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カテゴリ:周辺ニュース

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「ひきこもり周辺ニュース」掲載の仕事 
不登校・引きこもり質問コーナー・部外者回答編

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所在地 北海道さいたま市
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目次

周辺ニュース

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周辺ニュース

ページ名 校内適応教室 東京都葛飾区 (適応指導教室のニュース、  )
計:学校支援総合対策事業(不登校対策プロジェクト) 3500万円
不登校やその傾向にある児童・生徒一人一人の学校復帰に向けた支援策を検討し、訪問型学校復帰支援や適応指導教室を実施します。
また、登校はできるものの教室に入ることができない児童・生徒などの学級復帰を支援するための校内適応教室を新たに奥戸中学校および上平井中学校に設置します。
〔広報かつしか 令和2年4月5日号〕 

周辺ニュース

ページ名 マンガ『くにはちぶ』  (いじめのニュース、漫画、  )
【マンガ】あり得ない言い分で「いじめ」を正当化した女子中学生…その卑劣すぎるやり口
止まらないいじめ マンガ『くにはちぶ』より
文部科学省がこのほど発表した「問題行動・不登校」調査によると、2019年度に全国の国公私立の小中高校などで認知されたいじめの件数は、前年度より6万8563件多い61万2496件に上ったという。
いじめっ子の驚くべき発言…
少子化で子供たちが減っていくなか、認知されたいじめは減るばかりかむしろ増えている現状が明らかになった。
そんななか、いじめの恐怖を描いたマンガ『くにはちぶ』が注目を集めている。

同作のストーリーは、女子中学生がある日、特別な法律に基づき、家族や友人を含むすべての国民から「無視」され始めるという大胆なもの。
いじめや無視といった行動の恐ろしさを、「いじめられる側」の視点からリアルに描き出している。
担当編集者はこう語る。
「この作品は、平凡な女の子が法律によって周りの人間全てから“無視”をされてしまうことになる物語です。
学生時代、多かれ少なかれ“無視”というイジメを目撃したことのある方は結構いらっしゃるのではないでしょうか?
そんな状況に、国のお墨付きがある中で放り込まれてしまうと、“無視”される側、する側はどういった気持になり、どんな行動をとってしまうのか?
極限の状態で現れる人間性ドラマがぐいぐい心に刺さる、WEBでも非常に話題になっている衝撃作です」
現在、現代ビジネスで公開中の第4話では、主人公を無視すべきか否かについて「学級裁判」が開かれ、いじめっ子らによって驚くべき理屈が展開される。
〔2020年11/13(金) 現代ビジネス〕 

周辺ニュース

ページ名 コミックエッセイ『娘が学校に行きません』  (不登校のニュース、  )
「学校休ませて」から始まった…学校に行けない娘を見守り続ける198日間 野原広子さんインタビュー(前編)
今日だけ学校休ませて
元気で友達も多く、不登校とは無縁だと思っていた娘が突然言い出した「今日だけでいいから学校休ませて」。
まさかそのまま学校に行けなくなってしまうなんて…。
レタスクラブの人気連載『消えたママ友』や『離婚してもいいですか? 翔子の場合』でおなじみの野原広子さんが、不登校になった娘のことを書いた『娘が学校に行きません』。
学校に行けなくなってしまった娘とどんな日々を送り、どうやって解決の糸口を掴んでいったのでしょうか。
著者の野原広子さんにお話をお聞きしました。
■娘に背中を押されて書いた実体験だからわかること
――野原さんのデビュー作である『娘が学校に行きません』(2013年刊行)。
我が子の不登校というテーマでコミックエッセイをかいたきっかけは?
「当時いろいろなことがあって心がポッキリと折れてしまい、1年間くらい仕事もせずにただボケーっとした日々を過ごしていたんです。
それをみかねた娘から『何かしなさい』と怒られまして。
それ以前はイラストの仕事をしていたので、娘から『マンガでもかけるでしょ?』と背中を押されたんです。
それなら前から気になっていた『不登校』のことを、やさしい感じで伝わりやすいコミックエッセイとして描いてみようかな、と思ったのがきっかけです」
「その何年か前に娘の不登校を経験していたのですが、娘が学校に行けなかった時期に学校で辛いことがあって自殺してしまった子どもたちの悲しいニュースが多く流れていて、
自殺するくらいなら学校には行かないということを選んでいいんだよ、という思いがあったんです。
この本は不登校の時期のことを書いていますが、『不登校のすすめ』として書いた本です。
親としても『不登校』という選択をするには出口のないトンネルに入っていくような不安を感じると思うのですが、
出口までこんなだったよ~という体験談があれば不安が和らぐのではないかと期待を込めて」
■薄々感じていた兆候。ある日突然「学校を休みたい」と言われて
――「今日だけでいいから学校休ませて」と最初に言われた時の心境を教えてください。
「まったく不安はありませんでした。もともと元気で明るい子だったので、1週間も休ませればすぐに元気になると思っていました。
むしろ久しぶりに見た泣き顔を『かわいい』とさえ思いました」
――もともと友達も多く、毎日元気に登校していた子が、ある日突然学校に行けなくなってしまうことに驚きました。
不登校になる前になにか兆候などはありましたか?
「小学校から帰ってきた子どもの顔を見れば『今日はいいことがあったな~』とか『何か悪いことしてきたな…』とか、どんな出来事があったのか想像がついたので、
この頃ちょっとしんどそうかなというのは感じていました。
それと、娘はしんどいときは腕を組んでくるなどくっついてくる行動が多くなるので、そのサインも出ているなと、兆候は見られました。
なので、もし本当にしんどいと言われた時には休ませてあげようと大きく構えていたんです。
で、実際『休ませて』と言われて『いいよ』と受け止めたわけですが。
そのお休みがまさかそんなに長引くものだとは思いもよらず…」
■不登校の理由を詮索せず、一緒にのんびり過ごした日々
――不登校になった娘さんとどんなことをして過ごしましたか? 
これはやってよかったと思うことはありますか?
「一緒にご飯を作ったりドライブしたりテレビを見たり、娘の心が穏やかになるようにゆっくり過ごすようにしていました。
でも、娘にとってはそれが悪いことのように感じるときもあるようで本当に難しかったです。
お昼寝はおすすめですね。娘も疲れていましたが、私も元気なふりをしているだけで本当は疲れていたのでよくお昼寝してました(笑)
お昼寝じゃなくても、今は疲れてるんだからだらけていいんだ!と頑張らないことがおすすめです」
――不登校になっている間も、一緒にDVDをみたり旅行に行ったりと、母娘の関係性は良好な感じがします。
そのような関係性を保つことができたのはなぜでしょうか?
「今思えば、初日に『休んでいいよ』と受け入れてあげたのが良かったような気がしています。
その時『このお母さんでよかった』と言われたのですが、そのセリフを聞いて、結構切羽詰まっていたのだろうなと思いました。
それと、私の父親(娘からするとおじいちゃん)からの助言で『そのうち元気になるから大丈夫』ということと『何があったか詮索したり、解決しようとするな』という念を押されてまして、
それもよかったのかと思います」
■親と先生たちとの連携プレーで不登校を乗り越える
――「まず生きるよろこびからみつけようか」保健室の田辺先生の言葉にグッときました。
田辺先生はお母さんからみてどんな先生でしたか?
「本にも書いたとおり、光でしたね。暗い迷路の中でこっちだよ~って、灯りをさしてくれる人。
私自身子育てしてきた中で、こんなにも頑張ってもどうにもならないことがあるのだと途方に暮れたのですが、
『娘の方がもっと途方に暮れている』と気づかせてくれたのが保健室の田辺先生でした。
田辺先生は何人もの学校に通えなくなってしまった子どもたちを見てきているのと、娘の入学当時から成長を知っているので、
性格や周りの友達との関係も把握してくれていて本当に心強かったです。
全てに心を閉ざした娘が田辺先生には心を開いたということが解決への小さな糸口になりました」
保健室の田辺先生をはじめ、たくさんの大人たちの連携プレーが素晴らしかったです。
やはり不登校を乗り越えるには、信頼のおけるプロに出会うことが鍵になるのでしょうか?
「我が家の娘の場合はそれが鍵になりました。プロというだけでなく、“信頼のおける”というのがポイントだと思います。
どんなにすごい先生でも娘が心を開かなかったらダメだったのではないかと思います。
同じ学校で不登校になった子が他にもいたのですが、同じように先生方がチームになって対応しても教室に戻るという選択をしなかった子もいたので『これが正解!』というのはないように思いました。
でも、教室に戻れなかったけれど、先生たちが自分のために一生懸命手を尽くしてくれたのはとても嬉しかったとそのお子さんのお母さんから聞きました。
たとえ不登校を乗り越えることができなかったとしても、その時寄り添ってくれた誰かがいてくれたということは、その後もその子の心の支えになるのではないかと思います」
――焦らずゆっくりと見守る姿勢で不登校の娘と向き合った野原さん。
たくさんの大人たちが見守る中で、次第に状況が変化していきます。~後編へ続く~
〔2020年11/16(月) レタスクラブニュース 取材・文=宇都宮薫〕 

周辺ニュース

ページ名 ハイリー・センシティブ・チャイルド  (不登校のニュース、  )
不登校乗り越えた小5児童が髪寄付「誰かの役に立ちたい」
不登校の経験のある徳島県阿南市の岩脇小学校5年松坂亜久里さん(11)が、病気などで髪を失った子どもの医療用かつらに使ってもらおうと、腰まで伸ばした髪を32センチ切って大阪市の支援団体に提供した。
悩み苦しんだ時期を周囲の助けで乗り越えた松坂さんは「誰かの役に立ちたい」との思いが強く、2回目の提供に向けて髪を伸ばしている。
病児を救う髪 善意のリレー 母娘で「ヘアドネーション」
母の愛貴さん(41)によると、亜久里さんは情報や刺激に敏感で傷つきやすい特性のある「ハイリー・センシティブ・チャイルド(HSC=人一倍敏感な子)」に該当する。
1年の6月に「教科書の白さが目に刺さる」「騒がしい声で頭が痛い」などの反応が出て登校できなくなった。
愛貴さんは注意欠陥多動性障害(ADHD)や学習障害(LD)を疑って県内外の病院で診てもらったが原因は不明だった。
2年の1年間は精神的に不安定になり「母子の口げんかが絶えなかった」と振り返る。
そんな時、愛貴さんは書店で働いていた友人からHSCの学術書を紹介された。
反応や症状のほとんどが当てはまり、救われた気持ちになったという。
今はHSCに関する書籍に記された日常生活の送り方や、周囲との接し方を参考にしている。
3年から特別支援学級で学ぶようになった亜久里さんは、面倒見の良さから上級生や下級生に頼られ、明るさを取り戻した。
4年になると市内の富岡公民館で開かれている茶道教室に通い始め、夏休み明けに学校の金管バンドクラブに入った。
今年7月には地元の陸上クラブに入部して100メートル走の練習に励んでいる。
髪の寄付(ヘア・ドネーション)は1年半前、タブレット端末で会員制交流サイト(SNS)を閲覧していて知った。
「利用する子が笑顔になれば」と、肩にかかる程度だった髪を4年の春から伸ばした。
提供できる31センチになったため10月24日に美容室で切り、8束に分けて28日に支援団体に送った。
亜久里さんは、弟の晃明君(6)=岩脇小1年=の出産に立ち会った感動から、助産師になる夢を描く。
「周りの人に助けられて学校に通えるようになった。
髪を失ってつらい思いをしている子に喜んでもらえたらうれしい」と話している。
〔2020年11/14(土) 徳島新聞〕 

周辺ニュース

ページ名 みやぎ子どもの居場所マップ 宮城県、(居場所・フリースペース・宮城県、  )
安心の居場所、子どもに紹介 宮城の支援団体がマップ作製
不登校への支援拠点が一目で分かる「みやぎ子どもの居場所マップ」
宮城県内で不登校や引きこもりの児童生徒を支援する「多様な学びを共につくる・みやぎネットワーク(みやネット)」は、不登校の子どもたちに安心して過ごせる施設や支援組織を紹介する「みやぎ子どもの居場所マップ」を作製した。
公立小中高校や公民館などに11月中に置くほか、みやネットのホームページからダウンロードできる。
不登校、宮城が4年連続最多 仙台市は3項目でワースト3
マップはA3判の両面カラー刷り。県内の民間のフリースクールや親の会、市町村教委が運営する「子どもの心のケアハウス」など計76カ所を掲載。
不登校の児童生徒を国や自治体が支援することを明記した2017年施行の教育機会確保法の概要、みやネットの活動内容も盛り込んだ。
費用はクラウドファンディング(CF)で募った約70万円の一部を充てた。
みやネットの中村みちよ代表は「どこに相談したらいいのか分からず、悩んでいる子どもたちや保護者に活用してもらいたい」と話す。
文部科学省の19年度児童生徒問題行動・不登校調査によると、県内の1000人当たりの不登校児童生徒数は前年度比2.1人増の24.0人。
4年連続で全国最多となった。
〔2020年11/15(日) 河北新報〕

周辺ニュース

ページ名 認知症  (福祉のニュース、  )
短編映画祭ノミネート作、監督は不登校経験の高校生「この若者の思いは、認知症の人のつらさと同質」
福祉ジャーナリスト町永俊雄さんが語ります。
福祉ジャーナリスト町永俊雄さんが、なかまぁる Short Film Contest 2020ノミネート作品の語りつくせない魅力を文字に託すコラム、後編です。
さて、後編の3作はどれも全く違った味わいのフィルムである。
と言うことは「認知症の語り口」が、極めて多様な時代になったと言うことだ。
認知症を包摂した時代の語り口だ。
包摂とはひとくくりにすることではない。
包摂とはその内部に多様な価値や声や姿を含んでいると言うことだ。
そんな多様な「認知症」を、この後編のフィルム群は、笑いと闇と叫びで描き出す。
あなたは認知症について、どんな語り口を持っているのだろう。
『漫才、しよか』
最近めっきりとぼんやりとする祖父。
何か言えば怒る暴れると家族は困り果てるが、その中で孫娘だけはおじいちゃんはおじいちゃんだと母に言い返す。
この孫娘のポジションがいい。
嫁の立場の母と違ってちょっと距離を置き祖父を見守る。
認知症ではなく、まっすぐ祖父という人間を見る。
思わぬ方向に話は進み、祖父は漫才をしようと言いだし、孫娘もそこに参加せざるを得なくなり、ついには地域での発表会にこぎつける。そんな物語。
達者な漫才シーンもさることながら、ここにあるのは認知症の祖父を「困った人」ではなく「困っている人」と見る孫娘の視点がある。
そこから祖父の「やりたいこと」の発見につながり、その漫才修行をする中で、孫娘は、祖父に対し「オニ」と軽やかに言い返す関係性を育て、
ついには孫娘は祖父に対して「先生」としての立場を与えることで、家族は回復する。
ここには、「認知症とともに生きる社会」の全てが込められたおかしくも真実のテクストがあると、私は思う。
『Chained』
ダークな始まりは、クリストファー・ノーランを思わせる。
この映像物語は、解釈を拒否するだろう。筋も追っていくことに意味はない。
あえて記せば、ある日、チェーンに縛られた女性が殺害されたというニュースがあり、それを聞くこともなく耳にしていた認知症の老女のところに謎の女性が現れる。
彼女は首にチェーンを巻いており、そこから老女とその娘との不思議なやりとりが始まり、何かを感じ取った老女が息子へ何かを働きかける。
メタファーに満ちた物語はよくわからない。が、感じ取れる何かは重い。
認知症専門医によれば、医療者は当然ながら認知症ではないので、その限界とは他覚的にしか認知症の世界を窺えないことで、本当の認知症の世界はほとんどわからないのだと言う。
私たちはとかくわかりやすく心地よい物語で「共生社会」を言うが、わかり得ない他者とこの世界に共存することのいばらの道をどう思っているのだろう。
ソクラテス以来の叡智とは、わかると言うことは何がわからないかをわかろうとすることだと言う。
私たちは人間の存在の分かり得ない畏怖の中でどう生きるのか、そんな問いかけも秘められている。
ちなみにchainedとは束縛するの意である。
この社会は差別偏見を含め、今なお「認知症」への束縛を解いていない。
終盤、床に解かれたチェーンが映し出されるワンカット。その暗示とは……。
『蝉の声、風のてざわり』
この作品がノミネートされたことは、このコンテストの見識を示したものだろう。
認知症の「普遍」を若い世代が鮮烈に描く。
映像に蝉の声が重なる。蝉の声とは「日常」である。
そうした日常のあたりまえに埋め込まれたつらさをストレートに発信する。
登場するひとりの高校生は、自分でもわからない不安の中にいる。
自分が自分であることへの鋭角的な疑問と感性に自分を制御できない。
痛ましい青春の断層。誰もいない校舎でついに彼は叫ぶ。
「オレはオレでいいんだ!」
校舎のガラスは割れ、建物は吹っ飛ぶ。
私が私であることの困難な時代である。誰かの価値観を押し付けられ、生産性と効率で評価され、他の人と同じであることを求められる。
この若者の思いは、認知症の人のつらさと同質だ。
どんなに進行し重度化したとしても、その人がそこに「いる」ことを認めなければ、人間の尊厳も人権も失われた社会になる。
「オレはここにいる!」
校舎のガラスが割れ建物が吹っ飛ぶのは、この社会をぶち壊すようにして変革を求める彼の声だ。作者は不登校経験の高校生だという。
全てのつらさと困難の中の人々の思いを一心に込めて、魂の絶叫。
「オレはオレでいいんだ!」
このショートフィルムにはどこにも認知症は出てこない。
認知症はすでに認知症だけでは語ることができない。認知症だけを切り出して語るのはどこかに問題化する意識がある。
私たちは認知症の人と、あるいは子どもや障害のある人やひきこもりや不登校の若者とともに、コロナの時代の新たな「人間」の社会システムを共創する。
このフィルムはまさに当事者発信として心揺さぶるメッセージだ。
「蝉の声、風のてざわり」、忘れていたこのナイーブな人間の感覚を取り戻せるか。
〔2020年11/15(日)11/15(日) なかまぁる 町永俊雄〕 

周辺ニュース

ページ名 不登校との付き合い方   (不登校のニュース  )
思いついた時にアドバイスすると、失敗する。子どもの気持ちを聞き出すために大人が必要なのは
[不登校との付き合い方(4)]
オンラインでインタビューに対応してくださった石井志昂さん
子どもが困っていることを相談してくれたとき、大人は適切なアドバイスをしたいと思うものです。
人生経験も違うし、子どもの状況を客観視できるのが大人です。
ただ、いくら正しいことでも、アドバイスのしかたによっては子どもが聞いてくれないということも起こります。
そうならないようするためには、どうしたらよいかについて、「不登校新聞」編集長の石井志昂さんに聞きました。
子どもの気持ちを聞くことが最優先
子どもが困っていることへのアドバイスで、難しいのはタイミングです。
大人が思いついたときにそのまま伝えると、たいていの場合は失敗します。
子どものことが心配な時は、まずは率直に「心配している」という気持ちを伝えて、今現在、本人がどんな気持ちでいるかを聞いてあげてください。
つらく、苦しい気持ちを、まずは十分に話させてあげましょう。
たとえば、不登校があったけれど、その子の気持ちをよく聞いてみたら、いじめがあって対人関係がつらかったという場合もあります。
何かトラブルがあったときには、原因がわかったうえでの提案が大切ですよね。
子どもの気持ちを聞く前に、不登校という事実だけをどうにかしようと考えても、気持ちに沿ったアドバイスにはならないのではと思います。
学校側は、「登校しなければ、進級できないよ」などと言う場合もあります。
そうして圧力をかければ子どもはやるものと思っているところがあるのかもしれません。
もちろん、そこで奮起する子どもも一定数います。だけど、それはずるいと私は思うのです。
子ども本人は、やれるかどうかは別としても、本当は勉強をがんばりたいと思っているかもしれません。
けれど、いじめがあるから授業を受けるために学校へ行くことができないという場合もあります。
もしかしたら、いじめの発端が先生の言動にあるから行けないということもあるかもしれません。
だから、まずは子どもの話をじっくり聞いてあげることが優先となるのです。
子どもの話を聞くときは、話を途中で遮らないで
子どもの話を聞くときに気をつけたいのは、「子どもの話を途中で遮らないで」ということです。
「宿題をやっていないから、学校に行きたくない」と子どもが話したときに、保護者はどうしても「ほら言ったでしょ、宿題やりなさいって」など、追い打ちをかけるようなことを、つい言いたくなるものですが、そこはぐっとがまんしてください。
「うんうん、そうか」と、今の本人の気持ちを聞いてあげると、その奥にある気持ちや、別の情報がどんどん出てくるものです。
これはカウンセリングの王道ですが、「オウム返し」は効くと思います。
「宿題、できなかったんだよ」「そう、宿題できなかったのね」「だから、学校行きたくなくて」「学校、行きたくないんだね」と、子どもの話をそのまま繰り返す。
忍耐は要りますが、これは芝居だと割り切って演じてください。
そして、提案したいことがあったら、翌日にしましょう。
その人に寄り添って話を聞く、「傾聴(けいちょう)」が大事です。
でも、聞いているとイライラすることもあるでしょう。難しいです。
聞いている大人の心が荒れるということを覚悟しながら、それでも今日は「傾聴役」という芝居を打つと心に決めてください。
でも、本心までコントロールしなくてもいいんです。
素晴らしく理解のある親、子の苦しみをまるごと受け止める親になんて、誰もなれないんですから。それはできなくてかまいません。
とにかく、まずは本人が言っていることを聞いて、整理して、それからどんなことを提案できるか、あとから考えましょう
。 まとめ & 実践 TIPS
子どもが困っている話を聞き出すときは、「話を途中で遮らないこと」が大切。
「素晴らしく理解のある傾聴役」という役柄を演じましょう。
子どもの表面に見えている行動の奥にある気持ちをじっくりと聞き出すことで、解決に結びつくアドバイスが生まれるからです。
プロフィール 石井志昂
〔2020年11/15(日) ベネッセ教育情報サイト〕 

周辺ニュース

ページ名 ひきこもる子どもに親ができること  (ひきこもりの動き、  )
作家・演出家・俳優の岩井秀人
岩井秀人 母に聞く、ひきこもった子供に親ができること
それ以上息子に聞かせちゃいけないと思った
作家・演出家・俳優の岩井秀人は、10代の4年間をひきこもって過ごし、のちに外に出て演劇を始めると、自らの体験をもとに「人生そのもの」を作品にしてきた。
息子・岩井秀人を、母親は当時同じ家の中でどのように見ていたのか。
子供たちに声を、手を上げていた夫にどう対していたのか。
ひきこもった子供に親ができることはあるのか。
夫が亡くなってからわかったこと
――当時、親としての役割から逃れたかったり、ストレスを感じたりしたことはありますか?
母 子供が生まれて、ひとりの時間が少なくなったとは思いました。
でも、私はもともとひとりっ子でひとりの時間がいっぱいあったので、人がまわりに賑やかにいるっていうのはそんなに負担ではなかったです。
ただ、保育園を3つ回ってから仕事場に行かなきゃいけなかったので、そういう物理的な制約はずいぶん感じましたけど。
それがストレスだったことはないです。
子供が全員変わってて予想外のことばっかりやるので、おもしろいなと思ってました。
――旅行に行ったり、家族での何か思い出はありますでしょうか。
母 家族らしいイベントというのは夏と冬に出かけることくらいで、なかなか家族全員がそろうことは少なかったですね。
医者の夫の仕事絡みでほとんど毎年旅行に行ってたのは白樺湖でした。
スキーでケガした人の診療所が冬だけ1カ月、開設するんです。
そこに夫は仕事で行くんですけど、交代でスキーで遊べるから子供全員を連れて行ってました。
──旅行先で、家族の間でケンカなどはありましたか?
母 子供たちが小さいころは、夫は世間で言えば「偉大」だったので、ひと声上げればみんな静かにしたんですけど、中学高校くらいになってくるとみんな父に歯向かってました。
でも、車で移動中に歯向かうと途中で降ろされたりするので、降ろされたくない人は静かにしてましたね。
秀人はめげずにどこかで降ろされて歩いて帰って来てましたけど。
──車を降ろされるというのは秀人さんがふざけていたからですか? 旅行でも降ろされるのでしょうか。
母 旅行中はさすがに帰って来れないから降ろしはしませんでしたけど、お父さんが決めた行き先が気に入らなくて「僕は嫌だ」と言うと、「じゃあお前は歩いて帰れ」って。
──秀人さんの作品を観ていると、お母さまが頻繁に旦那さんとケンカをされているようなイメージを抱いてしまうのですが、実際はどうだったのでしょうか?
母 基本的に夫は気が短いので、話し始めるとまず「結論はなんだ?」って言うんですよね。
私は別に結論じゃなくて、「こんなこともあった」というのを聞いてしほしくて話してるんだから、そうやって言わないでほしいと言ったんですけど。
たぶん本人はわかってなかったと思います。だからケンカになりますね。
でもそれは、ケンカじゃないとも思うんですね。
最初から考えがかなり違うふたりが話すので、「そうだね」とか「そうね」で収まる話がめったにないんです。
最初から結論が全然違うところにある。
決定的なことでケンカをしたのは子供のことくらいで、結婚する前から意見はもともと違うなと思ってました。
それをケンカと言うのかもしれませんけど(笑)。
──意見が違うと思ったとき、毎回しょうがないと諦めていたのでしょうか。ご自身の中でどう消化されていたのかと。
母 消化はされないけど「これ以上話しても無駄ね」と思ってさっさと諦めます。
夫が亡くなってからわかったことなんですけど、いる間はそういうやりとりで腹が立ってたけど、いなくなったら私はかなり夫の意見を基準にものを考えてたなと気づきました。
たとえば「これを話したら夫はどう言うかな?」というパターンがだいたいわかってたので、「たぶんこういうふうに言われるだろうな」と想像して、考えを軌道修正することがあって。
揉めながら50年間暮らしてましたので、鏡をたまにチラチラ見ながら自分を直してるみたいな習慣がつきました。
ものを考えるときの矯正力にはなってたと思います。
──「自分だけの考えに陥らないように」という、夫婦の意見が“違う”ことがマイナスなだけではなかったんですね。
母 私は結婚するまで学校の友達しか社会がなかったんですが、そこではみんなの意見がかなり似てたんです。
「こう思うんだけどどう思う?」と聞くと「いいんじゃない?」って言ってくれちゃう人がむしろ多かった。
必ずしも夫の意見に賛同するわけではないですけど、そういう考え方もあるんだなってちょっと修正する材料にはなってた……ずいぶん失礼な言い方ですけど(笑)。
それ以上夫に言わせちゃいけないし、それ以上息子に聞かせちゃいけないと思った
息子と夫は家の中で文通していました
──秀人さんとお父さんがケンカをしている様子を目撃したときはどうされていたんですか。
母 横から違う意見を言ったことはたくさんありますけど、本当に止めに入ったのは1回だけです。
親子だからケンカというか、親が上から言う感じなんですけど、夫が秀人を全否定するみたいな言い方をしてたときがあったんです。
「だからお前はダメなんだ」「親に食わせてもらってるのにその言い草はなんだ」とかいうような話になってて。
言ってることは秀人には反論の余地がないくらいの事実なんだけど、秀人自身にはどうにもならなくてそうなっちゃってることを一方的に言いつづけてました。
子供に言うべきじゃないことを言ってるなと思ってたんです。
だんだんと言い方もエスカレートしてきたので、「それ以上言ったら私は本気で怒るからね。もうそれ以上言わないで」って私は横で言ってたんですけど、
それでもまだやめないので駆け寄って、夫を叩いちゃったんです。
それ以上言わせちゃいけないし、それ以上聞かせちゃいけないと思って。
──秀人さんもとても驚かれたと思うのですが、リアクションなどはありましたか。
母 それはびっくりしたんじゃないでしょうかね。今度はお母さんがお父さんを叩くんだって。本人が覚えてるかわかりませんけど。
男の人にそんなにすごいダメージを与えるようなパンチ力は私にはありませんし、たぶん平手で叩いたと思います。
でも、叩いたらみんなすごくびっくりして、全員がシーンとなってしまいました。
そのことを後悔はしてないです。あのまま言わせてたら秀人が受ける傷のほうが大きいと思って、止められればなんでもよかったので。
──旦那さんもびっくりしていましたか。
母 そうですね。そこからは秀人に対して何も言わなかったです。言い過ぎたとしても謝る人ではないので。
何も言わなかったってことは、言い過ぎたことはわかったんじゃないですかね。
──秀人さんが高校中退されてちょうどひきこもってた時期の出来事でしょうか?
母 そうですね。秀人と夫がやりとりするときは、文通が多かったです。
家の中での文通が、うちではそのころ流行ってたんだと思います。
口で言うと「その言い方はなんだ」とかになっちゃうので。
秀人が中学校を私立から公立に戻したいと言い出したとき、夫に「どう思う?」と聞きました。
そしたら夫が秀人に質問状みたいなものを出したみたいで。
私の手元には秀人の回答のほうしかないですけど、たぶん夫は「今までの生活がどうだったと思うか」「これからどういう人生を送っていきたいか」みたいなことを聞いたんだと思います。
自分の過去からずっと経過を辿って、「高校は行きたいと思う。大学もつづいてたら行きたいと思う」と書いてありました。
あんまり勉強して進学したくはなかったのかもしれません。
今までの学校を自分がどういうふうに思っていたのか、公立に戻ることでどういうことを期待しているのかということを、短い文章で項目別に書いてあった。
最後は「結婚はしたいと思う」というところで終わっているという。
言葉でやりとりすると夫も秀人もワーッとなるので、紙に書いてやりとりするほうがよかったんだと思います。
秀人の返事だけは取ってあります。
──子供への教育の仕方について、旦那さんと話したことはありますか。
母 勉強を見てくれたとかそういうのもないと思います。
たとえば私が学校の先生にこういうことを言われたって伝えると、「ちょっと出てこい」と秀人を呼んでガン!と殴るので、そんなに言えなかったですし……。
たぶん夫は自分が医学部に行きたくなかったのに行かされたという思いがあるみたいで、進路のことについては言わないのがせめてもの親切だと思ってたみたいです。
行きたいところがあるんだったら、自分ができることだったら行かせてやろうと思ってたようです。
でも、「医者にだけはならせたくない」と言ってたから、「それは同じことじゃない?」と返した覚えはあります。
子供がやりたいかやりたくないかというだけで、自分が嫌だったものは子供にはやらせないのは、それはそれで強制だと思うとは言いました。
ひきこもった息子に対して母親ができること
誰かに「ひきこもりの息子がいる」と相談を受けたら?
──当時、人に自分の息子の状況について聞かれたとき、どう説明されていましたか。
母 あんまりいろんな人に言った覚えはないですけど、聞かれたら「学校に行けないでいるのよ」と言って、あまり隠すつもりはありませんでした。
学校に行けないことが悪いこととか恥ずかしいことだとは思ってなかったので。
同級生でも不登校の人が何人かいたんですよね。
今でもつき合いがありますけど、その子のお母さんは「このまま子供が学校に行かないんだったら一緒に死んじゃおうかって時々思うのよ」と言ってました。
私はそういうふうには思わなくて、「死ぬんだったら自分だけ死んだほうがいいわよ」とずいぶんと冷たいことを言ったなと思いますけど。
子供はなんとかしてやっていくものだと思うから、お母さんが死にたくなっても子供も一緒に死なせちゃダメよという話はした覚えがあります。
──もし、誰かに「ひきこもりの息子がいる」と相談を受けたら、どのように答えますか。
母 私が言えるのは、こっちから「こうしなさい」と言わないで子供が話すのをなるべく待って、真剣に話を聞いてあげるということ。
世の中に情報がいっぱいあるなかで、その子はなかなか自分に合うものを見つけられなくて悩んでると思うので、「これはおもしろそう」と思うものがあったらまずは親が行ってみるとか。
子供の部屋には入って行かずにチラシを置いておくとか。そういうのがいいんじゃないかなって思います。
よくあるんですけど、子供のことを聞かれるのが嫌だから近所の人にもなるべく会わないようになって、親がひきこもっちゃうんですよね。
近所の会じゃなくていいから、ひきこもりの親の会とかいろんなものに参加して「うちもそうなのよ~」と言えるだけで楽だから、そういうところを探していくといいわよというのは相談された方には言いました。
秀人が外に出て大学に行ったあとですが、私自身、ひきこもりの子を持つ親の相談を受けることを仕事としてもやりました。
全国からご両親で出ていらっしゃるんですよ。
近くでは恥ずかしくて相談できないけど、東京に出てくれば大丈夫ということで。
たとえば親戚に農業してる方がいらっしゃったら、「人手が足りないから手伝いに来てくれない?」と声をかけたらどうですか?とか提案をするんですけど、たいていの方が「親戚には一番知られたくないから頼めない」っておっしゃるんですよ。
「世間体を考えてるよりも今そのチャンスを逃したら、というふうに考えられません?」と言っても、やっぱり地方で近所の人のことは誰もが知っていて、しかも旧家だったりすると、まわりには言えなくなりますよね。
私は秀人に最初に、「イタリアの農場にひとりで行く」というのを勧めたんですよ。
広告か何かで見て、聞いてみたんですね。私はとてもいいと思ったんだけど、秀人は「とんでもない」と。
確かに家の部屋の中から急にイタリアに行けと言っても無理だと思いました(笑)。
ひきこもりの更生のための生活寮に住んでる方々に話を聞くとみんな共通して、「田舎(実家)に帰りたいけど、帰ると駅に降りただけで、あそこの息子が帰って来たけどどうしたんだろうとか言われちゃうから、故郷に錦を飾るかたちじゃないと帰れないんです」とおっしゃる。
──地域によってまた問題が違うんでしょうね。
母 東京が一番ほっといてくれる街なんだと思うんですね。
地方だとそれこそ叔父さん叔母さんだの近所の人が心配してはくれるんだけどそれでいろんなことをおっしゃるので親もかなり負担だし、それこそ本人も外をブラッと歩いてただけでも話題になっちゃったりするところもあって、やっぱり難しいですよね。
──以前、秀人さんがお母さんの仕事の話をされて、「ああいう仕事(臨床心理士)をしてた母親が、ひきこもっていた自分の息子をどう思ってたんだろうな」としみじみ話していました。
母 最初は、そういうことを予防したり相談に乗ったりする仕事をしてるのに、自分のうちに不登校の子が出ちゃったのは自分に足りないところがあったんじゃないかと思ったりしました。
でもそのときは、自分にもやっぱり「不登校はよくない」という価値観があったと思うんですね。
でも、同じ悩みを持つ方々とお会いして、話すなかで、自分自身が変わってきたように思います。
ひきこもり、不登校はどこにでも起こりうる。そういう仕事をしていたぶん、デリケートに考え過ぎてたところもあったんだろうとも思います。
秀人がひきこもってたとき、一番心配したのは精神病でした。私は精神病院にも長く務めていました。
精神病は思春期の終わりくらいに発病する方がすごく多いので、そこは心配してました。
今まで身に付けてたものをフル稼働させて、なんとかそこからは引き戻してやりたいなとは思ってました。
──今は秀人さんも結婚されて、奥さんと娘さんと、お母さんと同じ敷地内にお住まいです。
母 特別なお話はしないですけど、家の前で1日置きくらいには会いますよ。結婚したら一緒にいる時間が長くなると思って結婚したんだろうに。
「秀人がどこかに行ったきりになったりして悪いわね」と奥さんに言ったら、「慣れてみると楽なもんです」とか言ってました(笑)。
すごくいい家族だなと思って、よけいなことは何も言わないです。
ちょっとお父さんの生活が不規則でよくないなとは思いますけど。
──どうしてそういう家族になったと思われますか。
母 ひとえに奥さんがいいんだと思いますけど。
お互いをよく理解してて、信頼し、尊重してるんだと思います。
秀人が変な時間に帰って来て変な時間に出て行くような不規則な生活をしてても、奥さんがいらない心配をしない。
奥さんも娘も、秀人たちと一緒の大きなグループの中にいるみたいな感じがあるんじゃないですかね。
私たち夫婦と家族を題材にした秀人の芝居『夫婦』を、親子一緒で観に行ってるくらいだから(笑)。
〔2020年11/15(日) QJWeb クイック・ジャパン ウェブ 岩井秀人〕 
ひきこもるこどもにおやができること

周辺ニュース

ページ名 アスイク 宮城県仙台市(子どもの貧困のニュース、不登校のニュース、、新型コロナ  )
コロナでより深刻、貧困状態にある子どもの拠点を作る…大企業から転身、奮闘するある男性
NPO法人アスイク代表 大橋雄介さん
新型コロナ感染拡大の影響で、経済的に困窮する家庭が増えています。「親の困窮は時間差で子どもに影響する」。
そう語るのは、大企業から転身、仙台で子どもの貧困問題に取り組む活動をする大橋雄介さん。
東日本大震災をきっかけにNPO法人アスイクを立ち上げ、生活保護、ひとり親家庭などの子どもたちを対象に、学習支援や職業体験など、さまざまな場を提供してきました。
そんな大橋さんに聞いたコロナ禍で子どもたちに起こったこと、活動を通して見えてきたことを2回にわたりお送りします。
不登校の背景に生活困窮や貧困
アスイク の活動は子どもたちへの学習支援、居場所づくりから始まりました(写真提供:大橋さん)
2011年4月、東日本大震災後に私たちの活動は始まりました。
出発点は、家をなくしてしまった子どもたちの学習の場所、居場所を当時の避難所であった仮設住宅の中に作ったこと。
活動を続けるなかで、子どもの貧困や不登校などの問題にも直面してきました。
現在、アスイクの一番大きい事業は、貧困状態にある子どものサポートです。
宮城県や仙台市などの自治体と協働して、生活保護を受けている家庭やひとり親家庭などの子どもたちを対象に、学習支援や企業と協力した職業体験、キャンプ実施など、さまざまな体験の場を提供しています。
また子どもの学習支援だけでなく保護者のサポートも行っています。
僕たちが関わってきた子どもたちのなかには、不登校の子もたくさんいました。
不登校自体は全国的に増えていますが、そのなかには生活困窮や貧困などを背景にした不登校が少なくありません。
そういった子どもたちの受け皿として、2015年から仙台駅前でフリースクールを運営しています。
それ以外にも「食事」を切り口にした居場所である「こども食堂」や保育園、仙台市の児童館・放課後児童クラブを運営することで、幅広い年代のいろいろな困りごとを抱えている子どもたちと一人でも多くつながれるようにしています。
コロナ禍が生み出す生活困窮と不安
出展:調査レポート_新型コロナウイルスの感染拡大による生活困窮家庭への影響(第2報)
コロナ影響で7月時点でも4割近くが失業・減収に。
休校が子どもに悪影響を与えたことも顕著に現れる結果となった。
新型コロナウイルス感染拡大により、政府の緊急事態宣言が出たころ、震災のときのことを思い出して精神的につらくなるという保護者からの声が届くようになりました。
また、震災も今回のコロナも、経済的な困窮に陥っている家庭が増えている状況は共通していると感じています。
このような事象が起きたあと、時間差、タイムラグがあってから、困窮の度合いが深まり、子どもたちに影響してくるところも同じだと思います。
困窮者支援の団体は12月頃から困窮問題が深刻化するだろうと言っていましたが、実際にはもう少し早くなるのではという予測もあります。
さまざまな給付金の支給を受けていても、もって数カ月。
雇い止めも増えてきていますし、そもそも給付金の対象なのに申請していない家庭もありますからね。
どんな状況のときでも、虐待や保護者の自殺念慮など、さまざまなリスクを抱えた家庭はありますから、居場所の開催はできなくても見守りの目が必要です。
休校期間中もオンラインや個別の面談、食糧支援などで家庭に食料を届けながら、子どもの安否確認や保護者の相談支援を続けてきました。
  東日本大震災のときは、日本全国、世界からサポートする力が集まってきました。
しかし、今回のコロナは、やらなくてはいけないことがあるとわかっていても、感染のリスクを考えるとつながりを作りにくく、これまでとやり方を変えなくてはいけない難しさがあると感じています。
震災のときは「立ち直っていこう」という前向きなエネルギーでみんながんばれたけれど、今回は、「どこまで続くのかわからない」という先の見えない不安やつらさがあるという意見が聞こえてきます。
助けてもらえなかった経験が大人への不信に
仙台市の不登校児は5年で1.5倍に。
さまざまな場、手段で子どもたちとつながる(写真提供:大橋さん)
学習支援活動をとおして子どもや家庭とつながりを作ることで、保護者からも情報が入ってきます。
その声に対して、ソーシャルワーカーなどの福祉の専門チームが介入し、個別に支援計画を立て、地域の機関と連携してサポートしていきます。
実際に虐待や不適切養育などの話は少なくありません。
例えば、保護者が夜の仕事をしているため、子どもたちだけで生活していたり、しつけと称した子どもへの暴力が日常茶飯事になっていたり、子どもが親に対して暴力をふるったりするケースもあります。
また、保護者が実は精神疾患をもっているのに、医療機関も含めて誰ともとつながっていなかったり、周りとトラブルを起こして孤立してしまっていたりするケースも見受けられます。
あるとき、当時中学生だった女の子が「学習支援が終わっても、家に帰らず時間をつぶしている」と信頼しているボランティアスタッフに話したケースがあります。
スタッフが彼女との面談を重ねていきました。
そのなかで家庭に深刻な問題があり、彼女自身に拒食症の症状やリストカットの痕跡があったり、死を連想させるような言葉を口にしたり、緊急性が高い状況であることがわかったため、学校や警察、児童相談所とも連携をとって、彼女をどうサポートしていくかを話し合いました。
このようなケースが難しいのは、事実を匂わせるものの、核心に触れるようなことや助けを求めるような言葉を口にしないということ。
特にSOSを出しても誰も助けてくれなかった経験がある子は大人を信用しなくなってしまうんですね。
このようなケースに限らず、子どもと関係を築いていくことで、表面には現れない子どもたちが抱え込んでいるさまざまな困りごとが見えてくるということは少なくありません。
困りごとを抱えた子どもを孤立させない
たくさんの仲間が活動を支えてくれています。(写真提供:大橋さん)
もうひとつ「社会に子どもたちが合わせる」という考え方も、これまで子どもたちの生きづらさの原因のひとつになっていたと感じています。
例えば「学校に行かないことは悪い」「中学を卒業したら高校、大学に進学して就職するというルートに乗るのが良い」などの社会の価値観に合わせられない、合わせにくい子どもたちがいろいろな苦しみを抱えているのではないでしょうか。
そういう考えを全て否定するわけではありませんが、僕たちは、自分の特性や興味関心などに沿った生き方をしていくことだったり、一人ひとりの違いに目を向けて一緒に考えていったりすることが大事だと考えています。
今回のコロナの問題も含めて、これからの社会を子どもたちと一緒に考え、作っていくことが僕たちの向かう方向だと思います。
いろいろな困りごとを抱えた子どもたちが、孤立せず、誰かとつながり、そのなかで自分の人生を歩んでいける、足がかりを見つけていくということも大切だと思います。
だから、ボランティア、企業や行政など、そのつながりをたくさん作っていきたいですね。
NPOの世界は、自分たちが取り組んでいる問題がなくなって必要とされなくなることがゴールだと言われることがあります。
でも僕は、人間が誕生したころから、持つ人と持たない人が生まれるのは自然な成り行きだと捉えているので、いつの時代であっても、その間をつないでいく触媒のような存在は必要です。
声をあげにくい子ども、困っていることに気付けない保護者などが置かれている状況を社会に発信し、さまざまなリソースをつなぎ、ハブになれるような組織であり続けること、社会への影響力を大きくし続けることが重要だと思って、この組織を運営しています。
<大橋雄介さんプロフィール>
NPO法人 アスイク代表理事。NPO 法人せんだい・みやぎ NPO センター理事。 公益財団法人子どもの貧困対策センターあすのばアドバイザー。
一般社団法人全国子どもの貧困教育支援団体協議会理事。1980年生まれ。筑波大学卒業。
リクルートのグループ企業で組織開発・人材開発のコンサルティングに携わった後、独立。2011年の震災直後にアスイクを立ち上げる。
著書に「3・11被災地子ども白書」等。仙台市協働まちづくり推進委員会副委員長などを歴任。日本青年会議所「人間力大賞」会頭特別賞受賞。
取材・文 米谷美恵 たまひよ ONLINE編集部
〔2020年11/15(日) たまひよONLINE〕 

周辺ニュース

ページ名 和式トイレ  (事項百科  )
洋式の比率はまだ57%…公立小中に和式トイレが多いのはなぜか
ジャーナリストの島沢優子さんが最新の教育事情を取材してお伝えする「子育てアップデート~子どもを伸ばす親の条件」。今回のテーマは「公立小中学校のトイレ」の話。
子育てや教育と実は大きくかかわる問題なのだ。和式トイレの長短も含めて取材、考察する。
子どもたちがかわいそう
「小中学校に和式トイレが多い話、ご興味ありませんか?」
そんな質問を10月、2人の編集者から同時にいただいた。
聞けば、文部科学省が9月30日、「公立学校施設のトイレ状況について」の調査結果を発表したという。
今年9月1日時点の公立小中学校におけるトイレの便器は、洋便器が57.0%、和便器が43.0%。
洋便器率は4年前の前回調査の結果である43.3%から13.7ポイント増加しているものの「洋式トイレはまだ50%台なんですよ!」と編集者の鼻息は荒い。
「子どもたちがかわいそう」だと言うのだ。
うむむ。そういえば、大人の私でも身に覚えがある。
「トイレ、トイレ」と小走りで駆け込んだとき、洋式が埋まっていて和式しか空いていない! となったとき。あのときの絶望感を思い出す。
ちょ、ちょっと、なんで和式なのよ、チッ、と舌打ちしているではないか。
さらに、この方より先に連絡してこられた女性編集者は「和式にこだわるのは、学校側の根性論に基づいたものではないか。例えば、ブラック部活みたいなものが」と仮説を立てていた。
ブラック部活なら島沢だろうということで、トイレの話なのに、部活がらみを想定されて私に話をよこしたという。
和式トイレ→根性論→ブラック部活の移行に驚かされるが、そう考えてしまうくらい「学校=子どもを圧迫する」というイメージは根深いのだろう。
和式トイレは教育的配慮?
夏の暑さがひどくなり、エアコンも必須、ICT化も必要…学校の予算は足りない Photo by iStock
とはいえ、そこについてすぐに否定した。
「単なる予算不足じゃないのかなあ。学校は耐震工事にエアコン設置とインフラ整備に追われてるよね。
それがようやく終わったと思ったら、コロナの影響でオンライン環境の整備でしょ? 
トイレは現存の和式を子どもたちが使えているから、洋式化案はどんどん流されていくんじゃないかな」
ええ、トイレだけに! とボケるのを我慢しつつ持論を述べてはみたが、現場の声を聴いてみないとわからない。
すぐに知り合いの小学校教諭数人に連絡したら、次々と返事が届いた。
まずは都内某市立小学校の男性教員(30代)から。
「東京都ですが23区ではないからか、子どものトイレは20数年前の開校当時のまま、男子トイレ、女子トイレともに洋式便器は1個だけであとはすべて和式です。
子どもたちは家では洋式なので、当然そのたったひとつの洋式便器を奪い合います。
早く変えてほしくて、教員からも毎年要望は出していますがまったく変わる気配はありません」
千葉県の教員(50代)も、似た状況だという。
「十数年前から、毎年4校ずつ洋式化工事をすると聞いていますが、まだうちの学校の番ではないみたいで……。
ただ、洋式化しても、さまざまな事情を抱えた子に対応できるようにするため、和式トイレは必ずひとつは設置するそうです。
学校以外の公共施設に和式が多いので、教育的配慮だと聞いています」
ちなみに1年生のほとんどの子が和式トイレは初体験なので、入学するとすぐ和式トイレの使い方を指導する。
足の置く位置、パンツの下げ方、上げ方、お尻の拭き方などなど細かく指導するそうだ。
この方も「教育行政はなるべく早く洋式トイレをたくさん普及したいけれど、経費や工事期間などの関係でなかなか進まないのが現状でしょう。
ほかに、エアコンやパソコンなどでお金がかかりますから。これは全国共通だと思います」と私と同意見だった。
和式トイレがストレスになっている
四国地方に住む40代の女性教員が、和式トイレのデメリットを話してくれた。
「和式トイレは、不衛生になりやすいです。
小学生は和式の使い方を理解したとしても、上手く使えない子が多くて散らかります。
日本では掃除を子どもがしますよね。小学生では和式トイレをきれいに掃除できません。
それと、何より明確なのは、高学年になるにつれて子どもが(和式トイレを)嫌がっているということです」
つまり、和式トイレは子どもにとってストレスなのだ。
NPO法人日本トイレ研究所が2017年、小学生計4777人とその保護者を対象にとったオンラインアンケートによると、
小学生の45%が「学校のトイレで排便しにくい」と感じており、その理由は「友達に知られたくない」などに続いて「和式便器」「トイレがくさい」「便器が汚い」などが挙がったそうだ。
和式を残すのは「教育的配慮」と言うが、図書館、児童館、公園といった公的施設のほうが、学校よりも洋式化が進んでいるように感じる。
と、昭和に生まれ散々和式トイレに世話になりながら和式をディスってきたが、古来由々しきあの便器たちにメリットはないのだろうか。
あのスタイルは排便しやすい仕組み
またも知り合いの小児科医の女性医師に尋ねると「排便のときはしゃがんだほうが出やすい」という。
便器をよいしょとまたぎ、あのスタイルをとれば、腹圧がかけやすくなる。つまり「フン張り」が効くのだ。
じゃあ、洋式トイレを使う海外の人がどうしているかといえば、あらかじめ便器の高さは平均身長に対し低めに作られていると聞いたことがある。
低ければ、床に足がしっかりついて前傾姿勢がとれるので便をたしやすいそうだ。
日本は身長が低めなので、足をつくところに何か台を置くなどすればいいかもしれない。
と書いて調べてみたら、欧米では便器の前に置く台(高さを調節できる)が販売されているそうだ。
女性医師は言う。
「色々経験させるため、学校には和式トイレをあえて残すのもいいような気もしますね。
清潔に関しても、だからこそ気をつけてトイレを使うということを学べていいのではないでしょうか」
教える教員の負担にも…
やはり清潔なトイレは誰でも嬉しい Photo by iStock
23区内の中学校で教鞭をとる40代の男性教師は、教員への負担を口にした。
「僕はトイレの掃除を教えますが、そういう指導をしない先生も多い。
掃除が行き届かないと、学校公開日のあとで保護者から、校舎が汚い、トイレが汚い、きちんと掃除をさせてほしいとクレームがきます。
でも、部活動も含めて、何から何まで教師が子どもに教えろ、やらせろでは、授業準備にいじめや不登校生徒の対応など、体がいくつあっても足りません。
そもそも子どもたちが嫌がっている和式トイレは、シンプルに変えればいいと思うのですが」
茨城県内の小学校で教鞭をとる40代の男性教員は、25歳以下の3人の若手教員と「トイレは和式か洋式か」を話し合ったという。
「うちの近隣は公共施設に洋式があまりないから、社会に出る準備としては和式を使わせるのは正しい、という結論になりました」と報告してくれた。
地域によって、環境が異なるため考え方も変わってくるようだ。
ちなみに、都道府県別の小中学校における洋便器率は、富山県が79.3%ともっとも多い。東京都が71.1%、神奈川県70.5%と続く。
男性教員が勤務する学校からほど近いつくばエクスプレス沿線の新設校は、ほぼ洋式のうえ、センサーで自動で水が流れるトイレだそうだ。
「子どもたちは知っているので、いいなあと言ってます。僕ら大人でもうらやましい(笑)」
また、前出したすべての教員に、和式トイレにしていることで児童らに排便等の問題が起きているかどうかも尋ねたが「あまり聞いたことがない」という答えだった。
ストレスになることは取り除いてあげたい。
が、すべてに「快適であればそれでよし」とも思えない。
和式トイレの広汎性、必要性が薄れているとはいえ、和式トイレの使い方を学ぶことは、子どもたちに多様性を持たせ「こうでなくてはダメ」を脱する学びになるかもしれない。
11月10日は「いいトイレの日」だったそうだ。さて、いいトイレとは、洋式なのか、和式なのか。
いざというときに、旧式(和式)の使い方がわからないのは困る。でも利便性や衛生面を考えると、新式(洋式)のほうがいい。
これは、携帯電話が普及したから、公衆電話をすべて撤廃してもいいかどうか? の論争に少し似ている。
〔2020年11/16(月) 現代ビジネス 島沢優子(フリーライター)〕 

