「仕事場の紹介と交流会」を説明するために小冊子『仕事に就ける力をつけるとはどんなことか』をつくりました。
表紙を入れてA5版20ページ、思ったより多くの内容が入ります。
その場に安定的にいられる、人とかかわる、コミュニケーションをとる…という何かの力を伸ばす面に関心が行きますが、
ひきこもり経験者の多くはその前のところで壁を感じています。
失敗したら…、怒られたら…、自分がいたら迷惑では…などです。
それを乗り越えるのは知識ではなく、実際の体験です。
そういう体験をおどおど始めながらも自然になじんでいく過程が必要です。
いくつかの事業者と「仕事場の紹介と交流会」の場づくりの準備が進んでいます。
そういう方たちに説明会をどう開くのか、いつどこで開くのかなどの企画的な話に並行して、基礎的・基本的なことを知っていただくつもりで用意しました。
親の会に参加する方たちにも渡していく予定です。
近く会う事業者向けなどに試作品をつくったところです。
「居場所ワーク」カテゴリーアーカイブ
事業者側からひきこもりに働きかける(提案)
〔求人をしているいくつかの事業者に案内をした文章です。一部省略して紹介します。すでに好意的な回答もありました。〕
不登校情報センターは20年にわたりひきこもりと周辺状況の人たちとかかわってきました。
ある程度の期間かかわった人の3割程度が仕事かそれに類する状態になっています。
仕事に就いた人たちの多くは、不登校情報センターに通ううちに対人関係、社会経験を重ね、その積み重ねた経験とその時期に出会った条件のなかで仕事についたと理解できます。
ここに昨年来、ある現場で働く30代のひきこもり経験者がきて、その会社の意を受けて実質的なリクルート活動を行い、数名がその会社で働き始める状態をつくりました。
おかげで不登校情報センターに通所する中心メンバーの多くが抜けていなくなりました。
しかし、ひきこもり状態で仕事についていない人は多数います。
そういう人たちに向け新しい取り組みを進めたいと考え提案させていただきます。
それぞれの業種・職種の実情に合った工夫も必要です。
その舞台となった不登校情報センターの条件や役割も勘案した提案をします。
この企画に関心を示される事業者の方を探しています。
まずは提案を説明し意見交換する場をお願いします。
(1) 企画の目的
求人をしても働き手が来ない中小事業者や後継者難の事業者に、ひきこもり経験者を雇用できる条件づくりと過程や方法を説明し、求人につなげます。
(2)求人の対象者は厚生労働省基準の「ひきこもり」に限らず、いろいろな事情から「ひきこもり」に近い状態で仕事についていない人を対象にします。おおよその年齢は20代から40代になります。
(3)事業者、募集担当者は求人をする対応者です。
その会社ならではのリクルート活動をともに考えます。提案者の松田は20年以上の経験があります。
すでに仕事に就いた人たちの経験を聞くことで対応方法のヒント、募集者の個性を生かした案内スタイルを探っていけます。
(4)就業への働きかけの条件づくりと方法
事業者側から職に就くよう働きかけをする心得と仕組みづくりを重視します。
事業所の規模によりますが、担当者をきめて継続的に進めるところが成果を得るものと考えます。
(A)「ひきこもり状態の人」を理解する機会をつくる
一般的なひきこもり理解の学習に加えて、具体的なひきこもり経験者の話をきく(長期的なひきこもりを経験し、ある程度の就労経験のある人の話を聞く場)、家族会などに出席して出席者と意見交流できる関係になる。
(B)事業所としての予備的な場をつくる。
1日の仕事場見学会、短期の実習(1日2~3時間の実習を1週間行うなど)、見習い講習会(職場の仕事に必要な技術や知識を習う)、臨時アルバイト(インターン制など)。
これらの計画を事業所の規模や性格に即して作成し、「ひきこもり状態の人」に案内します。
「ひきこもり状態の人」が仕事に就くときの最大の壁は就職面接です。
この予備段階で就職する先の人と顔見知りになっている、その顔見知りの人が就職面接の場にいれば、この高い壁を相当に超えやすくなります。
手芸や工芸、デザイン関係などは少人数の教室を開き(定期的なサークルみたいなもの)、そこの参加者と顔見知りになって、徐々に仕事に就くように誘う方法もあります。
