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居場所の役割は大きくて多様に広がる

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居場所の役割は大きくて多様に広がる

初めの話は「そう考える人もいる」程度の空想的仮説として受けとめてください。数年前に自転車が転倒し、指を骨折しました。
そのとき医院でソランタールを処方してもらい、残りが自宅にあります。口の中が妙な感じがするのは、歯が炎症しかかっているのでしょう。
それでソランタールを1錠口に放り込みました。しばらくすると口の違和感はなくなっています。
医院にかかると数回分の薬を処方されますが、私は1回分で症状が治まるので残りは薬箱に入れておきます。自分の体質は薬がよく効く体質だと思います。
薬箱には10年ぐらい前のもあるはずです。
たぶん薬の効力は「症状・病気に対する的確性×薬を受けとる患者の体質」になるでしょう。
医師は薬の効用を深く知ることはできますが、患者個々人の体質を深く知ることは難しいのです(体重を除く)。
薬の効用・効果に頼って薬を処方するしかありません。
残る問題は患者の——一般には人間の体質ですが、私はこれを自然治癒力、心身の抵抗力、免疫力の個人差によるものと思います。
先日ある人の甲状腺機能がおかしいと心療内科系医院から甲状腺診療を得意とする医院を紹介されました。
それから3~4か月したある日のことです。その甲状腺専門の医院を受診した人から連絡がありました。
投薬により検査の結果(数値)がよくなったようで、「明日からでも働けますよ」と言われました。
この人は「まるでわかってない医師です」と言います。私ももっともな感想だと思います。
人の体質・免疫力あるいは自然治癒力は、甲状腺機能の1点だけで決まるわけではありません。専門医であるが故の勇み足、正確に言えば誤診です。
この専門医ばかりとは思えません。私が関わるひきこもり経験者には精神科、心療内科を受診する人が多くいます。
その医師たちは少し元気になったら「仕事をしなさい」という人はさすがに少ないですが——相手によってはそういう勧めもあるとは思いますが、人が働くための「体質」を含む条件はそれだけでは決められません。
多くの行政機関の相談窓口では、ひきこもり経験者を自立する援助ルートに、「働く先」を直接に設けた場合が多いと思います。
それでは上手くない(遠まわりに過ぎる誤判断とわかって)、この数年の間に中間過程を設ける働きが広がってきました。
それがいろいろな傾向の居場所の広がりです。私の見るところでは、社会全体の気付きがここに至るまでに20年近い歳月を要しました。人間はなかなか気づかないものなんです。
さて私は不登校情報センターの看板を掲げていますが、別に「進路就職研究会」という郵便振替口座があります。
元の名義は「就職研究会」でした。不登校生にかかわり、それに対応する必要性から「進路」が加わり、名称を「進路就職研究会」に変更したのです。
私も当初はひきこもりへの対応を「仕事に就く」を想定し、そのために「働けそうな仕事場」や「仕事の種類(方法)」から始めました。世の多くの人たちと何ら変わりません。
10代後半から20代前後の人たち(といっても手続きをしたのはその家族=親)がこれに参加しました。しかし、上手くいきませんでした。1990年代後半のことです。
そこから必要な過程は何かを考え始めたのです。これは当事者に、不登校やひきこもりの経験者から聞くしかないと始めたのが居場所です。
といっても当時の私は居場所という言葉も知りません。集まってくれた人たちがフリースペースだとか、居場所だとか、そんな言葉を教えてくれたわけです。
きわめて幸運なことに、葛飾区新小岩にあった第一高等学院の校舎が空いた状態になり、「無料で使わないか」という提示があってそこに移りました。
この時期が2001年6月から2005年8月までの4年間です。
多くのひきこもり、準ひきこもりの人が集まりました。
精神科や心療内科に通院(ときに入院)する人、カウンセリングを利用する人、就労支援機関に通う人、自宅から外出し始めて行き先として利用した人、家族と一時的に離れる状態を求める人…も混じっていました。年齢も20代が中心でした。
この時期の不登校情報センターは(といってもその前もその後も同じですが)特定の指導方法はありません。
それに満足できずに離れていった人もいます。深く意識せずに通い続けた人もいます。そうしてある人は働き始めました。
すべての人の状態が回復したとは思いません。
それでも通い続けたことによって自然治癒力、心身の抵抗力、免疫力をそれぞれの程度に高めたものと考えます。もっとも証拠材料はありません。
特定のプログラムがなく、20代を中心に10代から40代近くまでのいろいろな人が集まったこと——そこでの話し合い、心理的な衝突、個人的な経験・学び、失敗と成功…がくり返されていたのです。
私の役割は場の設定者です。安全を図ったはずですが、言葉や行動による心理的な傷つきがなかったわけではありません。
感度のいい人と悪い人、察知しやすい人とそうでない人が多いのです。
物理的な傷害はなかったと思います。そのような人たちが集まる場の設定者でした。
特定の心理的プログラム、技術取得プログラム、就職に向かう取り組みはありません。
特別の医療・心理、あるいは投薬治療はありません。
あるのは、それぞれが基本的には自分の意志で集まり、ある時間を共有した、それをくり返した——それがこの居場所の役割です。
参加した個人は、この場だけで生活したのではありません。その人の家族との関係があります。動いている生活圏の中で経験を重ねます。
年齢を重ねます。それもまたその人の人生であり経験です。
これによってその人の自然治癒力が、免疫力・抵抗力も変化するのです。
年を重ねることで上昇するものもあれば、体力の低下とともに下がっていくものもあります。
改めて気づいたことは居場所が全国的に、幼児期から高齢者まで、いろいろなテーマにより(子ども食堂・サークル・趣味の会・健康増進など)広がっています。
不登校情報センターのサイトでは、社会の動きのなかで、ひきこもりと関わりそうな団体や自治体が、居場所づくりに向かっている様子を収集し掲載しています。
医療・心理、就業・就労支援、家族関係・人間関係に関わるいろいろな取り組み(団体・自治体の取り組みを中心に)です。
不登校情報センターの居場所は数年前に衰退し、最盛期からは20年近く過ぎました。
いろんな問題を抱えていましたが、その時期に経験したことはいまでも参考になります。
全国で広がる居場所の動きに注目し、サイトでも紹介するのはその経験があるからです。
〔2024年7~8月ごろ〕

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