188 無機的な夜
火曜日, 10月 1st, 2024夜は明けない
日は出ない
見えない路を
徘徊する
夢とも何とも
いえないところで
自らそこへと
入っていった
その隅っこは
暗かった
顔が闇に
埋ずもれた
そうだ僕は
なにものでもない
顔をもたない
無機物だ
そろいもそろって
よくもまあ
不毛さだらけで
つどったものだ
というよりそれは
集まりではなく
それぞれに在る
一人の僕だ
独りの闇で
虚空をつかんで
握ったこぶしを
解く指の一本ずつ
Archive for the ‘詩’ Category188 無機的な夜火曜日, 10月 1st, 2024夜は明けない 日は出ない 見えない路を 徘徊する
夢とも何とも いえないところで 自らそこへと 入っていった
その隅っこは 暗かった 顔が闇に 埋ずもれた
そうだ僕は なにものでもない 顔をもたない 無機物だ
そろいもそろって よくもまあ 不毛さだらけで つどったものだ
というよりそれは 集まりではなく それぞれに在る 一人の僕だ
独りの闇で 虚空をつかんで 握ったこぶしを 解く指の一本ずつ 187 漂う夢日曜日, 9月 1st, 2024春が僕を けだるい空気へ 誘いこむ
失われた夢のように 消えてゆくのは あおい春
夢を 夢と認識するために 毎日めざめる
夢では現実を 目覚めれば夢を 忘却するばかり
目覚めなければ 夢は 永久に閉じられた 異世界 死
個人的であり 普遍的でもある 了解不能の世界
世界として 漂う夢らは 見えない 言えない 質量もない 186 青山木曜日, 8月 1st, 2024風にしたがう 空にかしずく
夜によりそう 日にひらかれる
そうして青山を 求めて歩く
それはおそらく 至るところにある
青山に立つことは 眠りか覚醒か
そこに満ちるのは 祈りか沈黙か
流れのままに 立つその地
救われるのか 失われるのか 185 ペンと水月曜日, 7月 1st, 2024手にもつスプーンを ナイフにかえて 闘うことを 覚悟する
甘いミルクを 吸うのはやめて 勝利の美酒に 酔うため闘う
かざすナイフを ペンにかえ 闘い方を 熟慮する
士気高める酒で 渇きは満たせず 万事をうるおす 清水を求める 184 未完の僕たち土曜日, 6月 1st, 2024十四才のはじけ方
十七才の倦怠感
歯をむいて立ち上がるのを 余儀なくしたのは あなた方だ
人差し指を 天に向け 昇るイメージ 空の道
振りあげた 拳を解くのは 不本意だ
陽は輝いて 闇夜は深く くり返される 波にのる
自分の足で 立つために 自分の目玉で 見るために
いまだ未完の 僕たちだ 183 消えるうた金曜日, 5月 3rd, 2024リズムをとる歯 おどる舌 口びる震えて 言葉は無くて リズムのうちに はさむ休止符 打って休んで 消えゆくうた 眠らぬ夜は すでに過ぎ 覚醒のまま 深みに落ちてく 絶望的に 切望するのは いま在ることの 真実味 ゆめのような まことのかずかず つぎはぎだらけの 文字の列 182 泥月曜日, 4月 1st, 2024漆黒だ 純白だ
うごめいている
来る度ちがう
闇も光も 一色ではない
泥のように 涙を重ね
頭の中の泡が パチパチ弾け
いつものように寝て覚めて 泥の中から目醒めを手繰る |