周辺ニュース

ページ名 すらら  (教育のニュース、  )
すららネット社長 湯野川孝彦  <経営者・編集長インタビュー> 湯野川孝彦 すららネット社長 2020年11月24日号〈週刊エコノミスト〉
◇eラーニングで子供達の人生を変える
── すららネットは何をやっている会社ですか。
湯野川 オンラインで学ぶeラーニング教材を提供している会社です。
小学生から高校生を対象に、英数国理社の5教科をそろえています。
特徴は学力の低い生徒でも理解できるように工夫していること。
世の多くの教育企業は、賢い生徒が良い学校に入ることに焦点を当てています。
それに対し、当社は不登校や発達・学習障害の子たちの学力向上も視野に入れています。
── どんな工夫をしていますか。
湯野川 生徒の実力に応じて、AI(人工知能)が最適な問題を出す「アダプティブラーニング」という手法を採用しています。
例えば、中学生が数学の1次方程式の問題を解けない場合、分数の通分や約分など小学生で学ぶ内容を理解していないことが多い。
この「つまずき」をAIが自動的に診断し、生徒のレベルに合った問題を出し直します。
それだけではありません。学力の低さは、集中力が続かなかったり、そもそも、学習習慣がなかったりすることに起因します。
だから、アニメーションのキャラクターを使って、生徒の興味を引くようにしています。
── どのようなものですか。
湯野川 教科ごとにアニメの世界観が全然違います。
中学版の英語は、家庭にETみたいな宇宙人が紛れ込むという物語。
高校版の英語は、米国のコミックのようなスーパーヒーローが出てきて、何の変哲もない女の子が、学んでいくうちに奇麗になる、というストーリーです。
声優も、テレビのアニメで出てくるような超一流の人を起用しています。
生徒はこうした世界観の中で、キャラクターや声優に励まされ、小さな成功体験を積み重ねていきます。
── 実際の学習効果は。
湯野川 導入している学校では、ベネッセの診断テストを定期的にしています。
どの学校でも、生徒の学力分布が大きく変わっています。
長崎県のある高校では、Dランクの成績の生徒が大きく減り、A、B、Cランクの生徒が大幅に増えています。
神奈川県のある高校では平均偏差値が1年間で5・4ポイント上昇しました。
◇コロナで導入が大幅増加
── すららを導入しているのはどんなところですか。
湯野川 主に、学習塾、学校、一般家庭向け(BtoC)の三つがあります。
すららは、タブレット端末やパソコンを使い、オンラインで学べます。
いずれの導入先も、コロナショックによる休校期間中に、自宅学習をしなければいけないということで、利用者が大きく増えました。
── 具体的には。
湯野川 すららは、利用者をクラウド上で付与するID(身分証明)の数でカウントしています。
一般家庭向けのID数は、2019年12月末に3543と同9月末比で51%増加、学習塾は2万4858の同37%増でした。
また、安倍首相(当時)の2月27日の臨時休校要請を受け、生徒に自宅で学習してもらうために、全国の学校369校に計15万IDを無償配布しました。
その一部がその後、有料サービスに切り替わったこともあり、学校向けIDは同8・8倍の29万4671に増えました。
── 足元の業績は。
湯野川 コロナを契機に各教育機関や家庭への導入が増えたことを受け、20年1~9月期の売上高は前年同期比37%増の11億4300万円、営業損益は前年の1000万円の赤字から、3億9000万円の黒字と過去最高となりました。
── 教師側にもメリットはありますか。
湯野川 先生は、パソコンやタブレット端末の管理画面で、それぞれの生徒の学習進度が個別に分かります。
また、学習目標や宿題も端末を通じ、自動で設定できます。
2月の臨時休校要請の際、全国の学校は、休校期間中の家庭学習のため、先生がコピー機をフル回転させ、課題を配るなど、大変な手間が発生しました。
一方、すららを導入している学校は、管理端末上で履修すべき範囲を設定すれば、生徒一人一人に合わせた宿題が自動的に出されます。
教材の印刷、配布、回収、採点、集計の手間が一切ありません。先生の働き方改革にもつながります。
── 海外展開にも力を入れています。
湯野川 スリランカ、インドネシア、インド、フィリピンで現地向けの「Surala Ninja!(すらら・ニンジャ)」を展開しています。
発展途上国の子供達は、基礎学力が非常に低いので、サービスをどんどん広げ、教育面の課題を解決していきたい。
今年2月からはエジプトでも実証実験を開始しました。アラビア語圏でも広める構想を持っています。
eラーニングで世界中の子供達の人生を変えていきたいと思います。
(Interviewer=藤枝克治・本誌編集長 構成=稲留正英・編集部)
◇横顔
Q これまで仕事でピンチだったことは
A すららを立ち上げたベンチャー・リンクの経営が悪化したため、2010年にMBO(経営陣による買収)で独立しました。
しかし、その後も資金調達が思うようにいかず、ピンチの連続でした。
Q 「好きな本」は
A ジム・コリンズ氏の『ビジョナリーカンパニー』。また新原浩朗氏の『日本の優秀企業研究』です。
Q 休日の過ごし方
A 犬の散歩が私の仕事です。最近は夫婦でヨガレッスンを受けています。
■人物略歴
◇ゆのかわ・たかひこ
1960年山口県宇部市生まれ、山口県立宇部高校、大阪大学基礎工学部卒業。
85年日本LCA入社、2003年ベンチャー・リンク入社。05年、「すらら」を社内起業。
10年MBO(経営陣による買収)で独立、社長に就任。60歳。
事業内容:eラーニングによる教育サービスの提供
本社所在地:東京都千代田区内神田1丁目13番1号 豊島屋ビル4階
設立:2008年8月
資本金:2億8251万円
従業員数:50人(20年10月末)
業績(19年12月期、単体)
売上高:11億4100万円
営業利益:6400万円
〔2020年11/16(月) サンデー毎日×週刊エコノミストOnline〕 

周辺ニュース

ページ名 [[ ]]  (  )
芸術家・西野カイン 福井在住の芸術家・西野カインさん、地元で初個展 大判絵画など100点 "「漫画家になりたかった父をはじめ、家族みんなが地元での個展開催を喜んでくれている」と西野さん" 展覧会「カタストロフィ」が11月20日から、福井市美術館(福井市下馬3)で開かれる。(福井経済新聞) 福井在住の芸術家・西野カインさんによる、地元での初個展。同館2階「市民ギャラリー」に油性ペンやアクリル絵の具などで描いた約100点を展示する。横約90センチ、縦約180センチのベニヤ板大キャンバスに描いた自画像など、同展に合わせて制作した新作も並べる。 西野さんは越前町生まれの19歳。イベントでのライブペインティングや、画材を持って夜行バスで東京都内へ「遠征」するなどの活動を行っている。新型コロナ禍による緊急事態宣言で都市部との往来が制限された時には、「自暴自棄になるほど気持ちがふさぎ込んだ」という。 気分転換を兼ねて美容室に行ったことが個展開催のきっかけとなった。「髪を切ってもらったら、『個展をやってみたい』と一気にテンションが上がった。その足で美術館に向かって直近の空き状況を確かめてもらった。地元での個展開催という夢がかなってうれしい」と顔をほころばせる。

絵画制作を始めたのは14歳の頃。近年の活動を振り返り、「1年ほど前までは、『若さを売りにできるのは今しかないという焦りがあった』とも。「外出自粛で活動が制約される中で年齢へのこだわりがほぐれていった。絵を売ってしっかり稼ぐという使命感より、『描きたいから描こう』という純粋無垢(むく)な気持ちが勝るようになり、今まで以上に絵を描くのが楽しくなった」 細密な書き込みや大胆な着色には、学校や教師になじめず不登校になった経験も投影される。「クラスになじめない人や、たくさん友達がいても孤独を感じているような人たちの味方でいたい。美術館は作品を見たいという意志を持つ人が足を運ぶ場。来てくださった方一人一人と、作品の感想などについて言葉を交わすことができれば」と笑顔を見せる。

開催時間は9時~17時15分(入館は16時45分まで、最終日は16時まで)。入場無料。今月23日まで。 みんなの経済新聞ネットワーク 〔2020年11/16(月) みんなの経済新聞ネットワーク〕 

周辺ニュース

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9割の子どもがいじめを受けた経験あり 「9割の子供がいじめ経験あり」…衝撃のデータが示す、日本の学校の深刻すぎる問題 いじめ、不登校、保護者との軋轢、長時間労働、新型コロナの影響……。山積する教育現場の問題に解決策を与えてくれるのは、著書『いい教師の条件』を上梓した諸富祥彦氏だ。大きな社会問題となっている「いじめ」。あるデータによれば、なんと9割の子どもがいじめを受けた経験があり、またはいじめに加担した経験があるという。そのリアルな実態と、親や教師が知っておくべき対応策を教えてもらった。

「先生」の「給与、手当、ボーナス、退職金」 一体いくらもらってるの?

学校は今「戦国状態」だ 私は、いじめが最も深刻だと思われる公立の中学校において、21年ほどスクールカウンセラーをしていました。カウンセリング・ルームにいて、いじめに遭った子ども、仲間外れにされている子どもの訴えを聞かない日はありませんでした。 今、子どもたちは、いつ誰が狙いうちされるかわからない状態にあります。思春期の子どもたちにとって、学校は常に「戦国状態」なのです。 文部科学省「いじめ防止対策協議会」(2016年度)による調査には、小学校4年生から中学校3年生まで、同じ子どもたちを6年間追いかけた、縦断的な研究の成果が示されています。小4から中3までの6年間、1年に2回、合計12回にわたって、「あなたは今、いじめや仲間外しをされていますか」という問いに回答してもらったのです。 「あなたは今、いじめや仲間外しをされていますか」……小4から中3までの6年間に、この問いに「はい」と答えた子どもの割合は、どれくらいだとあなたは思いますか?   (1)30%以内

 (2)40~70%

 (3)80%以上

正解は(3)です。調査の結果、なんと、9割の子どもが小4から中3まで6年間に一度は、「自分は今、いじめや仲間外しの被害に遭っている」と答えたことがわかったのです。つまり、小学校4年生から中学校3年生の6年間にかけて、ほぼすべての子どもがいじめや仲間外しの被害経験が一度はあったのです。

すべてのクラスにいじめはある その調査では、いじめの被害体験だけでなく、加害体験についてもたずねています。「あなたは今、友達をいじめたり、仲間外しにしたりしていますか」と問うているのです。 小4から中3までの6年間、合計12回の調査で一度も「している」と答えなかったのは、わずか1割。なんと9割の子どもが小4から中3までの6年間に一度はいじめや仲間外しの加害体験があることがわかったのです。 ほぼ9割の子どもが、いじめられたり仲間外しにされたことがあるし、逆に誰かをいじめたり仲間外れにしたこともあるのです。 小学校高学年から中学校に限っていうと、「すべての学級にいじめらしきものはある」と言っていいでしょう。さらにいえば、いつ、どの子どもがいじめられてもおかしくない。いつ誰が排除されてもおかしくない。そんな状態にあるのです。

かつてのいじめは、いじめっ子といじめられっ子が固定されていました。たとえば、(1)Aくんがいじめる側で、(2)Bくんがいじめられる側。その周囲に、(3)それをはやし立てる観客と、(4)ただ見ているだけの傍観者がいる。この「いじめの4層構造」が従来のいじめの基本型でした。 しかし今は、かつてよりもはるかに「いじめ」の対象が流動的です。いつ誰が加害者になって、いつ誰が被害者になってもおかしくない。どの子がターゲットにされてもおかしくない状況なのです。 20年くらい前までは、いじめは「友達関係のトラブル」だから、早く仲直りをさせて解決しようと短絡的に考える先生も少なくありませんでした。ただのケンカなら、それでいいでしょう。しかし、いじめはケンカとは異なります。いじめは、その子が属する「グループ内」でのパワーバランスが関係している、はるかに複雑な現象です。

いじめは人生に大きく影響する

 いじめがなぜ重要な課題なのか。いじめられた子が、心に重大な傷を負い、人生全体に大きなマイナスの影響を受けるからです。

 私は、「死にたい」「消えたい」と語る大学生のカウンセリングも数多く行ってきました。

 そんな学生たちの多くが、そのきっかけとして語るのが、小学校高学年から中学校にかけての「いじめられた体験」です。

 「中2のとき、いじめられたあのときから、僕なんて、生きていても仕方ないと思うようになりました……」

 「いじめられて以来、私みたいな人間は、友達になってもらう価値がないように思うようになりました。それから友達なんて、ひとりもつくったことがありません」

 そんなふうに彼ら彼女らは話します。

いじめによって自尊心が著しく低下してしまい、自己否定の悪循環に陥ってしまった影響で、ずっと友人ができず、そのために大学を中退したり、会社を辞めたり、恋愛や結婚もできなくなってしまう人が少なくありません。

 いじめられた側の心の傷が癒えるのには、10年、20年という長い時間がかかります。

 いじめ問題は、いじめられた子どもの「人生そのものを大きく狂わせてしまう大問題」なのです。だから、絶対に許してはいけないのです。

 単なる子ども同士のトラブルで片づけてよいものでは決してありません。

 私たち学校関係者は、いじめられた子を守ることこそ、最優先すべきなのです。

諸富 祥彦(心理学者) 〔2020年11/17(火) 現代ビジネス〕 

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100万人の引きこもり 在宅勤務なら大丈夫でしょ! 「100万人の引きこもり」を活用できるのか 「引きこもりの人たちを有効活用せよ」の声 「これからの時代は女性活用だ!」 「それだけじゃまだ足りないから、入管法を改正して安い賃金でコキ使える外国人労働者をジャンジャン呼べ!」

【データ】どのくらい外出しているのか? 引きこもっている人たち 「思っていたほど外国人が来てくれないから、元気な高齢者を働かせろ! 定年を80歳まで延長だ!」 というような流れで近年、日本では「人材」を広げることで、労働人口の減少という問題を乗り切ろうとしてきたわけだが、ここにきていよいよ奥の手というか、「そこまできたか」と驚くようなダイナミックな意見が出ている。

それは、「引きこもり人材」の活用だ。 例えば、城西国際大学院准教授、不登校訪問専門員の柏木理佳氏は、10月7日に発売された『ひきこもりは“金の卵”』(日経プレミアムシリーズ)の中で、さまざまな分野で活躍する元ひきこもりの方たちを紹介し、ひきこもりという現象をそれほどネガティブに捉える必要はなく、在宅ワークが当たり前となったこれからの時代はむしろ「貴重な人財」だと説いている。

実際、最近では「引きこもりの方におすすめの在宅ワーク」なんて求人情報もネットで見つけられるのだ。また、無理に働かなくても、引きこもっている人でも「活用」できると主張する人もいる。思想家の内田樹氏だ。 内田氏は、新著『コモンの再生』(文藝春秋)を紹介するインタビュー記事「日本列島をどう守るか 過疎化に”100万人の引きこもり”が役立つワケ」(文春オンライン11月14日)の中で、自然の侵食を食い止める「里山」を整備するために、人がちゃんと住む必要性を説き、こんな斬新なアイデアを披露している。

『一説によると、日本にはいま100万人の「引きこもり」がいるそうです。その人たちに過疎の里山に来てもらって、そこの無住の家に「引きこもって」もらう。(中略)それほどの給料は払えないでしょうけれども、人がいなくなった集落でも、お盆のときは戻ってくるから、家は廃屋にしたくないという人はたくさんいます。そういうミクロな求人とミクロな求職をマッチングする仕組みができれば、かなりの数の「引きこもり」が里山の「歩哨」として暮らして、かつて西武開拓者が経験したような達成感や全能感を経験して、メンタル的に回復するというようなことが起きるんじゃないか』(同上)

都会でやっていたことを山奥で なんてことを聞くと、「引きこもりには人権がないのか!」と怒りで気がヘンになってしまう引きこもりの方も多いかもしれない。実際、SNSでは、内田氏のこの提案をボロカスに叩く人も少なくない。 ただ、個人的にこのようなアイデアが出てくるのは理解できる。過疎地へ移住してのびのびと生きることを既に実践している方がいらっしゃるからだ。和歌山県田辺市の最寄り駅までクルマで約2時間の限界集落で、廃校を改装した「共生舎」というところで、20~40代のニート十数人と共同生活を送っている石井あらた氏だ。

ブログや『「山奥ニート」やってます。』(光文社)という著書も出して、テレビなどでも取り上げられている方なのでご存じの方も多いかもしれない。石井氏は大学在学中に引きこもりになって中退。その後、同じく引きこもりだった友人に誘われて、この山奥に移住してきた。 では、そこでいきなりTOKIOのDASH村のような自給自足生活を送るようになったのかというと、そんなことはない。インタビューでもサクっとこんな風に答えている。 「僕はこっちにきて暮らしが劇的に変わったかというと、そうでもなくて。ずっとひきこもりなんですよ。一貫して。基本的には、実家で暮らしたときのままですね。ずっとゲームをすることもありますし」(好書好日 6月6日) 他の方も同じで、朝早起きして畑仕事をするとかではなく、深夜までアニメやゲームを楽しみ昼まで寝ていて時々、集落のお年寄りの手伝いをすることで収入を得ているくらいだという。基本的には都会でやっていたことを山奥でやっているだけなのだ。

このような「山奥ニート」のみなさんが、日本全国の過疎地へ進出すれば、確かに限界集落はよみがえるかもしれない。そうなれば、「里山」の境界線が守られることになるので、日本中で多発している熊が住宅街にひょっこりと現れるなんてこともだいぶ改善されていくはずだ。 普通の人と変わらない生活を送る が、残念ながらこのシナリオが実現する可能性は低い。石井氏や共同生活を送っている方たちはこの地域でピタッとフィットしたが、みんながそこでハッピーに定住できるわけではない。

実際、都会で暮らしている人の中に、「田舎暮らし」に憧れて農村や過疎地などに移住するケースが増えているが、そこでみんながみんなそこでハッピーに定住できるわけではない。人間関係のトラブルや、寂しさ、生活の不便さ、そして体力の衰えなどを理由に都会へと戻っていく人たちが必ず出てくる。縁もゆかりもない過疎地で「定住」するのは、たやすくできてしまう人もいるが、ハードルが高い人も世の中にはかなり存在しているのだ。 特に田舎で暮らした方はご存じだろうが、田舎というのは都会よりも遥かに人間関係が濃密だ。人の庭先でもズカズカと入ってくるし、共同体の中での話はあっという間に広まるので、都会で暮らすよりも遥かに人間関係に注意を払わなくてはいけないのだ。 というと、「いや、それはあくまで普通の人の話でしょ? 引きこもりは1人で家に引きこもっているんだからそもそも人間関係ないでしょ」と感じる人も多いかもしれないが、実はそのような誤った認識こそが、筆者が「引きこもり100万人を過疎地へ」というアイデアが難しいと考える最大の理由である。

先ほどの内田氏の言葉にあったが、多くの人は、引きこもりは家でじっとしている人だと考えている。だから、引きこもるのならどこだっていいでしょ、ということで「じゃあ過疎地に行ったら?」という話になっているワケだが、これは事実ではない。 実は「引きこもり」と呼ばれる人の多くは、世の中の大多数の人と同じく普通に出歩いている。実態としては、「出歩いたり引きこもったり」と呼んだほうが正確なのだ。 地方に移住したらどうなるか 内閣府が2016年に発表した15~39歳を対象とした引きこもりの調査では、「趣味の用事のときだけ外出する」が67.3%、「近所のコンビニなどには出かける」が22.4%となっていて、「自室から出るが、家から出ない」は10.2%しかない。

40~64歳という「高齢引きこもり」も同様だ。19年に発表された調査によれば、「趣味の用事のときだけ外出する」が40.4%、「近所のコンビニなどには出かける」が44.7%となっていて、「自室から出るが、家から出ない」は10.6%しかいない。 つまり、「引きこもり」という悪意のある呼び方が定着してしまったせいで、何やらずっと家や自室から出てこない人のような印象を世間は植え付けられてしまっているが、実はそう呼ばれる人のほとんどは、対人関係が苦手だとか、定職に就いていないだけで、普通の生活を送っている人となんら変わらない日常を送っているのだ。 では、このような「普通の人たち」100万人を、どうせ引きこもっているんだから過疎地の「歩哨(ほしょう)」にでもなったらいかがでしょうか、なんて地方移住を勧めたらどういうことが起きるだろうか。

先ほどの石井氏のように充実した日々を送れる人もいるだろう。が、「田舎暮らし」に挫折する人が後を絶たないのと同じで、過疎地から逃げ出す人もかなりいるはずだ。そもそも、「なんで俺がこんな不便な場所に住まなきゃいけないんだ!」というすさまじい反発が起こるはずだ。 当然だ。彼らのほとんどは「引きこもり」というレッテルを勝手に貼られているが、腹が減ればコンビニに出歩くし、好きなアイドルのコンサートに出かけるときもある。ときには気の合う友人と会ったりもする。働いていなかったり、経済的に自立をしていなかったりするだけで、どこにでもいる「普通の人々」であり、「世捨て人」ではないからだ。 このように既にそれぞれのライフスタイルで生きている100万人を、「土地がもらえるぞ」「田舎暮らしはいいぞ」と移住させたとしても、あまりいい結果は生まないだろう。むしろ、社会への憎悪や反発が増す可能性のほうが高い。

大人側が決めた意味のないルール 分かりやすいのが、中国の上山下郷運動だ。文化大革命時代、毛沢東の指導によって都市部の若者が農村へ送り込まれた。農村で肉体労働をすることで、社会主義思想を育み、都市と農村の格差を是正できるという触れ込みで、一粒で二度おいしい社会実験だった。

が、結果は散々で、これによって中国の教育レベルは低下し、経済も打撃を受けた。若者たちの中には都会に戻せと抗議運動をする者たちも出た。自由意志をもった人間を「将棋の駒」のように国家の都合で動かすと、社会の分断が増すという非常に分かりやすい事例である。 では、100万人近い「引きこもり」と呼ばれる人材をどうすれば活用できるのか。筆者は「引きこもり」だからこんな仕事をするべきとか、「引きこもり」という状態を生かしてこんな役割を果たせばいいのでは、というような考え方をまず止めるべきではないかと考えている。 先ほどから言っているように彼らは「引きこもり」などではなく、さまざまな理由で社会に参加することに嫌気がさしているだけの「普通の人」である。ということは、彼らが嫌がっているような社会の問題を改善するだけで、「普通の人」として社会に参加してくれるはずなのだ。

その問題とは何か。筆者はまず「教育」だと思っている。18年のOECD学習到達度調査(PISA)では、日本の15歳は「生きる意味を感じる」という指標がOECDの中で最低。生活満足度も4番目に低い。 なぜこんなことになるのかというと、大人側が決めた意味のないルールでがんじがらめに縛られ、そこから外れると袋叩きにされることを、子どものときから幾度となく繰り返されているからだ。

例えば、11月13日、佐賀県弁護士会はブラック校則について独自に調べた結果を公表した。「左右非対称の髪型やツーブロックは禁止」「靴は白、中敷は白」というおなじみの謎ルールはもちろん、耳を疑うのは「下着は白」というルールだ。しかも、女子生徒の肩紐を出させてチェックする実態も浮かび上がったという。 日本の教育現場ではルールに外れると、「問題児」扱いになる。こんな刑務所やナチスの収容所と変わらない仕打ちを受ければ、生きる意味を見失う子どもが増えてもおかしくない。幼いころから自分の頭で「このルールってヘンじゃない?」と考えることを禁じられているせいで、自分の頭で「生きる意味」も考えられなくなってしまうのだ。 こういう多様性を認めない教育を受けた子どもが社会人になって、多様性を認めない社会をつくり出している。そこに対して強烈な嫌悪感を抱くのは、人として極めてノーマルな反応だが、多様性を認めない方がマジョリティなので、気が付けば「引きこもり」などと狂人扱いされてしまっているのだ。

彼らも「人間」 「引きこもり」と呼ばれる人たちの社会参加を促すのなら、まずは世界的に見ても異常なほど多様性がかけた教育から変えて、世の中を少しずつ変えていくしかないのである。 「引きこもり100万人を過疎地へ」という考え方にもやや当てはまるが、急速な人口減少で尻に火がついている日本の労働市場では、人が足りなくなったところに、別のところから誰かをもって来てとにかく頭数を合わせよう、というような「帳尻合わせ」の考え方が目立つようになってきた。

「これまでのような無茶な長時間労働ができなくなってきたから、結婚して子育てしている女性にも会社に残って働いてもらえばいいか」 「低賃金で辛い労働が若者に敬遠されて人手不足になっているので、日本で働きたがっているベトナムや中国の労働者に働かせりゃいいだろ」 「新卒の若者が減ってきたし、すぐに辞めちゃうから、定年を延長して、これまで管理職でふんぞり返っていたシニアも一兵卒に戻って足腰立たなくなるまで働いてもらうか」 こんな感じで減ったぶんの補充に頭がいっぱいだ。しかし、ひとつ見落としているのが、彼らはみな「労働力」ではなく、「人間」だということだ。

人間なので待遇に不満があれば、モチベーションは落ちる。そこまでいろいろなものを犠牲にしてまで働いて、その見返りがなければ投げ出してしまう。それが人間だ。外国人の技能実習生が「こんな低賃金で働けるか」と続々と職場から逃げ出しているのが、その証左である。 本当に人材を活用したいのなら、その人たちが何に悩み、何が足かせになって活躍できていないのかを考えるべきだ。つまり、「心」を理解しなくてはいけないのである。 これまで人口が右肩あがりで増えていた日本は、とにかく「頭数」をそろえることが最優先で、「人権」は後回しにされてきた。しかし、人口減少に転じてた今、「頭数」をそろえる考えをあらためない限り、一億総ブラック社会へまっしぐらだ。

急激に人口減少していくこれからの日本の政府や企業のリーダーたちに最も求められるのは、人材の「心」を理解する感性なのではないのか。 (窪田順生) ITmedia ビジネスオンライン 〔2020年11/17(火) ITmedia ビジネスオンライン〕 

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小中学校で不登校が毎年増加 増え続ける不登校、背景に何が…? 休むことのハードル低下、スマホ影響も 不登校の児童生徒や保護者らとのカウンセリングに使用する京都市教育相談総合センターの相談室(京都市中京区) 小中学校で不登校が毎年増加している。全国では7年連続で増えており、京都府や滋賀県でも同様の傾向を示している。背景に何があるのか。京都市教育委員会や民間の支援団体に取材した。

■「無気力・不安」最多32%、複数要因も  「不登校増加の明確な答えはないが、学校を休むことへのハードルが下がってきた印象はある」。市教委生徒指導課の加藤みのり担当課長が語る。 市立小の2019年度の不登校数は427人(前年度比65・5%増)、市立中も1110人(12・7%増)でいずれも過去最多だった。市教委が一因に挙げるのは17年に施行した教育機会確保法の影響だ。学校に行きたくても行くことができない児童生徒の休養の必要性が認められ、学校以外の場での学習機会を保障することが各教委に義務付けられた。法の趣旨が浸透し、無理してでも登校させようとする保護者や教員が減ったとみている。

一方で子どもたちに変化はないのだろうか。市立小の不登校要因で19年度、最も多かったのは「無気力・不安」で約32%。次に「いじめを除く友人関係」が17%、「生活リズムの乱れ、あそび、非行」が16%などと続き、「いじめ」は4%だった。加藤担当課長は「大きな傾向に変化はないが、スマートフォンやゲームを夜中までして朝に起きられないなど生活リズムの乱れで登校しづらくなっている子が増えていることは考えられる」と指摘する。 ただ、児童生徒への対応は慎重さが求められるという。「不登校の要因は友人関係や親の期待、発達の状況など複数が重なっていることが多いから」。市教育相談総合センター(こどもパトナ、中京区)の長谷川智広カウンセリングセンター長は説明する。「本人の特性や家族環境などは簡単に変えられないが、生活リズムや教室での座席位置、学校に対する考え方など、比較的変化させやすい要因を見つけ働きかけることで登校できるようになることもあり、その子どもに応じて様々なアプローチをしていく必要がある」と話す。

■コロナ禍、不登校にどう対応する? 今年は新型コロナウイルスの感染拡大で学校を取り巻く状況は大きく変わっている。その中で不登校にどう対応していくのか。 加藤担当課長は「新型コロナの影響で不登校が増えたというデータはないが、6月の休校明けの分散登校で不登校だった子が登校できるようになったという事例は複数あった。少人数の登校で緊張感がなくなったのかもしれない」と明かす。その上で「今後も恐らく不登校は増えていくだろう。不登校の子の多くは『みんな学校に行けているのに行けない』との思いを抱えている。適応指導教室『ふれあいの杜』など居場所づくりの充実にも取り組み、多様な選択肢をつくりたい」との考えを示す。 今後の不登校対策は小中で1人1台のタブレット端末などを整備する国の「GIGAスクール構想」が鍵になるとして「自宅や学校の別室などで担任の授業などを見られるようになれば新たな学習支援ができる。ただ『学校に行く必要がない』と考えるようになるなど逆効果も懸念される。より不登校の背景を正しく読み取り一人一人に応じた最善の支援方法を検討する必要がある」と強調する。

■不登校からの復帰、周囲の見守り方は? 不登校からの回復を、保護者や学校など周囲の大人はどう見守っていけばいいのか。不登校経験のある子どもの保護者らでつくる親子支援ネットワーク「♪あんだんて♪」(京都市山科区)の福本早穂代表に聞いた。 新型コロナウイルスの影響で不登校や行き渋りになったという相談は受けている。休校中、ゲームに熱中して昼夜逆転の生活になったり、ネットゲームで同級生とトラブルになったりしたことで学校に行けなくなった話を聞いた。 学校再開後も友だちとの遊びや会話が制限されたことや、授業が早くて追いつけないことに寂しさやしんどさを感じて登校できなくなったという相談もあった。以前から不登校だった子どもで復帰しそうだったのに休校を機に難しくなった例もあった。 近年の不登校増加の背景には保護者や子どもの意識の変化もあるだろう。昔より不登校を受け入れるまでの時間は短くなった。ただ子どもたちはそれぞれ頑張りすぎて息切れになったり、対人不安が強かったりして、学校に行った方が良いと思っても体が動かない。そして学校や社会からこぼれ落ちたという孤立感にさいなまれている。

回復するにはエネルギーをためる時間が大事だ。最初の行き渋りから不登校に、その後充電する時期を経て「暇だ」などと言い出すと動き始める。タイミングが大事で、オンライン学習が発達しても「動きたい」「この先生なら安心」などと受け入れる時でないとうまく前に進まない。 ただ子どもは大人が思う以上にたくましく、いろんなことをしっかりと考えている。目的意識がはっきりし出すと勉強し始める。例えば、ゲームの「三国志」を究めて社会の先生になったり、野鳥観察をして生物専攻に進んだり、絵を描くのが好きだからと高校に行ったりと、これまで何人も充電期に好きになったことから目的を見つけて復帰する姿を見てきた。 学校の先生も忙しく余裕がないだろうが、子どもの変化に気付いて「どうしたん」「元気ないな」と声を掛けてほしい。 〔2020年11/17(火) 京都新聞〕 

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ページ名 いじめの件数広島市・2019年  広島県広島市(いじめのニュース、  )
広島市教委 いじめ認知件数 昨年度過去最多 「早い段階で認知できるようになっている」
広島市の小学校から高校までの公立学校で認知されたいじめの件数が、昨年度、最も多かったことが分かりました。
広島市教育委員会によりますと、ことし3月までの1年間で、広島市の小学校から高校までの公立学校で認知されたいじめの件数は、合わせて4725件でした。
前の年度に比べ266件増え、過去最多を更新しました。
認知件数が増えていることについて市教委は、「早い段階でいじめを認知できるようになっている」とみています。
「引き続き、教職員のいじめに対する意識や感度を高め、教育相談の質の向上を図るなどの取り組みに努めていく必要がある。」
(広島市教委 いじめ対策推進担当課 横山善規課長)
また、小学校から高校までの不登校の児童・生徒数は合わせて1907人で、前の年度よりおよそ35%増加しました。
RCC BROADCASTING CO.,LTD.
〔2020年11/17(火) RCC中国放送〕 

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精神科医・樺沢紫苑 精神科医・樺沢紫苑が教える”ストレスフリーな生き方” 「職場の人間関係はもっとドライでいい」 人付き合いが苦手、これからの働き方に不安を持っている、いつも微妙に疲れている…...。人生のあらゆるストレスとの向き合い方に真正面から応えてくれる本『ストレスフリー超大全』(ダイヤモンド社)は、発行部数16万部突破している話題の本だ。今回は著者の樺沢紫苑氏に、今日からできるストレスフリーになる生き方について話を訊いた。

【表紙】『精神科医が教える ストレスフリー超大全』

■人間の幸福を司る三つの神経伝達物質 ――人が幸福を感じるには、3つの脳内物質、(1)セロトニン(心と体の健康や安定)、(2)オキシトシン(愛情、繋がり)、(3)ドーパミン(興奮、社会的成功)の分泌が重要で、この3つの順番が大事だとあります。どういった順番がいいのでしょう? 樺沢紫苑:(以下、樺沢):まず三つの物質を説明すると、セロトニンは「やすらぎ」「癒し」「気分」の幸福感です。朝起きて今日も天気が良くていい気分だとか、ポジティブで前向きな気分に包まれるもの。 逆に、「不安」「心配」「イライラ」「落ち着かない」という状態なら、セロトニンが低下してネガティブな気分に引っ張られています。若い人や元気なうちは心や健康を後回しにしがちですが、無理がたたって体を壊したり、メンタル疾患になる人もいますね。 オキシトシンは「つながり」の幸福感。パートナーや家族、友人と一緒にいて楽しいとき、愛情や人との繋がりによって分泌されます。一生懸命仕事をしているけれど、奥さんとの時間を疎かにして夫婦関係が悪くなってしまって離婚したとか、子どもとのコミュニケーション不足で子どもが不登校や引きこもり、問題が起きて家庭崩壊になるケースもあります。

ドーパミンは「やる気」による幸福感。目標を達成したときなどに分泌される「成功」の物質で、プロジェクトの成功やスポーツで勝つ、大金を手に入れる、昇進や昇給など、達成感や高揚感ですね。 人が幸せになるには、セロトニン→オキシトシン→ドーパミンの順番が大事ですが、ほとんどの人はドーパミンを優先しがち。一生懸命頑張れば仕事で認められる、成功できると思っています。 しかし、いくら仕事をして地位や名誉、お金を手に入れても、健康や人間関係が崩壊してしまっては何の意味もないはず。それに、何か病気を抱えた状態でバリバリ仕事をするとか、家庭やパートナーとの関係が不安定な中で仕事に集中するのも無理があります。安定した精神状態(セロトニン的な幸福)と、安定した人間関係(オキシトシン的な幸福)、心と体の健康があって初めて人間は本来のパフォーマンスを発揮できるのです。 たとえるなら、セロトニンとオキシトシンは住宅でいうと基礎。基礎がしっかりしていると高層ビルを建てられますが、基礎が脆弱な状態では1軒か2軒しか建てられないイメージです。

■セロトニンは朝の通勤で活性化できる!? ――セロトニンを活性化するには瞑想や咀嚼、マインドフルネスのほかに、朝散歩も強くお勧めされています。朝散歩のポイントはありますか? 樺沢:太陽の光を浴びること、リズム運動、咀嚼、この3つがセロトニンを活性化させますが、それを1度にできるのが朝散歩です。朝起きて、1時間以内に太陽の光を浴びて15~30分くらいの散歩をして朝食をとる。 起床後1時間以内というのは、起きて太陽の光を浴びることで、人間の体は朝だと認識して体内時計をリセットします。そこから15~16時間後に睡眠物質、メラトニンの濃度が高まり「眠気」が出ます。 たとえば朝7時に起きたら夜の22~23時に眠気が出る計算です。このため午前11時に朝散歩を行うと、体内時計のリセットが遅れてしまうんです。また、セロトニンは脳の指揮者とも言われており、1、2、1、2とハイテンポでリズムよく歩くことで活性化します。 紫外線を気にする方もいるかもしれませんが、紫外線を浴びることでビタミンDという物質が生成されます。カルシウムの吸収を促進し、骨粗鬆症の予防になる物質ですね。ですから真夏はしょうがないとしても、そこまで日差しが強くない時期なら、あまり肌を防御しすぎないことも重要ですね。

――朝の通勤時間も朝散歩に入りますか? 樺沢:朝起きて1時間から1時間半程度で家を出る人が多いと思いますが、速足でリズムよく歩けば大丈夫です。通勤風景を見ているとスマホを見たり、ダラダラ歩いている人がとても多い(笑)。それだと意味がなくなってしまいます。 また、朝5時に起きて8時に出勤する人は、外に出て太陽の光を浴びる8時に体内時計がリセットされてしまうため、本来起きている時間とずれてしまう。起きて1時間以内というのは、一つの目安としてお伝えしています。また、1日に20分くらいの速足の運動が運動不足にならない最低限の運動量です。片道10分歩けば20分になるので速足で歩くこと、そして地下街ではなく日の当たる場所を歩くといいですね。

――朝散歩同様、睡眠を6時間以上取ることも推奨されていますね。 樺沢:たとえば4時間睡眠の人は、本来その人が持っている能力の半分くらいしか出せていません。ショートスリーパーの遺伝子を持っている人は10万人に1人と言われているので、99%は自称ショートスリーパー、ただの寝不足な人です。 そういう人はどれだけ頑張って万全の態勢で戦っても力が発揮しきれません。確かに20代で徹夜をしても平気ですし、目に見える症状もすぐに出ません。症状が出るのは10年、20年経ってから。今までの睡眠負債が溜まってガンや糖尿病のリスクが3倍にもなっていきますし、40代、50代になってその生活をどこまで改められるかというと、難しい年代にもなってきます。 たとえばアルツハイマー病に深く関わっているアミロイドβタンパクという物質がありますが、人間の脳は睡眠中に体積が20%も縮み、そこに脳脊髄液が入り込んで、わかりやすく言うと脳の中を洗濯しています。しかし睡眠が少ないと洗濯ができないのでアミロイドβタンパクがどんどん溜まっていき、認知症発症のリスクが高まります。

■愛情物質・オキシトシンの重要性 ――オキシトシンは安定した人間関係から出る物質ですが、どのような状況で分泌しますか? 樺沢:オキシトシンは愛の物質と言われていて、相手と交流をすることで分泌されます。たとえば、ハグや性行為、ボデイタッチ、赤ちゃんを抱っこするなどして愛情を感じたときです。また、コミュニティに所属している安心感や友情を感じることでも分泌されます。さらに、ペットと触れ合ったり植物に水をあげたり、何かを世話している状態でも分泌されると言われています。 オキシトシンを出す相手が身近にいなくても大丈夫。ボランティア活動や社会貢献、人に親切にしていると意識すると、親切する側もされる側も分泌されるんです。親切といっても電車で席を譲る、仕事に困っている同僚がいたら助けるとか、小さな親切で大丈夫。日々の生活でちょっとした気遣いや心遣いをしていくだけで、オキシトシンは自分の意志で十分出ます。

――TwitterやメールなどSNSを通じた交流でもオキシトシンは分泌されますか? 樺沢:難しいでしょうね。最近出た論文で、高齢者を対象にした研究ですが、リアルなコミュニケーションがある人とない人で鬱病の発症を調べたところ、SNSを長い時間やっていても鬱病を予防する効果がないという研究が出ています。 若い人は効果が出る場合もあるかもしれませんが、基本的にはリアルなコミュニケーションには敵わないと思った方がいいです。皆さんもオンライン会議やオンライン飲み会をやってるとわかると思いますが、相手の細かい表情や微妙なニュアンスってなかなか伝わらないですよね。オンラインでのコミュニケーションが増えているからこそ、リアルで会う時間を大切にしてほしいなと思います。

■まずは自分から行動してみることの重要性 ――コミュニティや人間関係の大切さについても書かれています。自己開示がうまく出来ない、友人に誘われたら行くけれど、自分からも声を掛けることは苦手という人もいるようです。 樺沢:本人がどうしたいかですよね。「人間関係は努力なしでは成長しない」というのが重要です。なんとなく会社に行って仕事をしているだけでは、人間関係が育つわけもなく、学校でも自分から話しかけない、誰とも目を合わさずにいたら仲良くなるはずないんですね。 人間関係を深めたいなら自分から行動するしかないし、黙って待っていても誰も相手にしてくれません。いつまでも孤独なままでしょう。「ちょっと暇だからご飯行かない?」ととりあえず声を掛けてみる。その日相手が忙しくても、「わかった、また今度ね!」とそれでいいじゃないですか。 「自己開示が苦手」という人に、自分から何か行動したみたか聞いてみると、何もやっていない人がとても多い。もちろん、一人でいるのが好きという人は無理に頑張らなくてもいいと思いますよ。

インプット、アウトプット、フィードバックの流れがあるように、人間は何か行動を起こして、結果を修正していくことでしか変化や成長はできません。何もせずに、頭の中だけで考え、1回アクションを起こして成功というのはあり得ないんですよ。それなら何回かアクションを起こして誘ってもらえるような工夫をしてみる。仮に好ましくない結果になったとしても、それは失敗でなくトライアンドエラー。成長と考えるといいですね。失敗を恐れて何もしないなら、私はこのままでいいということになってしまいます。 私の感覚ではだいたい80%くらいの人はコミュニケーションが苦手だし、寂しさ、生きづらさを感じています。ですからコミュニケーションが苦手な人同士は、同じ感覚を共有できるはずだし、共感しやすい。自分から勇気を出して話をしていくと、皆さんが思っている以上に友達や彼女は出来やすいでしょうね。

――本書には言語、非言語のコミュニケーションのお話もありますが、笑顔でいたり、誘いやすい雰囲気を作ることも大切なんですよね。 樺沢:本人は気づいていないかもしれませんが、自分はモテるはずがない、別に友達はいらない、結婚なんかしなくていいと思っていると、脳からサインが出て非言語(ノンバーバル)として表情や態度に出ているし、相手にも伝わります。しかし、私は友達を作りたい、彼氏彼女を作りたいと思っていればウェルカムな態度になっていくと思いますよ。心を開く、オープンにすることがとても大切です。

■すべての職場は人間関係が良くない ――本書の中で、「すべての職場で人間関係は良くない」という言葉も印象的でした。 樺沢:人間関係よりもまず仕事ができるかどうかですよね。仕事ができない人は上司に怒られたり、同僚のフォローが必要になったりと、次第に周りから風当たりが強くなっていきます。これを言うとたくさんの批判コメントがつきますが、私は人間関係がうまくいっていないのは仕事ができないからだとも思っています。まずは早く仕事を覚えて最低限人並みの水準までできるようにしておかないと、どこに行っても厳しい扱いを受けるでしょう。

1:2:7の法則というのがあって、人が10人いたら1人はあなたのことを嫌いな人、2人はあなたの味方、7人はどちらでもないんですよ。本来は自分のことを支えてくれる人に時間をさけばいいのですが、人はなぜか悪い方にばかり注目して8,9割くらいエネルギーを費やしてしまう。 そもそも学校で1クラス40人いて、全員が仲良しということはあり得ません。会社も仲良し組織ではなく、仕事がつつがなく進めば問題もない。人間関係にエネルギーを注いでも異動や転職もあるし、もっとドライな気持ちでいいと思います。人間関係を気にするよりも、自分のスキルや能力を伸ばすような自己投資をしてあげるといいと思います。自分を伸ばすことができると他の人を助けてあげることができるんですよ。あなたが職場の仲間を助けているのなら、職場の人間関係は良くなります。

――ネガティブな気持ちになってしまった時に心がけた方がいいことはありますか? 樺沢:アウトプットの法則で、脳は2週間のうちに3回以上同じ話をすると忘れません。上司に叱られた、彼氏と別れたと飲み会で話し、電話でもまた別の友人に話し、SNSで発信する。1日で3回もアウトプットすれば脳の仕組みから当然忘れなくなるし、自分で心の傷を開いているようなものです。 ネガティブな出来事をアウトプットしないようにするだけで、トラウマや嫌な気持ちにさいなまれることも無くなります。過去の出来事やトラウマは自分が作っているんです。嫌なことは1回まで、嫌なことをアウトプットするのではなく、寝る直前にポジティブなことを思い出す、ポジティブ日記を3行書くことが有効です。

■うっかりミスや不眠は鬱病の兆候?? ――最後に鬱病について。突然職場でパニックになった、急に涙が止まらなくなったなど、前触れなく鬱病を発症したという人もいますが、実際は自覚症状がないだけで兆候が出ていたのでしょうか。 樺沢:突然ということはまずあり得ないんですね。診察に来て、なんでこうなるまで放っておいたの? という人がほとんどです。職場の皆さんから見ると昨日まで普通だったように見えたかもしれませんが、鬱の患者さんは明るく取り繕うことがあります。

鬱の兆候というと、気分が落ち込む、何もしたくない、会社に行きたくないといったイメージがあるかもしれませんが、それは中等度~重度の鬱です。最初の段階から気分が落ちるのではなく、不眠やうっかりミスが増える、普段きちんとしている人が書類の提出期限を忘れるなど、脳疲労の重要な兆候が最低1カ月前、2,3カ月前から何かしらの不調は出ていて、徐々に進んでプチっと切れて爆発します。 こちらの『ストレスフリー超大全』にはストレスに対してかなり初期の段階から防げることが書いてあります。鬱になって気づくことも重要ですが、その前段階で気づき、対処すれば鬱になりません。自分のストレスを早めに流してもらえたらと思います。

■樺沢紫苑プロフィール 精神科医、作家。1965年札幌生まれ。91年札幌医科大学医学物卒。2004年からシカゴのイリノイ大学に3年間留学。帰国後、樺沢心理研究所を設立。「情報発信を通してメンタル疾患、自殺を予防する」をビジョンとし、YouTubeチャンネル「樺沢紫苑の樺チャンネル」やメルマガで累計50万人以上に精神医学や心理学、脳科学の知識・情報をわかりやすく伝える、「日本一アウトプットする精神科医」として活動している。シリーズ70万部の大ベストセラーとなった著書『学びを結果に変えるアウトプット大全』『学びが効率化するインプット大全』(サンクチュアリ出版)をはじめ、30冊以上の著書がある。 リアルサウンド編集部 〔2020年11/17(火) リアルサウンド〕 

