました。年齢を偽って登録する大人もいました。良いつながりを生むはずだったこのサービスが、そうした悪意を持った人たちに悪用され、悲しみも同時に生んでいきました》 運営は、「ひま部」に不登校や高校中退の悩み相談室を設けるなど健全化を図ったが、その甲斐なく、中止に至った。サービス停止を受けて、学生たちは《ずっと続けてほしい》《終了したら私の居場所は?》など悲しみの声を寄せているが、一方で《ヤバい奴しかいないからいいんじゃね?》などの意見もあった。 「ひま部」は、2015年5月にサービスを開始。2010年頃、モバゲー、GREE、mixiといったSNSでの「出会い」が問題となり、運用を厳格化するとともに、多くの未成年が「ひま部」に移行した。今回「ひま部」がなくなっても、別のサービスが出会い系として広まる可能性は高い。 いずれにせよ、ひとつサービスがなくなれば、まともなユーザーの人間関係も大きく消えてしまう。SNS時代の不都合な一面だ。 〔2019年11/1(金) SmartFLASH〕

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映画「閉鎖病棟 それぞれの朝」 笑福亭鶴瓶、綾野剛の“公開初日ダメ出し”に苦笑「俺、主役やで?」 和気あいあいと舞台挨拶を盛り上げた 笑福亭鶴瓶、綾野剛、小松菜奈ら [映画.com ニュース] 作家・帚木蓬生氏の小説を映画化した「閉鎖病棟 それぞれの朝」が11月1日、全国281館で封切られ、東京・丸の内TOEI1で行われた初日舞台挨拶に、キャストの笑福亭鶴瓶、綾野剛、小松菜奈、坂東龍汰、渋川清彦、小林聡美、メガホンをとった平山秀幸監督が登壇した。 舞台は、長野・小諸にある精神科病院。死刑執行が失敗し生きながらえた梶木秀丸(鶴瓶)、幻聴が原因で暴れるようになり、妹夫婦から疎んじられている元サラリーマンのチュウさん(綾野)、不登校のため通院している女子高生・由紀(小松)は、世間から隔絶されても明るく生きようとしていた。だが、その穏やかな日常を一変させるように、秀丸が殺人事件を起こしてしまう。 約10年ぶりに映画主演を務めた鶴瓶は「一般の方との繋がりがたくさんあるので、ぎょうさん(感想を記した)メールが来ていました。本当に嬉しかった。今朝は目覚めが良かった」と安どの表情。本作のために減量を行っていたため、司会の笠井信輔氏から「減らした体重はどうなりました?」と問われると「今日の衣装、ズボンを履こうと思ったら、スッとは入らない(笑)。ちょっと太りましたけど、76キロから1.4キロ増えただけ。元々82キロありましたからね。舞台挨拶まで痩せたままの姿をお見せしたいと思っていた」と答えていた。 すると、綾野は鶴瓶をまじまじと見て「1.4キロですか? なるほど…」と意味深な表情。「え? 疑ってんの?」(鶴瓶)と切り返されると「いや、疑っているわけでないんですけど、結局のところ1.4キロ増えているわけじゃないですか。まあ、悪いことじゃないんですけど、意識の問題かなと。“重い映画”だと思っていた友人たちが『こんなに優しい映画だとは思ってもいなかった』と言っていたんです。普段泣かないのに泣いたらしく、デトックス効果のある映画なのかな。どちらかというと、鶴瓶さんはデトックスというより“(体重が)増えた”。その事実だけはしっかりと示しておきたい」とチクリ。その言葉を受けた鶴瓶は「なんでこんなにいじられなきゃあかんの? 俺、主役やで?」と苦笑していた。 初日舞台挨拶の恒例行事である“鏡開き”も行われたが、この日の樽の中身は、劇中に登場するきんつば。「これ、チュウさんが売るとしたらいくらですかね? 1200円くらい?」「こんなものも売るんかい」と特大のきんつばの感想を述べるキャスト一同。すると、鶴瓶が大入りの文字部分に自身の眼鏡がデザインされていることを発見。「樽の部分にも眼鏡があるので、(樽自体が)顔のようになっているんです。皆で鶴瓶師匠の脳天をかち割ったような感じになりますね」と笠井氏が発言するなど、鶴瓶は最後までいじられっぱなしだった。 〔2019年11/1(金) 映画.com〕

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父の家事力 頼りになります!「夫が父親になったなぁ」と妻がしみじみ実感する瞬間とは? 「夫が父親になったなぁ」と妻がしみじみ実感する瞬間とは? 地道なトレーニングを通じて体力がアップすることがあるように、育児経験を通じて“家事力”“段取り力”“共感力”といった能力が少しずつグレードアップしていると感じたことはありませんか? もしかしたら、夫婦の一方が育児や家事を負担している間に2人の家事・育児スキルの差がついてしまうケースもあるかもしれません。 とくに、妊婦健診や産後の入院時に様々な指南を受ける女性と比べ、男性側は親になったことを実感して行動に移すまでの遅れをとってしまうケースは少なくありません。それがきっかけで産後の夫婦仲が悪化する、いわゆる“産後クライシス”に陥るケースもあるでしょう。 しかし、子どもの幼いうちは一時的に夫婦間でギクシャクする頻度が上がるものの、時間の経過とともに夫自身が父親として少しずつ変化していき、いつのまにかブレイクスルーしていると実感する女性は少なくないようです。 今回は、320人の既婚女性に「夫が父親として成長した」と感じたきっかけについて聞いてみました。 特に多くの回答が集まった10の例をご紹介します。

1:趣味やつきあいより育児を優先するようになった 「絶対にやめられないと言っていた趣味(ダーツ)をやめた。それよりも娘といたいと。父親になったと思った」(32歳・主婦) 「妊娠中、産後最初の頃は朝まで飲み歩き、子育ては全て私に任せっきりだったけど、今はそんなこともなく、自分から積極的に娘に対応している」(28歳・主婦) “やりたいこと”より“やらなければいけないこと”を優先させるべく、自分の楽しみの頻度を減らした男性も見受けられました。

2:子どもの夕飯から寝かしつけまで1人でできるようになった 「自分が夜出かけることになったとき、子どもを夕飯から寝かしつけまでやってくれたとき」(38歳・主婦) 「以前は子どもと留守番をお願いしても、逐一『どうしたらいい?』と連絡ばかりだったが最近は私に聞かないでもやっておいてくれるようになった」(37歳・主婦) 子どもと長時間留守番して、きちんと寝かしつけられるかは、普段あまり子どもと過ごしていない親にとっては大きなポイントとなるようです。

3:2人目誕生以降に積極的に育児に関わるようになった 「2人目を出産してから こちらから頼まなくても前もって子どものオムツ交換や着替えをしてくれる」(39歳・主婦) 「第一子の時は赤ちゃんを1人で見ることができなかったが、第二子になると余裕が出来たのか1人で見ててくれるようになりました」(31歳・主婦) 1人目のときには怖くて手を出せなかったけど、2人目ができたことで夫が変化した……という声が多く集まりました。

4:家事を多くするようになった 「洗濯ものが取り込んだままになっているのを見るとたたむようになった」(32歳・主婦) 「勤めていたときの子どもの夏休みは、自営業の夫がほとんどお昼ご飯を作ってくれていた。子どものために、栄養バランスも考えていて、すごいと思った」(47歳・その他) 「簡単なごはんが作れるようになった」(43歳・総務・人事・事務) それまであまり得意でなかったことも、必要に迫られてマスターしていく姿から夫の成長を感じたという声も。

5:子どものケアを積極的に担うようになった 「子どもがうんちしたときに今までは嫌がっておむつ替える事をしなかったが、成長したのかするようになった」(34歳・主婦) 「娘の長い髪を結べるようになった」(30歳・主婦) 「夜中の授乳を代わってくれたとき」(42歳・その他) 多く聞かれたキーワードが、“うんち”“夜の授乳”“寝かしつけ”でした。 子どもが生まれるまではゆすっても起きなかった男性が、子どもの泣き声でパっと目が覚めるようになったという例も。

6:子どもの話に耳を傾けるようになった 「子どもの不登校をきっかけに、子どもに対して頭ごなしに叱ったり否定したりしなくなり、私や子どもの言い分、話をよく聞いてくれるようになった」(46歳・主婦) 「子どもの話をよく聞く」(37歳・主婦) 心を傾けて子どもの話を聞くことの大切さを夫婦間シェアできていると、子どもの安心にもつながりそうです。

7:子どもと出かけられるようになった 「日曜日は子どもと2人で出かけてくれるようになった」(35歳・デザイン関係) 「自分がいなくても1人で子どもたちを外に連れてってくれたりしてくれるようになった」(36歳・主婦) “外に出る”ということは、子に降りかかる大なり小なりのリスクを判断しながら、四六時中目を離さずに見守ることができるということ。安心して任せられると、母親もリラックスタイムや家事集中タイムをねん出できますよね。

8:外出前の支度ができるようになった 「子どもとの外出時の持ち物を把握して、夫が用意できる」(32歳・主婦) 「自分が出かけるときも『子どもをどうするか?』を考えてから出かけてくれる。オムツ替えや離乳食を食べさせるなどのお世話もうまくなった」(25歳・主婦) おむつ替えや、外食、水たまりなど、いろんなシーンを想定して外出準備ができる男性は、高い育児スキルを習得しているに違いありません。

9:役員や地域活動に参加するようになった 「PTA役員をやるようになった」(43歳・主婦) 「ゼロ歳の頃は私に育児を丸投げしていたが、子どもが小学校になった今は、スポーツ少年団で合宿委員になって大勢の子どもたちの引率までするようになり、ちょっと感動している」(38歳・その他) 育児する上で避けては通れない様々な役員活動。多くの母親を悩ませていますが、パパが担っている家庭も見受けられました。

10:楽しませるのが上手になった 「毎日、お風呂入れてもらっていますが、最近子どもが喜んで入るので、コツを掴んだのだと思います」(38歳・総務・人事・事務) 「子どもの笑いのツボをわかってる」(35歳・その他) 子どもと飽きるまで遊んで、うんと楽しませてくれる姿を見て、微笑ましい気持ちになっている女性の声がたくさん集まりました。 以上、女性が「夫が父親として成長した」と実感したきっかけをお届けしました。 今回のアンケートでは「成長していない。子どものほうがよく成長している」(37歳・主婦)や「残念ながら何も思い付かない……」(38歳・その他)といった声も寄せられていました。その回答の背後には、妻の変化や子どもの成長を見落としてしまっている男性がいるかもしれません。その反対で、妻が変わらないことに不満を覚えている男性もいるでしょう。 とはいえ、子どもを持って、生活が激変することで、父親も母親もお互いが「成長したな」「変わったな」と感じる瞬間は多くの家庭に訪れているのではないでしょうか。 アンケート結果を見ると、赤ちゃんが生まれたばかりの頃は何をしたらいいのかわからなかった男性も、子どもの成長とともに家事・育児スキルを磨いていき、気がついたら頼りがいのある父親になっているケースも多いようです。 北川和子 〔2019年11/1(金) kufura〕

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ドラマ『俺の話は長い』 “現代のスピード感×原点回帰”ドラマ『俺の話は長い』30分×2本のアニメ的構成が若年層にハマる 義理の父と娘を演じる安田顕と清原果耶『俺の話は長い』(C)日本テレビ 30分×2本立ての構成で会話劇を見せる、生田斗真主演の『俺の話は長い』(日本テレビ系)。昨今のドラマの多くが、濃い脇役キャラを豊富に取り揃えたり、さまざまな伏線や小ネタを盛りこんだりと、密度がどんどん濃く、情報量過多の傾向になっているなか、本作はそんな流れと別の角度からのアプローチを試みている。YouTubeの短尺動画に慣れているスマホ世代の「1時間のドラマは長い」と感じる層にとって観やすく、今の時代のスピード感に合っている手法として、放送前から期待値が高かった。そして、実際にドラマを観ると、期待を超えるおもしろさだった。

■「ダメなおじ×不登校の姪」という組み合わせの妙 劇的な出来事が起こらない日常系のドラマは、何より脚本の力と、役者の演技力がモノをいう。その点、本作は達者な役者揃い。物語をメインで動かす主人公で引きこもりニートの31歳・生田斗真と、バリバリのキャリアウーマンの姉・小池栄子の会話のテンポの良さは抜群だ。脇には清原果耶、安田顕、原田美枝子という世代違いの演技派もそろっている。 脚本を手がけているのは、金子茂樹氏。本作では、姉一家が家の建て替えのために3ヶ月限定で同居することになり、そこからさまざまな化学変化が起こる。面倒くさい屁理屈も、きょうだいゆえのくだらない諍いも、不快にならず笑って観られるのは、愛嬌のあるキャラと、作品全体に流れる家族愛のためだろう。 そもそも他者が見たらどうでも良いような細かいことでケンカをしたり、つい揚げ足をとったり、相手を傷つける正論をぶつけたり、言わなければ良いことをわざわざ口にしてしまったり、話をすり替えてごまかしたり、言いすぎたと思って1人で密かに反省したりというのは、家族という距離だからこそ起こる「家族あるある」だ。そこには、誰もがどこかに共感できる部分がある。 加えて、本作では「ダメなおじ×不登校の姪」という組み合わせの妙もある。これは『ひよっこ』の峯田和伸、『ちりとてちん』の京本政樹のように、朝ドラでもときどき登場する微笑ましい関係だ。正論をぶつけてくる母や、好かれようと必死の義父よりも、ダメなおじが居心地の良い場所になることは、意外とあるパターン。生田と清原が互いに「変わってる」「そっちのほうが変!」と遠慮なくやり合う様子を観ると、多感な時期の少年少女に一番欲しいのは、そこそこ無責任であたたかい「ダメなおじ」なのではないかと思えてくる。

■ドラマを観ない世代にフィットしそうなアニメ的キャラクター造形とテンポ 冒頭で記した「現代のスピードに合ったドラマ」とは矛盾するようだが、本作はドラマとして原点回帰した作品でもあると思う。フィルムが高価だった時代は、限られた場所+固定の登場人物で「会話」を見せるドラマが主流だった。こうしたスタイルのドラマは、今放送すれば再び人気になるのではないかと密かに思っていたのは、昨年のこと。 きっかけは、BS12 トゥエルビで放送されていたプロデューサー石井ふく子氏×脚本家・平岩弓枝氏の『ありがとう』シリーズなどだ。そこでは、ご近所4軒くらいの間で起こる日常のささいな出来事が描かれるだけ。しかし、平岩氏の健筆と、水前寺清子や山岡久乃など、膨大なセリフ量をテンポよく繰り出せる達者な役者たちの力量により、現代でもまったく古さを感じさせない内容となっていた。昨年のネット掲示板では「今一番おもしろいドラマ」と評するつぶやきがしばしば見られるほどだった。 それに加えて、『俺の話は長い』の魅力は、従来ドラマを観ない世代にフィットしそうなアニメ的キャラクター造形とテンポにもある。屁理屈ばかり言う面倒くさいニートは、「日常系アニメ」にはなじみのあるキャラクター像だ。ちょっと残念なキャラの癒し力は、今の時代の救世主ともいえる。 『俺の話は長い』(C)日本テレビ かく言う自分も、さまざまなドラマをリアタイ&録画でチェックしつつ、眠る前には毎日配信でアニメを観るのが習慣となっている。理由は、日常系アニメの登場人物たちが、ドラマの人たちよりもはるかにダメダメで、笑ったり癒されたり励まされたりすること。美味しいご飯が登場すること。そして「30分だけ」の気楽さから、ついおかわりして結局3~4話観てしまうという毎日なのだ。 同様のことを感じる視聴者もいるようで、Twitter上にはこんなコメントも見られる。「『俺の話は長い』を初めて観たんですが、ゆるい日常系アニメみたいで良い」「『俺の話は長い』、30分のドラマ×2本で1話っていうアニメみたいな構成してておもしろい」「土曜のこの時間に空気感ばっちりよね アニメみたいに観れるドラマというか」「ご飯が毎回美味しそう 日常系アニメみたいな構成で毎回ゆるーっとした感じがオタクの胃と脳にやさしい…」 30分×2本というアニメ的構成は、スピード感を求める若年層にしっくりハマる。それに加えて、ドラマの原点回帰的な「会話劇をしっかり書ける脚本家+達者な役者」によるミニマムな日常ドラマは、今後のひとつの定番になるかもしれない。 (文/田幸和歌子) 〔2019年11/3(日) オリコン〕

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フリースクール 不登校児童の受け皿「フリースクール」、運営困難の壁を乗り越え奮闘 フリースクールをご存じだろうか。不登校や引きこもりなど、さまざまな事情で学校に通えない子どもを受け入れる、民間の教育機関のことだ。NPOやボランティア団体、個人などが運営し、全国に234(※H27年・文科省による)の施設がある。 これまで教育現場での不登校対策は、「学校に復帰させること」が前提だった。だが2016年12月に成立した教育機会確保法により、「無理に学校に行く必要はない」「学校以外の学びの場も重要という方針に転換。フリースクールの重要性がより高まったのだ。 とはいえ、フリースクールがまだ世間一般に認知されているとは言い難い。そもそもどういう施設なのか。どのような現状で、どんな課題を抱えているのだろう。(ジャーナリスト/肥沼和之)

●日本語を学びたい外国人の受け皿にも とある平日の13時過ぎ、代々木駅前にある「フリースクールゆうがく」を訪問した。 二人の生徒が机に向かっている。T君(15歳・男子)とYさん(13歳・女子)だ。2カ月前に日本に来たばかりという外国籍のT君は日本語の書き取りを、Yさんは数学の勉強をしていた。ここでは決まった授業はなく、一人ひとりが学びたいことを勉強できるのだそう。パソコンを操作したり、絵を描いたりしてもOKという。 Yさんは小学校のころ、学芸会の練習中、先生に怒られたのがきっかけで不登校になった。中学に入学するも、「先生が怖い」というイメージは消えず、学校の心理カウンセラーの勧めでゆうがくに通うようになった。 「家では全く勉強しなかったけど、ここに来てからするようになった」とYさん。ゆうがくに在籍する生徒は全部で7人。大人数や団体行動が苦手というYさんには、この規模感もちょうどいいという。「高校や大学にも行きたい。将来は美容師か、本や音楽関係のお仕事に興味があります」とはにかんだ。 T君は今年8月、家庭の都合で日本へ越してきた。来年から日本の高校へ通うことも決まっている。日本語がまだ不自由なため、公立中学ではなくここで学んでいるという。フリースクールが、日本語を学びたい外国人の受け皿にもなっているようだ。 「休憩のときにはみんなでトランプしたりして遊んでいるよ。(校外学習、課外活動など)いろいろ新しいことがあって楽しい」と、すっかりほかの生徒たちと溶け込んでいるようだった。

●フリースクールに通う子どもが少ない理由 現在のフリースクールの状況について、「日本フリースクール協会」理事長であり、1975年から続くフリースクール「英明塾」(江戸川区)の代表でもある川合雅久氏に聞いた。

――フリースクールに通っている子どもは、全国にどのくらいいるのでしょう。 不登校の児童数は16万4528人(H30・文科省による。小学生は4万4841人、中学生は11万9687人)です。そのうち、フリースクールに通っている小中学生は5000人程度でしかありません。 その理由の一つとして、フリースクールが近くにない、という問題があります。英明塾には埼玉や栃木、神奈川から小学生が一人で通ってきますが、児童が一人で遠くまで通うのは難しい場合もある。 また、月謝が家庭の負担になることもあります(※フリースクールの月会費は平均3万3千円・文科省による)。文科省は2019年8月、フリースクールに通う人へ交通費、教材費、活動費など経済支援をする方針を発表しました。ただ、支給する金額は三分の一のみです。 しかも、対象となるのは出席扱いになった約2000名(※H27年・文科省の調査発表をもとにおおよその数字を算出)だけです。

――出席扱いとは? フリースクールに通った場合でも、在籍する学校で出席したという扱いになることです。その判断は、在籍している学校の校長の裁量で決まります。 そのため学校に連絡できない生徒、例えばいじめを受けている、DVシェルターに入っている、言語障害があるなどの理由でフリースクールに通っていることを学校に伝えられない生徒は、出席扱いになりません。 そのためフリースクールに通う約5000人のうち、約2000人しか出席扱いにならないのです。 ●不登校に含まれない「見えない生徒」をどうするか

――そもそもフリースクールに通う子どもは、不登校児の数からするとかなり少ないように思えます。 実際には、不登校の子どもは数字よりも多く、フリースクールに通う子どもはより少ない割合だと考えています。文科省が不登校としている生徒はごく一部で、それ以外に「見えない不登校生徒問題」があります。 不登校に含まれない不登校生。例えば学校には通っているけど、授業には出ず、保健室や校長室で一日を過ごす子がいます。そういう子は不登校ではないのか。 また高校生の不登校生徒は8万~10万人と言われていますが、それは全日制のみ。定時制も含めるともっと増えるでしょう。さらに、年間欠席数が30 日未満の、不登校傾向にある中学生は約33万人(H30、日本財団による)にもなります。 数字からは見えていない生徒をフリースクールが支援しないでいいのか、課題になっています。 もっとも大きな問題は、本当に見えない不登校生問題。部屋から出られず、人に会うことも相談することもできないため、状況が全くわからなくなってしまっている子です。文科省が発表した不登校児童数から、フリースクールや適応指導教室、個別教室などに通っている生徒を除くと、5万人以上が該当すると思われます。 こういった生徒にはアウトリーチ(訪問支援)が必要ですし、それを行える支援員の養成も急務だと考えています。

