現代経済社会のおけるひきこもりの位置を掲載

会報8月号に「お天道様、ありがとう / Thank HEAVEN!ー現代経済社会のおけるひきこもりの位置(異論)―」というエッセイを載せました。受け取った会報の読者には面食らった人もいるようです。
心理学や精神医学の分野からではなく、社会経済学の分野からのひきこもりをとらえる文面のある本に出会いました。それを援用しながら、自分なりに展開しようと試みたものです。掲載においてはいくぶん加筆修正をしていますが、基本は同じです。論旨も書き方も十分ではありません。さらに追及していくと何かがつかめるかもしれません。
タイトルは「現代経済社会のおけるひきこもりの位置(異論)」としました。

昨日の大人のひきこもり相談会

8月8日の大人のひきこもり相談会を開きました。
新型コロナの自粛生活で月1回のボランティア団体も休会となり、久しく人と話していなかった人も来ました。人と話せない日が続くと気持ちが落ちるといいます。
ひきこもり界隈ではよくある話も今回はことさら新鮮な感じがしました。
参加者は当事者3名、親1名です。
内容は相談とともに、各自の近況報告を兼ねた自己紹介、生活や仕事さぐり(仕事探しとはちょっと違う)、精神科医の受診などの情報交流であったと思います。居場所の状況になりそうです。
不登校情報センターのサイト制作に関係してパソコンによる手伝いもききました。
会報8月号に載せた私のエッセイの感想も聞きました。⇒これについては、さらに身近なことにつなげて話さないと伝わらないと思います。
9月も同じ高田馬場で行います。9月12日、第2土曜日の午後2時~4時です。

『ひきこもり国語辞典』の再放送

1週間ほど前のことです。NHK/Eテレで「ひきこもり文学」が再放送され、『ひきこもり国語辞典』がまた紹介されました。再放送は何回目かになります(このところ再放送は珍しくはないです)
それにより手作り本『ひきこもり国語辞典』の注文や問合わせが相次いでいます。ところが手元には在庫がありません。注文は郵便振替により料金も振り込まれていますので、実は返金をしています。時事通信出版局から出版になりますのでお待ちください。

時事通信出版局からの本の内容は、語句数で2倍以上、それに4コマ漫画やカット絵が多数ありかなり読みやすくなります。不登校情報センターにかかわる多くの人からの協力がありました。当事者に編集補助をしていただき、1つひとつのことばに感想を寄せてもらい、体験から貴重な意見を聞きました。それらを参考により深い説明ができたと思います。こういう方向性について担当編集者にはたいへんお世話になっています。正直いって手作り本とは別物になりました。発行は秋以降になります。

会報8月号を作成し発送

会報8月号をつくりました。土日曜日を前に発送もほぼ終えました。今月のエッセイは、〇「お天道様、ありがとう / Thank HEAVEN!ー現代経済社会のおけるひきこもりの位置(異論)―」先日来書いている資本主義史の要点をまとめました。かなりわかりやすくしたつもりです。ひきこもりという言葉が専門的な経済書で否定的ではなく取り上げられているので、どういうことなのかを知ってもらいたいと思いました。


8月の大人のひきこもり相談会も高田馬場の「助走の場・雲」で開きます。住所は新宿区下落合2丁目2-2 高田馬場住宅220号室 (高田馬場駅から6分ほど)。日時は8月8日(土)午後2時~4時。参加費500円、当事者は無料です。*7月は1人が来てくれていろいろと聞くことができました。事前に連絡の上でご来室をお願いいたします。

上場企業の多くが半公有化?ー資本主義史(7)

新聞を読んでいたら私の問題意識と通じる意見を見ましたので紹介します。


平成時代の日本経済ーかつてデフレと低成長の持続状態を指して世界から「日本化」と呼ばれたときは、日本は避けるべき反面教師扱いだった。しかし今日では欧米もどっぷりと「日本化」し、その状態を受け入れざるを得なくなっている。平成時代の日本は「日本化」から抜け出すべく悪戦苦闘してきたが、世界が「日本化」しつつある今、日本は「日本化」の道をとことんつきつめることになりそうです。実際、日銀は国債だけでなく、株式も大規模に購入して多数の上場企業の大株主になっており、日本企業は半公有化されつつある。「中西寛、京大教授、経済のあり方再検討をーコロナで「日本化」する世界、毎日新聞2020年7月26日時代の風」より。
ここでいう「日本化」というのはおおよそ「ゼロ金利、ゼロ成長、ゼロインフレ」の社会経済状況を指すものと考えていいでしょう。新しく知ったのは日本銀行が「株式も大規模に購入して多数の上場企業の大株主になっており、日本企業は半公有化されつつある」点でしょう。この部分を他でも確認しなくてはならないとは思っています。ドイツの航空会社ルフトハンザの株式を政府が購入して企業存続すると聞いたとき、にじり寄っていると感じたものですが、日本は先輩格というわけです。

輸出型の発展ではなく内需拡大型にー資本主義史(6)

