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第三の居場所・戸田拠点

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'''一斉休校、子どもたちの「第三の居場所」が果たす役割とは―Learning for All 李炯植代表に聞く'''<br>
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政府の緊急事態宣言を受けて、各地で緊急事態措置が講じられています。<br>
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予期せぬ長期の休校により多くの家庭が影響を受けている中、子どもたちの預かりを続ける「第三の居場所」は、どのような役割を果たしているのでしょうか。<br>
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2016年11月の開設から戸田拠点の運営を担ってきた、NPO法人Learning for All の李炯植(り ひょんしぎ)代表理事にお話をうかがいました。<br>
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――「第三の居場所」設立の背景と現在の利用状況をお聞かせください。<br>
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夕食の時間。子どもたちとスタッフ、みんなで一緒に食卓を囲みます <br>
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日本全体では7人に1人、ひとり親家庭では実に2人に1人の子どもが貧困状態(※1)にあります。<br>
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貧困家庭で育つ子どもたちの多くは、学習や就業の機会も制限され、将来も貧困から抜け出すことのできない“負の連鎖”が続いています。<br>
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この連鎖を断ち切るためには、なるべく低年齢のうちから生活習慣を見直し、将来自立する力を育む必要があります。<br>
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その拠点として「第三の居場所」は設立されました。<br>
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戸田拠点は「第三の居場所」第1号拠点として2016年11月にオープンし、現在は小学校低学年を中心とする子どもたち13人が利用しています。<br>
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ひとり親家庭の子どもや、忙しい家庭の子どもなどが利用しており、それぞれの家庭が抱える課題は、経済的困窮など様々です。<br>
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通常は平日の午後2時から午後9時まで子どもたちを預かり、その間、学習支援だけでなく、<br>
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親以外の大人や子どもたち同士の関係構築を通じてソーシャルスキル(※2)を身につけたり、<br>
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夕食の提供を通じて食事の仕方や歯磨きなどの生活習慣を見直したりと、幅広く支援しています。<br>
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※1:ここでいう「貧困」とは「相対的貧困」であり、その国の文化水準、生活水準と比較して困窮した状態を指します。<br>
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※2:社会的技能。他者に対する振る舞い方やものの伝え方。<br>
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――施設運営において、日本財団はどのような役割を果たしているのでしょうか?<br>
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'''Learning_for_All_李炯植代表'''<br>
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立ち上げの開設費用と3年間にかかる運営費用は日本財団に支援いただき、それ以降は自治体の財政で運営していくことを各自治体と折衝して推進しています。<br>
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また、財政面だけでなく、職員のスキルアップのためのトレーニング支援なども受けています。<br>
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日本財団は「第三の居場所」を全国に100カ所開設することを目標としていますので、私たちはこの戸田拠点で良いモデルを示すことができればと考えています。<br>
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――新型コロナウィルス感染症の拡大により、どのような影響がありましたか?<br>
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感染症の拡大を受けて、まずは感染予防を徹底しています。<br>
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職員は毎日出勤前に検温し、手洗いうがいをこまめに行い、常時マスクを着用して2時間に1回は換気をしています。<br>
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また、施設内ではドアや手すりなど皆が触れる場所の消毒も行っています。<br>
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子どもたちも毎日検温し、発熱時は来ないようにしてもらい、入室時にも検温しています。<br>
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3月下旬の一斉休校時には、春休みまでの期間、午前9時から午後5時まで預かりを実施し、夕食ではなく昼食を共にしました。<br>
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とにかく急な休校だったので、ひとり親でどうしても仕事を休めない家庭など、午前中からのの預かりニーズはとても高かったのです。<br>
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急なシフトへの対応は拠点内だけでは難しかったため、他の事業所などから職員を派遣、増員して対応しました。<br>
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このような緊急事態下では、仕事と子育ての両立に悩む人や生活に困窮する人たちの問題が、とくに顕在化しやすいのです。<br>
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こんな時だからこそ、「第三の居場所」のような事業は続けていかなければならないと思います。<br>
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――実際に通っているお子さんや保護者の方はどのような様子なのでしょうか?<br>
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学校がなくて朝から拠点に通える“特別感”を楽しんでいる子もいますね。お医者さんごっこのように自分たちで検温したり。<br>
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とくに不登校気味の子はポジティブに捉えていますが、長引けば学校再開への不安も増すといった懸念もあります。<br>
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そんな子どもたちとは反対に、保護者の方々は深刻な悩みを抱えている人も多く、「この拠点のおかげで本当に救われた」と言ってくださる方もいます。<br>
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いつも以上に忙しくしている人もいますが、仕事とともに収入も減り、家計への影響が出始めている人もいます。<br>
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そんな保護者の方からは、不安定な精神状態で、連日長時間、子どもと2人きりでいることにストレスを感じてしまうといった声も聞かれました。<br>
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外出制限が続いてDV(ドメスティックバイオレンス=家庭内暴力)が増えているという海外の事例も報道されていますが、決して遠い国のことではないと思います。<br>
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――子どもや保護者と接する職員の方々には、戸惑いはありませんか?<br>
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新型コロナウィルス感染症は、いつ誰が感染してもおかしくないと言われていますよね。<br>
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自分自身の感染リスクもある中、子どもたちの居場所を守り続け、目に見えないウィルスからも子どもたちを守るというのはとても大変なことで、<br>
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心の中には不安や葛藤を抱えている職員もいると思います。<br>
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それでも職員全体のモチベーションは高く、ピンチをチャンスと捉えて子どもたちと新たな目標設定をしたり、<br>
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関わる時間がいつもより増えた分、様々なアクティビティに挑戦したりしています。<br>
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――緊急事態宣言下ですが、これからの展望をお聞かせください。<br>
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どうしても必要な人には欠かせない施設ですので、戸田市と連携を取りつつ、規模を縮小するなどしても継続する方向で検討しています。<br>
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また、学習支援などはオンラインでも可能ですので、私たち Learning for All としても実施する予定ですが、<br>
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回線や端末が整っていない家庭もありますので、行政にはそういった家庭への支援も視野に入れてほしいと思います。<br>
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今懸念していることは、子どもたちとの距離が物理的にも心理的にも離れてしまうことで、<br>
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学習機会が再び失われたり、せっかく身につけた生活習慣を疎かにしてしまったりすることです<br>
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。学習意欲や生活習慣を取り戻すのにはとても時間がかかります。<br>
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本当に必要な子は通い続けられるように、そして少し間の空いてしまった子はいつでも戻ってこられるように、<br>
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皆で子どもたちの「第三の居場所」を守っていきたいと考えています。<br>
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――本日はありがとうございました。<br>
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〔2020年4/24(金) 政治山〕 <br>
  
