GDP(国内総生産)の利用に関して

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家事労働をどう評価する前に出合ったのが、生産・サービスおよび投資を金額表示している国内総生産(GDP)です。〔*ウィキペディア「国内総生産」2025年1月15日アクセスを参考にします〕。
エンゲルスの時代、19世紀にはGDPの考えはありませんでした。しかも20世紀に入ってからのGDPの成立には長い経過があり、しかもいまもって十分に確立しているとはいえないでしょう。GDPが公式に国連SNAの基準として採用されたのはようやく1993年のことです。私の記憶でもそれまでにGNP(国民総生産)という言葉が使われていました。それでいてGDP自体は今なお確固とした正確性や公平性をもっているとはいえません
そういう不正確さ、あいまいさを持ちながら一国の経済規模を計るにはある程度の確かさをもち、数字換算されているので便利に利用されます。成立経過を省いてGDPを私なりに紹介します。
エンゲルスの時代にはGDPは存在しません。GDPで扱うのは「市場で取引きされた物品・サービスの生産を計上」されているものです。その市場の成立は世界各地で大きな時間差があります。19世紀に市場取引が進んでいたのはむしろ一部の地域、主に西ヨーロッパ、北アメリカおよび日本の都市域に限られていました。その時間差は今日も続いています。
ウィキペディアの「国内総生産」のページに表示されているIMFの国別GDP(2016年)の地図には、MER(名目)ベースとPPP(実質)ベースが併存しており、「名目ベースでは先進国の値が高く、PPPベースではインドや中華人民共和国など新興国やアフリカなどの発展途上国の値が高く表示されやすいことが読み取れる」としています。これは名目GDPと実質GDPの違いを表わすだけではありません。
概略を知るためですからこれを詳しくは述べませんが、「市場取引き」といっても、市場外取引の経済活動を完全に無視することはできないのです。市場外取引の分量は必ずしも少ないわけではなく、さまざまな推計により計算する方法を採用しています。すなわちGDPは、一国の経済活動を市場取引きによって計算しているが、それ以外のものを推計して取り入れざるを得ないのです。
数値に関しては、米ドルベースで表示しますが、これは為替の変動を直接に受けます。円高時の日本は高く表示され、円安になれば低く表示されるのです。
何をGDPの経済活動に含むのかに関しては異論もあります。国により範囲に含む・含まないの違いもあります。麻薬取引や売春サービスなど地下経済を計上されないのですが国によっては計算に入れています。すなわちSNAの基準はありますが、その適応は各国に任されており同一に実施されていません。日本は内閣府が担当ですが、計算方法は公開されていません。国家機密が含まれ、多くの国も公開していません。
この他にもいくつかの問題をもつのがGDPです。それでも大まかな国民の経済活動を表示するのに便利であるために使われます。GDPは事態を把握しやすいといえます。
そのGDPと比べると事態の把握がかなり難しいのが家事労働です。信用性の高い家事労働を計測する方式が確立するにはまだかなりの年月を要するでしょう。

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