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アスイク

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ページ名 NPO法人[[アスイク]] 宮城県仙台市 (子どもの貧困のニュース、)<br>
 
 
'''ひとり親、不登校、困窮家庭の子どもたちの拠点をつくる、ある男性の奮闘'''<br>
 
'''ひとり親、不登校、困窮家庭の子どもたちの拠点をつくる、ある男性の奮闘'''<br>
 
新型コロナ感染拡大の影響で、経済的に困窮する家庭が増えています。<br>
 
新型コロナ感染拡大の影響で、経済的に困窮する家庭が増えています。<br>
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社会人2年目に、仙台の地域活性化という事業理念を掲げた会社に勤めていたこともあって、29歳で東京から仙台に戻って来ました。<br>
 
社会人2年目に、仙台の地域活性化という事業理念を掲げた会社に勤めていたこともあって、29歳で東京から仙台に戻って来ました。<br>
 
学生時代から人や社会の役に立つことが自分の存在意義につながるのではないかと考えていたので、漠然と世の中の役に立つような事業を作りたいと思ったんです。<br>
 
学生時代から人や社会の役に立つことが自分の存在意義につながるのではないかと考えていたので、漠然と世の中の役に立つような事業を作りたいと思ったんです。<br>
当初は、特に子どもや福祉の分野を考えていたわけではなく、たまたま震災があって、学校が再開できるかどうかわからないという状況下で、子どもに関する課題が次々と出てきて、活動しているうちに気付いたら9年経っていたという感じです。<br>
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当初は、特に子どもや福祉の分野を考えていたわけではなく、たまたま震災があって、学校が再開できるかどうかわからないという状況下で、<br>
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子どもに関する課題が次々と出てきて、活動しているうちに気付いたら9年経っていたという感じです。<br>
 
僕自身は、特別なことをしているという感覚はありません。<br>
 
僕自身は、特別なことをしているという感覚はありません。<br>
 
例えば、目の前の川でおぼれている子どもがいて、近くに棒や丸太があったから投げているという感覚でしょうか。<br>
 
例えば、目の前の川でおぼれている子どもがいて、近くに棒や丸太があったから投げているという感覚でしょうか。<br>
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際限なくやってしまうと自分のなかのエネルギーがなくなって、気づいたときには倒れてしまっているという状況が起こる可能性も出てきます。<br>
 
際限なくやってしまうと自分のなかのエネルギーがなくなって、気づいたときには倒れてしまっているという状況が起こる可能性も出てきます。<br>
 
だから仕事の時間はきっちり決めて、それ以上はやらないということも重要になりますね。<br>
 
だから仕事の時間はきっちり決めて、それ以上はやらないということも重要になりますね。<br>
震災のときもそうでしたが、家庭の中の問題や保護者の不安やストレスなどが、子どもなど弱い立場の人に向かいやすいという構造があると思っているので、コロナでも同様のケースが生まれてくることを想定しながらその準備することが大事だと思って活動しています。<br>
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震災のときもそうでしたが、家庭の中の問題や保護者の不安やストレスなどが、子どもなど弱い立場の人に向かいやすいという構造があると思っているので、<br>
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コロナでも同様のケースが生まれてくることを想定しながらその準備することが大事だと思って活動しています。<br>
 
'''外から見えにくい虐待や貧困。日ごろから気にかけてほしい'''<br>
 
'''外から見えにくい虐待や貧困。日ごろから気にかけてほしい'''<br>
 
親と子は、近い関係であるがゆえに、お互いに本音が言えなかったり、ぶつかりやすかったりする存在なのだと思います。<br>
 
親と子は、近い関係であるがゆえに、お互いに本音が言えなかったり、ぶつかりやすかったりする存在なのだと思います。<br>
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〔2020年11/18(水) たまひよONLINE 取材・文 米谷美恵〕 <br>
 
〔2020年11/18(水) たまひよONLINE 取材・文 米谷美恵〕 <br>
  
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ページ名 [[アスイク]] 宮城県仙台市(子どもの貧困のニュース、不登校のニュース、、新型コロナ)<br>
 
 
'''コロナでより深刻、貧困状態にある子どもの拠点を作る…大企業から転身、奮闘するある男性'''<br>
 
'''コロナでより深刻、貧困状態にある子どもの拠点を作る…大企業から転身、奮闘するある男性'''<br>
 
NPO法人アスイク代表 大橋雄介さん<br>
 
NPO法人アスイク代表 大橋雄介さん<br>
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不登校自体は全国的に増えていますが、そのなかには生活困窮や貧困などを背景にした不登校が少なくありません。<br>
 
