147  禁句

2月 2nd, 2021  / Author: 中崎シホ

無とか

宇宙とか


 

安易な発語は

やめておこう


 

理とか

存在とか


 

わかっているつもりでも

それらは不可説

それらは手に余る


 

漠然として

都合のよい言葉だからこそ

それらは危うい

それらは禁句


 

測れない

深さを含んで

 

見えない

闇を宿して


 

 

そのようなものを

言葉としてあらわすのは

おこがましい


 

わたくし共は

謙虚に

そして真摯に

 そのようなものと向き合おう


 

 そのうえで

沈黙せざるを

得ないとしても

146  胸騒ぎ

1月 4th, 2021  / Author: 中崎シホ

目隠しされてる

死への道

 


いきなり出会う

そのしるし


 

飛ぶか落ちるか

光か闇か


 

 

 

知らずにまたぐ

見えない線


 

あるいは時に

知りつつまたぐ


 

見えない線を

見るおごり

 


 

いつか必ず

その一瞬


 

言語や科学で

示し得ない


 

生きてる不思議に

胸騒ぐ

145 間のまま

12月 2nd, 2020  / Author: 中崎シホ

目醒めたとき

夢は夢になる

目醒めなければ

夢は夢でない


夢と目醒めの

あいだはなに


生きてるからこそ

死を憂える

死によってはじめて

生は完全になる


生と死との

あいだはなに


光は闇を貫いて

闇は光を覆いきる

光と闇は反転しつつ

混在している


光と闇の

あいだはなに

 

あらゆる個々のものら

ひとつひとつの

確からしさは

不確かで


ただそれらどうしの

差異があるのみ


あるままそのまま

あいだがあるのみ

144  覚悟

11月 2nd, 2020  / Author: 中崎シホ

目隠しされて

見えぬもの


 

耳を塞がれ

幻の声

 

つぶれた喉での

ひとり言


 

説明しない

語らない


言葉はいつも

完全ではない


 

とはいえ沈黙に徹する

覚悟はできない


 

眠らない夜

目覚めない朝


言葉を発するにも

覚悟を要する


静寂の水面ゆらぐ

発語の波紋

143 井の中のかわず

10月 2nd, 2020  / Author: 中崎シホ

深遠なるとされる

井戸の底で

無限なるとされる

大海を知らず


一三七億光年より

遠い世界が

あるのか

ないのか


そらを

いくら思い描いても

想像にあまる


井戸の外の大海は

蛙にとって

想像できないどころか

その有無さえ

知らない


そして

蛙が生きるうえで

そのことは

知らなくても

問題にならない


ひいては

大海を想うときこそ

困難と深遠を

生きることとなるに

違いない

142 暗示の街

9月 3rd, 2020  / Author: 中崎シホ

暗示を拾いに

街へ出る

更新されてる

かけらを探す

 

見えないほころび

次元のすきま

世界の正体を

見極めたくて

 

街の中で

見つけたしるし

隠れた意味は

よみ取りがたく

 

この世を織りなす

網目は曖昧

もつれて乱れて

それでもうごめく

 

世界は自明ではなく

暗示的に

地球の回る

音をただ聞く

141 リアルよりリアリティ

8月 1st, 2020  / Author: 中崎シホ

眠りと目覚め

世界をまたぐ

よびもどし


現実は付属物

もとよりあるのは

イメージの世界


夢や想念

といえるか

実体のつかめない

その事々が

あることそのもの


いくつもの

パラレルワールド

いくつもの自己


そして

今ある

この現実で

生き残ることこそが

オリジナルの

存在証明


ただ生きるのに

証明することも

確固たるものも

いらないけれど