Archive for the ‘詩’ Category

16. 迷子

土曜日, 10月 29th, 2011

ぼく迷子です
迷っています
地べた見ながら歩くので
道の長さわかりません
どこ行く道かわかりません

ぼく空っぽです
カラカラです
硬く固めて
乾いた言葉を探します
語る相手を探します

生き得る光が見えなくて
闇夜の中で
手探りです
光がないと陰がない
影がなければ深奥もない

深く広くなりたくて
光と影を求めます
迷子の子どもの泣く声が
標べのない道通ります
道なき道を開きます

15. 完全犯罪

土曜日, 10月 29th, 2011

自分を殺し
自分の死体を
自分で捨てにゆく

光も闇もない
密かな墓所へ
自分を捨てにゆく

人目を逃れて
死体を隠して
何くわぬ顔をして

死はもとより
生すら
なかったように

死が腐敗し
土となるまで
罪からにげる

ナルシシズムによる
自死などではない
完全犯罪

14. キボウ

月曜日, 9月 26th, 2011

「希望の氾濫のなかで
 僕は溺死しそうだ」

という言葉を
何かの本で読んだ
実際僕は
無邪気で無責任な
愛すべきキボウのおかげで
かろうじてなんとか生きている

僕の小さなキボウたちは
僕自身の合理的精神に迫害されながら
それでもけなげに
えたいの知れないあやしげなエネルギーを
僕に与えて
僕を生きさせようとする

僕のキボウたちは
希望といっても
清く正しく明るいものではなく
いつも僕を
分裂させまやかしにおとしいれる
キボウたちはいつも
神出鬼没で夢のようで
未熟な僕をからかいつづける

さて僕は
いったいどこへ行くのだろう
夢のように夢をみて
恋のように恋をした
僕は
愛すべきキボウたちに
死へ追いたてられて
生へ生きさせられる

13. 目覚めの鮮度

月曜日, 9月 26th, 2011

薄紫の
花を
目が食べ
目覚めたとき

その直後も
草を食むように
咀嚼しつづける
夢見の歯車

ふと遠い日のすももの果実
熟れて柔らかに割れ
したたって染みる
濃い赤紫の汁を見る此の時

いつも鮮度よし
頭蓋の割れ目のギザギザが
咀嚼して
したたる汁の鮮やかさ

12. 八月

金曜日, 9月 2nd, 2011

緑波立つ
一面田の面
太陽真上に
正午の沈黙

見時葉の月
一よう多様
大気の底で
焦土の地が沸く

あの夏の日々
われを失う
瀕死の乱心

あの夏の日々
割れる脳内
非自己の氾濫

11. 夜明け

金曜日, 9月 2nd, 2011

暗くてもいいのだ
でも弱々しくてはいけない
偽善でもいいのだ
でも善の無力さはいけない
冷たくてもいいのだ
でもぬるま湯じゃいけない
信じてみてもいいのだ
でも批評眼をなくしてはいけない

私たちは
一度だって去勢などされなかった
あなたがたの
口をふさぎ
目をつぶし
したたる血に
かちどきをあげることだってできるのだ

澄みきった闇に
細い月がつきささっている
重い重い足どり
毒のぬけないからだ
月を見上げると恐ろしくなる
いつ
銀色の牙で
けい動脈をかみ切られるのだろう
ドクドクとふきだす赤が
夜明けの空へかえっていく

10. 恥の芯

金曜日, 8月 5th, 2011

生きているのが恥ずかしい
死ねないことが恥ずかしい
しょせん価値など求めてないが
恥ばかりの道のりで
消えてしまいたくもなる

過去は去るまま
未来は白紙
今は一瞬一瞬移りゆく
確かなことこそ不確かで
その最たるは自己意識

我執にとらわれて
人間不信
信仰不信
神の国も涅槃の郷も
自我の過剰で遠くなる

一本
たった一本
芯がほしい
その一本のしなやかさで
恥ずかしさのまま立っていたい