(C)事業所の説明会を開く
参加する事業者による説明会をひらきます。
どういう業種・職場・職種であるか明示して、ひきこもり状態の人に説明会への参加を呼びかけます(1人の出席で実施します)。
この説明会では就職者を募る以上に、参加者である「ひきこもり状態の人」とのふれあいや交流できる場にすることが大事です。
これは「事業所としての予備的な場」で説明したとおりです。
受け入れ準備のできた事業所から説明会をひらきます。
この説明会は事業者(事業主や担当者)が、どのようにすれば「ひきこもり状態の人」が働こうとするのかを、経験的に理解し把握する機会です。
事業者にとっては雇用した「ひきこもり状態の人」等の社員を育てる姿勢が大事であると理解し認識できると思います。
これからの時代に必要な事業体の性格ではないでしょうか。
以上は。まずは私の個人的な素案です。
まずは私に説明する場を設けていただきますようにお願いします。
不登校情報センターは転居し活動は縮小(検討中)
新方向が必要な背景
①きっかけは主力スポンサー会社の広告停止です。
今回だけではなく最高期と比べて収入は半減しています。
借入金・未払金を確実に支払うため、転居を考えます。
②定期的に通所する当事者が減少しています。
個別相談室的なミニ居場所を設けて、収入源になっているネット運営を継続します。
集会的な取り組みは外部の施設を借りて行います。
③現在の借室の更新が8月であり、2~3か月以内に移転先を決めます。
電話番号を変更しなくてもいい地域を考えています。
基本方向は、収入に見合う取り組みを継続することです。
所在し続けることが必要条件になります。
①居場所の活動(集会できる場所がなくなる可能性は大)。
会場を借りて継続する方法を考えます。
・親の会(十代中心の不登校、20代後半以上のひきこもり、それぞれ月1回)
・ゲーム交流会(月1回)
・パステルアート教室(月1回)
・就労について考える会(月1回)
・希望の会(ひきこもり経験者の集まり、月1回)
・絹リサイクル・リメイク教室(月1回)
・相談室(月10件程度)⇒難問かもしれません。
②居場所外の活動(居場所がなくても継続できます)
・かつしか子ども・若者応援ネットワーク
・ひきこもり大学in下町
・訪問サポート活動
・ネット上の情報提供(継続できる条件を確保)
*パソコン数台、コピーFAX複合機、事務文書の置き場・保管
活動を継続できる別の条件探し
・江戸川区等の施策にできる条件を探す。
・空き家等で現状レベルのスペースを低額で借用できる(可能性を聞いたところ当面はありえません)。
居場所での話し合いと事業化の試み
先日のフューチャーセッション庵の「ひきこもり新聞公開編集」の続きです。
すでに形のある企画ですが、そこに当日参加の人が自由に話しました。その意味では庵の趣旨にも適合しています。
話し合って具体化が進んでいくと、場合によっては事業化が考えられます。「ひきこもり新聞」は庵の話し合いでそれが進み、実現しました。もちろん中心メンバーはそれ以外の場で必要な作業をしていたはずです。
居場所で話していたことが事業になり、独立すると一般参加者の話せる余地は減ります。これが家族問題を当事者同士で話すというテーブルとは違います。でもカウンセラーをめざす人が参加したら、その人には個別の目標が生まれるかもしれません。それは認められることでしょう。
今回の「ひきこもり新聞」編集は話し合いテーマの中心は事前に設定されていました。これも認められることでしょう。
庵の準備会(11月)に私は「ひきこもりニュース通信員」の企画を提案しました。これは企画の説明会になり「ひきこもり新聞」的な自由な話し合いからスタートするのとは違います。すでに実施しています。それでテーブル設定の提案は取り下げました。
私が提案した「ひきこもりニュース通信員」企画は、この自由に話し合う過程をすでに終え、実施している事業企画です。そこへの参加者を募集する主旨になります。
進め方によっては庵の趣旨のなかで扱えるのかもしれませんが、当日参加者の意見は決められた大枠に参考意見を加える程度です。「ひきこもり新聞」編集の話し合いも同様ですが、これまでの流れで進んできたので自然なわけです。
