勧めるのは「できることから始める」

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1985年のプラザ合意が、日本にひきこもりが一定の社会層といわれるまで増大した政策的な(特定の意思によって)出発になったと私は考えています。プラザ合意は先進5か国の政治指導者が資本主義世界を存続するために合意したものです。ひきこもりという字句はないし、意識の末端にもなかった、意識外の事態であったことは承知しています。
プラザ合意の結果、日本の円高はすすみ(ドル安)、数年後にバブル経済が崩壊し、企業倒産と日本企業の海外転出が続出しました。日本は就職難と失業時代になり、「就職氷河期」の到来です。この流れの1つの行き先がひきこもりになりました。
この複雑な社会の巨大な動きをプラザ合意だけに負わせるつもりはありません。しかし、事態の推移をプラザ合意抜きにして語ることもできません。ここには説明すべき大きな空白が残っています。今回はこの空白を埋める私が関わった小さな1つを説明します。

私が編集した本に『自分を生かす仕事選び』(坂本鉄平、高校出版、1988年)があります。主に高校生の将来の仕事を考える参考にするため、坂本さんがいろいろな人にインタビューをしてまとめたものです。
手元にその本はなく、どういう意図の企画かは不正確ですが支障はないです。どういう経路でその仕事に就いたのか、その仕事はどういうことをするのか、どういうよさや楽しみがあるのか、自分にとってその仕事はどういう役割をはたすのか、今後の可能性や夢はどういうものか…などをそれぞれに即して聞いたものです。それらのことを「自分を生かす」としてまとめたのです。その理解は読む側の判断にゆだねられます。参考とはそのような意味でしょう。
いまそういう本を出してそれでよかったのかと振り返ってみます。それが間違いとは思えませんが、時代の進歩を十分に予測していたとはいいがたいと思います。いろいろに解釈できるわけで、言いかえるなら自分に都合よく解釈できる、ともいえるでしょう。1つひとつの仕事の内容はともかく、全体を「自分を生かす」という点は違うと感じています。
1990年の前後の数年は、日本社会の産業構造、雇用状態(とりわけ若い世代の就職機会)が大きく変わった境目でした。それもあって「自分を生かす仕事選び」という点に、あえて異議をはさむ人はいないかもしれません。
しかし編集担当者としては敏感に考えます。自分という個人は、大きな社会の中の1人です。社会の大きな動きの中で、この大きな動きを左右することはできません。その面に目を向けていかなくてはならないことが、2000年に入ったころには私にも明らかになりました。
「発生した問題を、個人で取り組めることのみで解釈しようとしていないか」という指摘をある本に見つけました。この人は「できること」から始めるのを基準にし、「できること」を増やしていく方法を提示しています。それは私が不登校情報センターを立ち上げ(1995年)、集まってきた当事者にいつのころからか勧めている方法と同じものです。
その『ゆとり世代はなぜ転職をくり返すのか?』(福島創太・ちくま新書・2017年)には多くの学ぶべき内容があります。そのいくつかをこれから書いていく予定です。
〔ひきこもりパラドクス

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