11. 夜明け

暗くてもいいのだ
でも弱々しくてはいけない
偽善でもいいのだ
でも善の無力さはいけない
冷たくてもいいのだ
でもぬるま湯じゃいけない
信じてみてもいいのだ
でも批評眼をなくしてはいけない

私たちは
一度だって去勢などされなかった
あなたがたの
口をふさぎ
目をつぶし
したたる血に
かちどきをあげることだってできるのだ

澄みきった闇に
細い月がつきささっている
重い重い足どり
毒のぬけないからだ
月を見上げると恐ろしくなる
いつ
銀色の牙で
けい動脈をかみ切られるのだろう
ドクドクとふきだす赤が
夜明けの空へかえっていく

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