Archive for the ‘詩’ Category

27. 四月の四行四連詩

金曜日, 4月 13th, 2012

風ふくらんで
煌めき差す日
川面なみ立ち
岸辺に寄する

空気の曲線
身を包み
雲も宙(そら)も
皆まるみをおびる

この世これきり
散る花弁
越しゆく季節の
血通う天

書生の遊学
デカダンス
諸行は無常
万物流転す

26. 僕はどこに

土曜日, 3月 10th, 2012

拳を突きあげて
つきつける
つきつける

息してる
息してる
生きている身

感性を掘りさげて
彫っていく
彫っていく

おごるな
おごるな
おごり多き理性

一線をぶっちぎり
ぶっとばす
ぶっとばす

広がって
広がって
開きゆく内側

僕はどこにいる
どこにいる
ここにいる?

25. 雨あるがまま

土曜日, 3月 10th, 2012

雨が降る
雨落ちる
暗い空から
水落ちる

見ず聞こえる
見ずに聞く
言葉の嵐
こころの声

越えてゆく
越える山
からだ使って
山のぼる

病んでいる
悩んでいる
脳ミソちりちり
散りゆく精神

生ひとつ
生命ひとつ
世界にあって
あるがまま

24. あした

金曜日, 2月 17th, 2012

繋がらない
伝わらない
孤独を感じる
こころは子供

賭けている
書いている
綴ることに
ついやす力

伝播する電波
妄想の様相
あしたの頭はどこ行くか

スルーされてもするべき事
虫のしらせも無視される
あしたの貴方はどこ行くの

23. 生きてるだけで

金曜日, 2月 17th, 2012

生きてるだけで
いいんやで
ピンクのガネーシャ
そう云った
生きてるだけで
いいねんで
ブルーのガネーシャ
まだこない

生きてるだけで
いいんやで
意味や結果や目的や
なければないで
いいねんで
あればあるのも
いいけれど
生きてるだけで
いいんやで

生きてるだけで
いいねんで
ピンクの夢と
ブルーの現実
生きてるだけで
いいんやで
うつつはやはり
こんなもの
どんなものか
わからない
ピンクの神が遠ざかる

22. 道を歩いて

水曜日, 1月 25th, 2012

眠りからとけると
部屋はあいかわらず
自分色に汚れた壁床

今日こそ外へ
世界を捉えにゆこう
風に晒されにゆこう

くるまるシーツをはがし
自己臭に鈍った嗅覚でさえ
感じる匂いをかぎにゆこう

息するだけで困難な
生きにくさのまま
立ってみよう

夢のリアリティにとりつかれ
現実との接点を失った
この身体を動かそう

道を歩いて日を浴びて
生きる身として
生き得るまで

21. 雲よ

水曜日, 1月 25th, 2012

雲よ
僕は歌わない
ひびきあう童謡のしらべを
僕らは歌わない
青春と名付けられる
強迫的な力の律動を

雲よ
僕は見ない
抜けるような青空を
僕らは見ない
見るのはただ
たちこめる暗雲
その隙間にこびりつくだけの無力な青

友よ
そういう呼びかけも空虚だが
そういうものも無しではない
友よ
僕は歌わない
歌えるものはすでに捨てられ
捨てられなかったものは歌うに及ばない

友よ
暗雲たちこめる大地の底で
僕ら出会えたはずなのだ
雲よ
その暗雲の背後には
僕らを包む宇宙の闇だ

雲よ
僕らの困難は
友の不在のためではない
雲よ
僕がこうして呼びかけるのは
その実体の曖昧さに安住したいためではない

僕らはけして歌わない
生きのびるためには歌わない
死ぬことのためにも歌わない
何かのためには歌わない
雲よ
その暗雲の隙間から
のぞく青さのために僕は歌わない
雲よただ
そんな具合に呼びかけつづける