――そのほかに、フリースクールが抱える課題について教えてください。 フリースクールは、許可などいらずに始められますが、継続は困難です。 多くのフリースクールは、開設して2~3年で閉鎖してしまいます。大きな理由はお金の問題で、月謝だけでの運営が難しいから。50人が登録したのに、実際に通うのが5人などであれば、ほかに収入がないと続けられないですよね。 また、ボランティアで手伝ってくれる人がいれば、その人たちの交通費や弁当代を渡さなければいけません。その費用を稼ぐために、私もアルバイトをしながら、寝る時間を削って運営していました。 人材不足もあります。フリースクールの先生は、心理学や病理、社会学など幅広い分野に詳しくないといけません。高校生や大学生の不登校児童には、就労支援も行う必要もあります。そういったことができる人材はなかなかいないので、継続が難しいのです。

――フリースクールがすべてを背負うのではなく、公立学校や行政と連携していけばいいのでは? 地域によっては、フリースクールと連携するのを敬遠する公立学校があります。校長がフリースクールでは出席を認めず、教育支援センター(適応指導教室・行政が運営する不登校児童向けの教室)に行くか、在籍する学校へ通うよう指導することもあります。 また各省庁が支援の準備をしていますが、15歳未満は文科省、15歳以上は厚労省が管轄です。組織が縦割りで連携がされておらず、当てはまらない児童はどちらに入れるのか、ということも決められていません。

―― 一般の方が、フリースクールの課題解決に貢献できることはありますか。 不登校や引きこもりが悪だと考える親や教師はまだたくさんいます。すると、児童は生きづらいと思ってしまう。そういうケースを他人事ではなく、我が身と考えていただければ。全日制の中学や高校が良いわけでも、正解でもありません。 フリースクールの授業は、公立学校よりレベルが高いこともあれば、新しいやり方を取り入れいていることもあります。教育機関として選択肢の一つにしていただければと思います。

最後に(肥沼) ダイバーシティが叫ばれる昨今、教育の形も多様化している。フリースクールの認知度がより広まり、教育機関としてのあり方や制度に関する議論が、活発化することがまず大事なのだろう。そして教育機会確保法の理念にもとづき、一人ひとりに合った場所、方法で学べることが当たり前になれば、救われる児童も増えるに違いない。

【著者プロフィール】肥沼和之。1980年東京都生まれ。ジャーナリスト、ライター。ビジネス系やルポルタージュを主に手掛ける。東京・新宿ゴールデン街のプチ文壇バー「月に吠える」のマスターという顔ももつ。 弁護士ドットコムニュース編集部 〔2019年11/2(土) 弁護士ドットコム〕

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義手でバイオリン 右腕切断しても…義手でバイオリン、水泳だって 元パラ代表「悲劇のヒロインやめた」 義手を使ってバイオリンを演奏する伊藤さん(八幡市八幡・市文化センター) 京都府八幡市の民生児童委員協議会はこのほど、活動をPRする講演会を、同市八幡の市文化センターで開いた。片腕の看護師でパラリンピック水泳の元日本代表、伊藤真波さん(35)が体験談や義手でのバイオリン演奏を披露し、約400人が耳を傾けた。 12月の一斉改選を前に、身近な相談相手としての委員を知ってもらおうと企画。本郷俊明・協議会長は「高齢者や児童への虐待、不登校、いじめや老老介護、引きこもりなど新しい課題が山積し、今ほど役割が求められている時はない」とあいさつ。市内7地区での活動が紹介された。 その後、バイク事故で20歳の時に右腕を切断した伊藤さんが、失意から立ち直り、看護師、水泳選手、2人の育児に取り組んできた経験を「あきらめない心」と題して講演。「心の傷をみんな持っていると知った時、悲劇のヒロインをやめた。前を向いてがんばりたい」と語りかけた。 〔2019年11/3(日) 京都新聞〕

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心の筋トレ 自己肯定感を育む「心の筋トレ」注目される背景に子どもの危機的な現状 親子ふれあい学習では、言葉を交わさずに表現したい絵を一緒に作り上げるゲームもあった 日本の子どもは自己肯定感が低いと言われる。勉強や運動が優れていてもどこか自信が持てない。頑張っても結果が伴わずに自分はだめな人間だと思い込む。多くの人に経験があると思う。ただ、その延長で不登校やいじめ、暴力行為が誘発されるとなると事態は深刻だ。教育現場で今、心の知能指数ともいわれる感情知能(EQ)を見直す動きが広がっている。 親子で向き合い輪になった片隅で、1人の女の子が突然涙を見せた。うつむいたまま言葉が出ない。近くの大人が「うれしかったの?」と優しく尋ねると、こくりとうなずいた。 10月上旬、北九州市の西小倉小であった親子ふれあい学習。2年生を対象にした特別授業のテーマは「心の筋トレ」で、さまざまなゲームを通じて気持ちを形にする取り組みだ。 「感情知能は自分や他人の感情と向き合うことのできる能力。それは伸ばすことができます」。保護者の一人で、講師を務めた「BoostEQ(ブーステック)はばたこ」代表の石橋芳子さんは強調する。 授業では照れや悪ふざけを排除するためのステップが用意された。まずは赤、青、黄などの色紙の中から気になる色を選ばせる。次に靴下を脱いだり、髪をまとめたりして互いの変化を探るゲーム、そして子どもが親の背中をさすり、親は子どもを抱きしめる体の触れ合いへと続く。 女の子が泣いたのは授業の後半。隣の親子と4人グループを作り「聴く、褒める、伝える」ことを心掛けて、親が子ども自慢を始めたときだ。「手伝いをよくしてくれる」「どんなことにも前向きで、お母さんの宝物です」… 気持ちを扱えるスキル 授業後、子どもたちが見せた笑顔に保護者の一人は「普段から気持ちを伝え合うことの大切さが改めて分かった」と話した。 近年、感情知能が注目される背景には子どもの危機的な現状がある。学校でキレたり、暴力的になったりする子が目立つ一方、いじめや不登校も増え続ける。 文部科学省が公表した2018年度のデータで、小中高校における暴力行為は7万2940件。前年度(6万3325件)より約1万件増えた。このうち3万6536件と半数を占める小学校は13年度(1万896件)の3倍以上。いじめの認知件数も約8割は小学校で、文科省も「憂慮すべき状況」と危機感を抱く。 現場で多発する問題行動に本質的な解決法はないのか。対策の一つとして打ち出されたのが、形骸化が指摘されてきた小中学校での道徳教育の教科化だ。 「善悪の判断」「自主自立」「思いやり」「生命尊重」「郷土愛」などと項目を具体化。教科化により指導法も統一された。ただ、教師による価値観の押し付けといった課題はなお残り、効果に疑問の声もある。 「大人にこそ必要」 中学、高校を米国で過ごした石橋さんは、欧米人の自己肯定感の高さに触れてきた。当時は文化の違い程度にしか感じていなかったが、個人の尊重など感情知能を高める教育の浸透が大きいことを後に知った。 「米国の学校には今も世界中から教育関係者が集まり、議論を重ねている。子どものため時代の変化に対応すべく前を向いている」 石橋さんが感情知能に携わるようになったきっかけは、かつて開いていた英語教室での女子小学生との出会いだ。将来、飼育員になりたいと語った彼女の理由は、積極的な「なりたい」ではなく、動物が好きとかでもなかった。 彼女の姿や考えを通し、子どもの現実に触れた気がした。その後、彼女を何とか変えたいと、事あるごとに褒め、励ました。結果、学ぶ楽しさが表情に表れるようになり、総じて学力も上がったという。 この体験などから感情知能の重要性を痛感。専門知識を学ぶために渡米し、研修を経て各地で講演活動などをするようになった。 国内では児童虐待も年々増加している。石橋さんは「感情知能は教えるものではなく育むもの。子どもの成長を手助けする大人にこそ、感情を上手に扱える知識とスキルが求められる」。(前田英男) 感情知能(EQ) 自分の感情を正しく認識してコントロールするとともに、他人の感情を適切に読み取って対応できる力とされる。「情動知能」「心の知能指数」とも呼ばれる。EQの高い人はプラス思考で問題処理能力があり、創造性、協調性なども高いとされている。現在では教育現場にとどまらず、企業や自治体での人材育成などに広く取り入れられるようになっている。 西日本新聞社 〔2019年11/4(月) 西日本新聞〕

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8050問題 孤立を防ぐ社会に 愛知教育大大学院の川北准教授 「8050問題」長崎で講演 中高年の引きこもりについて意見交換する(右から)川北氏、坂本氏、中根氏=長崎市千歳町、チトセピアホール 引きこもりの子が50代、親が80代と高年齢化する「8050問題」を研究している愛知教育大大学院教育実践研究科の川北稔准教授が4日、長崎市で講演し、当事者家族に寄り添うサポートを通して「孤立を防ぐ社会にしたい」と語った。 国が3月に公表した調査では、40~64歳の中高年で引きこもりの人は推計約61万人と、若年層(15~39歳)の約54万人を上回る。不登校の延長で引きこもりになるケースに加え、退職がきっかけになることも多い。 川北氏は、親は世間への負い目などから周囲に相談しづらいとする一方、当事者の中には「コンビニでの買い物や趣味のためには外出できる人もいる」と指摘。支援者には、引きこもりの解消にこだわらず、まずは外部との接点を築く視点が重要だとし、家族については外部に話しやすいことから相談してほしいと呼び掛けた。 講演は、自殺予防を目的とする「長崎いのちの電話」の開局25周年記念事業で、約200人が参加した。 運営団体の中根允文(よしぶみ)理事長と長崎新聞社報道部の坂本文生次長を交えた意見交換もあった。坂本氏は、引きこもりに関連する事件報道が全国で相次ぐ中、当事者への差別や偏見をなくすには「当事者を『困った人』と捉えるか、『生きづらさを感じている人』と捉えるかが分かれ目だ」と強調した。 〔2019年11/5(火) 長崎新聞〕

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小学生の留学事情 増える小学生の海外留学・徹底解明!メリットは?費用は? 小学生の留学事情 「小学生から海外留学?」と驚かれる方もいらっしゃるかもしれませんが、グローバル化が進み、英語教育なども改革が進む今、海外留学に関心を示す家庭が増えているようです。幅広い年代の留学をサポートする海外教育研究所の金成有理さんに、小学生の留学事情について聞きました。 教育改革を前に増加する子ども留学 「ここ5年ほど、小学生の子どもを留学させたいという親御さんからの問い合わせは急増しています。背景には、これからの小学生が直面する教育改革があると考えています」 こう教えてくれたのは、年間300人以上の海外留学をサポートしている金成有理さん。中学生、高校生がボリュームゾーンではありますが、最近は留学生の低年齢化が著しく、同社への問い合わせのうち小学4年~6年生が占める割合は、2015年からの4年間で16%から22%まで増えたのだとか。確かに、2020年度からは中学・高校だけではなく小学校の英語教育も見直しが進み、英語入試の改革が進められていきます。 「グローバル化が進む中、実践的な英語力や国際感覚を身につけさせたいというニーズは根強いものがあります。また、学校になじめず不登校になったお子さんのご家庭から相談を受ける機会も増えていますね。海外留学で再チャレンジという選択肢になります」

海外留学で養われるのは語学スキルだけではない、と金成さんは強調します。その理由は、多文化・多言語社会の欧米に身を置くことでダイバーシティー(多様性)を体で感じることができ、個として立つことを求められる環境で自立心も自然に養われるからです。 AI(人工知能)やICT(情報通信技術)が進展し、未来が流動的な現代。海外留学は、英語スキルや多様な価値観、個の強さを培える絶好の機会と言えるでしょう。初等教育から注目する家庭が増えてくるのは当然のことなのかもしれません。 「ただ、私たちに海外留学の問い合わせをいただいて、実際に渡航に至るご家庭はそのうちの3割程度です。留学の目的や子どもの意思、親の心構え、決して無視できない留学費用、そして留学を終えて帰国後の学び……。留学に踏み切る前に、家族で話し合い、決めておくことは多岐にわたります」 小学生の単身留学もバリエーションは豊富 そもそも小学生が体験できる留学とはどのようなものなのか。そのバリエーションを見ていきましょう。海外留学を期間で分けると、夏休みや冬休み、春休みなどを利用した短期留学と、1学期から1年以上に及ぶ長期留学(進学)の2タイプがあります。さらに、その中でもボーディングスクール・公立校といった受け入れ先による違いも。それぞれの特徴を金成さんに解説していただきましょう。

●夏・冬・春休みを活用した海外体験 「短期留学といえば、サマースクールというイメージが強いかもしれません。各種団体、ボーディングスクールによる短期の語学研修プログラムがあります。長期留学を見据えたお試し留学としても人気です。サマースクールなら季節が同じ北半球のイギリス、アメリカ、カナダ、冬休み・春休みなら夏になっている南半球のオーストラリア、ニュージーランドを選ぶ方が多いですね。近年、留学先として人気が高まっているフィリピンなどの東南アジアは、小学生の留学においては、親子または団体での留学が多いようです」

●ボーディングスクール 「寄宿制の学校、と言ったら分かりやすいかもしれません。生徒と教師がキャンパスの中で寝食をともにしながら生活し、学んでいます。留学先は、イギリス、スイス、アメリカ、カナダ、ニュージーランド、オーストラリアが主流です」

●公立校留学 「公立校に留学生を積極的に受け入れているのは、ニュージーランド、オーストラリア、カナダです。オーストラリアやカナダは単身留学が中学生からに限られているケースが多いですが、ニュージーランドは10歳からビザが取得可能なので、小学生でも長期留学ができます。公立校だけに地元の子どもたちと一緒に学びますが、留学生用の語学補習クラスを設けている学校も多く、サポート体制は充実しています」

●親子留学 「親と子どもが一緒に留学する『親子留学』は、保護者ビザがあるオーストラリア、ニュージーランド、大自然と高水準の教育が提供されるカナダが安定した人気を保っています。長い方だと数年単位、短い場合でも1年ほどですね」

留学にかかる費用は ■公立校(航空券+ホームステイ+授業料+諸費用) 年間300万~400万円

■ボーディングスクール(航空券+寮費+授業料+諸費用) 年間400万~1000万円

■サマースクールなどの短期語学留学 2週間30万~80万円 公立校+ホームステイは私立のボーディングスクールよりも留学費用を抑えられます。金成さんが斡旋している留学案内の中でもっとも費用がかかるのはスイスのボーディングスクールで、1000万円台が見込まれるとのこと。 一方、2週間という短期だけあってサマースクール系は比較的リーズナブル。ホームステイなら30万~50万円台ですが、小学生の場合は管理がしっかりした寮制を選ぶご家庭が多いそう。寮滞在だと70万~80万円台がスタンダードになります。

海外留学には親の「覚悟」も大切 本格的に留学を検討するなら、まず何から始めるべきでしょうか。理想的なスケジュールを聞いてみましょう。 「親元から離れての生活です。いきなり長期留学は、子どもにとってハードルが高いかもしれません。私たちは、まずサマースクールなどでの短期留学を推奨しています。それは子ども自身だけではなく、親にとっても大切。いざ留学で出国してしまうと、寂しさや喪失感から頻繁に連絡を入れる親御さんもいらっしゃいます。それでは留学先での子どもの時間を奪ってしまうことにもなりかねません。どんと構えて送り出す。お子さんの適性、そして親御さんの“覚悟”を見極めるためにも、まずは短期でお試しされたほうがいいでしょう」 カナダ、アメリカなど北半球の国は新年度が9月からで、オーストラリアやニュージーランドなど南半球の国は新年度が2月から。日本の学校のスケジュールとは少々異なります。9月始業の場合、前年の9月から出願受け付けが始まるため、お試しのサマースクールを経て国や学校をセレクトし、同年の秋頃に出願するのが理想的なスケジューリングになりそうです。 「選考や面接のために渡航することは必須ではありません。Skypeでのネット面接もありますし、カナダやアメリカのボーディングスクールは選考を兼ねた説明会を日本で実施することも。各国の大使館や政府機関の留学フェアで情報収集をしてみるのもよいでしょう」

金成有理さん また当然ですが、留学期間中は日本の義務教育を受けられないため、自国の言語や歴史、文化を学ぶ機会が不足します。帰国後は、漢字に苦手意識を持ってしまう子どもが少なくないようです。そんな状況を避けるためにも、留学中に日本語の本や新聞を読んだり、通信教育を受けたりするなど、日本に関する学習を継続する努力も必要になります。 「せっかくの留学なので、現地では英語力の向上や文化交流に励み、一時帰国中に塾や家庭教師などで、集中して日本の教育を受けられるお子さんが多いです。公立の小学校ならば、短期間でも入学させてくれるケースもあるようなので、状況に合わせてお子さんにマッチした学習法を探すとよいですね」 金成さんがサポートしたお子さんの体験記を読むと、「自分で考え、行動する力が身についた」「英語へのモチベーションが上がって、帰国後の英語学習が楽しくなった」「外から見て、日本の良さ、自分の家庭の温かさが分かった」など、ほほえましくも頼もしい感想が並んでいました。金銭面やスケジュール調整など、さまざまなハードルはあるものの、海外留学が子どもたちにとって得難い体験になるはずです。 「英語や体験したものを吸収する力、素直に感じ取る感受性、外国人の中でなじんでいく柔軟性、すぐ行動に移せる勇気……。小学生だからこそ得られるもの、感じ取れるものはたくさんあります。可能性を広げられる選択肢の一つとして、考えてみてはいかがでしょうか?」 (撮影:辰根 東醐 編集:阿部 綾奈/ノオト) 話を伺った人:金成 有理さん 株式会社海外教育研究所 代表取締役 (かなり・ゆり) 海外教育コンサルタント。海外教育研究所の代表として小中高生、大学生・社会人の留学をサポートしている。高校時代のサマースクールをきっかけに、カナダの大学へ進学し国際関係学を専攻。帰国後は私立中高一貫校、英会話学校で教師、講師を務める。教職歴は10年。 佐々木 正孝 キッズファクトリー代表 〔2019年11/5(火) 朝日新聞EduA〕

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山田ルイ53世 6年間引きこもり、一発屋…悲喜こもごもの半生山田ルイ53世に聞いた子育て論「無理やりハードル上げないで」 「一発屋芸人」だとは、まだ娘に話していないという髭男爵の山田ルイ53世さん=大阪市内(撮影・鈴木雅之) 中世貴族の衣装にワイングラスを持ち、「ルネッサーンス」のフレーズで一世を風靡(ふうび)したお笑いコンビ「髭男爵(ひげだんしゃく)」の山田ルイ53世さん(44)。中学2年から不登校になり6年間にわたる引きこもり生活や、「一発屋芸人」としての悲喜こもごもの半生を本にまとめるなど文筆家としても活動の幅が広がっています。7歳と4カ月の姉妹の子育てや、子どものあやし方を尋ねました。(聞き手・井上 駿) -子育てのモットーは。 「子どもの一挙手一投足に全力でリアクションを取ることです。まばたき一つにも『おおっ』と大げさに返しています。芸人として、自分の芸に反応がないときの寂しさは熟知していますから。そんな殺伐とした空気感じゃなく、『あなたが何かをすれば、世界は反応するんだよ』とメッセージを送り続けています。おかげでとっても表情が豊かで、顔芸もできる。よく話すので、喉も仕上がってますよ」 「あと、引きこもっていた経験があるので、娘には社交的になってほしい。他人と暮らすことに苦痛を感じない人になってほしいですね」 -職業はお笑い芸人だと子どもにカミングアウトしていますか。 「伝えてはいませんが、長女はうすうす気付いています。『フレキシブルに働くサラリーマン』で通しています。最近は物書きの仕事が増えたので、そういう仕事だと思っているのかもしれません。芸人の仕事は恥じるものではありません。ただ、『一発屋』に含まれる苦味成分。この珍味みたいな味は、まだ娘には早いかなと思っています」 -どうやってあやしていますか。 「自分がおもちゃのない家庭に育ったので、いろいろ買ったんだけど駄目でした。芸人らしく徒手空拳で勝負。『んー』とお坊さんの読経のようにうなってみたり、『シュッ、シュッ』って言いながら体をさすってみたり。オリジナルのあやし方を考えるのは楽しかった。ピタッと娘が泣きやむのを見て、妻が『どうやったの』と驚く瞬間、『どうや、見たかっ』と、優越感に浸れますよ」

-引きこもりや芸人としての下積み経験は何か生きていますか。 「自分に限っていえば、引きこもった6年間は無駄だったと思っています。普通ってとてもレベルが高い。芸人で飯を食っていけるまで、自分は社会には属していなかった。だから、普通で立派。楽しく暮らしていってくれればいいと思います」 -子育て世代にエールを。 「子どもが生まれたらいきなり聖人君子になるわけではない。育児の愚痴はもっと吐き出していいはずです。ママ・パパタレントの育児話はしょせんエンターテインメント。無理やり上げた育児のハードルにすねをぶつけて、痛がる必要なんてないんです」      ◇     ◇ 【やまだ・るいごじゅうさんせい】本名・山田順三。1975年兵庫県三木市生まれ。同市立緑が丘小学校から六甲学院中に進むが、不登校に。愛媛大中退。99年に「髭男爵」結成。著書に「一発屋芸人列伝」。 〔2019年11/5(火) 神戸新聞NEXT〕

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JAMMIN×こどもソーシャルワークセンター 貧困・虐待・不登校の子どもを地域で支えるNPO 「JAMMIN×こどもソーシャルワークセンター」10/28~11/3の1週間限定販売のチャリティーTシャツ(税込3500円、700円のチャリティー込)。Tシャツのカラーは全11色、チャリティーアイテムはその他バッグやパーカー、スウェットも 虐待の末に幼い子どもが命を落としてしまうというかなしいニュースが後を絶ちません。「専門家が遠くから見守っているだけでは、つらい状況の中心にいる子どもたちに支援を届けられない。子どもを直接支援できる場が必要」と地域で子どもを支援するNPOが滋賀県大津市にあります。活動について、話を聞きました。(JAMMIN=山本 めぐみ) 「こどもソーシャルワークセンター」に通う高校生の女の子。絵を描くのが得意な彼女にタブレットを用意すると、虐待を受けて育った中で抱えてきた自分の思いをより自由に表現するようになった 子どもたちの夜の居場所「トワイライトステイ」 チャリティー専門ファッションブランド「JAMMIN」(京都)は、「こどもソーシャルワークセンター」と1週間限定でキャンペーンを実施し、オリジナルのチャリティーアイテムを販売します。「JAMMIN×こどもソーシャルワークセンター」コラボアイテムを買うごとに700円がチャリティーされ、生きづらさを抱えた子どもたち一人ひとりの人生を彩る「スペシャルな経験」のための資金になります。