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座間9人殺害事件 ロフトに吊して…白石被告が9人目の被害者、23歳女性の遺体を撮影した理由とは 手足をバタバタと……法廷で明かされた8人目の被害者、25歳女性へのおぞましい犯行 から続く 「(死ぬのは)本日、希望です」 2017年10月に発覚した、神奈川座間市のアパートから男女9人の遺体が発見された事件で、強盗・強制性交等殺人で起訴された白石隆浩被告(30)の裁判員裁判が東京地裁立川支部(矢野直邦裁判長)で開かれている。11月16日には、9人の殺害に関する証拠調べ、被告人質問、中間論告が終わった。

犯行が徐々にエスカレートしていった 9人目に殺害された東京都八王子市のIさん(当時23、女性)は冒頭の文章をTwitterのダイレクトメール(DM)を送った。Iさんの事件については、他の被害者と違って、白石被告は会う前に殺害を決意している。また、殺害後に遺体を携帯電話で撮影していることが明らかになり、犯行が徐々にエスカレートしていったことがわかる。

冒頭陳述によると、Iさんは、幼少期は引越しを繰り返していた。両親は離婚。中学3年生で不登校になった。高校に進学するが、退学。2014年に統合失調症と診断された。2017年6月、一緒に住んでいた母親が亡くなり、9月からはグループホームに入居。生活保護を受給していた。この頃から投薬治療を始めている。 Iさんは人見知りで、引っ込み思案の性格だ。兄の供述調書によると、病気のため兄以外とは話せず、人との関係を築くのが苦手だった。時に男性は苦手であった。一方、兄とは頻繁にLINEのやりとりがあった。Iさんは「寂しくてTwitterで話をしてしまう」と兄に話をしていた。

〈部屋はロフトがあるので、首吊りがしやすいです〉  そんな中、9月20日、IさんはTwitterで、こうつぶやく。

〈#自殺募集 死にたいけど、一人じゃ怖いので、一緒に死んでくれる人いませんか?〉

このツイートに、白石被告とは別の5つのアカウントとやりとりをした形跡がある。 このころ、白石被告は複数のアカウントで「死にたい」「寂しい」「疲れた」などと呟いている女性を物色していた。白石被告は9月22日、「@死にたい」というTwitterアカウントからIさんに「ご一緒に死にませんか?」とDMを送った。これに対して、Iさんが返信することはなかった。 しかし、Iさんは、10月2日になってから「@死にたい」にDMを送った。このとき、白石被告はこんなメッセージを送った。

〈薬やお酒で恐怖を和らげて、首吊りはどうですか? 部屋はロフトがあるので、首吊りがしやすいです〉

このやりとりの後、IさんはDMを送っていない。しかし、3週間後の10月23日になって、Iさんは「@死にたい」にいくつかDMをする。

〈本日、希望です〉

〈所持金は1000円しかありません。(首吊りの)道具は(持参しなくて)大丈夫でしょうか?〉

〈どこ住みですか?〉

〈男性ですか?〉

「私は、死ぬつもりはありません」 そして、白石被告を信用させるためだろうか、自ら自身の写真を撮って送信している。白石被告は、お金を引っ張れるヒモになるか、ヒモになれないなら、失神後にレイプして殺害しようと思っていた。この時点でIさんに収入がないと判断し、殺害を決意している。

「一緒に死のうというやりとりをしていました。私は、死ぬつもりはありません。お金がないとわかり、レイプして殺害しようと決めました」 それまで、白石被告の犯行は、自宅に呼んでからヒモになれるかを判断し、できないなら失神後にレイプして殺害し、所持金を奪うという手口だった。しかし、Iさんの場合は、会う前から「お金がない」と判断し、すでに“見極め”を行っていた。他の被害者とは違う手順だ。

9人を殺害したことから、それぞれの殺害状況と混同したり、忘れてしまっていることが多いが、イレギュラーなことが起きた場合は、「覚えている」と述べることが多い。そのため、会う前にレイプして殺害する決意をしたことは、白石被告の中では、特異な点として記憶に残ったのだろう。 弁護側は「Iさんは、死を決意していた」と主張 待ち合わせ場所はJR八王子駅だった。時間は13時45分ごろだ。Iさんは白石被告に会う前、白石被告へのDMで〈楽しみにしています。ワクワクしています〉と送信するなど、楽しみにしている様子もあった。

「(8人目の)HさんとIさんの2人は、他の人と違った特徴がある。白石さんから電車に乗って迎えに行っている。特に、Iさんの場合は、お金がない白石被告が、わざわざ(小田急線)町田駅まで行き、(JRに)乗り換えて八王子駅まで行っています」(弁護側中間論告) Iさんと合流したとき、白石被告が「私の部屋で首を吊るか、Iさんの部屋でするか」と聞くと、Iさんは白石被告の部屋を選んだという。以前のDMで、白石被告は「部屋にロフトがある」ことを伝えており、Iさんは知っていた。弁護側はこの点を強調し、「Iさんは、死を決意していた」(同)と主張している。 合流後、白石被告とIさんは、八王子駅から町田駅へ向かい、JRから小田急線に乗り換えて、14時47分、相武台前駅に着いた。そして、15時ごろには白石被告のアパートまで行くことになる。 「合流した直後は、私の部屋で自殺しましょう、という会話はありましたが、その後は、自殺の話はありませんでした。楽しそうに話をしていたので、出会い目的かと思いました」

逮捕後は「本当に死にたい人はいなかった」と供述 Iさんの「楽しみ」や「ワクワク」は、白石被告との出会いが目的だったのか。それとも、自殺願望を実現することへの気持ちだったのか。白石被告は、出会い目的と勝手に判断した。気持ちの確認は何もしていない。 逮捕後、白石被告は「本当に死にたい人はいなかった」などと供述し、筆者との面会でも同じことを繰り返した。たしかに、死ぬのを止めたことを明言した犠牲者もいるが、Iさんを含めて、気持ちを確かめていない人もいたのだ。 部屋では1時間半から2時間後にIさんを殺害しているが、白石被告はこれまでのような“見極め”をせずに、いきなり背後から胸を触り、押し倒し、首を絞めるという行動をとった。そして、殺害後、白石被告は、吊るしたIさんの胸と陰部の写真を携帯電話で撮影した。

「容姿がタイプだったんです。自慰行為をするために撮影しました。そして、床に寝かせて、死姦しました」 Iさんを含め、9人の殺害は、殺害の承諾があったのかが争点だ。そのことを考える上で、議論になっているのが、抵抗があったのかどうかだ。Iさんの場合は、白石被告の記憶が曖昧になっている。 ただ、逮捕後の調書(2017年11月27日、同年12月23日)によると、「胸を触ろうとしたときに肘打ちされました。馬乗りになったときには、足で蹴飛ばされそうになりました。首を絞めている手を引き離そうとしました」など、Iさんの抵抗の様子を白石被告は供述している。

通常の刑事裁判とは、逆になっている こうした供述について、白石被告は公判の中で「今の時点で記憶はないが、取り調べ時点のほうが記憶が新鮮なので、そう話したのなら、それが正しい」などと話す。今回の事件の被告人質問では、一貫して、こうした答え方をしている。

ただし、「逮捕後に何がなんだかわからない状態で供述したことと、落ち着いてきて喋れるようになったときの供述と、証拠を見せてもらった後の供述」とはニュアンスが異なる旨の発言もしている。そのため、検察側は供述の一貫性を主張するが、弁護側は供述が信用できないと反論。被告人の供述を信用するかどうかについて、通常の刑事裁判とは、逆になっている。 その上で、検察側は、「殺害の承諾も、所持金を奪取する承諾もない」とした上で、「性欲を満たしつつ、所持金を奪った、自己中心的な単なる殺人であり、強盗・強制性交等殺人である」と結論づけた。 一方弁護側は、会うまでのやりとりでは、「Iさんが自ら白石被告のところへ会いに行き、部屋にも強制されずに入っている。部屋に入ってからは、ロフトがあり、ここで首を吊るんだと分かったはずだが、帰るそぶりはない。白石被告に死を委ねている。そして、白石被告に勧められた安定剤を拒否することなく飲んでいる。それは死への決意を加速させた。承諾がないとするには疑問が残る」と反論した。

渋井 哲也 〔2020年11/18(水) 文春オンライン〕 

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親のための学校 フランスに「親のための学校」がある「重要な理由」 親子間トラブルや、家出少女がSNSで出会った見知らぬ男のところで見つかったというニュースが続く日本。子どもが自分で選択できる相談先は多くない。 筆者が2000年代半ばに首都圏の福祉事務所で働いていたとき、母子家庭で、母親の彼氏が夜来ることが嫌だと夜間に路上で何度も保護される中学生の少女がいた。母親が事実を否定するのでなかなか話は進まないまま娘は外泊が増え連絡が取りにくくなってしまっていた。

筆者が現在調査しているフランスのパリの北にあるセーヌ・サン・ドニ県のシェルターにはこのようなケースも来ており、少女を保護し、ケアし、親のケアもおこなう。

同県の警察署の家族保護班への調査によると、学校や地域のソーシャルワーカーなどからの情報で「未成年の所在がわからない」「帰宅していないようだ」という情報がある場合、親が捜査を希望しているか否かに関係なく捜査を開始する。当日中に携帯電話端末の所在を特定し、通話記録のあった先に電話しほぼ発見に至るということである。 警察は「家出したということは解決すべき問題があるということ」「不具合の症状」という理解でそのまま家に返すことはしないと言う。特に子どもが嫌がる時には絶対に返すことはしない。家族保護班は子どもへの聞き取りや支援の専門の訓練を受けているが、彼らだけでなく警察署のソーシャルワーカーと心理士、必要なときはシェルターも加わり子どもがどのような問題に直面しているのか聞き親子間の調整を試みる。

帰宅したらまた問題が出そうな場合や性的ビジネスにつながる予感があるときはすぐに子ども専用の裁判官に電話し裁判官命令でまずは保護、8日以内に調査を終える。裁判官の指揮のもと警察が動き、警察は裁判官にとっての目となり調査にあたる。女子の家出には通信記録の中に売春斡旋業者の声かけも含まれていることもあるので特に念入りに調査し犯人(容疑者)の逮捕や立件につなげることも多い。 前回の記事ではフランスで子どもに安全な家出先を用意していること、そこでおこなわれている若者へのケアについて紹介した。今回は家出した未成年を保護するシェルターが親にどう関わっているかについて書きたい。

子どものケアは親のケアから 子どもに十分なケアができなかった親は、自身のこともケアできていないことが多いので、親をケアすることで、親が子どもをもっとケアできるようになる。最初に「親もケアする意思がある」ことが相手に伝わることが重要であると職員は言う。

「お子さんはうちにいます。お子さんはあまり元気ではありません。難しい状況なのだということがわかりました。ご両親にとっても同じだと思います。大変だったでしょう。子どもと家に帰れるためにどうすればいいか一緒に考えましょう」と伝えると、90%の親は数分後か翌朝には来て子どもがシェルターに宿泊することも了承すると言う。 残りの9%も話し合いをするとほとんどは子どもがシェルターに残ることを認める。それでも認めない1%については親子間のコミュニケーションに誤解があった場合で誤解が解けると解決する。

ほとんどの親は「ありがとう」「聞いてもらえてよかった」「初めて話を聞いてもらえた」と言うと職員は微笑む。 子どもが母親と話し合えないときは、母親自身も自分の母親と話し合えない関係性だったことが多いと考えるので、「お母さんは辛い経験をされたのですね、小さい時、若い時、苦しかったのですね」と心理士が声をかける。 手に負えないと子どもを彼氏の家に泊めたままにする、どこにいるかわからなくても放置するなどの状況はこのケースが多いので、まず子どもを安全な場所で過ごさせた上で話し合いをする。 親自身にアルコール依存や借金や売春などの問題があって、それを問題だと思っていないとしたら、話し合って状況を解決することは難しい。自身に解決していない苦しみがあるということなので、より一層親のケアに力を入れる。 「一番いけないのは親をシャットアウトすることです」とシェルターの職員は言う。

子どもに会えなくても親はいつでも来てエデュケーターと話をすることができる。 誰が相手であっても、言葉が通じなくても、人種も国籍も文化も違っても、特殊な宗教を信じていても、話すこと、対話を築くことは可能であると職員たちは今は確信しているという。 なぜなら、親は皆「子どもを危険な状態に置くよりも話し合って解決の方法を探したい」と望んでいることは共通していて、誰でも自分の子どもに悪いことは起きてほしくないし辛い経験をしてほしくないと思っているからだ。 子どもを助けたいと思っていることは親も同じなので「親と子ども両方のためである」と伝われば反対されることはないと言う。若者も親に辛い思いをさせようとは思っていないので、妥協点は見つかるのだ。

「親であることの支援」についての国家戦略 筆者作成(パリ市、セーヌ・サン・ドニ県) 子どものケアと両親のケアを必ずセットで考えるのはシェルターに限ったことではない。 連帯・保健省は「『親であることの支援』についての国家戦略2018-2022――親を描いてみよう」を発表しており、出産前から子が成人するまでどのように全ての省庁が力を合わせ親であることを支援するかの指針が書かれている。

親であることの支援は重要な社会的投資であるという説明として、親であることを支えることは子どもたちの精神的問題や行動障害(うつ傾向、意力不足、暴力、不登校、リスクを伴う性行動)を予防する効果があると実証されてきているとしている。 2つの大戦の間頃から親の支援をしている民間団体はあったものの、国としては60年代まで専業主婦のいる家庭を想定した支援を行なっていた。 70年代に入り未婚カップルや女性の就労など多様な家族の形態を想定しより細やかなサービスを用意するようになった。今では25歳から49歳の女性の82%が就労している。 「親であることは簡単なことではないから」というメッセージがキーワードになっている。

妊娠中から専門家を親と子どもの周りに配置していつでも相談できるように、頼りやすいようにしている。国の家族支援に影響力の大きい全国家族支援団体連合会には6500もの団体が参加している。 県で配っている親への手紙にはこのように書いてある――「ティーンエイジャーは親と子どもの新しい関係性を築くチャンスです。完璧な親になるのは不可能です。子どもとの絆、愛情関係を壊したくないものなので、ティーンエイジャーの問題提起に適切に応え、ルールを定めるのも難しいことです。親の役割は最も重要で、親の振る舞い、使う言葉、態度、生き方は子どもに一番影響を与えますが、子どもは自分で選択をすることができる一個人であることも理解しなければなりません」

保育園の心理士、看護師、医師、幼稚園以降の学校ソーシャルワーカーを始め全ての子どもの周りの専門家は子どもと親両方のケアをおこなうが、親のためにも様々なサービスが用意されている。 親のための全国無料SOS電話を受ける心理士は「電話をかけてきたときの声や息遣いから伝わるストレス、疲れ、堆積している想い、場合によっては一触即発の空気が電話を切るときには安堵した声に変わっています。短時間であってもありのままの気持ちを聞いてもらう中で、思考を整理することができたということです。悪い親だと思われないか心配せずに話せる、恥ずかしいことも話せる場所が必要です」と言う。

児童手当の支払いを担当している家族手当基金では、親子で一緒の時間を過ごし様々な経験を通して絆を深めることができるように親子でスポーツを一緒に楽しめるクラブ活動の開催支援や、家族旅行の資金援助もおこなっている。 子どもについては学校以外にも、前回の記事で紹介した路上エデュケーターも地域に配置され、学校によっては学校内でも路上エデュケーターが相談受け付けをしていて学校や家族に話しにくい内容を相談するのに人気がある。若者が自らの意思で選び利用できる福祉の選択肢が多くあるのだ。 親も子もソーシャルワーカーやエデュケーターに紹介を受ける中でいろいろ試し、気に入ったところで支援を受けながらそれぞれ問題を乗り越えられればいいと考えられている。

国の責任として「親であることの支援」をこれだけ何層ものミルフィーユ状に用意していても、人々の長い歴史の中でできたねじれは簡単に解決するものではない。 それでも、フランスでは簡単ではない状況があることを認めた上で、子どもになるべく平等にチャンスがあるようにし、親にも状況を改善させる機会があるようにしている。 日本では虐待や放置死などの痛ましい事件が起きる度に「写真やSNSでは可愛がっているように見えるのに一体何が」といった表現がメディアで見受けられる。 このような報道のあり方には「親自身が虐待や暴力被害を経験しているかもしれない」「親自身が十分なケアを受けられず傷を抱えたまま子育てしてきていたのかもしれない」という想像力が欠如している。

自治体によっては虐待する親への支援や家族をまるごと支える動きも出てきているが、メディアで見られるような親を非難する風潮は、親が相談しにくくなるという悪循環を起こすだけである。 シェルターは子どもだけでなく親のことも助けることができる。子どもを守る場所を確保し、そこを親も子どももケアするきっかけにすることで次世代をより健やかに育てることができるのではないだろうか。

最後に、シェルターのノートに残された若者たちの言葉を紹介する。 「私は変わりたい。そのためのチャンスが必要。私は変わることができるし、みんなに私は変われるんだって見せたい、みんなに私が良い人間で、成功すると証明したい」 「人生の最後まで証明し続けるものがあるはず 不運や身の上にこだわらないで、しっかりしがみついて 自分にも価値があるということを見せつけてやろう」

「私はここに来て初めて家族なしで生きていくことは難しいと気づいた。自由と自立した人生がほしいけど、人生で後悔が残るとしたらお母さんとの関係から逃げたこと。家を出て、友達のところにいて、それぞれみんな悩みや問題があるということがわかった。家を出るということは自分で全て責任をとるということ、家にいるのは現実と向き合うということ。私の人生は辛いことだらけで最悪のことも経験したけど、ただ、逃げても何も役に立たないということだけはわかった。家族にとってコミュニケーションが大事だということも。落ち込んで、疑問でいっぱいのときもあるけど、いい選択をしていっていつかお母さんに私もできるんだと見せつけて自分を誇りに思えるようになりたい。ここにいる人たちのような人が世の中にいてよかった」

注:パリの北にあるセーヌ・サン・ドニ県のシェルターや親であることを支援する機関での調査を元に書いている。制度の運用面が他県、他団体では異なる場合がある。 引用:フランス連帯・保健省「『親であることの支援』についての国家戦略2018-2022――親を描いてみよう」 安發 明子(在パリ 通訳/コーディネーター/ライター) 〔2020年11/18(水) 現代ビジネス〕 

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小学校教師 体調を崩すまで時間外勤務を断れなかった若手教員に欠落していたもの ある小学校の若手男性教員は、勤務時間外に過酷な研究活動を強いる女性リーダーに抗えず、吐き気や頭痛に悩まされるようになった。精神科医の遠山高史氏は、「最近の若者はストレスへの抵抗力が低い。その背景には、他者と触れ合う機会を奪い自我形成を阻む『少子化』と『ネット社会』がある」という──。

※本稿は、遠山高史『シン・サラリーマンの心療内科 心が折れた人はどう立ち直るか「コロナうつ」と闘う精神科医の現場報告』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。

■ストレス耐性の強さは「自我」で決まる

 若い男性の小学校教師が、出勤しようとすると吐き気や頭痛を催すとの訴えで通ってくる。

 彼は学校の倫理研究班に所属し、どのような倫理教育をすべきかを研究して発表するよう、リーダー格の40歳くらいの女性教師から命じられていた。

 本来の教職と離れた研究活動だが、彼が勤める小学校は地域のモデル校として指導的な役割を求められていたから、引き受けないわけにはいかなかった。

 しかし、何度研究論文を提出しても女性リーダーは書き直しを命じてきた。

 彼女の意に沿う内容でなければ受け入れない様子だった。彼女は、これまで教育委員会や文部科学省の依頼に応じ、さまざまな研究を手掛け、自らの評価を上げてきた。

 ところが、そのほとんどの実務を、彼女は彼に押し付けてきた。そもそも勤務時間外に行う研究活動だから、上級官庁の依頼とはいえ、理由を付けて断る学校はいくらもある。

 彼も「ノー」と言えばいいのだが、どこか母親にも似た強いリーダーに逆らうことができなかった。

 病を跳ね返す力にはいろいろあるが、ウイルスや細菌への抵抗力、怪我からの回復力、癌細胞を排除し抑え込む力などをひっくるめて免疫と呼ぶ。

 免疫とは侵襲してくる、何がしかの力を押し返し、ノーという作用を言う。当然、心の病にも免疫というべき働きがある。

 さまざまなストレスへの抵抗力、回復力が弱まると、些細なことで人は死にたくなるかもしれないし、逃げ出したくなるかもしれない。

 こうした心の免疫を担うのは、知識とか感情というものを包む自我というものである。

■共感なきネット社会で自我をどう鍛えるか

 自我とは精神の「皮」の部分であり、幼少期から他者との触れ合いの中で、自己と他者を分かつものとして育まれ、強化されていく。

 そもそも人の脳は群れて生きるように設計されており、その他者と共感しなければならない。

 例えば二つの楽器がそれぞれ独立した音色を出さなければハモれないように、自己と他者を区分けしておかねば共感は成り立たない。

 つまり、精神の皮として自他を識別する自我が欠かせないのだ。言葉を換えれば、自我とは、他者との共感とせめぎあいの中で、自己を守るためのノーという力でもある。

 押しなべて若者はノーと言うことに長けているとは思えない。

 そもそも「引きこもり」はノーの意思表示ではないし、ノーと言ったら虐められるのではないかと恐れ、危険を避けることで引きこもりは起こる。

 闇雲な拒絶反応も、ノーを突き付けることとは違う。

むしろきちんとした人間関係が作れないため、ひたすら他者を避けるのである。また、ノーと言えずに相手に呑み込まれてしまうと過剰適応に陥ることもある。怪しげな取引の保証人になったり、悪事の共犯者になりかねない。

 何でも引き受けてしまうのは、ノーと言う勇気を欠いていることである。

 最近の若者がきちんとノーと言えなくなっているのは、群れの体験の希薄化と、自我の壁に穴を開けるネット社会によるだろう。

 動物としての人間と機械としてのパソコンに共感はあり得ない。

 なぜなら機械には自我がないからである。そこにあるのは「疑似自我」であり、それを自我と錯覚した若者は、知らぬ間に自我の扉を緩めてしまう。

 だからおよそ人が考える悪しきことのすべてがネットから流れ出る。

 文科省が計画している倫理教育ではこれを止めることはできない。少子化とネット社会での自我の鍛え方はまだ日本の教科書には書かれていない。

■ホームから人を突き落とそうとする衝動

 20代の公務員は上司から一言「使えないね」と言われ、出勤できなくなった。

 聞いてもろくに教えてもらえなかったと彼は言う。しかし上司も忙しいから、もっと要領よく聞けと思っていたようである。

 子供がSNS上でいじめられ不登校になったのは教師の対応が悪いせいだと、親に責められた若い女性教師は出勤できなくなった。

 子供はクラスメートから「嫌な奴だ」といったひどい言葉をSNSで送られたようだが、彼女が調査委員会を開かなかったことを非難されたという。

 機械メーカーの課長はあるアジアの日系企業に設えた機械の不具合を責められた。

機械は毎日調整を必要とする不安定さが生じていた。取り換えれば済むことだが、日本人の工場長はあくまでメーカーの社員が現地に常駐し、日々調整することを要求し、折り合おうとはしなかった。 意地悪としか言いようがなかったが、他からも寄せられるさまざまなクレームに対応するうち、家でも緊張が解けず、酒浸りになり、休むようになった。 ある真面目な総務課の主任は、社員の勤務先や給与についての要望を会社に代わって交渉する立場で、社員たちの不満を直に受けることが多く、眠れぬ日が続いていた。 ある日、電車で肩が触れた男に言い知れぬ怒りを感じた。男が電車を降りた時、彼が降りるべきではない駅に無意識のうちに降りてしまった。 その時、男を追いかけホームから突き落とそうとする衝動にはたと気づき、我に返ったという。

■ストレスに耐えきれない人が昔より多くなっている こういったストレス状況は学校でも会社でも起こりうることで、避けては通れない。 ただ、私のような戦後のどさくさの中で群れて育ったオールドボーイには、その多くが辛抱すれば何とかなりそうなのに、耐えきれない人が昔より多くなっているように思えてならない。 トノサマバッタには小ぶりで茶色いものと、大柄で優美な緑色のものがいる。 違う種と思われていたがDNA上は変わらず、育った環境によって違いが生じるのである。餌の少ないところで群れて育つと小ぶりだが高く遠くまで飛翔できる茶色いバッタとなる。 餌が豊富で群れずに育つと、大柄で美しく優美な緑のバッタとなるが飛翔力は弱く、高く飛べない。

さて、私もこれまで人並みにさまざまなストレスと戦ってきた。 中学時代のクラスには、時に教師の胸倉まで掴み、番長風を吹かすやくざの息子、知的障害のある子の背中にバカと絵の具で描きつける情性を欠く子供、貧しい生徒を不潔なごみ扱いする神経質な女の子、その他の無関心派も含めて総勢60人いた。

 教師は60人もの子供を一人で統治できるわけがないと諦めていたか、子供のほうを見ず、黒板のほうだけ向いて授業していた。

 なぜか私という学級委員は番長の暴走を抑止するため筋トレに励み、いじめっ子の牽制のためいじめられっ子の横に座るなどして苦心していたものである。

 大人になって30年も中間管理職をやり、似たようなことは多々あったが何とかやってこられた。

 私が心理的飛翔力の強い「茶色のバッタ」だったからだろう。飛翔とは逃げることではない。

 自分の立ち位置を能動的に変え、新しい局面を作り出すことである。そうした飛翔力を培う機能を日本社会は失っていやしないか。

遠山 高史(とおやま・たかし) 精神科医 1946年、新潟県上越市生まれ。すぐに東京に移り、そこで成育する。千葉大学医学部在学中に、第12回千葉文学賞受賞。大学卒業後は精神病院勤務を続け、1985年より精神科救急医療の仕組みづくりに参加。自治体病院に勤務し、2005年より同病院の管理者となる。2012年、医療功労賞受賞。2017年、瑞宝小綬章受章。自治体病院退職後、2014年に桜並木心療医院を開設。現在も診療を続けている。46年以上にわたり臨床現場に携わった経験を生かし、雑誌『FACTA』(ファクタ出版)にエッセイを連載中。著書に『微かなる響きを聞く者たち』(宝島社)、『ビジネスマンの精神病棟』(JICC出版局。のち、ちくま文庫)、『医者がすすめる不養生』(新潮社)など多数。千葉県市原市で農場を営み、時々油絵も描いている。 精神科医 遠山 高史 〔2020年11/18(水) プレジデントオンライン〕 

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『新訂版 発達障がいに困っている人びと』 発達障がいの女子中学生…母子家庭で育った彼女の意外な結末 発達障がいについて語られることが多くなった昨今。本記事では書籍 『新訂版 発達障がいに困っている人びと』(幻冬舎MC) より一部を抜粋し、「こころの問題」をひも解いていきます。

学校に行けなくて困っている子どもたち 私のクリニックに不登校に悩んでいる親子がよく相談に来ます。主な不登校の原因としては、自律神経失調症でうつ病も併存した自閉スペクトラム症と、身体的な要因からくる自律神経失調症の一種である起立性調節障がい(OD)による不登校の2つです。

まずは、典型的な自律神経失調症でうつ病も併存した自閉スペクトラム症について例を挙げて説明していきます。 Dさんが初めて私の外来を受診したのは中学2年生の春でした。Dさんは非常に痩(や)せていて、白いマスクをしてうつむいたまま静かに診察室に入ってきました。 挨拶もせず何も喋りません。初診時には母親とではなく、祖母と叔母の3人で来院しました。母子家庭で父親はいません。叔母が普段からかかっている医師に、ここを紹介されたということでした。

朝も起きられず、不登校が続き部屋に引きこもりがちということが心配だと言います。たまたまDさんの叔母が通っている病院のかかりつけの医師と私は、市の医師会で同じ委員会に所属し顔見知りだったのです。 母親は日頃から学校での生活をうるさく注意するようで、Dさんの話を聞いたところによると、性格が合わないと彼女は感じているようでした。祖母と叔母に尋ねたところ、小学生の時に心ない女子によって友人の女子を引き離されたり、男子に陰口を言われたりといったいじめにあって、転校したりしたこともありました。

1カ月後、ようやく母親が登場。しかし… 中学2年生になった今もからかわれることが多く、保健室に避難しているそうです。その方が楽だということです。 Dさんの話を聞いていくと、道順をよく記憶していたり、音に対して敏感だったり、嫌なことには取り組まなかったり、興味の範囲が狭かったり、家族が自分のことをいろいろ話しているのではないかと常に気にしてしまったりと、自閉スペクトラム症の症状と思われるものがいくつか見つかりました。

挨拶もせず、一切喋らない場面緘(かん)黙という症状も自閉スペクトラム症に多く見られる併存障がいの一つです。外来で行った自律神経失調症のテストは陽性でした。過去のいじめの経過も合わせて考えると軽いうつ病も併存しているように思えます。 まとめると、軽いうつ病、場面緘黙、IQは普通であり、高機能自閉スペクトラム症を伴った自律神経失調症による不登校という診断結果が出ました。 1カ月経った頃、ようやく母親が一緒に来ました。表情は明らかに疲れきっていて覇気がありません。母親に娘さんがなぜマスクをしているのか尋ねたところ、外出時は他人に口元を見られたくないのでマスクをしていると落ち着くのだそうです。時々タオルで顔を隠すこともあると言います。これは対人恐怖の症状です。

Dさんに変化が?母親と一緒に診察室へ入ったら… そして、夜中の3時に寝て11時に起きるというのも、遅寝遅起きの典型的な自律神経失調症のパターンです。もちろん、このままでいいわけがありません。焦らず自律神経失調症の薬を継続していきましょうと母親に伝えました。 4カ月経ってもあまり改善しなかったので抗うつ剤を追加してみました。すると表情が良くなり、少しですが喋れるようになってきました。相性の悪かった母親とも久しぶりに買い物に行けたようです。

その後、抗うつ剤を増量し、初診から半年経った頃には寝つきも良くなり、食欲も増進しました。初診から8カ月経った頃、なんと久しぶりに学校へ行きました。ただし初めは放課後に10分程度、学校に行くだけでしたが、その後、家庭科の授業にも出てミシンを使ったそうです。家では手伝いまでやれるようになりました。 そして翌月、今まで母親とDさんは別に相談していましたが、母親と一緒に診察室へ入り、母親の前で小声ですが喋ったのです。しかも私の目を見て喋りました。「自律神経失調症の薬と抗うつ剤の2種類で続けましょう」と今後の治療方針を母親に伝えた時には母親の目は赤くなっていたのをよく覚えています。

発達障がいと思春期による反抗期が重なったときは 高校はフレックススクールでも良かったのですが、結局、通信制に入りました。宿題もきちんとこなし、自ら薬を飲み、いつしか外来ではマスクを外して普通に会話ができる状態にまでなりました。食事もきちんと食べており、体重も増えました。 うつ病や自律神経失調症とともに、自閉スペクトラム症の症状も落ち着いてきたので、外来は4カ月に1回程度のペースになりました。相変わらず深夜2時に寝て朝6時に起きるペースですが、昼まで寝なくなってきたのです。

Dさんのケースでは、地道に外来で薬を処方しながら患者さんやその母親と向き合っていくことによって症状が改善されたのです。もちろん薬の効果もあったのでしょうが、きちんとお互いのことを別々に外来に呼んで聞いてあげたことが良かったように感じています。 お互いの仲をサポートしてあげることで、相性も良くなり一緒に買い物に行けるまでになったというわけです。自分以外の人間と関わる、いつも行動する範囲以外に行くというのは、不登校のお子さんにとっては大きな一歩であり、Dさんの治療におけるターニングポイントであったと思います。 発達障がいと思春期による反抗期などが重なると、親御さんもお子さんとの接し方に不安を覚えることがあるでしょう。そんな時は、お子さんの主治医にその悩みを打ち明けてみてください。専門医であるならば、いろいろと細かなアドバイスをもらえることでしょう。

鈴木 直光 筑波こどものこころクリニック院長・小児科医 小児神経学会認定医博士(医学) 鈴木 直光 〔2020年11/18(水) 幻冬舎ゴールドオンライン〕 

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プロマジシャン高重翔 プロマジシャン高重翔さん講演会(山口県) 山口県宇部市を拠点に活動するプロマジシャン高重翔さんが、地元の中学校で講演会を開いた。 宇部市の藤山中学校で開かれた講演会には、生徒およそ350人が参加した。講師を務めたのは、一昨年、世界的なマジックの大会で入賞を果たした注目の若手プロマジシャン高重翔さんだ。ハンカチを使い、瓶の中で白いハンカチが踊っているように見えるマジックなどを披露し、生徒たちを驚かせていた。 小学校から高校まで不登校で、支援教室で勉強していたという高重さん。自身の経験から、挫折した時に頑張り過ぎないことや、好きなことをやり続ける大切さを生徒に伝えた。高重さんは周りの人を思いやり、人とのつながりを大切にしてほしいと話した。 〔2020年11/6(金) KRY山口放送〕 

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ページ名 大分市の中学女子の自殺未遂事件 大分県大分市 (いじめのニュース  )
「学校側のいじめ対応不十分」 大分、第三者委の報告要旨公表
大分市立中学校の女子生徒が昨年、自殺未遂を繰り返し、市教育委員会設置の第三者委員会が「いじめが原因」と認めた問題で、
市教委は6日、小学校から中学校へのいじめの引き継ぎや市教委の対応が不十分だったなどと指摘する第三者委の報告書要旨を公表した。
報告書によると、小学6年生の時、同級生から「ばか、あほ、死ね」と悪口を言われるなどのいじめを受けた。
中学校に進学後の昨年5月ごろから不登校になり、2回にわたって自殺を図った。
第三者委は、小学校の担任が当時、同級生とのけんかと捉え、十分な聞き取りや指導をせず、中学校にも口頭で「仲たがい」と引き継いだと指摘した。
〔2020年11/6(金) 共同通信〕 

いじめの訴え 小学校担任「仲たがい」と中学に引き継がず 大分女子生徒自殺未遂
大分市の中学2年の女子生徒が、小学校時代から学校にいじめの被害を訴え続け、2019年に自殺未遂を繰り返した問題で、
弁護士や医師でつくる第三者調査委員会は、いじめと自殺未遂の因果関係を認定し、学校の担任や管理職、市教委が適切で迅速な措置を執らず対応が不十分だった批判した。
6日、市教委が調査委の報告書を公表した。
調査委によると、生徒は小学6年の時に同級生からいじめを受け、中学進学後の19年5月ごろから不登校になり、11月と12月の2回にわたり自殺を図った。
調査委は小学6年の担任や中学の担任や管理職、市教委を聴取。
その結果、小学校のベテランの担任が、自己判断で仲たがいと認識し、加害、被害の生徒に十分な聴取をしていなかった。
中学への引き継ぎをしなかったと問題を指摘した。
また、中学校では校長が「いじめは小学校時代で中学校は関係ない」として、迅速な対応を取らず、被害生徒や保護者の話に耳を傾けずに落ち度があったとした。
市教委についても、7月に学校からいじめの報告を受けながら、すぐにするべきだった、いじめ防止対策推進法で規定する「重大事態」の認定が遅れたと非難した。
その上で「どの機関も、組織として早急に問題解決に当たろうとしなかった姿勢を反省すべきだ」と批判した。
市教委学校教育課の野田秀一課長は「教育委員会と学校の不十分な対応で、生徒と保護者に多大な心痛をかけた。申し訳ない」と陳謝した。
◇調査委が認定したいじめ
・バカ、アホ、死ね、などと悪口をいわれた
・手でたたいたり、足で蹴ったり身体的な暴力があった
・セロハンテープに悪口を書いて机に貼った
・体育で運動神経がない趣旨の言動をした
・上靴や文房具を隠し、文房具を壊した
・階段の途中で突いたり、押したりした
〔2020年11/7(土) 毎日新聞【石井尚】〕 

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ページ名 不登校の件数岡山県・2019年  岡山県 (不登校のニュース、  )
2019年度の岡山県 不登校の子どもが増加 文科省調査
2019年度の岡山県のいじめや不登校に関する調査結果がまとまりました。
小学校と中学校で不登校の子どもが増加しています。
文部科学省が全国の小・中・高校を対象に毎年行っている調査です。
2019年度、岡山県では小学校と中学校で30日以上欠席した児童・生徒のうち、心理的な要因などで学校に行けない不登校が増加しました。
小学校の不登校は前の年度より137人増え909人、中学校では147人増え1746人となっています。
一方、県内の小・中・高校のいじめの認知件数は3830件で、これまでで最も多かった前の年度より97件減りました。6年ぶりの減少です。
県教育委員会では小さないじめを見逃さず早期対処の徹底に取り組んでいることが改善につながったと分析しています。
〔2020年11/10(火) KSB瀬戸内海放送〕 

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演劇サークル「TFT」 【不登校 居場所を探して】演劇や美術で内面と向き合う 自信取り戻し登校再開も 不登校の子供らによる演劇サークル「TFT」の平成28年の公演「ハイテクじいさん夢幻(とき)の旅」(TFT提供)

学校に通えない。教室になじめず辛い。そんな子供たちが、芸術活動を通して自分の内面を表現したり、コミュニケーションのスキルを育んだりできる居場所が神戸市にある。活動によって自信をつけた子供たちは、学校に復帰したり、やりたいことにチャレンジしたりと、次のステップへと進んでいく。(藤井沙織) 「15ページの頭からいきます」「はーい」。10月31日、神戸市内で演劇サークル「ティーンエージャーズ フリー! シアター(TFT)」の稽古が行われた。所属するのは不登校や学校に行きづらさを感じる子供たち。12月13日の上演に向け、喜びや不安、戸惑いなどさまざまな感情をセリフに乗せて演じた。 TFTは15年前、演劇部の顧問経験のある元中学校教諭が、教室で孤立しがちな生徒が舞台ではいきいきする姿に「演劇の力」を感じて立ち上げた。参加対象は小学5年~高校3年で、これまで舞台に立ったのは80人超。代表を務める井尻聡子さん(50)は「本当は学校で皆と活動したいけれど、友達をつくりにくい。自分を出すのが怖いという子供が多い」と話す。

演劇を通じてやりたいことに挑戦する力、社会と関わる積極性を育むのが活動のねらいで、演じるキャラクターは台本がない状態で子供たちに自由に決めてもらう。ゲームの登場人物に妖怪、殿様、天才花火師-。「なりたい自分」を決めたら役になりきって即興劇を繰り返し、そこで生まれたセリフからスタッフが台本を作り上げる。 この即興劇がコミュニケーションの練習になる。どうすれば会話が続くか。相手の話を引き出せるか。井尻さんは「スタッフも参加するが、その下手さが『ここでは失敗しても大丈夫』という勇気になる」と笑う。同級生らとうまく話せず苦しんだという参加5年目の高校1年の男子生徒(15)は「少しずつ人と気軽に話せるようになり、友達もできた。学校の先生に朗読をほめられ、自信もついた」。昨年から参加する高校2年の男子生徒(17)は「TFTでの楽しみがあるから、前向きに毎日を過ごせる」と話す。 神戸市西区のアトリエ「色彩楽園(がくえん)」にも、不登校や学校を休みがちな子供が複数人通う。絵画教室のような課題はなく、子供たちは色鉛筆や絵の具、色紙や空き箱などアトリエにある素材を自由に使い、心の赴くままに作品をつくる。 アトリエ主宰の藤井昌子さんは「作品いわばその子の分身。表に出ない感情や欲求が内包されている」と話す。例えばゲームばかりして無気力そうに見える不登校の子供が描いた作品のモチーフや色使いなどから、「現状から脱却したい」という葛藤がみえることも。そうした心の状態は保護者とも共有する。

大切なのはどんな作品も受容し、大切に扱うこと。「不登校の子供の多くは強い不安を抱える。受け入れられることで心のバランスが整う」と藤井さん。次第に意欲もわき、やりたいことが見つかったり、学校生活を楽しめるようになったりするという。小学4年の長女が通う神戸市の女性(51)は「作品が認められることが自己肯定につながっている。うれしそうな顔をすることが増えた」と娘の変化を見守る。 不登校の子供の支援に取り組んできた追手門学院大の永野浩二教授(臨床心理学)は「学校で自分らしくいられない子供には、自分を表現し、受け入れてもらえる場所が必要だ」と強調。「演劇やアート以外にも、スポーツやダンス、楽器の演奏、プラモデルを作ることも自己表現。エネルギーをためて通えるようになる子供もいる」と話した。 〔2020年11/7(土) 産経新聞〕 

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カマラ・ハリス氏 アメリカ初の女性副大統領が誕生へ。黒人で移民2世、カマラ・ハリス氏はどんな人物なのか? 2020年のアメリカ大統領選で民主党のジョー・バイデン氏が勝利を確実にし、アメリカで初となる女性の副大統領が誕生する見通しとなった。その座につくのは、女性で黒人、アジアにルーツを持つカマラ・ハリス氏だ。

ハリス氏はどんな人物なのか。 黒人であり、アジアにもルーツを持つ女性副大統領 カマラ・ハリス氏 ハリス氏は、1964年10月20日、西部カリフォルニア州生まれの56歳。 母親はインドから、父親はジャマイカからアメリカに来た移民で、黒人でアジアにルーツを持っている。両親が離婚した後、がん研究者で市民権活動家の母親シャマラ・ゴパラン・ハリス氏が、ハリス氏と妹のマヤさんを育てた。 ハリス氏は黒人だが、奴隷としてアフリカからアメリカに連れてこられた人たちに直接のルーツを持たないことから、ハワイに留学していたケニア人の父を持つバラク・オバマ氏と重ねられることも多い。

《頭が良くて強かった母。彼女は私の最初の選挙スタッフでもありました。彼女が今、一緒にいてくれたらどれだけいいだろうと思っています。彼女の精神は今でも、私が我々の大切な価値観を守るために闘うための原動力です》(ハリス氏のツイート) ハリス氏に大きな影響を与えたシャマラさんは、2009年に亡くなった。 ハリス氏はワシントンポストに、自分は「誇り高いアメリカ人」であり、黒人とインド系の両親を持っていることが、自分のアイデンティティの中で「同じだけの重みを持つ」と述べている。

大学卒業後は検事の道を進む ハリス氏は、ワシントンD.C.にあるハワード大学を1986年に卒業。ハワード大学は、黒人のための高等教育機関として作られた「歴史的黒人大学」の一つだ。 その後、カリフォルニア大学ヘイスティングズ・ロー・スクールで法律の学位を取得した。 卒業後は検察官としてキャリアを積む。2004~2011年までサンフランシスコ地方検事を務め、黒人としても女性としても初めてカリフォルニア州の司法長官に就任。2期にわたり全米人口最多の州の司法長官を歴任した。

彼女の経歴で特筆すべきことがある。ハリス氏はカリフォルニア州全土で不登校を減らすキャンペーンを展開し、レイプ事件の解決に尽力。 また、サブプライム住宅ローン危機をめぐっては、当時デラウェア州の司法長官を務めていたバイデン氏の息子ボー・バイデン氏(2015年にがんにより死去)と協力し、金融機関を厳しく追及。住宅所有者の救済に尽力した。 ハリス氏は、民主党の中でも中道・穏健派とされるが、リベラルな一面も持つ。 たとえば、同性婚合法化の闘いには大きな役割を果たした。

2008年に州議会を通過し、カリフォルニア州での同性婚を禁止した同性婚禁止条項「プロポジション8(提案8号)」に反対し、同性婚の合法化を求めて連邦高裁で争った。 2013年、連邦最高裁は州内の同性婚を再び認める判断を下し、最終的に同性婚は解禁された。ハリス氏は、「すべての市民が権利を持てる時が来ました」と語っている。 BBCによると、ハリス氏は自身を「進歩的な検察官」としており、出所者の社会復帰事業の導入や犯罪統計データベースの公開、カリフォルニア州の警察官にボディカメラの着用を義務付けるなどの警察改革を行ってきたと主張している。 一方で、根本的な警察改革には消極的で、犯罪を厳しく取り締まる政策などには批判の声もあった。

2016年に上院選当選、「ガラスの天井を打ち破る」次なる存在として期待がかかる 2016年、上院議員に当選。

黒人のアメリカ人女性として連邦上院議員に選出されたのは史上2人目の快挙だった。また、上院議員に当選した初のインド系アメリカ人でもある。 当時、ヒラリー・クリントン氏が大統領選に敗北したことで、女性大統領を熱望していた多くのアメリカ国民は大きなショックを受けていたが、ハリス氏の当選は、「ガラスの天井を打ち破る」次なる希望として期待を残した。 そして、2020年の大統領選挙で、ハリス氏は予備選に出馬。 バイデン候補の対立候補として選挙戦を闘ったが、十分な選挙資金が集まらなかったため、2019年12月に予備選からの撤退を表明した。

20年8月、バイデン氏は副大統領候補に上院議員のカマラ・ハリス氏を指名。 バイデン氏は副大統領候補を選ぶ基準として、1. 大統領になるのにふさわしい業績があること、2. 重要な問題で共通の考え方をしていること、3. 女性であること、の3つを示しており、抗議活動「ブラック・ライブズ・マター」が全米に広がっていたことから、白人以外の候補者を指名するのではないかと見込まれていた。

コンバースで選挙活動も話題に ミルウォーキーの空港に到着したカマラ・ハリス氏(2020年9月7日撮影) 副大統領候補になってから初めてウィスコンシン州ミルウォーキーを訪問した際には、スニーカーブランドのコンバースを履いていたことにも注目が集まった。 女性の政治家は一般的にハイヒールを着用するが、動きやすく、これまでの「女性らしさ」のイメージを覆すような装いに注目が集まった。 ハリス氏は長年のコンバースファンとして知られ、過去の政治活動でもコンバースのスニーカーを履いてきたという。          ◇ 女性であり、黒人であり、アジアにルーツを持ち、移民の子でもあるハリス氏。アメリカ社会の多様性を体現するかのような副大統領のこれからに期待がかかっている。 生田綾 〔2020年11/8(日) ハフポスト日本版〕 

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「スマホ」の怖さ 「裏アカ」で性的な告白、ゲームに廃課金 親は知らない「スマホ」の怖さ コロナ禍は経済や社会活動への影響のみならず、子どもの生活にも影を落としている。学校は3カ月近く休校となり、再開後も分散登校や学校行事の中止など混乱がつづく。 勉強や進路の不安。友達と気軽に遊べない。部活動の試合ができず目標を見失う。そんなストレスからオンラインゲームやSNSにのめり込み、トラブルを抱える子どもも少なくない。

「息子のゲーム依存が心配です」と嘆息するのは、中学2年生の長男と暮らす母親(45)だ。 シングルマザーで仕事を掛け持ちし、休校中は子どもに留守番させる毎日だった。孤独な“ステイホーム”のせいか、長男はオンラインゲームに没頭。最後に生き残ったプレイヤーが勝者となるバトルロワイヤルゲームに、1日15時間を費やしたという。 「自室にこもりゲーム三昧でした。食事はゲームをしながら簡単に済ませ、部屋から出るのはトイレと入浴のときだけです。ゲーム内のバトルで興奮するのか、奇声を上げたり、壁にペットボトルを投げつけたり。私が注意すれば口論になり、親子で殴り合いのケンカをして警察を呼んだこともありました」

長男は一時昼夜逆転に陥り、学校再開後も生活リズムを取り戻せていない。勉強そっちのけで深夜までゲームをやめられず、眠気を解消するためのエナジードリンクを手放せなくなった。 オンラインゲームに詳しくない人でも、パチンコや飲酒に置き換えれば、連日15時間もつづけることの異様さはわかるだろう。昨年5月には世界保健機関(WHO)が、ゲームのやり過ぎで日常生活が困難になる「ゲーム障害」を疾病と認定。ギャンブル依存症などと同じく、精神・行動の障害だと位置づけた。 健康上だけでなく、犯罪に巻き込まれるリスクもある。9月には横浜市に住む9歳女児が、オンラインゲームを通じて知り合った男(38)の自宅に監禁される事件が起きた。女児は「親のスマホを借りていた」というが、今や低年齢の子どもでもゲームを通じた出会いが日常になりつつある。こうした事件では、犯罪者が言葉巧みに被害者に接近する。たとえばゲームで使う装備品などのアイテムを「プレゼントする」と持ち掛ける。フレンドリーな態度で安心させたあとに、「お礼」として顔写真を送るよう要求したり、実際に会う約束を取り付けたりする。社会経験が未熟な子どもほど「親切な人」だと疑わず、意のままに操られてしまうのだ。 それにしても、なぜ子どもはオンラインゲームに熱中するのか。 理由のひとつが「ソシャゲ」の流行だ。

