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GDP(国内総生産)の利用に関して

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(ページの作成:「 ==GDP(国内総生産)の利用に関して== 家事労働をどう評価する前に出合ったのが、生産・サービスおよび投資を金額表示し...」)
 
(GDP(国内総生産)の利用に関して)
 
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==GDP(国内総生産)の利用に関して==
 
==GDP(国内総生産)の利用に関して==
 
家事労働をどう評価する前に出合ったのが、生産・サービスおよび投資を金額表示している国内総生産(GDP)です。<br>
 
家事労働をどう評価する前に出合ったのが、生産・サービスおよび投資を金額表示している国内総生産(GDP)です。<br>
 
〔*ウィキペディア「国内総生産」2025年1月15日アクセスを参考にします〕。<br>
 
〔*ウィキペディア「国内総生産」2025年1月15日アクセスを参考にします〕。<br>
エンゲルスの時代、19世紀にはGDPの考えはありませんでした。しかも20世紀に入ってからのGDPの成立には長い経過があり、しかも今もって十分に確立しているとはいえないでしょう。GDPが公式に国連SNAの基準として採用されたのはようやく1993年のことです。<br>
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エンゲルスの時代、19世紀にはGDPの考えはありませんでした。しかも20世紀に入ってからのGDPの成立には長い経過があり、しかも今もって十分に確立しているとはいえないでしょう。<br>
私の記憶でもそれまでにGNP(国民総生産)という言葉が使われていました。それでいてGDP自体は今なお確固とした正確性や公平性をもっているとはいえません。<br>
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GDPが公式に国連SNAの基準として採用されたのはようやく1993年のことです。<br>
そういう不正確さ、あいまいさを持ちながら一国の経済規模を計るにはある程度の確かさをもち、数字換算されているので便利に利用されます。成立経過を省いてGDPを私なりに紹介します。<br>
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私の記憶でもそれまでにGNP(国民総生産)という言葉が使われていました。<br>
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それでいてGDP自体は今なお確固とした正確性や公平性をもっているとはいえません。<br>
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そういう不正確さ、あいまいさを持ちながら一国の経済規模を計るにはある程度の確かさをもち、数字換算されているので便利に利用されます。<br>
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成立経過を省いてGDPを私なりに紹介します。<br>
 
エンゲルスの時代にはGDPは存在しません。GDPで扱うのは「市場で取引きされた物品・サービスの生産を計上」されているものです。<br>
 
エンゲルスの時代にはGDPは存在しません。GDPで扱うのは「市場で取引きされた物品・サービスの生産を計上」されているものです。<br>
その市場の成立は世界各地で大きな時間差があります。19世紀に市場取引が進んでいたのはむしろ一部の地域、主に西ヨーロッパ、北アメリカおよび日本の都市域に限られていました。その時間差は今日も続いています。<br>
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その市場の成立は世界各地で大きな時間差があります。<br>
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19世紀に市場取引が進んでいたのはむしろ一部の地域、主に西ヨーロッパ、北アメリカおよび日本の都市域に限られていました。その時間差は今日も続いています。<br>
 
ウィキペディアの「国内総生産」のページに表示されているIMFの国別GDP(2016年)の地図には、MER(名目)ベースとPPP(実質)ベースが併存しており、「名目ベースでは先進国の値が高く、PPPベースではインドや中華人民共和国など新興国やアフリカなどの発展途上国の値が高く表示されやすいことが読み取れる」としています。これは名目GDPと実質GDPの違いを表わすだけではありません。<br>
 
ウィキペディアの「国内総生産」のページに表示されているIMFの国別GDP(2016年)の地図には、MER(名目)ベースとPPP(実質)ベースが併存しており、「名目ベースでは先進国の値が高く、PPPベースではインドや中華人民共和国など新興国やアフリカなどの発展途上国の値が高く表示されやすいことが読み取れる」としています。これは名目GDPと実質GDPの違いを表わすだけではありません。<br>
 