不登校情報センターの居場所でのサイト制作の発生もこの要素が絡んできました。初めにひきこもり経験者の集まるフリースペースができました。そこにパソコンを扱う数名のグループが生まれました。彼らのなかに「不登校情報センター」のサイト(非公式サイト)をつくる人が表われました。数人がそれを繰り返したあと、私が関与して「不登校情報センター」のサイトをつくるようにしました。公式サイトであり、事業化でもあります。特色は「不登校情報センター」の内容以上に、学校や親の会や相談室など他の団体情報を系統的に集めて紹介してきたことです。「ひきこもり新聞」も庵情報ではなく、ひきこもりを取りまく情報紙になりそうです。
*「ひきこもりニュース通信員」の説明会は15日に独自に行います。
サイト制作しながらの居場所経験ー15日に説明会
不登校情報センターで取り組むサイト制作に参加者募集をします。
その内容の説明会をします。8月15日(月)13時~15時と8月27日(土)13時~15時の2回です。
不登校情報センターのサイト制作に関わる人と家族、関心を持つ人を対象に説明会をします。希望者が1人いれば実施します(前日までに連絡ください)。
ひきこもり経験者がパソコンを使う作業をしながら居場所の生活を試すというのがいちばんぴったりな内容紹介になるでしょう。いつ来ても・いつ帰ってもいい「遅刻・早退なし」ですが、何をすればいいかははっきりあります。ノルマはありませんが、そのまま社会に発信する情報提供になります。マイペースで週1~3回(1日2~4時間)のボランテイアのつもりでお試しください。
詳しくは会報『ポラリス通信』8月号に「ひきこもり経験者がサイトを収入源にする形」という記事です。掲載記事は長い(3ページ)ので、主な項目を紹介します。
◎不登校情報センターが紹介する学校・団体の紹介(Wikiシステム)
◎HPへのリンク(バナー作成)とリンク希望のFAXによる募集活動
◎アマゾンの個別商品紹介リンク(本と一般商品)のサイトへの貼り付け
◎訪問・出張型サービス業種の紹介
◎周辺ニュース(新聞記事からの転載)
◎市区町村別ページと都道府県別ページの工夫
関心のある人には会報『ポラリス通信』8月号を送ります。遠慮なく請求してください。
連絡先、メール:open@futoko.info、FAX:03-5875-3731、TEL:03-5875-3730
*「お名前と15日説明会に参加、または27日説明会に参加」を明示してください。
パソコンをウィンドウズ10にアップ
PCの基本OSをウィンドウズ10にアップグレードする期限、無料でアップグレードできるという意味ですが、7月29日までです。
昨日、久しぶりにH2くんに来てもらいこの作業をしました。もともとは私がいつも使っている1台の調子が悪くて、これはまずいと来てもらったわけです。ついでのはずが、こちらのアップ作業が中心になりました。おかげで全4台+2台のPCをウィンドウズ10にアップグレードできました。
午後になって、出張型パソコンの指導をしている教室から紹介情報が届きました。そういえばH2くんはこれまでも何度かヘルプデスク(パソコンのハード面のお助け)をしています。H2くんの紹介情報もここに仲間入りさせることにしました。
〔パソコンヘルプデスクのエイチツー〕
http://www.futoko.info/…/%E3%83%98%E3%83%AB%E3%83%97%E3%83%…
活動報告を「かつしかネット」に送る
かつしか子ども・若者応援ネットワークでまとめる活動報告に、原稿を送りました。
3点に分けました。
1、引きこもり当事者に同行する取り組み
2、30代以上の引きこもりへの訪問と居場所ワーク
3、引きこもりの親の会の役割と最近の様子
全体分量は原稿用紙換算で40枚近くになります。
あちこちに部分的に書いてきたことをまとめて整理した感じです。
居場所ワークがこれからめざすもの
14年前の2002年に「不登校情報センターを働ける場にしてください」という10人ほどの要望に「小遣い程度を得られる場にしよう」と答えて始まったのが、現在の居場所ワークです。
始まったころはポスティング(情報誌『ぱど』配布など)やDM(学校案内書のダイレクトメール)の作業が中心でした。そのうち並行して進めていた不登校情報センターの学校や支援団体の情報提供サイト制作の役割が時間とともに大きくなりました。今ではほぼ情報提供サイト制作と運営だけになっています。