資本主義史として5回書いたのを読み返すとかなりわかりづらいです。
社会経済の大局からひきこもりを見る視点に出会ったので、自分なりに展開しようとしたのですが上手くいかなかったと思います。
十分に理解していないと言えますし、直接的な論証でもないのでわかりやすくしづらいのです。
それはさておいて、いったん最後まで書いておきます。次回の会報に載せるときには、整理しもう少しわかりやすくします。

現代の資本主義は、とくに日本は「ゼロ金利、ゼロ成長、ゼロインフレ」になりました。銀行は融資先が不足し、企業は内部保留を重ね462兆円といいます。これがゼロ成長です。民間資本の投資先を増やすために政府は財政出動とか積極財政として、国の借金額は1000兆円をはるかに超えました。この借金は少なくとも25年以上は積み重なっています。しかし20年にわたり超低成長は続いてきました。GNP(国内総生産)は1%ほどの低成長が続き、ときにマイナスの時もあります。これがゼロ成長です。
物価は上がらないのが低成長の理由と考えて日本銀行は年間2%の物価上昇の目標をもって、市中に多額の資金提供を図りますが利用者はいない。銀行は低金利で貸出先を求めていますが借り手はいない。財政出動による国の債権を買い受けて運営しているのが銀行です。一般庶民は銀行預金をしても利息はほぼない。これが金利ゼロ、ゼロインフレです。
『資本主義の終焉と歴史の危機』の著者、水野和夫さんはこの状況を、近代資本主義の終焉といいます。その打開策を政府はアベノミクスと称するわけですが安倍政権7年で成果はなく平成も終わった。
水野和夫さんはそれに代わる道を提示しています。景気優先の成長主義を脱して新しいシステムを構築すること、エネルギー問題の解消の2点です。
私なりにこれを言い換えますと、対人的なサービス分野、すなわち医療・保健衛生・福祉、介護、教育、保育、職業訓練への財政支出を行うことです。これにはひきこもり・虐待・いじめ対策も含まれます。これまでは削ってきた分野や新しく注目されてきた分野です。この分野への予算支出を増やすことです。
国内市場の拡大は飽和状態なのだからと海外市場をめざしても、相手国自体が国内産業の発展を図ろうとしているので行き詰まります。
考え方をGDPの拡大よりもGDPの分配に重点を移します。国民所得の分配を生産から移転させることです。この分野には国内産業の空白を招いているものもあります。今回の新型コロナの経験から人の生存に必要な基本的な物資は国内で最大賄う方向がはっきりしました。食料(第1次産業)と医療・保健衛生の用材がそうです。
対人的なサービス分野以外では環境、エネルギー、災害対策、情報、文化、公共交通が重要でしょう。水野さんはエネルギー問題を象徴的に上げました。私はこの分野はよく知らないので詳しくは書けませんが、これは観光業の振興につながるし、研究機関への財政援助なども挙げられそうです。広範な産業分野に及びますので頭がついては行きません。このなかにはGDPを拡大するものもありますが、相対的には大したことはないはずです。一部にソフトパワーとして評価する向きもあります。

私は水野和夫さんの意見を超えて説明した部分もあります。水野さんのことばでは経済成長を目的としない社会であり、現代資本主義とは違います。資本主義の終焉の一歩手前といいます。経済成長を目的としない「定常状態」といい、資本主義以前に長く存在して社会状態です。「家計でいうならば、自動車1台の状態から増やさずに、乗りつぶした時点で買い替える」(188p)と例示します。
この定常状態とは何か。水野さん「しかし、それがどのようなものであるかを人類はいまだ見いだせていません」(202p)と慎重です。社会主義とは言わないところが私には好ましく思えるのです。社会主義といって制度や理念から実像をつくりすすめる方法は、失敗の連続でした。社会経済の各現場の実態・実質に即して1つひとつの改善を重ねていくのがよいと思います。

LINEスタンプとミニコミ誌HP

ひきこもり国語辞典の発行につき、カット絵や4コマ漫画が多数寄せられました。
また、創作活動のいろいろな取り組みも紹介しようと思います。
創作活動の新しく連絡が2件ありましたので紹介します。

LINEスタンプ
[まくちゃんの一日。]https://line.me/S/sticker/1168336
ミニコミ誌(アート系)
「つきほし」のホームページ https://cotorisya.jimdofree.com/

加工貿易国日本の将来―資本主義史(5)


60年前の1960年、というよりは私が中学生であった1960年ごろのことです。
山陰の漁村に住む野球と社会科の好きな中学生でした。時期は2年か3年かははっきりわかりませんが、社会科の山崎先生のテストを覚えています。山崎先生がいつもとは違う記述による回答を求めるものでした。
それはテストの最後の問題で7~8cmほどの空欄が設けられていました。問題名は加工貿易国日本の将来、というようなものでした。
私の回答はテスト用紙の裏面にも7~8㎝ほど続く長さなりました。とっくの昔にテストはなくしていますから回答内容はおおよそしかわかりません。300字~600字の回答であると思います。
後進国(まだ発展途上国という言葉はなかったと思います)が工業化すると、原料を輸入し、工業製品を作って輸出する日本の将来はどうなるのか、を考え答えました。
日本の工業製品は軽工業から重工業に向かうので、後進国における工業化は日本のためにもなる。
後進国が発展すると製品をより多く、より違う種類の製品が輸入できるようになるという意味を書きました。しかし、それはいつか限界が来るかもしれないが、その先のことはわからないにしても、解決策は出てくるはずだ。回答はこのようなものだったと思います。中学生の私に書ける力ではこのあたりが限度でした。
山崎先生はこの問題の配点10点のところ20点を付けました。他の問題で間違ったところがあり、満点ではありませんがテストの点は100点を超えていました。

