65. 六根

目蓋は開かず
絶たれる
眼光

静寂の重さに
つぶされる

過剰な匂い
混乱する
鼻孔

とろける毒が
浸潤する

痛み痒み
おおわれる
触感

世界の歪みに
怯える
精神

生きてしかも
健やかなることは
奇跡

損じてはじめて
心身のありようを
意識する

そして
その意識さえ
心身に由来して

ままならない
存在そのもの
生き受ける

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