79 旅立ち

5月 9th, 2015  / Author: 中崎シホ

チャクチャクと

旅立つ

準備は

進みつつある

 

サラサラと

積もって

たまる

妙薬の瓶

 

ドクドクと

身のうちの血は

巡って

流れて

 

コツコツと

足音を鳴らせて

やって来ては

去りゆく時間

 

サクサクと

降る雨を聴き

また繰り下げる

旅立つ機会

 

マダマダ

いまだ

機が熟すのを

待っている

 

78 夕暮れ

4月 21st, 2015  / Author: 中崎シホ

入り日の乱れる
西の山

空と地との
あいだがら

とかし合って
遠い線

刻一刻と
変わる色

日と星まわる
自然の理
身をまかせること
捨てる自我

有るもの全ての
相対性

絶対存在は
あり得るか

感受し考え
日は暮れつつ

また夜の深みへ
入ってゆく

77. 名もなき地の夜

3月 4th, 2015  / Author: 中崎シホ

名もなき
地に居て
ふるさといずこ

立つ
土の上
根はあるか

寄る辺なき
心の景色
真実いずこ

見る
地平線
空遠く

いつも
今でも
どこまでも

今も
いつでも
そのまんま

まだ
生ききれず
深い業

また
夢見の果てまで
夜の中

76. 疲弊する夢

2月 6th, 2015  / Author: 中崎シホ

何もしないのに
疲れきって
眠る夜

見る夢にさえ
疲れをおぼえる

激しく湧出した
夢見はもはや
余韻のような
残滓のみ

やせた土
うすい大気
すけて見える
時間の壁

疲れた金属のような
硬くももろい
心象の
崩れゆきそうな世界

心身の
最期が兆すと
明晰な
夢が
疲弊していく

75. いのち

1月 8th, 2015  / Author: 中崎シホ

視界も
音もなく
匂いも
味もなく

固い枕と
軽い布団の
身に触れることだけに
意が集中する

意するところ
過去未来はなく
今現在の
一瞬一瞬

間隙なき
感覚
機械的な
器官

眼耳鼻舌身意
生きる実相
六根
六つ目の

意とは何か
脳か
胃の血か
心臓か

その自らの身を
裡返し
広げて晒して
血を乾かす

74. 失われた人

12月 5th, 2014  / Author: 中崎シホ

世の人びとが
忘れ去る
ひとつの生を
受けている

何者でもない
宿命しょって
止むに止まれず
生きづらさ

すれ違う
路傍の人びと
石ころどうし
外す目線

見失うこと
もとより無の如
失われること
消える自己

関係性の
無きままに
かすかな引っ掛かりに
心を砕く

僕はいったい
どこへゆくのか
生きる世の人
失われた人

73. 十一月

11月 11th, 2014  / Author: 中崎シホ

天気は病みあがり
光が降って
かろうじて息を
吹きかえす

空気は冬じたく
影が伸びて
ひそやかに息を
吐いて吸う

世界の境が裂けるとき
時は遠く
ときはなたれて

抜き差しならぬ
世界はそうして
ぬりかえられて