Archive for the ‘詩’ Category

48. 西日

金曜日, 2月 22nd, 2013

西日に向かって
歩いてく

まぶしい光に
眼を伏せる

道の上に
日の残像

進むゆくさき
人しれず

明日が背後から
やってくる

肩をたたかれ
振り返る

前はどっちだ
空はひとつだ

日は暮れゆきやがて
夜更けと夜明け

47. うしみつどき

金曜日, 2月 22nd, 2013

健康的な朝を
求めてある
夜ではない

闇を味方にして
明けない夜のあげる
かちどき

夜風が吹いて
飛び散る星の
窓の外

日の出る朝を
待ち望んである
夜ではない

冷たい布団に
もぐりこむ
うしみつどき

闇夜のうなる
空と風の
仔である自己

46. 夜に住む人

金曜日, 1月 25th, 2013

光がないから
影もない
のっぺらぼうの空気の
暗闇
 

夜の住人の
かわいた息
脳天のおくを這う
黒い質感
 

夜のからだを
闇にあずけて
優しさと厳しさが
混交する
 

僕の住み処へ
いらっしゃい
夜はいつも誰にも
親しげだから

45. 言葉の墓標

金曜日, 1月 25th, 2013

音もない暗がりは
言葉のない世界だ

言葉のない世界とは
そう簡単なものではない

 

あらゆる感覚器の受容体の
スイッチをオフにして
体験する世界
とらえようのない間
対する客体のない主体

 

かつて詩人が
硬質な言葉によって
言葉のない世界を
反転表示のようにあらわした
それは今なお標しである

 

言葉によって
純粋精神はあらわし得るか

 

言葉によって
あらわすものは空虚でもある

 

言葉による構築
構築による言葉
自己解体に至る道

 

愚弄な言葉を
吐いては吸って
掃いては捨てて
言葉の墓標を立てつづける

44. 一歩

金曜日, 12月 7th, 2012

自分らしさを
置いてきた
記憶もうすれた遠い果て

 

自我は幻想
行きでも帰りでもある
旅は途中

 

道見失い
落ちて滑って
深いふところ

 

いだかれるのは
自己の小ささ
大きな非自己

 

自分の足で
歩み進んでいる
という感覚も錯覚

 

夢の中にひきこもり
外へ出てゆく
一歩が踏めない

43. 尖鋭

金曜日, 12月 7th, 2012

握る拳のひとつ

力を

力を

みなぎらせ

 

踏出す脚の一歩

遠くへ

遠くへ

つながらせ

 

ささやきを叫びにして

この存在を

主張するのもおこがましい

 

さみしさを晒け出して

この共存を

馴れ合うことなく尖らせる

42. 根源

土曜日, 11月 10th, 2012

歌い尽くされた
メロディ
書き尽くされた
ことば

創作なるもの
無尽蔵か
個性なるもの
確たるか

自意識が
固有であるという幻想
すべて形なき混沌

個性の殻に安住せず
うち破って
深み広がり根源性