ソシャゲはソーシャルゲームの略称で、プレイヤー同士がインターネット上でゲームを同時進行し、友達になったり、チームを組んで闘ったりする。遊びながら人との関係性を得られるので、興奮や感動は大きく広がる。 ゲーム仲間と競えば闘争心が湧く。自分のキャラクターがレベルアップすれば、他のプレイヤーから賞賛される。戦闘系ゲームでチームを組むと、先発隊や後方支援などの役割を与えられる。 ひとりでスマホやパソコンを操作しているようでいて、実際には他者とコミュニケーションを取り、楽しさを共有できるのだ。 「ソシャゲは仲間との絡み(つきあい)がおもしろいし、ボイチャがあると盛り上がります」と話すのは、愛知県の男子高校生(18)だ。 彼が言う「ボイチャ」とはボイスチャットの略称で、プレイヤー同士が「声」で会話する。 「基本はゲーム関係の話が多いけど、『今、何してる?』みたいな日常会話もあります。チームを組んでいる場合は、作戦を練る戦略会議とか、戦闘が終わったあとの反省会とか、熱い議論になったりしますよ」 もともとオンラインゲームでは、文字でやりとりするチャットが使われていた。それが「声」に変わったことでコミュニケーションが容易になった。会社で言えば、メール交換の打ち合わせからZoomのリモートミーティングに変わったようなものだ。

「廃課金」の悪循環 意思疎通がしやすい一方で、ボイチャならではのトラブルも少なくない。 「小学生くらいの声で、『死ね』、『ぶっ殺す』なんてフツーにあります。熱くなるのはわかるけど、自己チューなガキが増えてとにかくウザい。対戦相手が女子の声だったりすると、変にナンパする男がいたりして、場がしらけることもあります。チーム内の会議も結構面倒ですね。リーダーからノルマを振られても、声で断るってやりにくいので」

“ノルマ”と聞いてもピンとこないかもしれないが、これも問題のひとつだ。 ソシャゲ内でチームを組み団体戦を行う場合、メンバー同士の協力が必要になる。戦力の低いメンバーがいるとチーム全体に影響するため、「明日までに〇ポイント獲得」といった強化ノルマが課せられる。

同調意識が強い日本の子どもは、「仲間に迷惑をかけられない」などと思い込みやすい。 ノルマ達成のために長時間ゲームをつづけたり、「廃課金」と呼ばれる高額な課金をして、有料アイテムを大量購入したりする。時間やお金をつぎ込むほど、「これまでの努力を無駄にできない」という心理状態に陥り、ますますゲームをやめられない悪循環だ。 ボイチャのような「声」でのコミュニケーションはSNSにも及んでいる。 「トークアプリ」や「ボイスSNS」と呼ばれるが、要は利用者同士がランダムにつながり、匿名で会話できるシステムだ。90年代に流行したテレクラ(テレホンクラブ)のアプリ版とも言えるが、特に10代の人気を集めている。 「クラスの女子は半分くらい使ってますよ」 と話すのは、千葉県に住む女子高校生(17)。 2年前から週に1、2度は利用するという。

「ヒマつぶしにちょっと誰かと話そうかって使い方もできるし、友達と一緒にいたずら半分でやることもあります。『キモイ人に当たった』とか、話のネタにするとみんなにウケるんです」 ツイッターやインスタグラムなどのSNSも利用するが、「やっぱり会話できたほうが楽」だと笑う。 「テキストメッセージ(文章の投稿)は微妙なニュアンスが伝わらない。LINEのグループトークでも、ちょっとした言葉を誤解されてハブられる(仲間はずれになる)ことがあります。でも、ボイスSNSなら、相手の声から年齢や雰囲気がわかりやすい。話がおもしろいとか、優しそうな人だと『会ってもいいかな』って気持ちになるんです」 実際に会ったことはないという彼女だが、その理由は「話した相手が遠くに住んでいたから」。逆に近くの人なら、「今から会おう」と会話が弾み、ノリに任せて行動するというわけだ。 動画投稿サイトのユーチューブには、ボイスSNSで会話する様子を撮影した動画投稿が散見される。ランダムにつながる際の反応が生々しく映し出されるが、こうしたリアリティ動画も最近の流行だ。 とりわけ人気を誇るのが、前述したソシャゲでの戦闘映像を配信する「ゲーム実況」だ。プレイヤーが勝ち残っていく状況が生中継されたり、攻略法が明かされたりするため、展開が気になって延々視聴する子どもも多い。 埼玉県の女子高校生(16)はコロナ自粛以降、自宅でユーチューブを見る時間が増えたという。音楽やお笑いのライブ配信、アニメ動画などを視聴してきたが、ここ最近ハマっているのが「告白動画」だ。 「失恋したとか、お金がないとか、個人の打ち明け話もあるけど、ダントツでおもしろいのは美容整形の告白動画です。一般人の女子が、整形前、手術中、入院生活、退院後という感じで、リアルな顔出しをするんです。術後の様子とかをイッキ見して、友達とSNSで盛り上がる。『傷が怖い』、『腫れがすごい』って、もう“祭り”状態ですよ」 整形前後の変化だけでなく、かかった費用や周囲の反応まで明かされる。 プライバシーを切り売りするような動画だが、意外にも彼女は「応援したくなる」と言う。

「自分の素をさらして、明るく生きるためにがんばってるわけでしょ? 私や友達が祭り状態になるのは、告白動画に自分を重ねるからだと思います。自分じゃできないけど、“この人スゴイよ”って感じで、つい見たくなるんです」 ありのままの姿に共感できるというのだが、思春期のような感受性の強い年頃では、思わぬ行動につながる場合もある。 「裏アカ」で性的な告白 「恋愛体験を告白する動画や、性的嗜好を明かすツイートを見て触発されたようです。ただ、その後の影響までは冷静に考えられなかったんでしょうね」 沈痛な表情で語るのは、高校2年生の娘を持つ母親(44)だ。娘は10カ月前から不登校になり、自宅に引きこもっている。引き金になったのは、娘が開設したツイッターの投稿。性的な告白が綴られ、学校内で噂になった。

「同じ学校の男子名を出して『〇〇君とヤリたい』とか、『縛っていいよ』とか、目を覆うような内容でした。娘に問いただすと事実ではなく、性的な想像でつい大げさに書いてしまったと。告白動画に感情移入しすぎて、赤裸々に語りたくなったそうです」 彼女は娘のツイッターをときどき見ていたという。ところがそれは「本アカ」で、要は本人と特定できる表向きのアカウント。性的な告白をしていたほうは「裏アカ」で、親はまったく承知していなかった。 ツイッターなど一部のSNSでは、ユーザーが複数のアカウントを持つケースがある。アカウントとは「サービスを利用する権利」という意味だ。 銀行口座に例えれば、家族が知っている口座が「本アカ」、ヘソクリ口座が「裏アカ」で、キャッシュカードを使い分けていると考えればいい。 それにしてもなぜ「裏アカ」が特定され、学校内の噂になってしまったのか。友達の「裏アカ」を見つけたことがあるという女子高校生(18)はこう話す。

「裏アカといっても、本アカと共通してる部分があるんですよ。たとえば投稿してる写真が同じとか、好きな芸能人や飼ってるペットの名前を出してるとか。部活の試合で勝った、風邪をひいて学校を休んだ、そういう個人情報を書き込んであると、検索で引っかかるんです」 性的な告白をした先の女子高校生は、「裏アカ」に同じ学校の男子名を出していた。おそらくそうした情報から特定されたのだろうが、実は「本アカ」「裏アカ」を問わず、SNS利用にはリスクがつきまとう。 一般的にはあまり認識されていないが、SNSでは投稿写真や書き込みから個人情報を割り出すことができる。 たとえば中学生の少女が「今日は15歳の誕生日」と投稿すれば、年齢と投稿日から生年月日がわかる。「家族と焼肉を食べました」という書き込みとともにメニュー写真が掲載されると、店名などから生活圏が絞り込める。仮に生活圏内の中学校が1校ならば、投稿者の学校名は簡単に特定できるのだ。 さらに「自画撮り」と呼ばれる自分の顔写真を出していれば、学校前で待ち伏せされる可能性もある。誰かが写真と同じ少女の後をついていけば、今度は自宅が特定されるというわけだ。 情報セキュリティ企業のデジタルアーツが実施した「第13回未成年者の携帯電話・スマートフォン利用実態調査」(2020年4月)によると、子どものSNS利用率は小学生・77%、中学生・95%、高校生・97%に達する。

「裏アカ」の所有率は小学生・32%、中学生・34%、高校生・55%。日常的にSNSや「裏アカ」を利用しながらも、当人たちの危機意識は低い。SNSを通じた誘拐事件や自画撮り被は、約9割が「実感なし」と答えている。 コロナいじめも 「みんなやってるから平気」、そんな意識の低さが顕著に表れるのがSNSいじめだ。SNSいじめでは、不特定多数による誹謗中傷や、事実無根の情報に基づく一方的な攻撃が起きやすい。5月にはテレビの恋愛リアリティ番組に出演していたプロレスラーの女性が自殺に追いやられ、大きな問題になった。 一方、子どものSNSいじめは同級生や部活動の仲間など実生活の関係性から起きやすい。 加害者の特定は容易だが、反面、加害者との関係性を完全に断ち切るのがむずかしくなる。お互いが顔見知りの場合には、実際の性格や外見などが攻撃材料になるため、被害者のダメージはより深刻だ。

「加害者は被害者の子の悩みやコンプレックスをネタに、エグイ言葉でいじめてくるんです」 伏し目がちに語るのは神奈川県に住む女子高校生(16)だ。中学時代、クラスの女子集団からLINEのグループトークで執拗ないじめを受けた。当時の彼女は硬い髪質に悩んでいたが、「わざと毛の話を振られた」という。 「ひとりがタワシの写真を投稿する。そしたら別の子が『剛毛に近づくと痛いので注意』とか、『みんなで避けよう』なんてつづける。私のことを言ってるんだとわかるけど、明日も学校で顔を合わせると思うと言い返せないんです」

「痛い」や「避けよう」は遠回しな中傷だが、個人名は挙げられていない。あくまでも匂わせているだけという表現で、実は巧妙なSNSいじめの典型例だ。 公立中学で生徒指導を担当する教師(41)は、コロナ禍でのSNSいじめの増加を懸念している。 「学校再開後、生徒や保護者からの相談が増えたんです。コロナ絡みでいじめるような陰湿なケースもあり、対応に苦慮しています」 たとえば「飛沫が怖いからしゃべらない」というこじつけで、特定の生徒を無視する。「3密回避」を攻撃材料にするケースでは、「〇〇と同じ教室にいるとヤバイ」、「近くの席の人は除菌しよう」などとSNSに書き込む。 「クラスのグループLINEで、『コロナになりそうな子』や『密になる人がいない子』を投票で選ぶという集団いじめもありました。持病のある女子生徒や友達が少ない男子生徒をランキングし、みんなで『祝』のスタンプを連投していたんです」 利便性の陰で深刻なトラブルやリスクに直面する子どもたち。健康を損ねたり、日常生活に支障が出たりする恐れがある以上、親として看過できるものではないはずだ。 次回は、我が子をスマホ漬けから守り、犯罪に巻き込まれないための実践例を報告。子どものスマホトラブルを防止する具体的な対応策を紹介しよう。

ジャーナリスト 石川結貴 石川結貴(いしかわゆうき) ジャーナリスト。家族・教育問題、青少年のインターネット利用、児童虐待などをテーマに豊富な取材実績を持つ。主な著書に『子どもとスマホ~おとなの知らない子どもの現実』、『スマホ廃人』、『毒親介護』など。 「週刊新潮」2020年11月5日号 掲載 新潮社 〔2020年11/8(日) デイリー新潮〕 

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カマラ・ハリス氏 鋭い弁舌、多様性を体現 ハリス氏とは カマラ・ハリス氏の人物像 【ワシントン=住井亨介】女性初、黒人初の米副大統領就任を確実にしたカマラ・ハリス上院議員は、検事出身で西部カリフォルニア州の司法長官などを務め、鋭い弁舌が最大の武器。常に女性の「先駆け」としてキャリアを積んできた。今回、世界で最も厚いガラスの天井のひとつを破った、などと報道されている。

1964年、ジャマイカ出身の黒人の父とインド出身の母との間に、リベラルな土地柄であるカリフォルニア州オークランドで生まれた移民2世だ。 父はスタンフォード大経済学教授、母は乳がん研究の医学者となったが、ハリス氏が7歳の時に離婚。教育意識の高い母親に妹とともに育てられた。 黒人向けの高等教育機関だった首都ワシントンの名門ハワード大を卒業後、カリフォルニア大法科大学院を修了し、検察官の道に進んだ。 サンフランシスコの地方検事をへて、2011年に黒人女性初のカリフォルニア州司法長官に就任。不登校を減らすキャンペーンなどを行った。17年には黒人女性で2人目、インド系では初の連邦上院議員となった。前回大統領選に関するロシア疑惑をめぐり、当時のセッションズ司法長官を上院公聴会で厳しく追及して名を挙げた。 19年1月に民主党の大統領候補指名争いに出馬した。候補者討論会では、過去の人種問題での対応をめぐってバイデン前副大統領を圧倒する場面もあるなど脚光を浴びたが、同12月に撤退した。 14年に結婚した夫のダグラス・エムホフ氏は資産家で弁護士。夫と前妻の間の子供2人の母親でもある。 〔2020年11/8(日) 産経新聞〕 

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「ユーチューバーになりたい」世代 時代がまったく違う「ユーチューバーになりたい」世代の子育て 誰しも、わが子や後輩、他人に対し「自分のときはこうだった」と経験則・経験談を語ったことはあるでしょう。リアルな体験に基づく話だからこそおもしろく、強い説得力を持っています。しかし実は経験談・経験則を無暗に一般化し、自分や他人にあてはめることは想像以上に危険なのです。経験則・経験談の危うさ、話すときの注意点を解説。※本連載は、公益社団法人子どもの発達科学研究所・主席研究員の和久田学氏の著書『科学的に考える子育て エビデンスに基づく10の真実』(緑書房)より一部を抜粋・再編集したものです。

経験則・経験談の「鵜呑み」が危険なワケ 前回の記事 『危険な成功談…「元劣等生が東大に合格した方法」の落とし穴』 では、科学的に見て、経験談や経験則の信頼度は低いものであると解説しました(関連記事参照)。経験談や経験則はおもしろいのですが、そこから勝手に因果関係を見いだしたり、自分や他人にもあてはまると思い込んでしまったりするのは危険です。

では、これまでの話から、ここで経験談、経験則の強みと弱みをまとめておきましょう。

<経験則の強み>

●語る人に付随した価値がある

●感覚・感情に訴えかける臨場感、(語る人の主観ではあるが)ディテールまで説明できる

<経験則の弱み>

●ケーススタディーであり、その中で得られる因果関係は証明できない(偏っている可能性が高い)

●語る人の特性(IQ、環境、得意・不得意など。これらは隠れている場合がある)が大きく影響している可能性がある これを前提に、子育ての世界での経験則について考えてみると、かなり整理されていくように思います。まず「お母さんが子どものころはね…」問題ですが、これは参考になるときと、そうでないときがあるのがわかりますね(関連記事 『子育ての決まり文句「お母さんが子どものころは…」の危うさ』 参照)。 メリットとしては、感覚、感情に訴えかける臨場感があること、ディテールが明確で具体的なことが挙げられます。親の場合は何しろ遺伝というものがありますから、(世代の差はあるものの)ある程度の類似性もあるはず。親にできることは自分にもできるかもしれない、もしくは自分にできたことは子どもにもできるに違いないと思うのは、そのせいだとも言えます。

しかし、時代が決定的に違います。親が子どもだったころはこれほどインターネットが普及していたでしょうか。子どもがネット上で動画を見ることもなければ、ユーチューバーになりたいなどという夢を語っていなかったはずです。 また、昔は今よりずっと集団を重視しました。「他人に迷惑をかけないこと」が個人の気持ちよりも重視され、集団のためなら我慢すべきとの価値観だったように思います。 この「時代」というファクターがある限り、経験談やそこから見いだされた経験則をそのまま今に当てはめることは難しくなるでしょう。それから、経験談や経験則で語られる因果関係が正しいと言えない場合が多いことにも注意を払う必要があります。

もちろん単なる経験を言うだけならかまいません。「お母さんは、毎日、宿題をきちんとやったのよ」とか「お父さんは中学時代、友達にけんかで負けたことがなかった」など…。もちろん、それが事実かどうかは証明しようがないはずですから、子どものほうは「お母さん(お父さん)、話を盛ってるな~」なんて思いつつ、話半分に聞いておけば良いでしょう。ただし、これが因果関係にまで及び出したら危険です。 「毎日、宿題をきちんとやったから、A高校に合格した」とか、「けんかで負けたことがなかったから、社長になれた」などというケースです。このように高校進学や職業を、ひとつのこと(宿題を毎日やった/けんかに負けなかった)と関連づけるには相当の無理がありますから、話半分どころかほとんど詐欺レベルだと言っても良いくらいです。もっとも、こうした言説の裏には「毎日宿題をきちんとやる子どもにしたい」「けんかに負けない強い子どもに育てたい」という親心があるので、そこはきちんと受け取るべきなのですが。

では、教師の「先生が中学生だったころは…」話はどうでしょうか。これも基本的に親の話と大差ありません。その先生の人柄や実力によっては、信じたくなるときもあればまったく信じられない(信じたくない)と思うことがあるでしょうが、大切なのはその先生個人にかかわる因子の影響が強く出るはずだ、という客観的事実です。その先生のIQ、生まれつきの才能、スキル、家庭環境、友人環境などがその因子ですが、親のときと同じく時代の影響だって考えられます。子どもにとっては、親と違って遺伝的には先生とまったく関連がありませんから、そのあたりの違いを十分に考慮しなければなりません。 単なる教訓として受け取るならば良いですが、その教師が語る経験則そのままに「OOをすればXXになるはずだ」などと盲信するのは危険です。この場合も、そう語りたくなる先生の気持ちだけを受け取り、その経験談や経験則を信じ込みすぎないようにしましょう。

では、ブログや書籍などで注目を集める「元ヤンキーが東大に受かった勉強法」のようなものはどうでしょうか? 結論から言うと、これも怪しいものです。レアなケースだけに注目を浴びますが、それを一般化するのはどうかと思います(関連記事 『危険な成功談…「元劣等生が東大に合格した方法」の落とし穴』 参照)。あくまでも参考例として扱うのなら良いのでしょうが…。 「個人のケース」「個人的考え」という前提が肝心 このように、経験談や経験則の問題がはっきりしてきましたが、それでもこれらが魅力的であるのは事実です。何しろリアルな経験ですから、説得力が違います。私たち自身が、親や教師、コーチなど子どもを導く立場(子どもだけでなく大人が対象でも同じようなことはあります)だったとき、経験談や経験則について、その問題点を把握しつつ上手に使うことが肝心です。 親の場合なら、「お父さんの“時代”は~だった」というように、時代ファクターを考慮に入れるように促した上で話しましょう。教師やコーチなら、あくまでも「個人のケース」だったり、その経験から得た「個人的考え」であることを強調すべきです。「いじめられたとき」や「落ち込んだとき」など、困ったときに対するアドバイスはさらに注意が必要で、経験談を振りかざして「いじめくらい我慢すればいい」のようなことを言ってしまうと、子どもをさらに追い詰めかねません。

大人は子ども時代を生き延びてきたがゆえに、どうしても「そのくらい平気」「耐えれば良い」のようなことを言いがちですが、そこにはそれを語る人の個人因子が絡んできます。ピンチの子どもには、とにかく助けることを重視し、下手な経験則を披露しないほうが良いように思います。 いずれにしても、経験談や経験則を使うときは、大人の側が十分に注意する必要があります。そうしたリスクを回避した上で、経験談、経験則の持つ臨場感や具体性を生かしましょう。 わらにすがる思いでも…「経験談ブログ」の妄信は危険 書籍の詳細はこちら! 経験談や経験則について、最後にもうひとつ注意喚起をしておきたいと思います。

発達障がいのお子さんを持つ親御さん、不登校になった子どもの親御さん、もしくは当事者である子ども自身が、ブログなどの形で、その経験談をインターネット上に披露しているケースが多々見受けられます。 日常を淡々と記録する人もいれば、わが子の行動に発達障がいを疑い、医療機関に行って告知を受けるまでの流れ、支援を受ける日々のこと、学校や行政とのやりとりなど、赤裸々に記録しつつ、そのときの思いやつらさ、または日々感じるささやかな幸せなどが書かれている場合もあります。 こうしたリアルな経験談は、発達障がいや不登校の子どもを持つ保護者にとって重要な情報源だと思います。そうした経験談を必死になって読み、その人たちの意見に影響を受けるのですが、それが時として危ういことを知っておいてほしいのです。

ここまで読んでくださっている方は誤解しないと思いますが、こういう経験談を否定しているわけではありません。発達障がいや不登校の子どもの親の経験談は、ブログにあるような細かなところまでは詳しく聞くことができないので、十分にレアであり、情報の価値があるのは事実です。しかし経験談はケーススタディーに過ぎないため、それを一般化して自分のケースに当てはめるのは危険が伴います。そこに注意しなければなりません。 もちろん、危険を伴うという前提でも情報が欲しいのは事実です。だとしたら、どうすべきか…。そういうときこそ、科学の出番です。 ケーススタディーが「科学的根拠(エビデンス)がある」と言いにくいことは、 前回の記事 で説明しました(関連記事参照)。「科学的根拠(エビデンス)がある」と言うためには、偏りなく情報を収集し、科学的事実や因果関係を明らかにしなければなりません。

「科学的根拠がある」ということは、偏りがなく、再現性が高いことを意味します。前に紹介したシステマティックレビューまでいかなくても、ケーススタディーやケースシリーズよりエビデンスレベルが高い情報はたくさんあります。こうした情報を十分に利用すべきです。 では、エビデンスレベルの高い情報はどこにあるのでしょうか? 残念ながら日本ではそれほど多くないのですが、それでも国の研究所、大学、大学附属の研究センターなどでは、質の高い情報が紹介されています。もちろん大学の先生や医師など専門家と呼ばれる人々は、そうした情報を持っている可能性が高いです。 ですので、エビデンスレベルの高い情報を得た上で、さまざまな経験談や経験則にふれることをお勧めします。

和久田 学 公益社団法人子どもの発達科学研究所 主席研究員 大阪大学大学院連合小児発達科学研究科 特任講師 和久田 学 〔2020年11/9(月) 幻冬舎ゴールドオンライン〕 

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子供どうしの「同調圧力」 教師が子供どうしの「同調圧力」を解消できない、たったひとつの理由 いじめ、不登校、保護者との軋轢、長時間労働、新型コロナの影響……。教育現場ではたらく人のストレスとプレッシャーは年々、増すばかり。こうした困難を打開するヒントを与えてくれるのは、著書『いい教師の条件』を上梓した諸富祥彦氏だ。神戸市の「激辛カレー」暴行事件が象徴するように、教師間におけるいじめが増えている昨今。人間関係に悩む若い教師たちに、「あえて空気を読まない」ことの大切さを説いてくれた。

「激辛カレー」事件の背景 私は30年近く、多くの先生方の悩みをうかがってきて、職員室における教師間の人間関係においても、子どもと同様のいじめの構図が生まれやすいことを見てきました。(参考:「神戸教員いじめ・暴行事件」を引き起こした「職員室カースト」の実態) 被害者側からすると、次のような気持ちになります。 「強い者、力のある者には逆らえない」 「反対意見やノーを言うことができない」 「周囲の人たちから浮いてしまうと、今度は自分が仲間外しのターゲットになってしまう」 神戸市東須磨小の教員間のいじめ・暴行事件がなぜ起きたのか。 私は、多くの学校、とりわけ小中学校の職員室には、「同調圧力」という魔物が住んでいるのではないかと考えています。 とりわけ、20代から30代という比較的若い世代の教師の間で、強い同調圧力が働くことがしばしばあります。同じ学校の「ほかの教師集団から仲間外しにあった」「仲間に入れてもらえない」と訴え、相談してくる先生方は少なくありません。その多くは「同僚の同世代の教師から、仲間外しにあっている」という相談です。 全国的に若手教師が激増しています。首都圏のある小学校では教師の8割が20代、学年主任も20代というところもあります。 調査報告書によると、東須磨小も〈平成29年(2017年)度はA教員らより以前から在籍するベテランの教員が相当数異動等でいなくなり、平成30年(2018年)度には新任教員を含む比較的若い教員が多くを占めるようになった〉とあります。

同調圧力が強まる学校現場 ここでは、若い教師の特徴を見てみましょう。 ひとつは「群れ」をなすことです。今の若者が最も大事にしている価値観は「仲間」だからです。 私が大学教師として、あるいは中高のスクールカウンセラーとして接している中で感じるのは、大学生であれ、中学生や高校生であれ、若者にとって大事なのはやはり「仲間」だということです。恋人以上に同性の友達との関係を重視しているように見えます。特に男子学生にその傾向は顕著で、仲の良い男子学生同士で「いつも一緒」にいる度合は高いのです。

そんな文化で育った彼らが今、教師になっています。 すると当然、若い同世代の教師だけでつるみます。50代の教師はのけ者。20代から30代の教師でグループをつくり、同じ世代の誰かを排除することで、集団としての凝集性を高めているのです。 仲間同士で完結した一体感のある世界をつくり上げています。 若い先生方は、同世代の教師集団から外されないように必死です。そうしないと自分の居場所を確保できなくなるため、必死なのです。 以前から日本では「村八分」と言われるように、同調圧力の高い社会でした。しかし、若い世代はさらに強固に「同調圧力」に支配されて逃れられない人が多くなっています。 おそらく、東須磨小の職員室でも「力があるとみなされる」加害教員4人グループが、ほかの教員たちに「自分たちに従わないと、この学校では孤立する」という同調圧力をかけ、特定の教員を攻撃する空気ができあがっていったのでしょう。

空気を読まない勇気を持て 「空気を読む」ということは、同調圧力に従うということにほぼ通じます。 若手の先生方に申し上げたいこと……それは「あえて空気を読まないでいよう」「空気を読めても、ときには読まないふりをしてほしい」ということです。 これが同調圧力を打ち破って、自分の個性を活かすということにもつながるからです。 先生方には子どもに対しても「空気を読みすぎない行動のモデル」を示してほしい。先生には子ども集団に対してではなく、教師集団の中でもぜひ「空気を読みすぎない行動」をしてほしいのです。 このことは若手の先生に限らない話です。私は、中堅の優れた先生からもしばしばこんな悩みをうかがいます。 「本当はこうしたほうがいいと思うことがあっても、同じ学年のほかの先生に気を遣ってできないんです」

小学校のある学年で全クラスが、同じ教材を使って授業をすることがあります。学年の先生方で、どういう授業にするか、どういう教材をどのように使うか、打ち合わせをします。 こういうときには、すごく頑張る人がいる一方で、かなり手抜きに走る人もいるものです(これは学校に限らずすべての職場でよくあることでしょう)。 こういうとき、頑張る先生は「本当はもっと準備を重ねたいし、板書のやり方も、教材の見せ方も、配布するプリントも工夫したい。もっと手をかけて授業をしたい」……そんなふうに思うものです。 しかし、本当は「もっとできるのに」「もっと頑張りたい」と思っていながらも、「やり過ぎるとほかの先生から叩かれてしまう」「どうしてあなただけ、そこまでするのかと思われてしまう」とほかの先生からのクレームをおそれて、妥協を余儀なくされます。この「教師集団の横並びの発想」は、できる教師特有の大きな悩みのタネになっています。 「できる教師」ほど悩んでいる Photo by iStock ほかの先生からクレームが出る背景には、保護者のクレームがあります。

「3組の先生はあんなにプリントの準備をしてくれたのに、1組の先生はどうしてそれをしてくれないんですか」といった声が、保護者から届くのをおそれているからです。できる教師がほかの教師に気を遣って、「本当はもっと工夫をしたいのにできない」という状況がしばしばあるのです。 できる教師がほかの教師に気を遣って、本来できること、やりたいことができなくなってしまうことの最たる例に、「学級通信」があります。 今も昔も学級通信は、やる気に満ちた先生の力の入れどころのひとつです。 学級通信で、担任と子どもをつなぐ。担任と保護者をつなぐ。これはどこの学校でも、数十年にわたって行われてきたことです。 私は、多忙な合間を縫って毎日のように学級通信を出している先生方を知っています。それは担任としての思いを子どもに伝え、日々の子どもたちの様子を保護者に伝えたいという思いからです。

しかし、そんな先生が同じ学年の先生方に気を遣って、学級通信を出せなくなることがあります。 多くの学校現場で、できる教師がほかの教師に気を遣いながら、自分の力を抑えて仕事をしていることが少なくないのです。 子どものためになる。保護者のためになる。 一人ひとりの教師が、自分がそう思うことをほかの教師に遠慮せずに十分にできるならば、その学校が教師同士の人間関係が良好な学校であることの証といえるでしょう。 諸富 祥彦(心理学者) 〔2020年11/10(火) 現代ビジネス〕 

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子がひきこもり 子がひきこもり、言葉掛けの大切さ痛感 変わったのは親 【最終回】17歳から19歳までひきこもった長男/親が先回りして万事決めてしまったことを悔やむ/「あなたはそれでいい」と言えるまでの長い道のり 岩下緑さん(仮名・49歳)の長男(21歳)は、17歳の夏から19歳の秋まで約2年間、ひきこもり生活を送りました。緑さんは、長男が外に出るまでの道のりを「彼本来の姿を取り戻すプロセス」だったと振り返ります。長男と向き合う中で、変化したのは、母親である緑さんのほうでした。緑さんは「私の二の舞いにならないよう、若いお母さんたちに言葉掛けの大切さを知ってもらいたい」と言います。

●3人の子育てが重なって心の余裕なくす 「長男は赤ちゃんの頃から話すのも歩くのも他の子より少しずつ遅いことに、育てにくさを感じていました」と緑さんは振り返ります。 長男は2月生まれなので、同学年の子と比べると発育が遅めなのは当たり前のようにも思えます。しかし緑さんは、乳児健診で見る他の子どもたちや、育児書に書かれた発達の度合いと、わが子を比べずにはいられませんでした。 「『こうあるべき』姿と違うことを、必要以上にマイナスに捉えてしまった」 保育園でも彼は、言葉の遅さなどから友達の仲間に入れないことも。保育士からそんな話を聞くたびに、緑さんは「仲間外れにされないよう、強い子に育てなければ」という思いに駆り立てられました。 小学校に入ってからは、長男が授業についていけるのかが不安になり「勉強しなさい」ときつく叱ってしまいます。6歳の長男を筆頭に2歳、0歳と3人の子育てが重なって心の余裕もなく「覚えているのは、家の中が常に散らかっていたことくらいです」。 地元の野球チームに入団させたものの、そこでもワンテンポ遅い長男の行動に、緑さんのイライラが募る結果に。「本来は『マイペースなのが君のいいところだよ』と後押しすべきだったのに『そんな調子だから泣かされるのよ』と、自分のいら立ちをぶつけていました」 現在の緑さんは、長男の子ども時代、勉強のやり方や野球チームへの入団など生活に関することを万事、親が先回りして決めてしまったことを悔やんでいます。「『あなたはどうしたいの?』と聞かなかったことが、長男の自己肯定感や、自分で決める力をそいでしまいました」

悩む長男にぶつけた「言ってはいけない言葉」 中学に入ると思春期を迎え、長男の同級生も人間関係にさまざまな思惑や計算をめぐらせるようになります。そんな中、長男は「自分は人とうまくやっていけないんじゃないか」と不安を覚えるようになりました。 しかし当時、そんな彼に緑さんがぶつけたのは「そんなことしてるから友達がいないのよ!」という言葉。「一番言ってはいけないことを言い続けた」と、緑さんは罪悪感をにじませます。

高1の終わりに唯一の親友が退学してしまうと、糸が切れたように欠席や遅刻を繰り返すようになりました。 「このままではまずい。子どもの問題と向き合わなければ」 緑さんは危機感を覚え、コミュニケーションのセミナーに通い始めます。子どもの言葉を聞き、意見を尊重する声掛けの大切さを学びましたが、それまで叱ってばかりいただけに、なかなか行動に移せませんでした。「無理やり登校させたほうがいいんじゃないか」「学校を続けるのは無理なのか」と、緑さんの気持ちも大きく揺れ動き、最もつらい時期だったといいます。

高2の夏にはとうとう、長男と取っ組み合いになりました。といっても、緑さんが一方的に「学校に行きなさい!」と叫んでつかみかかっていったのです。「自分が何かにとりつかれたようで、あのままでは首も絞めかねなかった。逆上した親は、こうやって子どもを殺してしまうんだと思いました」 長男は反撃せず「落ち着けよ」と、緑さんを制し続けました。その姿に、緑さんはふと我に返ります。 「私、何やってるんだ?」 緑さんは次第に「私のレールに乗せるのではなく、子ども中心に考えなければ」と理解するようになりました。このため2学期が始まって数日後、長男が「やっぱり無理かも」と言い出したときは「あなたが自分で決断できたのだから、それでいいと思う」と即答しました。 高校は卒業したい、という本人の意向で不登校児を受け入れている高校に転校しましたが、結局授業もあまり受けられず、昼夜逆転のひきこもり生活に入りました。

専門学校も1カ月で中退 「俺死ぬわ」の言葉に衝撃 厳しかった父親は、家にひきこもるようになった息子に戸惑い、腫れ物に触るように扱いました。長男は態度が一変した父を避けるようになります。一方、緑さんは以前ほど焦ることもなく、長男にこんな言葉を繰り返しました。 「ここがどん底ならもう下はない。後は浮くだけ」 「人生100年のうちの数年、自分と思い切り向き合うのは決して悪いことじゃない」 自分の昔の行動についても「ひどいことを言って本当にごめんね」と、長男に謝りました。長男はなんとか高校を卒業すると、本人の希望でアニメーションの専門学校に通い始めます。しかし入学早々、浮かない顔で帰宅するようになり、ほどなく「無理かも……お金を出してくれたのに、ごめん」という申し出がありました。 緑さんは「いいよいいよ」と答えましたが、長男はこのときぽつりと「俺死ぬわ」ともらしました。 長男の落ち込みは大きく、ベッドから出られない日もありました。緑さんも衝撃を受け、出勤しようと家を出たものの、不安が募って家に引き返すことがしばしばでした。 ただ緑さんは、10分早く起きられた、食事を全部食べられた、といった長男の小さな「達成」や彼の美点を「できたじゃん」「それが君のいいところだよね」と、その場でほめ続けました。小さな積み重ねが、自己肯定感を少しずつ高めると考えるようになったからです。

●長男を家庭内で「雇用」 人の役に立つことが力に 緑さんは、長男との接し方にさまざまな工夫をちりばめました。高2の夏休みには、長男を知り合いのカメラマンや劇団の主宰者、NPOの代表など「ちょっとアウトローな」大人たちに引き合わせました。長男に、サラリーマン以外の多様な生き方を知ってもらいたかったからです。 ひきこもり中も、社会への関心を持ち続けてもらおうと「時事ネタ」を話題にしたり、記事を切り抜いてトイレに張ったり。それが図に当たり、長男から時折「トイレのあの記事さ…」と言い出すこともありました。 専門学校をやめてからは、料理500円、食器洗い300円などと家事の細かい料金表を作り、「家で働いてみない?」と長男に持ち掛けました。本人も乗り気になり、レシピサイトを見て珍しい料理を作ってくれることも。視覚障害のある知人が、自宅に1週間ほど滞在したときは、最寄り駅までの送り迎えや身の回りの世話も引き受けました。 「体を動かして働き、『おいしい』『ありがとう』と家族に感謝されることで、自分も人の役に立てるのだ、と少しずつ納得できたのだと思います」 専門学校をやめた年の秋、緑さんは信頼する人から、ある若者支援団体を紹介されます。長男は団体の代表者と電話で10分ほど話した後、「俺行くわ」と言い、あっさりと団体の拠点がある沖縄に旅立ちました。 緑さんは「電話も背中を押したとは思いますが、本人も少しずつ力を取り戻し、出るきっかけを探していたのでしょう」と推測します。

●接客業で本領発揮 「本来の彼」が戻ってきた 長男は沖縄で寮生活をしながら、アルバイトを始めました。人付き合いが苦手なはずの彼が最も気に入った仕事は、意外にもガソリンスタンドでの接客。それを聞いた緑さんは、彼の幼少期を思い出します。 「彼は人懐こくて、公園でも知らない子に『遊ぼう』と声を掛ける子でした。これが本来の彼なんだ、叱るのではなく『あなたはそれでいい』と認めてあげるべきだったんだ、と深く反省しました」 団体の代表者も「彼(長男)はピカピカしたものを持っていた。元の彼に戻っただけだ」と評したといいます。 翌年7月に帰宅した長男は、伸び放題だった髪をさっぱりとカットし、別人のように生き生きしていました。

長男はひきこもり中、「人の声や音が気になる」と電車に乗れず、「発達障害とのグレーゾーン」と診断されたこともあります。しかし今は、満員電車に乗って飲食店のアルバイトに通い、コロナ禍の前は、海外へ一人旅に出たことも。「20代前半はいろんな仕事をして、やりたいことを絞りたい」と話しているといいます。緑さんはそんな彼の人生を「うまくいくと信じているし、うまくいかないときは助ける」という気持ちで、見守っているといいます。 また緑さんは、自分が受講していたコミュニケーションセミナーの講師も務めています。「私の二の舞いにならないよう、若いお母さんたちに自己肯定感を高める言葉掛けの大切さを知ってもらいたい」と、語りました。 取材・文/有馬知子 イメージ写真/PIXTA 〔2020年11/10(火) 日経DUAL〕 

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外国人労働者派遣切り 日本語学習、コロナが奪う 外国人労働者派遣切り、通学できず NPO支援訴え ミライの教室でポルトガル語の勉強をする子どもたち(1歳~6歳未満)=静岡県菊川市で2020年10月19日、古川幸奈撮影 新型コロナウイルスの流行で外国人労働者の派遣切りが相次ぎ、その子どもの教育の機会が失われている。静岡県菊川市のブラジル人託児所・学習支援施設「ミライ」は保護者の失業により、月謝が払えないとして生徒数が激減した。ミライは日本の公立校への進学を目指す子どもが日本語を学ぶ貴重な場。運営するNPO法人は子どもが施設に復帰できるようにクラウドファンディング(CF)で月謝の寄付を募り始めた。【古川幸奈】

「これは小さいかな、大きいかな」「ちいさーい!」。10月中旬、小さな液体のりを持った先生が尋ねると、子どもたちの元気な声が室内に響いた。菊川市の閑静な住宅街にある民家がミライの教室だ。 ミライは日系2世の黄地潔理事長(57)が私財を投じ、2017年に設立。ポルトガル語(母語)や日本語を学ぶ託児所(1歳~6歳未満)の運営▽日本の公立校に適応するための日本語や文化の教育(6~12歳)――などを行い、これまでに300人以上が希望する日本の公立校へ進学した。託児所は朝昼の食事も提供する。 施設に通う子どもの保護者の9割以上は工場などで働く派遣社員。新型コロナが生活に及ぼした影響は大きかった。3月下旬ごろから「解雇されたので明日から子どもを通わせられない」という連絡が相次ぎ、在籍する子どもの6割にあたる50人が「休学」となった。広報担当のヴィアナ沙織さんは「学びが止まると言語の習得が遅くなる。日本の学校になじめず、入学しても不登校になってしまう可能性がある」と苦しい胸の内を明かす。

秋になり、雇用は少しずつ回復がみられるが、20人の子どもが教室に戻らないまま。保護者の失業により、通いたくても通えない子どもの学習の機会を確保しようと、ミライはCFに望みを託すことにした。目標の金額は、20人の1カ月の学費に相当する116万円。資金が集まれば、無償で施設に通える。黄地理事長は「社会から孤立する外国人の子どもを減らしたいと施設をつくった。協力をお願いしたい」と呼びかけている。 一方、ミライも月謝に頼る運営で、生徒数の減少によって、借金が1600万円に膨らんだ。ただし、公的な支援もなく、経営は楽観できない状況だ。5歳の次女を通わせている市内のウメザキ・ケリーさんは「自動車部品工場で働いている。もしも、ミライがなくなれば仕事に行けなくなる」と訴えた。 寄付は「READY FOR」の専用ページ(https://readyfor.jp/projects/crechemirai)からできる。締め切りは23日午後11時。 〔2020年11/10(火) 毎日新聞〕 

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「へやの中の世界から、外の世界へ」作品展 「へやの中の世界から、外の世界へ」作品展 佐世保・島瀬美術センター 不登校やひきこもりで悩む若者らに、絵画などの作品づくりを通して社会とのつながりを感じてもらおうという作品展が、佐世保市で開かれています。 作品展は佐世保市で30年以上、不登校やひきこもりを支援してきたNPO法人「フリースペースふきのとう」が開いたもので、佐世保市の島瀬美術センターで当事者や支援者の作品、約500点が展示されています。

テーマは「へやの中の世界から、外の世界へ」 コロナ禍でひきこもりの相談もオンラインが中心となる中、作品づくりを通して自らの感情を外の世界に表現することを目指しています。 フリースペースふきのとうの山北眞由美 理事長は「外との接点を持ちきれないまま苦しんでいる子供もいるので、今コロナだからできないというのではなくて、できることを考えていければ良い」と話しています。 「ひきこもり」についての理解を深め、支援の輪を広げたいと初めて開かれた作品展は、11月15日(日)まで島瀬美術センターで開かれています。 〔2020年11/10(火) NBC長崎放送〕 

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子どもの心のケア 「阪神」の教訓生かし子どもの心ケア コロナ対策プログラム作成へ 兵庫県教委 兵庫県伊丹市立花里小でスクールカウンセラーの福島美由紀さん(右)と心のケアの授業をする真嶋俊範教諭(左)=兵庫県伊丹市で2020年9月17日午後3時1分、井上元宏撮影

阪神大震災(1995年)で子どもの心のケアに取り組んだ兵庫県内のスクールカウンセラーらが教員と一緒に、新型コロナウイルス禍でのストレスを和らげ、差別や偏見を防ぐ児童・生徒向けの教育プログラム作りに乗り出している。県教委も効果的な授業を集め、全県で展開する方針だ。 「Bさんがコロナ陽性になった。言いふらしたC君をどう思う」。9月17日、伊丹市立花里小学校5年2組の保健体育の授業で担任の真嶋俊範教諭(45)は問いかけた。「怒りで、もう遊ばんで、と言う」「悲しくて泣きそうになる」などと発言する児童に、真嶋教諭は「コロナをよく知っていれば、落ち着いて『良くないよ』と伝えられるんじゃないかな」と話しかけた。 危機の時、自分が陥りがちな感情や考え方と行動を知り、違う考え方があると知るのは、認知行動療法とよばれ、うつなどの治療にも使われる。授業に参加した同校のスクールカウンセラー、福島美由紀さん(56)は呼吸法や眠りのためのリラックス法も指導した。

◇いつもと違う生活がストレスに 授業を提案したのは、県立大大学院の冨永良喜教授(臨床心理学)。阪神大震災から災害時の子どもの心のケアに取り組み、新型コロナでは感染の不安やマスク着用などいつもと違う生活様式が、避難所でのストレスに近く、問題行動や不登校につながると懸念。「身近な教師が子どもの心身反応に的確に対応することが傷ついた心の回復につながる」と強調する。 冨永さんらは、花里小での授業プログラムを県内のスクールカウンセラーに発信。県内の小中学校では教諭たちが保健体育や総合的学習の時間などを使った授業作りを始めている。県教委はこうした授業から効果的なプログラムを集め、県内に周知させる方針だ。

◇小学校低学年に影響大きく 県教委が7月に小中高校生約4万人に実施した調査では、小学1~3年の1割が「ほぼ毎日怖くて落ち着かない」と回答するなど特に低学年の子どもたちに大きく影響が出ていることが判明した。小1~3年でコロナウイルスを「知らない」「あまり知らない」との回答が計20・7%と他学年より10ポイント以上高いことに着目。防災教育で地震の仕組みと身の守り方を教えるように、コロナの対処法を教えることで子どもたちの心を安定させることに力を入れる。 小学校低学年向けの教材は、阪神大震災で日本臨床心理士会の現地対策本部長を務めたスクールカウンセラーの高橋哲さん(69)が監修。ウイルスの写真を載せ、感染の仕組みと、手洗いやマスク着用の理由を解説した。ウイルスを妖怪に見立てたイラストを使い、「こわいものが見えないとき、わたしたちはなにか見えるものをさがしてかわりにやっつけようとする」とコロナ禍の中で悪口や仲間はずれが起きやすくなる仕組みをやさしく説明している。 高橋さんは「学校現場は感染防止対策で緊張状態が続いている。ひとたび感染が判明すると保護者も含めて緊張が大きく高まる。継続的に子どもの心をサポートすることが大切だ」と訴えていた。【井上元宏】 〔2020年11/10(火) 毎日新聞〕 

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ページ名 青少年ワークサポートセンター広島 広島県廿日市市 (発達障害のニュース、放課後等デイサービス・広島県  )
不登校、ひきこもり、発達障害…ワンストップ型「自立支援」施設 県内で初開設
  発達障害者などへの「自立支援」を若い年齢のうちから一つの場所で行う施設が、県内で初めて開設されました。
その狙いと直面している課題を取材しました。
廿日市市の山あいにできた施設…。
【入居者】
(Qおはようございます) 入居者「おはようございます」
バッグを片手に次々と出発していくのは、発達障害などがある入居者の男性です…。
【入居者】
スタッフ「いってらっしゃい!」入居者「いってきます!」
実はここ、一貫したケアを不登校やひきこもり、発達障害のある人に行うため先月開業した県内初”ワンストップ型”の”自立支援施設”…。
【青少年ワークサポートセンター広島・植松亙理事】
「不登校になられた段階から何らかの支援の手を差し伸べさせていただくことで大人になってからの社会的自立がスムーズにいくのではないかと」
【加藤アナ】
「こちらが施設の共有部分です。広いスペースがとられているんですが、その隣、こちらには放課後デイサービスに使う部屋があります。
一方でこちらに進むと、ここから先はグループホームということで一つの施設の中に複数のサービスが提供できるつくりになっています」
中学・高校生が放課後に通い訓練や支援プログラムを受けるデイサービスや通信制高校に通いながら受ける学習支援、さらには18歳以上が入居し就労や一人暮らし生活を目指すグループホームと自立までの支援をこの施設内で一貫して行うといいます。
【青少年ワークサポートセンター広島・植松亙理事】
「(親も)何がどうしていいかわからないまま時が過ぎてしまい、気が付いたら息子さんが50歳、お父さんお母さんが80歳というこれからどうなるんだろうという状況になっている方たくさんいる。
まずは親御さんに支援機関があるということを知っていただきたい」
”ひきこもりの高齢化”など現代において様々な課題を抱えている日本…。
国の調査では、2006年におよそ6900人だった発達障害のある児童生徒数も10年後の2015年にはおよそ4万2000人とおよそ6・1倍になっています。
一方、本来であれば4月に開業予定だったこちらの施設…。
新型コロナウイルスの影響で半年延期を余儀なくされましたが、同時に、深刻化する発達障害がある人たちへの影響を心配しています。
【青少年ワークサポートセンター広島・植松亙理事】「マスクしていても怖い、危ないという不安が先に立つ。
発達障害や精神障害をお持ちの方はそういったことが過敏な方が多い。
結果としてコロナが原因で外にますます出れなくなったり、ちょっと引きこもりがちな方が今までコロナがないときには何とか頑張って出てきていたけれども、結局コロナが原因でそこを控えてしまう、逆行していくような形が今少しずつ出てきている」
広島ニュースTSS
〔2020年11/11(水) テレビ新広島〕 

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神奈川県県立高校で男子高校生が自傷行為 SNSがきっかけ 県立高校「いじめ重大事態」調査結果を報告 県教委は、県立高校に通う男子生徒が法律で重大事態と定めるいじめを受けていたと明らかにしました。きっかけは、SNS上での嫌がらせでした。 県教委によりますとおととし、県立高校の1年生だった男子生徒は、SNS上で「同じクラスの男子に嫌われている」との書き込みをされたほか、2年生の時には、男子生徒の顔を変形させた画像がクラスメートに拡散されるなどのいじめを受け、不登校になったということです。 男子生徒の保護者が学校に訴えたことで、事実が明らかになり、県教委はこの事案を法律で重大事態と定めるいじめと認定。 その上で去年、第三者による調査会により詳しい調査を依頼していました。 報告書では、学校の対応について、十分な情報共有がされておらず、指導が不十分だったことなどが指摘されていて、県教委は今後、報告書の内容を全ての県立学校に周知し、再発防止をはかるとしています。 〔2020年11/12(木) tvkニュース(テレビ神奈川)〕 

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オンライン授業 オンライン授業が登校のきっかけに!不登校生徒にもたらした変化とは 新型コロナウイルス感染症の拡大防止対策に追われた2020年も、あと約1か月。子どもには気付かない間に、何かと心身の疲れがたまっているかもしれません。いじめや不登校も、心配になります。とりわけ不登校は、文部科学省の19年度調査で、過去最多を更新したところです。ただ今年度は、少し様子が違うかもしれません。休校措置が長引いたことで、不登校の子どもと学校の関係にも、変化があったからです。

