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不登校・中退者の受け入れ状況

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不登校・中退生の受け入れ状況

〔『不登校・中退生のための高校・同等学校ガイド』不登校情報センター・編、東京学参、1997年〕
多くの若者にとって、高校卒業あるいは同等資格を持たないことは、社会的ハンディキャップになっています。
それを知っているはずの方からさえ、「高校は義務教育ではない」「高校卒業という学歴にとらわれているのでは……」という意見が出されることがあります。
私のように「本人が望むならばすべての若者に高校教育を」すすめる者にとって、残念なことです。
これでは高校卒業でない若者は救われない、と思います。
私は学歴によって人間として何ら不利益を受けない社会をめざしています。
そのことといまやっていることは矛盾しないばかりか、正攻法の接近方法だと考えています。
実は日本国憲法では、学歴によって人は不利益を受けないことが決められています。
憲法第14条「すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない」と謳われており、私は学歴を社会的身分の一つと考えています。
この精神を生かす、あるいは実現する方法として「高校は義務教育ではないから……」とする立場では、何をするのでしょうか。
中学校卒業で差別なく社会的に生活をしていける条件をどう広げていけるのでしょうか。
どんな考え方、展望、方策が準備されているのでしょうか。
現に苦しんでいる若者の困難を一つひとつ解決していく方策のなかに、打開の道を求めないで、どこに展望を求めようとするのでしょうか?
高校教育は義務教育ではないし、私は義務教育にしない方がいいと思います。
しかし高校教育を望む人には、公機関(official)と社会(public)があらゆる方法を尽くして、それを保障し、援助すべきものだと思います。
高校卒業でないことが社会的ハンディキャップになる今日の日本では、それは当然であるし、それが高校教育を「準義務教育」とする準の内容ではないかと思います。
その高校教育を望む若者がどのような状態におかれていても、これは変わりません。
たとえば障害者であっても、非行や罪を犯していても、日本に居住する少数民族や外国人であっても同じです。
さまざまな状態におかれている不登校や高校中退の若者にたいしても同じです。
この本では高校卒業あるいはそれと同等資格に当たる教育機関―それが公制度として認定されているかどうかは関係なく、これらの若者の要請にこたえるために、社会的に対応している教育機関―を紹介しています。
これらの教育機関のなかには、いわゆる「問題のある」ところもあり得るかもしれません。
それは認定校であっても一条校であっても同じことで、社会的に糾していくことが筋道であろうと思います。
今回の情報本を編集するために、対象となる各校から紹介記事となるデータを送っていただきました。
同時に個別の学校の数値は公表しない約束で生徒の状態に関する情報提供もお願いしました。
それらの情報のなかで、不登校・高校中退生の受け入れ状況と関係する部分を集計したのが表1「校種別の不登校・中退生の受け入れ状況〔97年〕」です。
この表によって、定時制高校、通信制高校、高等専修学校、通信制高校サポート校、大検予備校が、不登校・高校中退生をどの程度受け入れているのかを、ある程度知ることができます。
この数字は、いろんな制約条件のもとで、限定的に評価してみなくてはなりません。
その理由は多岐にわたりわずらわしくなりますので、最後の方にまとめておきました。
このことの重要性に気づいておられる方は、ぜひ参照していただきたいと思います。
それでも、この表1およびこれから出てくる各種の図・表を見る際に注意してほしいことがあります。
それは学校毎あるいは校種別に、把握しようとしている情況や背景が違うことです。
生徒の調査票に中学時代の長期欠席者であることを記す項目がなかったり、就職しているかどうかは不要であったり、あるいはその意味する範囲が独自のものであったりすることです。
不明とか概数という学校があるのはそのためですし、またそのようなデータを完全に外部には提示しないとする学校もあります。
その結果、項目ごとに対象となる学校(生徒数)が異なり、比率算定の分母となる対象生徒数(母集団)が異なる事態となりました。
図表において「合計」欄とは別に「対象生徒数」欄があるにはそのためです。

しかしそれでも、一校だけ単独に見ていたのではわかりにくい構造的な動向を、ある程度の学校数を見ることのなかから浮かび上がらせているように思います。
それは、「当たらずとも遠からず」という状態描写になっていると思います。

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