滋賀県大津市を拠点に活動するNPO法人「こどもソーシャルワークセンター」を訪れたのは、まだ暑さの残る9月上旬。取材日はちょうど、週に二日開催している子どもたちの夜の居場所「トワイライトステイ」の日でした。 「トワイライトステイ」は、学校が終わってホッとできる時間であるはずの放課後から夜の間、保護者の病気や障がい、夜間就労などさまざまな背景から寂しさを感じている子どもたちを対象に、少人数(子ども2~3人、大人のスタッフはそれ以上であわせて5、6人の人数)で共に夜の時間を過ごすプログラムです。この日の利用者は中学生の男女の二人。「よかったら、お迎えに一緒に行きませんか」と代表の幸重忠孝(ゆきしげ・ただたか)さん(46)に誘っていただき、車に乗って15分ほどの利用者の男の子の自宅まで同行させていただきました。 「こどもソーシャルワークセンター」代表の幸重忠孝さん 小学生のころからセンターを利用しているという彼は、センターに来た当初は身なりが気になり、日によってはにおいが気になったり、ストレスからか髪の毛を抜いたり爪を噛んだりする癖があって、学校には行っても教室に入れないこともよくあったそうです。センターに通うようになってストレスは少しずつ減ってきたものの、中学に進学した後は次第に学校にも通わなくなってしまったということでした。 「子どもにとって学校に通うモチベーションは『勉強がわかる』か『友達がいる』の二つだと思います。だけど、しんどい家庭の子どもたちにはそのどちらも難しいというのが現実」と幸重さん。 「勉強に限らず、家庭で何かに落ち着いて取り組めるような環境がなかったり、様々な事情で身なりを整えることができず、季節を問わずいつも同じような服を着ていたりすると、やはり友達からも浮いてしまいがちです。特に勉強に関しては、一旦つまずいてしまうとどんどん置いてきぼりになって、授業中もちんぷんかんぷんになってしまう。次第に『学校に行く理由』が本人の中で見当たらなくなってしまうんですね」

幸重さんは家のベルを鳴らして男の子を迎えると、車に乗ってセンターに戻るまでの間、様子を見ながら彼に話しかけます。 「送り迎えは、唯一それぞれの子どもと二人になれる場所。自分にとっても貴重な時間なので、大切にしています」 「誰からも否定されない居場所」 来た道を戻り、センターへと戻ってきました。もう一人、この日の利用者の中学生の女の子がボランティアの女性と一緒に台所で晩御飯をつくるようです。餃子の皮を使ったミニピザが本日の献立。年の近い女性と楽しそうに話しながら準備をスタート。幸重さんも様子をのぞいてはワイワイと楽しそうです。 お迎えに同行させてもらった男の子は、以前「トワイライトステイ」に通っていた若者たちがゲームをしている冷房が効いた部屋に入り、ビーズクッションで突っ伏してずっと寝ていました。

「トワイライトステイ」にて。楽しそうにキッチンに立つ女の子。複雑な家庭背景から着るものがなく、過去には洋服の寄付を周囲に呼びかけたことも 「ここに来て何か『絶対これをしないといけない』ということはないんです。来てから帰るまでゆっくり寝てもいいし、話してもいいし、ゲームしたり好きなように過ごしてくれたらいい。ずっと寝ていると来ている意味がないと思われがちですが、家庭ではゆっくり寝ることができないからここで安心して寝ている可能性もあります。ひとときであっても、ここは誰からも否定されない、受け入れられていると感じられる居場所です」 「トワイライトステイ」では、夕食を済ませた後、近所の銭湯で一緒に汗を流し、心身ともにリラックスしてから21時に子どもたちを自宅まで送り届けます。自宅のような、ゆったりした時間が流れていて、「幸重さんのお宅に遊びに来た」ように感じるほどの家庭的な空間が印象的でした。

就労支援「ジョブキャッチ」の様子。「こちらは若者たちが黙々と取り組んでいるのが、寄付者にお渡しするギフトの羊毛フェルトでつくるストラップづくり。講演会に持って行くとあっという間になくなる人気ギフトです」(幸重さん) 「地域」で子どもたちを直接支援したい 「こどもソーシャルワークセンター」では「トワイライトステイ」だけでなく、不登校の子どもが日中を過ごす居場所や、学校卒業後、就労までの準備支援を行う中間就労、週一で開催している地域の人たちも気軽に参加できる子ども食堂など、子どもたち一人ひとりの状況にあわせて様々なサービスを提供しています。

「ネグレクト(育児放棄)と聞くと、親がわるいとか子どもを放ってひどいという批判になりがちです。しかし保護者の方も同じような環境の中で育っていたり、自身に病気を抱えていたり、ひとり親で仕事に追われていたりと様々な背景があります」と幸重さんは指摘します。 「昔は、学校や家庭がしんどかったりする子どもに『うちでご飯食べて行きぃな』『親が帰ってくるまでうちで待っとき』みたいなことが、ごく自然に地域にありました。それが今は無くなってしまった。無いなら、意図的に作っていくしかありません」 児童養護施設での体験 大学で福祉を学び、児童養護施設の職員として働いていた幸重さん。虐待や貧困のために家庭で暮らすことができない3~18歳の子どもたちが保護されて集団で暮らす施設で働きながら、悶々とした思いを抱えていたといいます。

「子どもの日々の食事とか学校で要るものとか、生活に必要なものはちゃんと施設で用意されます。生活を送ることはできるのですが、果たしてそれだけで子どもたちは本当に幸せなのか。職員として学校から帰宅した子どもたちと十分に関わりたい、いろんなことを体験させてあげたいという思いはあっても、特に夜になると10人ぐらいの子どもを一人で見なければならず、一人ひとりとゆっくり関わる時間を持つことができませんでした」 「子どもたちは構ってほしくて喧嘩を始めたり窓を割ったりして職員の気を引こうとします。対応に追われているうちに、また子どもとゆっくり関われないまま1日が終わる。そんなことが続いていました」 「職員も手一杯で、十分な愛情を注ぐことができない。保護されて施設で暮らすことが子どもの幸せかというと、必ずしもそうとはいえないのではないか。かといって、地域の方たちに『ぜひ施設に来て、子どもたちと関わってください』とお願いできるかというと、個人情報の問題などがあるのでそれも難しい。ジレンマを抱えていました」

夏休み、スペシャルプログラムとして、小学生はキャンプ、中学生は個別に旅行へ出かけたそう。「特別な体験のことは何年たっても忘れずに、つらいことがあっても生きる糧になります」(幸重さん) 自身の幼少期の体験から、地域に「自分で居られる場所」があることの大切さを痛感していた幸重さん。 「支援する・されるという壁を乗り越えて、ここにいたら安心するとか、自分を肯定できるとか、そういう場が近く(地域)にあれば、僕もそうだったように、本人たちのしんどさも少し変わってくるのではないかと思います」 「学校も行政も、担任の先生は変わるし、担当者も変わる。でも、地域の人たちはそんなに大きくは変わらない。また、どんなに困難な背景を抱えていても、子どもは皆それぞれ得意なことを持っているので、その得意なことで地域の人たちと関わっていってくれたらと思っています」 専門性を乗り越えて 幸重さんは児童養護施設の職員を経て大学で教員として福祉を教えた後、現在はスクールワーカーとして働きながらNPOを運営しています。 「僕はずっとこの子ども家庭福祉の世界で生きてきましたが、専門家の自分が言うのも何ですが、子どもと関わる時には、専門性を乗り越えて『不器用に関わる』方が良いのではないかと思っています」と幸重さん。 「専門的に関われば関わるほど、子ども自身ではなく家庭や学校課題、本人の発達特性にばかり目がいきます。子どもたち自身はまわりの大人に課題を見て欲しいのではなく、自分を見て欲しいはずだからです」 「子どもたちが自分なりに一生懸命やれることを安心できる大人たちが直接見守って、それでもどうにもできないような部分や瞬間に介入する時こそ、専門家であるソーシャルワーカーとしての出番だと思っています」 「その子がその子らしく、自分の力を発揮しながら生きていけるよう最善のサポートを受けられるようにすることが、国の制度や法律的な部分も熟知した専門家として僕の役割。できないことやできていないことを『できない』とあきらめるのではなく、調整し新たな活動をつくりそれを社会に広げることで、子どもたちが力を発揮できるようにしていきたい」 〔2019年10/28(月) オルタナ〕


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親亡き後のひきこもりを救う「追納」「全額免除」制度 32歳ひきこもり長男を無年金の危機から救う「追納」「全額免除」制度 公的年金に関する情報共有をしよう 親亡き後、ひきこもりのお子さんの収入は主に公的年金(国民年金)になります。しかし、大切な収入源であるにもかかわらず、ご家族の話を聞くと「子どもの国民年金がどうなっているのかよく分かっていません」と曖昧にしているケースも見受けられます。「国民年金の加入状況は」「将来いくらもらえそうか」といったことは親子でしっかりと情報共有し、より有利な制度があれば早めに切り替えの手続きをすることが大切です。 納付猶予のままだともらえない 筆者は全国でひきこもりのお子さんを抱える家族や支援者を対象に、お子さんのお金や生活設計について講演する仕事もしています。ある講演が終わった後、50代くらいの女性から声をかけられました。「長男の国民年金について相談をしたい」ということだったので、後日面談をすることになりました。相談者の家族構成は次の通りです。

・母  59歳 パート  ・長男 32歳 無職(ひきこもり) ・父は1年前に死亡 ・現在は母子の2人暮らし。遺族年金と母のパート収入で生計を立てている

長男は10代の頃、学校での友人関係がうまくいかず不登校になってしまいました。その後も社会との接点をあまり持つことなく、ひきこもり状態が続きました。20歳になったとき、自分でいろいろと調べた後、市役所で国民年金の手続きをしてきたそうです。母が尋ねると「支払いは心配しないで。何とかしてきたから大丈夫」と返事しました。モヤモヤしつつも、それ以上は尋ねなかったそうです。筆者は母親に聞きました。 「当時、ご長男はどのような手続きをされたのでしょうか?」 「実は、納付猶予の手続きをしていたのです。先日の講演を聞いてドキっとしましたが、納付猶予の場合、長男は老齢基礎年金(国民年金)をもらえないんですよね?」 「その通りです。納付猶予の手続きをして認められた場合、国民年金の保険料は支払わなくてよくなります。つまり、毎月の支払いは0円になります。納付猶予であれば未納扱いにならないので、催告状が届いたり財産を差し押さえられたりすることはありませんが、一方で将来もらえる老齢基礎年金も0円です」 老齢基礎年金を増やすには このまま納付猶予を続けている限り、長男は老齢基礎年金を一円ももらえません。そこで、筆者は追納制度を説明しました。 「追納とは、納付猶予や免除をしていた期間のうち10年前までであれば、さかのぼって保険料を支払うことで老齢基礎年金がもらえる制度のことをいいます」 母親は疑問を口にしました。 「10年すべての期間分を支払わなければいけないのでしょうか?」 「そんなことはありません。1カ月分や半年分など希望する月数分だけ追納できます。ただし、追納できる期間は10年前までです。例えば、現在が2019年11月だとしたら2009年11月分から追納していくことになります。逆にいうと2009年10月以前の期間は時効により追納できません」 「分かりました。実際どのくらいの金額を支払って、年金はいくらもらえるようになるのでしょうか?」 「2009年度の追納保険料は1カ月あたり1万5280円です。追納保険料は年度によって異なるので、詳しくは日本年金機構のホームページで確認してください。とりあえず追納期間を3年、5年、10年とした場合で比較してみましょう」 筆者は概算した表を作成し、母親に示しました。表を見た母親の表情は曇っていました。 「結構お金を払うのに、年金はそんなに増えないんですね。払い損になりそうな気もするし、追納した方がよいのかどうか悩んでしまいます…」 「追納保険料は1カ月あたり1万6000円前後です。支払った保険料を年金で回収しようとすると約10年かかります。65歳からとすると65歳+10年=75歳なので、75歳でトントンになるといえます。男性の平均余命は82歳くらいですから、必ずしも払い損になるとは言い切れません。あとは家計の状況と照らし合わせながら、追納するかどうかを決めてください」 「分かりました。約10年で元が取れる計算なんですね。それならば、できるだけ追納をしてみようと思います」 母親はそう答えました。 追納以外にも方法がある 追納以外にも気になる点があったので、母親に尋ねました。 「ご主人が亡くなった後、ご長男は現在も納付猶予を続けているのでしょうか?」 「はい。今も納付猶予のままだと思います」 「仮に、ご長男が全額免除の条件に該当すれば支払保険料は0円になり、老齢基礎年金は通常の納付をした場合の半分がもらえます。つまり、納付猶予よりも全額免除の方が断然有利ということです。もちろん、全額免除に該当するかどうかはご家族の所得審査があるので必ず認められるものではありません。しかし、ご主人が亡くなった後の家計の状況からすると、全額免除に該当する可能性が高いと思われます」 筆者は、全額免除と追納を併用した表を作成しました。 「納付猶予から全額免除に切り替えることで、ご長男の老齢基礎年金は増えていきます。仮に追納しなかった場合でも月額約3万円はもらえそうです。追納の相談は年金事務所で受け付けていますので、そこで追納と全額免除の相談を一緒にしてしまいましょう。なお、全額免除の手続きにも時効がありますので早めに行動してくださいね」 「いろいろと助言をしていただき、どうもありがとうございました。さっそく年金事務所へ相談に行こうと思います」 やっと母親は笑顔を見せました。 ひきこもりのお子さんを抱えるご家族から、「年金制度は複雑なのでよく分からない」と聞くことがあります。しかし、よく分からないからと放っておいても何もよいことはありません。「お子さんにとって最もよい選択肢は何なのか」。ご家族だけで判断することが難しい場合、専門家も交えて検討していく必要があるかもしれません。 社会保険労務士・ファイナンシャルプランナー 浜田裕也 〔2019年10/30(水) オトナンサー〕


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YouTuberと小学生 YouTuberに影響されるイマドキ小学生…小学生の子をもつ親、複雑化する悩みとは 時代の流れによって子育ての悩みというものは変化します。今は小学生でも自分専用のスマートフォン(スマホ)を持っている子どもが多く、そこから生まれるトラブルも増えています。 2019年2月には柴山文部科学省が「小中学校はスマホの持ち込みを原則禁止」という指針を見直す方針を明らかにしています。今後ますますスマホと子どもの関わり方について、親は考えていかなければならないかもしれません。 また、学校に通わないというスタイルを選択する子どもも増えており、昔に比べてフリースクールも充実してきています。 簡単に解決することが難しいほど複雑化している状況に、思わず頭が痛いと親が感じてしまう場面も多いのではないでしょうか。今、小学生を育てている親が抱えやすい悩みをご紹介します。 SNSを利用した陰湿ないじめが蔓延している 昔からいじめというものは存在していますが、近年のいじめは陰湿なものが多いです。今どきの小学生はスマホを使いこなしており、そのため、とくにSNSを使ってひどい言葉を送りつけるようないじめが目立っています。SNSにすぐに返信しないことがあったなど、SNSを利用しなければ起こらなかったようなことがいじめの理由になっており、多くの親が悩んでいます。 SNSによるいじめの場合、子ども自身が打ち明けてくれないと、親も担任も気づきにくい傾向にあります。また、口で言葉を発するよりもSNSで言葉を送信する方が手軽なこともあり、いじめている側も深く考えずにひどい言葉を何度も送ってしまいがちです。 ただ、このようないじめを避けようと、スマホを子どもから奪えば解決するかと言うとそういう簡単な問題でもありません。 それよりも、常日頃から両親が子どもにとって気軽に頼れる存在になってあげられるよう、信頼関係を築いておくことがとても重要なのです。もちろん「スマホの使い方」「SNSのマナー」など、予め親が教えてあげることも重要といえます。 学校に行かないことを選択する小学生が増えてきている 最近は、子どもがYouTuberの影響を大きく受けています。不登校の小学生で注目を浴びたYouTuberをご存知ですか。彼は「先生が指示する通りに動くなんて、ロボットみたい。人生は冒険なんだし、不登校は不幸なことじゃない。むしろ、嫌だ嫌だと思いながら学校に通っている子どもの方が不幸だ」と言ったことで、メディアも大きく取り上げました。 例えばアメリカやカナダなどの海外では、ホームスクーリングが合法になっており、自宅で勉強を進めることができます。また、日本でも分からないことがあればインターネットで検索をして答えを知ることも可能です。今では不登校の子ども達に対しての理解も社会で広がっており、フリースクールも充実しています。だからこそ「どうして学校に行く必要があるの?」と子どもに聞かれたら、なんと答えればいいのでしょうか。この質問にうまく回答しようと考えるだけで頭が痛いという親も多いはずです。 ただ親の考えを押し付けるだけでは、子どもは納得できません。子ども自らが、学校に通うことで得られることがたくさんあると納得できなければ、意味がないのです。親としてどういうかたちで子どもに自問自答を促すか、両親で子どもの学校教育について話す機会をもっておくようにしましょう。 今どきの小学生はとってもおしゃれに敏感 一昔前は子ども向けのファッション雑誌などありませんでしたが、今ではこのような雑誌のコーディネートを参考にファッションを楽しむ小学生が増えています。 週末だけのおしゃれであればまだいいのですが、制服がない小学校の場合は、毎日おしゃれをして登校したいと主張する子どももいるようです。もちろん学校に行く時は派手なおしゃれは良くないことです。けれど、雑誌に載っている同年代が着ているから着たいという気持ちを子どもたちは抱いてしまうのです。 もしも子どもが派手なファッションを選び始めた時は、TPOをわきまえることを教えるいい機会だと思って、子どもと向き合ってみましょう。露出した服は犯罪に巻き込まれやすい、どうして学校には派手な服装で行くべきではないのかなど、きちんと伝えるべきです。子どもに伝える内容を考えることは親にとって頭が痛い問題ですが、重要なことなので、よく話し合って意見をまとめておきましょう。 小学生はすべてを理解して主張しているわけではない 自分の頃を振り返ってみても、小学生の頃というのは「○○ちゃんがやっているから、やりたい!」という周りが基準で物事を決めてしまうことが多いものです。それを許可するかしないかは親に委ねられています。けれど、子どもは子どもで、自分の意志を貫こうと説得してくることもあるでしょう。 そのような時、親としてどのような考えを伝えるのか、これはよく話し合って決めておきたいですね。現代はさまざまな情報が小学生にまで届くので、悩みを抱える親も多いですが、親としてしっかりとした意見をもち乗り越えていきましょう。 【参考】 「学校へスマホ持ち込み禁止の指針、文科省が見直しへ」朝日新聞デジタル LIMO編集部 〔2019年10/22(火) LIMO〕

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私立校のいじめ対応に不満 私立校のいじめ対応に不満、どうすれば? 指導機関なく「治外法権」との声も 「私立高でいじめに遭い、学校の対応に納得がいかない」「私立学校の場合は教育委員会のような学校を指導してくれる機関がなく、治外法権だ」-。そんな悩みが京都新聞社の双方向型報道「読者に応える」に寄せられた。私立校でトラブルに遭った時、どこに相談すればよいのか調べた。 「学校に保護者や生徒の不満を伝えることはできるが、指導する権限まではない」。京都府文教課が説明した。 同課は私立学校に関することを所管する。ただ、学校を指導する権限は設置者にあり、公立校なら教育委員会、私立校の場合は学校法人にある。同課は私立学校法に基づく違反があれば指導するが、いじめなど生徒間の問題については解決に向け、話し合いを促す程度しかできないという。 「ただ、『京都府いじめ防止基本方針』に沿った対応は公立も私立もしてもらう」と担当者。同方針は2013年のいじめ防止対策推進法の施行を受けて定められ、学校に組織的かつ迅速な対応を求めている。さらに被害者が30日以上欠席するなどの重大事態が発生した場合は、組織を設けて調査し、結果を知事に報告することを義務付けている。被害を受けた生徒が納得できない場合は、「府いじめ調査委員会」に再調査を求めることもできる。 文教課は「同方針では、いじめ解消の定義を『被害を受けた児童生徒が心身の苦痛を感じていないこと』としている。謝罪だけでない誠実な対応をしてほしい」と各校に求めた。 行政機関以外では、府私立中学高等学校連合会が開設する府私学修学支援相談センター(京都市下京区)が、いじめなどに対応する。カウンセリングや不登校の子どもへの学習支援などを行っており、担当者は「何気ない先生の言葉に傷つくこともある。中立的に学校と生徒・保護者の間に入り、生徒が学校に戻れるようにしたい」とする。 他には、京都弁護士会も「子どもの権利110番」でいじめや学校との関係などの相談に応じている。毎週金曜日に無料で電話か来所で相談に乗っている。同弁護士会に所属し、子どもの人権に詳しい安保千秋弁護士は「私立校の場合、教育委員会のような指導がないため対応が遅い学校も中にはある。コースによっては生徒数が少なくトラブルも起きやすい」と指摘。「いじめをどう教育力で解決するかで学校の真価が問われる。被害を受けた生徒が不満に思う点を整理し、相互不信をなくす姿勢が必要だ」と強調する。 ただ、悩みを寄せた保護者はこれらの機関に相談したが根本的な解決には至らず、生徒は退学、転校したという。学校側にも取材を申し込んだが「個人情報は話せない」と応じてもらえなかった。母親は「私立校は相談機関はあっても、指導してくれる機関がない。このことを多くの人に知ってもらいたい。指導できる機関ができてほしい」と訴えた。 〔2019年10/23(水) 京都新聞〕