不登校自体は全国的に増えていますが、そのなかには生活困窮や貧困などを背景にした不登校が少なくありません。<br>
 
そういった子どもたちの受け皿として、2015年から仙台駅前でフリースクールを運営しています。<br>
 
そういった子どもたちの受け皿として、2015年から仙台駅前でフリースクールを運営しています。<br>
それ以外にも「食事」を切り口にした居場所である「こども食堂」や保育園、仙台市の児童館・放課後児童クラブを運営することで、幅広い年代のいろいろな困りごとを抱えている子どもたちと一人でも多くつながれるようにしています。<br>
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それ以外にも「食事」を切り口にした居場所である「こども食堂」や保育園、仙台市の児童館・放課後児童クラブを運営することで、<br>
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幅広い年代のいろいろな困りごとを抱えている子どもたちと一人でも多くつながれるようにしています。<br>
 
'''コロナ禍が生み出す生活困窮と不安'''<br>
 
'''コロナ禍が生み出す生活困窮と不安'''<br>
 
出展:調査レポート_新型コロナウイルスの感染拡大による生活困窮家庭への影響(第2報)<br>
 
出展:調査レポート_新型コロナウイルスの感染拡大による生活困窮家庭への影響(第2報)<br>
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たくさんの仲間が活動を支えてくれています。(写真提供:大橋さん)<br>
 
たくさんの仲間が活動を支えてくれています。(写真提供:大橋さん)<br>
 
もうひとつ「社会に子どもたちが合わせる」という考え方も、これまで子どもたちの生きづらさの原因のひとつになっていたと感じています。<br>
 
もうひとつ「社会に子どもたちが合わせる」という考え方も、これまで子どもたちの生きづらさの原因のひとつになっていたと感じています。<br>
例えば「学校に行かないことは悪い」「中学を卒業したら高校、大学に進学して就職するというルートに乗るのが良い」などの社会の価値観に合わせられない、合わせにくい子どもたちがいろいろな苦しみを抱えているのではないでしょうか。<br>
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例えば「学校に行かないことは悪い」「中学を卒業したら高校、大学に進学して就職するというルートに乗るのが良い」などの社会の価値観に合わせられない、<br>
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合わせにくい子どもたちがいろいろな苦しみを抱えているのではないでしょうか。<br>
 
そういう考えを全て否定するわけではありませんが、僕たちは、自分の特性や興味関心などに沿った生き方をしていくことだったり、一人ひとりの違いに目を向けて一緒に考えていったりすることが大事だと考えています。<br>
 
そういう考えを全て否定するわけではありませんが、僕たちは、自分の特性や興味関心などに沿った生き方をしていくことだったり、一人ひとりの違いに目を向けて一緒に考えていったりすることが大事だと考えています。<br>
 
今回のコロナの問題も含めて、これからの社会を子どもたちと一緒に考え、作っていくことが僕たちの向かう方向だと思います。<br>
 
今回のコロナの問題も含めて、これからの社会を子どもたちと一緒に考え、作っていくことが僕たちの向かう方向だと思います。<br>
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NPOの世界は、自分たちが取り組んでいる問題がなくなって必要とされなくなることがゴールだと言われることがあります。<br>
 
NPOの世界は、自分たちが取り組んでいる問題がなくなって必要とされなくなることがゴールだと言われることがあります。<br>
 
でも僕は、人間が誕生したころから、持つ人と持たない人が生まれるのは自然な成り行きだと捉えているので、いつの時代であっても、その間をつないでいく触媒のような存在は必要です。<br>
 
でも僕は、人間が誕生したころから、持つ人と持たない人が生まれるのは自然な成り行きだと捉えているので、いつの時代であっても、その間をつないでいく触媒のような存在は必要です。<br>
声をあげにくい子ども、困っていることに気付けない保護者などが置かれている状況を社会に発信し、さまざまなリソースをつなぎ、ハブになれるような組織であり続けること、社会への影響力を大きくし続けることが重要だと思って、この組織を運営しています。<br>
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声をあげにくい子ども、困っていることに気付けない保護者などが置かれている状況を社会に発信し、さまざまなリソースをつなぎ、<br>
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ハブになれるような組織であり続けること、社会への影響力を大きくし続けることが重要だと思って、この組織を運営しています。<br>
 
