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離婚母子家庭の養育費

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離婚母子家庭の養育費

子どもに明日を= 離婚後養育費 引き上げを 日弁連が新算定表 現行の約1.5倍「低額すぎる」批判を受け/あした計画
離婚するときに夫婦が取り決める子どもの養育費について、日弁連が新しい算定表を発表した。
現在定着している算定表は「金額が低く、母子家庭が貧困に陥る一因になっている」との批判があった。
新たな算定表はこれをおよそ1・5倍に引き上げる内容。
一方で養育費を支払っている親は2割にとどまり「高くなれば払わない人がいっそう増えるのでは」と懸念する声もある。
算定表は、父母それぞれの収入と子どもの年齢や数ごとに、子どもと離れて暮らす親が支払うべき養育費の目安となる額を示したものだ。
現在、協議離婚や裁判の実務では、2003年に裁判官グループが雑誌で発表した算定表が使われ、裁判所もこの表をホームページで公開している。
子どもと離れて暮らす親は民法に基づき、子どもにも自分と同程度の生活水準を保障する「生活保持義務」を負う。
しかし「現算定表は低額で義務を満たしておらず、03年以降の税率改正や物価変動も反映していない」と民法の専門家や弁護士が批判していた。
養育費は、年収から税金や諸経費を差し引いた父母双方の「基礎収入」を基に算定される。
日弁連が昨年11月に発表した算定表は、経費に住居費を含めないようにする修正などにより、基礎収入の額を、現行の年収の「約4割」から「約6~7割」に引き上げた。
また必要な生活費を、子どもの年齢や数に応じてより細分化し、表に反映させた。結果、例えば会社員で年収400万円の父親が、年収175万円の会社員の母親と同居する15歳の子どもに払う額は、現行の月額4万円から7万円に増える=イラスト参照。
父母それぞれの源泉徴収票や確定申告書などが手に入る場合は、実際の税額や社会保険料から、より厳密に養育費を割り出す算定式も発表。
作成に携わった深堀寿美弁護士(福岡市)は「さまざまな節税対策をしている人もいる。
養育費は実際の税額や、祖父母宅で暮らし家賃がいらないか、私立学校に通っているか、障害や持病があるか、といったそれぞれの事情を考えて決めるのが望ましい。
算定表は、書類がそろわない場合の最終手段や、交渉材料として使ってほしい」と話す。
ただ現新いずれの表や算定式にも法的拘束力はなく、どちらを使うかは当事者に任されている。
日弁連は、全国の弁護士が新しい算定表を相談時や訴訟時に活用することで、定着させていきたい考えだ。
○養育費不払い8割
日本では夫婦が話し合って離婚を決める「協議離婚」が9割を占める。
離婚届を役所に提出すればそれで成立するので、養育費について取り決めずに別れるカップルが少なくない。
厚生労働省の2011年度調査によると、養育費を受け取っている母子家庭は19.7%で平均月額は約4万3000円、父子世帯は4.1%で約3万2000円だった。
欧米では、全ての離婚の可否を裁判所が審査し、養育費を決めなければ離婚できない国が多い。
養育費を払わない親から国が代わりに取り立てたり、額が少なければ国が補ったりする。
日本では支払いが任意で罰則もないため、途中から支払いが滞る場合もある。
厚労省の調査では、養育費の取り決めをしていない理由として「相手に支払う意思や能力がないと思った」が最多で約半数に上る。
そもそも経済的事情で離婚に至るケースも多く、日弁連の算定表通りに支払う人は限定的とみられる。
まずは、離婚で子を引き取らなかった親の8割が養育費を払っていない現状を改善すべきとの声も根強い。
〔◆平成29(2017)年2月3日 西日本新聞 朝刊〕 

子どものあしたは 養育費を考える(上) 貧困の裏に不払い放置 先進国 厳しく義務化
ひとり親家庭の貧困率が54・6%(二〇一二年)と深刻だ。
背景には、その八割を占める母子家庭の就労環境の厳しさとともに、離別した親からの養育費が得られていないことがある。
厚生労働省の一一年度全国母子世帯等調査によると、養育費を受け取っている母子家庭は20%、父子家庭は4%にすぎない。
養育費をめぐる法制度に詳しい福岡大法科大学院の小川富之教授(家族法)に聞いた。
日本を除く多くの先進国では、養育費の取り決めが離婚時の条件になっている。
さらに任意の支払いが滞ったときのために、さまざまな履行確保制度がある=表参照。
例えば米国では、父親が養育費を支払わずに行方不明になった場合、「養育費強制プログラム」に沿って国や州政府が父親の捜索や支払い命令を行い、
最終的に給与からの天引きや、失業給付の差し押さえなどをして徴収する。
応じなければ、指名手配犯のように顔写真付きのポスターが街に張り出される。
養育費不払いは犯罪との位置づけだ。
スウェーデンでは、国がひとり親世帯に養育費相当額を支払い、もう一方の親から回収する「立て替え払い制度」が確立されている。
低収入で養育費の取り決め額が少ない場合は、子の生活保障の観点から国が養育費にプラスして支給する。
欧米諸国は全ての離婚の可否を裁判所が審査し、養育費もチェックしている。
「(書類の提出のみで離婚できる)協議離婚が九割を占める日本で養育費を義務付けるのは無理だ」と言う人もいる。
だが日本と同様に協議離婚が多い韓国でも〇九年以降、離婚時に養育費の支払い方法を記した協議書を裁判所に提出するよう義務付けられた。
日本では、一二年度から離婚届に、養育費取り決めの有無についてチェック欄が設けられたが、強制ではないし、内容の確認もないため実効性に乏しい。
養育費不払いは約二十年前から指摘されてきたのに進展がないのは、日本では選挙の争点にならず、政治課題に上らないからだ。
今の政権は父、母、子という「伝統的家族」に重きを置いている。
戦前の「家」制度に基づいた家族観は国民の間に根強く、離婚で他方の親が引き取った時点で「別の家の子」となる。
「養育費はその家が何とかすべきだ」と考える人が少なくない。
一年間(二〇一五年)の婚姻件数と離婚件数の割合が三対一の時代になってもなお離婚がタブー視され、「好きで離婚したんだから」と問題が放置され、その陰で子どもたちが泣いてきた。
養育費の取り決めを義務付け、公的機関のチェック態勢を整えることは、子どもの貧困対策に欠かせない。
子どもにとっても、「お父さんとは別れたけど、毎月あなたのためにお金を送ってくれているよ」と母親から伝えられることが、どんなに力になるだろう。
〔◆平成28(2016)年9月22日 東京新聞 朝刊〕 

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