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'''貧困家庭の子に「もう一つの家」 生活習慣身に付けて 大人と過ごす場を提供 国や自治体も積極支援'''<br>
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低収入などの理由で親が遅くまで働く子ども向けに、放課後から夜まで大人と一緒に過ごす「もう一つの家」づくりが各地で進んでいる。<br>
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家庭でも学校でもない第三の居場所を提供し、食事の後片付けなど生活習慣を身に付けさせるのが狙いだ。<br>
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親から子への「貧困の連鎖」を防ごうと、国や地方自治体も積極的に支援に乗り出している。<br> 
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「ただいま。早く遊びに行こうよ」<br>
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埼玉県戸田市の子どもの居場所施設。<br>
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小学校の授業が終わる午後3時ごろから、低学年の児童約10人が集まり始め、大人のスタッフにせがんだ。<br>
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入ったらすぐランドセルを棚にしまって手を洗い、夕食の時は配膳を手伝って歯磨きをする。<br>
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施設に通い、これらを身に付けた子は多い。<br>
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日本財団が戸田市と協力して昨年11月に設立し、NPO法人「[[ラーニング・フォー・オール]]」が運営。<br>
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経済的に苦しい小学校低学年の子を対象に、平日の放課後から午後9時まで受け入れる。<br>
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子どもが放課後過ごす自治体の学童保育はあるが、午後7時までのケースが多く、親が遅くまで働く家では幼い子が一人きりになりがちだ。<br>
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この施設では、夕食を囲む広間や自由に過ごすリビングがあり、外遊びで服が汚れたら洗濯機やシャワー室を利用できる。<br>
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食事や後片付けなどをできるようにし、勉強に向かう環境を整える。<br>
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厚生労働省によると、貧困の子どもは7人に1人。親も貧困の環境で育ち、入浴習慣や偏りのない食事の大事さを知らなかったり、障害やストレスを抱えて教えられなかったりすることが多い。<br>
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戸田市の施設では、歯磨きなどの習慣が身に付いていない子にスタッフがマンツーマンで付き添い、手洗いや宿題ができると褒めて自信をつけさせた。<br>
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その結果、「時間になったから宿題をやる」といった自発的な行動ができるようになった。<br>
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日本財団の花岡隼人さんは「生活苦の家庭の子どもは読書や体験の機会が少なく、勉強の意欲が湧かないまま成長する恐れがある。大人が見守って子どもの自己肯定感を育て、生きる力を育むことが必要だ」と訴える。<br>
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このような支援は戸田市のほか、大阪府箕面市、広島県尾道市でも始まり、同財団は2020年までに全国100カ所で整備する方針だ。<br>
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「勉強をしない日があってもいい。『ここにいたい』と思える場所があることが大事」と話すのは、滋賀県で社会福祉協議会などと協力し、週3回、夜の子どもの居場所を開く社会福祉士の幸重忠孝さん。<br>
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2年前から、利用者のいない夜間の介護施設などで実施し、今では県内10カ所に広がった。<br>
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子どもは夜9時まで、ボランティアと夕食を食べ、遊び、入浴をして過ごす。<br>
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「大人と笑いながら過ごせる時間が子どもの成長には必要だ」(幸重氏)。<br>
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【子どもの貧困】<br>
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平均的な所得の半分に満たない家庭で暮らす18歳未満の割合を示す「子どもの貧困率」は、2015年時点で13.9%で、7人に1人が当てはまる。<br>
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子どもの貧困を放置すると、生活面だけでなく進学や就職にも大きく影響する。<br>
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国や自治体は学校への支援員の配置などの対策を打ち出し、ほかにも無料で食事をふるまう子ども食堂や、勉強を見る無料学習塾などが各地で広がっている。<br>
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〔◆平成29(2017)年11月30日 秋田魁新報 朝刊(共同通信)〕 <br>
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'''子供の貧困対策 学習、食事… 総合的支援で自立へ'''<br>
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先進国の中で子供の貧困率が高い日本。<br>
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親から子への「貧困の連鎖」を断ち切り、学習支援や食事提供など総合的な支援で、子供の自立を促そうという取り組みが広がっている。<br>
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'''◇歯磨き'''<br>
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「家に帰ってからするよりも、今やった方が楽だよ」「じゃあ、頑張ってみようかな」<br>
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スタッフのアドバイスで児童が宿題に取りかかった。<br>
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夕食前に終わらせることができ、笑みがこぼれた。<br>
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今月9日、「日本財団」(東京都港区)が埼玉県戸田市に、貧困状態にある子供を総合的に支援する拠点を開設した。<br>
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対象は小学校低学年の児童。<br>
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専門スタッフや大学生らボランティアが常駐し、平日の放課後から午後9時まで学習支援や食事提供のほか、基本的な生活習慣が身に付くように働きかける。<br>
