Archive for the ‘詩’ Category

37. 木偶の坊

金曜日, 9月 7th, 2012

生きてるだけで
お腹すく
腹がすくから
物食べる
食べる物買う
金が要る
金が要るなら
働くこと
それができぬ
でくのぼう

そつなく
無理なく
抜け目なく
生きるためには
知恵が要る
知恵が要るから
書を開く
開いてみても
文字は筒抜け
でくのぼう

この世はきっと
こんなもの
あの世もきっと
あんなもの
生きているから
考える
一所懸命
かんがみる
それでやっぱり
でくのぼう

36. 夏の晩年

金曜日, 8月 10th, 2012

切迫した最期の
夏の到来は
記憶の中でぶよぶよしつつあって

ゆっくり弛緩しつづける
こよりみたい
つづく夏を重ねるたび

もはや静止でも
昂ぶりでもなく
無為のまま指先にふれてる緊迫の糸

無意にさぐる指先で
ほぐすこよりみたい
あの夏からすべての時間

来ぬ
すべての時間
脂汗と共にぶよぶよしつつあの夏の熱

切迫してなお
終わらぬ夏の
捻じ押出されるこよりみたいな

35. 座る非在

金曜日, 8月 10th, 2012

重みのみ
かたどられて
古びたソファに
なお
居つづけるものあり

存在しないことの
実在
居つづける
無きもの

その日の窓枠が低すぎたので
思惑どおり
その人は落ちてしまった
心に
恐れが落ちてきたのだ

時間の積もる
ソファのくぼみ
存在のふち
落ちた人の
存在のふち

嗚呼
嘆きでなく激しささえも
なにもない
畏れのままに
云ってはならないフレーズだらけ

心の
なにかが
落ちてくるのだ

重みのみ
かたどられて
いったい
こんなふうに在るという事が
あるのか

34. 今

土曜日, 7月 7th, 2012

今をひとつ
今をひとつと
拾っていく

両手に抱えても
指のあいだから
こぼれ落ちていくもの

拾った今は
手に取る途端に
今ではなくなる

過去は
記憶として変質し
未来は
夢と挫折を先走る

過去と未来は
空虚にふくらみ
現在はおしつぶされそうだ

それでもなお
この一瞬間にあふれる
今という世界の権現

眼こ見開き
掌ひろげて
待ちつづけている
永遠の今

33. 覚醒する幾千の日と夜

土曜日, 7月 7th, 2012

静寂の中
聞こえぬ音が
漂っている
リアルな凹凸
まだ見ぬ実体

見はなされ
おびやかされ
晒された者の
裏返る脳裡
粘液質のものが痛々しく
外気に触れられてゆく

これが静寂
聞こえぬ音に遊ばれて
異形の世界へおりてゆく
これが静寂
見えぬ物に誘われて
異形の世界へおりてゆく

覚醒は
約束されたか
未知なるものの
うごめく波は
交信可能か不可能か

今はただもう
バラバラになった内容物を
かき集め縫い合わす
血のつまった布袋のように

32. 意味深深

金曜日, 6月 8th, 2012

心きゅうきゅう
キュウキュウ鳴いて
きゅうきゅう詰め

頭くるくる
クルクルめぐり
来る狂う気配

体きりきり
ギリギリいっぱい
きりきり舞い

魂しんしん
心身の
深深なる意味

31. 問い

金曜日, 6月 8th, 2012

扉をたたいて
問いつづけよう

自己意識が
身体を所有するのか
身体によって
脳の働きが派生するのか

魂の世界が
形而上の何かが
あるのか
物は物たりて
物質世界がすべてなのか

二元論も一元化も
信仰も無神論も

問いも答えも不完全

生のどまん中での煩悶は
死による恩恵を受けるだろうか

生死を揺さぶる重い問い
今ここ自己の重い問い

考えなくてもよいのだと
大なるものにゆだねよと
さとされても自ずから
考えざるを得ない日々