概略を知るためですからこれを詳しくは述べませんが、「市場取引き」といっても、市場外取引の経済活動を完全に無視することはできないのです。<br>
 
概略を知るためですからこれを詳しくは述べませんが、「市場取引き」といっても、市場外取引の経済活動を完全に無視することはできないのです。<br>
市場外取引の分量は必ずしも少ないわけではなく、さまざまな推計により計算する方法を採用しています。すなわちGDPは、一国の経済活動を市場取引きによって計算しているが、それ以外のものを推計して取り入れざるを得ないのです。<br>
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市場外取引の分量は必ずしも少ないわけではなく、さまざまな推計により計算する方法を採用しています。<br>
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すなわちGDPは、一国の経済活動を市場取引きによって計算しているが、それ以外のものを推計して取り入れざるを得ないのです。<br>
 
数値に関しては、米ドルベースで表示しますが、これは為替の変動を直接に受けます。円高時の日本は高く表示され、円安になれば低く表示されるのです。<br>
 
数値に関しては、米ドルベースで表示しますが、これは為替の変動を直接に受けます。円高時の日本は高く表示され、円安になれば低く表示されるのです。<br>
何をGDPの経済活動に含むのかに関しては異論もあります。国により範囲に含む・含まないの違いもあります。麻薬取引や売春サービスなど地下経済を計上されないのですが国によっては計算に入れています。<br>
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何をGDPの経済活動に含むのかに関しては異論もあります。国により範囲に含む・含まないの違いもあります。<br>
すなわちSNAの基準はありますが、その適応は各国に任されており同一に実施されていません。日本は内閣府が担当ですが、計算方法は公開されていません。国家機密が含まれ、多くの国も公開していません。<br>
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麻薬取引や売春サービスなど地下経済を計上されないのですが国によっては計算に入れています。<br>
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すなわちSNAの基準はありますが、その適応は各国に任されており同一に実施されていません。<br>
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日本は内閣府が担当ですが、計算方法は公開されていません。国家機密が含まれ、多くの国も公開していません。<br>
 
「家庭内サービスを代替するサービスを生産する産業の現業職種は一般に低賃金である」(p9)とされます。これらを「家事的労働」と呼ぶ人もいるようです。<br>
 
「家庭内サービスを代替するサービスを生産する産業の現業職種は一般に低賃金である」(p9)とされます。これらを「家事的労働」と呼ぶ人もいるようです。<br>
1997年の経済企画庁の推計結果を論文筆者は次のように紹介します。「基礎統計である時間使用の制約は厳しく、各国の先行事例と比べて過小評価にならざるをえなかった…先進諸国の無償労働者の貨幣評価額は、GDPのおよそ6割であり、わが国の無償労働の貨幣評価額(20%台)との差を統計上の問題として説明することは不可能と思われる」(p5)。<br>
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1997年の経済企画庁の推計結果を論文筆者は次のように紹介します。<br>
その年の後、家事労働の評価方式がどのように変化したのかはよくわかりません。いずれにしても不十分であり、大いに改善の余地はあると思いますが、一つの土台ができていたことは私にとって大きな発見でした。<br>
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「基礎統計である時間使用の制約は厳しく、各国の先行事例と比べて過小評価にならざるをえなかった…先進諸国の無償労働者の貨幣評価額は、GDPのおよそ6割であり、わが国の無償労働の貨幣評価額(20%台)との差を統計上の問題として説明することは不可能と思われる」(p5)。<br>
このうち育児と介護・看護が「家族内ケア労働」であり、それが家族の世代継承機能の有償換算された表現とみるには、あまりにも軽率であり、事の重大性と結びついていない感じをもたざるを得ません。機会を見てここに言及するつもりでいます。<br>
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その年の後、家事労働の評価方式がどのように変化したのかはよくわかりません。<br>
 
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いずれにしても不十分であり、大いに改善の余地はあると思いますが、一つの土台ができていたことは私にとって大きな発見でした。<br>
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このうち育児と介護・看護が「家族内ケア労働」であり、それが家族の世代継承機能の有償換算された表現とみるには、あまりにも軽率であり、事の重大性と結びついていない感じをもたざるを得ません。<br>
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機会を見てここに言及するつもりでいます。<br>
  