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世帯の収入により利用料を設定している。<br>
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約150平方メートルの施設には、学習や食事ができる部屋や調理場があり、絵本や玩具もそろう。<br>
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スタッフらが見守る中、児童らは宿題をしたり、のびのびと遊んだり。夕食の後には歯磨きの時間もある。<br>
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施設は、不登校児や難病児の支援を行ってきた同財団の貧困対策プロジェクトの第1号拠点だ。<br>
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学習プログラムの内容は「ベネッセホールディングス」(岡山市)が協力。<br>
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学習支援を行うNPO法人「[[ラーニング・フォー・オール]]」(新宿区)が運営を担う。<br>
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「家でも学校でもない第三の居場所」という位置づけで、貧困からの脱却を目指し子供の自立を促す。<br>
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同財団は5年をめどに50億円を投じ、全国100拠点の設置を計画している。<br>
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同プロジェクトコーディネーターの花岡隼人さん(31)は、<br>
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「貧困家庭の場合、自立するための力がゆがんで伝わってしまうことがある。さまざまな人との関わりから、自立する力を学んでもらえたら」と力を込める。<br>
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'''◇6人に1人'''<br>
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厚生労働省の「国民生活基礎調査」によると、子供の貧困率は、平成3年は12・8%だったが、24年は16・3%に増え、「6人に1人」の計算になる。<br>
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同財団によると、放置すれば、現在15歳の子供の1学年だけでも社会が被る経済的損失が約2兆9千億円に上るといい、対策は喫緊の課題となっている。<br>
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貧困の連鎖を止めるため、近年注目を集めているのが、「社会的相続」という考え方だ。<br>
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周囲の人など社会と関わる力や学力、自己肯定感など「自立するための力」を受け継ぐことを指す。<br>
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かつては、家庭が貧困であっても、地域の人との交流から生活習慣などを学ぶ機会があった。<br>
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だが、コミュニティーが衰退した今、そうした機会は激減している。<br>
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慶応大総合政策学部の中室牧子准教授(経済学)は「海外の研究では、やり抜く力や人との関わりを持つ力を育むことは、貧困対策として重要な視点といわれる」と指摘する。<br>
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'''◇地域ぐるみで'''<br>
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こうした中、NPO法人などを中心に、地域ぐるみで子供の貧困対策に取り組もうという動きが出てきている。<br>
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NPO法人「福岡県高齢者・障がい者支援機構」(北九州市)などは10月、北九州市八幡東区の商店街に子供の居場所「[[もがるか]]」をオープンした。<br>
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「核家族化が進み、母親に子育ての負担がかかり過ぎている。<br>
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地域ぐるみで家族となり、子供が多様な価値観に触れる機会を作りたい」と今別府隆志事務局長(48)は話す。<br>
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対象は小中学生で、学習支援や食事提供を実施。多世代交流や看護師による健康サポートなど、さまざまな面から子供を支える。<br>
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中室准教授は「日本で子供の貧困が急速に進んでいる。低年齢のうちに介入した方が政策効果が高いとされる。早めの対策が必要だ」と話している。<br>
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〔◆平成28(2016)年11月16日 産経新聞 東京朝刊〕 <br>
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'''貧困家庭の子供に「第三の居場所」 戸田市に日本財団が第1号''' <br>
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日本財団は「子どもの第三の居場所」の第1号拠点を埼玉県戸田市に開所した。<br>
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経済的課題を抱える家庭の子どもに生活・学習指導をし、夕食も提供。<br>
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家でも学校でもない落ち着ける場所を作る狙いだ。<br>
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ベネッセホールディングスなどと取り組む「子どもの貧困対策プロジェクト」として全国100カ所に設置する計画で、モデルとして有効性を検証する。<br>
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9日にオープンした施設は東京都内で学習支援の実績があるNPO法人が運営する。<br>
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学童保育のような仕組みで平日の放課後、小学校1~3年の児童20人程度を最大午後9時まで受け入れる。<br>
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スタッフは保育士や放課後児童指導員の有資格者など常時6人程度を配置。<br>
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宿題の見守りなどの学習支援や読書活動、整理整頓など生活習慣の指導などを行う。<br>
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キッチンを備え、温かい夕食も提供。<br>
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シャワーを浴び、衣服を洗濯、乾燥することもできる。<br>
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子供の安心な居場所になるとともに、生活リズムや学習意欲を身につけてもらう。<br>
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貧困家庭向けの施設とは位置づけず、空きがあれば一般家庭の子どもも預かる。<br>
