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発達障害生の教育

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発達障害生の教育

虹色の子どもたちが未来を変える 「完結しない個性」が示す可能性
長期の休校や夏休みの短縮など、子どもたちはいまなお新型コロナウイルス感染予防の影響を大きく受けている。
教育現場や保護者からは、「学校とは何か」「学びとは何か」という根本的な問いも生まれ始めた。
そのような状況下、去る5月24日にオンライン講演会が行われた。
脳科学者・茂木健一郎さん、数学教師・井本陽久さん、特別支援教育の専門家・星山麻木さんによるもので、「多様性の尊重と受容について」がテーマだ。
「多様性の尊重」「ダイバーシティ」「インクルーシブ」などは、企業や経済界でも馴染みのある言葉だ。
性差や人種、障害を持つ人などそれぞれの違いを強みに変えて生かすことで、企業の競争力は上がると注目されてきた。
では、教育現場ではどうだろうか。一元的な評価により子どもたちに優劣をつける仕組みはいまだ変わらず、「みんなと同じようにできること」「正しい解答により早く効率よくたどり着くこと」がよしとされていないだろうか。
3人の登壇者は、そのような教育の現状に大きな一石を投じた。
無理に〈シロ〉に近づけなくていい
長年特別支援教育に携わり、大学で教員養成も行う星山麻木教授は、講演の冒頭で、多様な発達の子どもたちを「虹色な子どもたち」と呼んだ。
発達障害や学習障害の疑いがある、もしくはその傾向があるとされるときに使われる「グレーゾーン」という表現に疑問を投げかけたのである。
「私たちは、決まった色、同じような形で一生懸命生きなければならない環境に置かれ、みんな頑張って『シロ』のふりをして、白いタイルのようにきちんと並ぼうとしているのかもしれません。
でも、子どもたちは、『シロ』や『クロ』や『グレー』ではなく、一人一人とても豊かな虹色です。
それは私たち大人も同じです」
星山さんは、「それぞれ違う色で生まれてきた子どもたちが、その色を生かして自分らしく生きていくためにはどうすればいいかを考えてほしい」と訴える。
「私はこれまでに、例えばASD(自閉スペクトラム症)やADHD(注意欠陥・多動症)などの診断によって大変傷つき、前向きな気持ちになれないという親子に出会うことが多くありました。
その子たちは少数派で人とは少し違う感じ方や違う考え方をしますが、とても面白く、興味深く、いろいろなことを教えてくれました。
一人一人がそれぞれに違う濃淡や配合の素敵な色を持っています。
自分にあった学び方や自分らしい生き方を見つけることで、子ども同士で助け合うこともできます。
診断名や区別を付けてその子の色を〈シロ〉に近づけるのではなく、本来持っているその子の色を大事にして生きていくことが必要です」
試行錯誤という学びの本質
2人目の登壇者は、数学教師の井本陽久さんだ。
自身も卒業した鎌倉の栄光学園で型破りな数学教師として活躍し、今年1月には、NHKのドキュメンタリー番組『プロフェッショナル 仕事の流儀』への出演も話題になった。
進学校だけでなく、児童養護施設の学習支援や、不登校の子どもたちも分け隔てなく参加し、楽しめる学びの場を主宰している。
子どものころから「変わっている」と言われ続け、「ダメ」と言われることをわざとやっていたと自ら語る井本さんは、「みんな同じがいい」という考え方が学校を息苦しくしていると言う。
井本さんは、教える栄光学園の生徒たちがレポートを漫画で描いてきたこと、雪が降ると窓を全開にしてはしゃぐ様子、一見何の役にも立たないいたずらや悪ふざけなどを、愛ある視点で撮影したスライドを次々に披露した。
「ダメダメだなあと思うことをするとき、子どもたちはとても生き生きして魅力的です。
それは休み時間も授業中も共通して言えることなんですよ」
井本さんが授業で最も大事にしているのは、子どもたちが「できているか」「理解しているか」ではなく「自分で考えているか」だという。
「試行錯誤のために大事なことはたった2つです。1つ目は、安心して失敗できること。
失敗するからこそ『どうして失敗したのかな?』と自分で考えたくなります。
2つ目は、自分のやり方でやること。
自分のやり方で失敗するからこそ、『えっ! どうして違うの?』とさらに没頭することができるのです。
教えてもらったやり方で失敗しても、試行錯誤は始まりません。
自分のやり方で安心して失敗できる環境さえ整えれば、子どもは目を輝かせ、自発的に学びはじめます」
そして、その自発的な学びを阻むのが「受験」というシステムだという。
「受験を意識した勉強では、どうしても『できるようになる』ことが目標になります。
そうすると、子どもたちは自分の考え方で考えることをやめてしまう。