不登校生もオンラインなら 学校が再開したら、不登校率が下がった……。青森市の成田一二三教育長は、7月に開かれた「超教育協会」主催のオンラインシンポジウムで、同市の状況を、こう紹介しました。 コロナ禍を受けて、同市教委は3月2日から5月10日まで、全市一斉の臨時休校措置を取りました。その間、4月5日から4校で、同20日からは全62校で、オンライン授業を実施。子どもの参加率は96.8%に上りました。 その中には、2019年度まで不登校だった子どもも、かなり含まれていました。調べてみると、中学校では不登校生徒の74.6%を占めました。 2週間の分散登校を経て、5月25日から通常の登校になりました。すると、6月8日までの調査で、オンライン授業を受けた不登校生徒のうち、92.5%が登校するようになりました。翌週には84.2%に下がったものの、夏休みまで大きくは下がらなかったといいます。

「自分だけでない」、気が軽く なぜ登校できるようになったのでしょうか。スクールカウンセラーが聞き取りを行ったところ、「登校しないのが自分だけでないことで、少し気持ちが楽になった」「新しい学習形態に興味を持った」「周囲の子どもの目を気にしなくていい」という声があったといいます。 不登校の子どもたちは、必ずしも勉強が嫌いなわけではない。オンラインで気軽に授業をのぞけたことで、登校してみようかという気になった……。成田教育長は、そんな見方を示しました。 オンライン授業が不登校の子どもに有効だという報告は、青森市だけでなく、各地で相次いでいます。 どんな子にも学びの保障を 不登校の子どもたちには、保健室までは登校できても、足がすくんで教室に入れない、という子も少なくありません。そんな子どもたちも、オンラインなら、クラスのみんなと一緒に授業を受けられる可能性があります。

それは、不登校に限りません。障害を抱える子ども、病気や病弱の子ども、どうしても感染症が怖い子ども……どんな事情を抱える子どもも、学びを止めないで済むのです。 誰一人取り残すことなく、最大限に学びを保障しようとする視点が、今後ますます求められます。 まとめ & 実践 TIPS オンライン授業は、子どもの学ぶ権利を保障するツールにもなり得ることが、コロナ禍で浮き彫りになりました。そう考えると。「登校」の意味も変わってくるかもしれません。学校の垣根が低くなるような時代に対応した教育の在り方を、本格的に探ってほしいものです。

出典: 2019年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について https://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/mext_00351.html 超教育協会オンラインシンポジウム 成田一二三・青森市教育長「不登校の子どもたちへの対応について」 https://lot.or.jp/wp/project/2380/

プロフィール 渡辺敦司 1964年北海道生まれ。横浜国立大学教育学部卒。1990年、教育専門紙「日本教育新聞」記者となり、文部省、進路指導問題などを担当。1998年よりフリー。連載に「『学力』新時代~模索する教育現場から」(時事通信社「内外教育」)など。 〔2020年11/11(水) ベネッセ 教育情報サイト〕 

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山田ルイ53世 【山田ルイ53世のお悩み相談】このまま芸人を続けていいのか悩みます。 お笑いコンビ髭男爵のツッコミ担当で、作家としても活動中の山田ルイ53世さんが読者のお悩みに答える連載。今回はお笑い芸人を続けるかやめるか悩む女性からの相談です。 <お悩み> 昨年某お笑い養成所を卒業しました。現在は一応プロの芸人として活動してはいるものの、正直元からお笑いが大好きだったわけでもなく、高校卒業後に進路決定に悩み、容姿のコンプレックスや色々な劣等感から半ば投げやりになって入学したので、売れたいなどの願望も特になくなんとなくバイトしながらの生活を送っています。 親とはほぼ喧嘩のような形で上京したものの、やはり今になっては親孝行しなくては、という思いとこのまま何となくお笑いをやっていていいのか、という焦りがあります。 かといって他にやりたい事もなく、お笑いを辞めると本当に人との繋がりが無くなりそうで怖い気持ちもあります。 自分で決断すべきなのは勿論ですが、これから私はどうしていくべきなのでしょうか。 (佐々木/女性/お笑い芸人をやっている20代のフリーターです。)

山田ルイ53世さんの回答 芸人として活動中だという佐々木さん。 特にお笑いが好きでもなく、 「売れたい!」 といった願望もなく、バイトに精を出す毎日とのこと。 「このまま芸人を続けて良いものか?」とお悩みですが、正直、筆者にはどうともお答えのしようがありません。 仰る通り、「自分で決断すべき」なのもそうなのですが、そもそも“プロの芸人”という言葉に違和感があるからです。 芸人に限らず、“プロ”と“アマ”をあえて線引きするのであれば、「その仕事で飯が食えているかどうか?」だと筆者は思っています。 いや、考え方は人それぞれですし、“芸人”という肩書きなど所詮は自称。 誰がどう名乗ろうが勝手なわけですが、その一方で、養成所を卒業しようと、芸能事務所に所属していようと、生計が立てられないのであれば、 「私はプロだ!」 と言ってみたところで、虚しいだけではないでしょうか。 ……とひとまず先輩風を吹かせてみましたが、かつての筆者も似たようなものでした。 中2の夏から不登校、そのまま6年間の引きこもり生活。 20歳手前で大検を取得して、地方の大学に潜り込むも、ほどなく失踪同然で上京し芸人を志しました。 “志した”といっても、「絶対、売れてやる!」といった若者らしい野心や気概はゼロ。 相談者と少し違うのは、履歴書が実質“中卒”で、白紙同然だったことです(あくまで当時の筆者がそう思っていた、という話ですが……)。 おまけに、大学やバイト先の友人に両親、とにかく、誰にも何も告げず全ての人間関係を断って上京したので、コネも伝手もない有様で、就職もままならなかった。 詳しくは拙著「ヒキコモリ漂流記」に任せますが、“人との繋がり”以前に、“社会に入っていけない”状況で、 (お笑いやめたら、いよいよやることが無いなー……) と八方塞がり。 つまり、“好きか嫌いか”は、何かを続ける理由にも、辞める理由にもなり得なかったのです。 相談者の文面からは、 「実家へ戻ろうかな……」 とお考えのようにも窺えるので、ご両親との関係性は、“絶縁”というほど決定的に破綻しているわけではなさそう(違ったら申し訳ない)。 その点は一安心ですが、一方で、何かにつけて持ち出される“親”の身になれば、それを「孝行」と言うのも微妙な気がします。 もしかすると、 「好きなことを見つけなきゃ!」 「好きなことを仕事にしなきゃ!」 という考えに囚われ過ぎてはいないでしょうか。 勿論、素晴らしいことでしょうが、筆者は常々、 「なれた自分でやっていく」 というのも悪くないと思っています。 筆者の知る限り、世に出る芸人というのは、総じて芸に対しては真面目。 誰もがやったことのないネタ……“発明”を成し遂げることでしか、お声が掛かることはないからです。 乱暴な物言いですが、好きでも嫌いでもなんとなくでも、そこはどうでも良い。 しかし、「食うために」力を尽くせないのであれば、色々考え直した方が良いかもしれません。 お互い、精進しましょう。

山田ルイ53世●お笑いコンビ、髭男爵のツッコミ担当。本名、山田順三。幼い頃から秀才で兵庫県の名門中学に進学するも、引きこもりとなり、大検合格を経て愛媛大学に進学。その後中退し、芸人へ。著書に『ヒキコモリ漂流記』(マガジンハウス)、『一発屋芸人列伝』(新潮社)、近著に『一発屋芸人の不本意な日常』(朝日新聞出版)。

〔2020年11/11(水) クロワッサンオンライン〕 

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ページ名 ヤンクル   (介護のニュース、厚生労働省  )
15~29歳の介護者21万人。知られざる“若者介護者”の実態
今も多くの若い介護者が苦しんでいることを胸に刻んでおこう。
家族による介護といえば、40代や50代の世代が自分の親を介護しているというイメージがあるだろう。
だが、じつは10代や20代で介護している若者が多くいる。
相談する相手もおらず、理解もされない孤独な介護を強いられているーー。
「小・中学生や高校生など18歳未満の『ヤングケアラー』や18歳以上の『若者ケアラー』が大勢いることを知ってほしいです。
しかも、通学や仕事をしながら家族を介護している、そんな若年介護者は増加しているのです」
そう語るのは、16歳から難病の母親の介護した経験から、ヤングケアラーの支援や若者ケアラーの転職支援を行っている「Yancle(ヤンクル)」代表の宮崎成悟さん。
総務省の調査によれば、15~29歳で家族を介護している人は’17年で21万100人。
その5年前の調査(17万7600人)から急増している。
そのうち10代は全国に3万7100人いることが、毎日新聞の分析で判明した。
「総務省の調査では14歳以下の小・中学生が含まれていないため、本当の実態は把握できていません。
ヤングケアラーのなかには、8歳からアルコール依存症の父親の世話をしていた人もいます。
家族を介護している子どもたちはもっと多い可能性があります。
若年介護者が増加している背景は、少子高齢化社会が進んだうえに、シングル世帯や共働き世帯も増加したこと。
家族ケアをする大人の人手が少ないことから、たとえ未成年でも大人が担うような介護をしているのです」(宮崎さん)
そんな若年介護者の問題点はどんなことなのだろうか?
「家族がケアすることは悪いことではありません。
ただ、認知症の祖父や祖母のケア、障害のある兄弟姉妹の介護、病気の親の世話などをするなかで、負担が限界を超えて、学業や就業、若者らしい生活や将来、自由まで犠牲になってしまう。
その結果、不登校になったり、中退したり、進学や就職を諦めてしまったりするケースが多いのです」
宮崎さんも、高校卒業する直前に母親の容体が悪化。介護に注力するため大学進学を一度は諦めた経験がある。
さらに、介護の話をしても周囲が理解してくれない場合も多いという。
「介護は中高年層がやるものだという認識が強いため、若くして介護していると『なんであなたが?』と疑問視されることが多い。
そのため学校や会社でも事情が伝わらず、1人で抱え込んでしまうケースも少なくないのです。
若年介護者の多くは、どんなにつらくても、家族のことだからとSOSの声を出しづらい。
まずは実態把握が急務。さらに相談したり、カウンセリングが受けられたりするサポート体制が必要です。
そしてなにより大切なことは、私たち大人が、若年介護者がいることに無関心でいないことです」
厚生労働省は12月から若年介護者の実態調査を始める。
今も多くの若い介護者が苦しんでいることを胸に刻んでおこう。
「女性自身」2020年11月24日号 掲載
〔2020年11/12(木) 女性自身〕 

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息子がいじめの加害者に? 子どもがいじめ加害者になったら? 「一緒に解決していこうと語りかけることが大切です」 ある日突然、自分の子どもがいじめの加害者だと言われたら、あなたはどうしますか?  『息子がいじめの加害者に? 大原さんちの大ピンチ』 は、いじめ騒動の当事者となった一家のサバイバルを描いた実話マンガ。長男がいじめの加害者だと訴えられ、被害者の親に謝罪はしたものの、長男は教師から精神異常者扱いされたり、全校集会で吊るし上げにあったりと、一家は四面楚歌に……。 今年6月に電子書籍として刊行、 文春オンライン でも連載され、「参考になった」「共感できない」と賛否両論、大論争を巻き起こした。電子書籍版に大幅加筆した単行本の発売を機に、著者の大原由軌子さんに話を聞いた。

友人との揉め事は避けて通れない道 ──なぜ「いじめ」をテーマにマンガを描こうと思ったのですか? 大原 子どもを育てるにあたり、友人との揉め事は避けて通れない道です。被害者側を経験した上で、加害者側に立った時にどうやって解決していくのか、私自身が当時一番知りたかったことをマンガにしたいと考えました。

──描くにあたって苦心した点、気づいた点などあればお聞かせください。 大原 苦心したのは、実話ということもあり、実際に私自身が自分の耳で聞いて目で確認した部分だけでマンガを構成しようとした点です。このいじめ騒動が7年前の出来事で、電子書籍版が当時のことをリアルタイムで綴っているため、謎と苦しみに満ちているのに対して、書籍版はすべて答えが出揃った状態で改めて騒動の内容を見返し大幅加筆できたことが、良かったと思えた点でした。気づいた点は、親の感情よりも、学校という社会で生きている子どもの思いを一番に考えるべきということです。

二度といじめが起きないようにするためには ──今回のケースでは、いじめ被害者の親といじめ加害者の親、両方を経験されたわけですが、それぞれの立場の違いについてお聞かせください。 大原 いじめ被害者の親の立場に立った時に感じたことは、加害者側の保護者の対応によって、いじめ問題の苦しみが何倍にも増してしまうということです。いじめ問題で一番大切なことは、加害者側がいじめたことをしっかり認め、「何がよくなかったのか」をきちんと理解した上で、二度といじめが起こらないように自分の行動を改めることだと思います。被害者側を経験したことで、加害者側がしなければならないことを学ぶことができました。

──スクールカウンセリングや子ども子育て応援センターに相談に行かれましたが、実際に体験していかがでしたか? 大原 長男のタケが受けたスクールカウンセリングの先生からは具体的な解決策を提示してもらえ、アドバイスもとても的確でした。タケも先生との相性がとても良かったことで自分の胸の内を全て伝えられ、反省点をきちんと見つめ直すことができました。ただ、すべてのカウンセラーの方がそのような技術を持っているとは限らないようです。ですので、「この専門家とは合わない」という場合があれば、新しい相談先を自治体などに問い合わせて調べられることをお勧めします。保護者自身で動くことが大事だと思います。

──いじめ問題に対する学校の役割についてはいかかでしょうか? 大原 今回マンガに描いた「加害者側のいじめ問題」だけでなく、男子2名を育てる上でたくさんのいじめ問題を経験しました。問題を解決するスキルを持っている先生が揃った学年だったらいいのですが、そうでない場合も多々ありますし、保護者の方のタイプもいろいろですし、なかなか一筋縄ではいかないのがいじめ問題の根の深さです。スクールカウンセリングだけでなく、スクールロイヤーなど新しい制度をどんどん活用していただきたいと思います。

──タケちゃんの学校には、体罰を行う教師がいたことが本書では指摘されています。いじめと体罰の関連性について、ご意見があれはお聞かせください。 大原 小児専門の精神科の先生に「いじめをしている子は家庭や学校などで何か不満が溜まっていることが多い」と聞いていました。今回の騒動ではタケのいじめの行動について、後半でその関連性が明らかになりました。親の目の届かない場所で、子どもが間違った行動を学んでしまう可能性もあるので、常に親子で話し合える環境を整えることが大事だと思いました。

“モンペ”に対して直接、相手にしてはいけない ──今回、相手の親にモンスターペアレント的ふるまいがありました。”モンペ”への対処法がありましたら、お聞かせください。 大原 加害者側と被害者側が直接学校外で接触しないようにし、学校が公平な場を提供してくれるようにするため、第三者に間に入ってもらうことをお勧めします。マンガの中でも描きましたが、どうしても今の世の中、「声が大きい方」の意見が通ってしまいがちというのは否定できません。専門家からの意見を取り入れることが一番重要だと思います。

──いじめ騒動を振り返って、同じ境遇の親御さんへのアドバイスをお願いします。 大原 加害者側の立場としては「相手がいじめと感じたらそれはいじめで、いじめた方が100パーセント悪いのだから、親も子もきちんと謝罪する」べきと考えますし、被害者側の立場になったときは、いじめた側の相手を責め立ててつぶすのではなく、「子ども同士が仲直りし、元の健全な関係に戻る」ことをゴールに設定しました。成長過程にある子どもの失敗を恥じるのではなく、一緒に解決していこうと常に子どもに語りかけることが解決への一番の早道だと信じています。

──今回の騒動について、当事者であるタケ君はどう感じているのでしょうか? 大原 両保護者や先生方など大人の方が大騒動になってしまった感がありますが、当事者であるタケたちは子ども同士で仲直りができたこともあって、大人ほどには強烈な印象は残ってはいないようです。騒動から7年経った今は、マンガに登場した子ども達のそれぞれの成長について、楽しそうに話してくれることもあります。

──ネット上ではさまざまな反響がありましたが、ご意見をお聞かせください。 大原 いじめ騒動を「ノンフィクション」という形で発表したことで、このマンガを手に取られた方によりリアルな出来事として読んでいただいた結果、賛否両論という形で反響が起こったのだと考えています。架空のキャラクターで同じ内容を描いたのでは、ここまでのお怒りの声も上がらなかったのではないでしょうか。コミックエッセイという形で作品を発表しているので、賛否両論は当然のこととして受け止めています。

いじめ騒動の後、家族で知恵を出し合う環境が整った

──いじめ騒動の前と後で、家族のなかで変わった点はありますか? 大原 いじめ騒動の後で一番大きく変化したことは、子どもたち2人がどんな小さなことでも両親に相談してくれるようになったことです。問題が起こった時に、解決するまでの道筋をオープンにすることで、子どもと共に考える機会に変えられたことは大きかったと感じました。子どもが成長する過程で避けられない様々なトラブルが起きますが、常に家族4人で解決するために知恵を出し合える環境が整ったことはプラスでした。

──これから、「大原さんちシリーズ」で描きたいテーマはありますか? 大原 幼少期とはまた違った問題が噴出する小学校高学年から中学生までの子育てのれこれをまたマンガにしていきたいです。不登校問題にSNSとの関わり方、ゲーム依存など、親世代では馴染みのなかった問題が、子ども達世代ではスタンダードになりつつあります。専門家の意見を乞いながら解決する道筋をまた発表できればと思っています。

──最後に読者へのメッセージをお願いします。 大原 「しんどかったら精神科に行こう」という考えのダンナさんと結婚して21年目となります。困ったときは悩まず専門家に聞く、というスタンスはずっと変わらず今に至ります。そんな他力本願な一家ですが、これからも何卒よろしくお願いいたします。

大原由軌子(おおはら・ゆきこ) 1970年生まれ。長崎県佐世保市出身。美術系短大卒業後、グラフィックデザイナーとして14年間、都内に勤務。2006年、パニック障害+神経症持ちの夫との日々を描いた『 大原さんちのダンナさん このごろ少し神経症 』(小社刊)でデビュー。著書に『 お父さんは神経症 』『 京都ゲイタン物語 』(小社刊)、『大原さんちの2才児をあまくみてました』(主婦の友社)、『大原さんちの食う・寝る・ココロ』(集英社)などがある。2012年より「まぐまぐ!」からメールマガジン「 大原さんちの九州ダイナミック 」を週刊で配信中。 文春コミック 〔2020年11/12(木) 文春オンライン〕 

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神奈川県県立高校で男子高校生が自傷行為 デジタル加工で変形の顔画像、クラスで拡散された男子高校生が自傷行為 読売新聞オンライン 神奈川県教育委員会は11日、県立高校で2018年から続いた男子生徒へのいじめについて、県いじめ防止対策調査会の弁護士らによる調査報告書を公表した。デジタル加工で変形させた顔の画像をクラス内で拡散されるなどし、男子生徒が自身を傷つけ、不登校になっていた状況が明らかになった。

男子生徒の被害は、いじめ防止対策推進法に基づき「重大事態」と認定され、弁護士ら6人でつくる同調査会調査専門部会が詳しく調べた。 報告書によると、当時1年だった男子生徒は18年11月後半以降、SNSに、クラスの他の男子から嫌われている、のけ者にされたといった投稿をされるなどし、自殺を図ろうとした。 19年9月には、アップル社製のスマートフォン「iPhone(アイフォーン)」などでデータを送受信できる無線通信機能「AirDrop(エアドロップ)」を使い、加工した顔画像をクラスメートに拡散された。男子生徒は自傷行為をし、翌10月、精神科医に自宅療養の必要があると診断されて登校できなくなり、今年6月に転校した。 調査専門部会は報告書で、いじめが「学級の人間関係に根ざした多対一の継続的なもの」だったとしたうえで、不登校の原因となった可能性は否定できないと指摘した。 〔2020年11/12(木) 読売新聞オンライン〕 

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ページ名 いじめの件数神奈川県・2019年 神奈川県 (いじめのニュース、 )
昨年度の県内のいじめ認知件数が過去最多
県教育委員会は、昨年度、県内にある公立の小・中・高校と特別支援学校で、いじめを認知した件数が2万8000件を超え、過去最多を更新したと発表しました。
これは県教委が児童・生徒を対象に毎年行っている、問題行動や不登校に関する調査で明らかになりました。
れによりますと、昨年度のいじめの認知件数は前の年度より3139件多い2万8245件で、過去最多だったということです。
内訳は、小学校が2万2782件と全体の8割を占めていて、次いで中学校が5000件余りとなっています。
いじめの内容は「冷やかしやからかい、悪口などを言われた」という回答が目立ったほか、小・中学校では、「パソコンや携帯電話などでひぼう・中傷や嫌なことをされる」というケースが増えているということです。
携帯電話やスマートフォンの普及でSNSを使ったいじめが増えているとみられていて、県教委などは、この結果を重く受け止めて、今後も解消に向けた指導や支援を続けていくとしています。
〔2020年11/12(木) tvkニュース(テレビ神奈川)〕 

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山陽学園中学・高校の卓球部の男性教諭の体罰や暴言 強豪校の卓球部顧問が体罰、暴言 岡山の山陽学園中高 山陽学園中学・高校(岡山市)の卓球部の30代男性教諭が、部員の頭をたたくなどの体罰や暴言を繰り返していたことが12日、同学園への取材で分かった。学園は一時、教諭を顧問から外し、減給処分にした。教諭は「指導の一環だった」と説明しているという。学園の卓球部は、中高ともに全国大会に出場するなど強豪として知られる。 学園によると、教諭は昨年11月までの練習中に複数回、ミスや態度に問題があったとして、部員の頭をたたくなどの体罰を加えたほか、「ばか」や「消えろ」といった暴言を浴びせた。けがをしたり、不登校になったりした部員はいないという。保護者の相談を受け発覚した。 〔2020年11/12(木) 共同通信〕 

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座間9人殺害事件 白石隆浩被告 「昏睡状態の女性をレイプすることが……」すでに7人を殺害した白石被告が犯行をやめなかった理由 座間9人殺害事件 白石被告は、17歳女子高生の「解体した内臓を買い物袋に入れた」 から続く 「『@首吊り士』のコンセプトは、殺してあげるというものです」 2017年に神奈川県座間市で男女9人の遺体が見つかった事件で、強盗、強制性交殺人などで起訴された白石隆浩被告(30)の裁判員裁判が東京地裁立川支部(矢野直邦裁判長)で行われている。

知人に自殺に関するメッセージを送っていたHさん 11月11日は、8人目に殺害されたHさん(当時25、女性)に関する被告人質問が行われた。その中で、白石被告は、同事件でもっとも話題になったと思われる「@首吊り士」のコンセプトについて答えた。一方、Hさんの殺害状況については「覚えていない」を繰り返した。拘置所での筆者との面会時には、「最初の3人以外はあまり覚えていない」と話していたが、同様の発言を繰り返したことになる。 冒頭陳述等によると、Hさんは神奈川県内で両親と兄との4人暮らしをしていた。中学2年生のときにいじめに遭い、不登校になった経験がある。中3のときは欠席も多く、卒業に必要な出席日数ギリギリで卒業した。高校は3年生のときに自主退学。その頃から7年間ほど自宅に引き篭もった。2017年4月、コンビニで働くようになった。しかし、同じ頃、知人に対してLINEで、自殺に関するメッセージを送っている。

「死にたい。疲れた。#自殺募集」 HさんがTwitterを開設したのは2013年10月。2017年10月2日までは、主にゲームに関するツイートが多く、自殺に関連した内容はなかった。しかし、同年10月17日午前1時7分に、「25歳女 神奈川に住んでいます。死にたい。疲れた。#自殺募集」というツイートをする。このツイートを発見した白石被告は、「私がフォローしたか、Hさんがフォローしたかで(DMの)メッセージを送りました」といい、「@終わりにしたい」と、「@首吊り士」の2つのアカウントでやりとりをすることになる。

ちなみに、白石被告は筆者との面会で、「5つのアカウントを使っていた」と話していたが、「@終わりにしたい」はその中に含まれていない。 「昏睡状態の女性をレイプすることに快感を覚えていた」 @終わりにしたい はじめまして。私も神奈川県に住んでいます。一緒に死にませんか? Hさん はじめまして。私も死にたいです。 @終わりにしたい 自殺をするとしたら方法はどんなものがいいですか? Hさん できるだけ苦しまない方法で。 @終わりにしたい 薬を飲んで、首をつって、意識を飛ばす方法はどうでしょうか?

白石被告は、これまで同様、心中目的で女性を探していたわけではない。「お金を引っ張れるか。引っ張れないならば、失神後にレイプして殺害し、所持金を奪う」(検察官や裁判官への回答)ことを目的としていた。ちなみに、すでに7人を殺害していることから、「こうした犯行をやめようと思わなかったのか」と検察官に聞かれて、こう答えている。

「当時のことを正直に話すと、昏睡状態の女性をレイプすることに快感を覚えていましたので、やめようとは思いませんでした」 そのため、Hさんに会うまでに、遺体を解体するために使っていた「猫砂」やストッカー、ハサミ、ナイロンロープなどを追加購入している。ナイロンロープは12メートルのものを購入した。「どうして12メートルを購入したのか?」と聞かれて、白石被告は、「このとき、TwitterのDMでやりとりをしている人が3、4人いたため、必要な分として購入しました。たしか、3~4メートルに区切って購入していたはずです」と述べた。 「一人暮らしではないので、私の部屋は無理です」 白石被告とHさんのやりとりは深夜であったが、このやりとりの途中で朝になった。Hさんは「そしてまた朝が来た。寝たまま死ねたらいいのに」とツイートをしている。そして、再び、白石被告とHさんのやりとりが始まる。

@終わりにしたい 病院を回って、薬を大量に手に入れました。よろしければご一緒に。 Hさん 死にたいです。 @終わりにしたい いつごろ? Hさん 何日でも大丈夫です。 @終わりにしたい 明日はどうでしょうか? Hさん 18時以降から大丈夫です。 @終わりにしたい 場所はどこが希望ですか? 山や森、部屋がありますが。 Hさん 部屋がいいですね。 @終わりにしたい Hさんの部屋と、私の部屋と、どちらがいいですか? Hさん 一人暮らしではないので、私の部屋は無理です。

自殺場所としてなぜ山や森を選択肢にあげたのか 白石被告の、これまでの犯行手順としては、白石被告のアパートに連れてくるのが第一歩だ。しかし、DMでは、自分のアパートのほか、山や森を選択肢にあげていた。「これは、なぜか?」と検察官が聞くと、「最初から自分の部屋だけの選択肢ですと、選択の幅が狭い。そのため、相手の女性が『家に来たくない』と思ったら、連絡が途絶えてしまうかもしれないからです」と答えた。 案の定、Hさんは、自分から「部屋がいいです」「私の部屋は無理です」と答え、白石被告のアパートに来るように誘導された。そして、待ち合わせをすることになる。

@終わりにしたい 失礼しました。では、相模大野駅で待ち合わせでどうでしょうか? Hさん はい。行ったことないですが、大丈夫です。 @終わりにしたい 18時以降の待ち合わせでどうしょうか? 「@首吊り士」と「@終わりにしたい」の人格の違い 白石被告は、Hさんに会うまでに、「@首吊り士」でもやりとりしている。

@首吊り士 フォローありがとうございます。自殺を考えているんですか? Hさん はじめまして、死にたいです。 @首吊り士 今日、これからはどうでしょうか? Hさん 今日はちょっと。 @首吊り士 明日以降は? 本当に辛いなら、未遂にならないようにサポートしています。

どうして、「@首吊り士」でもメッセージを送ったのだろうか。 「『@終わりにしたい』のアカウントは、自殺願望か、一緒に死にたいことをツイートするのがコンセプトでした。一方、『@首吊り士』のコンセプトは、殺してあげるというものです。『@終わりにしたい』では、Hさんからの返信が途絶えそうだったからです。『@首吊り士』のコンセプトのほうがいいのか?と思ったんです」 手足をバタバタと……法廷で明かされた8人目の被害者、25歳女性へのおぞましい犯行 へ続く 渋井 哲也 〔2020年11/12(木) 文春オンライン〕 

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「小1プロブレム」 急増する小学校での暴力の背景にある、幼児期の「母親との距離」 <小学校から始まる厳格な集団生活に馴染めない子どもが、2010年代に入って目立って増えている> 近年、小1児童の学校生活への不適応「小1プロブレム」が問題になっている PetrBonek/iStock. 学校で荒れる子どもは、いつの時代も教師の悩みの種だ。2019年度の小・中・高校における暴力行為の発生件数は7万8787件となっている。学校がある日を10カ月(300日)とすると、全国で1日あたり263件も起きていることになる。

【グラフ】2013年度以降、全国の小学校で急増する暴力行為 だが昔はもっとひどかった。全国的に校内暴力の嵐が吹き荒れたのは1980年代初頭、『3年B組金八先生』(TBS系列)が放映されていた頃だ。暴力行為は長期統計がないので変化を可視化できないが、当時に比べれば近年だいぶ沈静化しているのは確かだ。非行少年の数がピークの1983年と比べて4分の1に減っていることからも、それはうかがえる。よく言われるが、今の子どもは「大人しい」のだ。 だが最近の統計を見ていて気になることがある。<図1>は、近年の暴力行為発生件数の推移を校種別に見たものだ。

<図1> 少し前は反抗期の中学生の暴力沙汰が際立って多く、次は高校生だった。しかし2013年に小学校が高校を上回り、2018年には中学校も抜いている。ここ数年、中高生の暴力行為は減っているが、小学生だけは増えていて、「暴力の低年齢化」としてメディアでも報じられた。 第2次反抗期の早期化により、高学年児童の暴力が増えていると思われるかもしれない。だが暴力行為の増加率が大きいのは低学年だ。<図1>によると小学生の暴力は2014年度から急増しているが、2014年度と2019年度を比べると、小学校2年生の暴力行為は5.0倍、1年生では6.6倍に増えている。相手に怪我をさせたケンカや、教室内の器物損壊などが多いとみられる。

<最近、学校関係者で話題になっているのは「小1プロブレム」> 近年、小1児童の学校生活への不適応が問題になっている。東京都教育委員会の実態調査の定義によると、「入学後の落ち着かない状態がいつまでも解消されず、教師の話を聞かない、指示通りに行動しない、勝手に授業中に教室の中を立ち歩いたり教室から出て行ったりするなど、授業規律が成立しない状態へと拡大し、こうした状態が数カ月にわたって継続する状態」で、関係者の間では「小1プロブレム」として知られている。小学生、とりわけ低学年の暴力増加は、この問題と関連しているとみていい。 小学校1年生は幼児期の生活の影響を留めているが、就学前の過ごし方に変化が起きている可能性がある。ベネッセ教育総合研究所は、就学前の乳幼児の遊び相手を5年間隔で調査している。9つの選択肢から該当するものを全て選んでもらう形式だが、「母親」と「友だち」の選択率に大きな変化がみられる<図2>。

<図2> この20年間で「友だち」が減り、「母親」が増えている。1995年では同じくらいの選択率だったが、その後どんどん乖離している。幼児は外で友達と遊ばなくなり、母親の庇護下に置かれるようになっている。子どもを狙った犯罪が多発しているので、子を外に出さない親が増えている、あるいは早期から塾や習い事に通う子が増えているためかもしれない。

小学校に上がるとタイトな集団生活が始まるが、同輩集団(peer group)で群れた経験に乏しい子どもがいきなりそこに放り込まれたら、諸々の不適応が起きても不思議ではない。幼児は庇護されるべき存在だが、大人が適度に見守りつつ、彼らだけの世界も尊重されなければならない。対等な仲間集団で欲求をぶつけ合い、それを調整する術を学ぶことで、他者との社会生活が営める社会的存在としての自我が育つ。 保育所・幼稚園と小学校の落差を緩やかにする必要もある。勉強のスタイルをとっても、前者では遊びを通した総合的な教育だが、後者では机に座って教科書を開く教科教育が中心となる。6歳の幼児が、そうした大きな変化についていくのはなかなか難しい。小学校低学年では、生活科を要とした「スタートカリキュラム」を組むことが推奨されている(新学習指導要領)。

年少児童の暴力増加は、幼児期の生活、さらには幼保と小学校の接続の在り方の問題と絡めて議論しなければならないだろう。 <資料:文科省『児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査』、 ベネッセ教育総合研究所『第5回・幼児の生活アンケート』(2016年)> 舞田敏彦(教育社会学者) 〔2020年11/12(木) ニューズウィーク日本版〕 

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新型コロナ、いじめや差別を防ぐ取り組み 身近な人が新型コロナに感染したら。いじめや差別を防ぐ取り組み 新型コロナウイルスに感染してしまったお子さんがいるご家庭や、感染を心配している多くのご家庭では、コロナ禍による差別や偏見が、いじめにつながることを不安に思っているのではないでしょうか。近年、いじめの件数も増加していますから、新型コロナの影響が及ばないよう、特段の注意が必要です。文科省も、学校での取り組みを促す教材を公開しています。

差別や偏見をなくす動画を公開 文科省は、新型コロナの不安から陥りやすい差別や偏見を防ぐためのプロジェクトを発足させました。授業で使える動画を公開し、授業に活用できる教材や、保護者向けのお便りのセットを、学校の申し込みに応じて、配布する予定です。 動画は、すでにYouTube(ユーチューブ)で公開されています。感染した身近な人に対して「最悪だわぁ、アイツ、めっちゃ近所に住んでるんだけど……」「あの学校の近くに行っちゃダメよ」など、感染への不安から陥りやすい中傷の言葉は、自分たちも口にしてはいないか、SNSなどで発信していないか、ドキッとさせられます。

「病気」「不安」「差別」考えさせ 動画は、新型コロナを「病気」「不安」「差別」という三つの側面から捉え、その連鎖を断ち切る方法は何かを、子どもたちに考えさせる、という流れで作られています。視聴後、感染した人や、感染者と関わる人と、どのように接するべきかを、ワークシートなどを使って学びます。 もとになった「感染症の三つの側面」という考え方は、日本赤十字社が今年3月から発信してきた内容です。これに基づき、文科省も、休校中や学校再開後を通して通知を出してきました。しかし、現場は忙しく、なかなか教材化までは手が回りません。今回は、道徳やホームルームの時間に活用しやすい教材と、保護者便りやポスターもセットにして、学校全体で取り組めるようにしたのがポイントです。

思わず人を傷付けないよう 新型コロナに関連した、学校でのトラブルを防ぐ取り組みは、近年増加しているいじめの認知件数から見ても、重要なことです。 2019度の学校におけるいじめの認知件数は、61万2496件と、初めて60万件を超えました。特に小学校では48万4545件と、14年度の12万2734件と比較して、約4倍に増加しています。ただし、これには学校が積極的にいじめを認知しようと努力した結果が表れた、という側面があり、認知後の対応が重要になります。

どのようないじめが多いのかを見ると、「冷やかしやからかい、悪口や脅し文句、嫌なことを言われる」が小学校で61.0%、中学校で66.4%、「軽くぶつかられたり、遊ぶふりをして叩(たた)かれたり、蹴られたりする」が小学校で23.6%、中学校で13.7%、「仲間はずれ、集団による無視をされる」が小学校で13.9%、中学校で12.4%となっています。 まとめ & 実践 TIPS 新型コロナウイルスに感染しないよう、子どもたちに注意を促し、家族で防止策を取ることは大切です。しかし、不安が行き過ぎると、思わぬところで人を傷つけてしまうことにつながります。実際の疾病だけではない、感染症がもたらす影響を、一人ひとりが考えることが必要です。コロナが、いじめや不登校につながらないよう、学校だけでなく、家庭や社会全体で対応していく必要もあるでしょう。 (筆者:長尾康子)

出典 ※文部科学省 新型コロナウイルス感染症に関する差別・偏見の防止に向けて https://www.mext.go.jp/a_menu/coronavirus/mext_00122.html ※文部科学省 令和元年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について https://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/mext_00351.html

プロフィール 長尾康子 東京生まれ。1995年中央大学文学研究科修了。大手学習塾で保育雑誌の編集者、教育専門紙「日本教育新聞」記者を経て、2001年よりフリー。教育系サイト、教師用雑誌を中心にした記事執筆、書籍編集を手がける。 〔2020年11/12(木) ベネッセ 教育情報サイト〕 

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コロナでストレス抱える子供たち 絵本で伝えたい”命の大切さ”新型コロナでストレス抱える子供たち「ぼくって必要とされてないのかな?」 新型コロナウイルスの影響で不安やストレスを感じる子供たちが増えていると言われています。 大阪の小学校で、絵本を通じて子どもたちに命の大切さを考えてもらう特別授業が行われました。 (絵本の読み聞かせ) 「ぼく、だんだん気が付いちゃったの、みんながどんなにすごいのか、ぼくがだめなのか。ぼくなんか、いてもいなくてもいいみたい。もう誰もいないところに消えていってしまいたい」 絵本の読み聞かせに真剣に耳を傾けているのは、大阪府の門真小学校の5年生です。

主人公のホシガラス「カーくん」が周りと比べて自分には価値がないと思い悩みますが、仲間の鳥たちから自分の良さを教えてもらうことで元気を取り戻していく物語です。 (絵本の読み聞かせ) 「うちのお母さんが言ってたわ。カーくんは木の実を割っては中の種を食べているでしょう。そして森のあっちこっちに種を運んでためておくよね。その種がいつの間にか芽を出し、若木になって森を作ってくれてるというわけ。カーくんは知らない間に森に新しい命を与えていたというのです」

読み聞かせたのは、絵本作家の夢ら丘実果さん。 13年前から全国を周って、命の大切さを伝えています。 「いのち支える自殺対策推進センター」によると、今年8月、中高生の自殺者の数が過去5年間で最多の58件となりました。 この学校では、新型コロナウイルスの休校明けに不安やストレスで不登校になったり、体調不良を訴えたりする児童がいました。

夢ら丘さんは絵本から覚えておいてほしいことがあるといいます。

【絵本作家・夢ら丘実果さん】 「自分は知らないで勝手に自分はだめだ、汚いと思い込んでいただけなんですね。皆さんもカー君にいいところがあって、周りのお友達にもそれぞれいいところがあったように、みんなにもいいところがあるんです」

夢ら丘さんは新型コロナウイルスの影響で子供たちが問題を抱えている今、小学生のうちから不安やストレスに対処する方法を学ぶことが重要だと話しました。

――Q:授業を受けて 【男の子】 「”僕って必要とされてないのかな”ってちょっとだけ思ったことがある。ママが『どうしたん?』って気づいてくれて話した。 ちょっとすっきりした」 【男の子】 「たまに一人で抱え込むけど、友達やお母さんが声をかけてくれるから大丈夫」

――Q:不安なことがあればこれからどうする? 【女の子】 「お母さんに相談したり、友達、おばあちゃんに相談して悩みを解決しようかな」 新型コロナウイルスの不安が続く今だからこそ、夢ら丘さんは思い悩んだ時には早く誰かに相談してほしいと呼びかけました。 関西テレビ 〔2020年11/12(木) 関西テレビ〕 

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40歳女性の悲痛 「引きこもらされている」40歳女性の悲痛、食べ物を取りに行くのもつらい… 引きこもり状態にある本人から、助けを求める1通のメールが筆者の元に届いた。「食べ物を玄関に取りに行くのもつらい」「死ぬのが怖い」と語るその人は、「引きこもらされている」といえる状況に陥っていた。悲痛な叫びと、その実態を知っていただきたい。(ジャーナリスト 池上正樹)

●「至急たすけてください」 筆者に届いた1通のメール 筆者の元には毎日、引きこもり状態にある本人や家族などから、記事の感想などのメールが届く。中には長々とつづられた文面もあり、すべての送信者に返信できる余裕はないものの、緊急性が高いと思われる相手には優先的に状況を聞くようにしている。 「至急たすけてください。身寄りがなく天涯孤独で死にそうなのですが、行政などまったく対応してくれません」 男性の名前で送られてきた、そんな短い1文が気になり、「どうされましたか?」と返信してみた。 メールの送信者は、千葉県在住のA子さん(40歳)であることが分かった。メールの名義は、4年前に自殺した父親の名前だという。

A子さんは、母親も昨年、難病で亡くした。重度の強迫性障害、身体表現性障害、うつ病などを患い、パニック障害があるために外に出たくても外出することができない。婚約者がいたものの、突然アパートを出ていってしまい、その後連絡は一切取れないという。 「食べ物だけは、父親が生きていた時の父親のお知り合いの方が送ってくれていますが、もう玄関に取りに行くのもつらいです」 「本当は精神科のほかに歯科、婦人科、皮膚科、眼科なども通わなくてはなりませんが、誰も連れてってくれません。移動手段がなく、パニック障害で、自力で行くことはできません」 「市役所もどこも助けてくれません」 すでに2カ月以上一歩も外に出ていない状態で、知り合いも友人もいないというA子さん。食べ物を送ってくれるという父親の知り合いとも面識はないらしい。

『「天涯孤独」で調べたら、記事と池上様のメールアドレスが出てきました。私の父親も自殺していますし、死ぬのが怖いです』 筆者は、食べる物や暖房は行き届いているか?役所はどこの部署に相談したかなどをメールで彼女に聞いてみた。 「食料は、Bさん(注:父親の知り合い)に言わないと送ってもらえません。暖房はエアコンがありますが、日当たりが全くなく、とても寒いです。役所は、障害福祉課、社会福祉課です。中核支援センターという所にも言いましたが、何もしてくれません」 「日に日に衰弱してきて、死ぬことばかり想像してしまい怖いです」 筆者は、彼女が教えてくれた携帯電話の番号に電話して話を聞いた。 「元々ヘルパーさんが来てくれていたんですが、高齢の母親の介護で手が離せなくなったといって断られてから、誰もいない状態が続いています。洗濯物ができず、シャワーを浴びていないので、体中がかゆくて…」 A子さんは、ヘルパーが来なくなり、怖くなった。ネットを検索して、必死にたどり着いたのが、筆者の「孤独死」の記事だった。 「私と、おんなじじゃんって、思えたんです」

●「帰ったら暴れるからね」と脅された 母親から受けた虐待の数々 A子さんは16歳くらいまで、母親からせっかんや虐待を受けてきた。 「母はかんしゃく持ちで、子供が思い通りにならないと、首を絞める、殴る蹴る、包丁を突き付ける、外に出すなどの暴力を振るいました」 A子さんが印象に残っているのは、一緒に外出した時に物をねだったときのことだ。周りの目を気にした母親から「帰ったら暴れるからね」と脅され、帰宅すると本当に家の中で暴れたのだ。 小学校から帰宅すると、母親は給食の献立表を見ながら「これは食べたの?」と、1つ1つ聞いてくる。ウソがつけなかったA子さんは、「残しました」と正直に答えると、暴力を振るわれた。小学3年生のとき、拒食症になって入院し、体重は18kgまで落ちた。 中学に入った頃から、風呂に入ると体が擦り切れるくらいに洗った。朝の身支度も3時間くらいかかるようになった。毎日、教科書やノートの忘れ物がないか、何度も確認しないと安心できず、睡眠時間は3時間ほどに減少。学校から帰ると下痢をした。

パニック障害の発作が出るようになったのは、中学2年生の頃。A子さんは、教室に座っていられなくなり、さらに電車やバスにも乗れなくなって、不登校になった。中学3年生のときに登校したのは2週間くらいで、周囲から問題児扱いされた。 この頃、A子さんは歯を磨き過ぎて歯のエナメル質が溶け出し、毎日、歯痛に悩まされた。薬を飲み、パニック障害の発作を起こしながら歯科医院に通院し、すべての歯が差し歯になった。 23歳のとき、両親が離婚。家も自己破産し、母親が難病になったのをきっかけに、A子さんは生活保護受給者になった。 この間、親に迷惑をかけたくないからと婚活を始めるものの、結婚詐欺に遭い、父親にかなりの負担をかけてしまったこともあったという。

●「生活保護費を渡していますし」 ケースワーカーはそれだけが仕事なのか 「(生活保護の)ケースワーカーに相談しても放置されている」と彼女から聞いた筆者は、市役所の生活困窮者自立支援法の相談窓口に電話して、自力で生きていけない状況を伝えるようアドバイスした。A子さんは、うまく説明できる自信がないというので、LINEの3者通話の状態で電話してもらった。 「今はどういう状況なのかな?」 「生活ができない状況です」 「お仕事は?」 「ヘルパーが来なくなって、親もいなくて、食べ物もお金もなくて」 「生活保護を受けているけど、食べ物がない?」「お名前、聞いちゃダメ?」 その後も相談窓口の職員の責めるような口調に、A子さんは泣き出し、筆者が代わった。 「誰?」「申し訳ないけど、今お話しされてもまったく分からないので」「そうしたら、いったん担当者(ケースワーカー)に僕から話してもいいですか?」 電話口でそう話した職員は、3者通話を切った後すぐ筆者の元に電話をかけてきて、こう説明した。 「生活保護受給者は生活保護法に縛られてしまうので、生活困窮者自立支援法の対象外になる。うまく機能してないということを、彼女は言いたいのだと思います」

そして、電話の相手は担当のケースワーカーに代わった。 「こちら側には、その方から連絡はないです。本人から、そういう要望があれば検討しますので、本人に電話するようにお話ししてください」 翌日A子さんは、ケースワーカーから「われわれは何をしに行くんですか?保護費も渡していますし」と言われたという。 ケースワーカーは、1人当たり約80世帯の担当を任される過酷な労働状況に置かれているという問題がある。この担当者は、90世帯も任されているそうで、今の余裕のない労働 環境では、ケースワークする時間もモチベーションも持てないだろう。 しかし、ケースワーカーは保護費を渡すだけが仕事なのか。生活困窮者自立支援法には、関係性の困窮を防いで命を救うという崇高な理念が込められている。にもかかわらず、自力で生きられない生活保護受給者をサポートできないのであれば、国の理念は機能していないということになるのではないか。

●「引きこもらされている」とすれば それは福祉行政の責任放棄 ある自治体の生活困窮者自立支援相談員は、自力で外に出られない状態の人が、公的な支援を受けられずに「引きこもらされている」という実態があるとすれば、「福祉行政のネグレクト(責任放棄)」だと指摘する。 生活保護受給者がどういうことに困っているのか。ヘルパーが来なくなった理由は何なのか。本人が体感している困難に寄り添って、どう生きていけばいいのかを一緒に考えることも必要だと思う。 これではケースワーカーは頼りにならないと思い、筆者は仕事の合間にレンタカーを借り、都内からアクアラインを渡って房総半島にある彼女の自宅まで、おにぎりなどの食糧や冬物などの服を届けに行った。

筆者が本人に会いに行った日の夕方、担当ケースワーカーをはじめ、市の障害福祉課、県の中核地域生活支援センターの担当者も彼女の自宅にやって来た。A子さんは昼夜が逆転していて誰も頼れる人がなく、1人で買い物や医療にも行けない状態であることから、急きょ、彼女の自宅で話し合いが持たれた。その結果、今後は夕方の時間帯から来てくれる生活介護のヘルパーを探してもらうことになった。 A子さんは言う。 「なぜ、弱者や生活に困っている人を見て見ぬふりをすることができるのか。役所にとって面倒な存在なので、わざと放っておいて死ぬのを待っているような気すらしてきます」 話し合いから6日たった11月12日現在、A子さんからヘルパーが見つかったという連絡はまだない。         ◇ ※この記事や引きこもり問題に関する情報や感想をお持ちの方、また、「こういうきっかけが欲しい」「こういう情報を知りたい」「こんなことを取材してほしい」といったリクエストがあれば、下記までお寄せください。 Otonahiki@gmail.com(送信の際は「@」を半角の「@」に変換してお送りください) なお、毎日、当事者の方を中心に数多くのメールを頂いています。本業の合間に返信させて頂くことが難しい状況になっておりますが、メールにはすべて目を通させて頂いています。また、いきなり記事の感想を書かれる方もいらっしゃるのですが、どの記事を読んでの感想なのか、タイトルも明記してくださると助かります。 池上正樹 〔2020年11/13(金) ダイヤモンド・オンライン〕 


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飽きる勇気 大草直子さんに学ぶ、アフターコロナの時代を生き抜くための「飽きる勇気」 アラフォーを過ぎると、いつまでもキラキラしている人と、人生色々あきらめちゃってる人が、どんどん2極化して行く。そのふたつを分けるものは何なのだろう? 私はずっと前から、それについて考えていた。

講談社から発売される書籍『飽きる勇気 好きな2割にフォーカスする生き方』を書いた大草直子さんは、言うまでもなく前者。初めてお会いしたとき、講談社の廊下でめちゃくちゃおしゃれな女性が歩いてくると思ったら大草直子さんだったことを、今も覚えている。絶妙な淡いトーンのワードローブで統一したコーディネートは、これみよがしではないのに、はっとするほどシックで素敵。それこそ、キラッキラに見えたのだ。 「そりゃあそうでしょ。売れっ子スタイリストでかっこいい外国人の夫に、可愛い子供たちが居て、素敵なおうちに住んで……。そんな満たされた生活が送れるなら誰だってキラキラするわ!」と思う?  ―実は私も、この本を読むまではちょっとそう思っていた。大草さんって、ハリウッドセレブで言えばあのグウィネス・パルトロウばりに、何をしてもおしゃれで、みんなが羨むものをなんでも持っている〝リア充〟アラフィフ・セレブなんだもの。ひとつしか年齢が違わないのに、私とは差があり過ぎる。