3年前からはサイト制作に必要な情報収集を事務作業として始めました。居場所ワークはサイト制作とその情報収集の事務作業の2つになりました。
その事務作業の内容も広がりつつあります。たとえば新分野の情報を集めようとするとき私はメンバーから意見を聞くことが多くなりました。そうすると事務作業グループが企画検討会になります。引きこもりなどを経験した当事者の意見はリアル感が違います。
2015年11月から全国の教育委員会あてに不登校への対応を情報提供依頼しました。このグループの意見を取り入れた依頼内容はよかったと思います。問いかけることが具体的であり、答えやすくなったのです。
サイト制作を始めて数年後から広告収入が得られるようになりました。情報センターとして収入を得、サイト制作にかかわる人にわずかですが作業費を支払う形をとりました。しかしサイト制作・運営業で収益を得ることは難しい課題です。不登校情報センターがその最下段にたどり着いたのは、やっと数年前です。信頼性が高くきわめて規模の大きなサイトに成長しました。
それでも公的な支援は期待できません。いろいろな引きこもり支援団体が活動休止に追い込まれているなかで、このサイトを所有できたことは幸運です。
しかし、今のサイト制作の方法では当事者にとっては自分の収入源にはなりません。不登校情報センターのサイトを活用しながら、各自で収入を得られる運用方法を研究するのが現在の課題です。その研究中の具体例を挙げてみます。
(1)当事者が独自に活用した最初は個人ブログです。不登校情報センターが運営するブログは無料使用できます。そしてブログを書く人が得られる収入(これも広告収入)の大部分を得られるようにしました。しかし、そのレベルで活用できているのはまだ2名にすぎません。収入はわずかです(商業運営のブログは無料で活用できますが、収入を得るレベルになるのは至難です)。
(2)次も広告の一種ですがアフィリエイトと呼ばれます(有名なのはAmazon)。7、8年前に不登校情報センターが広告会社Amazonと契約しました。ここ数年は放置していましたが、昨年秋から活用を再開しました。これはまだ十分な収入レベルではありませんが貢献が期待できます。
当事者が独自に活用できるのは、この運用を別のアフィリエイト会社に応用する形です。契約すればその担当者の収入にできます。そうしながら運用のしかたを学ぶのです。不登校情報センターのサイトは大きいのでそれが可能な状態です。
(3)パソコンのハード面に詳しい人がいます。以前から不登校情報センターのパソコンの管理や修理をお願いしています。ときおり協力者などから「パソコンの動きが遅い」などの話があり、出かけて行って点検・修理をしています。これはヘルプデスクという仕事です。
この人の取り組みを個人バナー広告にしてサイト内の数か所に張り出しました。個人の活動をバナー広告の形で応援する“仕事づくり”です。
(4)文通で相談活動をする人もいます。カウンセリングに近いもので、引きこもり経験を生かした取り組みです。この人の取り組みも個人バナー広告でサイト内に張り出しました。
サイトに紹介している支援団体としてのカウンセラーのなかには、もともとは引きこもり的と思える人もいます。この人たちにも同様の個人バナー広告を案内し始めました。
(5)以前に通所していた人でアクセサリー手作り作品を制作し、自作のホームページで販売をしている人がいます。この人にも個人バナー広告の案内をしています。販売上の手助けに利用してもらうのです。このタイプの人は他にもいると予想しています。
個人バナー広告は、引きこもり経験者によく表れる職業指向(カウンセリングなどの対個人サービス系、手芸などの創作活動系)を応援していく役割がみてとれます。
不登校情報センターのサイトへのアクセス数は毎日3000名くらいです。このレベルをさらに上げることが、これらの“仕事づくり”をめざす人への応援効果を高めます。そこでサイト全体の充実を不断に考えています(この部分は省略します)。
居場所ワークの特色は、居場所としての不登校情報センターの運営費を得ることと、参加する人の個人的な収入方法を連動させる点です。具体例を見てわかると思いますが、こういう形の引きこもりからの社会参加を進めているところは他に知りません。学校(職業訓練)型や福祉(社会保障)型に対して、私は自営(仕事づくり)型と理解しています。自分を生かす仕事づくりですが、これは独特な方法であり、これまではアピールするのをためらってきました。
