103 その日その生

5月 8th, 2017  / Author: 中崎シホ

 

ある日突然

命じられ

 

その日突如

生を受け

 

 *

 

知られたくない

痛みを抱えて

 

知らされるのは

意味の無さ

 

*

 

悪意にみちた

風を受け

 

善意を信じる

強さを欲し

 

*

 

自分で自分を

見張ってなければ

 

崩れ落ちてく

生のバランス

 

*

 

日付けがかわった

真夜中まんなか

 

月日のゆくまま

未明の見る目

102  美しい世界

4月 8th, 2017  / Author: 中崎シホ

 

外へ踏み出せば

青い山並

遠い湖岸

 

しぜんのじねん

自己意識はまた

不確かな

 

 

見えないものを

手探りしては

喪失感

 

億劫な発語

力ある沈黙

言霊を追う

 

 

シャットダウン

遠く扉の

閉じられる音

 

ふさがるのは

電位の走る

神経網

 

 

大丈夫

世界はいまだ

美しい

 

問題無い

生死はいまだ

くり返し

101  潰滅

3月 6th, 2017  / Author: 中崎シホ

 

いてつく大地の

導きよ

 

たてつく壁への

道こえて

 

  ☆

 

世界の秘密に

気付くとき

 

世間の人々

みな人形

 

  ☆

 

危機的想念

真実いずこ

 

もろさ危うさ

つな渡り

 

  ☆

 

自由を掲げて

自由に冒され

 

自己を呈して

自己に潰れる

 

100 ナルシストの生

2月 5th, 2017  / Author: 中崎シホ

 

 

起きるための

エネルギー

夢見の果てに

疲労して

 

生きることへの

アレルギー

この世の毒気に

免疫乱れて

 

 

心見る身の

シニシズム

隠れた本当のこと

見さだめて

 

試みる死の

ナルシシズム

水鏡の奥

深みに溺れて

 

99 頭

1月 7th, 2017  / Author: 中崎シホ

 

あたまの声は

なかまの声だ

 

あたまの痛みは

あなたの痛みだ

 

  ☆

 

抒情を排し

饒舌さを避け

 

なにものでもない

言葉の羅列

 

  ☆

 

僕たる僕の

僕を滅却

 

心らしきは無く

身をもっては泣く

 

  ☆

 

生まれ出るもの

授かるもの

 

子宮は頭の

中にある

 

98 狂った時計

12月 8th, 2016  / Author: 中崎シホ

かすかな

秒針の音を聴く

 

いくつかのうち

狂った時計が

ひとつある

 

狂った時計は

トリックスター

 

存在価値の

有無をはなれて

いかにここに

現わるか

 

時を具象化する

時計という道具

 

権威としての

時間の同一

 

自分の時間は

時分において

一分の生き振り

 

流れの分裂

時は遠く

ずれてゆく

 

97  救われない人

11月 21st, 2016  / Author: 中崎シホ

妄信は
ある意
危うい
思考の停止

自覚なく
長いものに
巻かれる
安住

信じるか
信じないか
という問いが
発生する時点で
絶対は存在しない

信と
真とは
別物でもあり
それはときにたくみに
混合される

信じる者しか
救われないのか

救われぬ者は
どこへゆくのか

祈りのような
言葉を捧げて

悟りのような
無我を求めて

どこまで行っても
抜け出せない自己

どうにもならない
生の意義