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Center:153ー脳神経系の学習ノート(7)

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==脳神経系の学習ノート(7)==
 
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〔『記憶のメカニズム』高木貞敬、岩波新書、1976年〕 <br>
 
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(1)ニューロンの成長と発育<br>
 
(1)ニューロンの成長と発育<br>
 
「生まれた時は、ニューロンの大部分は相互に何の連絡もない状態におかれているが、月日とともに樹状突起も神経線維ものびてゆき、やがてシナプスによって細胞間に連絡ができはじめると、簡単な運動から次第に複雑な運動ができるようになる」(178ページ)。<br>
 
「生まれた時は、ニューロンの大部分は相互に何の連絡もない状態におかれているが、月日とともに樹状突起も神経線維ものびてゆき、やがてシナプスによって細胞間に連絡ができはじめると、簡単な運動から次第に複雑な運動ができるようになる」(178ページ)。<br>
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(2)シナプスのもうひとつの働き<br>
 
(2)シナプスのもうひとつの働き<br>
 
1つのニューロンから次のニューロンまたは筋細胞へインパルスを伝える所要時間は哺乳類で0.3ミリ秒(1万分の3秒)。<br>
 
1つのニューロンから次のニューロンまたは筋細胞へインパルスを伝える所要時間は哺乳類で0.3ミリ秒(1万分の3秒)。<br>
 
これとは別にゆっくりした重要な働きがある。<br>
 
これとは別にゆっくりした重要な働きがある。<br>
「シナプスが完成すると、ニューロンの細胞体でところで作られる溶解性タンパクや他の大分子の物質が軸系のなかを通って神経の終末部へ送られてくる(軸系流)。…それらの物質の一部は伝達物質の製造に用いられるが、他のものはシナプスを越えてつぎのニューロン、あるいは筋の細胞へ送りこまれる」(180ページ)。<br>
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「シナプスが完成すると、ニューロンの細胞体でところで作られる溶解性タンパクや他の大分子の物質が軸系のなかを通って神経の終末部へ送られてくる(軸系流)。<br>
「一般的にいうと、ひとつの神経細胞がシナプスを作ると、それを通して特別なタンパクまたは大分子の物質を次の細胞に送りこみ、その細胞になんらかの影響、なんらかの指示を与える。それをうけた細胞はまたつぎの細胞へシナプスを通して影響や指示を与えることになる。このようにしてすべての神経細胞は、シナプスでつながるすべての細胞に「化学的に話しかけ」、それらの細胞にその次の細胞へ「いかに語りかけるべきか」を教えているのである」(182ページ)。<br>
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…それらの物質の一部は伝達物質の製造に用いられるが、他のものはシナプスを越えてつぎのニューロン、あるいは筋の細胞へ送りこまれる」(180ページ)。<br>
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このようにしてすべての神経細胞は、シナプスでつながるすべての細胞に「化学的に話しかけ」、それらの細胞にその次の細胞へ「いかに語りかけるべきか」を教えているのである」(182ページ)。<br>
 
「ニューロンはシナプスを通しても栄養的な物質の補給を受けている」(182ページ)。<br>
 
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(3)とげシナプスとプルキニエ細胞が記憶の痕跡に関わるものと検討素材にあげられているが、十分な証拠立ては紹介されてはいない。(181-188ページ)。<br>
 
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(4)リボ核酸RNA=記憶痕跡をつくっている物質と考えられる。2、3の実験はこれに肯定的であるが、十分とはいえない。<br>
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著者は「RNA説はあきらめた方がよいのでは」とする一方<br>
 
著者は「RNA説はあきらめた方がよいのでは」とする一方<br>
 
「RNA説はなかなか魅力のあるもの」として「発展させることはできないであろうか」(201ページ)としている。<br>
 
「RNA説はなかなか魅力のあるもの」として「発展させることはできないであろうか」(201ページ)としている。<br>
 
要するに証明不十分です。<br>
 
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おおよその見当をつけるに際しても、脳科学のその後の進展を見なくてはならないことがかなり明確になりました。<br>
 
おおよその見当をつけるに際しても、脳科学のその後の進展を見なくてはならないことがかなり明確になりました。<br>
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『記憶のメカニズム』(高木貞敬)のまとめ<br>
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2024年11月19日 (火) 00:22時点における最新版

脳神経系の学習ノート(7)

〔『記憶のメカニズム』高木貞敬、岩波新書、1976年〕 
〔2011年春⇒2011年12月〕
「Ⅸ記憶の痕跡とは何か」の章。

(1)ニューロンの成長と発育
「生まれた時は、ニューロンの大部分は相互に何の連絡もない状態におかれているが、月日とともに樹状突起も神経線維ものびてゆき、やがてシナプスによって細胞間に連絡ができはじめると、簡単な運動から次第に複雑な運動ができるようになる」(178ページ)。

(2)シナプスのもうひとつの働き
1つのニューロンから次のニューロンまたは筋細胞へインパルスを伝える所要時間は哺乳類で0.3ミリ秒(1万分の3秒)。
これとは別にゆっくりした重要な働きがある。
「シナプスが完成すると、ニューロンの細胞体でところで作られる溶解性タンパクや他の大分子の物質が軸系のなかを通って神経の終末部へ送られてくる(軸系流)。
…それらの物質の一部は伝達物質の製造に用いられるが、他のものはシナプスを越えてつぎのニューロン、あるいは筋の細胞へ送りこまれる」(180ページ)。
「一般的にいうと、ひとつの神経細胞がシナプスを作ると、それを通して特別なタンパクまたは大分子の物質を次の細胞に送りこみ、その細胞になんらかの影響、なんらかの指示を与える。
それをうけた細胞はまたつぎの細胞へシナプスを通して影響や指示を与えることになる。
このようにしてすべての神経細胞は、シナプスでつながるすべての細胞に「化学的に話しかけ」、それらの細胞にその次の細胞へ「いかに語りかけるべきか」を教えているのである」(182ページ)。
「ニューロンはシナプスを通しても栄養的な物質の補給を受けている」(182ページ)。

(3)とげシナプスとプルキニエ細胞が記憶の痕跡に関わるものと検討素材にあげられているが、十分な証拠立ては紹介されてはいない。(181-188ページ)。

(4)リボ核酸RNA=記憶痕跡をつくっている物質と考えられる。
2、3の実験はこれに肯定的であるが、十分とはいえない。
著者は「RNA説はあきらめた方がよいのでは」とする一方
「RNA説はなかなか魅力のあるもの」として「発展させることはできないであろうか」(201ページ)としている。
要するに証明不十分です。

以上で、高木貞敬『記憶のメカニズム』のノートを終わります。
おおよその見当をつけるに際しても、脳科学のその後の進展を見なくてはならないことがかなり明確になりました。

『記憶のメカニズム』(高木貞敬)のまとめ
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