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料金は他の民間学童に配慮し、午後7時までで月額3万円などやや高めに設定するが、家庭の経済状況によって料金は変わり、生活保護世帯などは無料となる。<br>
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日本では6人に1人の子供が貧困状態にあるとされる。<br>
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貧困家庭の子供は食事や医療、学習、進学などの面で恵まれず、将来も抜け出しにくい貧困の連鎖が指摘され、「居心地のいい空間で自立する力を身につけてもらいたい」<br>
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(日本財団ソーシャルイノベーション推進チーム)としている。<br>
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こうした家庭は保護者へのアプローチが難しい。<br>
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戸田市も協力し、町会など地域との交流を重視。<br>
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地域で発見し、働きかけることを目指す。<br>
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戸田市の神保国男市長は「貧困の連鎖を断ち切るため、様々な子が来られるよう支援していきたい」と話している。<br>
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施設はコンビニエンスストアだった建物を活用。モデル拠点のため整備に3000万円をかけた。<br>
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運営費は当初の1年間で5000万円。<br>
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全国展開に向けて経費を下げる一方、自治体や専門家の協力を得て子供の中長期的な変化を検証し、子供の貧困に有効な解決策の具体化に取り組む。<br>
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日本財団は競艇の収益金からの交付金を元に幅広い事業を手掛けている。<br>
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今回の施設も同財団が非営利事業として広げ、ベネッセがノウハウなどを提供する。<br>
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〔◆平成28(2016)年11月12日 日本経済新聞 電子版〕<br>
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'''貧困家庭の子ども支援:「居場所」100カ所開設へ 日本財団が学習支援や食事提供'''<br>
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日本財団は23日、ベネッセホールディングス(岡山市)などと協力し、貧困世帯の子どもの「居場所」を全国100カ所に開設すると発表した。<br>
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学習支援などを通じて「貧困の連鎖」を断ち切るのが狙い。第1号は今年11月、埼玉県戸田市に開設する予定。<br>
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日本財団は家でも学校でもない「第3の居場所」と位置づけ、都道府県に最低1カ所の開設を目指す。<br>
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資金総額は50億円。今秋から各地で説明会を開いて協力自治体を募る。運営は地元の民間団体に委託する。<br>
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利用できる子どもは貧困世帯に限らないが、所得によっては料金負担を求める。低所得世帯は無料にする。<br>
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無償の学習支援や食事の提供は、民間団体が自治体の補助を受けるなどして各地で行っているが、<br>
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必要とする子どもに支援が届かないことや、貧困から脱するための有効な対策が検証されていないことが課題となっている。<br>
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日本財団は協力自治体から情報を得て、支援を必要とする世帯に利用を直接働きかける。<br>
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定期的に利用者の学力や健康状況を調べ、学歴や年収なども追跡調査する。<br>◇'''国の対策後手'''<br>
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子どもの貧困をめぐっては厚生労働省の調査で、平均的な年収の半分を下回る世帯で暮らす18歳未満の子の割合は2012年に過去最悪の16・3%となり、日本全体の貧困率を上回った。<br>
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だが、「貧困の実態」は十分に分かってはいない。子どもの貧困対策に向けた国側の動きは鈍く、「子供の貧困対策法」成立(13年)を受け、ようやく本腰を入れ始めたばかり。<br>
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これに対し、一部自治体は国に先立ち取り組みを進めてきた。<br>
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新たな「居場所」では利用対象を小学校低学年を中心とし、読書を活用した学習支援や夕食の提供などを行う。<br>
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第1号の戸田市の居場所は、学習支援で実績のあるNPO法人に運営を委託、約20人の利用を想定している。<br>
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地域の学校などから情報提供を受け、利用を呼び掛ける予定。平日午後2時から9時ごろまで開所する。<br>
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東京都足立区は保護者の所得や食費、生活環境が影響するとされる虫歯の有無や就寝・起床時間などを調査。<br>
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沖縄県は「1年間で必要な食料を買えなかったことのあるひとり親世帯」の割合や、小学1年の時点で大学進学を断念している貧困世帯の割合を調べた。<br>
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貧困の「見える化」が徐々に進んできた。行政以外の調査でも経済格差が学力格差などを生む実態がわかってきた。<br>
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日本財団は昨年12月、ひとり親家庭や生活保護家庭の子どもを対象にした研究で、貧困対策を取らなければ経済損失は約2・9兆円に及び、国の財政負担は約1・1兆円増えるとの結果を発表。<br>
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お茶の水女子大も13年度の全国学力テストを分析し、世帯収入が低い家庭の子供ほど正答率が低いというデータが出ている。<br>
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〔◆平成28(2016)年5月24日 毎日新聞 西部朝刊〕 <br>
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<HTMLet>meisan_arainoriko_01</HTMLet>
  