20250211
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[[Category:無償の家事労働に価値評価を考える試作論|gdpこくないそうせいさんのりようにかんして]]
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[[Category:家事労働|gdpこくないそうせいさんのりようにかんして]]
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[[Category:不登校情報センター・五十田猛・論文とエッセイ|20250211]]

2025年8月2日 (土) 22:36時点における最新版

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GDP(国内総生産)の利用に関して

家事労働をどう評価する前に出合ったのが、生産・サービスおよび投資を金額表示している国内総生産(GDP)です。
〔*ウィキペディア「国内総生産」2025年1月15日アクセスを参考にします〕。
エンゲルスの時代、19世紀にはGDPの考えはありませんでした。しかも20世紀に入ってからのGDPの成立には長い経過があり、しかも今もって十分に確立しているとはいえないでしょう。
GDPが公式に国連SNAの基準として採用されたのはようやく1993年のことです。
私の記憶でもそれまでにGNP(国民総生産)という言葉が使われていました。
それでいてGDP自体は今なお確固とした正確性や公平性をもっているとはいえません。
そういう不正確さ、あいまいさを持ちながら一国の経済規模を計るにはある程度の確かさをもち、数字換算されているので便利に利用されます。
成立経過を省いてGDPを私なりに紹介します。
エンゲルスの時代にはGDPは存在しません。GDPで扱うのは「市場で取引きされた物品・サービスの生産を計上」されているものです。
その市場の成立は世界各地で大きな時間差があります。
19世紀に市場取引が進んでいたのはむしろ一部の地域、主に西ヨーロッパ、北アメリカおよび日本の都市域に限られていました。その時間差は今日も続いています。
ウィキペディアの「国内総生産」のページに表示されているIMFの国別GDP(2016年)の地図には、MER(名目)ベースとPPP(実質)ベースが併存しており、「名目ベースでは先進国の値が高く、PPPベースではインドや中華人民共和国など新興国やアフリカなどの発展途上国の値が高く表示されやすいことが読み取れる」としています。これは名目GDPと実質GDPの違いを表わすだけではありません。
概略を知るためですからこれを詳しくは述べませんが、「市場取引き」といっても、市場外取引の経済活動を完全に無視することはできないのです。
市場外取引の分量は必ずしも少ないわけではなく、さまざまな推計により計算する方法を採用しています。
すなわちGDPは、一国の経済活動を市場取引きによって計算しているが、それ以外のものを推計して取り入れざるを得ないのです。
数値に関しては、米ドルベースで表示しますが、これは為替の変動を直接に受けます。円高時の日本は高く表示され、円安になれば低く表示されるのです。
何をGDPの経済活動に含むのかに関しては異論もあります。国により範囲に含む・含まないの違いもあります。
麻薬取引や売春サービスなど地下経済を計上されないのですが国によっては計算に入れています。
すなわちSNAの基準はありますが、その適応は各国に任されており同一に実施されていません。
日本は内閣府が担当ですが、計算方法は公開されていません。国家機密が含まれ、多くの国も公開していません。
「家庭内サービスを代替するサービスを生産する産業の現業職種は一般に低賃金である」(p9)とされます。これらを「家事的労働」と呼ぶ人もいるようです。
1997年の経済企画庁の推計結果を論文筆者は次のように紹介します。
「基礎統計である時間使用の制約は厳しく、各国の先行事例と比べて過小評価にならざるをえなかった…先進諸国の無償労働者の貨幣評価額は、GDPのおよそ6割であり、わが国の無償労働の貨幣評価額(20%台)との差を統計上の問題として説明することは不可能と思われる」(p5)。
その年の後、家事労働の評価方式がどのように変化したのかはよくわかりません。
いずれにしても不十分であり、大いに改善の余地はあると思いますが、一つの土台ができていたことは私にとって大きな発見でした。
このうち育児と介護・看護が「家族内ケア労働」であり、それが家族の世代継承機能の有償換算された表現とみるには、あまりにも軽率であり、事の重大性と結びついていない感じをもたざるを得ません。
機会を見てここに言及するつもりでいます。

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