100 ナルシストの生

2月 5th, 2017  / Author: 中崎シホ

 

 

起きるための

エネルギー

夢見の果てに

疲労して

 

生きることへの

アレルギー

この世の毒気に

免疫乱れて

 

 

心見る身の

シニシズム

隠れた本当のこと

見さだめて

 

試みる死の

ナルシシズム

水鏡の奥

深みに溺れて

 

99 頭

1月 7th, 2017  / Author: 中崎シホ

 

あたまの声は

なかまの声だ

 

あたまの痛みは

あなたの痛みだ

 

  ☆

 

抒情を排し

饒舌さを避け

 

なにものでもない

言葉の羅列

 

  ☆

 

僕たる僕の

僕を滅却

 

心らしきは無く

身をもっては泣く

 

  ☆

 

生まれ出るもの

授かるもの

 

子宮は頭の

中にある

 

98 狂った時計

12月 8th, 2016  / Author: 中崎シホ

かすかな

秒針の音を聴く

 

いくつかのうち

狂った時計が

ひとつある

 

狂った時計は

トリックスター

 

存在価値の

有無をはなれて

いかにここに

現わるか

 

時を具象化する

時計という道具

 

権威としての

時間の同一

 

自分の時間は

時分において

一分の生き振り

 

流れの分裂

時は遠く

ずれてゆく

 

97  救われない人

11月 21st, 2016  / Author: 中崎シホ

妄信は
ある意
危うい
思考の停止

自覚なく
長いものに
巻かれる
安住

信じるか
信じないか
という問いが
発生する時点で
絶対は存在しない

信と
真とは
別物でもあり
それはときにたくみに
混合される

信じる者しか
救われないのか

救われぬ者は
どこへゆくのか

祈りのような
言葉を捧げて

悟りのような
無我を求めて

どこまで行っても
抜け出せない自己

どうにもならない
生の意義

96  月に見られる

11月 21st, 2016  / Author: 中崎シホ

窓をひらくと

月が見ている

 

見られる身にして

光の畏れ

 

  ☆

 

部屋の暗がり

ともす灯もなく

 

脳神経の

乱れるシグナル

 

  ☆

 

夜の孤独に

月の擬人化

 

闇を背に負い

思慮深げな

 

  ☆

 

濡れる抒情を

乾かして

 

やっぱり今宵も

月に見られる

95  目

9月 8th, 2016  / Author: 中崎シホ

瞳でつかんで
目蓋で嚙み砕く
その咀嚼は
深みにはまる

視覚優位の
神経系統
脳にブレーキ
危うく錯視

煙草のけむりを
くゆらせてると
火で目をつぶす
衝動が

他と他が見合う
映り方
真なるものは
みっつめの目で見る

94 時の中で

8月 26th, 2016  / Author: 中崎シホ

世界に
ひっかかっていた頃
一日がこんなにも
短くはなかった

めくるめく
ひと日ひと夜
濃密だった
日々過ぎて

今は
もう
たいらな時間の
うすい夢

過去と未来を
蹴とばして
近づく何かに
おびえつつ

刹那のような永遠
永劫のごとき一瞬
流れる空の
無の様相