 
[[Category:居場所のニュース|だいさんのいばしょとだきょてん]]  
 
[[Category:居場所のニュース|だいさんのいばしょとだきょてん]]  

2020年5月27日 (水) 19:58時点における版

Icon-path.jpg メインページ > 埼玉県 > 戸田市 > 第三の居場所・戸田拠点

第三の居場所・戸田拠点

所在地 埼玉県戸田市
TEL
FAX

一斉休校、子どもたちの「第三の居場所」が果たす役割とは―Learning for All 李炯植代表に聞く
政府の緊急事態宣言を受けて、各地で緊急事態措置が講じられています。
予期せぬ長期の休校により多くの家庭が影響を受けている中、子どもたちの預かりを続ける「第三の居場所」は、どのような役割を果たしているのでしょうか。
2016年11月の開設から戸田拠点の運営を担ってきた、NPO法人Learning for All の李炯植(り ひょんしぎ)代表理事にお話をうかがいました。
――「第三の居場所」設立の背景と現在の利用状況をお聞かせください。
夕食の時間。子どもたちとスタッフ、みんなで一緒に食卓を囲みます
日本全体では7人に1人、ひとり親家庭では実に2人に1人の子どもが貧困状態(※1)にあります。
貧困家庭で育つ子どもたちの多くは、学習や就業の機会も制限され、将来も貧困から抜け出すことのできない“負の連鎖”が続いています。
この連鎖を断ち切るためには、なるべく低年齢のうちから生活習慣を見直し、将来自立する力を育む必要があります。
その拠点として「第三の居場所」は設立されました。
戸田拠点は「第三の居場所」第1号拠点として2016年11月にオープンし、現在は小学校低学年を中心とする子どもたち13人が利用しています。
ひとり親家庭の子どもや、忙しい家庭の子どもなどが利用しており、それぞれの家庭が抱える課題は、経済的困窮など様々です。
通常は平日の午後2時から午後9時まで子どもたちを預かり、その間、学習支援だけでなく、
親以外の大人や子どもたち同士の関係構築を通じてソーシャルスキル(※2)を身につけたり、
夕食の提供を通じて食事の仕方や歯磨きなどの生活習慣を見直したりと、幅広く支援しています。
※1:ここでいう「貧困」とは「相対的貧困」であり、その国の文化水準、生活水準と比較して困窮した状態を指します。
※2:社会的技能。他者に対する振る舞い方やものの伝え方。
――施設運営において、日本財団はどのような役割を果たしているのでしょうか?
Learning_for_All_李炯植代表
立ち上げの開設費用と3年間にかかる運営費用は日本財団に支援いただき、それ以降は自治体の財政で運営していくことを各自治体と折衝して推進しています。
また、財政面だけでなく、職員のスキルアップのためのトレーニング支援なども受けています。
日本財団は「第三の居場所」を全国に100カ所開設することを目標としていますので、私たちはこの戸田拠点で良いモデルを示すことができればと考えています。
――新型コロナウィルス感染症の拡大により、どのような影響がありましたか?
感染症の拡大を受けて、まずは感染予防を徹底しています。
職員は毎日出勤前に検温し、手洗いうがいをこまめに行い、常時マスクを着用して2時間に1回は換気をしています。
また、施設内ではドアや手すりなど皆が触れる場所の消毒も行っています。
子どもたちも毎日検温し、発熱時は来ないようにしてもらい、入室時にも検温しています。
3月下旬の一斉休校時には、春休みまでの期間、午前9時から午後5時まで預かりを実施し、夕食ではなく昼食を共にしました。
とにかく急な休校だったので、ひとり親でどうしても仕事を休めない家庭など、午前中からのの預かりニーズはとても高かったのです。
急なシフトへの対応は拠点内だけでは難しかったため、他の事業所などから職員を派遣、増員して対応しました。
このような緊急事態下では、仕事と子育ての両立に悩む人や生活に困窮する人たちの問題が、とくに顕在化しやすいのです。
こんな時だからこそ、「第三の居場所」のような事業は続けていかなければならないと思います。
――実際に通っているお子さんや保護者の方はどのような様子なのでしょうか?
学校がなくて朝から拠点に通える“特別感”を楽しんでいる子もいますね。お医者さんごっこのように自分たちで検温したり。
とくに不登校気味の子はポジティブに捉えていますが、長引けば学校再開への不安も増すといった懸念もあります。
そんな子どもたちとは反対に、保護者の方々は深刻な悩みを抱えている人も多く、「この拠点のおかげで本当に救われた」と言ってくださる方もいます。
いつも以上に忙しくしている人もいますが、仕事とともに収入も減り、家計への影響が出始めている人もいます。
そんな保護者の方からは、不安定な精神状態で、連日長時間、子どもと2人きりでいることにストレスを感じてしまうといった声も聞かれました。
外出制限が続いてDV(ドメスティックバイオレンス=家庭内暴力)が増えているという海外の事例も報道されていますが、決して遠い国のことではないと思います。
――子どもや保護者と接する職員の方々には、戸惑いはありませんか?
新型コロナウィルス感染症は、いつ誰が感染してもおかしくないと言われていますよね。
自分自身の感染リスクもある中、子どもたちの居場所を守り続け、目に見えないウィルスからも子どもたちを守るというのはとても大変なことで、
心の中には不安や葛藤を抱えている職員もいると思います。
それでも職員全体のモチベーションは高く、ピンチをチャンスと捉えて子どもたちと新たな目標設定をしたり、
関わる時間がいつもより増えた分、様々なアクティビティに挑戦したりしています。
――緊急事態宣言下ですが、これからの展望をお聞かせください。
どうしても必要な人には欠かせない施設ですので、戸田市と連携を取りつつ、規模を縮小するなどしても継続する方向で検討しています。
また、学習支援などはオンラインでも可能ですので、私たち Learning for All としても実施する予定ですが、
回線や端末が整っていない家庭もありますので、行政にはそういった家庭への支援も視野に入れてほしいと思います。
今懸念していることは、子どもたちとの距離が物理的にも心理的にも離れてしまうことで、
学習機会が再び失われたり、せっかく身につけた生活習慣を疎かにしてしまったりすることです
。学習意欲や生活習慣を取り戻すのにはとても時間がかかります。
本当に必要な子は通い続けられるように、そして少し間の空いてしまった子はいつでも戻ってこられるように、
皆で子どもたちの「第三の居場所」を守っていきたいと考えています。
――本日はありがとうございました。
〔2020年4/24(金) 政治山〕