<大橋雄介さんプロフィール><br>
 
<大橋雄介さんプロフィール><br>
 
NPO法人 アスイク代表理事。NPO 法人せんだい・みやぎ NPO センター理事。
 
NPO法人 アスイク代表理事。NPO 法人せんだい・みやぎ NPO センター理事。
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〔◆平成28(2016)年4月8日 読売新聞 東京朝刊〕 <br>
 
〔◆平成28(2016)年4月8日 読売新聞 東京朝刊〕 <br>
 
   
 
   
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[[Category:子どもの貧困のニュース|あすいく]]
 
[[Category:学習教室のニュース|あすいく]]
 
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[[Category:無料塾|あすいく]]
 
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[[Category:仙台市宮城野区(宮城県)|あすいく]]
 
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2020年12月2日 (水) 15:04時点における版

Icon-path.jpg メインページ > 宮城県 > 仙台市 > アスイク

NPO法人 アスイク

代表理事 大橋雄介
所在地 〒983-0852 宮城県仙台市宮城野区榴岡4-5-2
大野第2ビル2階
TEL 022-781-5576
FAX 022-781-5576
Mail info@asuiku.org

ひとり親、不登校、困窮家庭の子どもたちの拠点をつくる、ある男性の奮闘
新型コロナ感染拡大の影響で、経済的に困窮する家庭が増えています。
「親の困窮は時間差で子どもに影響する」。
そう語るのは、仙台で子どもの貧困問題に取り組む活動をする大橋雄介さん。
東日本大震災をきっかけにNPO法人アスイクを立ち上げ、生活保護、ひとり親家庭などの子どもたちを対象に、学習支援や職業体験など、さまざまな場を提供してきました。
そんな大橋さんに聞いたコロナ禍で子どもたちに起こったこと、活動を通して見えてきたことを2回にわたりお送りします。今回は後編です。
子どもが信頼してくれる瞬間が喜び
アスイクが主催するこども食堂。
コロナの影響で開催のカタチを変えざるを得ませんでした(写真提供:大橋さん)
休校、学校行事の中止が相次いだ今年の夏。
なんとか楽しい夏休みを過ごしてほしいと、子どもたちをキャンプに連れて行ったときのことです。
帰りのバスである子どもがふと「幸せだなぁ」とつぶやいたそうです。
普通の状況なら、キャンプに行ったくらいで「幸せだなぁ」と言う子はあまりいないと思うのですが、その子はきっと「いろいろな人と過ごせて幸せだ」と思えたのでしょうね。
それを聞いたスタッフは「感染対策などは大変だったが、こういう場を作って良かった」と話していました。
これまでも毎年福島のキャンプ場で1泊2日のプログラムを実施してきましたが、活動のなかで、「子どもが信頼してくれた」とわかる瞬間にスタッフはやりがいを感じているようです。
とはいえ、困難を抱える子どもたちをサポートするのは、ハードなこともあるので、スタッフやボランティアが「ひとりで抱え込まない」状況を作ることが重要だと思います。
例えば、ボランティアが子どもから得た情報や不安、疑問などは、毎回の振り返りのなかで本部スタッフが吸い上げています。
また、本部スタッフはミーティングのなかで、困っていることや情報を共有しながらお互いをサポートし合っています。
常に組織全体で情報を共有、対応する。
さらに、僕たちだけでなく、行政も含めた地域のさまざまな専門機関と連携を取りながら、それぞれの家庭、子どもにチームで関わり、サポートしていくことを大切にしています。
支える側にもセルフケアが必要
仙台でアスイクが運営する児童館のこどもたち(写真提供:大橋さん)
社会人2年目に、仙台の地域活性化という事業理念を掲げた会社に勤めていたこともあって、29歳で東京から仙台に戻って来ました。
学生時代から人や社会の役に立つことが自分の存在意義につながるのではないかと考えていたので、漠然と世の中の役に立つような事業を作りたいと思ったんです。
当初は、特に子どもや福祉の分野を考えていたわけではなく、たまたま震災があって、学校が再開できるかどうかわからないという状況下で、
子どもに関する課題が次々と出てきて、活動しているうちに気付いたら9年経っていたという感じです。
僕自身は、特別なことをしているという感覚はありません。
例えば、目の前の川でおぼれている子どもがいて、近くに棒や丸太があったから投げているという感覚でしょうか。
今、自分にできることをやっているだけです。
しかしそうやって丸太を投げても、なぜか子どもがたくさん流れてくるので、上流を見ると穴が開いている。
だからその穴をふさごうと考えるのは特別なことではないと思います。
耳をふさぎたくなるような話ばかり聞こえてきてくること多いので、良くも悪くも慣れることは大切かもしれません。
僕は決してメンタルが強い方ではありません。
だからこそセルフケアをしっかりやっていこうとスタッフにも話しています。
お寺で瞑想していた時期もありましたし、今は睡眠や食事など規則正しい生活をするほかに、意識的に筋トレやランニングなどで体を動かすようにしています。
また、ある意味、終わりのない仕事なので、時間で管理することがとても大切です。
際限なくやってしまうと自分のなかのエネルギーがなくなって、気づいたときには倒れてしまっているという状況が起こる可能性も出てきます。
だから仕事の時間はきっちり決めて、それ以上はやらないということも重要になりますね。
震災のときもそうでしたが、家庭の中の問題や保護者の不安やストレスなどが、子どもなど弱い立場の人に向かいやすいという構造があると思っているので、
コロナでも同様のケースが生まれてくることを想定しながらその準備することが大事だと思って活動しています。
外から見えにくい虐待や貧困。日ごろから気にかけてほしい
親と子は、近い関係であるがゆえに、お互いに本音が言えなかったり、ぶつかりやすかったりする存在なのだと思います。
だからこそ、第三者、外の人とつながりながら、親と子の関係だけで閉じない状況を作ることが精神的にも大切なのですが、今はそれがなかなかしづらい状況でもあります。
困っている人が僕たちのところにたどり着いてくることは本当に難しいです。
そのために、ありとあらゆるところからつないでもらう、ネットワークを張り巡らせていくなどを大切にしています。
自分で動けない人は、信頼している人に背中を押されることで僕らにつながってくるということはあると思います。
民生委員や行政の窓口などだけでなく、みんながこういうことに関心をもって、日頃から身近に困っている人がいないかなという意識をもってもらうことも重要ですね。
そのために、講演会を始めとするさまざまな場で、こんな支援の道があるということを、話し続けています。
 虐待や貧困などの問題が難しいと思うのは、見て見ぬふりをするつもりがなくても、外から見えにくく、気づいたとしてもどう関わっていいかわからない人も多いのかもしれません。
その場合は、自治体や僕らのような活動をしている団体を探してつないでもらえたらと思います。
最近は、メールやラインなど、相談する手段もさまざまです。
もし、自分が出向いて行って相談することのハードルが高いと感じるなら、自分が使いやすい手段を探してみるのもいいかもしれません。
<大橋雄介さんプロフィール>
NPO法人 アスイク代表理事。NPO 法人せんだい・みやぎ NPOセンター理事。
公益財団法人子どもの貧困対策センターあすのばアドバイザー。一般社団法人全国子どもの貧困教育支援団体協議会理事。
1980年生まれ。筑波大学卒業。リクルートのグループ企業で組織開発・人材開発のコンサルティングに携わった後、独立。
2011年の震災直後にアスイクを立ち上げる。
著書に「3・11被災地子ども白書」等。仙台市協働まちづくり推進委員会副委員長などを歴任。
日本青年会議所「人間力大賞」会頭特別賞受賞。
〔2020年11/18(水) たまひよONLINE 取材・文 米谷美恵〕 