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漫才師「キラーコンテンツ」 引きこもり〈中〉「救済」から「生きる支援」へ 障壁なくし、良き隣人に 引きこもりは日常の姿の一つに過ぎません。「引きこもり」と認識されたからといって、固有の支援策があるわけでもありません。また、引きこもり状態から脱しても、生きづらさを抱える人はたくさんいます。人と人が出会う場や、困ったときにSOSを出しやすい雰囲気をつくることは引きこもりの人に限らず、誰にとっても大切です。そうした営みは、そもそも福祉の活動に溶け込んでいます。  「引きこもりは私にとって、ストレスの少ない居場所でした」。一般社団法人漫才協会所属の漫才師「キラーコンテンツ」の長谷川崇さん(35)は8月31日、横浜市旭区主催の講演会で語った。 生活困窮者自立支援制度を、若い世代にも知ってもらうのが狙いだ。同区生活支援課の担当者が、いじめ、不登校、引きこもりを経験した長谷川さんと、相方・和出仁さん(44)の魅力に目をつけた。 漫才で約300人の会場を沸かせた後、生い立ちを語る長谷川さん。2歳で母を亡くし、仕事で多忙な父と話すことも少なかった。祖父母と一緒に暮らすものの「いつも孤独だった」と振り返る。 高校は中退。お笑い芸人養成所で出会った和出さんが、父親代わりになって遊びに付き合ってくれた。 社会福祉協議会で働いたこともある和出さんは、長谷川さんについて「笑いのセンスは抜群だが、社会性を身に着けさせるのに7年かかった」と明かす。 同区の担当者は言う。「家族ではない和出さんのような第三者がかかわることが大切だ。ゴールの見えない相談が多いが、相談しやすい環境をつくりたくてお二人に来てもらった」。            ◇ 2015年度に始まった生活困窮者自立支援制度は、引きこもりもその対象とする。「困窮者の自立支援だけでなく、困ったときに助け合える地域をつくることも狙い」(キラーコンテンツと対談した新保美香・明治学院大教授)だ。 キラーコンテンツはその地域づくりにもひと肌脱ぐ。横浜市鶴見区内で18年1月から12月まで計12回、住民向けの連続講座「ひきこもるということ」で講師を務めた。 主催は東寺尾地域ケアプラザ。地域包括支援センターや通所介護事業所などがある複合施設だ。高齢者介護施設と思われがちだが、子育て、障害福祉など生活課題全般に関係した講座を開く地域交流部門も持つ。 横浜市独自の仕組みで、人や情報が集まりやすい。地域交流の担当者は「引きこもりの人がいるという情報はよく寄せられる。地域でできることを考えるきっかけとして、漫才がいいのではと考えた」と明かす。 狙いは当たった。講座の一部は動画投稿サイト「ユーチューブ」にアップされた。参加者は回を追うごとに増え、旭区をはじめ横浜市内にその評判が広がった。 今年度は中高年の引きこもりについて、行政や社協の職員、青少年支援のNPO団体代表らによる情報交換会を開催。民生委員の参加も増え、事例をもとにしたグループワークも行った。 参加した民生委員の一人(59)は引きこもりについて「本人の気持ちに寄り添うことが大事であり、こちらが助けようと力まない方がいいと分かった。民生委員は実態を知るべきだ」と話す。            ◇ こうした活動は地味で成果が見えにくいが、引きこもりの相談室「ヒューマン・スタジオ」(神奈川県藤沢市)の丸山康彦代表は高く評価する。 「引きこもりの人のQOL(生活の質)を上げるには、いろいろな立場の人がかかわることが大切だ。それなしに引きこもり問題は解決しない」。 例えば、引きこもりの人が「歯が痛い」「髪を切りたい」と思っても、医者や美容師との世間話、雑談が怖くて我慢する例では、「世間話をしなくて済む場をつくるのも大切な支援だ」という。 引きこもり状態から「救済」する専門家ではなく、当事者の「人となり」をよく知り、良き隣人となる――。そうした緩いかかわりは、地域福祉の真骨頂だ。 それでも、忍び寄る超高齢化社会には難題が待ち受ける。セルフネグレクト(自己放任)である。

福祉のハードル下げて 引きこもりが社会問題として改めて注目されている。引きこもりの原因が家庭内にないとは言わないが、この機会に社会構造にも目を向けたい。 若者の自殺率の高さ、高齢者の孤独死などを見ても、今の日本には生きづらさが蔓延している。大げさな言い方をすれば戦後の歩みをきちんと総括しないといけない。 私の娘が不登校だった30年前、不登校の小中学生は7万人前後だった。いま、30年前に比べて子どもの数が減っているのに不登校は14万人に増えている。不登校は子ども本人やその家庭の問題だ、という分析では不十分だろう。 もう一つ強調したいのは、福祉が特別なものであってはならないということだ。福祉サービスを利用するときのハードルはまだまだ高い。世間体を気にする私たちの意識は簡単には拭えない。そうした意識のもとで引きこもりから脱け出し、働いたものの再び傷ついた人を私はたくさん見てきた。スティグマの伴う救貧的な福祉ではなく、すべての人に基本的な衣食住を保障する福祉を目指したい。 ・・・・・・・・・・・・・・ いとう・まさとし 1952年、山形県出身。同県米沢市で就労継続支援B型事業所などを運営するNPO法人から・ころセンター代表。2016年6月、NPO法人KHJ全国ひきこもり家族会連合会共同代表に就任。 〔2019年10/23(水) 福祉新聞〕

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ミュージカル「ジーザス・クライスト・スーパースター」 不登校、引きこもり経験者 「ミュージカル」という目標へ 12月公演 ◆12月公演へ参加者募集 不登校や引きこもりなどの経験がある若者たちが、イエス・キリストの最後の7日間を描いたミュージカル「ジーザス・クライスト・スーパースター」を演じるため、稽古に励んでいる。居場所となり、達成感を持つことを目的に、12月20、21日に一般向けの無料公演を行う予定で、出演者や裏方で参加したい若者も募集している。 ミュージカルは、若者の居場所づくりや就業支援を行うK2インターナショナルグループ(横浜市磯子区)のNPO法人「ヒューマンフェローシップ」が企画した。 不登校や引きこもりの人が居場所などに通えるようになる意義は大きい。だが、“その後”の目標がイメージしづらいという課題があるという。同法人代表理事の岩本真実さんは「一人一人が役割を持ち、力を合わせて発表することで達成感を得られれば」と公演の目的を話す。 9月末に同区のスタジオで行われた練習には、ミュージカルに参加する若者約15人が集まった。多くは不登校や引きこもりの経験者だ。講師でダンサーの、おどるなつこさんの指導で体をほぐしながら自己紹介したり、歌に合わせてステップを踏んだり、楽しそうに体を動かした。同区の男性(19)は「引きこもっていた間は体が動かなかったが、最近は柔らかくなってきた」。熱心にダンスに取り組んでいた男性(21)は「活動することで生まれるコミュニケーションが楽しい。舞台を成功させたい」と意気込む。 公演で発表するのは3曲程度を予定し、歌やダンスの経験は不問。練習は週1~2回あるが、公演までに1回でも参加すれば当日の舞台に立てる。練習ではじっと座っているだけの人もいて、スタジオが居場所にもなっている。「そういう場を求める人、何か面白いことをしてみたい人に加わってほしい」と岩本さん。「この経験が本人にとって本当に必要なサポートや、進学、就職など目的を見つけるきっかけになればいい」と期待する。 同法人では、ミュージカルの参加者を募集している。原則中学生から25歳ぐらいまでで、12月20、21日の公演に参加できることが条件。問い合わせは、同法人事務局電話045(762)1435。 〔2019年10/23(水) カナロコ by 神奈川新聞〕

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石井光太が考える「貧困問題」 川崎中1男子生徒殺害事件はなぜ起きたのか――石井光太が考える「貧困問題」の本当の問題点 ©杉山秀樹/文藝春秋 日本の7人に1人が貧困層の今、貧困問題は決して個別の事象でもなければ自己責任でもなく、少年犯罪、虐待、売春、精神疾患、薬物依存と密接につながっている。新著『 本当の貧困の話をしよう 未来を変える方程式 』を上梓したノンフィクション作家の石井光太氏が、「忠生中学生徒刺傷事件」から「足立区ウサギ用ケージ監禁虐待死事件」まで、数々の凶悪事件から貧困問題の本質を浮き彫りにする。(全2回の1回目/ #2 へ続く)       ◆ ◆ ◆ 等価可処分所得が1人世帯で122万円以下の層 ――日本は7人に1人が貧困層に該当し、実際の生活はかなり苦しい家庭が相当数あるにも関わらず、社会のなかで可視化されにくい気がします。 石井 いま日本で問題になっているのは、「相対的貧困」の人々、具体的には等価可処分所得が1人世帯で122万円未満の層です。途上国のストリートチルドレンのような、見た目がもうボロボロの服で今日明日の食事にも事欠くような絶対的貧困ではないので、一見わかりにくい。でも実際には、日々ろくな食事を食べさせてもらっていない子供や、自分の親の年金で生活費をまかなっている50、60代、貧困ビジネスで食い物にされる生活保護受給者といった貧困層が2000万人近くいるわけです。 「お金」や「場所」を用意するだけでは貧困問題を解決できない  その何が一番問題かというと、貧困が生み出す「自己否定感」です。たとえば生活保護を受ければ、最低限の住まいはあって確かに餓死はしないでしょう。でも親も子供たちも「社会のお荷物だ」「世間に顔向けできない」といった疎外感をもちやすく、自己否定感を抱いてしまう。長年そういう精神状態でいると、自分の人生に対して希望を持てずに自暴自棄になり、犯罪、虐待、売春、薬物依存などの問題と結びつきやすくなります。 生活保護予算はすでに3兆円を超え、国も各自治体も膨大なお金をかけてさまざまな施策を打ち出していますが、この自己否定感の問題に目を向けて一人ひとりの中に「自己肯定感」が生まれるような支援でないと、いくらお金を出し、ただ場所を用意したところで問題の抜本的解決にはなりません。単に支援センターみたいな箱だけあって、「ここに来なよ」「支援者もいますよ」といわれても、とくに未成年者にとっては関わりづらいものがあります。

――メンタルの部分に踏み込んだ福祉政策でないと、せっかくの支援があまり功を奏さないということでしょうか。 石井 その通りです。自己否定感を持った子は、学校にも部活にも家庭にも居場所がありません。そういう子は地域コミュニティの中で自分の役割をきちんと持ててこそ、はじめてアイデンティティができて、そこが自分の居場所になってきます。金銭と箱だけでは貧困問題を解決できないんです。 じつは、川崎中1男子生徒殺害事件を取材して分かったのは、被害者の上村遼太くんも加害者の少年たちもみんな、地元のNPOや児童福祉施設と何度かつながっていたのに、全員そこからこぼれ落ちてしまっていたことです。遼太くんのケースでいうと、家庭内暴力が原因で離婚したお母さんは5人の子供を抱えて生活保護を受けていましたが、そこにお母さんの新しい彼氏が家に住み始めるんです。そんな複雑な環境ゆえ思春期の中学1年生にとって家に居場所はなかった。加害者側のある少年はフィリピン人ハーフで、お父さんは蒸発していないし、パブで働くお母さんは日本語が話せず子供をネグレクトし、家では妹と二人で食事もままならない極貧家庭でした。学校ではいじめられて不登校になり、結果、行き場がなくなって不良グループで集まるようになっていった。そして些細な勘違いから、43回もカッターナイフで切り刻まれたあの悲惨な事件が起きたわけですが、福祉制度との接点はあったにもかかわらず、自己否定感から始まった負の連鎖がセーフティーネットを食い破ってしまった。 弱肉強食の「孤児の時代」 ――この問題を論じるうえで、本書では戦後の児童福祉政策のあり方を4つの時代にわけて論じていたのが新鮮でした。戦後~60年代「孤児の時代」、70年代~80年代「校内暴力の時代」、90年代「いじめの時代」、2000年代以降「虐待の時代」です。

石井 時代の流れを俯瞰してみると、根っこの問題を解決しないまま対症療法で押さえつけても、時代によって問題の表出の仕方が変わるだけだということが見えてきます。まず「孤児の時代」から考えていきましょう。戦後、街に浮浪児が溢れかえりましたが、彼らはいわゆる戦災孤児と、戦争で精神を病んでしまった親に捨てられた家出少年たちで構成されていました。その最大のたまり場は上野で、12歳以下を中心とした浮浪児が靴磨きや闇市の手伝いなどで食いつないでおり、逆に13歳以上の子供たちは、農家の深刻な人手不足を背景に人買いによる人身売買の対象にされた。社会全体が混乱していた時期で、物理的に食べ物も生活に必要な物資も大きく不足し、1948年には日本で初めて児童福祉法が施行されますが、当然国の手当は追いつきませんでした。

子供たちは怒りの表出先をどこに向けるかというより、日々生きるだけで精一杯の弱肉強食の世界でした。統計をみると明らかですが1950年代に入って自殺者数が急激に増えていくんですね。路上での野垂れ死や餓死、凍死も多く、精神的に耐えられなくなった人たちから自殺していく。かつて上野の浮浪児だったヤクザの組長に取材したことがあるんですが、当時はみんなお腹をすかせて犬も食料にしているような状態。あるとき隅田川を歩いていたら仲間がひとり「もう疲れたよ」ってつぶやいて、ドボンと隅田川に飛び込んで自殺してしまったそうです。生き延びたその組長は戦後73年たって、その同じ川に飛び込んで自殺するんですね……。 生き残るというのが運だった時代。浮浪児だけでなくパンパンや傷痍軍人のような社会に捨てられた棄民が相当数いた。彼らは棄民たち同士で助け合い、それこそヤクザに助けられて生き延びた子供たちもいた。生きるのに必死すぎてそこには尊厳もクソもなかったというのが彼らの本音で、日本が絶対的貧困だった時代です。 「忠生中学生徒刺傷事件」にみる「校内暴力の時代」 ――それが60年代の高度経済成長を経て、70年代には「校内暴力の時代」になったのはなぜでしょうか。

石井 まず高度経済成長期に核家族化が進んで、地方から都心部へ多数の人口が流入しました。いままでだったら地方コミュニティのなかで家庭に問題が起きたら親戚や地域の人に助けを求めやすかったのが、問題を家庭内で抱え込みやすくなった。大量生産・大量消費社会の出現を背景に、家を買うのにローンを組む人が増え、クレジットカードが普及し、消費者金融が拡大していったのもこの時期です。日本の企業が世界に進出して国内の景気がよくなる反面、この時期、サラ金よって家族が離散したり、成長の恩恵にあずかれない家庭の格差はどんどん拡大していきました。 この頃は、核家族に対する理解と支援がなかったうえに、当時の様子を学校の先生たちに聞くと、「闇金」の横行で一回借金したら雪だるま式に返せない額に膨らんで、親が「蒸発」してしまう家庭もけっこうあった。児童養護施設に引き取られた子供たちの多くは経済的な問題を抱えた家庭でしたし、差別などもあからさまな形でありました。つまり、社会によ って貧困家庭が押しつぶされている構図が明らかだったのです。

そこで、「社会が家庭を壊したんだ」と大人が支配する社会に不満を抱いた高度経済成長期の子供たちは、中学生・高校生になった70年代に校内暴力という形で抱えていたフラストレーションを爆発させます。先生に対する暴力行為や生徒同士の血を流すような喧嘩、学校の窓ガラスをわってバイクで走り回るような不良行為が日常茶飯事。80年代放送のドラマ『スクール・ウォーズ』の世界なわけですが、TVだと熱血教師がみんなを押さえつけていたのが現実にはむしろ先生たちのほうが痛めつけられていた。 「教師と生徒が逆転」の衝撃 象徴的なのが83年の「忠生中学生徒刺傷事件」です。町田の中学につとめる30代の男性教師が自衛のために果物ナイフを持ち歩いていたのが、ある日生徒に襲われて反撃して、ケガを負わせてしまった。世間はびっくりしたわけですね、いままで教師が生徒を押さえつけていると思っていたのが完全に逆転している。最初は教師を批判するトーンだったのが、よく見れば校内暴力は深刻化していて、街中に暴走族も溢れかえっている。事件は大々的にメディアで報じられ、国は全国の校内暴力の沈静化に本腰をいれて、学校に警官を派遣して非行少年を取り締まったり、暴走族を一網打尽にして少年院に送り込むようになりました。あの頃「警察24時」ものの番組でもよく、暴走族壊滅作戦などに密着していたでしょう。

――ありましたね。爆音鳴らして走行する暴走族集団vs県警パトカーみたいな。 石井 不良グループも暴走族もそうですが、当時の不良児は「組織化」されていました。貧困家庭でグレてしまった子とか、虐待家庭で育った子とか、いまでいう発達障害の子とかが、不良の縦社会のなかで殴られながらもついていって、仲間とともに社会に怒りをぶつけ、大人の社会にたいして復讐をしていた。でも警察が本格的に介入するにしたがって、80年代後半からバブル期の幕開けとともに徐々に校内暴力が減っていきます。「24時間戦えますか」のCMに代表されるように、この頃はとにかく猛烈に働く企業戦士が多く、父親は休日もゴルフだ接待だと仕事でつぶれ、子供を十分にかえりみない家庭も多かったでしょう。家庭という問題の根っこは変わらないまま、ガス抜きだった校内暴力という「穴」に強引にコンクリートを流し込んで詰めたら、今度は別の穴が開いただけでした。

石井光太(いしい・こうた) 1977年東京生まれ。作家。国内外の貧困、災害、事件などをテーマに取材・執筆活動をおこなう。著書に『物乞う仏陀』『神の棄てた裸体 イスラームの夜を歩く』『遺体 震災、津波の果てに』『「鬼畜」の家 わが子を殺す親たち』『浮浪児1945- 戦争が生んだ子供たち』『原爆 広島を復興させた人びと』『43回の殺意 川崎中1男子生徒殺害事件の深層』『漂流児童 福祉施設の最前線をゆく』『虐待された少年はなぜ、事件を起こしたのか』など多数。 Amazonで購入する 3歳男児が窒息死 “足立区ウサギ用ケージ監禁虐待死事件”の両親は次々と子供をつくっていった へ続く 石井 光太 〔2019年9/28(土) 文春オンライン〕

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石井光太が考える「貧困問題」 3歳男児が窒息死 “足立区ウサギ用ケージ監禁虐待死事件”の両親は次々と子供をつくっていった 石井光太氏 ©杉山秀樹/文藝春秋 川崎中1男子生徒殺害事件はなぜ起きたのか――石井光太が考える「貧困問題」の本当の問題点 から続く 日本の7人に1人が貧困層の今、貧困問題は決して個別の事象でもなければ自己責任でもなく、少年犯罪、虐待、売春、精神疾患、薬物依存と密接につながっている。新著『 本当の貧困の話をしよう 未来を変える方程式 』を上梓したノンフィクション作家の石井光太氏が、「忠生中学生徒刺殺事件」から「足立区ウサギ用ケージ監禁虐待死事件」まで、数々の凶悪事件から貧困問題の本質を浮き彫りにする。(全2回の2回目/ #1 より続く)      ◆ ◆ ◆ 「山形マット死事件」「旭川女子中学生集団暴行事件」…… ――90年代の「いじめの時代」に移行したわけですね。 石井 学校での表向きの暴力が力で押さえつけられたら、今度は大人の目の届かないところで陰湿ないじめが起きるようになっていきました。暴力は不可視化され、陰湿なものになっていった。教育環境が落ち着いたと思っていた大人たちは、いじめによる死を突然突きつけられ、混乱しました。「葬式ごっこ」で男子中学生が自殺に追い込まれた80年代後半の「中野富士見中学いじめ自殺事件」を先駆けに、90年代には「山形マット死事件」「旭川女子中学生集団暴行事件」など陰湿きわまりない事件が起きていきました。体育館のマットで逆さにぐるぐる巻きにされて男子生徒が窒息死した山形の事件では7人の子が加担し、旭川の事件では男子生徒10人が性的暴行を加え、うち1人がレイプしています。力の強い不良同士の暴力ではなく、普通の子が普通の子を集団でいじめる構図のなか凄惨な事件が起きました。

個人的な体験でよく覚えているのは、僕が中学のときクラスに知的障害の女の子がいて、お父さんに性的虐待をされて母子で東京に逃げてきたんですが、見た目が汚いし、「私、お父さんとセックスした」とか周りに言ってしまうわけです。すると男子生徒がおっぱいやお尻を触ったりしていじめる。いまなら軽い知的障害や発達障害の子は専門的な支援が受けられますが、当時は「普通の子」と同じように扱われていましたから、ケアの対象にならず、陰湿ないじめのターゲットにされたことも多かったと思います。

国はさまざまな事件を受けて全国的ないじめ防止キャンペーンを行い、啓発活動に取り組んだ結果、学校でのいじめはしだいに減っていきました。90年代初頭のバブル崩壊はいわゆる「失われた20年」の始まりだったわけですが、失業率と離婚件数は増加の一途をたどり、問題を抱えた家庭も多かった。そして2000年代になって、子供たちの間に「自傷行為」「不登校」「引きこもり」といった現象が目立ち始めます。学校内のいじめを封じ込めていったら、今度は暴力性が他者ではなく自分に向いたり、無気力に家に引きこもる子供が大量に出現したわけです。 2000年以降の「虐待の時代」 ――こうした現象の背景に何があったのでしょうか。

石井 問題を抱えた子供たちを調査すると、背景に家庭での虐待経験があることが分かってきたんですね。もちろん、以前から今で言うネグレクトや家庭内暴力はありましたが、メディアで盛んに取り上げられたことで顕在化しやすくなり、統計的にも虐待の相談件数が急増しました。これが2000年以降の「虐待の時代」です。リストカットや引きこもりといった社会的不適合の子供たちが内面に問題を抱えていること、虐待やネグレクトなどによって、脳の発達が遅れてしまうことや精神疾患を抱えやすくなるといったことが広く知られるようになり、いままで教育の領域だったものが医学の領域にシフトしました。