だけどこの本を読んでわかった。 彼女は何かを「持っているから」キラキラしているんじゃない。40を過ぎても尚、守りに入らず、もう必要なくなったものは「持たない勇気」があるからこそ、輝いて見えるのだ。 個人的には、本に書かれた大草さんの経歴は私とかなり重なる部分が多くて共感しかなかった。・元々引っ込み思案で、・小学生時代不登校になり(私は中学時代だったけど)、・そこからひたすら読書に現実逃避。中学生時代にはすでに編集者になりたいという夢を抱き、だけど取り柄のない自分が嫌で……。

憧れのヴァンテーヌ編集部を5年であっさり辞めてサルサダンス留学したり、まだ幼い長女を連れて20代でシングルマザーになる決意をしたり。そんなところも、出版社を5年で辞めてフリーライターになり、40目前でバツイチになった私となんだか重なっていて 勝手に親近感を抱いた。でもここからが大草さんの「人とは違うところ」。 「どうしてもファッションエディターになりたい、しかもアシェット婦人画報社で、ヴァンテーヌ編集部で!」。その願いを叶えるために、今まで個人競技派だった大草さんが編集に必要なチームプレイを覚えるため、大学時代からは部活も変えたという話も、「目標から逆算して動く」がモットーの彼女らしい。 そしてヴァンテーヌのためなら就職浪人とも厭わない、とわざと単位を落とすと決めたその瞬間に、奇跡のようなラッキーが起きて、一度は採用試験に落ちたヴァンテーヌ編集部で働くようになる。

恐らく、人生後半が上手く行っているように見える人というのは、こうやって「自分が本当に欲しいもの」にフォーカスできる人。欲しいもののためならあとは躊躇なく捨てることができる。そう肚を決めた人に、チャンスは訪れるものなのだ。いや、もしかしたら逆かも。ほかを捨てて身軽になったから、訪れたチャンスに飛びつくことができる、ということなのかもしれない。 大草さんの人生は、結婚もキャリアも、飽きてしまってその作業を流すようになる前に場所ややり方を変える、という生き方によって構築されて来た。 「飽きてしまったものに100%の力を注げないし、飽きてしまったところには進化などない」と言い切る彼女。

mi-molletを立ち上げて軌道に乗せたあと、3年で編集長を辞めたのも、「飽きた」からではないけれど、「自分の役目はここまで」と潔く見定めることができたから。 「ワクワクする、楽しいと思うことだけにフォーカスする」、「あとの8割は捨てる」、「キャリアステージは年齢によって3つのステージに分ける」、「仕事を引き受ける基準は自分が面白いと思うかどうか」、などなど。大草さんと言えばファッション哲学のコラムも含蓄があるが、その生き方、結婚、キャリア。すべてにおいてご自分の流儀を持つ、「スタイルがある女」だということが、この本を読むとよくわかる。 「おしゃれは選択の積み重ね」だけど、人生もまた然りで、その選択を誰よりも慎重かつ大胆に行ってきたから、今の「大草直子」がある。

そして話は、冒頭の「捨てる勇気」に戻る。 大草さんは「空いたスペース」に運が転がり込むと書いているけれど、これは私も、特に仕事で実感していること。 不思議なんだけど、もうワクワクしなくなった、惰性で続けている仕事や人間関係を思い切って手放すと、本当にいつも、新しいものが入ってくる。だから私は連載が打ち切りになっても不安になったことがない。その度に必ず新しい連載がスタートするし、きっとその新たなもののスペースを空けるために、神様が古い縁を切ってくれたのだと思うようにしている。恋愛も然り。

スヌーピーに出てくるライナスの「安心毛布」みたいに、慣れ親しんだものを手放すのは怖いけれど、私は、生きている間に自分の可能性を最大限に試して、発揮したい。それにはある程度の、やったことがないことや環境による「圧」が、必要なんじゃないかな。 この「捨てる勇気」を持つには、自分の基準=自分軸を持たなければならない。仕事や家庭、人生の岐路で、世間体やパートナーや家族の意見ではなく、自分だけの物差しで、今の自分に要るもの、要らないものをふるい分ける必要がある。そしてそれには自分の決断に自信を持たなくてはならないので、自己信頼が欠かせなくなってくる。 ここまで読んで「安定ってそんなにいけないことなの?」と疑問を感じたあなた。安定はもちろん大事。問題なのは、自分の心の声を無視して、周りに流されるままに生きることなのだ。

周りと比べて「普通」じゃない自分に劣等感を抱く人は多いけれど、そもそも普通なんてない。令和の世の中、幸せの価値観もボーダーレス。自分だけの価値観で、それが満たされる選択ができれば、それでいいではないか。 人生100年時代。自分に退屈しないで今後数十年間を生きるためには、まずは自分をワクワクさせること。そして、ワクワクし続けているひとは、いつまでも楽しそうで魅力的だ。 2020年12月から始まる「風の時代」には、今までの価値観が通用しなくなると言われている。アフターコロナ、そして風の時代を生き抜くのはきっと、大草さんのような軽やかな生き方ができるひと。そのためのヒントが詰まった一冊は、キャリアや結婚に迷ったとき、たくさんのインスピレーションをくれるはずだ。

webマガジン mi-mollet mi-mollet(ミモレ) 『飽きる勇気 好きな2割にフォーカスする生き方』 発売日:2020年11月13日予定 定価:本体1300円(税別) サイズ:四六判 208ページ

飽きることも、変わることも、 自分を愛することも、全部わがままじゃない。

商品開発やイベント出演のオファーが絶えない人気スタイリストで、ブランドコンサルタントとしても活躍する、⼤草直⼦ミモレコンセプトディレクター。時代の転換点を⾒据え「変化することを恐れない軽やかな⽣き⽅」のコツを指南します。 「今の仕事・生き方でいいのかモヤモヤしている」「いつも人と比べてしまう」「子育てに自信がない」など人生に悩むすべての人がラクに生きられるヒントが満載の一冊です。

構成/幸山梨奈 さかい もゆる 大草直子の最新刊『飽きる勇気』ができるまで 〔2020年11/13(金) webマガジン mi-mollet〕 

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ひとり親 ひとり親、悪戦苦闘の日々…「肩の力がすっと抜けた」きっかけは 復刻連載・夫婦でいる理由(わけ)<11> イメージ(本文と直接関係ありません) 「子どものため」が、唯一の「夫婦でいる理由」になっている人も少なくない。その裏側には「両親そろった家庭の方が、ひとり親の子より幸せだ」という固定観念が見え隠れする。 【画像】産後クライシス「出産後何となく」セックスレスに… 1999年3月末、ひとり親家庭の自助グループの結成総会が九州の地方都市で開かれた。その中で行われたミニシンポジウムでも、パネリストから、ひとり親ならではの子育ての悩みが打ち明けられた。     ×   × 「私はバツ2。2人いる子の父親は別々です。長男は11歳。そろそろ事情を知っていい時期ですね。でも、子どもが動揺しないように、きちんと説明できるか、不安です。二度裏切られたことで自己評価が下がってるんです。自信がない」(Kさん) 「離婚後、長男は不登校になりました。『母子家庭だから』と思われたくない一心で、息子を無理やり登校させようとしました。それでいっそう苦しめた。世間から同情されることはあっても、ひとり親の身になって手を貸してくれる人なんかいなかった。一人で抱え込んでました」(Sさん)

悪戦苦闘の日々。だが、2人の言葉に不思議と悲愴感は感じられなかった。明るい表情でいられるのには、共通の理由があった。 「苦しんでいたとき、自助グループの準備会を通じて、悩みや不安をぶつけても受け止めてくれる仲間を持つことができました。ぶちまけた後は肩の力がすっと抜けて、自分を見つめる余裕が出てきた。考え方も変わりました」 Kさんの場合、「2度の結婚生活の中でも、それぞれに幸せな時期はあった。子どもができるまで、夫婦の間に愛情があったのは確かです。2人の子は祝福されて生まれてきた。そのことをありのまま伝えよう。そうすれば、子どもも安心してくれると思います」。 Sさんの場合、「少し距離を置いて子どもを見られるようになりました。すると突然、息子が『おれの人生は一味違うね』って笑ったんです。私たち親子は不器用な生き方しかできないけど、それもいい。気を楽にして子どもと接していくうちに、親子関係も少しだけよくなりました」。

約30人が参加した結成総会では「もっと輪を広げよう」「福祉の向上を目指して活動しよう」など前向きの発言が相次いだ。初めての集いは盛会に終わった。 シンポの司会を務めた父子家庭の父親は、こう話していた。「そばにいても相談相手にすらならない夫や妻と過ごすより、同じ境遇の者同士の方が分かりあえるし、安らげる。要は、どちらが豊かな人間関係か、ということ。それが子育てにも影響してくるんじゃないでしょうか」 この記事は1999年4月14日付で、文中の年齢、肩書、名称などの情報はすべて掲載当時のものです。     ◇    ◇ 21世紀に入って20年が過ぎた。この間、女性の社会進出が進み、男女の関係も変化したように見える。では、夫婦のカタチは…。1999年の連載「夫婦でいる理由(わけ)」を読み返してみると、その答えが見えてくる。 〔2020年11/10(火) 西日本新聞〕 

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コーチング 不登校の子どもに最もしてはいけないことをしていた…体験者に学ぶ声掛けと接し方 不登校の子どもにはどうコーチングする?[やる気を引き出すコーチング]

私のコーチング講座に、時々、「子どもが不登校で」とおっしゃる保護者のかたが参加されます。「こういう子にコーチングではどうするのですか?」、「実際、コーチングで解決できるのでしょうか?」と聞かれ、いろいろ思い悩んで、藁をもすがる気持ちでいらしたことが伝わってきます。 今回は、以前、私の講座に参加されたNさんのお話をぜひ、ご紹介したいと思います。

子どもが安心できる「環境」を作る Nさんには、かつて、不登校を経験した二人の娘さんがいらっしゃいます。長女は中学2年生から、次女は小学4年生から不登校になったそうです。講座終了後、Nさんは、私にこんなお話をしてくださいました。

「今日、石川さんのお話を聴いて、長女の時は、最もやってはいけないことをやっていたんだと思いました。『学校に行きなさい!』、『自分の弱い心に負けるな!』と引きずるようにして、学校に行かせようとしたこともありました。長女には、ずいぶん辛い想いをさせたと思います。次女の時は、コーチングだったように思います。今日、あらためて気づきました」

「そうでしたか、そんな体験をされたのですね。次女さんの時はどのように関わられたのですか?」 「長女の時の反省をふまえて、学校に行くことは強要しませんでした、『無理して行く必要はないよ』と伝えました。学校に行かないことを否定されず、行かなくても愛されていると実感できる場を作ることに力を入れました。子どもが安心感を得られる家庭環境を作ること。これは本当に大事だなと思います」

「心配」するより「信頼」する 「どのように、その環境を作られたのですか?」 「子どもは、ものすごく親の気持ちを察知する力を持っています。『学校に行かないなんてダメじゃないか』、『どうして、お前はそうなってしまったんだ?』といった否定的な感情をこちらが持っていると、敏感に察します。たちまち、心を閉ざしてしまうか、体調不良を訴えてきます。自分がどんな気持ちで、子どもを見ているかをいつもふりかえり、心配するよりも信頼することにしました。親の心の環境設定が、難しいですけど、一番大切ですね。本人も学校に行かないことに、どこか後ろめたいものを感じていたと思います。こちらが責めたり、問題として扱ったりすることはやめようと思いました」 「それは、まさに今日、私がお伝えしたことですね!」 「はい!そうなんです!」

「受けとめる」効果 Nさんのお話は、私に代わって講演をしていただきたいと思うぐらい、感動的なものでした。 「今、娘さんたちは、どうされていますか?」 「二人とも、立派に社会人になりました。長女は、今では、三人の子どもの母親です。実際、高校を卒業するまでには、他の同級生より3年遅れましたが、そんなことは、社会に出てしまえば、どうということはない話でした。次女は、結局、中学校にも行きませんでしたが、通信制の高校に入り、最終的に、自分で試験を受けて、公務員になりました」 「それは、すごいですね!ご自分で勉強されたのですか?」 「中学校までは、家では、学校の勉強はしませんでした。それでも、テレビやインターネットから、様々な情報を自分で吸収していましたし、ゲームの攻略本を読むために、読めない漢字の調べ方を自分で覚えました。本人が『やりたい』と思うことには、一生懸命取り組めるようです。私たちは、それを否定せず、受けとめ続けました。正直、ずっと、テレビを見ていたり、ゲームをしていたりする姿を見ると、どうかという気持ちはありましたが、まず、本人の意思を尊重して、受けとめるようにしました」 「すばらしいですね!」 「ありがとうございます。不登校で悩んでいる親御さんにぜひ!コーチングを伝えていきたいです」

私のほうが大いに感動し、励まされた出会いでした。実際の実践事例には、どんなマニュアル本よりも学ぶものがあります。 (筆者:石川尚子) プロフィール 石川尚子 国際コーチ連盟プロフェッショナル認定コーチ。ビジネスコーチとして活躍するほか、高校生や大学生の就職カウンセリング・セミナーや小・中学生への講演なども。近著『子どもを伸ばす共育コーチング』では、高校での就職支援活動にかかわった中でのコーチングを紹介。 ※この記事は「ベネッセ教育情報サイト」で過去に公開されたものです。 〔2020年11/10(火) ベネッセ 教育情報サイト〕 


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ネットの世界と不登校 精神科医が解説「ネットが不登校の子の救いにならないこれだけの理由」 インターネットに依存することには、どのような問題点があるのか。精神科医の遠山高史氏は、「ネットの世界は多様性に富むように見えて、パターン化された関係の繰り返しの世界でしかない。そこでは豊かな人間関係を学ぶことはできない」という――。

※本稿は、遠山高史『シン・サラリーマンの心療内科 心が折れた人はどう立ち直るか「コロナうつ」と闘う精神科医の現場報告』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。

■均一な価値観から生まれる「スクールカースト」 登校を渋る子供たちの多くが、クラスの仲間のいる教室に入るのが苦痛であるという。 同じ宿題、同じ試験問題で出来不出来による差別化が起こる。同じ年齢を一律に集めると成績順が歴然としやすく、クラスの仲間は友達である以前に競争相手となってしまうのだ。 アメリカには例えば1年生から6年生までを一つにまとめた縦割りクラスで教育する学校がある。

そうした環境では子供たち相互の関係がパターン化せず、より多様になる。上級生は自ずと下級生の粗暴な行為を抑止し、弱い子供を保護しようとするため不登校やいじめは起きにくい。1軍、2軍、3軍カーストといった格付けをしあう「スクールカースト」も生じにくいだろう。 ある大学の非常勤講師として、介護系資格を取得するための講座を受け持った。実に教えやすいクラスであった。通信教育で高卒資格を得た不登校気味の生徒や、失職し第二の人生を始めようと社会人枠で通う中年の男、風俗で働くシングルマザー、夜の仕事でダメな亭主を支える主婦──。 教室では多様な経歴をもつ人々が互いに協力しあう光景が常にあった。 若い学生は社会人のクラスメートから教科書では学べない人生のリアルな経験を教わっていた。出席率は高く、同年代だけ集めたほかの授業にある私語も、ほとんどなかった。 そこにはにわかづくりとはいえ、多様な生き方を学習できる、豊かなコミュニティーができていたと思われる。

■ネットが捉えきれない複雑でファジーな“匂い” 不登校に陥りやすい子供たちは、多様な価値観が許容されるコミュニティー経験に乏しいことが多い。 平等を掲げ、均一を是とする価値観を押し付けられると、どうしていいかわからなくなりやすい。適応の程度によって序列化されることを嫌い、引きこもるようになる。

ネットは窮屈な現実に辟易する子供たちの前に開けたいわば別天地である。ネットやゲームのコミュニティーにひとたび入り込めば、いかような生き方も許される自由があり、常に主人公であり続けられる楽園が広がる。 労せずして脳の快楽中枢を満足させうるのである。しかし、そこは多様性に富むように見えて、パターン化された関係の繰り返しの世界でしかないことに思い至らない。 ネットの情報はほぼ視覚情報に特化しているが、人の視覚はたった4個しかない受容体の組み合わせで情報を認識する。その単純さゆえ、簡単に人をわかった気にさせてしまう。 しかし、視覚は自然の一部としての人間の営みを表面的にしか把握できない。 いまだファジーさをAIが取り扱えないことからもわかるように、ネットはファジーさを本質とする自然の把握にさほど有効な手段ではないのである。

実は鳥類を除くほとんどの動物は視覚以外の感覚で世界を把握している。例えばネットが苦手とする嗅覚情報は、人間で400、象に至っては2000もの受容体の組み合わせで把握される(東原和成東大教授)。 それによって認識される世界は、視覚だけで感じ取る世界よりはるかに豊かで奥深いはずである。息子の顔を認識できない認知症の老人でも匂いには正しく反応することはよく知られている。 実際、人と人との触れ合うコミュニティーはさまざまな匂いに満ち(ほとんど無意識だが)、それが相互の深いつながりを生んでいる。 電気信号でしか結ばれないネットの世界は本当の自然からほど遠く、貧しい。ネットから子供たちを取り戻さねばならない。

■睡眠負債のSE、2万通のメールでうつ状態に 毎日4~5時間の睡眠で仕事してきたSEはいわゆる睡眠負債で頭が働かなくなり、1カ月の休みを取ることになった。 長年の睡眠負債は1カ月程度で解消できるものではないが、チームの責任者である本人の希望に沿って、出社してよいとの診断書を書いた。 しかし、いざ出社してパソコンを開いたら、ざっと2万通ものメールが届いているのを見て再びうつ状態となり、休むことになった。 情報は増やす分にはほとんどエネルギーが要らないが、削除するのに膨大な労力を人に強いる。 例えば、コピー機で大量に情報を複製するのも、ネットで情報を拡散するのもボタン一つでできるが、そのすべてを消し去るのは容易なことではない。

ツイッターやSNSで、画面の向こうの素性も知れない相手にこちらの情報を、時に自分の裸の写真まで添えて投稿してしまうのも、動かずして英雄になれるネットゲームにハマるのも、さしたる労力を使わないからである。 ネット空間において情報は川が流れるように自ずとエントロピー(乱雑さを表す物理量)増大へと向かう。 結局、増やしすぎた情報を削除するというエントロピー減少の作業に、人の営みは費やされるようになる。 いったい2万通のメールのほとんどはどうでもいいものだが、似たようなものの中に重大なものも混在し、あっさりまとめて削除とはいかない。 そもそも情報が多すぎて、まともに重みづけができないのである。

■薬の効能書には大量の細かい記述が並ぶ ときどき戸惑うことの中に、薬剤についての医師と薬剤師の意見が微妙に食い違うことがある。 薬剤に関する情報はかつてとは比べものにならないほど増えており、専門に処方する医師でさえ十分把握できているとは言い難い。 そうした中で薬剤師の指摘が医師のうっかりミスを防いでくれることもしばしばである一方、時折、医師と薬剤師との間で情報の重みづけが異なり、二者の説明が調和しないことで患者に無用な不安を与えることがある。 薬剤を説明する効能書には、大量の細かい記述が並び、読み取るのに骨が折れる。 特にリスクについては念入りに書かれているものの、重大なリスクと滅多にないリスクとの区別はあやふやである。 医師と薬剤師とはそもそも経験の質が異なり、拾い出す情報も同じとはならず、リスクについての重みづけに乖離(かいり)が生じやすい。

■あふれる情報に踊らされ破局を招く現代人 あまり知られていないことのようだが、脳は情報を集めるシステムではなく、感覚器を通じて押し寄せる無限の情報のほとんどを削除し、必要な情報を拾い出す高度なシステムである。 脳は、骨の折れる生身の体験に基づいて重みづけをし、有用な情報を拾い出す。情報を無差別に蓄積するシステムとは比較にならないエネルギーが要るのだ。 薬剤の効能書が、いかに細かに隙がなく網羅されていたとしても、それは氷山の一角のような情報に過ぎない。

それらの下に隠れて見えない部分を予測するには、多くのリアルな臨床体験が不可欠となる。 現代人は、どれを削除すべきかの区別さえ定かでないまま、溢れる情報の整理に追われ、たまたま目に付いた情報に踊らされ、人生を生き抜く糧となるリアルな体験を重ねる余裕を奪われているように見える。 それは水面下の巨大な氷をかえって見えづらくさせ、タイタニックのような破局を招くかもしれない。

遠山 高史(とおやま・たかし) 精神科医 1946年、新潟県上越市生まれ。すぐに東京に移り、そこで成育する。千葉大学医学部在学中に、第12回千葉文学賞受賞。大学卒業後は精神病院勤務を続け、1985年より精神科救急医療の仕組みづくりに参加。自治体病院に勤務し、2005年より同病院の管理者となる。2012年、医療功労賞受賞。2017年、瑞宝小綬章受章。自治体病院退職後、2014年に桜並木心療医院を開設。現在も診療を続けている。46年以上にわたり臨床現場に携わった経験を生かし、雑誌『FACTA』(ファクタ出版)にエッセイを連載中。著書に『微かなる響きを聞く者たち』(宝島社)、『ビジネスマンの精神病棟』(JICC出版局。のち、ちくま文庫)、『医者がすすめる不養生』(新潮社)など多数。千葉県市原市で農場を営み、時々油絵も描いている。

精神科医 遠山 高史 〔2020年10/27(火) プレジデントオンライン〕


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ニッポン放送「すくすく育て 子どもの未来健康プロジェクト」 尾木ママこと尾木直樹、いじめは「いじめる方が200%悪い」 ニッポン放送「すくすく育て 子どもの未来健康プロジェクト」(10月25日放送)に、教育評論家の尾木直樹が出演。教師時代の思い出と、いじめについての自身の考えを語った。 自見はなこ:前回は尾木ママが学生時代に、体罰を目の当たりにされたお話を伺いました。そんな尾木ママが、なぜ教師を目指したのでしょうか?

尾木:実は、就活のときまで教師になろうとは思ってもいなかったのです。ジャーナリストや雑誌の記者など、文章関係の仕事に関わりたいと思っていました。でも就職で悩んでいたら、母親が「直樹は学校の先生がいちばん向いているよ」と。僕は学校の先生がいちばん嫌いなのに、なんて理解のない親だろうと(笑)。しかし母は、「だから向いているのよ。反抗心を持っている子や、不登校の子供の気持ちがよくわかるから、いい先生になれるわよ」と。

自見:お母様も小学校の先生でしたよね。

尾木:本能的にわかったのかも知れませんね。

自見:尾木ママは1974年から教壇に立たれたそうですが、そのころは校内暴力が全盛だったそうですね。その時期に毎日、学級通信を独自に発行されていたのですか?

尾木:そうです。いちばん多かった年は、1年で333号つくりました。「きょう、こんな素敵なことがあったよ」と、いいことを報告する新聞なのです。

自見:手書きのものですか?

尾木:手書きです。朝だけでなく帰りにも書いて、朝刊、夕刊と配っていました(笑)。目立たない子などに焦点をあてて、「この子はみんなが帰った後にゴミを捨ててくれたよ」など、いいことしか書きません。それを読むと人間認識力も出て来て、仲のいいクラスになるのです。

自見:いまは、いじめが社会問題になっています。解決の糸口を、どうお考えになりますか?

尾木:いじめの原因はストレスです。悪いストレスを排除して行くという方法をとるのが1つ。それと、よく「いじめられる方も悪い」と言う人がいますが、それはありません。いじめる方が200%悪いのです。いじめる側の子は、「だってあの子は嘘を言うし、遅刻もする」などと悪い点をあげつらいますが、人間には誰しも弱点があります。それをいじめという形で攻撃することは、とても恥ずかしいことです。もし問題点があるなら、それは問題点として指摘し、サポートしてあげればいい。いじめは人権侵害であり、虐待行為です。僕は絶対に許しません。

また逆に、長く教師をやってわかったことですが、いじめられることで自分の存在を感じる子もいるのです。いじめられても「先生、僕は気にしてないよ」とニコニコ笑っていたりします。僕は、いじめられていることに対し、「悔しい! 許せない!」と思う子になって欲しいと、そのいじめられていた子に言ったことがあります。もちろん、いじめていた子達も注意しました。

「彼はいじめられて喜んでいる。先生から見てもそうだった。でも、それを楽しむような人間になってはダメだよ」と言いました。すると、彼らは中学1年生でしたが、両方にちゃんと伝わりました。 〔2020年10/27(火) ニッポン放送〕

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中川翔子  ひどいあだ名に苦しめられた中学時代 それでも出会えた「しょこたん」に感謝 タレントの中川翔子が28日、TBS系「グッとラック!」で、中学生時代につけられたひどいあだ名に苦しめられた過去を振り返った。 番組では、小学校であだ名禁止がルールとして広がっていることを取り上げた。 中川は番組のインタビューに「胃が悪くて精神的にしんどくなると、気持ち悪くなって吐いちゃったりとかよくしていた」といい、そのことからある日「ゲロマシーンが歩いてる、ハハハ」という声が聞こえてきたという。 ひどいあだ名を付けられても「言い返すこともできないし、呪いのノートにその人の顔そっくりに描いて、破いて燃やしたりしていた」と悔しさをにじませた。結局、中学校生活最後は不登校状態になってしまったという。

今はそのあだ名を乗り越えたのか?という問いには「心に刺さる攻撃でもあったりするので、全然乗り越えてない」といい「好きなことをひたすらやった。絵を描いたり、歌ったり、アニメ見たり、ネットやったりとか、そういうことをしている状態でいないと、嫌なことを思い出してしまう」と家ではひたすら好きな事に集中して嫌な想いから必死に逃げたという。 そんな中川だが、学校でのあだ名禁止は「反対。ちょっと極端かなと思っちゃいます」と反対の姿勢。その理由について、現在、多くの人から呼ばれる「しょこたん」というあだ名に「感謝」しているといい「しょこたんのおかげで、子どもたちにも知ってもらった」と振り返る。 そして「あだ名が悪いのではない。攻撃する人物がいる状況、そこに先生がもうちょっと個別に向き合えないのか。あだ名イコールいじめではない」とも語っていた。 〔2020年10/28(水) デイリースポーツ〕

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中川翔子 中川翔子ひどい“あだ名”のせいで苦しめられた過去語る やがて不登校状態に…現在も「全然乗り越えてない」 タレントの中川翔子(35)が28日、TBS系「グッとラック!」にビデオ出演し、中学生時代にひどいあだ名のせいで苦しめられた過去を明かした。 番組では全国の小学校に広がる「あだ名禁止」のルールについて紹介。学校側では「いじめにつながる」として、さん付けを推奨している。 中川は中学時代、胃腸が弱く、ストレスで吐いてしまうことがあったため、同級生から「ゲロマシーン」と呼ばれたことがあり、やがて不登校状態になってしまったという。現在でも「心に刺さる攻撃だったので、全然乗り越えてない」と傷付いていて、好きな歌やアニメに集中することで日々を過ごしているという。

そんな中川でも「あだ名禁止」のルールには「私は反対ですかね。ちょっと極端かなって思っちゃいます」との立場。現在のあだ名である「しょこたん」は「感謝してます」と気に入っており、「『しょこたん』のおかげで、子どもたちにも知ってもらった。『しょこたん頑張れ』って言ってくれる」と振り返った。 その上で「あだ名が悪いということではない。攻撃する人物がいる状況だと思う」と分析。「そこにちゃんと先生が個別に向き合えないのかな」と期待を込め、「あだ名イコールいじめではないですからね」と締めくくった。 中日スポーツ 〔2020年10/28(水) 中日スポーツ〕


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公的マネーが大株主、東証1部の8割 4年前から倍増
年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が入る建物の入り口の看板=東京都港区
年金資産を運用する国の独立行政法人と日本銀行が、東証1部企業の8割にあたる約1830社で事実上の大株主となっていることが朝日新聞などの調べでわかった。
4年前の調査時から倍増した。
巨額の公的マネーは実体経済と乖離(かいり)した株高を招き、「官製相場」の側面が強まっている。
「安定株主」として存在することで企業の経営改善に対する努力を弱める恐れがある。
【写真】株価の推移と公的マネーの株式保有額
年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)と日銀の3月末の保有分を、東京商工リサーチとニッセイ基礎研究所の井出真吾氏の協力を得て朝日新聞が推計した。
GPIFと日銀は信託銀行などを通じ、日経平均やTOPIX(東証株価指数)などの指標に連動した金融商品を買っている。
こうした指標に含まれる銘柄の株主名簿に名前は出ないが、間接保有している。
大量保有を報告する基準の5%以上を大株主としてみると、東証1部2166社(3月末時点)のうち約1830社で公的マネーが大株主になった。
両者の間接保有分が10%以上も約630社。
最も高いのは半導体大手アドバンテストの29・0%で、TDK26・6%など、20%超も28社にのぼる。
保有額全体ではGPIF36兆円、日銀31兆円と計67兆円分。東証全体の時価総額約550兆円の12%を占める。
〔朝日新聞デジタル2020/10/23〕


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山内哲平 中学受験で志望校に合格したのに、その後、思いがけぬ進路に進むことになった少年の現在は…?
最寄りのコンビニまでは徒歩30分以上、のどかな田園風景が一面に広がる。
地方にある全寮制の中高一貫校に通う山内哲平君(仮名・高校生)。
神奈川県出身の彼は、中学入試で首都圏の難関大学付属校に見事合格したが、のちに退学。
親元から遠く離れたこの学校に転校してきた。
「東大・京大への合格者が多い学校」ランキング
彼にいったい何が起きたのか。その経緯を知ると、どの家庭にも起きうることと多くの親がハッとするかもしれない。
■「ほかの子と違います」と言われ続けた幼少期
「幼児期から“この子はほかの子とは違います”と保健師さんから言われ、支援グループに参加することもありました」
そう話すのは哲平くんの母親の香さん(仮名)。
哲平君は、幼少期に発達障害の検査を受けたが、結果はボーダー。障害とは認定されなかった。
ただし、平均より8カ月ほど遅れがみられるとされ、母親は哲平君とともに毎月、児童相談所に通った。
だがその後、家族の事情で小学校のお受験をすることに。ここから哲平君の人生は思いもよらぬ方向に動き出していく。
哲平君が年少のときのこと、母親の香さんに異変が起きた。乳房にしこりが見つかったのだ。
医師の診断を経て経過観察をしている数カ月のうちに、病気は進行。
あるとき帰省先の九州でしこりが大きくなっていることに気がつき病院に行くと、告げられたのは「乳がんで、すぐに治療をはじめなければ余命は1年」との言葉だった。
病気の進行が早く、決断を迫られた香さんは、長男の哲平君を神奈川へ戻し、哲平君の2歳下の娘と2人で九州に残ることを決めた。
幼い子ども2人を見ながらの闘病は厳しいという医師のアドバイスに従ってのことだった。
神奈川に戻った哲平くんの面倒は、夫の両親や姉が泊まり込みで見てくれた。
結局、香さんが神奈川の自宅に帰るまでには約1年がかかった。
戻ると、哲平君は夫の家族の判断で、小学校受験をする子の多い園に入園していた。
後でわかったことだが、「ボーダー」と言われた哲平君に必要な療育と、お受験のための学習はとても似ており、確かに彼には合っていた。
動物のカードなどを使い、何の動物か当てるクイズなど、療育で行うグループワークと似た内容は少なからずある。
「哲平はお受験のお教室にも通い始めていました。
習い事として始めさせたとのことでしたが、夫とも話し、中学受験は息子には大変そうだから、大学まである小学校にお世話になろうかと、大学付属の小学校受験をすることにしたんです」
結果は合格。しかし、小学校に入ると、ほかの子どもたちとの違いが目立つようにもなり出した。
とにかく集団で同じことをやるのが苦手。日々の板書にも苦戦した。
それでも、哲平君のそんな性質を担任や、世話好きの級友たちが理解してくれ、普通学級での生活を送れていた。
学校生活を楽しみ、3年生では学級委員に選ばれるほどに。
ところが、その頃から友達からいじめられるようになったという。
合唱コンクールの練習などでひな壇に上がれば後ろから蹴られる、「お前は先生の犬だ」などと中傷される。
耐えかねた哲平君は、テスト用紙に「ぼくはいじめられています。たすけてください」とつづった。
学校側との話し合いも持たれたが、こうした言葉による小さないじめは4年生まで続いた。
「担任の先生が盾のようになって息子を守ってくれたこともありました。
5年生に上がる面談では、いじめている子とは違うクラスにしてほしいと伝えたところ、希望どおりになりました」
これで安心と思えるはずだった。だが、不幸にも、ここでボタンの掛け違いが起こってしまった。
■理不尽に詰め寄る担任との攻防
5年生で担任となったのはまだ教師経験の浅い教師だった。
担任教師はこれまでの担任たちとは異なり、哲平君の性質を特性と見ることはせず、手厳しい指導をした。
成績的には系列中学に上がれるだけのものを取っていた。
だが、担任教師は、彼の協調性のなさや、宿題をやってこない態度が気に入らなかった。
実は、このクラスはほかのクラスより宿題自体が多く、哲平君がそれに対応するのは困難を極めた。
そして、行われた保護者面談。
「私が推薦状を書いても、この協調性のなさでは送った先からなんで推薦してきたんだと言われてしまいます。
他校へ移ることを考えてください」
そう担任教師は詰め寄った。
大学まで安泰と思っていた山内家にとってはあまりに大きなショックだった。
香さんは急いで受験塾を探した。入塾したのは臨海セミナー。しかし、手応えはいまひとつ。
そこで、夏期講習は地元では有名な個人経営の塾に。
だが、夏休み明け前の面談で「うちでは引き受けられない」と塾側から言われてしまう。
理由は、宿題をやってこないからというものだった。
「学校の宿題をやりつつ、うちの塾の受験勉強についていくのは難しいと言われました。
今の私立小をやめて、公立小に移るのなら引き受けますということだったので、さすがにそれはきついと、諦めたんです」
臨海セミナーに通うことにし、中学受験へ突入した。母親の香さんも必死だ。
がんとの闘いも続くなか、自宅から1時間圏内の学校はすべて見学するつもりで回った。
5年生の夏休みから足を運んだ学校数は26校にも上る。
その中から選んだのはやはり大学の付属校。本人の「共学校がいい」との希望も考慮し、志望校を選んだという。
5年生の夏期講習以降、成績も安定し、十分に中学受験に立ちむかえる学力をつけていた。
志望校に据えたのは難関私立大学の付属校と、推薦をもらえなかった現在通う小学校の系列校など6校。
■父母間で食い違う意見
結果は第一志望の明治大学付属明治以外はすべて合格。ここで、父母間で意見の対立が起きる。
母親の希望としてはもともと在籍してきた小学校の系列校に行かせたかった。
ところが父親は、それに反対。別に合格をもらった難関私立大の付属校のほうがネームバリューや総合大学だという点で勝っているというのだ。 「元の系列校なら、小学校から息子を知っている子たちが一定数います。
私は、その中で暖かく見守ってもらうほうがいいと思ったのですが、結果的に夫の意見に従う形になりました」 この決断が誤っていたと気づくのは、入学してすぐのことだった。
入学後、GW開けには毎週のように学校から電話がかかってくるようになった。
「お宅の息子さんは普通じゃありません。検査を受けてください」
学校側からの電話は、大筋この内容だった。この学校も宿題が多く、哲平君はそれをこなせていなかった。
そのために大好きな部活動にも参加できない状態が続いていた。
哲平君は小学生の頃からブラスバンド部に所属、パーカッションを担当しており、かなりの腕前になっていた。
中学でも演奏ができる部に入部したが、同校には宿題が終わらなければ部活動に参加できないというルールがあったのだ。
「試験を受けるのは大好きで、中学受験のときも模試は苦になることはなく、どちらかというと“もっと受けたい”と思うタイプで、得意だったんです。
でも、普段の学校ではノートを取ることが苦手で、宿題をやるのも難しかったのだと思います。
小学生の頃は学校の手厚さのおかげで、幼少期にボーダーだと言われていたことが見えにくくなっていたのかもしれません……」
学園祭で部活の公演を見に行くと、哲平君だけが舞台の隅で立っていた。
部活への出席が少なかったため、パートを与えてもらえなかったのだ。
学校側は「とにかく検査を」という。香さんはすぐにでも受けさせたかったが、ここでも父親が立ちはだかった。
「おれの息子が普通でないはずがない。検査なんて必要ない!」と、許さなかった。
検査をしないと学校に伝えると、学校から毎日のように連絡が入るようになる。
「“今日はこんなおかしい行動がありました”“今日はここがヘンでした”“学校での様子を見に来てください”と、毎日毎日言われるんです。
電話が鳴るのが怖くなりました」と香さんは振り返る。
一人授業参観のように、香さんだけが教室で様子を見学する状態も続いた。
子どもの発達障害について、親が受け入れられないケースが多いという話は教育関係者からよく聞くが、山内家の父親はまさにその典型のようにも見える。
教員たちも慣れないことで、緊張の日々が続いていたのだろう。
ある日、教科担当の教員が哲平君に暴言を吐いてしまう。
手のかかる哲平君の席は教卓の前。授業中に隣の友達と小声で話をしていたところ教員から注意された。
哲平君が口答えをしたのだろうか、教員は「おめーが普通じゃないんだよ!!」と、哲平君の机を蹴ったというのだ。
後日、学校側との話し合いの場において示されたのは「口調はそのような言い方ではなかった」というものだったが、哲平君の耳には強烈にそう響いた。
■不登校になり、家庭内で不満を爆発させるように…
哲平君は学校に行きたがらなくなり、ある日、電車に乗ったまままったく違う駅に降り立ち迷子に。
たまたま電話が取れなかった香さんに代わり、学校側は父親の勤務先に連絡を入れた。哲平君を見つけたのは父親だった。
哲平君はその後、さらに学校を休みがちになった。
「お父さんに言われたからこっちの学校を選んだけれど、自分はどちらでもよかったんだ!」
好きな部活動にも参加できず、教師からは変人扱いされる学校。哲平君は家の中で、不満を叫ぶようになっていった。
結局、父親が検査を許可したのは秋も深まる季節だった。 11月から各種検査を受けはじめ、結果が出たのは翌年の1月、診断はADHDだった。
診断結果を学校に知らせると、中学は卒業できたとしても、付属高校へは上がれないと宣告を受けた。
「クビ宣告ですよね」香さんはそう表現する。 学校に行かない日々が続く中、哲平君は妹や母親に手を上げるようになった。
このままではいけないと、探し出したのが現在通う、全寮制の学校だった。
「小学校時代のお友達がこの学校を考えていたことがあり、不登校になっている子を受け入れてくれると聞いていました」
近年、個性を受け入れてくれる学校として話題になっている学校だ。
しかし、ここは全寮制の学校。中学生で親元から離すことには戸惑った。
だが、今の状態がエスカレートすれば、家庭内暴力へと発展する可能性もある。
■学校選びは親の基準ではなく…
見学に行くと、はじめは「こんな田舎はいやだなぁ」と後ろ向きだった哲平君だったが、優しい先輩たちの姿と活発な部活動にひかれ「高校卒業までの限定なら、ここでやってみようかな」と前向きな気持ちへと切り替わった 。
今の本人の目標は東京大学に合格することだ。コロナの影響でまだ入部できていないが、高校では憧れの部活にも入りたいと意欲を燃やす。
「彼を受け入れてくれた今の学校には本当に感謝しています。
中学受験は偏差値、ネームバリューを気にしがちですが、子ども本人の直感のようなものを大事にしてあげることも必要だと思います。
わが子の経験からお伝えできるのはそのくらいです」
と香さんは言う。
社会に出るときのことを考えて、ネームバリューのある大学へ進学させたいと願うのも親心だろう。
しかし、山内家が最後にたどり着いたのは、そのままの息子を受け入れて伸ばしてくれるかどうか、という基準だった。
子どもの人生は子どものもの。親の人生ではない。
親の基準で学校を決めた場合に、その影響を受けるのは、ほかならぬ子ども自身だ。
哲平君にとってはあまりに過酷な数年間だったが、今やっと彼は穏やかで前向きな学校生活を送っている。学校選びの姿は、本来はこうあるべきではないだろうか。
本連載「中学受験のリアル」では、中学受験の体験について、お話いただける方を募集しております。
取材に伺い、詳しくお聞きします。こちらのフォームよりご記入ください。
〔2020年8/25(火) 東洋経済オンライン〕

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友達関係で困ったときの対処策 我が子が仲間外れ…その時「正解」の親の声掛けとは? ベネッセ 教育情報サイト いつの時代も変わらない?! 中学生の我が子が友達関係で困ったときの対処策

中学生に入ってから仲間外れにされたり、悪口や陰口を言われたりして傷つくといったトラブルを耳にした保護者の方もいるのではないでしょうか。 子どもが中学校の友達関係で悩んでいるとき、保護者としてできることについて紹介します。 問い詰めるのではなく「聴く」「共感する」「信頼してもらう」 子どもに人間関係の悩みを抱えている様子があるとき、つい「なにがあったの?」「大丈夫?」と聞きたくなりますよね。でも、まずは落ち着きましょう。

人間関係のもつれが原因で深刻な事態になってしまった中学生のニュースが頭をよぎりますが、あまり前のめりになるのは悪手になる可能性があります。 もし、あなたが人間関係で悩んでいるとしたら、「まずは話を聞いてほしい」と思うのではないでしょうか。 事態が悪化する前に子どもから相談してもらえるように、子どもの信頼関係を大切に行動したいですね。 相談されたときの傾聴ポイント

・言いたいことは何か考えながら聴く ・伝えたいことは何か考えながら聴く ・子どもの立場になって話を聴く ・安心して話せる環境を作る

子どもの自力解決か親が出るのかの境界線とは 思春期の子どもは、「親や友達と異なる自分独自の内面の世界があることに気づきはじめるとともに、自意識と客観的事実との違いに悩み、様々な葛藤(かつとう)の中で、自らの生き方を模索しはじめる時期」にあります。(引用:文部科学省 子どもの発達段階ごとの特徴と重視すべき課題) 中学生に入ってから友達トラブルが多く発生するのもそのためです。基本的には当事者同士で解決を図ってほしいですが、深刻なケースは保護者が前面に立ち、子どもを守る必要もあります。

「もし大人同士であったなら、関連機関に通報・相談するか検討するレベル」であるなら、保護者が対応することを検討しましょう。 中学生活は人生の全てではない!逃げ場を準備しておこう 学校で過ごす時間が一日の大半を占める中学生にとって、学校でのトラブルは周囲が思う以上に重いものです。

保護者として「中学生活が人生の全てではない」「学校に行かない選択肢を取っても、学業がなんとかなる手段がある」といった、辛い場合の逃げ場を用意しておきたいですね。 文部科学省による不登校に関する施策例

・教育支援センター ・スクーリング・サポート・ネットワーク ・一定要件を満たした場合の出席扱い ・中卒認定試験の受験資格の拡大

まとめ & 実践 TIPS 中学生は、思春期も始まり、未熟な人間関係力や思春期特有の自我などが重なって人間関係のトラブルが発生しやすくなります。

ニュースなどから嫌な発想をしてしまいがちですが、子どもから相談を受けたら、まずは冷静に、良き相談相手になることを目指しましょう。

出典:文部科学省の不登校に関する主な施策 URL https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/futoukou/03070701/004.pdf

出典:子どもの徳育の充実に向けた在り方について(報告)3.子どもの発達段階ごとの特徴と重視すべき課題 URL https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/053/gaiyou/attach/1286156.htm

出典:神奈川県立総合教育センター長期研究員研究報告 14:31~36.2016 コミュニケーションを促す「聴き方」に関する研究 URL https://www.edu-ctr.pref.kanagawa.jp/kankoubutu/h27/chouken14/chouken14pdf/chouken14_06.pdf

プロフィール ベネッセ 教育情報サイト 「ベネッセ教育情報サイト」は、子育て・教育・受験情報の最新ニュースをお届けするベネッセの総合情報サイトです。 役立つノウハウから業界の最新動向、読み物コラムまで豊富なコンテンツを配信しております。 〔2020年9/27(日) ベネッセ 教育情報サイト〕


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子どものSOS 子どものSOSは3種類、サインに気づくには 心に寄り添う声がけは 専門家に聞く 学習と健康・成長

「子どもの問題には必ず大きな意味がある」と言う医師・臨床心理士の田中茂樹さん。これまで子どもの不登校や引きこもり、摂食障害、リストカットなど約5000件の保護者の悩みの相談に乗り、解決に向けてアドバイスしてきました。今回は中学受験をするうえでの勉強や習い事への考え方、子どもたちの心に寄り添う言葉かけについてお話を伺います。 話を伺った人 田中茂樹さん 医師・臨床心理士 田中茂樹さん

(たなか・しげき)1965年東京都生まれ。共働きで4児を育てる父親。京都大学医学部卒業、同大学院文学研究科博士後期課程(心理学専攻)修了。2010年3月まで仁愛大学人間学部心理学科教授、同大学附属心理臨床センター主任。現在は、奈良県・佐保川診療所で地域医療に従事する。著書は「子どもを信じること」(さいはて社)、「子どもが幸せになることば」(ダイヤモンド社)「去られるためにそこにいる」(日本評論社)など。 保護者は子どもに指示しない 自宅をリラックスできる空間に 学習と健康・成長

――中学受験などでストレスを抱えている場合に、保護者へのSOSのサインとして、子どもにいろいろな症状が表れることがあるとのこと。それはどのようなものでしょうか? 私は、子どもがSOSを出す方法が3パターンあると考えています。

1.周囲の人に向けるタイプ 親に対して反抗的な態度を示し、時には暴言や暴力をふるう。学校でいじめなどの問題を起こすこともある。

2.自分の体に表れるタイプ おなかが痛くなったり、熱や蕁麻疹が出たりと、本人の体に症状が出る。

3.内にこもっていくタイプ 内にこもって、気分が落ち込む。時には食欲がなくなり、眠れなくなることも。 人によって症状はさまざまですが、子どもは本来、大人よりもずっとのんきで明るいのが普通です。もしも、そのような状態でないのであれば、すでにストレスを抱えているサインかもしれません。

――なるほど。SOSのサインだと気づかなければ、保護者側でも子どもを叱ったり、なだめたりするでしょうね。 子どもは保護者のことが好きだから、基本的に言うことを聞くと思います。もし聞かなくなっているのであれば、すでに子どもにつらいことやしんどいことが起きている可能性があります。ひょっとすると、つらいことやしんどいことは外部との関わりだけでなく、家族内の関係性で起きているかもしれません。 よくあるのが、保護者が子どもに対して何から何まで指示してしまうケース。保護者が子どもの1日のスケジュールを決め、タイムマネジメントもする。子どもは褒められたいし、保護者の喜ぶ顔が見たいので、そのスケジュールを一生懸命こなそうとするかもしれません。でも、遅れが出てきたりすると、それに伴う不安や焦燥から、保護者への反発が起こるようになります。

――保護者には葛藤が生じますよね。勉強させたい、でも、のびのびもさせたい。 のびのび“させる”という言い方をしているけれど、のびのびは“する”もの。“させる”は、子どもへの指示です。そのような、子どもを思い通りに動かそうとする言葉を気づかない間にたくさん使ってしまっていませんか。一度意識を向けてみましょう。 子どもがSOSを発信している場合、家ではリラックスできる環境を作るのがいいです。そのためには保護者は子どもに指示しないで過ごすこと。“子どもをどう変えるか”ではなく、コントロールしようとする自分を手放して諦めるんです。

――保護者側の考え方を変えるということですか? そうですね。この部分がすごく大事なところで、保護者に「あなたの態度を変えるのが一番ですよ」と言うと、「じゃあ、子どもが苦しんでいるのは私のせいですか?」となるんです。 そうじゃない。子どもはひょっとすると、塾でいじめにあったり、先生から暴言を吐かれたりしているかもしれない。でも、どんな理由が背景にあったとしても、子どもは家でリラックスして、機嫌のいい保護者のそばで過ごせたら回復するんです。外でつらいことがあっても自分で何とかしようと乗り越えていける。子どもにとっての家族とは、自分を育てていく場所であり、回復させる安全基地なのです。

子どもの幸せを願う姿勢を大切に

――自宅が安全な場所だと感じてもらうには、どんな方法がありますか? 例えば、何の理由もない日に子どもの好きなお菓子を買ってくるのもいいですね。そこにテストでいい点を取ったからなどと理由をつけてしまうと、努力するのが保護者のため、もしくはご褒美のためになってしまいます。 保護者はそもそもの原点を見失わないようにしていただきたいですね。例えば、中学受験をするのは、それが子どもの幸せにつながると信じているからでしょう。もしも受験を嫌がって泣き叫んでいる子がいたら、本当に幸せにつながっていくのか、立ち止まって考える時間を持ってほしいです。

本来であれば、子どもが自ら「やりたいこと」を選ぶべきです。歴史が好きだから社会科を一生懸命にやるとか。すると、ちょっと疲れたから休憩しようかなと、自分で調整できるようになります。保護者が監視して強制するのはやめた方がいいと思います。

――塾に通う過程で習い事などを整理するご家庭もあると思いますが、子どもの意思とどの程度折り合いをつけるかが難しいところです。 「習い事を整理する」ことに関しては、まるで子どもにとって仕事を始める準備(就職活動)のようだと、驚いたことがあります。 私がかつてお手伝いしていたサッカーチームでも、小学4~5年生になるとやめていく子がいました。母親に促されて「お世話になりました。来月でやめます」と言ったあとで、振り向いて泣きだした子もいました。本当は三度の飯よりサッカーが好きだったり、友達とワイワイするのが好きだったりする子どもです。

