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どうすればよかったか?

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<th>親不孝のすすめ——映画「どうすればよかったか?」</th>
 
<th>親不孝のすすめ——映画「どうすればよかったか?」</th>
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<td>映画「どうすればよかったか?」(藤野知明監督)について『SHIP!』創刊号で監督取材記事が2ページ掲載されています(文は池上正樹さん)。<br>
映画「どうすればよかったか?」(藤野知明監督)について『SHIP!』創刊号で監督取材記事が2ページ掲載されています(文は池上正樹さん)。<br>
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監督の姉は統合失調症で医師をめざしていたが、両親はその病気を認めずやがて自宅軟禁状態にしたと言います。現実生活を映画にしたのです。<br>
監督の姉は統合失調症で医師をめざしていたが、両親はその病気を認めずやがて自宅軟禁状態にしたと言います。<br>
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私はこの映画を見ていません。<br>
私はこの映画を見ていません。映画を見たというDくんから話をきき、不登校情報センターサイト内にある「ケンセイの映画ウォッチ」の概要紹介も参考に考えました。<br>
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映画を見たというDくんから話をきき、不登校情報センターサイト内にある「ケンセイの映画ウォッチ」の概要紹介も参考に考えました。<br>
しかし最も強く思い浮かべたのは、この内容に相当する人が数人、ひきこもり体験者として私と接点を持ったことがあり、その人たちのことでした。<br>
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しかし最も強く思い浮かべたのは、この内容に相当する人が数人、ひきこもり体験者として私と接触しており、その人たちのことでした。<br>
全部とは言えないでしょうが、⑴裕福な家庭で親の社会的地位が高いこと、⑵両親の教養も高く良識人と思われること、⑶そして当人の知性も相当以上であること、この3つが揃っています。<br>
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この映画内容で連想した人たちとは共通することがあります。全部とは言えないでしょうが、<br>
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⑴裕福な家庭で親の社会的地位が高いこと、⑵両親の教養も高く良識人と思われること、<br>
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⑶そして当人の知性も相当以上であること、この3つが揃っています。<br>
 
実はこの映画の対象とした藤野監督の家庭がそうでした。<br>
 
実はこの映画の対象とした藤野監督の家庭がそうでした。<br>
 
両親は共に医師であり、「退職後自宅に研究室を作って共同研究を行い、ひきこもっていた姉は「問題ない」として精神科医療から離され自宅軟禁になりました。<br>
 
両親は共に医師であり、「退職後自宅に研究室を作って共同研究を行い、ひきこもっていた姉は「問題ない」として精神科医療から離され自宅軟禁になりました。<br>
 
なぜ治療を受けさせなかったのかといえば、精神科に入院していれば姉は医師になれないと考えたからです。<br>
 
なぜ治療を受けさせなかったのかといえば、精神科に入院していれば姉は医師になれないと考えたからです。<br>
これは姉に対する親の虐待です。映画を見たDくんはいろんな点を話してくれました。そして教育虐待を強く言います。<br>
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これは姉に対する親の虐待です。映画を見たDくんはいろんな点を話してくれました。そして教育虐待を強く言います。<br>
 
教育虐待に分類されるでしょうが、その奥にはもっと深い意味があるとわかります。<br>
 
教育虐待に分類されるでしょうが、その奥にはもっと深い意味があるとわかります。<br>
私の知る女性Gさんのばあいを思うと状態はここまでではありません。他のことは省くとして彼女は聡明です。<br>
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私の知る女性Gさんのばあいを思うと状態はここまで強制性はありません。<br>
いろんなことを深く理解しました。そのいろんなことのなかには「親の思いを外さない」こともあります。<br>
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他のことは省くとして彼女は聡明です。いろんなことを深く理解しました。<br>
親に対してはいろいろな反発をしましたが、何かを決めるときの最後には親の了解を得られることを条件にしました。かなわないと見込まれればその道を選びません。<br>
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そのいろんなことのなかには「親の思いを外さない」ことがあります。<br>
Gさんの診断名は統合失調症かもしれませんしそうでないかもしれませんが、精神障害領域のものがありました。<br>
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親に対してはいろいろな反発をしましたが、何かを決めるときの最後には親の了解を得られることが条件です。<br>
「どうすればよかったか?」——映画の題に答えるとすれば、親の言い草なんかを無視する親不孝娘になればよかった。ききわけのない子として成長すればよかった、となるでしょう。<br>
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かなわないと見込まれればその道を選びません。<br>
——しかし、Gさんに対して当時の私は言えなかったし、そこまで確信をもって言える自信もありません。<br>
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Gさんの診断名は統合失調症かもしれませんしそうでないかもしれませんが、精神障害領域のものがありました。<br>
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「どうすればよかったか?」——映画の題に答えるとすれば、親の言い草なんかを無視する親不孝娘になればよかった。<br>
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ききわけのない子として成長すればよかった、となるでしょう。<br>
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——しかし、Gさんに対して当時の私は言えなかったし、そこまで確信をもって言える自信もありません。<br>
 