また、家庭の問題は「親を支援しないと解決につながらない」という視点がこの時代になってようやく出てきました。実際に虐待家庭を取材すると、貧困家庭が多く、親がアルコール依存症などの問題を抱えているケースが多く見受けられます。無論、貧困だから虐待をするという意味では決してありませんが、比較すれば貧困などが要因としてあるというのは統計に表れています。どの家庭にだって似たようなトラブルが起きるものですが、貧困家庭では親自身の問題が経済的問題によってねじれにねじれてしまっているのです。

一例を挙げると、僕が『 「鬼畜」の家 』で書いた「足立区ウサギ用ケージ監禁虐待死事件」は、2013年当時3歳の皆川玲空斗くんが両親にウサギ用のかごに監禁され、口にタオルをまかれて窒息死させられた凄惨な事件ですが、父親の皆川忍、母親の皆川朋美のふたりとも、貧困の連鎖のなかで形成された、いわば世間から孤立した「非社会の親」でした。朋美はホステスをやっていた母が客との間につくった子で、母の再婚相手の家で腹違いの兄弟たちとともに育ちますが、中学のときに学校で深刻ないじめを受けて不登校になり、中卒で自らもホステスになった。10代で店で知り合った客との間に子供をつくっていた朋美は、母に連れられて初めて行ったホストクラブで、同じく中卒でホストをしていた忍と出会い、ひと月後には同棲をはじめ、毎年のように子供を生み続けるんです。朋美は専業主婦になり、忍はホストをやめて派遣会社に登録して運送の仕事をしていたんですが、当然大家族で暮らせるわけがない。彼らの財源は生活保護。生活保護を支給されるようになってから再就職しようとせず、第5子、第6子と出産していき、最終的には月40万を超える支給額を受けていました。生活保護をもらって密室で暮らせるから、誰もストップをかける人がいないまま、次々と子供をつくっていった。 虐待している意識のない親たち   一方の忍はホステスの母とトラック運転手の間にできた子で、奔放な母に育児放棄され乳児院と児童養護施設で育てられています。小学校のころから(目につくものはなんでも口に入れてしまう)異食症を発症し、さまざまな問題行動を重ねていた忍は、中卒後、当時ソープランドで働いていた母と暮らしますが、食事もろくに作られず水道やガスが止められることも日常茶飯事な劣悪な環境で、高校を中退して職を転々とした勤め先のひとつが朋美と出会ったホストクラブだったわけです。 彼らの住んでいたアパートではゴミ屋敷のような部屋で犬猫を15~16匹飼っていたんですが、走り回る犬を犬小屋に閉じ込める感覚で「うるさいから」と玲空斗くんをウサギ用のケージに監禁し虐待を繰り返していた。次女の玲花ちゃんには犬用の首輪をつけて動きを制限していた。ある日、ケージのなかで玲空斗くんがギャンギャン泣き始めて、やかましいと忍がタオルで口を縛ったら、翌日死んでいた。僕は取材前、どれだけ極悪人の夫婦かと思っていたら、本人たちは虐待している意識がなく、彼らは彼らなりの仕方で子供を愛していたことに強い衝撃を受けました。二人とも親の貧困という闇があって、すべての感覚や優先順位が狂ってしまっているまま、生活保護で「非社会の親」になり、子育てでまわりとつながることもないまま、結果として子供を虐待死させてしまっている。

――福祉政策、支援のあり方を深く考えさせられる事件ですね。 石井 冒頭でも言ったように、自己否定感というその子が抱えている精神的な問題をなくさない限り貧困問題は解決できません。お金だけ、箱だけ用意しても絶対に駄目なんです。もちろんそういう物理的な支援も必要ですが、社会のなかで多様な価値観を認めて、さまざまな境遇にある人たちの特性を認め、尊重する――そうやってその子のなかで自己肯定感を育んでいくことこそ大切です。 痛ましい事件を繰り返さないために 4つの時代のなかで現在の虐待の時代はとりわけ孤立しやすく、自分のなかに問題を抱え込んでしまった人が自己否定感を雪だるま式に膨らませてしまいやすい。新著『 本当の貧困の話をしよう 』では精神的なケアを含めた問題解決へのアプローチ、さまざまな支援策やソーシャル・ビジネス、貧困の壁を突破した先人たちの知恵と勇気を書きました。これまで数多くの学校で貧困問題に関する講演をしてきましたが、本書はその集大成として17歳に向けて語りかけるスタイルで一冊にまとめたものです。社会の諸問題の根っこにある貧困の連鎖を歴史のなかできちんと位置づけて考えることは、地域社会の未来をつくっていくうえで必要不可欠であることはもちろん、自分自身の人生を切り開いていくうえでも、たくさんの本質的な「気づき」があると思います。痛ましい事件を繰り返さないためにも、本書がみなさんにとって「これからの未来を語り合う」きっかけになれば嬉しく思います。

石井光太(いしい・こうた) 1977年東京生まれ。作家。国内外の貧困、災害、事件などをテーマに取材・執筆活動をおこなう。著書に『物乞う仏陀』『神の棄てた裸体 イスラームの夜を歩く』『遺体 震災、津波の果てに』『「鬼畜」の家 わが子を殺す親たち』『浮浪児1945- 戦争が生んだ子供たち』『原爆 広島を復興させた人びと』『43回の殺意 川崎中1男子生徒殺害事件の深層』『漂流児童 福祉施設の最前線をゆく』『虐待された少年はなぜ、事件を起こしたのか』など多数。 石井 光太 〔2019年9/28(土) 文春オンライン〕


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子どもたちの自己肯定感の低さ 日本の子どもたちは自己肯定感が低い、小学3年生と中学1年生に特に注意を 学校では2学期が始まり1カ月が経ちました。夏休み明けは子どもの自殺が多いことで知られ、8月末には多くのメディアで辛い状況にある子どもたちへの励ましのメッセージが掲載されていました。しかし、残念ながら今年もいくつかの自殺の記事を見ることになりました。 今年の夏休み明けとなる9月2日(月)には東京都内で江戸川区の中学2年生と品川区の中学1年生の自殺の事件が同時に報じられました。また、他のエリアでも中学生や高校生が自ら命を絶ったと思われる事件が複数報道されました。 日本において10代の自殺率は増え続けています。辛い状況にある子どもたちのセーフティネットをますます整備していく必要があります。そしてさらにこのような状況が起きる背景に「日本の子どもたちの自己肯定感の低さ」という課題を感じます。 〇自己肯定感とは 「自己肯定感とは、自らの在り方を積極的に評価できる感情、自らの価値や存在意義を肯定できる感情などを意味する言葉」とあります。(Wikipediaより) 専門的には色々な解釈がありますが、総じて「今の自分でいい」「自分はここにいていい」と思える感覚のことを指しています。自ら命を絶つようなことはまさにこの逆の感覚で「自分はダメだ」「自分の居場所がない」という状態であるので、自己肯定感を高めていくことは、まさにこの社会問題への解決策になります。 〇世界的に見て自己肯定感が低い日本の子どもたち 内閣府が行っている「我が国と諸外国の若者の意識に関する調査」は、13歳から29歳までを対象に7か国を比較した調査で、本年度5年ぶりにその結果が発表されています。 まず最初に「自分自身に満足している」という調査については下記の結果となっています。

残念ながらこの調査では日本が7か国中最も満足度が低い結果になりました。特に「そう思う」という最も肯定的な回答は10%しかなく、他の国の3分の1~6分の1程度です。日本人の控えめな国民性を割り引いて考える必要はあるのでしょうが、それでも同様の調査のほとんどが「日本の若者の自己肯定感の低さ」を指摘している現状は見逃せないと感じます。 同じ質問の5年前との比較のデータもありました。 「そう思う」・「どちらかといえばそう思う」の合計は前回5年前(46%)⇒今回(45%)と少々後退しました。日本の若者の自己肯定感の低さは、改善していないか、むしろ後退気味であることにさらに危機感を感じます。 自己肯定感にとって重要な「自分には長所がある」という質問は下記の結果でした。

こちらも残念ながら日本はこの7か国では肯定的な返答が最低の結果になっています。アメリカ・フランスと比べると肯定的な返答は30%ほど低い水準です。日本の若者だけ長所がないわけではないでしょうから、自分で感じられていない状況があります。 この質問の前回5年前との比較データは下記になります。 こちらも「そう思う」・「どちらかといえばそう思う」の合計は前回5年前(69%)⇒今回(62%)と後退しました。 〇自己肯定感が下がるのは小学3年生と中学1年生という指摘 それでは自己肯定感はいつ下がるのでしょうか。幼稚園や保育園などの小さい子どもは、結構高そうに見えますが、いつからこんなに下がるのでしょうか。 東京都教職員研修センターによる「自尊感情や自己肯定感に関する研究」に下記の調査結果がありました。この調査によると「小学3年生」・「中学1年生」において自尊感情に大きめの落差が見られることが指摘されています。

小中学生の不登校数は増え続け14万人を超える水準となっていますが、下記の通り、中学1年生で激増します。 小学3年生と中学1年生が特に課題が大きい点は現場で子どもたちを見ている私たちの経験的にもうなずけるものがあります。 小学3年生といえば、学習面がグッと難しくなります。まず生活科が理科・社会に分かれます。算数でも小数・分数・不等号などが登場し、つまずき始める子が増えてきます。そうなると勉強が分からない⇒学校がつまらない⇒イラつきが始まる、という負のスパイラルも起きてきます。また小学3年生は早期化する中学受験を始める子が出てくる年です。塾に通い始めて大量の宿題に向き合い思うようにいかなくなることの影響もあるのかもしれません。 また、中学1年生は「中1ギャップ」と呼ばれるもっと大きな変化が子どもたちに訪れます。通いなれた小学校から中学校になり、メンバーも大きく変わり、制服になり、定期試験、校則、先輩―後輩関係などが一気に訪れます。 このような中で自己肯定感を落としていき、先ほどのような結果になっていることが考えられます。 〇学校・保護者はどうすべきか このような現状に対して、「子どもの良いところを認めて褒めましょう」「ありのままのその子を認めましょう」などと色々な指摘がされています。それぞれその通りだな、と思うのですが、「そうはいってもなかなかできない」という学校現場、保護者の声が聞こえます。今の学校システム、また忙しい家庭の環境においてうまくいかないことが多いのではないかと思います。 簡単な解決策はなかなかないのですが、私は拙著の「自己肯定感 育成入門」にも書かせていただいた具体的な考え方を3つだけご紹介させていただきます。私たちが15年で5万人以上の小学生を見てきた経験からの実効策です。 (1)「ほめる」より「気づく」 これは言い換えると、成果や結果だけで褒めるのではなく、子どもたちの小さな変化や成長のプロセスに注目し、そこを気づいて子どもに伝えるということです。子どもの自己肯定感を支えるのは、無条件で自分の存在を受け入れてくれる「安全基地」の存在です。ですので、どんな結果であるかよりも、親や学校の先生にしか分からない小さな変化や努力をぜひ見つけてあげてほしいと思います。子どもたちはそういう存在が多くいればいるほど心の安全基地が堅牢なものになります。チャレンジする子ほど心に安全基地を持っていると感じます。 (2)「未来」ではなく「過去」を語る 子育てや教育において、つい未来を語ってしまいがちです。またその未来への不安から「こんなんでどうする!」という叱責にもなってしまいます。そんな見えない未来への懸念だけが強調されてしまうと子どもも不安が大きくなってしまいます。心の安全基地を表現するためには、その子の産まれたころの写真や映像を見たり、そのことを話題にしたり、親子のスタート地点を確認することをお勧めしています。また学校でも、入学時や春からの成長を思い起こすことが良いと考えます。現時点で出来ないことより、過去から「出来るようになってきたこと」にぜひ注目をしてほしいと思います。 (3)子どもの好きなものを追いかけて興味を持つ 子どもにとっても大人にとっても好きなものは重要です。好きなものがあることで辛い時にも心の救いが出来るし、そこから仲間が広がったり、道が拓けたりもします。子どもたちにとって自分が好きなものに大人が興味を持ってくれる、というのは嬉しいものです。仲間が増えたような感覚です。電車でもスポーツでもゲームでも芸能人でも、子どもが好きになっているものに親や先生が興味を意識的に持ってみて話しかけていくと良いと思います。どのジャンルも知れば面白いもので、直感的に大人が興味は持てなくても、知れば面白いし、分からないことは子どもに聞くと喜んで教えてくれます。子どもに聞くのもお勧めの方法です。 課題が指摘され続ける日本の若者の自己肯定感を社会全体で改善できるように心から願っています。 「子どもは社会の鏡」と言われますので、私たち大人がイキイキとしている姿も見せていかないとなかなか希望が持てないことにもなりますので、子どもたちのためにも大人もまたやりがいを持って頑張っていきたいと思います。 <参考図書> 子どもの「やってみたい」をぐいぐい引き出す! 「自己肯定感」育成入門 http://books.yakan-hiko.com/

平岩国泰 放課後NPOアフタースクール代表理事 放課後NPOアフタースクール代表理事。1974年東京都生まれ。1996年慶應義塾大学経済学部卒業。株式会社丸井入社、人事、経営企画、海外事業などを担当。2004年長女の誕生をきっかけに、“放課後NPOアフタースクール”の活動開始。グッドデザイン賞4回、他各種受賞。2011年会社を退職し、教育の道に専念。“アフタースクール”を通じて、子どもたちの「自己肯定感」を育み、保護者の「小1の壁」の解決を目指す。2013年より文部科学省中央教育審議会専門委員。2017年より新渡戸文化学園理事、渋谷区教育委員。著書:子どもの「やってみたい」をぐいぐい引き出す! 「自己肯定感」育成入門(2019年発刊) 〔2019年10/2(水) 平岩国泰 放課後NPOアフタースクール代表理事〕

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小幡和輝 ファンの後押し、地方にカフェ 学生起業は出会い次第 小幡和輝です。前回の記事「ヒッチハイクみたいに声かけた 学生起業家の仲間集め」ではWebサービスでの学生起業の話を絡めた、仲間集めについて書かせていただきました。 学生起業といえばWebサービスが主流ではありますが、インターネット時代だからこそリアルのコミュニティーの重要性が上がっているように感じます。 実は僕も一番はじめに立ち上げた事業はカフェの経営です。BARの昼間の時間をお借りして、不定期カフェを営業していました。 オンラインで気軽に誰かとつながれる時代だからこそ、リアルの価値が上がっているように感じます。 しかし、店舗を借りるためのお金であったり、固定費であったり、店舗ビジネスのハードルは非常に高いです。成功確率を上げるためにはどんなことが必要でしょうか。 今回、お話を聞いたのは東北芸術工科大学に在学中で、山形県でコーヒースタンド「Day&Coffee」を開業した北嶋孝祐さんです。

――オープンしたのはつい最近ですよね。おめでとうございます。 (北嶋)ありがとうございます。今年の6月6日にプレオープンしたばかりですが、思っていたよりお客さんが来てくれてとてもありがたいです。近くのおじいちゃん、おばあちゃんや若いサラリーマンなど、多種多様な方が来てくださっています。

――店舗を持つと固定費や初期投資が結構かかりますよね。怖さとかはなかったですか? (北嶋)立ち上げるときにクラウドファンディングを立ち上げたのですが、それが大きかったと思っています。開業資金としても大きかったですし、あと支援してくれた人への返礼品はお店に来てもらって使えるものを多くしたんです。なので、支援してくれた方が直接お店に来てくれるようになって、そこからじわじわと広がってきているように感じます。

――僕たちの世代だと、起業=ITベンチャーというのがかなり多いと思うのですが、なぜローカルの店舗をやろうと思ったのでしょう? (北嶋)もともと建築には関心があったんですが、一般的な建築って設計して建物を建てるところまでが仕事なんですよね。でもやっぱり中身って大事で、その建物にどんなコンテンツを入れるかも考えていかなきゃダメじゃないかなって。じゃあ自分は中身を作って運営したいと思ったのがきっかけですね。

――大学に入る時から起業するつもりだったんでしょうか? (北嶋)いえ、起業は思っていなかったですね。まずは就職して30歳くらいでなにかやりたいなとは考えていましたが、まさか在学中にやれるとは思っていなかったです。話が具体的になってきたのは、いまの会社を一緒に立ち上げた共同創業者がいるのですが、彼との出会いが大きいですね。もともと郁文堂書店という本屋さんをやっていた人で、その運営を手伝っていたこともあって。マネジャーということで、店舗運営を結構いろいろやっていたのですが、そのときにコーヒーを提供してお代はドネーション制でもらうみたいなこともやっていて、それがいまの原型でもあります。

――これからの目標や展望などはありますか? (北嶋)第一歩はコーヒースタンドから始まりましたが、Day &……という形でいろいろ展開していきたいと思っています。いまのところ東京はピンとこなかったのと、地方の方が若者ができることが多いと思うし、地方は課題の先進地域なので、ここから自分たちがやれることをやっていきたいです。

■インタビューを終えて 開業から3年以内に7割のお店が潰れるといわれています。僕が立ち上げたカフェも残念ながらうまくは行かず、事業撤退をしています。北嶋さんのようにクラウドファンディングを活用し、事前の需要確認やファン作りをすることで、成功率は飛躍的に高まるでしょう。ローカル店舗の運営にはコミュニティー作りが不可欠です。自分の失敗を振り返ると、僕はコミュニティー作りがうまくできてなかったです。もし次回やるとしたら、クラウドファンディングからはじめ、仲間を集めていきながらお店を立ち上げていきたいと思いました。

小幡和輝(おばた・かずき)氏1994年、和歌山県生まれ。約10年間の不登校を経験、その後高校3年生で起業。47都道府県すべてから参加者が集う、「地方創生会議in高野山」を主催。1億円規模の地方創生ファンドを設立し、地方でチャレンジする人を応援している。最年少で内閣府より地域活性化伝道師の認定を受けるなど、活動は多岐にわたる。 〔2019年9/26(木) NIKKEI STYLE〕


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Smart World NTT Com、スマートワーク、スマートシティなどを促進する推進室を新設 「Smart World」を実現する推進室を新設 NTTコミュニケーションズ(NTT Com)は、データを利活用したデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進し、社会的課題の解決を通じた「Smart World」を実現するため、「スマートワークスタイル推進室」「スマートエデュケーション推進室」「スマートシティ推進室」「スマートファクトリー推進室」「スマートヘルスケア推進室」を10月1日に新設する。 データ利活用に必要なすべての機能を利用可能なプラットフォーム「Smart Data Platform」を中核としたデータ利活用を通じて、顧客のDXやSmart Worldの実現に向けた取り組みの強化を目的としている。五つの推進室はパートナーなどとの共創を通じて、顧客のニーズに合ったソリューションやサービスの開発・提供を行う。 スマートワークスタイル推進室は、日々の業務に伴う不便さ、非効率さに起因する時間・労力・人件費の無駄を軽減し、職場環境や仕事のやり方など働き方に関するさまざまな社会的課題を解決し、働き方改革を推進することを目的としている。 交通費の精算を簡素化し社内の業務プロセスを変革するソリューションや、従業員間や従業員・企業間での業務活性化をサポートするコミュニケーションツールの開発・提供を進めていく。

スマートエデュケーション推進室は、学力格差の是正、教員の負荷軽減、不登校・いじめの抑止、AI・ロボットの台頭への対応といった教育に関するさまざまな社会的課題を解決し、日本の教育を変革することを目的としている。 授業や家庭学習から生成されるデータと教室運営、校務などの教職員業務から生成されるデータを連携させることで、個々の生徒に適した学習教育の実現や生徒の学習意欲・態度に関する分析など、教育に関する新たな価値創造を進める。 スマートシティ推進室は、都市の治安、エネルギー効率化など都市に関するさまざまな社会的課題をICTの活用により解決することを目的としている。都市から収集・蓄積されるさまざまなデータを、映像分析や自然言語分析、音解析を行い、さらなるデータの利活用を促進していく。 スマートヘルスケア推進室は、高齢者人口の増加による医療費上昇、医師の高齢化、地域による医師数格差など、日本の医療を取り巻く社会的課題を解決することを目的としている。 ウェルネスから予防・診断・治療・リハビリにいたる各ステージにおいてデータを収集・蓄積、分析・活用することで、新たなヘルスケアサービスを提供し、医療プロセスの革新やデータ利活用による新たな付加価値の創造を進める。 〔2019年9/26(木) BCN〕