なぜなら、試行錯誤は失敗を前提にしたものなので、それでは損をしてしまうからです」
一次元の物差しが教育を不幸にしている
3人目の登壇者である茂木健一郎さんは、次のように切り出した。
「僕がまず問題提起としてみなさんに訴えたいのは、学習障害とギフテッド(先天的に高度な知的能力を持つ)の子どもたちの教育や学びは似ているのではないかということです。
星山さんが言われたように子どもたちは虹色で、いろいろな子どもたちがいます。そこに優劣はありません」
そしてさらにこう続けた。
「脳科学の見地から見ると、日本の教育ほど遅れているものはない。
人間を一次元の物差しの上に並べる考え方が、教育をとても不幸なものにしています」
人間の能力はそもそも無限の可能性を持っている。
個性は長所と短所からなり、ビル・ゲイツも、スティーブ・ジョブズも、1人ではいまのような成功にはたどり着かなかったはずだ。
自分の力を発揮するためには彼らを支える違う個性が必要だったと茂木さんは語る。
「自分の力を発揮するためにはチームワークが必要です。
どの個性も、自分だけでは完結しない。これは大人も子どもも同じだと思います。
そしてさらに、人間の能力はオープンエンド。学校の成績なんて関係なく、学びには終わりがないのです」
違う個性が集まれば、可能性はオープンエンド
後半のシンポジウムでは、日本の学校における「評価」の弊害についても意見が交わされた。
「いまの学校の多くは、できないことに焦点を当てて学ばせようとします。
我慢できる子は学校でうまくやれますが、そうでなければ進学校に行っても潰れる子はたくさんいます。
子どもたちのキラキラを奪うのは評価なんですよね。
受験があるとこの評価を捨てられず、子どもたちは輝かなくなる。
できないことだけに焦点を当てられると、勉強する気がなくなっちゃう。
これはどんな子どもたちも同じです」(井本)
「子どものころって、サッカーが上手い子、絵が得意な子、おもしろい子、いろんな子がいて、これは俺が得意だけどあれはあいつがすごいというように、関係性が不安定だった。
あのざわざわした不安な感じが本来の実態に近いですよね。
でも、有名大学に入った時点で、偏差値が上とか下とか出てきて一列に並んだように言われるでしょう。
あれはおかしな捉え方だと思います」(茂木)
個性を認め、補い合うチームワークを
井本さんや茂木さんが述べたように、いまの学校教育の多くは受験をクリアすることを目標に置いているように見える。
学校教育で1つの物差しに並べられることに慣れてしまった私たちは、社会に出たとき多様な価値観のなかで生きることに戸惑う。
学校教育の物差しで通常の枠に収まらなかった人たちは輝きを失い、その物差しのなかでうまく生きてきた子どもたちさえ、そこで再び途方に暮れることも多い。
「自分とは違うことが得意な人や、多様な価値観の人に出会い、新しい世界を知って刺激を受ける。
それが、生きる意欲や学びに向かう刺激になると思います。
刺激はポジティブなこともネガティブなこともありますが、茂木さんが先ほどおっしゃっていたチームワークで何かに取り組むときにも、仲間との違いによって自分を知ることができますよね。
自分1人で完璧を目指すのではなく、自分はある意味不完全でいろいろな色やデコボコがあることを、素敵なこと、そして強みだと思えるといいですね。
その上で、違う色や違うでこぼこを持ったキラキラ輝く人たちに出会い、その個性を認め合うことがチームワークにつながっていくのでしょう」(星山)
私たちが生きる世界に模範解答はない。効率の良い解法も公式もない。
次々と生じる新しい局面において、それぞれが違いを生かして自分の力を発揮し、チームを組んで解決策を試行錯誤していかなければならない。
失敗も含めて試行錯誤を楽しむことができれば、これから先、どんな困難な局面も乗り越えていけるのかもしれない。
本来なら、未来をつくる子どもたちの教育は、社会の現状よりも一歩先に進んでいるべきだが、果たして今の教育現場はそのような学びの場になっているだろうか。
茂木さんはこれからの教育に求めることを次のように提言した。
「それぞれの個性を伸ばし、お互いの個性を補い合って、チームで頑張ることを日本の教育現場でもっと波及させようではありませんか」
私たち大人や教員は、その言葉をどう受け取り、どのように行動するのか。
多様な価値観を認め合い、子どもたちの力を最大限に生かせるような学びの場を作るために、私たち一人一人には何ができるのか。
茂木さんによれば、「人間の能力はオープンエンド」である。
大人になった私たちも、それぞれの力を生かし、チームで試行錯誤しながら、世界を変えることができるはずだ。
〔2020年7/7(火) Forbes JAPAN 太田美由紀〕

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