貧困家庭の子に「もう一つの家」 生活習慣身に付けて 大人と過ごす場を提供 国や自治体も積極支援
低収入などの理由で親が遅くまで働く子ども向けに、放課後から夜まで大人と一緒に過ごす「もう一つの家」づくりが各地で進んでいる。
家庭でも学校でもない第三の居場所を提供し、食事の後片付けなど生活習慣を身に付けさせるのが狙いだ。
親から子への「貧困の連鎖」を防ごうと、国や地方自治体も積極的に支援に乗り出している。
  「ただいま。早く遊びに行こうよ」
埼玉県戸田市の子どもの居場所施設。
小学校の授業が終わる午後3時ごろから、低学年の児童約10人が集まり始め、大人のスタッフにせがんだ。
入ったらすぐランドセルを棚にしまって手を洗い、夕食の時は配膳を手伝って歯磨きをする。
施設に通い、これらを身に付けた子は多い。
日本財団が戸田市と協力して昨年11月に設立し、NPO法人「ラーニング・フォー・オール」が運営。
経済的に苦しい小学校低学年の子を対象に、平日の放課後から午後9時まで受け入れる。
子どもが放課後過ごす自治体の学童保育はあるが、午後7時までのケースが多く、親が遅くまで働く家では幼い子が一人きりになりがちだ。
この施設では、夕食を囲む広間や自由に過ごすリビングがあり、外遊びで服が汚れたら洗濯機やシャワー室を利用できる。
食事や後片付けなどをできるようにし、勉強に向かう環境を整える。
厚生労働省によると、貧困の子どもは7人に1人。親も貧困の環境で育ち、入浴習慣や偏りのない食事の大事さを知らなかったり、障害やストレスを抱えて教えられなかったりすることが多い。
戸田市の施設では、歯磨きなどの習慣が身に付いていない子にスタッフがマンツーマンで付き添い、手洗いや宿題ができると褒めて自信をつけさせた。
その結果、「時間になったから宿題をやる」といった自発的な行動ができるようになった。
日本財団の花岡隼人さんは「生活苦の家庭の子どもは読書や体験の機会が少なく、勉強の意欲が湧かないまま成長する恐れがある。大人が見守って子どもの自己肯定感を育て、生きる力を育むことが必要だ」と訴える。
このような支援は戸田市のほか、大阪府箕面市、広島県尾道市でも始まり、同財団は2020年までに全国100カ所で整備する方針だ。
「勉強をしない日があってもいい。『ここにいたい』と思える場所があることが大事」と話すのは、滋賀県で社会福祉協議会などと協力し、週3回、夜の子どもの居場所を開く社会福祉士の幸重忠孝さん。
2年前から、利用者のいない夜間の介護施設などで実施し、今では県内10カ所に広がった。
子どもは夜9時まで、ボランティアと夕食を食べ、遊び、入浴をして過ごす。
「大人と笑いながら過ごせる時間が子どもの成長には必要だ」(幸重氏)。
【子どもの貧困】
平均的な所得の半分に満たない家庭で暮らす18歳未満の割合を示す「子どもの貧困率」は、2015年時点で13.9%で、7人に1人が当てはまる。
子どもの貧困を放置すると、生活面だけでなく進学や就職にも大きく影響する。
国や自治体は学校への支援員の配置などの対策を打ち出し、ほかにも無料で食事をふるまう子ども食堂や、勉強を見る無料学習塾などが各地で広がっている。
〔◆平成29(2017)年11月30日 秋田魁新報 朝刊(共同通信)〕

