167 メッセージ
土曜日, 10月 1st, 2022「何もかも無くなれ」
「ただただ死にたい」
またもメッセージが
頭にとどく
どこの誰だか知らないけれど
僕らはそれらを
共有している
受けとるメッセージに
疲れた夜には
真水のような
一筋の音の流れを
追いかけて
頭の中をしずめよう
見えないつながり
自己と他者の曖昧さ
自身が
生き残っている限り
この世界は存続する
生き残ることで
並行して在る
あまたの世界のうち
少なくともこの世界は
存続している
Archive for the ‘詩’ Category167 メッセージ土曜日, 10月 1st, 2022「何もかも無くなれ」 「ただただ死にたい」 またもメッセージが 頭にとどく どこの誰だか知らないけれど 僕らはそれらを 共有している 受けとるメッセージに 疲れた夜には 真水のような 一筋の音の流れを 追いかけて 頭の中をしずめよう 見えないつながり 自己と他者の曖昧さ 自身が 生き残っている限り この世界は存続する 生き残ることで 並行して在る あまたの世界のうち 少なくともこの世界は 存続している 166 まぼろし家族木曜日, 9月 1st, 2022聞こえるはずの ない声 感じるはずの ない気配 帰るところのない独居は どんな気がする 固定される空気 空間は閉ざされ 時間はとどこおる 真夜中のキッチンは いつもそのまま あるがまま 一人になる時間を 待っていた 人の気配の 消える真夜中を 待っていた いつまでそれが 続くだろうか いずれ 取り返しが つかなくなる日 ある意で その支配から 解かれるとき 本当の自由と孤独が 交じり合って 頭をもたげる 165 たったひとつの強み月曜日, 8月 1st, 2022人の世界では 何者かであらねばならない そして僕は 何者でもない 先生 僕は 患者ではない 信者ではない 生徒ではない 担当ではない 愚民ではない 先に生きる あなた方の 導くところを期待しない 僕が潰れても 何も問題はなく それが たったひとつの強み 僕は 何者でもないのだから 164 それでも今は土曜日, 7月 2nd, 2022死の想起 誰の中でもそれは 不意に頭をもたげる 胸の奥から こみあげる 苦いかたまりが のどをふさぎ 徐々に 体中を圧迫してゆく 苦しみというより ただ苦味 得体のしれない 体内感覚 表現しがたい 身心体験 命のきわの 像を結んで 心に映して それでも今は 生きている
163 かすかな流れ木曜日, 6月 2nd, 2022くだらぬ事に 心をくだく 苦肉の策は くくる首 飢餓感きわまり 気分のきしみ 危機一髪で 奇跡が起きて 来ぬ日この時 幸福さがし 困難こえつつ 混沌の中 堅たる健全 蹴りとばし 喧嘩上等 けりをつけ 川は乾いて からから鳴って 霞んだ世界が 幽かに流れる
162 あしたの地図月曜日, 5月 2nd, 2022横たわる 目を閉じる 頭の中が巡る 眠ってるというよりは 潜ってる感じ 夢を見るというよりは 見られてる感じ 潜っては浮かぶの くり返し 深い呼吸の くり返し きのうは読むもの あしたは書くもの きのうは聴くもの あしたは歌うもの 眠りと目覚めを 行き来する道 描いた地図 ポケットに入れたら 出かけよう
161 抒情の蒸発土曜日, 4月 2nd, 2022忘れかけてた 傷あとが ここぞと目を覚ます 脳か心か身体か どこともいえない 傷がうずく 心の鼓動 血の流動 狂い咲く花 狂い飛ぶ虫 生い茂る草 追掛ける風 傷はなめない 目は 濡らさない 湿った抒情を 排除して 風に吹かれて 脳裡がかわく
真なるもののみ 結晶する |