『資本主義の終焉と歴史の危機』を読みながら、このテストのことを思い出していました。あのテストに日本の加工貿易国のどこか不安を感じながら(いろんな状況は全く違いますが)回答したことが、こういう形で扱われていると読み取れたのです。この質問への正解はないでしょう。今日の中学・高校の社会科教師でこれに正解できる人はあまりいないと思います。これを感覚的に社会の行き詰まりやゆがみを察知した人たちは、心身状態でそれを示しました。ひきこもりとはその1つだと思います。
山崎先生がこの設問に記述式の回答を求めたこと、それに対する私の回答は不十分であったけれども問題意識を認めて20点を付けたことに、この2点にいまさらながら驚きます。
私の頭の中にあった未解決の問題が呼び起こされた気分です。
それは資本主義の、地球全体に広がった資本主義のその先に出てくる問題を考えるしかないからです。
著者の水野和夫さんは、そこを資本主義の卒業、あるいは定常状態社会、非歴史的選択肢(ヘドニ―・ブルが説いた用語)として説明しています。次回はそれを紹介します。

新型コロナ・格差拡大などの最近事情ー資本主義史(4)

ここで少し脱線して、水野和夫(法政大学教授)さんが「週刊エコノミストOnline」に発表している最近の事情を紹介します。タイトルは「経済再生のため企業の内部留保463兆円を今こそ放出すべきだ」です。


もはや国家は国民の生命・財産を守ってくれない?「コロナとの共生」──。新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を前に、100年に1度の危機を乗り越えようという訴えかけに、私は疑問を感じている。2008年のリーマン・ショックや11年の東日本大震災でも、そう喧伝(けんでん)されたが、2~3年もすれば元に戻った。

◇ペストが崩した教会権威仮に14世紀のペスト以来の大変革期を迎えたという認識なら理解できる。それまで絶対的な権威で地域の秩序を構築していた教会が、ペストの前に何ら有効な解決手段を打ち出せず、死者が多いあまり葬儀さえできない実態をさらけだした。これが後のルターによる宗教改革につながり、現在まで続く国民国家の形成への一大転機になった。

14世紀の教会に当たるのが、現在の国民国家だ。全米で広がる抗議デモは国民国家への不満や怒りで、教会を倒した宗教改革とも言える。白人警察官による黒人男性の暴行・死亡事件はそのきっかけに過ぎない。国民国家における資本主義を極めた米国で、貧富の差は臨界点を超え、コロナで医療分野でも富める者は救われ、貧しい者は切り捨てられる状況に米国民は、「もはや国家は国民の生命・財産を守ってくれない」と、国民国家に反旗を翻したのだ。

日本でも為政者は安全な場所から「コロナとの共生」と、国民に訴えるが、テレワークがままならないサービス業などの従事者は感染リスクにさらされたままである。休業要請をするだけで補償がないのだから、生活のためにやむを得ず、感染リスクが高い最前線に追いやられているのだ。

日本でも「国家は国民を守ってくれない」という不満は日に日に増している。「企業は株主だけでなく、従業員や取引先、地域社会といったさまざまな利害関係者を重視しなければならない」と、最近になって言い始めた。であれば、積み上げた内部留保463兆円(19年3月)で、国民生活を支援する時だ。私の試算では463兆円のうち、生産性向上や低金利による利益が132兆円となる。これは本来、支払われるべき賃金や利子に該当するから、未曽有の危機の今、国民に還元すべきだ。また、内部留保は200兆円あれば、十分だから残りの131兆円は、休業要請に応じた小売業などの補償に使えばいい。

これを見ても現代のひきこもりに直接に結び付く話は読み取れないと思うでしょうが、長期的に見れば矛盾はないのです。14世紀のペストの感染は封建的な生産関係の変革につながりました。この度の新型コロナウイルスの感染拡大は資本主義自体の変革につながる背景事情があります。水野さんの本ではその背景事情を詳しく説明してくれます。

絵物語『トラウマ人生を好転させたい』発行予定

とおふじさおりさんの絵物語『トラウマ人生を好転させたい』の原稿版下が送られてきました。A5版68ページの大作です。あゆみ書店から手作り本として発行することにしています。出版に必要ないくつかの技術的な問題があったので、それを整理すれば、近々発行にこぎつけられるでしょう。
彼女の実話に基づく絵物語で、内容はひきこもり経験者と類似します。
今年の始め、新型コロナウィルスの動きが始まる前のころにとおふじさおりさんと会い決めていたことです。イラストレーターとしての作品見本に活用できればいいです。