子供の貧困対策 学習、食事… 総合的支援で自立へ
先進国の中で子供の貧困率が高い日本。
親から子への「貧困の連鎖」を断ち切り、学習支援や食事提供など総合的な支援で、子供の自立を促そうという取り組みが広がっている。
◇歯磨き
「家に帰ってからするよりも、今やった方が楽だよ」「じゃあ、頑張ってみようかな」
スタッフのアドバイスで児童が宿題に取りかかった。
夕食前に終わらせることができ、笑みがこぼれた。
今月9日、「日本財団」(東京都港区)が埼玉県戸田市に、貧困状態にある子供を総合的に支援する拠点を開設した。
対象は小学校低学年の児童。
専門スタッフや大学生らボランティアが常駐し、平日の放課後から午後9時まで学習支援や食事提供のほか、基本的な生活習慣が身に付くように働きかける。
世帯の収入により利用料を設定している。
約150平方メートルの施設には、学習や食事ができる部屋や調理場があり、絵本や玩具もそろう。
スタッフらが見守る中、児童らは宿題をしたり、のびのびと遊んだり。夕食の後には歯磨きの時間もある。
施設は、不登校児や難病児の支援を行ってきた同財団の貧困対策プロジェクトの第1号拠点だ。
学習プログラムの内容は「ベネッセホールディングス」(岡山市)が協力。
学習支援を行うNPO法人「ラーニング・フォー・オール」(新宿区)が運営を担う。
「家でも学校でもない第三の居場所」という位置づけで、貧困からの脱却を目指し子供の自立を促す。
同財団は5年をめどに50億円を投じ、全国100拠点の設置を計画している。
同プロジェクトコーディネーターの花岡隼人さん(31)は、
「貧困家庭の場合、自立するための力がゆがんで伝わってしまうことがある。さまざまな人との関わりから、自立する力を学んでもらえたら」と力を込める。
◇6人に1人
厚生労働省の「国民生活基礎調査」によると、子供の貧困率は、平成3年は12・8%だったが、24年は16・3%に増え、「6人に1人」の計算になる。
同財団によると、放置すれば、現在15歳の子供の1学年だけでも社会が被る経済的損失が約2兆9千億円に上るといい、対策は喫緊の課題となっている。
貧困の連鎖を止めるため、近年注目を集めているのが、「社会的相続」という考え方だ。
周囲の人など社会と関わる力や学力、自己肯定感など「自立するための力」を受け継ぐことを指す。
かつては、家庭が貧困であっても、地域の人との交流から生活習慣などを学ぶ機会があった。
だが、コミュニティーが衰退した今、そうした機会は激減している。
慶応大総合政策学部の中室牧子准教授(経済学)は「海外の研究では、やり抜く力や人との関わりを持つ力を育むことは、貧困対策として重要な視点といわれる」と指摘する。
◇地域ぐるみで
こうした中、NPO法人などを中心に、地域ぐるみで子供の貧困対策に取り組もうという動きが出てきている。
NPO法人「福岡県高齢者・障がい者支援機構」(北九州市)などは10月、北九州市八幡東区の商店街に子供の居場所「もがるか」をオープンした。
「核家族化が進み、母親に子育ての負担がかかり過ぎている。
地域ぐるみで家族となり、子供が多様な価値観に触れる機会を作りたい」と今別府隆志事務局長(48)は話す。
対象は小中学生で、学習支援や食事提供を実施。多世代交流や看護師による健康サポートなど、さまざまな面から子供を支える。
中室准教授は「日本で子供の貧困が急速に進んでいる。低年齢のうちに介入した方が政策効果が高いとされる。早めの対策が必要だ」と話している。
〔◆平成28(2016)年11月16日 産経新聞 東京朝刊〕 