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ページ名[[]]、(不登校のニュース)
不登校の我が子に声をかけるときに意識したい3つの「じ」とは
毎年、長期休暇である夏休みが終わったこの時期に「不登校」になる生徒が多いといいます。
いま、日本全国には19万3674人の不登校児がおり、中学校ではほぼ1クラスに1名という高い割合であるため(平成29年度 文部科学省による調査結果)、決して他人事ではありません。
子どもの気持ちがわからずに悩んだり、親が自身を責めてしまったり…家族で不登校の問題と向き合うにはどうしたらよいのでしょうか。
そこで今回は、今まで1万8000組以上の不登校に悩む親子を支援してきた不登校解決コンサルタントの菜花俊氏の最新刊『不登校になって本当に大切にするべき親子の習慣』(青春出版社)から、不登校の子どもの心がほぐれる「声かけ」のヒントを紹介します。
●「どうして学校に行けないの?」は子どもを閉ざす質問
「どうして学校に行けないの?」
ひょっとするとあなたも、子どもにこんな質問していませんか?
実は、学校に行けない子どもに対して「どうして学校に行けないの?」は最悪の質問です。
なぜなら、この質問で子どもは、学校に行けない理由を次から次へと探し出し、自分や相手を責め、自信を失い、孤独と無力感でいっぱいになり、何もする気がなくなるからです。
一方、子どもが希望を持ち、自分で考え答えを見つけ出し、行動できるようになる質問もあります。
質問ひとつで、天国と地獄、正反対の結果になるのです。
あなたが子どもに投げかける質問は、それだけ大きな影響力があるのです。
例えば、
・よほどつらいことがあったんだね?(今までずっと我慢してきたんだね?)
・お母さんが聴いてあげられることはある? (お母さんに話せることはある?)
・お母さんにして欲しいことは何かある?(お母さんにできることはある?)
そして、学校のことを話題にできるくらい子どもが元気になったら
・(優しく)本当はどうしたいの?
・どうすればできる(学校に行ける)と思う?
・もしできる(学校に行ける)としたら何から始める?
これらの質問には、子どもを癒やし、自信を取り戻し、自ら動き出せるようになる力があります。
ポイントは、子どもに共感しつつも「子どもが何を言っても動揺しない」ことです。
子どもにとって一番の苦しみは自分のせいで大好きなお母さんが悩むことなのですから。
子どもの話を真剣に聴いたあとは、笑顔で締めくくることを忘れないでください。
●「何を言うか」ではなく「何を言ってほしいか」
子どもが悩んでいるとき、迷っているとき、泣いているとき、怒っているとき、頑張っているとき、動き出したとき…親としてどんな言葉をかけていいか迷ったら、この3つをヒントにしてください。
1 見守っていることを伝える
「悩みがあるの?」
「何か迷っているんだね?」
「悲しいことがあったの?」
「腹が立つことがあったの?」
「頑張っているね!」
「決心したんだね!」
心の変化に親が気づいていることを伝えるだけで、子どもは勇気づけられます。
2 何も言わずに笑顔でうなずく
言葉の代わりに、大きくグッドサイン(親指を立てる)でもいいです。
「イエス!」の気持ちを示せば、お子さんは心強くなります。
3 何と言ってほしいか、子どもにたずねる
「あなたの力になりたいんだけど、お母さんの助けはいる?」
「お父さん、◎◎ちゃんの頑張りが嬉しいよ!こんなとき、何て言われたい?」
この3つのヒントを参考に、「何がこの子を元気にするか?」を考えてみてください。
そうしたら、言葉も自然と出てくるようになるでしょう。
●子どもをほめるときは3つの「じ」を意識する
「子どもをうまくほめられない」
「ほめてもぜんぜん子どもが喜ばない」
「子どもをほめたら、キレられた……」
深いためいきとともに、こう漏らす親御さんたちをたくさん見てきました。
「ほめる」とは「認める」ということです。でも、言うほど簡単ではないでしょう。
かける言葉やタイミングを間違えば、お子さんが喜ばないどころか、怒り出すことさえあるかもしれません。
実は、「ほめる(=認める)」がうまくいくには、3つの条件が必要です。私は3つの“じ”と呼んでいます。
子どもをほめるときは、ぜひ次の3つの「じ」を心がけてみてください。
1 子どもがほめてほしい“事”をほめる
ふだんから子どもの話をよく聞いて、どこをほめてほしいのか、何を大切にしているのかをよく把握しておきます。
2 子どもがほめてほしい“時”にほめる
希望を持ったり、元気なときや、自分で自分を認めているときこそ、ほめるベストタイミングです。
反対に、落ち込んだり、ひどく疲れているときは、「ぜんぜんわかってない!」と、子どもの信用をなくしてしまうかもしれません。
3 親自身が自信を持っている“事”に関してほめる
ほめるからには、親がその事柄に対して、子ども以上に自信をもっているのが理想的です。
ほめられる側からすれば、自分以上にできる人や実績のある人からのほめ言葉のほうが、嬉しいはずです。
不登校解決のために今日からできることは、とても小さな一歩かもしれません。
しかし、親の勇気ある一歩は必ず子どもの心に何らかの変化をもたらすはずです。
その一歩として、まずは「声かけ」から意識してみてはいかがでしょうか。
〔2019年9/27(金) ダイヤモンド・オンライン 菜花 俊〕


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石井志昂 不登校は人生の“詰み”ではない。『不登校新聞』編集長が伝えたいこと 夏休み明けが重なる「9月1日」を控え、いまも苦しい気持ちを打ち明けられずに学校へ向かおうとする子、向えないかも…と不安になっている子がいるかもしれません。 そんな子どもたち、そして、その親に向けて『不登校新聞』編集長・石井志昂さんは「不登校は人生の“詰み“ではない」と語ります。その意味とは…? 石井さんがハフポスト日本版に寄稿した。 夏休み明けが重なる「9月1日」は子どもの自殺が1年で最も多い日です。いまも苦しい気持ちを誰にも打ち明けられずに、学校へ向かう子がいるかもしれません。 そこでこのブログでは、夏休み明けの子どもの心境をお伝えするとともに、「不登校は人生の“詰み”ではない」ことをお伝えできればと思っています。 まずは、ここで前提としている「9月1日」の意味からお伝えします。 2015年8月に発表された「自殺対策白書」によると、1972年~2013年の42年間で、9月1日に自殺した子どもは131人。平均の2.6倍と突出しています。調査分析したのは森口和研究員(現・自殺総合対策推進センター所属)でした。 夏休み明けのこの時期、なぜ自殺が集中するのか。それは私たち『不登校新聞』が取材してきた不登校の子どもたちの心境からうかがい知ることができます。

内閣府「自殺対策白書」より作図 必死で通っている時には感じない「苦しさ」に気づく 夏休みに入ると、子どもは大きな解放感を得ます。それは学校に苦しさを感じていない子も同じだと思います。 学校へ行くのが苦しい子の場合、夏休みに入った直後、長い睡眠時間をとったり、強い倦怠感に襲われたりします。学校へ通っていたころの緊張と疲労が一気に噴き出すからです。 こうした「休息」が充分にとれると「学校での苦しさ」を自覚します。毎日、がんばって学校へ通っている時は必死なので、「苦しさ」を感じないことが多いのです。 「苦しさ」の中身は、いじめや、いじめとは言えなくても教室内の人間関係でついた心の傷、勉強への重圧、部活や先生についての悩み、親からの期待に応えられなかったという自責の念などです。 子どもがそうした「苦しさ」を感じ始めるのが、お盆明けごろです。 俗に「学校へのカウントダウン」とも呼ばれていますが、苦しさを感じていた学校へ「あと〇日で戻ってしまう」という気持ちが芽生えるからです(東北や北海道では、より早く休みが明けるのでお盆前にカウントダウンが始まります)。  学校への不安感、恐怖感がしだいに募っていく感覚を「地獄が迫ってくる感じ」「ジェットコースターが落ちる前の感覚」だと表現していた子どもたちもいました。 そして、緊張感や不安感が最も高まるのは夏休み明けの前夜です。 じつは子どもの自殺も夏休み明けの前夜がもっとも多くなります。「9月1日」が多いと言われていますが、本当に多いのは「8月31日の深夜」。深夜のため統計上は日付が変わって、「9月1日」が突出しているように見えるのです。 親の直感を信じて、子どものSOSを見極める 親からすると、子どもがそれほど学校で苦しんでいるならば「SOS」をいち早く見つけたいと思うものです。子どもたちが発信する特徴的なSOSは以下のとおりです。 ・体調不良を訴える(頭痛/腹痛/体の痛みなど) ・食欲不振 ・不眠 ・これまでやれていたことができない(夏休みの宿題など) ・大好きだったものが楽しめなくなる(本を読む、絵を描くなど) ・理由を言わずに「死にたい」「人生をやめたい」と訴える。 「死にたい」と訴えてきた場合は別ですが、その他の理由は「夏休みだから」という理由で、つい見落としがちです。食欲不振や不眠などは「夏バテかな」と思いますし、夏休みの宿題ができないことなどは「恒例だ」と思う人も少なくないでしょう。 私も上記のことがすべて「SOS」に該当するとは思いません。しかし、夏休みに入った直後と夏休み明けが近づいてきた時期とを比べ、上記のようなことが目立つ場合は注意が必要です。 SOSかどうかの指針として、あるお母さんは「親の直感を信じていい」と話していました。

ただ、不登校やひきこもりなどの「将来への不安」が先行すると、その直感は鈍ります。心を落ち着かせて、小さいころから見てきたわが子の様子を思い出し、「今」異変を感じるかどうか。 その問いに対する親の直感は「そうそう外れない」と言っていました。 ただし、「学校へ行きたくない」と本人が訴えてきた場合は別です。 「学校へ行きたくない」子に言ってはいけない2つの言葉 子どもが「学校へ行きたくない」と言ったらどうしよう。親にとって大きな心配の1つでもあります。 学校で苦しんでいればいるほど、子どもは「行きたくない」という一言を言えません。学校には行くものだと強く思っているからです。学校へ行けないぐらいなら死んだほうがいいと本気で思っている子どもも少なくありません。 なので「学校へ行きたくない」と深刻に訴えてきた場合は、最大級のSOSだと思ってください。子どもは限界ギリギリ、がけっぷちで親に助けを求めています。

では、その時、どうすればいいのか。じつは多くの親が踏んできた地雷(禁句)があります。

「なんで学校へ行きたくないの」

「もうすこしがんばってみよう」 この2つが子どもを追いつめる禁句の言葉です。もっと言うと、親ならば誰しも言ってしまうであろうこれらの言葉で、不登校の子たちは深く傷つけられ、追いつめられてきたのです。 ならば、どうすればいいのか。 例えば「そっか」と同意をした後で、「いま、どんな気持ちなの?」と心境を聞き、そのうえで、学校へ行く、行かないの選択肢を子ども自ら選んでもらい、周囲はその選択に従う。  これは、学校へ行きたくないと訴えたときだけでなく、子どもの悩みを聞く姿勢としても確立している手法でもあります。 もちろん、これが普段からできる人は、フリースクールのスタッフなど「プロ」ですが、「なるべくそちらの方向を目指す」という程度に覚えておいてもらえたら幸いです。 不登校には「その先」がある 自分の子や自分が不登校にならなくても、知ってほしいことがあります。

1つは、学校へ行かなくなった後、フリースクール、学童、図書館、自宅などが子どもの居場所になって、その成長や学びを助けるケースが多くあるということ。 2つめは、小中学校へ通うことは子どもの権利であって、義務ではないということ。 憲法では、子どもは教育を受ける権利がありますが、親は子どもを無理やり学校へ通わせる義務はありません。子どもが望めば、校長裁量で1日も学校へ通わず、小中学校を卒業することができます。私の友人も小学校は1日しか通っていませんが、彼女はいまIT企業で働いています。 不登校には「その先」があること。そして、義務教育は子どもの義務ではないこと。 この2つはまだ多くの人に知られていませんが、事実であり、不登校が人生の“詰み”=終わりではないという根拠の1つです。 私自身、中学2年生から不登校でした。私の予想に反して、学校へ行かないことは「人生の詰み」ではありませんでした。 もし学校が怖いと感じている人がいるならば、私のように生きている人を知ってもらい、どうか「死ぬ以外の選択肢がある」ことを信じてもらいたいと思っています。   少しでも自殺を考えてしまったり、周りに悩んでいる人がいる人たちなどに向けて、以下のような相談窓口があります。 

チャイルドライン:0120-99-7777 東京自殺防止センター:03-5286-9090 いのちと暮らしの相談ナビ: 厚生労働省|自殺対策ホームページ:0570‐064‐556 自殺総合対策推進センター: (編集:毛谷村真木) 石井志昂 〔2019年8/30(金) ハフポスト日本版〕



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子供・若者育成支援強調月間 内閣府、11月は「子供・若者育成支援強調月間」 内閣府は2019年11月1日から30日までの1か月間を「子供・若者育成支援強調月間」と定め、関係省庁、地方公共団体および関係団体と、子ども・若者育成支援のための諸事業や諸活動を集中的に実施していく。 子供・若者育成支援強調月間 子ども・若者育成支援に関する国民運動の一層の充実や定着を図ることを目的として、毎年11月を「子供・若者育成支援強調月間」と制定。関連の広報・啓発活動と連携して、国民の子ども・若者育成支援に対する理解を深めるとともに、各種活動への積極的な参加を促し、国民運動の充実と定着を図ることとしている。 実施主体は内閣府のほか、警察庁、金融庁、消費者庁、法務省などの省庁のほか、全国青少年育成県民会議連合会、青少年育成市町村民会議、青少年関係諸団体など。2019年度の重点事項として、「若者の社会的自立支援の促進」「子どもを犯罪や有害環境などから守るための取組みの推進」「児童虐待の予防と対応」「子どもの貧困対策の推進」「生活習慣の見直しと家庭への支援」の5項目を掲げる。 「若者の社会的自立支援の促進」では、支援を必要とするニート、ひきこもり、不登校などの社会生活で困難を有する場合は、教育、福祉、保健・医療、就労、少年非行関係などの専門機関が連携。個別的・継続的な相談・支援を効果的に行い、特性を生かした就学・就労に結びつけることができるよう、地域における伴走型の子ども・若者支援の体制作りなどを推進する。 「子どもを犯罪や有害環境などから守るための取組みの推進」では、児童ポルノの製造、児童買春などの子どもの性被害防止に係る対策、子どもの安全確保の取組み、有害環境への適切な対応を推進していく。また、いじめの未然防止と早期対応、ストーカー事案への対策など、地域社会が一体となって取り組む。 「子どもの貧困対策の推進」では、子どもの将来が生まれ育った環境によって左右されることのないよう、貧困対策に関する各施策について国や地方公共団体の関係機関相互で密接に連携。官公民連携プロジェクトの「子供の未来応援国民運動」のもと、積極的な情報発信・啓発活動などを行っていく。 期間中、大会やシンポジウム、研修会や講習会を開催するほか、社会貢献活動を行った子どもや若者、育成支援に貢献し顕著な功績のあった個人・団体などを表彰する。内閣府は、期間中の取り組み状況を調査し、結果をまとめて公表する。 《リセマム 田中志実》 〔2019年10/16(水) リセマム〕

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特別支援教育 特別支援教育の充実へ 静岡市総合会議、専任教諭配置を提案 特別支援教育の充実について議論する教育委員ら=市役所静岡庁舎 静岡市の田辺信宏市長と教育委員会で組織する総合教育会議は16日、2019年度の最終会合を市役所静岡庁舎で開いた。第1回の会合で課題に挙がった特別支援教育の充実について特別支援教育コーディネーターの専任化などが施策として提案された。 市教委によると現在、特別支援教育コーディネーターは学級担任と兼務が原則。各校に1人専任のコーディネーターを配置しきめ細かな指導を目指す。また特別支援学級では現在、担任1人当たり最大8人の児童を受け持っているが、6人以上の学級に教諭を追加配置する施策も示した。1人当たりの担当児童数は県内で最小になる見込み。他に通常学級の最大35人化、学校と家庭、放課後等デイサービスなどの福祉施設が連携した支援体制の充実も提案された。いずれの施策も22年度をめどに試験的な実施を踏まえ拡大させる。 委員からは「特別支援の知識が深い先生が在籍する学校としない学校で差が生まれないようにすべき」などの意見が出た。 継続的な実施案件については、不登校の児童、生徒の家庭に訪問する訪問教育相談員を現行の3人から6人に増員することや、普通教室へのエアコン設置について、小学校で本年度中に完了を予定、中学校についても来年度に設置を予定していることが報告された。 静岡新聞社 〔2019年10/17(木) @S[アットエス] by 静岡新聞SBS〕

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子どもの貧困 低所得が「食」「育児」直撃―子どもの貧困の実相(上) 持田 譲二(ニッポンドットコム) 世界第3位の経済大国でありながら、子どもの貧困が目立つ日本。最新統計(2014年時点)では、一人親世帯の貧困率が主要国ワースト1だ。貧困は「食」や「育児・教育」といった子どもの成長に欠かせない場面に、暗い影を落としている。 「本当に助かる」 子どもたちに無料で食事や居場所を提供するボランティア活動を展開し、全国約3700カ所に広がる「こども食堂」。その一つの「まいにち子ども食堂」(東京都板橋区)は、マンモス団地街・高島平のマンションの一角にある。 8月初めの夕方、代表の六郷伸司さん(55)が汗だくになって夕食を支度していたころ、40代の大西ふみ子さん(仮名)が「泥棒しに来たよ」と冗談を言いながら、台所に入ってきた。すると大きな手提げバッグの中からタッパウェアを取り出し、持ち帰り用に山盛りのご飯やおかずを詰め込んでいった。離婚して3歳の女の子と二人暮らし。健康を害しているため働けず、生活保護でなんとか暮らしている。夕食の料金は子どもがタダ、大人は300円とあって、「本当に助かっている」と大西さんは言う。 一方、6畳2間ほどの「食堂」では小学生8人が夕食を待ち構えている。この日の献立は麻婆豆腐とご飯のワンプレートに、みそ汁、レタスのサラダ。どの子も元気で屈託がないが、普通は家庭で食べるはずの夕食を、この子たちはなぜ、こども食堂で取っているのか。 「利用者の多くは母子家庭の子。仕事でお母さんの帰宅が遅い」と六郷さんは説明する。母が帰って来るまで長い夜を待ちながら一人きりで食べるよりも、同じ境遇の友達といっしょに食べた方がどんなに心強いだろうか。六郷さんは子どもを経済的に支えると同時に、「居場所を作ってやることが大事だ」と話す。食事以外にも、子ども同士で遊ばせたり、勉強を教えたりしている。小さな子たちが慕ってくる六郷さんは、親のような存在だ。 月2回ほど開くこども食堂が多い中で、ここは土日を含め毎日朝7時から夜8時までフル回転しており、子どもの日常生活に組み込まれている。利用者は月に約800人もいる。 食費は1日660円 母子家庭を支援するNPO法人「しんぐるまざあず・ふぉーらむ」は最近、食料援助に力を入れている。この1年で延べ1785世帯に対し、段ボール箱に詰めた食料品(約4000~5000円相当)を無料で送ってきた。 小学2年生の女の子を育てている30代のシングルマザー、矢作まどかさん(仮名)も2カ月に1度、ふぉーらむのお世話になっている。物流業のパート勤務で、収入は手取り12万円程度の月給のほか、児童手当や一人親支援の児童扶養手当など社会手当が月換算で約6万5000円ある。過去に転職が多く、勤め先によって厚生年金に入れたり、入れなかったりの繰り返し。将来の受給額に不安を残す。 収入からアパートの家賃や光熱費、携帯電話代、各種保険料などを差し引くと食費に充てられるのは月2万円程度。1日当たり約660円にすぎない。ふぉーらむから送られてくるのは、米5キロや菓子、缶詰、コーヒーなどの詰め合わせだが、毎度の食事に欠かせない「お米は特に助かる」と矢作さん。 低賃金は食費を圧迫するだけではなく、仕事と育児の両立にも、のしかかる。矢作さんの仕事は、発注データに従って何千種類もの商品を棚から抜き出し箱詰めする作業。労働時間は7時間半で、「広い倉庫内を毎日2万歩も動きっぱなし」。誤配送は許されず緊張の連続だ。仕事を終え、学童保育施設から娘を引き取り、午後6時半ごろに帰宅後に夕食を作ると、ぐったりだという。夜は「自分にとって身体を休ませる時間。子どもは一人遊びしている」。 子どもと向き合えるのは土日に限られる。貧しい思いをさせたくないので、衣服の転売サイトを利用して身なりだけはきちんとさせているという。 子どもの将来 矢作さんの貯金は現在、ゼロ。娘の将来について「大学は無理。保育士とか専門職の方がいい」と話す。 首都圏在住で40代の若狭綾香さん(仮名)は2007年に離婚。9年後、息子が小5の時に原因不明の不登校になった。同じ境遇の母親たちから「家で二人きりだと共倒れになる」と励まされ、思い切ってパートで働き続けている。息子は今では中2。自立を促すように夕食の買い出しと調理を任せている。 地元自治体の職員が家庭訪問に来たり、無料の民間家庭教師サービスを受けたりして、「行政やNPOの方にはお世話になっている」と感謝するが、今でも仕事中にふと家で一人きりの息子が心配になることがある。 飲食業で働く30代後半のシングルマザー、松本みきさん(仮名)。二人の男の子のうち、小3の長男が軽度の発達障害だ。松本さんは「準社員」として比較的恵まれた労働環境にあるものの、「10年後が心配」と言う。家賃が格安の公営住宅の入居期限が切れると同時に、長男が児童扶養手当などの支給期限の18歳を迎え、経済的なサポートを失うからだ。「その時までに長男が自立して、稼げるようになるのか」と不安を漏らす。 三つの「無い」 厚生労働省の全国ひとり親世帯等調査の最新版によると、15年のシングルマザーの平均年収(社会保障給付金や養育費なども含む)は243万円。矢作さんや若狭さんは決して例外的な存在ではなく、母子世帯の平均的な姿だと言える。 ただ、貧困は金銭だけでは捉えきれない側面がある。NPO法人全国こども食堂支援センター「むすびえ」の湯浅誠理事長(東京大学特任教授)は、子どもの貧困は「三つの『無い』だ」と指摘する。その三つとは「おカネがない」「つながりがない」「自信がない」だ。 地元の町や隣近所との関係性が薄れてきた都会では、子どもの拠り所は家庭や学校。しかし、その家庭においても、子どもは疲れ果てた母親と十分なコミュニケーションが取れずにいると「体験が貧しくなり、人との関わりも結びにくくなる」と湯浅氏は訴える。

国・自治体の財政がひっ迫する中、湯浅氏は貧困家庭の子どもの面倒を「公助では見きれない」として、「共助を育てる必要がある」と指摘する。共助を担うNPOや福祉協議会などの地道な活動が、一人親家庭の子どもたちをぎりぎりのところで支えているのが実態だ。 【Profile】 持田 譲二(ニッポンドットコム) MOCHIDA Joji ニッポンドットコム編集部チーフエディター。主に書評と映画評を担当。時事通信で静岡支局・本社経済部・ロンドン支局の各記者のほか、経済部デスクを務めた。ブルームバーグを経て、2019年2月より現職。趣味はSUP(スタンドアップパドルボード)。 〔2019年10/17(木) nippon.com〕