コロナでより深刻、貧困状態にある子どもの拠点を作る…大企業から転身、奮闘するある男性
NPO法人アスイク代表 大橋雄介さん
新型コロナ感染拡大の影響で、経済的に困窮する家庭が増えています。「親の困窮は時間差で子どもに影響する」。
そう語るのは、大企業から転身、仙台で子どもの貧困問題に取り組む活動をする大橋雄介さん。
東日本大震災をきっかけにNPO法人アスイクを立ち上げ、生活保護、ひとり親家庭などの子どもたちを対象に、学習支援や職業体験など、さまざまな場を提供してきました。
そんな大橋さんに聞いたコロナ禍で子どもたちに起こったこと、活動を通して見えてきたことを2回にわたりお送りします。
不登校の背景に生活困窮や貧困
アスイク の活動は子どもたちへの学習支援、居場所づくりから始まりました(写真提供:大橋さん)
2011年4月、東日本大震災後に私たちの活動は始まりました。
出発点は、家をなくしてしまった子どもたちの学習の場所、居場所を当時の避難所であった仮設住宅の中に作ったこと。
活動を続けるなかで、子どもの貧困や不登校などの問題にも直面してきました。
現在、アスイクの一番大きい事業は、貧困状態にある子どものサポートです。
宮城県や仙台市などの自治体と協働して、生活保護を受けている家庭やひとり親家庭などの子どもたちを対象に、学習支援や企業と協力した職業体験、キャンプ実施など、さまざまな体験の場を提供しています。
また子どもの学習支援だけでなく保護者のサポートも行っています。
僕たちが関わってきた子どもたちのなかには、不登校の子もたくさんいました。
不登校自体は全国的に増えていますが、そのなかには生活困窮や貧困などを背景にした不登校が少なくありません。
そういった子どもたちの受け皿として、2015年から仙台駅前でフリースクールを運営しています。
それ以外にも「食事」を切り口にした居場所である「こども食堂」や保育園、仙台市の児童館・放課後児童クラブを運営することで、
幅広い年代のいろいろな困りごとを抱えている子どもたちと一人でも多くつながれるようにしています。
コロナ禍が生み出す生活困窮と不安
出展:調査レポート_新型コロナウイルスの感染拡大による生活困窮家庭への影響(第2報)
コロナ影響で7月時点でも4割近くが失業・減収に。
休校が子どもに悪影響を与えたことも顕著に現れる結果となった。
新型コロナウイルス感染拡大により、政府の緊急事態宣言が出たころ、震災のときのことを思い出して精神的につらくなるという保護者からの声が届くようになりました。
また、震災も今回のコロナも、経済的な困窮に陥っている家庭が増えている状況は共通していると感じています。
このような事象が起きたあと、時間差、タイムラグがあってから、困窮の度合いが深まり、子どもたちに影響してくるところも同じだと思います。
困窮者支援の団体は12月頃から困窮問題が深刻化するだろうと言っていましたが、実際にはもう少し早くなるのではという予測もあります。
さまざまな給付金の支給を受けていても、もって数カ月。
雇い止めも増えてきていますし、そもそも給付金の対象なのに申請していない家庭もありますからね。
どんな状況のときでも、虐待や保護者の自殺念慮など、さまざまなリスクを抱えた家庭はありますから、居場所の開催はできなくても見守りの目が必要です。
休校期間中もオンラインや個別の面談、食糧支援などで家庭に食料を届けながら、子どもの安否確認や保護者の相談支援を続けてきました。
  東日本大震災のときは、日本全国、世界からサポートする力が集まってきました。
しかし、今回のコロナは、やらなくてはいけないことがあるとわかっていても、感染のリスクを考えるとつながりを作りにくく、これまでとやり方を変えなくてはいけない難しさがあると感じています。
震災のときは「立ち直っていこう」という前向きなエネルギーでみんながんばれたけれど、今回は、「どこまで続くのかわからない」という先の見えない不安やつらさがあるという意見が聞こえてきます。
助けてもらえなかった経験が大人への不信に
仙台市の不登校児は5年で1.5倍に。
さまざまな場、手段で子どもたちとつながる(写真提供:大橋さん)
