Archive for the ‘詩’ Category

44. 一歩

金曜日, 12月 7th, 2012

自分らしさを
置いてきた
記憶もうすれた遠い果て

 

自我は幻想
行きでも帰りでもある
旅は途中

 

道見失い
落ちて滑って
深いふところ

 

いだかれるのは
自己の小ささ
大きな非自己

 

自分の足で
歩み進んでいる
という感覚も錯覚

 

夢の中にひきこもり
外へ出てゆく
一歩が踏めない

43. 尖鋭

金曜日, 12月 7th, 2012

握る拳のひとつ

力を

力を

みなぎらせ

 

踏出す脚の一歩

遠くへ

遠くへ

つながらせ

 

ささやきを叫びにして

この存在を

主張するのもおこがましい

 

さみしさを晒け出して

この共存を

馴れ合うことなく尖らせる

42. 根源

土曜日, 11月 10th, 2012

歌い尽くされた
メロディ
書き尽くされた
ことば

創作なるもの
無尽蔵か
個性なるもの
確たるか

自意識が
固有であるという幻想
すべて形なき混沌

個性の殻に安住せず
うち破って
深み広がり根源性

41. 天地の還流

土曜日, 11月 10th, 2012

天も地も
親しみあう闇
眠りも覚醒も
溶けあう夜更け

空と森と土たちの
交わる全体性
流れるように
循環する

暗黒の空の下
森の樹々は眼を閉じている
樹々の足元で
しだが歯をきしらせている
しだの足元で
こけは地面にささやいている
その地面のずっとずっと奥深く
亡霊や悪夢たちが
いんぎんにひそやかに
破壊の舞いを踊りつづける
地下流の渦は
ごうごうと音をたて
暗黒の空にも昇る勢い

40. 発語

金曜日, 10月 5th, 2012

ことばが
うたを欲っする
ポエジーが
リズムを欲っする

その力動
具象の発現
波の流れに
まかせるちから

口ずさむのは
名状しがたい
祈りのメロディ

大丈夫
世界は今もうつくしい
一期一会に発語する

39. 月

金曜日, 10月 5th, 2012

あるスピードをもって
街の夜明けをめぐっていると
かどを曲がるたび
まあるい月が現れては消え
消えては現れるのだ。

四角い建物の影に
あるいは影から。
黒い樹々のあいだに
あるいはあいだから。

僕は月の姿に
畏怖のような気もちをいだき
月に支配されてゆく過程にあった。

不本意ながらも惚れてしまった
愛情きわまる憎しみなのだ
見ていたいだけなのに
逆に見られて萎縮してしまう
ふがいない僕自身への憎しみなのだ。

つづきうねる道はただくらく
それだからなお
月の光は冴えている。

街の夜明けをめぐっていると
月の姿は美しく
現れて消え消えて現れる。
僕は自由に冒されていて
月に支配されてゆく
その錯覚に恍惚とする。

38. 存在の秘密

金曜日, 9月 7th, 2012

生まれぬ仔を
待望して止まないように
生まれぬ言葉の
形なき存在を想う

非存在という
存在のありかた
存在なきことは
ひとつの救いでもある

発そうとした言葉を
失いつづける
幾十年

存在の秘密を
へだてる
一五0億光年