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社会的弱者の援助制度(試案)

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社会的弱者の援助制度(試案)

行政のひきこもり・無業者・低収入者等の社会的弱者への援助制度(試案)
作成日 2020年(令和2年)1月13日
*この試案は適時書き換え、作成日の変更により更新を確認します(No.2)。

行政による社会的弱者の一部のひきこもり対策の中心は、相談窓口の開設であり、就業支援です。それ以外の動きもありますが、地域的には局所的、内容的には部分的です。市民や民間の動きは大きく広がりましたが、行政はこれにうまく対応していません。
それは受け入れる仕組みが十分でないからです。現在の行政の対応水準ではこの社会問題にさしたる効果的成果を期待しえないと考えます。
行政の対応を効果的に変えるにはどうするのか。行政や法制度を私はよく知りません。しかし、ひきこもり当事者の実情なら少しはわかります。それを生かして次のような制度づくりを提案します。彼ら彼女らに制度を利用するのが有益であり、利用したいと思える形にします。ひきこもり・無業者・低収入者等の社会的弱者の身近な生活の費用負担を軽減または行政が負担する制度に変えます。
〔試案の限界〕 詳細を具体化するために各専門分野の要望を聞き、意見交換により具体化できることを望みます。
本試案は討論し検討するたたき台であり、各人・団体・党派がそれぞれの見識・対策等を作成する材料の1つになることを歓迎します。
本試案においては、市町村区・都道府県・国の役割分担を区別しえず、一括して行政と表記します。

(1) ひきこもり・無業者・低収入者等の社会的弱者の要件と援助対象者
次の条件の人を援助対象の要件を持つ人とします。
1:年収が課税対象所得以下の収入である家族の一員。
2:収入がない、または年収が課税対象所得以下の義務教育年齢以上の個人。
3:厚生労働省が提示するひきこもりに該当し、行政が指定する援助団体等の代表が相談・通所する人をひきこもりと認定する人。
◎ 生活保護の受給者、障害者等であり行政の援助を受ける人も、その受給内容に以下の援助がない場合は登録が可能になる。
◎ ひきこもりは社会的な状態であり、医学的な診断を前提としない。
◎ 要件を満たす援助対象者は登録することにより、行政から各種の援助を受けられる。それを促進する制度をつくるのが中心目標になる。
4:ひきこもり・無業者・低収入者の該当者および家族は、行政が指定する機関・施設・会合等に参加等したら登録できる。登録者には磁気型登録カードを発行し、利用のつど利益を受けることにつながるスキャン記録をする。
◎ 登録者またはその家族は毎月1回以上、行政が指定する援助団体等のいずれかに参加または報告する。

(2) 行政が指定する援助団体等
1:保健所、精神保健福祉センター・ひきこもり支援センター、生活困窮者相談窓口、行政の福祉部局、若者サポートステーション、社会福祉協議会等の公共機関およびそれに準ずる機関。
2:若者の自立支援団体、親の会・家族会・当事者のグループ、訪問活動の実施団体、NPO団体、一般社団法人、精神科等の医療機関・心理相談室、障害者の作業者等で援助対象者に対する3年以上の活動実績があり、行政に申請したところ(活動実績を証明できること)。

(3) ひきこもり対策相談室=相談窓口から居場所の運営に
行政のひきこもり対策相談室の業務は次の通りとする。
1:相談業務と該当する援助団体等の紹介。
2: 居場所を運営する(独自に開催するか、保健所、援助団体等と共同の開催)。
ひきこもり対策相談室を民間事業者に委託する条件に居場所の運営を加える。
3:登録者が3か月以上、行政が認める援助団体等に参加または報告しない場合は、訪問し直接に目視し安否確認と状況把握をする。

(4) 具体的な困りごとへの対処内容
登録者は以下の援助を受けることができる。ひきこもり・無業者・低収入者等に直接・間接の援助を実施する。
1(交通費):行政が指定する援助団体等が開催する会合、相談機会等に数回以上の参加を確認した登録者に交通費を支給する。
◎ 参加しやすい条件づくりと指定する援助団体等の利用を推進する。
2(葬儀):登録者の三等身以内の親族が死亡したときは、行政が認める葬儀社・宗教施設の基準葬儀方式(定額15万円*地域事情による)により行政の費用負担で行う。
3(公衆浴場):登録者は、該当地域に所在する公衆浴場を50%の料金で利用できる。登録カードによりスキャン記録し、残額は公衆浴場からの申請に基づき行政が費用負担する。
4(高卒資格の取得):登録者のうち高校卒業でない人に、高校学費と高卒認定試験に必要な学習・教材費および受験費を支給する(年齢制限なし)。
*高等学校等修学支援金も活用する。
*夜間中学を利用する場合(学費無料)は、教材費・交通費を支給する。
5(住居の援助):登録者は、民間不動産業者を通して、住宅の紹介をうけ、行政は一定額以下の家賃援助をする。
◎ 行政区域内の空き家・空き室状況を可能な方法で広報する。空き家・空き室の定義は(空き家対策法よりも)幅広いものにする。
◎ 民間の不動産業者を通すのは、行政が直接管理する場合は、耐震・免震条件が加わり、実質的な運用にならないと想定される。
6(食の援助):登録者に対し、行政が食品販売事業者と協力し、食品ロス対策・貧困対策の一部として食の援助をする。
◎ 再販売しない条件で保存できる飲食材を支援団体に提供する食品会社がある行政が参加すればこの条件を満たす仕組みができる。
◎ 子ども食堂に地域社会食堂の性格を持たせる。民間の食堂の協力を得られる形を考える。
7(医療・保健および心理カウンセリング等の利用): 登録者は医療・保健および心理カウンセリング等を利用するとき、健康保険、そのほかの支援助成制度によっても費用負担が一定額以上あるときは、行政は基準により相当額を援助する。
◎ いずれも行政の指定する援助団体等であるのが条件。
8(その他):登録者の生活・健康・生命に直接的な負担がかかる場合は、行政はそれぞれの事情に即して施設利用、サービス提供および援助金支給を行う。

(5) ひきこもり専門対策部門の設立
行政内にひきこもり専門の対策課を設ける。
1:行政の相談窓口の受託団体が居場所を運営できるように、居場所に出かけ学ぶ等の研修機会をつくる。
2:生活保護の打ち切りや申請拒否ではなく、生活できる代替システムを広げる方法を策定する。
                             3:行政内の求人難・後継者難の事業者に協力し、当該事業所または一定の場所で当該事業者とともに人材発掘につながる見学説明会、実習・研修会などの機会を持つ。事業者がこの趣旨の機会を開催できるように援助する。登録者に対し、幅広く、定期的・機会に応じて粘り強く案内し、参加を勧める。

◎提案の意図するところ
本試案は、『ひきこもり国語辞典』(時事通信出版局)を出版する機会に、ひきこもり等の現状に即した、実質的な社会的援助の必要性を訴えるのが目的です。
本試案は、私案であり、関係者(団体・機関など)が意見交換の素材とされるのを期待します。提案者は可能な範囲で意見交換や検討の場にでて、内容説明や質疑に参加する意思があると表明します。(原則無料ですが、交通費等の負担をお願いする場合もあります)。
本試案を1つの参考として、政党・党派が検討し、ひきこもり・無業者・低収入者等援助にかかわる法令または条例づくりの参考にすることを期待します。

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