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KHJいわて石わりの会

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2021年3月12日 (金) 14:48時点におけるMatsu4585 (トーク | 投稿記録)による版
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KHJいわて石わりの会

所在地 〒029-2208 岩手県陸前高田市広田町字前花貝80-21
代表 佐々木善仁
TEL携帯 080-1830-9046
FAX 019-613-4516

「津波よりも、避難所で人に会う方が怖い…」ひきこもりの次男と助けようとした妻を亡くして
震災10年を振り返る佐々木さん
「一昨年の大晦日に体調を崩し、去年の4月まで入院していました。左半身が麻痺し、今も後遺症があります。
一時期、しゃべっている内容がわからない状態でしたが、話せるようになりました。
運転も難しくなりましたが、リハビリを経て8月ごろには運転ができるようになりました」
津波に流された佐々木さんの自宅があった付近
岩手県陸前高田市の広田半島に住む、佐々木善仁さん(70)。
津波によって、ひきこもりだった次男(享年28)と部屋に閉じこもっていた次男を助けようとした妻・みき子さん(享年57)を亡くした。
震災前は、中心市街地の高田小学校の近くに住まいがあった。
しかし、住宅は津波にのまれた。勤務していた広田小学校から徒歩10分ほどの借家に住んでいる。
佐々木さんは当時、広田小学校の校長だった。
ちょうど3月末で定年を迎えようとしていた。
地震が起きたのは、そんなタイミングだった。
小学校の児童が下校をするところだった。体感としては15分ほど揺れていたという。
当時は1年生の担任、副校長、事務長が休みを取っていた。
そのため、「学校が避難所になる」と思った佐々木さんは、体育館で準備をすることになった。
ただ、すぐに停電になったので、校内放送ができず、口頭で各教室に指示した。
校庭の近くの海側まで達した津波
中学校の先生や消防団たちが「津波がくるぞ」と言っていた。
津波は校庭の近くの海側まで達した。学校の避難マニュアルでは、津波発生時には、高台に逃げることになっていた。
具体的な場所の記述はないが、津波想定の避難訓練をしていたために、校庭よりも高い校門の外まで逃げた。
幸いにも子どもたちは無事だった。
一方、佐々木さんは家族のことが心配だった。
しかし、みき子さんからは「学校のことをきちんとやりなさい」と普段から言われていた。
そのため、学校の避難所運営を優先した。広田半島は孤立していた。
そのため、自衛隊がくるまで、自分たちでできることをした。
「震災から3日経ったとき、市立米崎小学校の非常勤講師をしていた長男の陽一が学校へやって来ました。
そのとき、『俺は、大丈夫だから。あとは校長としての仕事をちゃんとやれ』と言って、帰って行ったんです。
米崎小から帰宅するときに、広田小に立ち寄ったのではないかと思っていたんですが、『俺は~』の意味を少しだけ考えたんです。
『他の家族は?』と。妻が『学校のことをきちんとやりなさい』と言っていたことも頭を離れませんでした」
避難所に行くのを嫌がった次男
津波が来たとき、長男は、みき子さんと次男と一緒に自宅にいた。
次男はひきこもりだったが、避難所に行くのを嫌がった。
部屋から出ない次男をみき子さんが説得しているときに津波に襲われた。3人は流された。
ただ、長男とみき子さんは、海岸近くにあった市営野球場までたどり着いた。
長男は諦めかけていたが、みき子さんの「せっかくここまで来たのだから、生きなきゃいけない」という言葉を聞き、生きようとした。
しかし、みき子さんはさらなる津波にのまれ、帰らぬ人になった。
あれから10年が経った。陸前高田市では、復興工事が進み、震災前に市街地だった場所は嵩上げがされた。
かつての市役所の付近には、中心市街地が出来上がっている。
JRは線路がなくなったものの、BRTとして復活している。
市立図書館が併設されている、商業・図書館の複合施設「アバッセたかた」も整備された。
市庁舎は、様々な議論の末に、高田小学校だった場所に建設されている。
「あっという間ですね。今は、街に瓦礫がなくなり、土地が整備されました。
震災当初は、今まで私たちが生きていた思い出があり、悲しくなった。
水の中に沈んだダムのようだった。現在は、嵩上げをしました。
ということは、今まで過ごした街がなくなってしまったということで、寂しいと思っています。
堤防が作られ、海が見えなくなりました。