しかも、現状は個人が収入を得る方法といってもこれから手掛けるもので、収入といってもわずかなレベルです。いきおい引きこもりからの自立の大部分は“戦場”ともいえる就職活動に向かいます。だがその結果は楽観できません。
いったん働きだしたのに、続かずに引きこもり生活の戻る人もいます。生きづらいままの生活に耐えている人もいます。就職型でなく個人が独自に収入を得る方法が願うのはこのような実例を多く見てきたからです。
その社会に就職(派遣やパート)やアルバイトなどで得た体験談を交流しあって互いに対応策を考えています。ときおり親の会などで参考意見として話し、非公式に集まり交流します。顔見知りになったとはいえ互いになじめない状態もあります。それでも苦楽を共にしてきた互いの経験が役立つ関係者です。
社会の変動は大きく、この数年は社会の側が引きこもりに近づいているみたいです。この仕事づくりタイプの活動をためらわずにアピールする時期がきたのです。似ているようでそれぞれ異なるまだら模様の体験者のつながりを生かして、不登校情報センターという居場所を社会に通用する方法を獲得する実地の試行錯誤の場にしたいわけです。これが居場所ワークの新しい形です。
「自分も参加できそう」と当事者が思える方法を巡らせる
9日の「大人のひきこもりを考える教室」(親の会)で考えたことです。当事者が「受け身の形で積極性を示せるもの」の具体的な姿を見つけ出すことが必要です。
言い換えると、そのいう場を当事者が自分から率先してつくり責任を負うことはありません。自分にも参加できるそうな場であれば、数人のうちの一人として参加したい。そういう場を(誰かが)つくってください。こうなるでしょう。ある種の積極性はありますが、基本のスタンスは受け身です。自分が参加できる形づくりを抽象的に提案しています。
これをどう性格づけるのか迷います。同行と似ているところもありますが、かなり違います。当事者の側からの表現にしたいのです。付き添いや伴走は支援する側の言葉です。
受け身は状態を示しますが関与する面が表現されていません。便乗は当事者の関与する面がまだ少なく“ついでに”感があります。誘導・誘動にかなリ近いですが、それほどのリーダーシップはないでしょう。「何とかしてください」という相手を当てにする依頼的な雰囲気が十分ではないです。
不登校情報センターの居場所の歴史を考えると、そうだったのかと納得することがあります。2002年ごろ、主に「30歳前後の人の会」という当事者の自主グループがあり、月2回程度の話し合いをしていました。そのうちに「不登校情報センターに来ている人たちと一緒なら働けるかもしれない」と言う人が表われました。私と数人で雑談をしているとき、「不登校情報センターを働ける場にしてください」という発言はこのベースから出てきました。
*この事情は2002年から2003年ごろにいろいろなところで書きました。「五十田猛の論文とエッセイ」を見てください。
この時のひきこもり経験者の気持ち、提案の内容が「受け身の形で積極性を示せるもの」だったのです。改めて本当に的確であったと感じます。
そこには受け身と積極性の間の狭いストライクゾーンがあります。受け身の形で積極性を示したものが「不登校情報センターを働ける場にしてください」という提案です。参加者の一人として提案者はいますが、自分は場づくりを背負いません。
それから10年余りの歩みを見ると、成功をしているとはいいがたいです。したがってこの絶妙の提案も成功とはいいがたいのです。
同時にまだ失敗という結論は保留すべきでしょう。確かなことは不登校情報センターの居場所が、居場所作業を伴って継続できた理由はこの提案の成果だと思えるからです。
長期のひきこもり当事者の状態を考えると、一人ひとりにあった「受け身の形で積極性を示せる」具体的な方法を見つけ出さなくてはなりません。「これならできますか」と支援者側が確認するものではなく、「こんな方法なら自分も参加できそうです」と当事者から言い出せるものです。これらをあれこれの話を巡らせるうちに当事者から出てくるようにしたいところです。