その子の母親につい、「サッカーがあんなに大好きなのに、もったいないですね」と言ってしまったんですけど、「プロになるわけじゃないですから」って返されたんです。でも、それは違うと思いました。仕事にするためにサッカーをしているんじゃないはずだと。 その母親はさらに「中学生になったら、また始めたらいいから」と言いました。でも、その時にしかできないサッカーがあり仲間がいます。ほかのスポーツや習い事も同じだと思いますが、いろんなレベルの子がいて、幼い同士の仲間の中でこそ得られる経験がある。その居場所が子どものこの先の人生にどれだけ大切な意味があるか。親には想像しづらいのだと思います。

――保護者にとっても判断を迷う時ですね。 子どものSOSがわかりやすく表に出てきたら、保護者側も何らかの対処ができるでしょう。しかし、SOSが出ていなかったり、気がつかないまま過ごしたりすると、子どもはずっと保護者の言うとおり生きていくような人生を歩むかもしれません。 私は、保護者が迷った時に子どもが楽になる選択をすることが増えればいいなと思っているんです。子どもが一生懸命になれることをする。その方が、ずっと子どもの幸せにつながる。そんなことを私のような専門家が言っていたと思い出してもらえたらうれしいです。 勉強とは関係なく あなたがいてくれることが幸せだと伝え続ける 学習と健康・成長

――子どもに勉強を促す場面などではどのように声かけをすべきでしょうか? 保護者の「勉強をさせる」という意識から変えていく必要があります。「させる」ということはすでにコントロールしているから、子どもにとって自主的・自律的ではありません。 子どもが自分から勉強をするようになるためには、結局は、「あなたがいてくれることが幸せなんだよ」と伝えることが一番だと思います。

いろんな言い方や伝え方ができますよね。言葉じゃなくても目があったらニコッとほほ笑むとか、好きなおやつを準備するとか。あなたがいてくれることが私の幸せだと惜しみなく伝えていく。そうしたら、今度は子どもだって、「自分が何をすることを保護者は求めているか」についても考えはじめると思います。 ただ、子どもが保護者を喜ばせようとばかりするようになると、これは問題です。私自身、親から「勉強しろ」と言われたことは一度もなく、現役で東京大学へ入学しました。でも、私が勉強をしていたのは、「母親を喜ばせたい」という気持ちからでした。家族の中でつらそうにしていた母親が、いい点数を取るとうれしそうだったから。

その結果、大学に入ってもどうしていいのかまったくわからず、2カ月もしたら行かなくなりました。もっと本当に自分がしたいことをしておけば、あんなに途方に暮れることもなかっただろうと思います。 私が子どもと接していてよく思うのは、彼らはそんなに保護者に助けてもらいたいと思っていない。むしろ、保護者を喜ばせて笑顔にして、助けたいと思っている。 なぜかというと子どもが大人と対等になろうと成長し、さらには保護者が好きだから。弱い者として導かれ、守られるよりも、頼りになるものとして感謝されたいんです。

――「大人になりたい」という気持ちに近いですか? そうですね。子どもたちはいつも「ちゃんと認めてほしい」と思っています。それは、幼い時からずっとそうで、3~4歳の子でも下にきょうだいができたら、一生懸命に保護者の助けになろうとするんです。保護者はそういう子どもの気持ちを意識しておいたほうがいいですね。

――保護者は子どもと良好な関係を築くうえで、何を大切にすべきでしょうか? 子どもと関係を築くうえで大切なのは、大人も自分の人生を楽しむことです。忙しいとか、介護があるとか、いろいろな問題があるかもしれないけど、それでも隙間の時間があったら自分のしたいことをする。 自分の人生を楽しく生きている保護者を見せるのはすごくいい教育ですよね。自分もそういう大人になろうと、将来に夢が見えてくる。そうすれば、保護者と子どもの関係が守り・守られる関係から“仲間”へと発展し、良好な関係へとつながっていくと思います。 (編集:野阪拓海/ノオト)

ゆきどっぐ 〔2020年9/29(火) 朝日新聞EduA〕


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コロナ禍で大きく変わる“学び”の形 【#コロナとどう暮らす】水筒を生徒に見立ててカメラに授業。コロナ禍で大きく変わる“学び”の形 新型コロナウイルスの感染拡大により、この春、学校教育の現場は大きく変わった。

長期に渡る休校期間中、子どもたちの学習意欲や学校への所属意識は徐々に低下していく。それにどう維持していくのか、学校側は突如対策を求められたのだ。 その解決策の一つとして注目されたのが、インターネットなどを利用したICT教育だ。 ウェブ会議システムや動画を使った授業に急遽取り組んだ自治体は多かった。これまで触れたことのないツールを使った授業に戸惑い、奮闘する先生たち。一方で、これを期に企業が提供する授業アプリを導入し、生徒や先生たちの学びのあり方が変わってきたという自治体も。

“ウィズコロナ”時代の今、大きな変革の時にある学校教育の現場を追った。 顔が見えない授業と“いいね”ボタン 新潟県の長岡市立南中学校では5月の臨時休校中、ICTを使ったオンラインでの質問教室が行われていた。

オンライン授業を行う先生の隣には、モニターの変更など通信をサポートする先生も座り、2人1組のチームで授業に臨む。ウェブ会議システムを活用し、家庭にいる小中学生と学校をつないで、朝の学活や学習の疑問に答える質問教室に取り組んでいたのだ。 カメラで映したホワイトボードを黒板代わりに、「心臓から肺に向かう血液は酸素が少ないので、静脈血ですか動脈血ですか」と質問するのは20年以上教職を勤める土田宗明先生。 もちろんオンライン授業は初めてだ。 パソコンのモニター上ではホワイトボードの画面になっているため、生徒達の顔は見えないが、「静脈血」と返事が聞こえてくる。)

授業後に土田先生に初めてのオンライン授業について話を聞くと、「しっかりと話が伝わっているかどうかが、普段の授業では表情で分かるんですけれど、画面をボードに切り替えて説明している時に生徒の表情が見えないので、その時伝わってるかどうかが心配になった」と話すが、生徒たちはこのウェブ会議システムの “いいね”マークを利用して理解できたかを伝えていて、画面越しで伝わったことを確認できたことを喜んでいた。

20年以上対面で行ってきた授業。初めてのオンライン授業にやはり戸惑いもあるが、生徒たちのために「頑張って対応していきたい」と力強い目だ。 長岡市教育委員会の動きは早かった。2020年3月の最初の休校を受け、4月上旬には全ての家庭を対象にネット環境に関するアンケート調査を行い、ICTを利用した授業ができるかどうか確認を進めていたのだ。

その理由について、「3月の長期の休校があった時に、子どもたちが学校にいけない状況が続いて、学校への所属意識がだいぶ下がってきていて、少し意欲が低下していると。学習意欲の低下が一番怖い。そこで何かできることはないかと、学習環境をどう整えられるかということで調査をさせていただいた」と話す教育委員会の佐々木潤指導主事。 アンケートの結果全ての家庭にネットワーク環境や端末がそろっているわけではなかったが、長岡市は学習意欲を維持するために、オンラインでの学活や質問教室の実施を決断。端末のない家庭には、パソコンを貸し出した。 この取り組みを進めたこともあり、長岡市の先生は全員がウェブ会議システムを使用した授業を経験し、佐々木指導主事は「今後、1人1台端末がくるとなったときにも、長岡の先生方は、そういった使い方も力をつけてくれたので、生かせるかなと考えています」と話す。

動画学習で生まれる新しい学校教育の形 新潟県立教育センターは、休校による学習の遅れをオンラインでサポートしようと、4月から県内の小中学生に向け授業動画を配信している。作成した動画の数は200本にのぼり、制作は現在も続いている。 動画は全て教科書に沿った内容で、児童・生徒が家庭からアクセスし、学びを進めることができる。

教える側は、魅力的な動画づくりに懸命だ。 教室の中央にカメラを置き、生徒が使う机には3本の水筒が置かれている。 「できるだけ生徒がいると思って、視線を生徒がいる目印の方に合わせたり、生徒とのやりとりを想像しながら話をするようにしています」と水筒を生徒に見立て、ライブ感のある授業を目指していると話した。

出来上がった動画にはテロップもつけ、さながらYouTuberだ。 動画学習には、対面での授業にはない利点があり、その1つが「とめてボタン」の活用だ。 通常の授業の中でどうしても発生する理解のスピード差。問題を解き終わった生徒が待たされたり、急いでやらなくてはいけない生徒が出てくる中で、「動画を一旦止めて、自分のペースにあわせて学習を進めることができる」という。

今後、1人1台の端末が整備されれば、動画教材で授業を進め、教師は児童・生徒1人1人のフォローに専念するという新しい学校教育の形が生まれる可能性がある。 新潟県立教育センターの泉田雅彦次長はこの取組についてコロナ禍の教育以外にも活用が考えられると話す。

「まず緊急的なこととしては、新型コロナウイルス感染症の第2波・第3波に備えるという意味があります。そのほかの、例えば不登校で学校に来られない、病気で欠席をしている場合の対応であるとか、そういったことも考えられます」 コロナ禍で導入したアプリが授業のサポートに 一方で企業が作る“授業”を導入したのが愛知県の県立高校だ。

愛知県では、休校期間中の授業の遅れを取り戻すべく、6月からリクルートが提供する「スタディサプリ」というアプリの導入が始まった。動画に登場し授業を教えるのは、全てプロの予備校の講師だ。 動画は長くても1本20分から30分。単元ごとに細かく分かれていて、国語、数学など主要5教科・18科目、約4万本が見放題になっている。 スタディサプリは8年前、個人向けに始まったが、最近では学校単位での利用も増加しており、高校は現在全国約5000校のうち、半数の2500校が利用しているという。

さらに新型コロナ感染拡大後は、3カ月で600校以上の申し込みがあり、会員数は110万人にのぼる。 中学1年生からオーボエを始め、プロの演奏家をめざしている麦沢菜穂さんは、愛知県立明和高校の音楽科に通う3年生だ。 県内の公立大学への進学を目指しているが、休校期間中は「最初休みになった時は、ちょっと英単語覚えようかなとか、頑張ろうかなと思ったんですけど、結局大してやらなかったですね」と、あまり勉強はしなかったという。

大好きなオーボエの練習ははかどったというが、それ以外の科目の勉強はほとんど進まなかったそうだ。そんな彼女が、6月から「スタディサプリ」を使い始めた。 「目の前にいるみたいな感じでサクサク進んでくれたので。テンポ良く最後まで、あっという間に聴けました。学校の授業で受けてみて苦手だったところとか、理解がイマイチだなってところを、再生ボタンを押すだけで何回でも見られるから、すごくためになると思いました」 一方、受験生の娘を心配していた麦沢さんの母も「すごく分かりやすくて。自分が授業を受けても分かるって思って。ちょっと学校の授業とは雰囲気違うよね、割と必要なことだけを言ってくれているんだなということがすごく分かったので」と、一安心の様子。

学校側は今回のスタディサプリの導入で、先生の仕事の有り様にも変化が生まれる可能性を感じている。 「復習あるいは予習の部分で、1週間に1課題程度、この動画を見たりこの問題を解いたりということを、スタディサプリを通して指示を出すようにしています」

学校としては新型コロナウイルス感染症の第2波、第3波により、再び休校を余儀なくされた時にスムーズに利用できるよう、今は準備期間と捉えているようだ。 「どうしても1クラス40人に対して授業を展開していくと、全員しっかり理解できるまで時間をかけるということが難しいところが実際にあります。『分からない状態になったら、スタディサプリのこの講座がいいよ』ということが言えると、新しい学びの形が生まれてくると思います」 新型コロナウイルスが引き寄せた教育の大変革期は、今私たちの目の前に来ている。

こうした状況について、富山大学大学院の長谷川准教授は、「今までは学校で使う物というと、鉛筆とかノートといったイメージでしたが、端末も文房具と同じような感覚で使えるようになっていくことが望ましい」と話す。 その上で将来については「調べたいことを決めて、どう調べるかを考え、情報を分析し、まとめて人に伝える力が必要とされる」と述べ、1人1台のICT端末が整備されれば、そういった学習も可能になると指摘する。

今後、実際に1人1台の端末が確保できるかなどの懸念材料もある。しかし収まる気配を見せないこのコロナ禍が引き寄せた教育の大変革期は、私達の目の前に来ている。 (この記事はFNNプライムオンラインとYahoo!ニュースの共同企画です。新型コロナウイルスの感染拡大により、大きく変わった私たちの暮らし。日常を取り戻そうと奮闘する姿を、地元メディアの視点から伝えます。) 〔2020年9/30(水) FNNプライムオンライン〕


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ADHD(注意欠如・多動症)当事者の借金玉さん。 発達障害の僕が「毎日怒られていた子ども時代の自分」に絶対伝えたい2つのこと 『発達障害サバイバルガイド──「あたりまえ」がやれない僕らがどうにか生きていくコツ47』が5万部のベストセラーとなっている、ADHD(注意欠如・多動症)当事者の借金玉さん。まだ34歳だが、その生い立ちは「ジェットコースター」という言葉がぴったりの、波乱万丈な内容だ。 発達障害を誰にも理解してもらえないまま、不登校を繰り返してきた小中高校時代。「このままじゃヤバい」と一念奮起して早稲田大学に進学し、大手金融機関への就職を果たした大逆転時代。しかし結局「普通」の仕事がまったくできずに退職し、起業にも失敗した「うつの底」時代……。 30歳の頃には、死ぬことばかり考えて「毎日飛び降りるビルを探していた」借金玉さんが、どん底から脱することができた理由。それは、生活、そして人生を立て直す「再起」のテクニックをひとつずつ身につけていったからだった。 子ども時代から「普通」や「あたりまえ」のことができなくても生きていくために、本人・親ができることは何なのか? 借金玉さんに話を聞いた。 (取材・構成/樺山美夏、撮影/疋田千里)● 「忘れ物ランキング」ぶっちぎり1位

――借金玉さんが、「普通」や「あたりまえ」のことができないとはじめて自覚されたのは、いつ頃だったのでしょうか。 借金玉 小学生の頃からずっと不思議だったんです。「なんでみんなお道具箱を整理したり、学校でもらったプリントを親に見せたりできるんだろう?」って。僕は何ひとつできなくて、先生が作った「忘れ物ランキング」でもずっとぶっちぎりの1位でした。 そのうち先生もあきれて叱られることもなくなり、友だち関係もうまくいかず、そもそも朝起きられなかったので、学校に行かなくなりました。今振り返ると、あの頃すでにうつを発症していたので、正しくは「学校に行けなくなった」んですね。両親も明らかにおかしいと思ったみたいで、精神科に連れていかれました。

――今から20年以上前だと、「発達障害」についてまだ一般に認知されていませんでした。 借金玉 あまりにも辛かったので、正直当時のことは記憶があいまいなのですが……病院では、双極性障害の診断が出ました。小学4年から6年まで、ほとんど学校に行っていません。 処方された薬を毎日飲みながら、家で本ばかり読んでいました。親が「飾る」ために買った、誰も読んでない文学全集が家にあったんです。当時はとにかく、本を読むことだけが救いでした。 でも、中学生になった頃から自我が芽生えてきて、「グレる」ってことを覚えたんです。「グレる」のはすごく社会性があることで、いつも友だちとたまったりしているだけで仲間意識が強くなるんですよ。しかもグレてる子たちは、「言われたことをやらない」とか、「先生の言うことを聞かない」ことがアイデンティティなので、その集団にくっついていると少し楽になれたんですね。「そうだ、俺もグレてるんだ!」と思って、行動規範を不良に近づけると、ひとつの社会の一員になれた気がしたので。

――帰属意識を持てる居場所があったから、家に引きこもらずにすんだわけですね。 借金玉 柔道部に入っていて体も大きかったので、不良カルチャーの中でナメられずにすんだのも良かったと思います。「いざとなったらぶん殴る」という手段を使えましたから。 ただ不良仲間とつるんでいると、だんだん上下関係がめんどくさくなってきて。「何々先輩が怒ってるぞ」とか、「あの先輩とすれ違ったら挨拶しないとボコられるぞ」とか、文脈がイマイチわかんないんですよ。だから中学時代も半分は学校を休んでいました。それでも卒業できたから、義務教育って素晴らしいですよね。

●「教育」の難しさ……二次障害のリスク

――親御さんとはどういう関係だったんでしょうか。 借金玉 僕にとっては、父親の存在は本当にきつかったですね。父親は、社会的にみるとすごくまともな人間なんです。仕事もできて社交的で、やるべきことをちゃんとやっているという意味では、父親像としても高い点数をとれると思います。だからこそ、「普通」ができない人間のことをまったく理解できなかった。 「お前はサボってる! ちゃんとやれ! ちゃんとやればできる!」――そんな風に、いつも怒られていました。 当時はまだ、自分が発達障害だという自覚がなくて、「人ができることを自分はサボってしまっているんだ」という罪悪感もあったので、その罪悪感を消化できないまま父親に反発していました。だから、言い返すこともわけわかんないことになって、お互い感情のぶつけ合いになるから、親子関係はめちゃくちゃでした。 けれども今振り返ると、親は親で間違いなく善意で行動しているし、必死なんです。なんとかしたくて。ただ、「なんとかしたい」の方向って難しいですよね。

――それはかなり辛い状況ですね……。親の「教育」が裏目に出て、二次障害につながってしまうケースもあると聞きました。 借金玉 はい。『発達障害サバイバルガイド』には「うつ」の章も入っているのですが、発達障害者のうち、多くの人が二次障害で悩んでいます。僕も小学校時代に発症した双極性障害とは25年の付き合いです。最近はうつがひどくて、「過眠」と「不眠」の症状が交互に襲ってきます。この取材場所に来る直前まで布団から起き上がれず、100時間くらい眠っていました。 発達障害は生まれつきだから仕方ないけど、せめて二次障害がなければ……と思うことは多いです。親が子を「適応させよう」とがんばった副作用としての二次障害の恐ろしさについては、ぜひ、多くの人に知ってほしいと思います。

●学校生活はいずれ終わって、君は自由になる ――過去の自分、そして同じ立場の発達障害の子どもたちに伝えたいことはありますか? 借金玉 子どもというのはとても辛い立場です。自分の生活を自分で変えていくことが非常に難しい。使えるお金もモノもスペースもあるいは時間も……すべてが限られているし、いつも「ちゃんとやれ」と叱るおっかない人が近くにいる。僕も「もう一度子どもをやれ」と言われたら怖くて泣き出してしまうでしょう。

そんな僕から発達障害に苦しんでいる子どもたちに伝えたいことは2つ。 ひとつは「学校に行かなくていいから、勉強はしよう」ということ。勉強は生きていくうえで最低限必要な武器なので、「読み書き」「そろばん」のどちらかだけでも、身につけておいた方がいいです。 もうひとつは、「もっとズルしていい」ということ。これは、できないことを無理してやらないためのひとつの考え方です。たとえば僕は小学生時代、教科書を2冊買って、1冊は学校に「置き勉」していました。当然バレて先生に怒られましたが、それでもやめなかった。「忘れ物をしないように気をつけよう!」と何度心に誓ってもダメだった僕なりの、ささやかな工夫でした。

学校というのは「ちゃんとやれる子」のためにあります。毎日遅刻せずに通学して、授業を集中して聞いて、きちんとノートを取り提出物を出す。そういう子が「正しい」とされます。 でも、大人の世界で「みんなと同じようにちゃんとやる」人は、実は大した大人じゃありません。だって、それじゃ「みんなと同じ」程度の結果しか出ないですから。誰よりも上手なズルのやり方を見つけてずば抜けた結果を出すのが、「すごい大人」です。 学校生活はいずれ終わって、子どもだった君は自由になります。何を目指し、何を求め、何をするか、すべてを自分で決められる。そのとき「みんなと同じようにちゃんとやる」ことに、何の価値もないことに気づくと思います。普通であることよりも、生きていくことのほうが重要です。今はとても辛いと思いますが、そのことを忘れないでください。

ダイヤモンド社書籍編集局 〔2020年10/9(金) ダイヤモンド・オンライン〕


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ADHD(注意欠如・多動症)当事者の借金玉さん。 発達障害の僕が発見した「学校に適応できず破滅する子」と「勉強で大逆転する子」の決定的な差 『発達障害サバイバルガイド──「あたりまえ」がやれない僕らがどうにか生きていくコツ47』が5万部のベストセラーとなっている、ADHD(注意欠如・多動症)当事者の借金玉さん。まだ34歳だが、その生い立ちは「ジェットコースター」という言葉がぴったりの、波乱万丈な内容だ。 発達障害を誰にも理解してもらえないまま、不登校を繰り返してきた小中高校時代。「このままじゃヤバい」と一念奮起して早稲田大学に進学し、大手金融機関への就職を果たした大逆転時代。しかし結局「普通」の仕事がまったくできずに退職し、起業にも失敗した「うつの底」時代……。 30歳の頃には、死ぬことばかり考えて「毎日飛び降りるビルを探していた」借金玉さんが、どん底から脱することができた理由。それは、生活、そして人生を立て直す「再起」のテクニックをひとつずつ身につけていったからだった。 今回は、学校にほとんど行かなかったのに借金玉さんに、それでも大学に受かった勉強のポイントについて話を聞いた。 (取材・構成/樺山美夏、撮影/疋田千里)

●何があっても「学力」をつければサバイブできる

――前回の記事で、「学校に行かなくていいから勉強はしよう」と子どもたちに呼びかけていました。 借金玉 発達障害といっても千差万別で、「学校」に適応できないだけで、「勉強」ができないわけじゃない子もたくさんいます。でも、学校で「ちゃんとしろ!」「なんでできないんだ!」と怒られ続けると「自分は勉強が嫌いなんだ」と勘違いしてしまう。これは、本当にもったいないことです。 何があっても学力だけは身につけておいたほうがサバイバルできることを、当事者にも親御さんにも知ってほしいですね。

――借金玉さんが、不登校によって小学校の授業で習う「基礎学力」の部分を身につけられなかったことは、その後の進路にも影響したと思います。どう克服していったのでしょうか。

借金玉 僕は、小学校4年生からほとんど学校に行っていません。結果、「鶴亀算」とか「日本地図」とかを習わないまま中学に入学したので、ものすごく苦労しましたね。 試験中、数学の問題を解くときに手が止まっちゃうんですよ。解法はわかっていても計算ができなくて……「3+2」を間違えたり。今でも2桁の計算は、計算機アプリのお世話になっています。

 僕の勝手な分類ですが、勉強には ・「知識」が必要なもの ・「練度」が必要なもの の2種類があります。

先ほど数学の問題を解くときに解法はわかると言ったのが「知識」。計算で手を動かすのが「練度」を必要とする部分ですね。 僕ら発達障害傾向の強い人間は「ウォーーーーッ」と徹夜して知識を詰め込むのは得意な人が多いと思うんです。ただ、このやり方には盲点があって、ある一定の分野は、コツコツ「練度」を高めていない限り試験本番でどうしても手が動かない。先ほどの計算もそうだし、英単語の暗記なんかもこの部類です。小学生時代に繰り返しやる計算問題ってつまらないけど、やる意味があるんだなと後から気づきました。 練度が必要な問題には、受験だけではなくて就職試験のSPIでも出会うことになるので、注意が必要です。

――中学、高校時代はほとんど学校に行っていなかったそうですが、成績はいかがでしたか? 借金玉 成績は悪くなかったです。ただ、中学時代はあまり素行が良いとは言えなかったので内申点が悪すぎて、進学先が限られてしまったんです。仕方なく入った高校は授業の質が低すぎて、「こんな授業だけ受けていたらどこの大学にも行けないぞ」と。 それで、高校時代の終盤は大学受験の勉強(過去問を繰り返すこと)だけに集中していました。「進級に不必要な点を1点たりとも取らない」というモットーで。 先生は「授業をちゃんと聞けば東大でも行ける」っていうんですよ。でも、3年生になって大学の受験要綱を見たらそもそも教科すら足りてない。いわゆる履修漏れ問題に当たったんですが、あれは「教師や学校なんて信用できない、自分で考えて決めないと大変なことになる」という素晴らしい教育でしたね。

●文章が読めると、あらゆる教科で有利になる ――学校に行かなくても、学力をつけるために必要なことは何だと思いますか? 借金玉 具体的に大切なことは、2つあります。 ひとつは家に、学習用の机とイスを置くこと。

僕はかつて補習塾の講師をしていたことがあります。いわゆる、学校の学習についていけない子どもたちをメインの顧客とした学習塾です。そこで気づいたことは、学校の学習についていくことに苦戦している子どもたちの多くは、「学習のための机とイス」を持っていないという事実でした。 彼らは、ご飯を食べるためのちゃぶ台(こたつ)しかない家に住んでいた。専用の場所がないために、学習習慣がいつまでたっても身につかないのです。 2つめは、本を読むことです。読書を積み重ねると「文章を読む力」がつきます。これは、いわゆる教科ごとの学習「以前」のあらゆる勉強の基盤となります。「読み書きそろばん」というやつですね。

具体的な成果としては、参考書や問題文を読むのが速く、正確になる。結果、2倍、3倍とテストの点に跳ね返ってきます。 それから、文章をちゃんと読めると、物事の流れや因果関係がつかめます。たとえば歴史を一問一答の語呂合わせで丸暗記するのには時間的にも限界がありますが、流れがわかっていれば、どこが試験に出ても対応できます。 僕は小さい頃からジャンルを問わずありとあらゆる本を読んでいました。学校の休み時間、友達が一人もいなくて机に突っ伏して寝てるの、辛いじゃないですか。そういうときも、本を読んでいれば誰も話しかけてこないし、不自然じゃない。 最初は学校でも家でも居場所がなくて現実逃避で始めたことが、後から僕を助けてくれた。本当に幸運でした。辛い現実から逃げる力に後押しされていなければ、僕は「本を読む力」を身につけられなかったと思います。

●発達障害の人には、都会のマンモス大学がおすすめ

――1度合格した大学が合わなくてやめて、2回目の受験で早稲田大学に合格したんですよね。キャンパスライフはいかがでしたか? 借金玉 何の苦労もなかったです。授業はすべて自分で選べましたし、教授にどれだけ逆らっても、それが当たり前のような文化の大学ですから。それと今は数が減っちゃったんですけど、大学校内にあった喫煙所がすごく楽しかったんですよ。喫煙所って、大学の人間関係からはみ出した人が集まる場所なので。 たとえば、26歳になるまでフラフラしてたら家業を継ぐことになって、親から「せめて早稲田ぐらい出てこい」と言われた人とか、暴走族にいたけど飽きたから早稲田に入ってきた人とか。8年ぐらい大学にいる先輩もいましたね。仏像を背負っている人がいたときは、「なんで仏像を背負ってるんですか?」って聞いたら、「今考えごとをしているから」と言われて、「なるほど」と妙に納得したり(笑)。

変わり者は自分だけじゃないことがよくわかって、めちゃくちゃ面白かったです。僕みたいに、他と協調したり縛り付けられるのが苦手な発達障害者は、できるだけ均一化していない自由度の高い環境(例えば都会のマンモス大学)を選ぶことを何より重視したほうがいいと思います。 おかげで僕は「不登校生活が長かったにもかかわらず早稲田大学を卒業できたこと」が、社会へ出て行く上で大きな自信につながりました。その自信も結局打ち砕かれることにはなりましたが、それでもないよりはずっといいですね。

【大好評連載】 第1回発達障害の僕が「毎日怒られていた子ども時代の自分」に絶対伝えたい2つのこと 第3回 発達障害の僕が失敗から見つけた「向いている職業」「避けるべき職業」(★10/10~掲載) 第4回 発達障害の僕が伝えたい「意識高い系」の人が人生から転落する危うさ(★10/11~掲載)

ダイヤモンド社書籍編集局 〔2020年10/9(金) ダイヤモンド・オンライン〕

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マンガ家・荒木飛呂彦 コロナ禍で響くジョジョ作者の言葉「自分を信じてマンガを描き続けることが使命」 マンガ家・荒木飛呂彦さん(撮影・全国不登校新聞社) 新型コロナウイルスの影響で、私たちは生活がコロコロ変わる状況をすごしてきました。しかし、いま現在、コロナの影響は、よい意味で収まっているような、まだ深刻な状況でいるような、どうにも捉えがたい不思議な状況にあります。 状況にあわせて動こうと思っても、今をどう捉えていいかも、この先の状況も読めません。 そこでこの記事では、過去『不登校新聞』に掲載された『ジョジョの奇妙な冒険』の作者・荒木飛呂彦さんのインタビューから、この状況を乗り切るヒントを探っていこうと思います。

取材者は自分に自信が持てない19歳 私たち『不登校新聞』編集部では2010年に、不登校をしていた19歳の男性といっしょにマンガ家・荒木さんにインタビューをしました。企画したのは当時19歳の男性自身。彼は不登校やひきこもりの人に限らず、今や10代や20代に共通した悩みでもある「自分に自信が持てないこと」に悩んでいました。荒木さんならこの悩みにヒントを与えてくれるのではと、彼が思ったため、インタビューに至りました。

というのも彼が不登校になったのは小学校2年生の冬。理由は「理不尽なことが多かったから」だそうです。運動会や真冬のマラソン練習、音楽の授業、宿題…、学校の行事や勉強に対して「本当に必要なのか」と疑問に思っていたそうです。そんなことから心は学校から離れていき、登校時に腹痛も襲うようになって不登校に至りました。その年齢が小学校2年生。不登校になったことは後悔していないものの、早くから学校に適応できない自分は「この先も生きにくいのでは」と悩んでいたそうです。そんなときに好きで読んでいたのが荒木飛呂彦さんの代表作『ジョジョの奇妙な冒険』(以下、『ジョジョ』)。荒木さんに「自分に自信が持てない」「将来への不安がある」という悩みを率直にぶつけてみました。

取材を受ける荒木飛呂彦さん(左・撮影/全国不登校新聞社)

――私は小学校2年生から不登校をしていました。いまはフリースクールにも楽しく通えていますが、将来への不安は拭えません。この先のことを、どう考えていったらよいのでしょうか。

私の話をすれば、私はマンガ家としてひとりでマンガを描いています。そうすると「孤独に耐えねばならないとき」が必ずあるんです。たとえば自信を持って描いたストーリーでも、読者に受けいれられないことがあります。そんなときは「なんでなのだろう、世の中の人は何を考えているんだろう」と自信を失い、「私はひとりだ」という孤独感がさらに強まることがあります。そういうときは、天才と呼ばれる先人たちの生き方や姿勢に勇気づけられることがあります。

ゴーギャンというフランス人画家が私は子どものころから好きでした。ゴーギャンのなかでとくに好きなエピソードといえば、絵を描くためだけにフランスからタヒチへまで行ったことです。地球の裏側と言ってもいいような場所へなぜ行ったのか。イメージで描いたっていいし、写真を見て描いたっていいわけです。しかも、そこまでこだわって描いたからといって、かならずしも絵が売れるという保証はありません。でも、そうした確固たる意志や自分の信念に沿った行動を見聞きすると、私はすごく励まされるんです。

マンガ家はかならず孤独を感じるものですが、だからこそ「自分を信じる」という気持ちが大切です。自分のアイデアが読者にウケるかどうかは描いているときにはまったくわかりません。たとえどんなに有名なマンガ家であっても絶対的な確信は持てないと思うんです。私もそうです。マンガ家としてデビューして30年以上が経ちましたが、今でも確信は持てません。それでも自分を信じてマンガを描き続けること、それが自分の使命だと思っています。

荒木飛呂彦さん(撮影・全国不登校新聞社) ――その「自信」を持つためには、どうしたらよいのでしょうか。

修行をするんです。自信を持つための修行です。私はいまでも何十、何百タッチと、毎日たくさん描いています。だからこそ、あまりペンを握ったことがない人では絶対に描けない線を引けます。これは野球の素振りにも通じるんじゃないかと思います。ホームランだって、急に打てるようになるものではないでしょう。表立っては出てこない努力の積み重ねが自信につながっていくんだと思います。

『ジョジョ』を描く前には、知能戦をテーマにした『魔少年ビーティー』や、究極の肉体をテーマにした『バオー来訪者』という作品を描いています。いま読み返してみると絵もストーリーも安定していませんが、この2作品がなければ、『ジョジョ』に行きつくことはなかったと思うんです。

――ありがとうございました。(2011年1月1日号『不登校新聞』掲載より一部編集)

方位磁石(イメージ/写真AC) ◎向かいたい方向性を考える 自信が持てないという19歳に対して、荒木さんは「自分を信じて描くのが自分の使命」だと答えてくれました。

話を聞き終えて19歳の男性は「勇気をもらった」と語っていました。インタビューは10年前に行ったものですが、コロナ禍のいまこそ荒木さんの言葉は指針になると感じています。 こんな状況判断が難しいときほど、荒木さんが話していたように「使命」を定めてみると道筋が見えるのかもしれません。自分の使命やミッションはなんだったのか。そこまで大げさなものはなくても、自分が大事にしているものを原則として方向性を考えてみる。そうすれば、先行きが見えなくても、向かいたい方向性だけは見えてきます。 いずれにせよ、先の見えない若者に説いた荒木飛呂彦さんの言葉は、今だからこそ響いてくるものでした。

石井志昂 『不登校新聞』編集長、不登校経験者 1982年東京都生まれ。中学校受験を機に学校生活が徐々にあわなくなり、教員、校則、いじめなどにより、中学2年生から不登校。同年、フリースクール「東京シューレ」へ入会。19歳からは創刊号から関わってきた『不登校新聞』のスタッフ。2006年から『不登校新聞』編集長。これまで、不登校の子どもや若者、親など300名以上に取材を行なってきた。また、女優・樹木希林氏や社会学者・小熊英二氏など幅広いジャンルの識者に不登校をテーマに取材を重ねてきた。編著書に『学校に行かない君へ』(ポプラ社)など。 〔2020年10/23(金) 石井志昂 | 『不登校新聞』編集長、不登校経験者〕


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保護者とのつき合い方に悩む先生方 「モンスターペアレント」に対応できない、「若すぎる先生」が増加中 いじめ、不登校、保護者との軋轢、長時間労働、新型コロナの影響……。教育現場ではたらく人のストレスとプレッシャーは年々、増すばかり。こうした困難を打開するヒントを与えてくれるのは、著書『いい教師の条件』を上梓した諸富祥彦氏だ。近年、保護者とのつき合い方に悩む教師が増えていると指摘する諸富氏。そんな教師たちに対し、「最初の保護者会で、ぜひやってください」と勧めているワザがあるという。その内容を特別に教えてくれた。

「若い教師」が増えている 近年、保護者とのつき合い方に悩む先生方が増えています。 振り返ってみると、2000年頃から子どもとの関係以上に保護者との関係に疲れる、エネルギーが奪われていると漏らす先生が多くなってきました。モンスターペアレントと呼ばれるようなクレーマーの保護者が増えてきたのです。 さらに加えて、若すぎる教師が急増しています。とりわけこの10年あまりで、教師の年齢構成は随分と入れ替わりました。

20年くらい前は50代が中心の学校も多く、40代が若手と言われることもあったのですが、その中心世代の先生方が定年になりました。代わりに数多く入ってきたのは20代の先生です(上の図は2016年の調査で、現在はさらに50代が減り20代が増えています)。 50代中心の学校から20代中心の学校へと急激に様変わりしたわけです。 一方、親の年齢は上がってきました。少子高齢化社会と言われ、初婚年齢が以前より遅くなり、子どもを産む年齢もかなり遅くなっています。たとえば30歳から35歳で子どもを産むと、子どもが小学生になる頃には親は30代半ばから40歳に、3年生(9~10歳)になる頃には親の年齢は40歳から45歳になってきます。

「最初の保護者会」が勝負だ Photo by iStock 少し前までは、「親よりも先生のほうが年上」が当たり前でした。それはある意味、安定感のある関係性でした。それがこの10年あまりの間に保護者のほうが年上、しかも10歳以上も年上というケースが一般的になってきました。 保護者の中には、若い教師に対して「まだ若くて子どもを産み育てたこともないあなたに、一体何がわかるの?」という態度を露骨に示す方もいます。そんな状況の中で、若い先生が保護者とどうつき合うかということは、学級を運営していく上で大きな問題となっています。

では、どうすればいいか。 私がいつも言っているのは「最初の保護者会が勝負!」ということです。年上の保護者の方々に信頼してもらうためには、スタートダッシュが何よりも重要です。 始業式、1年生であれば入学式の日などには、多くの保護者は教師のことを「この先生は、一体どんな先生なんだろう?」とやきもきしながら見ています。 それは教師にとって大変なプレッシャーですが、見方を変えると「保護者との良い関係」をつくる大きなチャンスでもあります。

保護者と教師は「パートナー」 Photo by iStock 私が、「最初の保護者会で、ぜひやってください」とお勧めしているのは、教師のほうからパートナー宣言をすることです。 「私ども教師と保護者のみなさんは、一緒にお子さんを育てていくパートナーです。一緒に力を合わせて頑張っていきましょう」と最初に、さわやかに前向きに、堂々とした雰囲気で挨拶をしてほしいのです。 教師がリードして、「自分は教師として、どんな関係を保護者ともっていきたいと思っているのか」その構えを示すことが重要です。

次にお勧めなのが「全員が全員と握手!」という構成的グループエンカウンターのエクササイズです。一人ひとりの目をしっかり見て、全員と握手していきましょう。保護者同士も全員が全員と挨拶しながら握手します。 こうやって場を仕切っている姿を見せることで、保護者からは「今度の先生は違う。親しみももてるし、ちゃんとリーダーシップもとれる。若いけど頼りになりそうだ!」と一目置かれるようになるでしょう。 保護者会中に若い学級担任がオタオタしていたり、自信がなさそうにビクビクしていたりすると、保護者のほうとしては「先生、しっかりしてよ!」と文句や注文をつけたくなります。教師が困っている姿を見ると、保護者はますます不安になり、教師への要求やクレームはどんどんエスカレートしていきがちです。

諸富 祥彦(心理学者) 〔2020年10/27(火)現代ビジネス〕

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教科担任制 小5、6年生の教科担任制、兵庫で先行 児童「わかりやすい」 小学5、6年生の授業を学級担任が全て行うのではなく、英語や算数などは専門性の高い教員がクラスをまたいで受け持つ「教科担任制」を取り入れるよう、文部科学省の中央教育審議会(中教審)が検討を進めている。令和4年度からの本格導入を目指すが、実現には課題も多い。先行する兵庫県では平成24年度に原則全公立小学校の5、6年で教科担任制の授業を開始しており、現場からはメリットや課題が浮かび上がる。(小林宏之) 10月中旬。兵庫県姫路市立城東小学校6年の2クラスで、社会と理科の授業がそれぞれ行われていた。

1組で社会の授業を進めているのは、2組担任の柏原正英教諭(37)と、小中学校教員や大学講師などの経験を持つ間森(まもり)誉司(たかし)臨時講師(71)の2人の先生だ。 この日のテーマは室町時代。間森さんが「祇園祭はなぜ始まったんだろう」と問いかけると、参考動画を視聴した児童たちが「病気が流行しないように」などと発言。やがて柏原教諭が武士の装束で登場し、「京都は戦(いくさ)が続き、ひどい状況だ。人々は落ち着いた生活をしたいと思っている」と都の様子を語った。 間森さんが進行し、柏原教諭が歴史上のゲストとなって解説する「コスプレ授業」は、間森さんの発案。同校に着任した今年7月から両クラスで続けている。

「教員がひげを1つ付けるだけで、子供の目の輝きが違う」と間森さん。「めっちゃ分かりやすい。次は誰が出てくるか楽しみ」と話す永尾茉志(まゆ)さん(12)は、以前の授業で紫式部に扮(ふん)したという。 一方、理科室で2組の授業をしている横田直人教諭(36)は、1組の担任で中学数学の教員免許も持つICT(情報通信技術)の専門家。柏原教諭と授業を交換し、自身は2クラスの理科、柏原教諭は社会を担当する。両教諭とも「授業の準備時間を担当科目に集中させられ、より良い授業を多くの児童に提供できる」と口をそろえた。 県教育委員会が24年度に実施した抽出調査では「教えてもらう先生が代わり、授業が楽しいと思うことが増えた」と答えた児童は81・8%に上った。

県教委によると、同県が小学5、6年の教科担任制を検討し始めたのは13年度。教科担任制と少人数授業を組み合わせた「兵庫型教科担任制」を構築し、小規模校を除き24年度から全県で実施した。 中教審は算数と理科、外国語の教科担任導入を想定するが、同県は国語や社会も対象。教員間の「授業交換」を基本に、間森さんのような加配(国による教員定数を上回る配置)教員とのチームによる「同室複数指導」を組み合わせるケースも。城東小では、理科と社会は授業を交換し、社会と算数は同室複数指導、英語や家庭、図工、音楽は専科教員が指導している。

「子供の成長速度は変化しているのに、学校制度はそのまま。中学校では当たり前の教科担任制を小学校高学年で経験すれば、中学校へのスムーズな移行が期待できる」と太田太校長。複数の教員の目で一人一人の子供を見守れるといったメリットも挙げる。 一方で、「本校は人材に恵まれているが、どの学校も専門性のある指導者を確保できるわけではない」と指摘。奇数クラスの場合は授業交換が複雑になり、時間割編成が難しいなどの課題もあると話した。

■「中1ギャップ」解消策にも 小学校の教科担任制は、学級担任制から教科担任制になる中学進学時の学習環境の変化になじめず、不登校などが増える「中1ギャップ」の解消策として注目されるようになった。専門性のある教員の指導による教育の質の向上策としても期待されており、兵庫県のほかに群馬県などが積極的に導入している。

近年は、授業準備などによる教員の長時間労働を是正する働き方改革の視点からも注目されている。中央教育審議会は昨年1月、教科担任制の検討が必要と指摘。今月7日発表の中間まとめでは「小学校高学年から本格的に導入する必要がある」とした。 これらを踏まえて文部科学省は同日、検討会議の初会合を開催。今後、対象科目や専門性のある教員の確保、学校規模に応じた教員配置の在り方などについて議論し、来夏までに方針をまとめて、令和4年度からの導入を目指す。担当者は「教科担任制は小中学校の系統的な学びにつながる。教員の専門性を生かし、教育の高度化を図れるようにしたい」と話した。(地主明世) 〔2020年10/27(火) 産経新聞〕



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子どもの不登校 子の不登校「何かできることは…」と焦る気持ちをどうすればいい? 子どもの不登校に悩まれている親御さんは少なくないのではないでしょうか。3ヵ月先まで予約のとれない心理カウンセラーとして大人気の根本裕幸さんは、そもそも「学校に行くのが普通」という親の考え方が問題の根源にある、とアドバイスをくださいました。

【カウンセラーの神回答】姑との不仲、子の問題行動…家庭がうまくいかないのは私のせい? ゆうりもさんからの質問 Q. 息子が不登校に。親としてどう対応すべきでしょうか? 15歳の子どもが、中学は不登校に、通信制高校は一学期で中退しました。高校選びの時は「高校には行きたい」と言っていたものの、2月3月の事前登校に参加しないまま入学して、行かなくなりました。不登校の理由は、本人は「疲れた」とか「もう無理」としか語りません。いじめではなく、友人関係と、中学時代とのギャップだったのかと思っていました。慎重すぎる性格、小学校での優等生的な態度、ユーモアのセンス、人の気持ちを読むなど、最近話題になり始めたHSC(ハイリーセンシティブチャイルド)の気質に当てはまる要素が多く、それも学校になじめない原因かと考え始めています。 今はゲーム、スマホテレビ、友人1人と月に2回くらい遊ぶのみです。家族関係としては平和です。夫と話し合いをして、本人には「今すぐに転校や高卒認定など考えず、自分の方向が見えるまで待つから」と伝えようと言っていますし、親としても家族会などに参加しようと考えています。ただ本当にそれで良いのか、もっと伝えるべきことがあるのではないかと悩んでいます。(40歳)

根本裕幸さんの回答 A. 学校になじめない性格の子どももいます。その子に合う環境を親が見つけてあげましょう。 mi-mollet(ミモレ)

不登校の悩みというのは、親が「学校に行ってほしい」と思っているから生まれるものです。親が「別に学校なんて行かなくてもいいじゃん」と思っている家には生まれないのです。親が学校に行くことに執着していると、学校に行きたくない子どもは「親は私を分かってくれない」と思い、そこに心理的対立が生まれてしまいます。ですから、ゆうりもさんがお子さんを無理に学校に行かせようとしていないのは、素晴らしいことだと思います。 ゆうりもさんのお子さんのケースの場合、問題の根っこは非常にシンプルで、要はお子さんは学校になじめない性格なのだと思われます。たとえばこれが習い事なら、始めたもののその先生が合わないと感じたら、別の先生に変えますよね。大人になって会社に入ったときは、会社が合わないと感じたら転職をします。これが当たり前ですよね。ところが学校だけは、“変える”というシステムが許されていないのです。大変不思議なのですが……。

なじめない環境にずっといたところで、得られるものはありません。ただ学校も勉強も嫌いになってしまうだけです。ですから子どもが学校になじめなかった場合、その子に合う環境を探してあげる。それが親の役目だと思うのです。まだまだ少ないですが、今は様々な形態の学校もできてきています。もちろん、必ずしも学校でなくとも良いでしょう。私の知り合いには、海外に行った子もいますし、毎日絵を描いてメルカリで売っている子もいます。ゆうりもさんも、お子さんに合う環境を探し出してあげてください。お子さんの方向性が定まるのを待つのも良いですが、「問題児」として扱われる期間をあまり長くしないことも大切です。

恐らくお子さんは、小学校、中学校も我慢して通っていたのだと思います。ですから親は味方なんだということを示して、お子さんに合う環境を見つけてあげましょう。大切なのは、お子さんの未来をデザインする意識で探すことです。そのためにも、まずは「学校に行くのが普通」という親自身の意識を変えるようにされてください。

PROFILE根本裕幸1972年生まれ。1997年より神戸メンタルサービス代表・平準司氏に師事。2000年にプロカウンセラーとしてデビュー。以来、述べ15000本以上のカウンセリングをこなす。2001年、カウンセリングサービス設立に寄与。企画、運営に従事し、2003年からは年間100本以上の講座やセミナーもこなす。2015年より独立。フリーのカウンセラー、講師、作家として活動している。『いつも自分のせいにする 罪悪感がすーっと消えてなくなる本』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『人のために頑張りすぎて疲れた時に読む本』(大和書房)、『子どもの将来は「親」の自己肯定感で決まる』(実務教育出版)など著書多数。ブログはコチラ→https://nemotohiroyuki.jp/  山本 奈緒子1972年生まれ。6年間の会社員生活を経て、フリーライターに。『FRaU』や『VOCE』といった女性誌の他、週刊誌や新聞、WEBマガジンで、インタビュー、女性の生き方、また様々な流行事象分析など、主に“読み物”と言われる分野の記事を手掛ける。 取材・文/山本奈緒子 根本 裕幸 〔2020年10/25(日) webマガジン mi-mollet〕 


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コロナ禍のメンタル面 コロナ禍の今こそ備えておく“執着しない”“離れる”受け流し力|VERY このコロナ禍で「親に、こんなときに保育園に預けるの?と言われた」「同僚の無神経な言葉にイライラ」「みんなが自粛中に仕事に行く罪悪感」…。いろいろな価値観がいつも以上に交錯し、人付き合いに悩んだママも多かったステイホーム期間。心理学者で上級教育カウンセラーである諸富祥彦先生曰く、そんな心のモヤモヤの対処には“執着しない” “離れる”「受け流し力」が有効。新型コロナウイルスが人に与えた心理的な影響や、ウィズコロナ時代を生き抜く心構えなどについて伺いました。

――コロナウイルスの影響で、世の中が大きく変わったことでメンタル面にはどのような影響が出ているのでしょうか。 孤独に強く家にこもりたい傾向の強い人の中には、休校や在宅勤務で大っぴらに一人の時間を作れてほっとしたという人もいるのです。不登校の子どもたちもその傾向にありました。緊急事態宣言解除後は、学校が再開したり、リモートワークから通常業務に戻ることで、突然オンになったりオフになったりする環境に振り回され、適応できない人も出てきています。

――そのなかで、自分と違う意見に振り回されることも少なくないようです。その場では相手の意見を否定せず、波風を立てないようにふるまっても、内心モヤモヤがたまっていることもあるかもしれません。上手に受け流す方法はありますか。 受け流せれば一番いいですよね。受け流すというのはどういう意味か。それは「執着しない」ということです。それはある意味瞑想的な思考で、「ああ、そう。そう思うんだ」と頭の中でただ受け止めて、流す。なかなか流せないな、と感じるならそれは自分に執着があるから。違う意見の人間と出会ったときにいちいち衝突していたら大変です。相手の意見を否定せず、いったんは受け入れる。お母さん方の対応は賢いと言えるでしょう。ではなぜ、心がモヤモヤするのか。「承認欲求」がこうした人間の苦しみの大半を作り出しているように思います。好かれよう、相手を変えようとしても「相手と過去は変えられない」のです。承認欲求自体は誰の心の中にもあるもので完全にゼロにする必要はありません。ただ、必要以上に好かれたい、認められたいという執着を手放す方法はあります。それは簡単なことで相手の目をきちんと見ながら、心の中でこっそりと「この人にどう思われてもかまわない」と何回も何回も唱えてください。「そんなことで?」とお思いになるかもしれませんが心のつぶやきが変わると人間はものの受け止め方が変わるのです。