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男らしさの呪い 娘を虐待・息子を刺殺、受刑者の詩からひも解く「男らしさの呪い」 『写真集 美しい刑務所 明治の名煉瓦建築奈良少年刑務所』(西日本出版社)より庁舎 親が子どもを手にかける……恐ろしいことだ。いったい人は、どんな理由でわが子を殺してしまうのだろう。 2019年3月、東京・目黒区で、当時5歳だった船戸結愛ちゃんが虐待の末、放置され死亡した。父親は、連れ子である結愛ちゃんを「理想の子どもに育てたい」と過剰なしつけを行っていた。5歳児が、自ら目覚まし時計をかけて朝4時に起床、かけ算の九九やひらがなを練習していたという。「モデル体形でなくてはならない」と食べ物まで制限された。結愛ちゃんが書いた 「もうおねがい ゆるして ゆるしてください おねがいします」 という手紙は、衝撃的だった。父親に懲役13年、虐待を止めようとしなかったとされる母親には懲役8年の判決が出ている。 6月に起きた元高級官僚による長男の刺殺事件も、胸の痛む事件だった。父親は農林水産省事務次官や元チェコ大使を歴任。当時44歳の長男は引きこもりでオンラインゲームに没頭、家庭内暴力も激しかったという。長男が、近所で開かれていた小学校の運動会の音に「うるせーな、子どもぶっ殺すぞ」と言ったのを聞いて「自分の息子が第三者に危害を加えるかもしれないと思った」と殺害を決意(この事件の直前、川崎市多摩区の路上でスクールバスを待っていた小学生ら20人が殺傷される事件が起きている。51歳になる容疑者は「引きこもり生活をしていた」と報道されていた) 父親は息子が引きこもっていることを悩んでいたが、誰にも相談しなかった。たったひとりで抱えていたのだ。 この父親には「親としての覚悟を感じる」「親としての責任を取って立派だ」といった称賛の声がある一方、逮捕後も悪びれることもなく正面を見据えて毅然(きぜん)と歩む父親の様子に「自分の正しさをアピールしているよう」「冷たい」「悲しみや苦しみが感じられない」などの声もあった。 2つの事件に共通するのは「立派な父親でありたい」という強い願いだ。後者には「世間に迷惑をかけられない」という気持ちや面子もあり、相談すらできなかったのだろう。実はこの「立派でありたい」「男らしくありたい」「迷惑をかけたくない」という気持ちが、犯罪の大きなリスクになっている。 受刑者の詩に隠された「呪い」 私が9年間、講師をしていた奈良少年刑務所にも、高い理想に追い詰められて、結果的に犯罪を犯してしまった子が来ていた。刑務所に来ても、最初からピンと背筋が伸び、ハキハキと返事をし、立派でまっとうなことを言う。そんな子が書いてきた詩がある。

 『ここ一番の心がまえ』

 ここ一番の心がまえ

 己の筋道歩みとおしきり

 礼儀わきまえ義務を知る

 これこそ

 我男なり

 かけた情けは水に流せ

 受けた恩義は石に刻め

 ろくでなしの俺らでも

 時には辛いときもある

 だが

 地獄にも咲く友情の花がある

素晴らしい言葉が並んでいるが、これは格言や人気漫画から借用したパッチワーク。この子の心には、こんな「男らしい」言葉がびんびんと響いてきたのだろう。しかし、これが、彼を息苦しくさせている原因だ。「男子かくあるべし」「長男かくあるべし」といった“男らしさの神話”にがんじがらめになっている子ほど、なかなか心を開けず、様子が変わらない。それは、「呪い」といっていいほどだ。 「理想の自分」は、親から期待されたり、世間が期待しているものであることが多い。根がまじめな彼らは「期待に応えたい」と必死になる。自己を律し、背伸びをし、無理を重ねる。期待に応えられれば、ほめてもらえるし、愛してももらえる。しかし、それは「これができるあなたを愛している」というメッセージであり、同時に「できなかったら、愛してあげない」という脅迫と裏表一体だ。だから、なおさら死に物狂いで頑張る。 期待に応えられれば自信を持てる。しかし、それは所詮「条件つき自信」にすぎない。頑張りだけでは結果が出ない場面が出てきたとき、無条件に愛された「根源的自信」のない彼らは、急速に自信を失ってしまう。「こんな自分じゃダメだ」「価値がない」と自己差別して、自分で自分を貶(おとし)めて、大きな挫折を味わうことになる。外部からの「期待される人間像」に依拠してしまったがゆえに、あるがままの自分自身を認められなくなってしまうのだ。 すると、問題行動を起こすようになる。苦しみや葛藤が内に向かえば、不登校や引きこもり、家庭内暴力、自傷行為に。外に向くと、非行や犯罪につながっていく。根はひとつだ。自己否定感から逃避するために、アルコールや違法薬物に手を出して依存症になってしまうこともある。 「泣くときには、しっかり泣こうや」

 『いまの自分へ』

 つらい時こそ

 胸を張れ 

 顔を上げろ

 そして 笑え!

 明日の笑顔へ

 笑っても一日

 泣いても一日

 だったら

 笑って過ごそう

この詩が教室で発表されたとき、刑務所の教官はすかさず、「なぁ、人間、下を向きたい日もあるさ。泣くときには、しっかり泣こうや」と言った。まずそう言っておかないと、詩の教室の仲間たちが「そのとおりだと思います」「ぼくもそうしたいです」と次々に称賛の声を上げ、「男らしさの神話」を強化してしまうからだ。いいことを書いたから、ほめてもらえると期待していた作者は、肩すかしを食らって、ぽかんとしていた。 人間、無理に笑っても苦しくなるばかりだ。「歯を食いしばって笑う」なんてことが、できるわけがない。無理に笑顔をつくることで、彼らは自分自身の感情を失っていく。やがて、自分がほんとうは何を感じているのかさえ、わからなくなってしまうのだ。 そんな彼らが、ぶすっと不機嫌そうな顔をしたり、ピンと伸びていた背筋がぐにゃりと曲がったり、うとうとし始めることがある。すると、教官や私たちは、あとで「見た? あの子、きょう、居眠りしてたよ!」と喜ぶのだ。それは、彼らが鎧(よろい)を脱ぎ、心を開いて、自分らしい自分を開示する予兆だからだ。すると、次にはこんな詩を書いてくる。

 『自分』

 プライドや面子のために 自分を痛めつけ

 日々 折れそうになるのを 怒りでごまかす

 俺 何しとるねん……

 弱い自分、小さい自分を素直に受けいれ

 自分らしく 自分の道を歩きたい

 自分を思ってくれるすべての人のために

男だって泣いてもいい、弱音を吐いてもいい、強くなくてもいい、と自分を許すことができてはじめて、「ほんとうの自分」を解放できる。大切なのは外側から押しつけられた「男らしさ」や「女らしさ」ではなく、内側から湧きあがる「自分らしさ」だ。 「かくあるべき」の縛りを、ひとつでも多く取り払ってあげることが、彼らを楽にしてあげることだ。気持ちが楽になれば、心の扉を開くことができるようになる。無理な笑顔ではなく、自然な笑顔もこぼれてくる。そうすれば、人とつながれる。虚勢を張ったり、無理をしなくても、世界がありのままの自分を受け入れてくれることを知る。 自分と世界に対して「条件つき自信」ではなく「根源的自信」を育み始めるのだ。その結果、困ったときには、プライドなどかなぐり捨てて、素直に人に助けを求められるようにもなる。そうなってはじめて、再犯のリスクがグッと低くなる。 結愛ちゃん虐殺事件は、父親が幼い娘に完璧さを求めず、自身も立派な父親であろうとしなければ防げただろうし、元高級官僚による息子の殺害事件も、もっと早く、父親が弱音を吐いて助けを求めることができたら、こんな結末にはならなかったはずだ。残念でならない。 野矢茂樹さん(哲学者・立正大学文学部哲学科教授)が、書評集『そっとページをめくる──読むことと考えること』(岩波書店)で、それをこう表現してくれた。 《おとぎ話とは逆に、がんばって王子のふりをしようとしてきた自分がほんとうはカエルだったとしても、その姿を受け止めてもらえたならば、私は安心してカエルでいられるだろう。だが、それがどれほど難しいことか。奈良少年刑務所で起きたことは、著者は奇跡ではないと言うけれど、私にはやはり奇跡のように思われる》 拙著『あふれでたのは やさしさだった 奈良少年刑務所 絵本と詩の教室』への書評だ。重ねて言おう。これは奇跡ではない。誰もがちょっとしたきっかけで鎧を脱げるはずだ。少年たちは、目の前で王子さまの鎧を脱ぎ、それぞれの姿に戻っていった。それは千差万別ででありながら、一様に愛らしかった。世界から受け入れられるために、理想の王子や勇者に変身する必要はない。本来の自分に戻ればいいのだ。ありのままの自分を受け入れられれば、世界はきっといまよりずっとやさしい場所になるだろう。

PROFILE ●寮 美千子(りょう・みちこ)●作家。東京生まれ。 2005年の泉鏡花文学賞受賞を機に翌年、奈良に転居。2007年から奈良少年刑務所で、夫の松永洋介とともに「社会性涵養プログラム」の講師として詩の教室を担当。その成果を『空が青いから白をえらんだのです 奈良少年刑務所詩集』(新潮文庫)と、続編『世界はもっと美しくなる 奈良少年刑務所詩集』(ロクリン社)として上梓(じょうし)。『写真集 美しい刑務所 明治の名煉瓦建築 奈良少年刑務所』(西日本出版社)の編集と文を担当。絵本『奈良監獄物語 若かった明治日本が夢みたもの』(小学館)発売中。ノンフィクション『あふれでたのは やさしさだった 奈良少年刑務所 絵本と詩の教室』(西日本出版社)が大きな話題になっている。 寮美千子(作家) 〔2019年10/30(水) 週刊女性PRIME〕

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ネガティブな意見への対処法 SNSやコメントにつくネガティブな意見への対処法とは?【小林麻耶さん×岸見一郎さん対談】 タレントの小林麻耶さんが、読者の方と「ほっとできる時間」を共有したい、そんな気持ちでお送りする連載です。

アドラー心理学の教えを分かりやすく綴った大ヒット本『嫌われる勇気』。このシリーズをバイブルとしている小林麻耶さんと、著者の岸見一郎先生の対談をお届けします。 「幸せになるには時として嫌われる勇気を持つことも必要」、とアドラーは説いていますが、ときに寄せられるネガティブな意見には傷つき落ち込こむこともある、と語る小林麻耶さん。岸見先生に3年ぶりにお会いして、その環境にどう向き合ったかを語ってくれました。

岸見一郎 1956年、京都生まれ。京都大学大学院文学研究科博士課程満期退学(西洋哲学史専攻)。著書に『嫌われる勇気』『幸せになる勇気』(古賀史健と共著、ダイヤモンド社)、『人生を変える勇気』(中央公論新社)『よく生きるために働くということ』(KKベストセラーズ)など多数。公式ツイッター:@kishimi 公式インスタグラム:@kishimi 公式HP:https://kishimi.com/

幸せになることには実はものすごい勇気がいる 岸見 私が『嫌われる勇気』の完結編である『幸せになる勇気』を出版したとき、小林さんに「このタイトルだけはつけてほしくなかった」と言われたのをよく覚えています。本当にこのタイトルは意味深長で、幸せになるのにどうして勇気が必要なのか?と思われたのでしょう。

小林 はい、考えたこともありませんでした。

岸見 その理由は3つあって、1つは人と関わったら多かれ少なかれ傷つく、だから対人関係の中に入っていくのには勇気がいるからです。でも、前回も話したように、生きる喜びも幸せも対人関係の中でしか得ることはできません。 そうであれば幸せになる勇気と持つということは、対人関係の中に飛び込んでいく勇気である。これが1つです。

もう1つは、人は不幸である、悩んでいる、辛そうにしているとまわりは声をかけてくれますが、幸せになると注目されなくなる。だから幸せになるということは、たくさんの中の一人……、ワンオブゼムになってしまうということであり、共同体の中心にはいられなくなるということだからです。 これが幸せになるのに勇気がいる理由の2つ目です。

小林 「特別でありたい」ということですね。3つ目は……?

岸見 3つ目は、自己中心的な考え方から脱却しなければならないからです。 一人で生きているのであれば、他者のことを考えなくていいのです。気ままに生きていけばいい。でも結婚して二人の人生を始めたら相手がいるわけですから、これまでのようには生きられません。

しかし愛されることだけを期待して生きてきた人は、人のために何かをするということが、既にハードルが高いのです。「この人は私に何をしてくれるか」ではなくて、「この人を愛していこう」、「この人に私は何ができるのか」、そのように考えられるようになるのは、ハードルが高いから避けてしまうのです。 でも、それができなかったら幸せにはなれません。 不幸でいることには目的がある 小林 幸せになりたいとは思っていたものの、幸せになる覚悟は私にはなかったので、「幸せになる勇気」は直視したくないテーマでした。幸せになる勇気、必要かな?と。

岸見 「私が幸せになっていいの? 幸せになる資格があるの?」 と思うことも同じですね。

小林 おっしゃる通りです。自分には何かが欠けていると思う方が安心する時期がありました。結婚したいけど結婚出来ない、幸せになる前の、幸せに「なりたい」という状態が楽というか……。

岸見 一般的な話で言うと、不登校の子どもの親は不幸な生き方を選ぶことが多いです。そうするとまわりはすごく気を遣うことになります。

「おたくも大変ね、子どもさんが長く学校に行ってないそうですね」 「そうなんです、本当に辛いんです」

と。しかし不登校の子どもに「お父さんお母さんが幸せなほうがいいか、不幸なほうがいいか」と聞くと、「幸せなほうがいい」と即答します。 心優しい彼らは、自分が学校に行ってないことで親に不幸になってほしくはないからです。その話を親に伝えると、親は変わります。幸せになるのです。

小林 なるほど。

岸見 そもそも親が不幸な生き方を選ぶのは目的があって、「私はこの子のせいでこんなに不幸なのだ」と世間にアピールしているのです。そんな親子関係がいいとは思いません。 だから親であるアナタがとにかく幸せになりましょうよ、と言うと、「そうか、私が幸せになっていいんだ」と初めて思う。子どもの人生を生きるのではなく、私の人生を生きればいいのだ、と。

しかし、そうすると、今度は世間が後ろ指を指します。親が明るく元気に幸せになっていたら、「あそこのお母さんは子どもが学校に行ってないのに、なんであんなに能天気なんだ」と。でも世間と子ども、両方に付くことはできません。ではどちらに付くか? 

答えはハッキリしています。子どもと仲良くなればいい。世間に背を背けても、自分が幸せだったらいいのです。こう思えるのも勇気なのです。 自分が嫌い、から自分が好きになれた

小林 最初に先生にお会いしたとき、「私は自分が嫌いなんです」ということをお伝えしたと思います。でも、今は自分を嫌うということが分からなくなりました。 そんな感情はどこに行ってしまったんだろう?というぐらいの成長を遂げられて、今は自分が好きになれた。これはとても大きな変化だなと思っています。

岸見 自分を好きになる、つまり自分が幸せであるには、嫌われる勇気が必要ですからね。ただし、少し話が逸れますけど、これは決して「嫌われなさい」と言っているわけではないんです。この本のタイトルだけが一人歩きしている感があるのですが。嫌われる勇気を持つべきなのは、良い人です。もともと嫌われている人は、嫌われる勇気はこれ以上いらない(笑)。

誤解する人がいるのですが、他人に嫌われていない人に「少しぐらい嫌われてもいいですよ」ということを伝えたかったので、こういうタイトルを選んだのです。

例えば弱い立場の人、子どもだったり生徒だったり部下だったり。そういう人たちが親や上司、大人たちに対して、「それ違うのではないですか」と言える勇気を持ってほしいのです。でも多くの良い人は、相手に良く思われようとして、自分を抑えたり我慢したり、本心を隠したりする。だけど嫌われる勇気を持たなければならない、嫌われることを恐れるな、そういう意味のタイトルなのです。 職場でいうと上司、家庭で言うと親、年齢で言うと老人、こういう人たちが嫌われる勇気を持ったらろくなことがないですから。

mi-mollet(ミモレ) 数多くのネガティブコメント。「自分の問題」ではなく「相手の問題」と分かっていたけど…… 岸見 そうは言っても、世間からいろいろネガティブなことを言われると苦しまれますよね。そこはどう自分の中で対処されたのですか?

小林 アドラーの言う「課題の分離」ですかね。それは他者の課題であって、自分の課題ではないから切り離す、という。私のことをいろいろ悪く思う人は世の中にたくさんいるけれど、それは相手の課題だから、私がどうすることもできないんですよね。

岸見 言うのは簡単ですけど、実行するのは難しいですね。

小林 はい、頭では分かっているんですが、じゃあ分離できますかと言われたら、やはり傷つきますし、落ち込みますし、追い込まれていくことももちろんあるんですね。だけど結局どうしようもない、というところにたどり着くわけでして。

そのとき思い出すのが、本にも書かれていた三角柱の話なんです。被害を訴える私から見えているのは、「かわいそうな私」と「悪いあの人」の二面だけ。 でもその裏にはもう一面隠されていて、それは「これからどうするか」という面。私の場合、会ったこともない人たちが相手の時もあるので、「もうどうしようもない」と思うしかないんですよね。 そう頭では分かっていても、心と頭が一致するというのはとても難しいです。

岸見 評価と価値は違います。「アナタって嫌な人ね」と言われても、それはあくまでもそう言った人の下した評価なので、その評価の言葉によって自分の価値はビクともしないはずなのです。 でもやっぱり凹みますね。私も、アマゾンレビューで自分の本について「くだらない」と書かれているのを読んだら、1日凹みます。

小林 先生にもそう言ってもらえるとホッとします。

岸見 その人がそう評価しただけで本の価値とは関係ない、と分かっていても凹むんです。それが人間です。 一方で、対人関係の中で「アナタってすごくいい人ね」と言われたら舞い上がってしまいます。それもその人の評価でしかないから、その言葉で自分の価値が高まるわけではないのですが。 そういう意味では、他の人がどう思おうと自分は自分なんだ、という自信がいるわけです。が、それは本当に簡単な話ではない。

小林 難しいです……。

岸見 「課題の分離」なんて、そんなにすぐにできることではありません。 そもそも、理解しようとしない人に理解してもらおうという努力は、不毛とまでは言いませんが、あまりしなくていいと思います。誤解する人は必ずいますから。

本当はそういう人には、屈折した承認欲求があるのですけどね。相手を悪く言う人は、本当はその相手に近づきたいのです。でも正攻法では近づけないから、相手が嫌がることを言って注目してもらおうとする。実際効きますからね。 私が、「くだらない」と書いてある数少ないレビューのほうが気になるように。

だからこそ、そんな人たちのせいで自分の人生をフイにしてはいけない。幸せになれるのに、そういう人たちのために自分を不幸にしてはいけないと思います。

小林 そうですよね、分かっていても気になってしまう。人間って不思議ですよね。

岸見 自分一人で落ち込んでしまうなら、仲間を募るといいのです。 アドラーは「仲間」という言葉を使うのですが、自分が何をしても好意的な人というのは絶対にいます。自分が思っているより、はるかに多い。 そういう人と近づき、そういう人がまわりにいると実感する努力をしていったほうが、建設的な、幸せな人生を生きられると思います。 対人関係を避けたいから自分を嫌う、その意味 小林 「課題の分離」を知っていて悩むのと、知らないで悩むのとでは全然違っていて。まずは、「課題の分離」を分かっていて、「そのうえで自分がこういう考え方をしている」と内省することから始まると思うんです。 知らないと道しるべがなくなってしまうので、延々と悩むことになってしまって、もっと辛くなってしまうと思うんですね。そういう意味でも、アドラーの教えってとても大きなものだなと、と。……もちろん、長年かかってはいます。

それでも徐々に、「自分のこと嫌いってどういうことだったんだっけ?」と思えるくらいになったことは、すごく私の中では大きいことで。しかも、まさか先生に夫を紹介できる日が来るなんて思いませんでした!

岸見 アドラーは、「自分に価値がある」と思えるときにだけ勇気を持てると言っています。自分のことを嫌いと思っている人は、自分に価値があると思っていないのです。

どういう意味かと言うと、自分が嫌いだから勇気が持てないのではなくて、勇気を持たないために自分を嫌いになる、つまり価値がないと思う、ということ。

小林 勇気と価値は密接に関係しているんですね。

岸見 この勇気というのは対人関係の中に入っていく勇気です。対人関係の中に入れば、傷つけられるかもしれない。怖いのです。そこで対人関係の中に入らないための理由がいる。それが、自分が嫌い、自分に価値がない、なのです。何か原因があって嫌いなわけではありません。

対人関係の中に入っていかないようにするために自分を嫌う、あるいは自信がないと思う。でも人間は不完全ですから、共同体も最初からあるわけではなくて誰かと一緒に作っていくんだと思えれば、不完全なまま飛び込むことができるものです。 幸せになる勇気を持つと決めたことを夫が思い出させてくれる 小林 何か少し不幸、みたいなほうが安心するという心理というのは何なんでしょうか?

