172 音のない声

かつて

人の夜は

静寂だった


無音の

冷やかな空気に

包まれる


音を伴わない

声を聴く

動かない静けさの

声を聴く


沈黙に耐えられぬ

饒舌

黙考に耐えられぬ

脳内


夜の果て

明暗入り混じり

日のかわり目の

きしみを聞く

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