――お母さんたちの中には休校や登園自粛で大変だったという方が多いです。 多くの皆さんがコロナの状況に応じて無理やり自分を適応させている状態でしたね。育児中の親御さんの中には、子どもと何時間一緒にいても苦にならないという人がいる一方、ある程度の時間、子どもと離れられるからどうにか育児が続けられるという人もいるのです。それは子どもの育てやすさとも関わっていてどちらが良い、正しいというわけではありません。ただ休校によって、突然、多くの方が子どもと強制的に24時間過ごすような生活になってしまいました。そのうえ仕事や家事もあるということは、毎日普段以上のストレスを強制的に浴びているということ。大切なのは「何とかして子どもと離れる時間を作ること」です。本当ならカフェに行ったり、カラオケで1時間シャウト系の曲を歌うのが一番いいです。ただ、今の状況ではそうもいかないでしょうから、イライラしたときは、トイレに5分間こもる。これだけでいい。「イライラしたらいったん相手と離れる」。子育てに限らず人間関係の基本です。

――今、VERY世代に知っておいてほしい心がけはありますか。 今後の状況しだいでは、再び緊急事態宣言が出たり、学校が休校になる可能性もゼロではありません。コロナの時期に限ったことではありませんが、大切なのは、「パーフェクトは目指さない」ということ。「私はあなたの期待にこたえるために生きているのではないし、あなたも私の期待にこたえるために生きているのではない」ということを肝に銘じてください。これは「ゲシュタルトの祈り」という心理学で有名な詩の一節です。「私は私、あなたはあなた」、今後もこの価値観を持ち続けることですね。

教えてくれたのは… 引用元:VERY

●諸富祥彦先生 明治大学文学部教授。教育学博士、臨床心理士、上級教育カウンセラー。筑波大学大学院博士課程修了。千葉大学助教授を経て現職。「悩める教師を支える会」代表、日本トランスパーソナル学会会長、日本カウンセリング学会理事。 撮影/古本麻由未 取材・文/高田翔子 構成/湯本紘子 *VERY2020年10月号「ママになったら「受け流し力」。」より。 *掲載中の情報は誌面掲載時のものです。 〔2020年10/28(水) magacol〕 


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不登校との付き合い方 子どもが辛く苦しいとき、相談してもらえる親になるには?[不登校との付き合い方(3)] 子どもに何か悩みがあるんじゃないか、と思っても、小学校高学年くらいになると聞いても素直に答えてはくれません。でも、ほんとうに苦しくなってしまう前に、話してほしいものです。「不登校新聞」編集長の石井志昂さんに、子どもにとって話し相手になりやすい保護者になる方法について聞きました。

親子の会話を、楽しい「雑談」にしてみる

子どもにとって話しやすい相手とは、雑談ができる相手です。親子の間で、ふだんから「雑談」をしているか、ちょっと振り返ってみてください。保護者が子どもに話しかけるときに、まず「注意」から始まってしまうことが少なくないのではないでしょうか。「手は洗ったの? うがいした?」「テレビ消しなさい、宿題は?」と言うのは、一方的な「注意事項の伝達」であって、雑談ではないですよね。 では、雑談はどうやって始めるのかといえば、相手が好きなことを聞くのが一番です。たとえば、子どもがゲームをしていたら、「そのキャラクターは何?」と聞いてみる。「ゲームばっかりして」とため息をつくのではなく、子どもがしていることに興味をもって話しかけてみる、ということです。

雑談ができる親子は、大切なことも話してくれる関係に 子どもも話に乗ってきてくれたところで気をつけたいのは、途中で話を違う方向に持っていかないことです。「そんなにゲームが好きだったら、将来ゲームを作る人になったらいいね」とか、「ゲームを作れるようにプログラミングの勉強してみる?」といったような、将来のことや勉強に絡めた話に持っていかないでほしいです。 子どもがしたい話は「今」の話です。今、楽しんでいることを聞いてほしいのに、そんな将来のことを持ち出さないでほしいと思っています。そして、子どもが好きで楽しんでいることは、子どものほうが詳しいし、子どもに教えてもらおうとする態度で話すほうがよいと思います。

こうして雑談がふだんからできていると、子どもに何かあったときや、苦しいと感じているときに、「どうしたの?」と聞きやすいし、子どもも話してくれます。「友達とのことで困っていることはない?」といったことも聞きやすいし、子どもも話しやすいでしょう。「今」に軸が合っていれば、雑談の続きで聞いても大丈夫なものです。 解決策は先回りしないで、子どもが求めたときに提案する もし、子ども自身が将来について語ろうとしたときには、黙ってうなずいて聞いてあげましょう。気をつけたいのは、話を先導しようとしないことです。「だったらこうしたらいいじゃない?」と、聞かれてもいないアドバイスをすると、子どもは逃げていきます。

実際に、不登校の子どもと保護者の学校相談会という場面でよく見かける失敗なんですが、 保護者が、子どもが知らないうちに学校のパンフレットを山ほど集めてきて、テーブルに並べるんですよ。保護者としては「あなたが行ける学校はたくさんあるのよ」と伝えたいのだと思いますが、子どもはそれがいやなのです。もし、子ども自身が「自分が行ける学校なんてないよ!」と言ったときに、「そんなことはないよ、学校はいっぱいあるんだよ、お母さん調べたんだ」と言いながらパンフレットを出すのであれば、「お母さん、すごい!」となるのですが。 子どもが自分から話し始めたら、大人は先に立って話を先導しようとせず、あとをついていくようにして話を聞いてあげてください。問題を勝手に決めつけて、求めてもいない情報を提供されたら、誰でもいやなものです。この気持ちは、子どもでも同じなんだ、ということを忘れないでいましょう。

まとめ & 実践 TIPS 大人はいつも、何かしら子どもにアドバイスしたくなるもの。でも、アドバイスを求めてもいないのに提案されるのは、自分の気持ちに寄り添っていないと感じてしまいます。アドバイスする前に、今の子どもの様子をよく見て、何が好きで何に夢中なのか、耳を傾けてみます。まずはふだんから楽しく「雑談」することから始めましょう。

プロフィール 石井志昂 『不登校新聞』編集長。1982年生まれ。中学校受験を機に学校生活があわなくなり、教員、校則、いじめなどにより、中学2年生から不登校。同年、フリースクール「東京シューレ」に入会。17歳から不登校新聞社の子ども若者編集部として活動。不登校新聞のスタッフとして創刊号からかかわり、2006年に編集長に就任。現在までに不登校や引きこもりの当事者、親、識者など、400名以上の取材を行っている。 〔2020年11/3(火) ベネッセ 教育情報サイト〕 



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くそつまらない未来を変えられるかもしれない投資の話 愉快に生きるために投資するのだ。パンクロッカーにして投資家による本―ヤマザキOKコンピュータ『くそつまらない未来を変えられるかもしれない投資の話』武田 砂鉄による書評 『くそつまらない未来を変えられるかもしれない投資の話』(タバブックス)

◆くそ笑える未来だって見えないわけじゃない 世の中には、金の話ばっかりしている人がいて、そういう人はもれなく話がつまらないのだが、あっちはあっちで、金の話をしたがらないこっちを、つまらなさそうに見てくる。こっちだって、金を稼いで、それで暮らしている。なんで、オマエと話さなきゃいけないのか。 パンクロッカーにして投資家によるこの本は、金の話ばっかりしてくるのに、とても話がおもしろい。「俺はやっぱりパンクが好きで、死ぬまで主体的に生きていきたい」と、人生を楽しむために投資に勤しむ。投資って、「うさんくさい青スーツでキモいクラッチバッグを小脇に抱えたFXなんとか投資家やブロガーみたいな人」のイメージがあるが、そうじゃない。愉快に生きるために投資するのだ。 社内の障がい者雇用率の高い会社に投資をする。「いつも『国がちゃんとしろ!』って思ってしまうような問題も、俺たちの仕事や活動を通して一個ずつひっくり返していけるのかもしれない」。Do it yourself=パンクの精神で投資先を選ぶ。

今、どこもかしこも同じような街作りになり、そこで同じような人が暮らす。そんな光景を作ったのは自分たちだ。「今俺たちの目の前にはうっすらとくそつまらない未来が浮かんで見えるけど、くそ笑える未来も全く見えないわけじゃない」。金は金だけでは語れないのに、金の話をする人はずっと金の話をしている。矢沢永吉のタオルは5000円くらいするのに、どうして次もまたそれを買うのか。こっちを考えたほうがいい。 株価をチェックしながら寿司屋で穴子を食べるスーツ姿の人がいた。この穴子を味わえないようじゃとても成功だと思えない、と言いそうになる。ド直球のツッコミと、意思のある投資。暮らしにパンクが染みている。

[書き手] 武田 砂鉄 1982 年東京都生まれ。出版社勤務を経て、2014年秋よりフリーライターに。 著書に『紋切型社会』(朝日出版社、2015年、第25回 Bunkamuraドゥマゴ文学賞受賞)、『芸能人寛容論』(青弓社)、『コンプレックス文化論』(文藝春秋)、『日本の気配』などがある。 [書籍情報]『くそつまらない未来を変えられるかもしれない投資の話』 著者:ヤマザキOKコンピュータ / 出版社:タバブックス / 発売日:2020年06月29日 / ISBN:4907053401

サンデー毎日 2020年9月6日増大号掲載 武田 砂鉄 〔2020年11/4(水) ALL REVIEWS〕 


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オンライン教育 新型コロナ時代の学びスタイル これからのオンライン教育「7つのキーワード」〈AERA〉 オンライン教育での学びの質が課題に 新型コロナウイルスによる休校を機に始まったオンライン教育。教育現場では、試行錯誤をしながら今の時代に合った学びのスタイルや手法を模索してきました。その後、分散登校や対面授業を経て、オンライン教育はどのように活用されているのでしょうか。『AERA with Kids秋号』(朝日新聞出版)では、これまでのオンライン教育の動向や今後の課題について取材しています。       *  *  * 休校が始まった3月以降、オンラインによる授業がメディアで注目を集めましたが、文部科学省の調査によると、双方向性のオンライン授業をすぐに行うことができた公立学校は、全国でわずか5%だったとか(2020年4月16日時点)。 「もともとICT環境があった学校はオンライン授業がすぐに始まりましたが、そうでない地域ではネットワークや教育プラットフォームの設定に時間がかかってしまった。しかも公立校では環境整備の問題や、全家庭に平等にという観点から取り組みの温度感はさまざまでしたね」

こう話すのは、IT教育について長年取材をする神谷加代さんです。  休校になったばかりの3月は、学校との連絡が少なく、先生や友達とのつながりが途絶えたことに不安を持つ子が多かったそう。しかし4月になると、学びを止めないために、オンライン授業の実施に向けて動きだす学校が出てきました。特に人間関係の構築にと4月に多くの学校で始まった「オンライン朝の会」は、毎朝定時に参加することで、休校中の生活が規則正しくなると好評でした。 「休校中にオンライン授業が行われたことで、対面授業でしかできないこと、オンラインによる効率的な学びなど、それぞれのよさを知る機会にもなりました。学校が始まって対面授業にすっかり戻ってしまい、オンライン授業のほうはやらなくなったところも多いようですが、GIGAスクール構想(注※)も前倒しになったので、両方のよさを生かした学びの機会ができることを期待したいですね」(神谷さん)

それでは、試行錯誤の中で見えてきたオンライン教育の利点や課題などを具体的に見ていきましょう。

1.「個に応じた学び」を進められるようになった オンラインで配信する授業映像や課題に対し、子どもが好きなときに学習に取り組めるようになりました。学校での授業とは違い、子どもが1日の時間を工夫して使いながら自分主導で学習を進めていくことが可能に。授業映像では、わからない分だけを何度も再生して視聴できるため、自分のペースで学習を深めることができます。オンライン授業で出された課題を自分のスケジュールに合わせて取り組み、クラウド経由で提出するというスタイルも見られました。

2.「自治体の温度感」によって取り組みの差も 「教育プラットフォームやデバイスを何にするか」。これを選ぶのは自治体で、選んだものによって学びの形は変わってきます。また、端末の寿命や環境のメンテナンスなども自治体の予算に応じて動くため、どのように環境を整えていくかによって学びへの影響が出る ことも。分散登校が始まったとたん、以前の対面授業に戻ろうとして、せっかく始まったオンライン授業が止まってしまった学校もあるようです。

3.「オンライン・リアル授業の役割」が見えてきた 休校がきっかけで取り組みが広がったオンライン授業でしたが、実際に活用してみると、リアル授業よりも先生が子ども一人一人の考え方を把握しやすい、チャットなどの利用でコミュニケーションがとりやすいといったメリットがわかってきました。同時に対面のリアル授業や学校生活で得られる社会性なども再認識されました。休校中のオンライン授業は、学校のありかたや意義を見直すきっかけにもなっています。

4.「双方向のコミュニケーション」の取り方が今後の課題 教育プラットフォームによって課題やデジタル教材を配信したり、提出したりと双方向でやりやすくなった半面、リアルタイムのオンライン授業では一方的な内容のものも多かったようです。生徒が聞くだけのような解説中心の45分間授業では、モチベーションを保てずに画面をオフにして別のことを行う子どもも。

5.「普段手を挙げない子」も発言できるように 教室で意見を言う生徒は固定されがちですが、オンラインの双方向授業では全員の意見を画面上で確認でき、普段は意見の発表が苦手な生徒の考えを知ることができました。チャットのほうが自分の意見を言いやすいと考える子どももいるようです。

6.「不登校の子ども」も授業に参加しやすくなった 大人数の中で授業を受けることが苦手な不登校の子どもにとって、自宅で取り組めるオンライン授業は非常に参加しやすいものでした。今後はオンラインの活用によって、不登校の生徒に対してもさらに手厚いフォローが行われていくことが期待されます。

7.「先生方の過酷な労働」が浮き彫りになった 休校が始まった3月は年度末。成績処理や新学期の準備でもともと先生方が忙しい時期でした。そんな中で授業のオンライン化が進まなかったり、オンライン授業が始まってもその準備が予想以上に大変だったりしたようです。6月に登校が再開されてからも、先生方は校内の消毒を行い、通常時は生徒がする清掃を担うなど、感染対策で手いっぱいになりました。オンライン授業の新しいチャレンジを生み出すためには、先生方の働き方を見直すことも必要です。 注※ GIGAスクール構想:文部科学省が推進する、生徒1人に1台の学習用PCと高速ネットワーク環境などを整備するプロジェクト。

(取材・文=原 ユキミ) ※現在発売中の「AERA with Kids秋号」では、このほかオンライン授業実践例も紹介しています。せっかく始まったオンライン教育。課題を一つずつクリアしながら、さまざまな可能性を生かす学びになるよう、これからも注目していきたいと思います。 〔2020年11/6(金) AERA dot.〕 


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発達障害の当事者である借金玉さん。 発達障害の僕が発見した「全身ユニクロでも感じがいい人」と「服で損している人」の決定的な差 発達障害のひとつであるADHD(注意欠陥・多動症)の当事者である借金玉さん。早稲田大学卒業後、大手金融機関に勤務するものの仕事がまったくできずに退職。その後、“一発逆転”を狙って起業するも失敗して多額の借金を抱え、1ヵ月家から出られない「うつの底」に沈んだ経験をもっています。 近著『発達障害サバイバルガイド──「あたりまえ」がやれない僕らがどうにか生きていくコツ47』では、借金玉さんが幾多の失敗から手に入れた「食っていくための生活術」が紹介されています。 働かなくても生活することはできますが、生活せずに働くことはできません。仕事第一の人にとって見逃されがちですが、生活術は、仕事をするうえでのとても重要な「土台」なのです。 この連載では、本書から「在宅ワーク」「休息法」「お金の使い方」「食事」「うつとの向き合い方」まで「ラクになった!」「自分の悩みが解像度高く言語化された!」と話題のライフハックと、その背景にある思想に迫ります(イラスト:伊藤ハムスター)。

●汎用性の高い「型」を覚えよう 服というのは「社会的コード」そのものです。社会的コードとは、「あなたはここがどういう場所なのか理解して、その場に見合った振る舞いをしてくださいね」という見えないメッセージのこと。インターネットを眺めてみると「社会人として正しい着こなし」みたいな記事がたくさん出てきますし、それらはだいたいのところ正しいのですが、それでも現実問題を言うと「正しい着こなし」は所属する集団によって規定されるものです。ある場所で正しい着こなしはある場所で間違いになる、そういうことはとてもよくあります。銀行員は銀行員ぽい服を、広告代理店の人は広告代理店ぽい服を、IT社長はIT社長っぽい服を着ていますよね。

空気が読めない発達障害者の僕らは、これを読み取るのが大変苦手です。 僕もできればジーンズにシャツで毎日暮らしたいのですが、実際のところはそうもいきません。また、ASD傾向の強い方は独特の譲れないこだわりを持っている場合も非常に多く、それらと社会的要請をすり合わせるには非常に苦労するところがあります。 では、あらゆる社会的コードに対応できる便利な服とは何か。僕の長年の研究の結果、その答えは「ビジネスカジュアルスタイル」と結論づけられました。 あ、すごく嫌な顔になった方いらっしゃいますよね。はい、わかります。スーツならともかく、ビジネスカジュアルって意味わかんねえよってやつですよね。ネットで調べてもなんかあいまいなことが書いてあってイラつきますね。安心してください。そこにも答えが出ています。 ビジネスカジュアルスタイルをめちゃくちゃ雑に要約すると、 「ジャケット+シャツ+パンツ+カジュアルすぎない靴(とりあえず、紐のついた革靴、もしくはローファーだと思えばいいです)」 の組み合わせのことです。まずはこの「型(組み合わせ)」を覚えて帰ってください。

●私服も仕事も、最悪なホームパーティーにも使える このビジネスカジュアルスタイル、業種によっては「仕事着」にもあるいは「私服」にもなり、オフィスはもちろん、会食、デートなどのプライベートでも使えます。不意にドレスコードのあるレストランに行くことになってもひと安心の服といえます(「会社にはグレースーツにワイシャツで来い」というお仕事の場合は使えませんが、それは悩む必要がないのでいいですよね)。 たとえば、想像してみてください。会社の部長クラスに、突然ホームパーティーに呼ばれてしまった。本当に最悪のイベントです。しかし、バックレるわけにもいきません。さて、あなたは何を着て行けばいいでしょうか。ジーンズにシャツというわけにはさすがにいかないだろう、しかし休日のパーティーでスーツというのもいかにもまずそうだ……。こうした最悪かつ難易度が高いイベントにも対応できます。 僕はもう、これが便利すぎるので基本的に私服も仕事もビジネスカジュアルで固めてしまっています。だってラクなんだもん!

●点ではなくて「型」で考える 具体的にどんなジャケットを買うか、シャツは何色がいいのか、と迷ったときの一番簡単な方法は、紳士服店(原宿のおしゃれ服屋と違って周囲にはおっさんしかいません。安心です。僕は身体が大きいのでサカゼンさんを愛用しています)に出向いて、「ビジネスカジュアルで揃えたいのですが、一番無難なジャケットとスラックスの組み合わせをください」といってみることです。紳士服の店員さんは、何でも教えてくれます。 あとは、そこで買ったアイテムに合わせてバリエーションを増やしていきましょう。注意点としては、ジャケットだけ、シャツだけの「点」では考えず、あくまで「ジャケット+シャツ+パンツ」の「型」(組み合わせ)で考えるのが、混乱しないコツです。きちんとしたいならスラックス、ちょっとカジュアルめにしたいならチノパンという感じで応用してみてください。 「おしゃれ」をしようとするのはとても難しい。でも、「どこに行っても大丈夫な服を着る」のはそう難しくないのです。これさえ習得すれば、もう何を着ていくかで困ることはないでしょう。 借金玉 〔2020年11/5(木) ダイヤモンド・オンライン〕 


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人気YouTuber ナカモトフウフ 「夫の嫌なところは、全部ADHDのせいだった」人気YouTuber ナカモトフウフの発達障害との付き合いかた 夫・ダイスケさんと妻・ちゃんまりさん

沖縄を拠点とし、夫婦の日常を発信する人気YouTube動画クリエイターのナカモトフウフ。夫・ダイスケさんと妻・ちゃんまりさんが、クオリティの高い映像で夫婦のデートや中古車のDIYの様子、ファッション、暮らしの道具などを紹介し、人気を集める。2020年10月現在、チャンネル登録者数は17万人を超えている。

【動画】「夫の嫌なところは、全部ADHDのせいだった」人気YouTuber ナカモトフウフの発達障害との付き合いかた そんな彼らの動画のなかで最も再生回数が多いのは、ダイスケさんのADHD(注意欠如・多動症。発達障害の一種)を、ちゃんまりさんの視点で紹介する動画だ。動画の再生回数は400万回を超え、ナカモトフウフはADHDに関する動画をその他にも複数公開している。 夫婦がADHDとともに暮らす様子に触れて、ふと考えさせられる。 障害とは果たして、どこに、どのように存在するものなのだろうか。筆者もADHDの当事者だが、周囲との関係や置かれた環境によって私たちの特性の表れ方が大きく変化するのは、日々実感するところだ。

紆余曲折を経て障害についての発信を始め、今も障害とともに生きるナカモトフウフに、リモートで話を聞いた。 「何でわたしが成人男性の子守りをしてるんだろう」 夫・ダイスケさんと妻・ちゃんまりさん ものを失くす、電気をつけっぱなしにする、使ったティッシュを捨てずに散らかす━━。 沖縄で同棲を始めた頃、妻のちゃんまりさんはそんな夫のダイスケさんに対して「何でわたし成人男性の子守りしてるんだろう」と思ったという。

ダイスケさんにADHDがあることは、交際が始まる時に伝えられていた。しかし、ダイスケさんだけを頼りに名古屋から沖縄に移住し、友人もいないまま共同生活を始めたちゃんまりさんは、慌てふためくことになった。 「物理的な困りごと、例えばティッシュが散らかっているなら捨てればいいだけなので、耐えられました。でも、何かに集中しているときのダイスケさんとの会話で、言った・言わないということが毎日のように出てきてしまい、会話が噛み合わないのは辛かったです。 友達にさらっと相談したことはあったんですけど、『素敵な旦那さんじゃん』『うちのほうがだらしないよ』と言われてしまい、自分の受け入れる力が足りないのかなと感じて。今振り返れば、カサンドラ症候群(※)のような状態になっていたと思います」

※カサンドラ症候群とは、医学的な定義はないが、一般的には発達障害のある夫を持つ妻が苦しみを周囲に理解されない状況を指すことが多い(偏見を生む場合もあるので、この名称の使用には注意が必要だ)。 唐突に涙を流し始める妻を見て、病院に行った 夫・ダイスケさんと妻・ちゃんまりさん

ナカモトフウフにとって転換点となったのは、“ワイパー事件”だった。 「本当に些細なことなんですけど、車のワイパーが壊れていて、『ワイパー変えなきゃね』『そうだね』という会話を何度もしていたのに、ダイスケさんは忘れていて。『もしかしてわたしが言ったつもりになっちゃっただけで、実は言ってなかったのかな』と疑心暗鬼になっていました。

わたし自身の障害も疑って、ADHDやアスペルガー(ASD)、うつなどのチェックリストを片っ端からやってみましたが、どれもいまいち当てはまらなくて、対処のしようがなかったんです」(ちゃんまりさん) ダイスケさんはかつてから生きづらさを感じ、10年近く前に一度、ADHDの診断を受けていた。しかし専門性の高い病院ではなく「いまいちよくわかっていなかった」という。 「同棲を始めた頃のちゃんまりはいきなり泣き始めることがあったり、これで怒るのかというところで怒ったりすることがありました。彼女は穏やかな性格で、感情をむき出しにするタイプではないので、我慢してくれていたんだと思います。それを見て『これは俺ヤバいわ、人と一緒に暮らすとこんなに迷惑をかけるのか』と思って、病院のセカンドオピニオン、サードオピニオンを受けに行きました」(ダイスケさん)

“感情”と“情報”をわけてADHDを知る この頃から、夫婦は改めて共に歩んでいく方法を模索し始めた。ちゃんまりさんは、ADHDについて詳しく情報収集をし、核心に手を伸ばした。 「ADHDは、感情に関係のない障害だと思いました。ひたすら感情を抜きにして、特性をただ情報として知っていくことを意識していました。 つまり、ADHD特有の行動自体に、感情が乗ってないんですよね。『汚してやろう』『忘れものしてやろう』という気持ちでそうしているわけではなく、『なんかいつの間にかここにティッシュが置いてある』という感じで、無意識なんです。ある意味で、ダイスケさんは教科書通りの行動をしているわけですよね。それに対してこちらが感情でぶつかっていってしまうと噛み合わないんです。感情が乗っていないことに対して感情で返しても意味がないので、感情はいったん抜きにして、理論通りの対応をするようにしました。同じ立場でやる、というか。

情報として客観的に理解したらダイスケさんへの見方が変わっていきました。そして、ダイスケさんの好きなところと嫌なところを書き出してみたら、嫌なところは全部ADHDのせいだったと気づきました」(ちゃんまりさん) ダイスケさんは通院を続け、そのプロセスをちゃんまりさんへと詳細に伝えていった。 「精神科の先生から、なぜか唐突に『牧場を紹介するから牛を育てながら家具を作らないか』と言われて、『牛を育てたいわけでもないし家具を作りたいわけでもないよな』と、僕は逆に感情を中心に話していましたね。そして、ちゃんまりから言われたことを素直に聞く、言い訳しないということを心がけました」(ダイスケさん)

4、5年前の当時は、2020年の今ほどにはYouTubeや記事、書籍でADHD当事者の声に触れられるような状況ではなかった。そんななか、少ない情報を頼りにしてちゃんまりさんがコミュニケーションの術を見出したのは、ある経験があったからだった。 「3年ちょっとの間、写真館でヘアメイクの仕事をしていて、七五三などの撮影に来る小さい子どもたちと接していました。泣き叫ぶ3歳の子どもに、着替えをさせて、手脚を揃えさせて、笑顔で写真に映ってもらう必要があって、そのときのやりとりが役に立っていると最近気づきました。 子どもたちは、『なんで自分が嫌だと言っているのに着物を着させようとするんだ』というアピールをしますし、長時間の撮影に飽きます。そこで、なぜ嫌なのかを聞き出して、お互いに納得した上で、『これは嫌だからやめて、こっちだけやろっか』と妥協点を探っていく作業ですね。たくさんの子どもたちと、本気でそういったやりとりをしていたんです。

感情はそれぞれに理由があって、『嫌だ』『やりたくない』という感情自体は否定してはいけないと思います。否定せずに受け入れて、解決策を出す。それをそのままダイスケさんにやっている感じです」(ちゃんまりさん) ダイスケさんはちゃんまりさんの話を聞き、「頭ごなしに言われないところは心地いいですね。別に赤ちゃん言葉で話しかけられているわけではないので」と笑う。 ハンデはハンデ。ただ、好きな人に苦しんでほしくないだけ 今のダイスケさんは、ADHDを「個性ではなく障害です」と言い切る。

「ハンデでしかないですよね。それを認めてからでしか、本当の道みたいなものは見えてこないなと感じます。 ADHDは、“愛がない”という障害ではないと思うんです。いちばん好きな人が苦しんでいたら、それをどうにかしたい。自分が原因なら、なおさらです。そこを試行錯誤して見つめた結果、これはハンデ以外のなにものでもないな、と立ち返りました。それはそれで受け入れて、できるだけ豊かな暮らしをしてもらうこと、『ありがとう』と『ごめんね』を伝えることを強く意識しています」(ダイスケさん)

ちゃんまりさんはそんなダイスケさんを振り返り、本人の向き合い方も重要だと語る。 「本人にどうにかしようという気持ちがなくて、パートナーだけが頑張っても仕方ないです。そこに障害は関係ないかなと思います」

ちゃんまりさんが隣で語る言葉から、障害と付き合っていくための鍵が見えてきそうだ。 「障害は『2人が困っていること』になるわけだから、そこはもう2人で乗り越えていいんじゃないかな、と考えました。 『障害をポジティブに捉えられるようになった』というようなコメントをいただけると嬉しいです。もともとわたしは、安定をすごく求めていたほうだったんですけど、ダイスケさんと出会ってから、自分だけでは見られない世界を見られるようになりました。だったらその世界を一緒に見た方が得なのかな、こういう生き方もありなんだな、と。

あきらめ半分、やけくそ半分で楽しんでみようと思っています」 遠藤光太 〔2020年11/11(水) ハフポスト日本版〕 

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発達障害の当事者である借金玉さん。 発達障害の僕が発見した「地味な服でも評判がいい人」と「身だしなみで地雷を踏んでしまう人」の致命的な差 発達障害のひとつであるADHD(注意欠陥・多動症)の当事者である借金玉さん。早稲田大学卒業後、大手金融機関に勤務するものの仕事がまったくできずに退職。その後、“一発逆転”を狙って起業するも失敗して多額の借金を抱え、1ヵ月家から出られない「うつの底」に沈んだ経験をもっています。 近著『発達障害サバイバルガイド──「あたりまえ」がやれない僕らがどうにか生きていくコツ47』では、借金玉さんが幾多の失敗から手に入れた「食っていくための生活術」が紹介されています。 働かなくても生活することはできますが、生活せずに働くことはできません。仕事第一の人にとって見逃されがちですが、生活術は、仕事をするうえでのとても重要な「土台」なのです。 この連載では、本書から「在宅ワーク」「休息法」「お金の使い方」「食事」「うつとの向き合い方」まで「ラクになった!」「自分の悩みが解像度高く言語化された!」と話題のライフハックと、その背景にある思想に迫ります(イラスト:伊藤ハムスター)。

●不動産業界に生息する「ツーブロックゴリラ」部族 会社とは、同質的な人々が集まって協働している集団、すなわち部族です。部族には、その部族にしかわからない掟があり、それに沿った身だしなみ、すなわち「部族のユニフォーム」があります。 たとえば、僕は不動産営業ですのでこんな同業者をよく見かけます。髪型は左右を刈り上げた短めのツーブロックをオールバックに、スーツは紺のガッツリストライプ、あるいは薄めのネイビーカラー。それにジレを合わせて、靴は先がとんがって反ったポインテッドトゥ。派手な本革かばんを合わせて腕時計はもちろんこれみよがしに高級なもの……。

これは、俗に「ツーブロックゴリラ」と称される「ガンガン物件を売ってガンガン歩合を稼ぐ」タイプの不動産営業における典型的なスタイルなのですが、おそらくこの本を読んでいる人の中には、このタイプの人物に好感を抱く人はほとんどいないでしょう。 しかし、ガンガンお客さんにアタックして「自分は稼いでいる、有能なのだ」と見せつけて契約を取る営業マンにとって、これはまさしく「正しい着こなし」なのです。ちなみに、彼らも遊びに行くときは髪を下ろして刈り上げツーブロックを目立たないようにして、伊達メガネなんかかけて柔らかい印象をつくったりします。あれはまさしく部族のユニフォームなのです。 この恰好は、「ゴリゴリの不動産営業マン」としての空気を読んだものであって、他の場所では当然不適当な装いになります。こんなやつが銀行にいたり、国勢調査の訪問でやってきたりしたら「なんだあいつは?」ってなってしまいますよね。 こういった部族のユニフォームにおける正解は、残念ながら明文化されません。会社で浮かない服を着るためには、さまざまな集団における部族のユニフォームを上手にトレースし、微調整していく必要があるのです。 具体的には、あなたが普段会う人間をよく観察してみてください。正解は常にそこにあります。 すると、「さすがにあの着こなしはひどい」という人も目に入る機会が多くなり、大いに安心できるはずです。大丈夫です、世の中の人の大半は全然おしゃれなんかではありません。社会的コードに合わせてなんとなくやっているだけです。ただ、観察するときの勘所みたいなものはありますので、以下に挙げておきます。

●「部族のユニフォーム」観察のポイント

最初にざっくり、次のような自分の部族の「基本の型」を知ることが大事です。

・毎日グレースーツに白シャツでOK ・毎日スーツだが、一定のスタイルが必要とされる ・毎日ビジネスカジュアル ・毎日Tシャツにスニーカー etc.

次に、あなたの職場特有の「約束ごと」がないかを確認します。これは、上司や先輩の服を観察することで、だいたい解決します。僕が見てきた例はこんな感じでした。

・シャツは白以外にどこまでが許容されている?(薄いピンク、水色くらいまでが多い) ・スーツのストライプはアリか?(基本的には着ないほうが無難です) ・ネクタイの色、柄に暗黙の了解はないか? ・内勤でジャケットを脱ぐとき、ジレを着ることが暗黙の了解になってないか? ・スリッポンやローファーをスーツに合わせるのはアリか?(原則ダメなのだけれど、それが基本という職場もよくあります) こういった職場の暗黙の了解を把握することがまず大切です。その上で、「上司より明らかに高すぎる服を着ない」くらいを気にしておけばそれでOKです。あなたはフィールドワーク中の文化人類学者のように、職場の社会的コードを読み取ればいいのです。気楽に、うまいこと部族に合わせていきましょう。

借金玉 〔2020年11/12(木) ダイヤモンド・オンライン〕 


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障害について理解する場を 障害者への理解深める 県バス協会が研修会 QAB 琉球朝日放送 知的障害者や発達障害者への理解と配慮を深めるため、県バス協会は12日、乗務員らを対象にした研修会を開きました。 研修会は2020年5月、路線バスの乗務員が女性と知的障害を持つ息子に不適切な対応をしたとの報道に対し、県自閉症協会から障害について理解する場を設けてほしいとの要望を受け開かれました。

講師を務めた県発達障害者支援センターの天久親紀さんは、疑似体験を交えながら知的障害や発達障害の特性を説明しました。 天久さんは「知的障害や発達障害の方々は相手の気持ちや抽象的な表現をくみ取るのがとても苦手だったりします。できる限り具体的に声掛けをしてあげてほしい」と話しました。 研修会には、県内4つのバス会社の乗務員や運行管理者およそ20人が参加。県バス協会は「心のバリアフリー実現のため、2021年も同様の研修会を開催したい」と話しています。 〔2020年11/12(木) 沖縄ニュースQAB〕 

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デジタル薬 アプリで VRで治す“デジタル薬”…保険適用「国内第1号」が誕生! 「イノベンチャーズ列伝」第26回の放送をピックアップ シリーズ特集「イノベンチャーズ列伝」では、社会にイノベーションを生み出そうとするベンチャー企業に焦点をあてる。「テレ東プラス」では、気になる第26回の放送をピックアップ。 和歌山・南紀白浜のVR映像。これを患者に見せて何が起きるのか… 精神疾患や発達障害などを専門とする医療機関、国立精神・神経医療研究センター(東京・小平市)。ここで、うつ病患者に対して、日本初となる治療の研究が行われている。協力する患者は福島県出身の佐藤さん(仮名、61歳)。「3・11のことが思い出されて、津波の怖さより1人で逃げなければならないという怖さがずっとあった。膝を抱えてひきこもる日が続いた」。東日本大震災のショックが原因で、うつ病を患っていた。 佐藤さんに向き合う臨床心理士の伊藤正哉さんが、おもむろにVRゴーグルを手渡した。「これを着けながら浸ってもらえれば」。2人でVRゴーグル越しに見るのは、人のまばらなビーチの映像。和歌山県の南紀白浜の風景が眼前に広がる。

VRを開発したジョリーグッド。来年にも治験を始める計画 「観光客が来るんですよ」。患者の佐藤さんの表情が緩む。臨床心理士の伊藤さんが「ちょっと人がいて、一人ぼっちじゃないのがいいですね」と答えると、佐藤さんがアハハと笑い返す。何気ないやり取りだが、実はこれこそがVRの狙いだ。360度の映像を体験できるVRで、風景や趣味の映像を見せて「行った気にさせる」ことで、前向きな感情を呼び起こす。佐藤さんはこの日が3回目の治療。「殻にこもっていた自分が、外に出なくても出たような気分になる。『そこに行ってみたい』と思うようになった」。 研究に約1年協力している臨床心理士の伊藤さんも、手ごたえを感じている。「(うつ病患者は)外に出たら気分が変わるかもしれないと頭で分かっていても、心が動かない状態。VRで普段できないリアルな体験をすることで、実際の行動が変わってくる。何人もの患者でそれが起きている」。

開発するのは、ベンチャー企業のジョリーグッド(東京・中央区)。これまで手術中の執刀医や看護師など、それぞれの担当の目線になることができる医療研修用VRなどを開発してきた。この技術を生かし、精神疾患を持つ患者に「疑似体験」をさせることで、思考や認知に変化が生まれると考えている。来年にも治験を始める計画だという。上路健介CEOは「通院しなくてもゴーグルをかけるだけで、家の中で治療ができてしまう。在宅医療にも貢献できる」と力を込める。 このように、デジタル機器などを使って病気の治療を目指すものは「デジタル薬」と呼ばれるが、さらに先を行く事例もある。11月11日、「保険適用のデジタル薬」国内第1号が誕生した。キュア・アップ(東京・中央)が開発したニコチン依存症治療アプリ「キュア・アップSC」と関連機器が、厚生労働省の中央社会保険医療協議会(中医協)で、公的医療保険の適用対象として認められたのだ。

タバコを1日10本以上吸うカメラマンのCO濃度。吸わない人の2倍以上… このアプリと機器が有効なのは、「通院と通院の間」にも継続的に患者に関与し、タバコを吸わないよう様々な働きかけをすることだ。筒状の機器はCO(一酸化炭素)の濃度測定器。タバコを多く吸う人は高い数値が出る傾向にある。試しに取材中のカメラマンが測ってみると、出てきた数値は19.8。吸わない人の2倍以上もあった。この数字はアプリに自動で送られ、グラフ化される。これを毎日繰り返し、グラフで推移を確認することで、禁煙への意欲を高められるという。

「吸いたい気持ち」に寄り添いつつ、アドバイス。全て自動メッセージだ アプリは患者の「吸いたい気持ち」にも働きかける。タバコに手を出してしまう直前に、「タバコを吸いたい!」ボタンを押すと、チャット画面に切り替わり、女性のイラストとともに「お辛いですよね…」と優しく寄り添う言葉が。これは人が打ち込んだメッセージではなく、「バーチャル看護師」の言葉。独自のアルゴリズムをもとに自動で作成されたものだ。続けざまに「吸いたいという衝動は5分もすれば収まります。代わりに他のことをやることで…」と具体的なアドバイスが続く。

キュア・アップ創業者の佐竹晃太社長。「治療用アプリで世界をリードする」 実際に効果が認められている。治験では通常の禁煙外来の治療と比べて、禁煙の継続率が13.4%向上したという。治験に協力した医師は「依存症は医療スタッフが見守り続けることができない。アプリで常に介入してもらうことは重要」(みやざきRCクリニックの宮崎雅樹院長)と、有効性を認める。 保険適用が決まったことで、12月1日から実際に医師が処方できるようになる。「処方せんを受けて購入する国内初のアプリ」だ。価格は2万5400円で、そのうち1割から3割が自己負担となる。

創業者の佐竹晃太社長は現役医師で、2014年に起業した。きっかけはその前年、留学先のアメリカで糖尿病の治療用アプリに出会ったこと。「医薬品などに比べ安いコストで開発できる。一方で治療効果はそん色ない」と、可能性を強く感じた佐竹氏は、医師との2足のわらじで仲間と開発に着手。5年以上かけてようやく保険適用にこぎ着けた。さらに高血圧など他の様々な疾患についても、アプリの開発は進んでいる。「5年後、10年後には、いろいろな特色を持った治療用アプリが普及してくる。日本から世界に向けて、医療用アプリ産業でのリーディングプレーヤーになりたい」(佐竹社長)。 ※「ワールドビジネスサテライト」より テレ東プラス 〔2020年11/13(金) テレ東プラス〕 

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10年超にわたりセクハラ・性暴力。 障害者福祉の実力者が10年超にわたりセクハラ・性暴力。 レイプ未遂や暴言に女性職員ら提訴
「福祉業界のセクハラ体質を次世代に残してはいけない」と決意したという、木村倫さん(仮名)。
滋賀県を拠点に障害者や高齢者への介護や支援事業に取り組む社会福祉法人「グロー」の理事長・北岡賢剛氏(62)からセクハラ・パワハラを継続的に受けたとして11月13日、グローの元職員と、北岡氏が9月まで理事を務めていた福祉法人「愛成会」の女性幹部が、北岡氏と社会福祉法人グローを相手取り、慰謝料など合計で4069万円の損害賠償を求める訴えを、東京地方裁判所に起こした。
訴状などによると、2人は出張先のホテルで性暴力を受けたり、度々体を触られたり、職場やLINEなどで卑猥な言葉を投げつけられたりしていた。
やめてほしいと抗議すると、仕事を与えられない、罵倒されるなどのパワハラも受けていた。
注意:以下、記事内にセクハラ等の具体的な描写を含みます。
性暴力サバイバーの方など、フラッシュバックの危険性がある方はご自身の体調に十分留意してお読みください。
「部屋飲み」とホテルの部屋に誘われレイプ未遂
「(北岡氏は)福祉業界では王様のような存在です。
拒絶したら何をされるか……ただ怖ろしかったです」
現在、30代前半の鈴木朝子さん(仮名)がグローに入職したきっかけは、大学時代に発達障害のある子どもたちが学ぶ支援学級で働いたことだった。
「障害を持つ子どもたちにとって、少しでも安心できる社会にしたい」
グローは障害者アートを展示するミュージアム「NO-MA」も運営する社会福祉法人だ。
歴史のある組織ながら、特に障害者アートという分野では先駆的な取り組みを手がけていることで知られていた。
北岡氏からセクハラを受け始めたのは、新卒でグローに入職した年の9月頃からだ。
突然夜に携帯電話が鳴り、「今京都のホテルにいるから来ない?」と誘われた。
断ったものの、その時から頻繁に「好き」などと連絡が来るようになった。
決定的だったのは2014年。
朝子さんは北岡氏らと一緒に東京出張で中野サンプラザに宿泊した際、北岡氏から「部屋飲みをしよう」と誘われた。
最初は複数の関係者も一緒だったが、朝子さんだけ仕事の打ち合わせがあるから残るように指示された。
不安を覚えながら部屋に一人残されると、北岡氏は朝子さんのキャリアについて話しながら隣に座り、胸部を触ったり抱きついてきたりしたという。
恐怖で抵抗できずにいると、朝子さんの服をめくり上げ、ブラジャーをずらし、乳首を舐め、さらに下着に手を入れてきたという。
朝子さんは恐怖のあまり固まってしまい、力の入らない手で防御しても押しのけられた。
北岡氏が身体を離し、服を脱ぎ始めたタイミングで朝子さんは急いで布団を被ると、北岡氏はさらに布団の上から抱きついてきたという。
押し問答をしながらも抵抗を続け、布団を絶対に離さなかった。
しばらくして布団から顔を上げると、北岡氏は全裸状態でいびきをかいて寝ていた。
「本当にレイプするつもりだったんだ」とゾッとしながら、朝子さんは自分の部屋へ急いで逃げ帰った。
その後もSMSや電話での性的からかいや、手を握ったり、抱きついてきたりなどの被害は続いた。
朝子さんは心身に不調をきたし、2019年8月に退職した。
職場で下ネタ、性器の名称を叫ぶ
現在40代前半の木村倫さん(仮名)は、都内に本部がある福祉法人「愛成会」の幹部だ。
この法人の理事を9月まで務めていた北岡氏から、日常的にセクハラを受け続けてきた。
仕事で同乗したタクシーで「やめてください」と何度も言っても 、おしりを触られたり、おしりを触られないように防御すると、手を握られることはしょっちゅう。
周囲に別のスタッフがいても触られたという。何度も拒否し、抗議しても行為は続いた。
さらに 不特定多数の関係者も集まる懇親会で「倫はいい胸をしているんだよな」「夜寝かせてくれないんだ」など、あたかも性関係があったかのような内容を大声で言われたり、頻繁に「好きだ」「今度会ったら、抱き上げる」などというメールが昼夜関係なく送られてきた。
北岡氏は倫さんに対してだけでなく、職場で下ネタや性的なからかいを言うことは日常的で、その中には女性器の名称を大声で叫ぶこともあったという。
倫さんも朝子さん同様、北岡氏が東京出張の定宿にしていた中野サンプラザの部屋で「打ち合わせ」と称して呼び出され、「ハグして」「好きだ」と言われ、無理やりキスをされた。
さらに別の機会には、職場の懇親会で酩酊するほど飲まされ、そのまま北岡氏の部屋に連れ込まれ、上半身を裸にされた上、下半身をのぞかれた経験もある。
倫さんはその際の経験から不眠になり、精神科を受診、心的外傷後ストレス障害という診断も受けている。
セクハラの言い訳に「振り子論法」
こうした職場環境をなんとか変えたいと、朝子さん、倫さんともそれぞれ上司などにセクハラについて相談もしてきたという。
しかし上司たちが真剣に耳を貸すことはなく、説明として使われたのは、振り子に例えた謎の弁明だった。
「北岡さんは偉大な仕事をしている。
真面目なことをした後には、振り子のように不真面目なことをしなければ真ん中に戻らない。
(下ネタを言うのは)北岡さんの“個性”だから」
朝子さんや倫さんに対する言動、そして職場で飛び交う日常的な女性蔑視の発言に、職場全体が、特に男性上司たちの感覚が麻痺していて、それが“異常”だと誰も気づかず声をあげなかった ── 倫さんはそう振り返る。
現在、愛成会幹部になった倫さんは自ら中心となって「ハラスメントのない職場」を目指して職場改革を進めている。
セクハラは仕方ないと思い込んでいた
長年にわたるセクハラ、性暴力に対して、朝子さんも倫さんも拒否し、抗議もしてきた。
すると北岡氏は、露骨に会議や仕事から外したり、嫌がらせをするようになったという。
また、倫さんは法人内で被害を訴えた際に上司からは「そんな長く続くセクハラなんてない。
それはむしろ不倫だから、あなたの責任になる」と他の幹部がいる前で怒鳴りつけられたという。
それでも倫さんを職場に止まらせたのは、自分が情熱を傾けている障害者福祉や障害者アートの仕事に対する使命感だった。
「今働く女性の中で、セクハラやパワハラに全くあったことがないという人は少ないと思います。
私も男性がつくってきた社会で働くなら、このぐらい我慢しなければ、ハラスメントぐらい仕方ないんだと耐えてきました。
転職してもまた同じような思いをするだけだ、逃げ場がない、とも。
でも、我慢し耐えることに多くの時間を費やすことに、もう疲れ切ってしまったんです」(倫さん)
また朝子さんは、長年耐えてきた気持ちをこう話す。
「仕事には誇りも持っていたし、同僚のことも大好きでした。
少ない人数でただでさえ業務過多で働いている職場で、私が辞めてしまえば、同僚に迷惑がかかってしまう。
私さえ我慢すればとずっと思ってきました。
北岡氏は福祉業界で絶対的な存在です。私が何を言っても誰も信じてくれないのではとも思っていました」
北岡氏は内閣府や厚労省の委員を歴任
訴状によると、北岡氏だけでなくグロー関係者に対しても、セクハラやパワハラの状況を知りながら対策が取られなかったことは、安全配慮義務違反などに相当し、損害賠償請求の対象に当たるとしている。
グローも倫さんの勤務する社会福祉法人も、障害者芸術文化の振興に取り組む数少ない社会福祉法人だ。
ウェブサイトによると、グローは文化庁や文部科学省、厚生労働省などからの助成や受託での事業も数多く運営している。
さらに北岡氏はグローの理事長だけでなく、内閣府の障害者政策委員、特定非営利活動法人全国地域生活定着支援センター協議会の顧問(6月までは会長)、厚生労働省の社会保障審議会障害者部会の委員を歴任。
2018年には障害者自立更生等厚生労働大臣表彰を受賞するなど、障害者福祉の世界では大きな影響力を持ってきた。
なぜ福祉業界でセクハラがはびこるのか
公共性の高い業界にもかかわらず、なぜセクハラが容認され続けてきたのか。
倫さんは、 女性の働き手が多いにも関わらず、 福祉の世界の上層部が男性幹部によって占められている環境を理由の一つに挙げる。
提訴に踏み切った理由について、倫さんはこう話す。
「福祉という社会的弱者を助ける仕事に携わっている者が、性暴力やハラスメントによって人権や個の尊厳を害するような行為をしてはならないと思います。
私だけでなく、職場の他の若い女性たちからも被害を相談され、もう黙っていることはやめようと、今回提訴を決断しました」
朝子さんは目に涙を浮かべながら、こう語った。
「なぜ退職を選ばなければならなかったのか。
仕事も職場も大好きだったし、何より“ただ普通に働きたい”。
その願いさえも、性暴力とハラスメントのせいで潰されました」
今回のセクハラ・パワハラ訴訟について、Business Insider Japanはグローに対して取材を申し入れたが、期日までに回答はなかった。
(取材・文、浜田敬子、西山里緒)
〔2020年11/13(金) BUSINESS INSIDER JAPAN〕 





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