岸見 やはりそれは、屈折した承認欲求です。本当に幸せになってしまうと誰からも何も言われなくなりますから。 また、「あの人はまだ不幸に戻るかもしれない」と足を引っ張ろうとする人もいます。それに「自分も乗っかってみたいな」と思うときは、手放しで幸せにはなれません。

それこそ「課題の分離」で、人のことはどうでもいい、とにかく幸せになるんだ、と思えたら人生も随分変わってくるのですが、まだ世間に未練を残したまま、どこか不幸になりたい自分があるのかもしれないですね。

小林 全くないとまでは、正直言えないかもしれないです。どうしてもメディアという世間の中で生きているので、引っ張られてしまうようなときがあります。 ですが、夫がすごくしっかりしているというか芯があるので、引っ張られてもちゃんと戻してくれるんです。 「それは麻耶ちゃんの考えですか? それとも誰かの考えですか?」ということを優しく質問してくれて教えてくれるので。まるでアドラーのように(笑)。 そうやって自分にすぐに戻れるということは有難いことです。もし自分一人の人生を歩んでいたら、私はまたブレていたかもしれないと思うんですね。夫と私という一つの共同体を手に入れたことによって、「そうだ、私は幸せであることを選んだんだ、そして幸せを続けるための努力をしていきたいと思っているんだ」というところに戻ってこられる。 あくまで私の場合ですけど、私には幸せになる勇気を持つためには相手が必要だったんだな、と思います。

撮影/目黒智子 スタイリング/室井由美子 ヘア&メイク/秋山瞳(PEACE MONKEY) 構成/幸山梨奈、片岡千晶(編集部) 小林 麻耶 〔2019年10/30(水) webマガジン mi-mollet〕


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たかの てるこ 「海外ひとり旅」はコワイ?実は「小心者」ほど向いている 7大陸・68カ国を駆ける「地球の広報」として、『ガンジス河でバタフライ』(幻冬舎文庫)など数多くの旅エッセイを綴ってきた、旅人でエッセイストのたかのてるこさん。昨春発売の写真エッセイ本『生きるって、なに? 』は累計5万5000部を超え、その第2弾である『逃げろ 生きろ 生きのびろ! 』も今秋発売され、大きな反響を呼んでいます。 女性に大人気「フクロウカフェ」のあぶない実態 そんなたかのさんが「ひとり旅の極意」を教えてくれる本連載では、皆さんのひとり旅に対する疑問にたかのさんが答えていきます。今回の質問はこちら。


Q.いつか、海外ひとり旅をしてみたい! と思うのですが、悪い人に騙されたら怖いし、言葉が通じなかったら……と思うと不安で、なかなか踏み出すことができません。 てるこさんは、『ガンジス河でバタフライ』で自分のことを小心者だと書いてましたが、こんな私でもひとり旅ができるでしょうか? (女性・会社員)


そんな質問に対して、「海外ひとり旅は小心者ほど向いている!」とたかのさんは言います。はたして、その理由とは――。 『逃げろ 生きろ 生きのびろ!』より ひとり旅に向いていない人はいない 「この世に、こんなに楽しい“参加型の総合エンターテイメント“があるなんて!  世界に200近くある国、それぞれ文化も食べ物も風景も価値観もまるで違うなんて、地球はドデカいテーマパークなんだ!」 20歳のとき、ありったけの勇気を振り絞って海外ひとり旅に出て、目からウロコがボタボタ落ちて以来、100以上の国と地域を旅してきました。 「自分には、海外ひとり旅なんて、絶対無理!」と思い込んでいる人も多いと思いますが、「興味はあっても、ひとり旅する勇気がない」という気持ちは、本当に、痛いほど分かります。 なんせ私自身、人一倍ビビリで、英語もロクにできず、方向オンチの小心者だったからです(ちなみに今も英単語を羅列してるだけの「中2レベルの英語」で、スマホがあったところで方向オンチに変わりありません 笑)。 以下、あなたがひとり旅に向いているか、チェックリストを作ってみました。


□いつか行ってみたい、憧れの国や気になっている場所がある □ 自分は小心者だと思う □ 英語がロクに話せない □ 方向オンチで、初めての場所に行くと、めちゃめちゃ迷う □ 忙しくて(仕事、学業、育児、介護……etc)、休むことに罪悪感がある □ 「“今の自分”のまま、やってくる未来がこわい」等、ネガティブな面がある


旅立つ前の私は、すべての項目に当てはまり、自分は“ひとり旅の不適格者”だと思い込んでいたのですが、実は、上記の項目に当てはまる人ほど、ひとり旅に向いています!  というのも、私は18年間勤めた会社を辞めて以来、全国で講演しているのですが、講演後のサイン&ハグ会で何百人もの読者と話して、10代、20代はもちろん、60代、70代で“海外ひとり旅デビュー”した読者にも、数えきれないぐらい会ってきました。 「ひとり旅なんて、自分にはあり得ないと思ってましたが、旅に出て、人生が変わりました!」とか、「もっと早く、若い頃から、ひとり旅に出ればよかったな~と思いますね。どこにでも行けると思うと、行きたい所がありすぎて!」とか、「旅に出て人生を楽しむようになったら、不登校だった息子も転校して、元気に学校に通うようになりました。ひとり旅の効能は無限大ですね!」などと熱く語られるたびに、思いは確信へと変わりました。 断言しますが、ひとり旅に向いていない人なんて、この世にいません。海外ひとり旅ができるかどうかに、語学力も年齢も性別も性格も関係ありません。誰でも、ひとり旅できます。それも、簡単に! 小心者は、ひとり旅に向いている!  しかも小心者のほうが、ひとり旅に向いていると私は思っています。なぜなら、失敗を恐れる気持ちが強い小心者な人は、すでに凄まじい力で「自分を守っている」ので、その凄まじい力を“旅立つバネ”へと変換できるからです。 今振り返ってみれば、昔の自分は筋金入りの小心者だったなぁとつくづく思います。なぜなら、ひとり旅に出る前の私は「人からどう思われるのか」ばかりを気にして生きていたからです。 たとえば、人からされたことで嫌な気持ちになることがあっても、「自分の気持ちを正直に伝えたら、相手が傷つくかもしれないし……」とか、「自分さえ我慢すれば、波風が立たなくて済むんだ」と思って、いつでも自分の気持ちを飲み込んでいました。 経験上、小心者には、次のような特徴があると思います。


・「言いたいことが言えない」「気を使いすぎる」 →「嫌われたくない」「傷つきたくない」という気持ちが強い →「言いたいことが言える人」のことが羨ましい

・「自分をさらけ出せず、自分をよく見せようとしてしまう」 →「ダメな人だと思われたくない」「迷惑をかけたくない」という気持ちが強い


小心者は、「いろんなことを我慢して」「自分を守っている」状態の人だと思います。自覚していたらまだマシなんですが、私の場合、「我慢している」という自覚もなかったぐらい、“ガマン癖”が付いてしまっていました。 他の人が自分の人生にパワーを注いでいるなか、小心者の人は「人からどう思われるか」に凄まじいパワーを消費しています。この、懸命に「自分を守っている」凄まじいパワーを、自分の人生に注ぐことができれば、どんな人も必ずや、旅立つことができます。そして、一度旅立つことができれば、ひとり旅の魅力にハマる人も少なくありません。 『逃げろ 生きろ 生きのびろ!』より 自分の人生の主役は、自分自身 というのも、我慢が当たり前の状態になっている小心者の人は、自分ばかりソンしているという気持ちが心のどこかにあり、「どうせ私は引き立て役だから……」という“脇役感”が強いもの。それがひとり旅に出ると、誰かに合わせる必要がないので、自分が何をどう選ぶかによって、どんなことに出会えるのか、旅の一つひとつが決まっていきます。東に向かうか、南に行ってみるか。長距離バスに乗るか、夜行列車に揺られてみるか――。 全部、自分で判断して、自分で決めているうちに、「自分の人生の主役は、自分自身なんだ!」という感覚が蘇り、自分を100%解放できる喜びを、人一倍、感じることができるのです。 初めての旅から月日は流れ、気がつけば、私は人と自分を比べなくなり、「人からどう思われるか」に大事なエネルギーを使わず、「自分がどうしたいか」にパワーを注ぐことができるようになりました。 そして今では、自分が傷ついたとき、黙って我慢するのではなく、自分(アイ=I)を主語にする“愛メッセージ”で、「私は、あなたに○○されると、傷つく・辛くなる・悲しくなる」と相手に伝えることができるようになっています。相手(YOU)を主語にして思いを伝えると、「(あなたは)なぜわかってくれないの!」と怒りをぶつけてしまいがちなので、皆さんも“愛メッセージ”をぜひ。 「ビビリの小心者」だから危ない目に遭わない もうひとつ、小心者が旅に向いている、大きな理由があります。 旅慣れている人は、慢心からつい油断してしまいがちなのですが、いつまでも小心者の部分がある私は、旅先でも基本「安全第一」に行動するおかげで、危険な目に遭ったことがほとんどありません(危険な目に遭った体験は紀行エッセイに多々書いているのでここでは割愛しますが、過ぎてみれば全部、笑い話です! )。 旅先に限らず日本でも同じですが、用心深い私は「こんなに安く○○できますよー」といった怪しげな客引きに声をかけられても、「うまい話には必ず裏がある」と思っているので、足早に逃げることにしています。また、私はとても不安を感じやすい性質なので、旅先で使う二つ折りのミニ財布もチェーン付きですし、パスポートや旅の軍資金を入れておく貴重品袋も、肌身離さず身につけるようにしています。 それもこれも、ビビリの小心者だからなのですが、そのおかげで、海外でお金やパスポート等を失ったことが一度もありません(ちなみに、ナイロン製の貴重品袋をTシャツやボトムスの中にインすると汗で蒸れるので、どうしてもほしかったオーガニックコットン製の旅貴重品袋などの旅グッズを『地球の歩き方』と制作し、自分も超愛用しています)。 そして、私はフィジカルな痛みにも弱い小心者なので、歯が痛いとすぐに歯医者さんに行くのですが、治療中も「イタッ、イテテテ!」とすぐ痛みを訴えてしまいます。以前、「痛がりですみません~」と謝ったら、先生がこう言ってくれました。 「痛がりなのは、すばらしい長所なんですよ。痛みを我慢してしまう人は、病院に行くのが遅れて、取り返しがつかないぐらい悪化させてしまいがちですからね」 そんなわけで、旅先でも「健康第一」の私は疲れたら無理せず、たっぷり9~10時間は寝るようにしているので、体調を崩したこともほとんどありません。心配で不安でどうしようもないから、何か予防策を考える、何かしら手を打つ、という性質は「危険を察知する能力」があるということ。 つまり、用心深い小心者の人は、ビビりなおかげでいろんなことに気をつけているので、危険回避能力に長けているという大きなメリットがあるのです!  「ひとり旅に対するハードル、どんどん下げていこー!」がテーマのこの連載。 次回は、「最も簡単に、ひとり旅に出られる方法」です。お楽しみに♪ たかのてるこさんへの質問を大募集! たかの てるこ 〔2019年10/31(木) 現代ビジネス〕

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東京赤坂の選書専門店「双子のライオン堂」 「100年続く書店」を目指す書店界のドン・キホーテ 東京赤坂の選書専門店「双子のライオン堂」 三宅 玲子 出版不況と言われて久しいものの、「本」という形をとったメディアは決して不要となったわけではない。しかし、本を買う「場所」は劇的に変わった。アマゾンで本を取り寄せる習慣は私たちの生活に定着したのだ。かつて商店街には小さな書店があるのが当たり前の風景だったが、今、年間800~1000店のペースで姿を消している。それなのに、「100年続く書店」を合言葉に始まった書店がある。 青い扉の「双子のライオン堂」 選書専門店 店主と妻の星座に由来する「双子のライオン堂」という店名から書店を連想する人はほとんどいないだろう。風変わりなのは名前だけではない。店の所在する赤坂は、テレビ局や歓楽街があり、政治の中心地・永田町にも隣接する都心の一等地だが、「双子のライオン堂」があるのは、表通りから入り組んだ道を六本木へ抜ける谷間の一角である。しかも青く塗られた分厚い扉は閉ざされていて、中を覗き見ることはできない。 「せめて扉は開けておきなさい、って常連のお客様からよく助言をいただきます。これじゃあ一見(いちげん)さんが入ってこられないよって」 店主の竹田信弥さん(33)は頭をかいた。 「これ、本の扉を形どっているんです。さあ、本の中に飛び込んできてください、というつもりでつくったんですが」 10坪ほどの空間は、壁いっぱいに本棚が組み上がり、国内外の小説、思想哲学、評論、エッセイなどが並ぶ。池澤夏樹編集の世界文学全集(河出書房新社)のカラフルな背表紙も揃う。この小さな書店は30巻からなるこの全集を8セットも売った実績を誇る。本棚の前に積まれた小さな本箱にも、ぎっしり。満杯となった書棚から溢れた本たちが横向きに寝かされている。 3600冊の本からなるカオスな空間は静かに充足していた。 棚の脇に木札がある。作家の辻原登、元ライフネット生命会長で立命館アジア太平洋大学長出口治明、出版社ミシマ社の三島邦弘など、記されているのは選書者の名前だ。 辻原登は竹田さんの大学時代の恩師だ。開店にあたり、恐る恐る選書を依頼したところ、恩師はとても喜び、協力を約束した。 選書者は現在36名。 竹田さん自ら選書を依頼した人たちだ。各々の選書者の棚に、お薦めの本が並んでいる。 選書を依頼するにあたっては、100年は一緒にやっていきたいという気持ちであると、次のように話す。 ――あなたが100年後にも紙の本として残したい本を10~100冊教えてください―― そして、古本、新刊を問わず可能な限り集めることを約束する。 竹田さんは本の持つ力をこう表現した。 「本は物理的には紙とインクでできたただのモノですが、100年、200年と読み継がれる本には、コピーや複製に形を変えてもなお残り続けるエネルギーが宿っています。それは言霊のようなものかもしれませんし、叡智が込められているということなのかもしれない。そういうものを書いた著者への畏怖を、例えば本の表紙や背表紙から僕らは自然と感じ取っているんだと思います」 竹田さんは「双子のライオン堂」を選書専門店と位置づけている。 町の本屋から大型書店まで、書店が次々と廃業に追い込まれる中、竹田さんは書店を経営する。選書者とともに100年続く書店を。そう竹田さんは本気で考えている。それは、自らが書店という場所に救われた経験がもとになっている。 書店は呼吸がしやすかった 東京・目黒で生まれ育った。 中3でライトノベルに夢中になった。 本読みだった友達の勧めでもりもりと読んだ。読書は受験勉強からの格好の逃げ場になった。近所の書店に通い始めたのはその頃だ。同居する祖母が本代にと小遣いを惜しまずにくれるので、せっせと本を買って読んだ。 高校に進学すると、書店通いはいよいよ加速する。 書店に行かない日はなかった。日に何軒か書店をはしごしたり、友達と待ち合わせに指定した書店で本棚から離れない竹田さんに友達が呆れはてたり。 のちに結婚することになる獅子座のガールフレンドとも、デートはもっぱら本屋だった。渋谷にあった総合書店ブックファースト(2017年閉店)に通いつめた。社会から少し切り離されて守られている空間は、呼吸がしやすかった。 「例えば、キャンプが好きな人が森に行くとリラックスできる。それと同じように、ぼくは書店で圧倒的な量の本に囲まれているとき解放されていたんだと思います。自分の当時の悩み事に対する答えを本の中に探すこともできたし、未来に向かう入門書も大量にある。それがすごく心地よかった」 部活を早々に辞め、クラスでは人間関係の問題から不登校になるなど、高校生の心は不安定だった。それが、大量の本が洪水のように渦巻く書店という空間の中にいると、きっちりとした答えが見つかるわけではなくとも、気持ちが晴れた。 「例えるならネットサーフィンのリアル版のようなものだったかもしれません」 好んで読んだのは、舞城王太郎、佐藤友哉、絲山秋子といった純文学やエッセイ。高2の夏休みに東海大学の文芸創作の夏期プログラムに参加した。作家を目指す学生や教えに来ていた辻原登をはじめとする作家たちと交わり、高校とは異なる世界を知り、見晴らしがよくなるような思いがした。 高3の春、ネット古書店「双子のライオン堂」を始めた。それは東海大学文学部文芸創作学科(現在は文化社会学部文芸創作学科)へ進み、さらに卒業して2008年春、ITベンチャーに就職してからも継続する。 新卒でベンチャー、副業はネット書店経営 書店という空間で救われた体験に加え、小学生の頃から、外遊びの傍らで雑誌づくりの真似事をしたり自分で物語や漫画を書いたりするのが好きだった。小説家への憧れはありつつも、簡単には書けない。でも好きな本のそばにいたい。できれば本と読む人たちの仲介者として、おせっかいをやいていたい――。 竹田さんが社会人になってからも副業としてネット書店を続けた理由である。 一方、リーマンショックの直前に営業職として入社したベンチャー企業では、就労環境は典型的なブラック。たまの休暇に本の買い付けに行くのが心の安定という生活。営業のついでに古本屋で本を仕入れて、夜、ネット書店にアップするのが唯一の楽しみとなった。 2年半で辞め、転職したIT企業はワンマン経営のため離職者があとを絶たず、竹田さんも程なく退職した。 27歳のそのとき、副業にしていたネット書店の方を正業にしようと思い切った。文京区白山のスペースをほとんどタダ同然で貸してもらえる幸運が後押しし、リアル書店を始めることにした。2013年春のことである。 神田神保町にある中堅の取次店が買い取りを条件に取引を引き受けてくれた。 「100年続く書店を目指します」という竹田さんの言葉に、担当者の心が動いた。 世の中にはすでに「出版不況」が定着していたけれども、書店を始める若者も増えていた。その一方で閉店が続く状況を残念に思っていたその人から「頑張って続けて欲しい」とエールを竹田さんは受け取った。 「このチャンスを生かさないともったいないと思いました。まだ若いから、今ならできるかなって。妻に迷惑をかけなければなんとかできるかなと」 大学卒業と同時に結婚した獅子座の妻は漫画家だ。当時はデビュー前で、コツコツと作品を書いていた。 企業の形をとるために、リアル書店「双子のライオン堂」を父の経営する人材教育コンサルティング会社の書籍事業部に編成。 だが、書籍事業単体では竹田さんの給料を支払うほどの利益は出ない。前に働いていた会社にアルバイトとして雇ってもらうことで、妻と2人分の生活費を稼ぎ、合間に本を仕入れた。仕事内容は、清掃や保守管理、経理など雑務だ。 2015年、赤坂の現在の場所への移転は転機となった。 竹田さんの真剣な取り組みを見てきた父の勧めにより、銀行に借金をし、築70年近い古いマンションの1階部分を購入した。現在の青い扉の店舗スペースだ。 書店経営を維持するため、アルバイトはより重要な「部品」となった。 ベンチャー企業でのアルバイトに加えて父の会社の経理、文字起こしなど、掛け持ちで働いている。 店の営業は週4日。午後3時から9時が基本の営業時間だ。 竹田さんがアルバイトで店に出られない時間帯は、父に店番を頼む。 客の来店を待って本が売れる時代ではない。 赤坂に移転してからは読書会を年間60回以上。初めての読書イベントには、恩師辻原登を迎えた。 ある夜は、韓国文学がテーマの読書会に7人ほどの本好きが集まっていた。進行役は、韓国文学ファンの常連客。初めて参加した30代の女性、周囲に本好きがいないから本の話に飢えているというエンジニア、子育てが一段落し、本を読み学び直したいと通う50代の主婦など、顔ぶれはさまざま。結びつけるのは本だが、さっぱりと後を引かない関わり合いを大切にしているという。 「純粋に本の話をするためだけに集まる場ですので、終わってからの飲み会はありません。初めて顔を合わせる人たちがほとんどです」 さらに、毎年1月に文芸誌『しししし』を発行、最近は作家のピアノCDを出した。年間8万点もの出版物が生まれる時代に、大量の本から自分の読みたい本を選ぶのが難しいと感じる人に向けた、選書配本サービスも行なっている。 「このライオン堂という場所から本や作家にまつわるいろんなことを仕掛けていきたい」 本業界を「外資」で支える 都内の移動はもっぱら自転車に乗る。 体を使う仕事と書店経営は心身の健康の上でもバランスがよいようだ。「二足のわらじ」を能動的に選び書店経営を成立させている仕事のつくり方は、副業が推奨される現代の働き方にも呼応しているように見える。 ところが竹田さんは、出版業界が縮小している状況に対し、もう一歩踏み込んで考えていた。 「ぼくは本に携わる業界の中だけで食っていくのではなく、書籍とは異なる分野で『外資』を稼いで書店業や出版の世界に資金を流入させたいと考えています。経済が潤っている別の業界で利益を出して本を取り巻く世界に還元したい。だから、ライオン堂では本とは異なる売れ筋の何かを見つけたい。本の外で稼いで出版業界を100年保ちたい」 ウェブサービスなのか、掃除道具のようなグッズを開発販売することなのかわからない。別の「稼げる」事業を見つけて文学や出版に還元する。その筋道を発見することを真剣に考えているという。 「チャレンジのひとつとして、アルバイトの経験を生かして来年は清掃事業を始めたい。そこに小説だけでは食べていけない作家が参加するのもありだと思うんです。作家が稼ぎを確保しながら小説を書き続けられる仕組みをサポートするのも必要なことだと思っていて」 愛読書はサリンジャーとドン・キホーテ。 高1のとき「ライ麦畑でつかまえて」を読んだ。最終章で主人公がライ麦畑の崖から落ちそうな子どもたちを守る仕事がしたいというくだりに、「それ、ぼくもやりたい」と思った。そんな仕事があるかわからないが、もしあったら子どもたちをちょっとだけ助けることができる。 今、ライ麦畑で子どもたちをつかまえる仕事と書店業に共通項を感じている。 「ぼくもこの本屋の仕事で作家と読者の媒介役として役に立ちたいなって。本によってきっと救われると思っているからですかね」

そして100年続く本屋を目指すクレイジーな横顔は、純粋で一途で愉快なドン・キホーテに連なる。 【Profile】 三宅 玲子 MIYAKE Reiko 1967年熊本県生まれ。ノンフィクションライター。「人物と世の中」をテーマに取材。2009~14年、中国・北京に暮らす。ニュースにならない中国人のストーリーを集積するソーシャルプロジェクト「Billion Beats」運営。近著は「真夜中の陽だまりールポ・夜間保育園」(2019.09 / 文藝春秋 ) 〔2019年10/31(木) nippon.com〕



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