学習支援活動をとおして子どもや家庭とつながりを作ることで、保護者からも情報が入ってきます。
その声に対して、ソーシャルワーカーなどの福祉の専門チームが介入し、個別に支援計画を立て、地域の機関と連携してサポートしていきます。
実際に虐待や不適切養育などの話は少なくありません。
例えば、保護者が夜の仕事をしているため、子どもたちだけで生活していたり、しつけと称した子どもへの暴力が日常茶飯事になっていたり、子どもが親に対して暴力をふるったりするケースもあります。
また、保護者が実は精神疾患をもっているのに、医療機関も含めて誰ともとつながっていなかったり、周りとトラブルを起こして孤立してしまっていたりするケースも見受けられます。
あるとき、当時中学生だった女の子が「学習支援が終わっても、家に帰らず時間をつぶしている」と信頼しているボランティアスタッフに話したケースがあります。
スタッフが彼女との面談を重ねていきました。
そのなかで家庭に深刻な問題があり、彼女自身に拒食症の症状やリストカットの痕跡があったり、死を連想させるような言葉を口にしたり、緊急性が高い状況であることがわかったため、学校や警察、児童相談所とも連携をとって、彼女をどうサポートしていくかを話し合いました。
このようなケースが難しいのは、事実を匂わせるものの、核心に触れるようなことや助けを求めるような言葉を口にしないということ。
特にSOSを出しても誰も助けてくれなかった経験がある子は大人を信用しなくなってしまうんですね。
このようなケースに限らず、子どもと関係を築いていくことで、表面には現れない子どもたちが抱え込んでいるさまざまな困りごとが見えてくるということは少なくありません。
困りごとを抱えた子どもを孤立させない
たくさんの仲間が活動を支えてくれています。(写真提供:大橋さん)
もうひとつ「社会に子どもたちが合わせる」という考え方も、これまで子どもたちの生きづらさの原因のひとつになっていたと感じています。
例えば「学校に行かないことは悪い」「中学を卒業したら高校、大学に進学して就職するというルートに乗るのが良い」などの社会の価値観に合わせられない、
合わせにくい子どもたちがいろいろな苦しみを抱えているのではないでしょうか。
そういう考えを全て否定するわけではありませんが、僕たちは、自分の特性や興味関心などに沿った生き方をしていくことだったり、一人ひとりの違いに目を向けて一緒に考えていったりすることが大事だと考えています。
今回のコロナの問題も含めて、これからの社会を子どもたちと一緒に考え、作っていくことが僕たちの向かう方向だと思います。
いろいろな困りごとを抱えた子どもたちが、孤立せず、誰かとつながり、そのなかで自分の人生を歩んでいける、足がかりを見つけていくということも大切だと思います。
だから、ボランティア、企業や行政など、そのつながりをたくさん作っていきたいですね。
NPOの世界は、自分たちが取り組んでいる問題がなくなって必要とされなくなることがゴールだと言われることがあります。
でも僕は、人間が誕生したころから、持つ人と持たない人が生まれるのは自然な成り行きだと捉えているので、いつの時代であっても、その間をつないでいく触媒のような存在は必要です。
声をあげにくい子ども、困っていることに気付けない保護者などが置かれている状況を社会に発信し、さまざまなリソースをつなぎ、
ハブになれるような組織であり続けること、社会への影響力を大きくし続けることが重要だと思って、この組織を運営しています。
<大橋雄介さんプロフィール>
NPO法人 アスイク代表理事。NPO 法人せんだい・みやぎ NPO センター理事。 公益財団法人子どもの貧困対策センターあすのばアドバイザー。
一般社団法人全国子どもの貧困教育支援団体協議会理事。1980年生まれ。筑波大学卒業。
リクルートのグループ企業で組織開発・人材開発のコンサルティングに携わった後、独立。2011年の震災直後にアスイクを立ち上げる。
著書に「3・11被災地子ども白書」等。仙台市協働まちづくり推進委員会副委員長などを歴任。日本青年会議所「人間力大賞」会頭特別賞受賞。
取材・文 米谷美恵 たまひよ ONLINE編集部
〔2020年11/15(日) たまひよONLINE〕 