ききわけのない子、親不孝の娘のその先はどうなるのか? それはわかりません。<br>
 
ききわけのない子、親不孝の娘のその先はどうなるのか? それはわかりません。<br>
 
しかしそこにとどまる限り道は閉ざされていることも確かだったのです。<br>
 
しかしそこにとどまる限り道は閉ざされていることも確かだったのです。<br>
私の後悔はGさんがその道に進もうとするなら最大限に支えをするという意思表示をできなかったことにあります。<br>
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私の後悔はGさんがその道に進もうとするなら最大限に支えるという意思表示をできなかったことにあります。<br>
だから私も監督と同じ心境になるように思います。<br>
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だから私も監督と同じ心境になります。<br>
私が知るひきこもり経験者のなかには、Gさんばかりではなくこの種の境遇におかれた、「聞きわけのよい」人が、少なくとも数人はいます。<br>
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私が知るひきこもり経験者のなかには、Gさんばかりではなくこの種の家庭環境におかれた「聞きわけのよい」人が、少なくとも数人はいます。<br>
女性が多いように思うのは、男性には「親の認める範囲」を最終的に受け入れないからでしょう。<br>
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女性が多いのは、男性には「親の認める範囲」を最後には受け入れない人が多いからでしょう。<br>
それでもその候補者がいます。先ほど挙げた3つの家庭環境と本人の資質条件を満たす人たちです。<br>
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それでも先ほど挙げた3つの家庭環境と本人の資質条件を満たす候補者がいます。<br>
藤野監督の家庭も、Gさんの家庭も社会的には開かれていたのに内に向かっては「閉ざされた核家族」と言えます。<br>
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藤野監督の家庭も、Gさんの家庭も社会的には開かれていたのに内に向かっては「閉ざされた核家族」と言えます。<br>
 
この家族制度に備わる危険性や限界がこのような形で表れたのです。<br>
 
この家族制度に備わる危険性や限界がこのような形で表れたのです。<br>
 
表面化していないだけで、日本にはこのような状態が想像以上に広がっていると考えます。<br>
 
表面化していないだけで、日本にはこのような状態が想像以上に広がっていると考えます。<br>
〔ブログ「ひきこもり居場所だより」2025年7月16日〕</td>
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〔ブログ「ひきこもり居場所だより」2025年7月16日を加筆修正〕</td>
 
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2025年7月29日 (火) 06:37時点における版

作品名 どうすればよかったか?

監督・出演など 監督:藤野知明
あらすじ 1983年、面倒見のいい姉が突然奇声を発した、統合失調症を疑われたが医師で研究者の両親は認めず、その後彼女は両親によって軟禁状態に。

弟でこの映像の監督でもある藤野知明自身もどうすることも出来ず、映像の専門学校に行く後、姉と両親の北海道の自宅で暮らすありさまを映像として取るのが18年後の2001年から。
このこと自体がいいことなのか悪いことなのか、タイトルが示す通り、この映像を観るものにも、どうすればよかったか? と突きつけられるものがあるドキュメンタリー映画。

〔2025年01月16日〕

感 想

親不孝のすすめ——映画「どうすればよかったか?」 映画「どうすればよかったか?」(藤野知明監督)について『SHIP!』創刊号で監督取材記事が2ページ掲載されています(文は池上正樹さん)。

監督の姉は統合失調症で医師をめざしていたが、両親はその病気を認めずやがて自宅軟禁状態にしたと言います。現実生活を映画にしたのです。
私はこの映画を見ていません。
映画を見たというDくんから話をきき、不登校情報センターサイト内にある「ケンセイの映画ウォッチ」の概要紹介も参考に考えました。
しかし最も強く思い浮かべたのは、この内容に相当する人が数人、ひきこもり体験者として私と接触しており、その人たちのことでした。
この映画内容で連想した人たちとは共通することがあります。全部とは言えないでしょうが、
⑴裕福な家庭で親の社会的地位が高いこと、⑵両親の教養も高く良識人と思われること、
⑶そして当人の知性も相当以上であること、この3つが揃っています。
実はこの映画の対象とした藤野監督の家庭がそうでした。
両親は共に医師であり、「退職後自宅に研究室を作って共同研究を行い、ひきこもっていた姉は「問題ない」として精神科医療から離され自宅軟禁になりました。
なぜ治療を受けさせなかったのかといえば、精神科に入院していれば姉は医師になれないと考えたからです。
これは姉に対する親の虐待です。映画を見たDくんはいろんな点を話してくれました。そして教育虐待を強く言います。
教育虐待に分類されるでしょうが、その奥にはもっと深い意味があるとわかります。
私の知る女性Gさんのばあいを思うと状態はここまで強制性はありません。
他のことは省くとして彼女は聡明です。いろんなことを深く理解しました。
そのいろんなことのなかには「親の思いを外さない」ことがあります。
親に対してはいろいろな反発をしましたが、何かを決めるときの最後には親の了解を得られることが条件です。
かなわないと見込まれればその道を選びません。
Gさんの診断名は統合失調症かもしれませんしそうでないかもしれませんが、精神障害領域のものがありました。
「どうすればよかったか?」——映画の題に答えるとすれば、親の言い草なんかを無視する親不孝娘になればよかった。
ききわけのない子として成長すればよかった、となるでしょう。
——しかし、Gさんに対して当時の私は言えなかったし、そこまで確信をもって言える自信もありません。
ききわけのない子、親不孝の娘のその先はどうなるのか? それはわかりません。
しかしそこにとどまる限り道は閉ざされていることも確かだったのです。
私の後悔はGさんがその道に進もうとするなら最大限に支えるという意思表示をできなかったことにあります。
だから私も監督と同じ心境になります。
私が知るひきこもり経験者のなかには、Gさんばかりではなくこの種の家庭環境におかれた「聞きわけのよい」人が、少なくとも数人はいます。
女性が多いのは、男性には「親の認める範囲」を最後には受け入れない人が多いからでしょう。
それでも先ほど挙げた3つの家庭環境と本人の資質条件を満たす候補者がいます。
藤野監督の家庭も、Gさんの家庭も社会的には開かれていたのに内に向かっては「閉ざされた核家族」と言えます。
この家族制度に備わる危険性や限界がこのような形で表れたのです。
表面化していないだけで、日本にはこのような状態が想像以上に広がっていると考えます。

〔ブログ「ひきこもり居場所だより」2025年7月16日を加筆修正〕
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