もし戻るとしたらいつ・・?
もし戻るとしたらいつ・・? 3月のセシオネット親の会
2022年3月19日、ひさびさにセシオネット親の会に懐かしい顔が集まりました。
今回は新しい方のお話も聴かせていただき、それぞれの胸に響くものがありました。
その中で語られたある方のお話を・・・。
ひさびさにおいでになったその方、まだ道半ばの長男と最近はよく散歩をするそうです。
それを聞いただけで親子関係のよさが想像できます。
もともと心根の優しい彼とそれを見守るお母さまということではありましたが、散歩をしながらいろいろな話ができるとは「なんて素敵な関係になっているのか」とその情景が目に浮かぶようです。
ある時、その散歩中に彼が、「戻るとしたらいつに戻ってみたい?」ときいてきたそうです。
その質問でハタと考えてしまったお母さまですが、よくよく考えてみると「戻りたい時代はなかったな」と思い至ったそうです。
もしかしたら息子さんは自分が不登校をするようになった、その前の時代に戻るという言葉を少し予想していたのでしょうか。
それとも本当にただの興味の言葉として聞いてきたのでしょうか。
それは定かではありませんが。
お母さまはどの時代もその時その時精一杯生きてきたから「あの事さえなかったら」という悔いの気持ちがないというようなことをおっしゃっていました。
しかし、以前の親の会では子どもが立ち止まっていろいろ戦ったり心配で眠れない夜があったりとそんな日々も通ってきたということは並走してきた私たち親の会の仲間は知っています。
それなのに通ってきてみるとそのどれもが過去のことで、そこを通っているからこその今の落ち着いた心境になっているのだろうと想像できます。
その時その時はこの苦しさがずっと続くのではないかと苦しくなった時もきっとあったことでしょうが、それらのことはいつか過去のことになっていくのですね。
今現在苦しく先が見えない状況の方にもいつか過去として語れる日が来ることでしょう。
親の会の方々もそこをそれぞれその苦しい時代を通ってきている「今」であるようです。
もし今まだ先が見えないとしても、それまで親の会など何かしらの力を借りて、誰かに支えてもらったりお互いに支えあったりしながらその時を通り過ぎてほしいものです。
そしてその経験が実は「人生の肥やし」となってその方の人間的な厚みになっていくと私は思っています。
そういう方々を私は親の会でたくさん見てきた気がしています。