Archive for the ‘詩’ Category

139  すばる

火曜日, 6月 2nd, 2020

 素晴

きみの声が

きこえない

 

素晴

きみの今は

どこにある

 

彼方からくる

合図の意味が

わからない

 

素晴

この世界では時々

確かな偶然を見る

 

読み取りがたい

暗示による

世界のほころびを見る

 

素晴

あなたの世界は

大丈夫だろうか

  

ひとりよがりではなく

共有される

世界だろうか

 

素晴

老婆心ながら

体には気をつけて

 

体らしきものが

あるのかどうかも 知ら

ないけれど

 

138 さまよい

土曜日, 5月 2nd, 2020

言葉の停滞

言語の解体

  言霊たちの

  本意を求めて

 

日を見ぬ閉塞

ひそかな生息

  居場所もないまま

  ようやく生かされ

 

道なき隠遁

未知なる混沌

  条理にこだわる

  自我をこえ

 

わずかな明り

かすかな脳裡

  統合うしない

  異界にまぎれ

 

あてなき彷徨

果てゆく徴候

  さまよい続ける

  しるしのもとに

137 この夜のことを

水曜日, 4月 1st, 2020

この

夜のことを

話そう


 相次ぐ偶然は

あるいは必然だった


 世界はエラーに

満ちていた


生死はつねに

曖昧だった


イメージの流れに

追いたてられる


末期的な夢幻の中に

まぎれこむ

 

生きてることの

根もとが揺らぐ

 

僕はこの夜

どこで

失敗したのだろう

136 クロスバイク

火曜日, 3月 3rd, 2020

クロスバイクの

軽い足

風を追いかけ

駆け抜ける





土壇場につき

形勢逆転

明日を見る目が

また変わる

苦楽のあいだ

谷深く

山は高く

天地の交わり

思いもかけない

ところに転がり

生きてる限りの

鼓動に戸惑う

135  現身

月曜日, 2月 3rd, 2020

不幸をしょってる

顔していても

不条理的な

幸福感の密かな湧出

この世この時

為されるがまま

波長にまかせて

浮くこころ

硬いよろいを

身にしていても

内は軟弱な

血肉のかたまり

この身この道

有るがまま

わたくし無くても

生きるうつせみ

134  動感

金曜日, 1月 3rd, 2020

 

 

川は下って

海ひろく

道を登って

山たかく

 

北上するのは

雲のおび

南下してゆく

風のまま

 

力動の間に

生きてる

実感

 

不動の時を

畏怖する

直観

 

133  甘苦

月曜日, 12月 2nd, 2019

 

 

苦にあって

自らむく歯が

立たなければ

甘んじることも

手のひとつ

 

そしてその

甘さを突きつめ

ギリギリで

苦みにへでさえ

変換する

 

姿勢をかえて

態度をかえて

 

甘さは転じて

苦くもあること

ふたつは

背反

するでもなし

 

甘い汁を

吸いつくすも

 

苦い粒を

噛みつぶすも

 

ある意

ある味

身体の

神経系の

電位の疾走