149 言葉取り

捕らえた命も

束の間の

蝶ちょ捕りでは

ないのだから


 

手にしたとたん

枯れはじめる

お花摘みでは

ないのだから


 

世界をきれいに

切り取るだけの

標本づくりは

もうたくさん


 

たとえば蝶の

たとえば花の

その姿の奥

存在らしきが開かれる


 

世を世たらしめる

ほんとのことが

混沌のうち

体現される


 

むなしい装い

空虚な響き

飾る言葉は

もういらない


 

差し迫ってくる

ひと言ずつ

抜き差しならない

いち語ずつ

Leave a Reply