見えないことへの思いは色々あります。心理的にも抵抗があります。しかし、地域の住民を守ってこそです。
もちろん、復興への期待はありますが、複雑な思いです。
それに高田の中心部には街ができました。なりわいの再生のためにはすごいなと思います。
そのエネルギーを自分も利用したい気持ちがあります。しかし、人口増の見通しが立っていません」
佐々木さんは、ひきこもりの次男とどう接していたのだろうか。
退職したら、向き合おうと思っていたのに…
「次男が不登校になった時から、苦しみや悩みを聞いていたのは妻でした。
私は、妻から聞くだけ。当時は、他人事だったと思います。
しっかりと向き合うことができませんでした。
不登校やひきこもりだった時期に、私は、なんとかしようとは思わなかった。
波風を立たせたくないと思っていました。
ただ、退職したら、向き合おうと思っていましたときに、あの日を迎えてしまいました」
みき子さんは、「不登校・ひきこもりの父母の会」に参加していた。
「妻は、晩年は責任ある立場でした。震災後、妻が亡くなったため、会を解散することも考えていたんです。
しかし、不登校の子は多いため、会は存続しています。
発達障害の子どもに悩む親も口コミで集まっています。
一方では、ひきこもりに特化した会も作りたいと思いました」
震災から2年後、ひきこもりの親の会を設立しようとし、イベントを開いた。
しかし、参加した人のほとんどが支援者で、当事者の親は数人のみ。これでは親の会を立ち上げられないと思っていた。
しかし、盛岡市を拠点とした「KHJいわて石わりの会」ができて、現在は、代表となった。
「NPO法人の全国ひきこもり家族会連合会(KHJ)から、盛岡市内で会を立ち上げるという話があり、参加するようになったんです。
自分の体験談を話しました。立ち上げには関わっていませんが、数ヶ月後に、会の代表になったんです。
私は、自分の経験をほとんど話しませんが、震災の時のことは話します。
当事者の話を聞くことで、『息子は、あのとき、こう苦しんでいたのか』と思いました」
誰にも優しい社会を 次男が不登校になり、ひきこもりになった。
震災では、避難所に行き、人と関わらないといけないプレッシャーが強かった。
次男は「津波にのまれるよりも、避難所で人に会う方が怖い」と言って、避難せずに命を落とした。
「次男がひきこもりにならなければ、不登校やひきこもりに関心がなかったと思う。
学校の教員時代には、不登校の子どもと関わることはなかったのですが、やがて私自身が当事者の親になりました。
でも、息子はひきこもって、10年後に震災で亡くなってしまったのです。
命のある子どもたちを自己責任とするのではなく、見守れるネットワークをつくらないといけないと思っています。
そういう社会は、誰にも優しい社会だと思います。
今だったら、波風を立ててもいいから、息子が理解できないとしても、親の思いを話そうと思います。
そして、息子の気持ちをちゃんと聞こうと思います。そうしないと、後悔します」
今後は、南海トラフ地震のリスクが言われているが、同じようなことが起きないとも限らない。
「東日本大震災だけではなく、今後、心配される南海トラフ地震でも、次男と同じような子どもが亡くならないようにしてほしいですね。
社会と断絶している人がいる場合、例えば、消防団が逃げるように言ったとしても、拒否するかもしれません。
自分の意思で逃げようとする、または、安心して逃げられるような社会のシステムが必要なんだと思います。
きっと、当事者の父母会や親は、そんな風に思っているのではないでしょうか。
もちろん、親は最初、世間体を気にするかもしれません。
しかし、当事者の親を不安にしないで、子どもの困りごとを言えるような世の中になればいいと思います。
私たちの活動が、その一助になれば、と思っています」
〔2021年3/10(水) 文春オンライン 渋井 哲也〕 


ひきこもりの子支える心情共有 盛岡で家族ら集い
KHJいわて石わり会の集い(NPO法人KHJ全国ひきこもり家族会連合会主催)は5日、盛岡市上田の上田公民館で開かれ、ひきこもりや不登校の当事者や家族ら約10人が思いを共有した。
元広田小校長で、妻とひきこもりだった次男を東日本大震災の津波で失った陸前高田市広田町の佐々木善仁(よしひと)さん(66)が、不登校ひきこもり気仙地区父母会の活動を報告。
「同じ時間と場所でやり続けることが大事だ」と説明した。
子育てを妻に任せきりにして仕事中心だった過去を振り返り、「今さらながら次男、妻の心情が分かってきた。自分のための活動でもある」と吐露。
「亡くなった2人の分まで命を全うしたい」と語った。
〔2016/11/6 岩手日報〕 

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