総合守谷第一病院
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2022年12月12日 (月) 13:23時点における版
総合守谷第一病院
種類・内容 | |
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所在地 | 〒 |
運営者 | |
連絡先 |
〈For children〉子どもの心を守るために
コロナ禍が始まって1年半が経過しました。
小児科にも、心が原因と思われる体調不良や不登校の相談が後を絶ちません。
子どもの心に何が起こっているのでしょうか? 考えるヒントに「(心の)安全基地」という概念があります。
子どもにとって安全基地は、家庭、特にお母さんであることが多いです。
社会は闘いの場です。楽しく過ごせていても、気を遣うことも多いはずです。
そこで人は「安全基地」で英気を養います。
十分休息を取ったら、また闘いに出ていきます。
傷ついて帰ってきて癒されることがなかったら、癒されないかもしれないと思ったら、人は外で闘うことができなくなります。
コロナ禍ではみんなが疲れています。大人も同じです。
親も余裕がないこともあるでしょう。
子どもにとっては、社会でのストレスは大きくなって、安全基地機能は低下しているのかもしれません。
こう捉えると、今できることが見えてきます。
社会的ストレスを減らすか、安全基地機能を高めるかです。
社会的ストレスを減らすといっても、学校や子どもたちの中での問題をコントロールすることは困難ですが、その他の活動はある程度保護者の裁量内にあると思います。
ストレスをかけないことが目的ではありません。
「今の本人に耐えうるか」というのを考えることが大事です。
耐えられる負荷は糧になり、耐えられない負荷は傷になります。
安全基地機能を高めるにはどうしたら良いでしょうか。
一つは保護者の気分を改善することです。程度の問題はありますが、自分のための時間を持ちましょう。
ちょっと後ろめたくても「私の健康が子どものため」と思うようにします。
気分が改善したら、後ろめたさの分を含めて子どもに返してあげましょう。
もう一つは、話を聞いてあげることです。その際に大事なのは、興味を示す、さえぎらない、否定しないです。
アドバイスもほとんどの場合は必要ないです。
子ども自身が、愛されている、尊重されていると思えることが重要であり、これこそが安全基地の中核的役割です。
思春期になると、親に何かを話すということはなくなるかもしれません。
それでも考え方は同じです。
本人のことを「無条件に」受け入れられる存在としてあり続けてあげましょう。
コロナ禍の出口はまだ見えませんが、永遠に続くものではないはずです。
心を良くすることは、あまり必要ありません。
できるだけ悪くしないように、そう努力し続ければ、きっとこの状況を乗り切ることができるはずです。
総合守谷第一病院 小児科科長 西村 一(にしむらはじめ)氏
〔広報もりや 2021年9月10日号〕