149 言葉取り
土曜日, 4月 3rd, 2021捕らえた命も
束の間の
蝶ちょ捕りでは
ないのだから
手にしたとたん
枯れはじめる
お花摘みでは
ないのだから
世界をきれいに
切り取るだけの
標本づくりは
もうたくさん
たとえば蝶の
たとえば花の
その姿の奥
存在らしきが開かれる
世を世たらしめる
ほんとのことが
混沌のうち
体現される
むなしい装い
空虚な響き
飾る言葉は
もういらない
差し迫ってくる
ひと言ずつ
抜き差しならない
いち語ずつ
Archive for the ‘詩’ Category149 言葉取り土曜日, 4月 3rd, 2021捕らえた命も 束の間の 蝶ちょ捕りでは ないのだから
手にしたとたん 枯れはじめる お花摘みでは ないのだから
世界をきれいに 切り取るだけの 標本づくりは もうたくさん
たとえば蝶の たとえば花の その姿の奥 存在らしきが開かれる
世を世たらしめる ほんとのことが 混沌のうち 体現される
むなしい装い 空虚な響き 飾る言葉は もういらない
差し迫ってくる ひと言ずつ 抜き差しならない いち語ずつ 148 見えない波の中水曜日, 3月 3rd, 2021体の周りにまとわりつく とどこおった時間を 動かしたくて ラジオをつける
閉じられた部屋に 外気を入れたくて 窓を開けるように テレビをつける
飛び交う不思議な 電波に乗って 来る世界
姿かたちの無い 見えない電波に冒され 知らぬまま
147 禁句火曜日, 2月 2nd, 2021無とか 宇宙とか
安易な発語は やめておこう
理とか 存在とか
わかっているつもりでも それらは不可説 それらは手に余る
漠然として 都合のよい言葉だからこそ それらは危うい それらは禁句
測れない 深さを含んで
見えない 闇を宿して
そのようなものを 言葉としてあらわすのは おこがましい
わたくし共は 謙虚に そして真摯に そのようなものと向き合おう
そのうえで 沈黙せざるを 得ないとしても 146 胸騒ぎ月曜日, 1月 4th, 2021
目隠しされてる 死への道
いきなり出会う そのしるし
飛ぶか落ちるか 光か闇か
知らずにまたぐ 見えない線
あるいは時に 知りつつまたぐ
見えない線を 見るおごり
いつか必ず その一瞬
言語や科学で 示し得ない
生きてる不思議に 胸騒ぐ
145 間のまま水曜日, 12月 2nd, 2020目醒めたとき 夢は夢になる 目醒めなければ 夢は夢でない 夢と目醒めの あいだはなに 生きてるからこそ 死を憂える 死によってはじめて 生は完全になる 生と死との あいだはなに 光は闇を貫いて 闇は光を覆いきる 光と闇は反転しつつ 混在している 光と闇の あいだはなに
あらゆる個々のものら ひとつひとつの 確からしさは 不確かで ただそれらどうしの 差異があるのみ あるままそのまま あいだがあるのみ 144 覚悟月曜日, 11月 2nd, 2020目隠しされて 見えぬもの
耳を塞がれ 幻の声
つぶれた喉での ひとり言
説明しない 語らない 言葉はいつも 完全ではない
とはいえ沈黙に徹する 覚悟はできない
眠らない夜 目覚めない朝 言葉を発するにも 覚悟を要する 静寂の水面ゆらぐ 発語の波紋 143 井の中のかわず金曜日, 10月 2nd, 2020深遠なるとされる 井戸の底で 無限なるとされる 大海を知らず 一三七億光年より 遠い世界が あるのか ないのか そらを いくら思い描いても 想像にあまる 井戸の外の大海は 蛙にとって 想像できないどころか その有無さえ 知らない そして 蛙が生きるうえで そのことは 知らなくても 問題にならない ひいては 大海を想うときこそ 困難と深遠を 生きることとなるに 違いない |