大分市教育委員会
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家庭環境改善「スクールソーシャルワーカー」 県内配置の動き
大分県内の教育現場で福祉専門職「スクールソーシャルワーカー」(SSW)の配置が進んでいる。
福祉機関などと連携し、家庭状況など児童生徒を取り巻く環境を改善するのが役割。
9月末までに県と9市町の教育委員会が配置し、7市町教委が導入へ動く。
県教委は2019年度までに大幅に増やす方針だが、専門性が必要な職種だけに人材確保が課題になっている。
不登校、貧困、いじめといった事案では、家庭など児童生徒が置かれた環境が影響し、学校だけでは対応が難しいケースがある。
県教委生徒指導推進室は「子どもの内面でなく、自力でどうにもできない環境面を整えるのがSSWの役割」とする。
大分など4市は15年度までに、臼杵など5市町は本年度から配置。
宇佐など7市町が予算を確保し、動き始めている。
大分市教委は13年度から取り入れ、本年度は15人に増員した。
15年度は1022件の事案に対応し、728件で事態を好転させたとする。
保護者が病気で養育が困難な不登校児童の家庭では、SSWが児童相談所、行政、医療機関と相互に連携。
家庭の改善で児童に安心感を与え、不登校が解消されたという。
1日3回の食事を取れていない児童の場合は担任がSSWに相談。
保護者面談で給食費支払いや文具購入がままならない生活困窮に気付き、生活保護の受給に導いた。
同市教委は「福祉的な知識が豊富で、どの機関とつなげば解決に向かうか分かる。教員任せでない支援ができる」と導入効果を説明する。
SSWの人材確保では、専門性が高いため地元で適した人材が見つからず、県教委が大分市内の人物を紹介した自治体もある。
文科省は19年度までに全中学校区をカバーする配置を進める方針だが、課題が残る。
県教委生徒指導推進室は「人材探しを支援していく。各市町村教委で配置が進めばSSWの連絡協議会を設け、好事例の共有や制度の周知も図りたい」としている。
<メモ>
SSWは福祉・医療機関、警察などと連携し、環境を改善して問題解決を図る。
心理面をケアするスクールカウンセラーとは異なる。
県の補助金で配置するためには社会福祉士か精神保健福祉士の資格が必要。
〔◆平成28(2016)年10月24日 大分合同新聞 朝刊〕