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| − | '''□死後の備え「早めに」'''<br>
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| − | 高齢者問題に詳しい白波瀬（しらはせ）達也・関西学院大社会学部准教授（福祉社会学）は<br>
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| − | 「身内の弔いは家族の務めと考えられてきたが、関係が希薄な家族や家族を持たない人が多くなった。<br>
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| − | 『家族の復権』を唱えるだけでは解決できず、葬儀や遺骨の取り扱いを社会で考える時期にきている」と話す。<br>
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| − | 政令指定市と合わせて調査対象とした東京23区のうち、足立区は「老い支度読本」（Ａ４判・96ページ）を作っている。<br>
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| − | 表紙には「50代はまだ早い？ いえいえ、そろそろ考え始めるタイミングです」。<br>
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| − | 最終章に墓の有無や場所、弔いの方法の希望を書く欄がある。<br>
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| − | 孤独死してもその欄を見れば本人の意向が分かるという考えだ。これまで４万部を発行。<br>
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| − | 年明け以降に増刷予定という。<br>
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| − | 高齢福祉課長の伊東貴志さん（40）は超高齢化の先にある「多死社会」を視野に入れ、<br>
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| − | 「従来通りの行政サービスを続けていたら自治体はパンクします。早いうちに死後に備えて」と求める。<br>
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| − | 台東区を拠点に元日雇い労働者らを支援するＮＰＯ「山友会」は昨年、区内の寺院に合葬墓をつくった。<br>
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| − | インターネット上で資金を募る「クラウドファンディング」で約250万円を集めた。<br>
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| − | 理事の油井和徳さん（32）は「死後のことが不安な人に『死んでもつながりは続く』と思ってほしい」と話している。<br>
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| − | '''◇キーワード＜死者の火葬＞'''<br>
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| − | 古くから親族や地域で慣習として続けられてきた。<br>
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| − | 担う人がいない場合、墓地埋葬法や行旅死亡人取扱法、生活保護法にもとづき、各市区町村が手続きを進める。<br>
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| − | 一方、火葬後の遺骨の取り扱いを規定した法律はない。<br>
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| − | 処分の方法や場所によっては死体遺棄・損壊罪にあたる可能性があり、各自治体が保管期間を含めて慎重に対応せざるを得ない現状につながっている。<br>
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| − | 国立社会保障・人口問題研究所によると、昨年１年間の死者は約129万人。<br>
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| − | 団塊世代が75歳以上になる2025年、年間の死者が約153万人に達すると推計している。<br>
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| − | 〔◆平成28（2016）年12月31日 朝日新聞 大阪朝刊〕 <br>
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| − | '''山谷を歩けば貧困が分かる 無縁仏の墓・無料診療所巡るツアー 主催者「問題一緒に考えて」'''<br>
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| − | 日本のまちづくりを支えた労働者の街、東京・山谷を歩く月１回のスタディーツアーが注目を集めている。<br>
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| − | 山谷の今を知ってほしいと、認定ＮＰＯ法人「山友会」（台東区）が今年２月に始めた。<br>
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| − | 同会は「山谷を見れば、貧困は社会の構造的問題だと分かる。一緒に解決に取り組む人が増えてくれれば」と期待する。<br>
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| − | 八月二十七日、大学生や主婦、ライターら七人が参加した七回目のスタディーツアー一行は、山谷にある浄土宗の寺院「[[光照院]]」を訪れた。<br>
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| − | 雨にくゆる墓地を奥へと進むと、「山友会」と刻まれた新しい墓が現れる。<br>
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| − | 同会がネットで寄付を募る「クラウドファンディング」を使い、昨年二月に完成した合葬墓だ。<br>
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| − | 山谷に暮らす元労働者の中には、借金などで故郷に帰れない事情を抱え、無縁仏となる人も少なくない。<br>
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| − | 「路上や私たちが運営する施設で亡くなった五人が眠っている。死んでも独りぼっちじゃない。おじさんたちみんな一緒だよ、という思いで建てました」。<br>
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| − | 同会ボランティアの畑勲さん（54）が説明すると、参加者らはそっと手を合わせた。<br>
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| − | 山谷は台東、荒川両区にまたがる昔の地名で、住居表示としては残っていない。<br>
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| − | 戦後、日雇い労働の市場が生まれ、工事現場などに貧しい地方から集まる人材を供給した。<br>
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| − | それに伴い簡易宿泊所が増え、高度成長期の一九六〇年代には一万五千人が生活したが、二〇一二年には約三千百人と五分の一に減少。<br>
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| − | 高齢化が進む中で、簡易宿泊所に住む九割近くが生活保護を受けるなど、「労働者の街」から「福祉の街」へと変わりつつある。<br>
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| − | 山友会は、無住所で健康保険証がなく、病院に行けない労働者のための無料診療所として一九八四年に発足した。<br>
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| − | 現在はケア付き宿泊施設「山友荘」の運営や、隅田川周辺で暮らすホームレスへの炊き出し支援など事業を広げている。<br>
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| − | 二月から始めたスタディーツアーには、これまでに約三十人が参加。<br>
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| − | 七回目のツアー一行は、光照院の後、診療所や山友荘を見学。<br>
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| − | 仕事紹介や相談の拠点となっている「城北労働・福祉センター」や、路上生活者のテントが並ぶ公園、廃業し簡易宿泊所に切り替わった店が点在する商店街などを歩いて回った。<br>
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| − | 紙粘土のふくろう人形の絵付けも楽しんだ。<br>
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| − | 同会に集まる元労働者らの居場所づくりとして始まったもので、参加者を指導した五十代の男性は「みんな上手。個性があっていいんだよ」と温かな笑顔を見せた。<br>
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| − | 千葉県船橋市の主婦山下信子さん（54）は、四十年ぶりに山谷を訪れた。<br>
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| − | 「路上から射るような視線でにらまれた記憶があったが、今日お会いしたおじさんたちは和やかだった。<br>
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| − | きっと人とつながり、必要な食事や医療を受けられているから」とほっとした表情。<br>
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| − | 社会福祉士を目指す大正大学四年の浜田幸樹さん（22）＝足立区＝は「自分の下の世代にも、山谷の現状を伝えていきたい」と話した。<br>
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| − | 同会理事の油井和徳さん（32）は<br>
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| − | 「高齢化が進み、長年の肉体労働による障害や病気を抱える人も多い。ここは努力だけでは解決できない、生きづらさを抱える人たちを、閉じ込める装置としても機能してきた。人とのつながりの希薄さから孤独死や自殺も多い。どう問題を解決するか、ツアーで一緒に考えていきたい」と話している。<br>
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| − | 〔◆平成28（2016）年9月19日 東京新聞 朝刊〕 <br>
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