Archive for the ‘詩’ Category

23. 生きてるだけで

金曜日, 2月 17th, 2012

生きてるだけで
いいんやで
ピンクのガネーシャ
そう云った
生きてるだけで
いいねんで
ブルーのガネーシャ
まだこない

生きてるだけで
いいんやで
意味や結果や目的や
なければないで
いいねんで
あればあるのも
いいけれど
生きてるだけで
いいんやで

生きてるだけで
いいねんで
ピンクの夢と
ブルーの現実
生きてるだけで
いいんやで
うつつはやはり
こんなもの
どんなものか
わからない
ピンクの神が遠ざかる

22. 道を歩いて

水曜日, 1月 25th, 2012

眠りからとけると
部屋はあいかわらず
自分色に汚れた壁床

今日こそ外へ
世界を捉えにゆこう
風に晒されにゆこう

くるまるシーツをはがし
自己臭に鈍った嗅覚でさえ
感じる匂いをかぎにゆこう

息するだけで困難な
生きにくさのまま
立ってみよう

夢のリアリティにとりつかれ
現実との接点を失った
この身体を動かそう

道を歩いて日を浴びて
生きる身として
生き得るまで

21. 雲よ

水曜日, 1月 25th, 2012

雲よ
僕は歌わない
ひびきあう童謡のしらべを
僕らは歌わない
青春と名付けられる
強迫的な力の律動を

雲よ
僕は見ない
抜けるような青空を
僕らは見ない
見るのはただ
たちこめる暗雲
その隙間にこびりつくだけの無力な青

友よ
そういう呼びかけも空虚だが
そういうものも無しではない
友よ
僕は歌わない
歌えるものはすでに捨てられ
捨てられなかったものは歌うに及ばない

友よ
暗雲たちこめる大地の底で
僕ら出会えたはずなのだ
雲よ
その暗雲の背後には
僕らを包む宇宙の闇だ

雲よ
僕らの困難は
友の不在のためではない
雲よ
僕がこうして呼びかけるのは
その実体の曖昧さに安住したいためではない

僕らはけして歌わない
生きのびるためには歌わない
死ぬことのためにも歌わない
何かのためには歌わない
雲よ
その暗雲の隙間から
のぞく青さのために僕は歌わない
雲よただ
そんな具合に呼びかけつづける

20. あしあと

水曜日, 12月 21st, 2011

僕のキボウたちが
帰還した
脆弱で
ふわふわと
吹けば飛ぶような

キボウたちは
希望の面をかぶった
苦悩かもしれない
でもそんなことは
もうどうでもいいのだ
キボウたちは
あついトタン屋根の上
跳びあがって融け始める

僕は振り返る
無数の針のむしろ
息つまる監察室
手足しばられて
襲ってくる魔

僕は振り返るけど
戻ることはもはやない
すべては過ぎし時として
今を生きるすべとなる

キボウたちよ
たわむれももう僕には
通用しない
僕はもっと強くなろう
道なき道
振り返れば
あしあともなく

19. 風吹け

水曜日, 12月 21st, 2011

思考推考
考え抜いてる酩酊状態
それでもやはり
風は吹く

無為無意味
価値無き生の営み
それでもやはり
風は吹く

かわいた風吹け
心を濡らす
抒情はいらない

野わたる風吹け
風来坊に
抒情はいらない

18. 窓

土曜日, 11月 19th, 2011

額ぶちを
ばさりと
鳥が斜めに横ぎった
びくりと
骨ばった視線の止まる
瞬間

空腹も満腹も
傷口もかさぶたも
窓の光に
照らされる

額ぶちの
向こうからの光に

窓は額ぶち
止まる景色を
眺めつつ

もはやこの窓のある
この部屋しか
始末のつくところはないのだ

日も沈めば
断食ごっこも終わり
手のひらの生命線が
にょきりと
のびる

17. 扉

土曜日, 11月 19th, 2011

僕のキボウたちよ
そんなに僕の周りを飛び交うな
僕には影が付き添っているのだ
君らの素敵な舞いに
僕は同調することができない

僕の小さなキボウたちよ
そんなにはしゃいでいるな
君らは僕に近しい者でない
絶望や虚無や懐疑たちほどには
僕に近しい者ではない
彼らは君らのように気まぐれじゃない
例えば不意にやってくる別れの日にも
調子のいい晴れた午後にも
彼らは必ず隣で笑っている
キボウたちよ
そのまま自由に飛び去るがいい
君らはそのほうがふさわしい

僕は扉を開ける
光はあふれている
道はどこにでも造られる
僕は一歩踏み出す
希望のないままにも
僕は扉の向こうに歩み出せる

何も見えない光が
すべてをのみこもうとする
ここからつながるものは
いったい何であるか
僕は知らない