140 ラインを超えて

7月 2nd, 2020  / Author: 中崎シホ

未知なる死の味

   こみあげてくる

  臓物の味

 

頭蓋の圧迫

   粘液質の

   重みのかたまり


 

 はじける鼓動

  激しく打って

  体の芯がとび出そう


 

乱れる呼吸

   息する苦しさ

   狂おしく


 

此岸と彼岸を

隔てる流れが

恐怖も安堵も

絡め取る


川面は目の前

水底深くも

蒸発していく

水の道筋


やがては

こちらとあちらを

分かつものも

消えてゆく

 

139  すばる

6月 2nd, 2020  / Author: 中崎シホ

 素晴

きみの声が

きこえない

 

素晴

きみの今は

どこにある

 

彼方からくる

合図の意味が

わからない

 

素晴

この世界では時々

確かな偶然を見る

 

読み取りがたい

暗示による

世界のほころびを見る

 

素晴

あなたの世界は

大丈夫だろうか

  

ひとりよがりではなく

共有される

世界だろうか

 

素晴

老婆心ながら

体には気をつけて

 

体らしきものが

あるのかどうかも 知ら

ないけれど

 

138 さまよい

5月 2nd, 2020  / Author: 中崎シホ

言葉の停滞

言語の解体

  言霊たちの

  本意を求めて

 

日を見ぬ閉塞

ひそかな生息

  居場所もないまま

  ようやく生かされ

 

道なき隠遁

未知なる混沌

  条理にこだわる

  自我をこえ

 

わずかな明り

かすかな脳裡

  統合うしない

  異界にまぎれ

 

あてなき彷徨

果てゆく徴候

  さまよい続ける

  しるしのもとに

137 この夜のことを

4月 1st, 2020  / Author: 中崎シホ

この

夜のことを

話そう


 相次ぐ偶然は

あるいは必然だった


 世界はエラーに

満ちていた


生死はつねに

曖昧だった


イメージの流れに

追いたてられる


末期的な夢幻の中に

まぎれこむ

 

生きてることの

根もとが揺らぐ

 

僕はこの夜

どこで

失敗したのだろう

136 クロスバイク

3月 3rd, 2020  / Author: 中崎シホ

クロスバイクの

軽い足

風を追いかけ

駆け抜ける





土壇場につき

形勢逆転

明日を見る目が

また変わる

苦楽のあいだ

谷深く

山は高く

天地の交わり

思いもかけない

ところに転がり

生きてる限りの

鼓動に戸惑う

135  現身

2月 3rd, 2020  / Author: 中崎シホ

不幸をしょってる

顔していても

不条理的な

幸福感の密かな湧出

この世この時

為されるがまま

波長にまかせて

浮くこころ

硬いよろいを

身にしていても

内は軟弱な

血肉のかたまり

この身この道

有るがまま

わたくし無くても

生きるうつせみ

134  動感

1月 3rd, 2020  / Author: 中崎シホ

 

 

川は下って

海ひろく

道を登って

山たかく

 

北上するのは

雲のおび

南下してゆく

風のまま

 

力動の間に

生きてる

実感

 

不動の時を

畏怖する

直観