貧困家庭の子供に「第三の居場所」 戸田市に日本財団が第1号
日本財団は「子どもの第三の居場所」の第1号拠点を埼玉県戸田市に開所した。
経済的課題を抱える家庭の子どもに生活・学習指導をし、夕食も提供。
家でも学校でもない落ち着ける場所を作る狙いだ。
ベネッセホールディングスなどと取り組む「子どもの貧困対策プロジェクト」として全国100カ所に設置する計画で、モデルとして有効性を検証する。
9日にオープンした施設は東京都内で学習支援の実績があるNPO法人が運営する。
学童保育のような仕組みで平日の放課後、小学校1~3年の児童20人程度を最大午後9時まで受け入れる。
スタッフは保育士や放課後児童指導員の有資格者など常時6人程度を配置。
宿題の見守りなどの学習支援や読書活動、整理整頓など生活習慣の指導などを行う。
キッチンを備え、温かい夕食も提供。
シャワーを浴び、衣服を洗濯、乾燥することもできる。
子供の安心な居場所になるとともに、生活リズムや学習意欲を身につけてもらう。
貧困家庭向けの施設とは位置づけず、空きがあれば一般家庭の子どもも預かる。
料金は他の民間学童に配慮し、午後7時までで月額3万円などやや高めに設定するが、家庭の経済状況によって料金は変わり、生活保護世帯などは無料となる。
日本では6人に1人の子供が貧困状態にあるとされる。
貧困家庭の子供は食事や医療、学習、進学などの面で恵まれず、将来も抜け出しにくい貧困の連鎖が指摘され、「居心地のいい空間で自立する力を身につけてもらいたい」
(日本財団ソーシャルイノベーション推進チーム)としている。
こうした家庭は保護者へのアプローチが難しい。
戸田市も協力し、町会など地域との交流を重視。
地域で発見し、働きかけることを目指す。
戸田市の神保国男市長は「貧困の連鎖を断ち切るため、様々な子が来られるよう支援していきたい」と話している。
施設はコンビニエンスストアだった建物を活用。モデル拠点のため整備に3000万円をかけた。
運営費は当初の1年間で5000万円。
全国展開に向けて経費を下げる一方、自治体や専門家の協力を得て子供の中長期的な変化を検証し、子供の貧困に有効な解決策の具体化に取り組む。
日本財団は競艇の収益金からの交付金を元に幅広い事業を手掛けている。
今回の施設も同財団が非営利事業として広げ、ベネッセがノウハウなどを提供する。
〔◆平成28(2016)年11月12日 日本経済新聞 電子版〕

貧困家庭の子ども支援:「居場所」100カ所開設へ 日本財団が学習支援や食事提供
日本財団は23日、ベネッセホールディングス(岡山市)などと協力し、貧困世帯の子どもの「居場所」を全国100カ所に開設すると発表した。
学習支援などを通じて「貧困の連鎖」を断ち切るのが狙い。第1号は今年11月、埼玉県戸田市に開設する予定。
日本財団は家でも学校でもない「第3の居場所」と位置づけ、都道府県に最低1カ所の開設を目指す。
資金総額は50億円。今秋から各地で説明会を開いて協力自治体を募る。運営は地元の民間団体に委託する。
利用できる子どもは貧困世帯に限らないが、所得によっては料金負担を求める。低所得世帯は無料にする。
無償の学習支援や食事の提供は、民間団体が自治体の補助を受けるなどして各地で行っているが、
必要とする子どもに支援が届かないことや、貧困から脱するための有効な対策が検証されていないことが課題となっている。
日本財団は協力自治体から情報を得て、支援を必要とする世帯に利用を直接働きかける。
定期的に利用者の学力や健康状況を調べ、学歴や年収なども追跡調査する。
国の対策後手
子どもの貧困をめぐっては厚生労働省の調査で、平均的な年収の半分を下回る世帯で暮らす18歳未満の子の割合は2012年に過去最悪の16・3%となり、日本全体の貧困率を上回った。
だが、「貧困の実態」は十分に分かってはいない。子どもの貧困対策に向けた国側の動きは鈍く、「子供の貧困対策法」成立(13年)を受け、ようやく本腰を入れ始めたばかり。
これに対し、一部自治体は国に先立ち取り組みを進めてきた。
新たな「居場所」では利用対象を小学校低学年を中心とし、読書を活用した学習支援や夕食の提供などを行う。
第1号の戸田市の居場所は、学習支援で実績のあるNPO法人に運営を委託、約20人の利用を想定している。
地域の学校などから情報提供を受け、利用を呼び掛ける予定。平日午後2時から9時ごろまで開所する。

東京都足立区は保護者の所得や食費、生活環境が影響するとされる虫歯の有無や就寝・起床時間などを調査。
沖縄県は「1年間で必要な食料を買えなかったことのあるひとり親世帯」の割合や、小学1年の時点で大学進学を断念している貧困世帯の割合を調べた。
貧困の「見える化」が徐々に進んできた。行政以外の調査でも経済格差が学力格差などを生む実態がわかってきた。
日本財団は昨年12月、ひとり親家庭や生活保護家庭の子どもを対象にした研究で、貧困対策を取らなければ経済損失は約2・9兆円に及び、国の財政負担は約1・1兆円増えるとの結果を発表。
お茶の水女子大も13年度の全国学力テストを分析し、世帯収入が低い家庭の子供ほど正答率が低いというデータが出ている。
〔◆平成28(2016)年5月24日 毎日新聞 西部朝刊〕 

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