◇「外見では貧困見えにくい」
仙台市宮城野区のNPO法人「アスイク」は2013年度から、生活保護などを受けている生活困窮世帯の中学生を対象に無料で学習支援事業を行っている。
平日の放課後に週2回、市内20か所の教室を開放し、同法人のスタッフらが学習指導や進路相談にあたる。
教室に通う生徒は約300人。その9割以上が母子家庭だという。
昨秋から教室に通う中学3年の女子生徒(14)は震災後、両親が離婚、現在は市内の賃貸住宅に母と小学5年の弟と暮らす。
母は平日の夕方から未明までコールセンターで働いているため、朝食は自分で用意する。
卵かけご飯にレトルトのみそ汁で済ませることが多い。
同級生のほとんどが持ち歩いているスマートフォンは持っていない。
休日も学校のジャージーを着て過ごすことが多い。
お小遣いもないが、「わがままは言えない。お金のかかることは我慢する」と話す。
ただ、女子生徒はきれいなかばんを持ち歩くなど、外見からは「貧困世帯」とはわからない。
同法人の大橋雄介代表理事(35)は「昔は服装や見た目で生活環境がわかったかもしれないが、今は貧困が見えにくい。
周囲の人が気づきにくいからこそ、きめ細やかな支援態勢が必要だ」としている。
〔◆平成28(2016)年4月8日 読売新聞 東京朝刊〕 

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