居場所換気扇

土曜日, 11月 3rd, 2012

幼少の頃換気扇に強い関心を示していた。

 

なぜかはわからない。知る由も無い。

 

扇風機でなく換気扇である。

 

羽が何枚か付いていて回転していればいいというものでもない。

 

自宅の台所の換気扇を見続けては呆れられた。

 

一時、画用紙に換気扇ばかりを描き続け父親をドン引きさせたこともある。

 

父もよもや自分の子供が換気扇に強いこだわりを持つようになるとは思わなかっただろう。

 

しかし父は換気扇に執拗にこだわる私を非難することはなかった。

 

ある時、父が飲食店が何軒も入っている商業施設の裏へ私を連れて行ってくれた。

 

そこで目にした光景はずらっと並んだ換気扇の一群であった。

 

私はとても気分が高揚したのを覚えている。

 

自宅や近所の家庭用換気扇ではお目にかかれない巨大な換気扇群に私はしばし魅入られてしまったのだった。

 

とても有意義な時間であった。

 

父は私の関心事を否定する事なくより興味を持つように働きかけてくれた。

 

ここに教育や躾の原点がある。

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