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体験記・ナガエ・私の物語(7)

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(ページの作成: ==私の物語(7)== かれんでしたたかな雪 「父さん!許して!」 大きな声が耳にとびこんできて私は目を覚ました。額に汗をう...)
 
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==私の物語(7)==
 
==私の物語(7)==
 
かれんでしたたかな雪
 
かれんでしたたかな雪
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 高校をもう一度受け直そう。
 
 高校をもう一度受け直そう。
  
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飛び立つ時
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私は家のこたつに足を入れながら右手に印鑑を持っていた。こたつのなかはもんもんとし、足がべたついている。
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“退学願”
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 高校を再受験するなら今の高校を退学しなくてはならない。手に持っている印鑑を押し、提出したら私は学生ではなくなる。無職になるのだ。何か肩書きのようなものがなくては心細い。
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 女子高生になりたいと思いながら入学したのに、こんなに簡単に退めてしまっていいのだろうか。“女子高生”は、ブランドだ。女子高生であり続けるためには、高校に在籍していなければならない。
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“退学”、“無職”。
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 その文字が私を苦悩させた。
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“何のために退めるんだ?”
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 逃げるために、学校から、友人から、そして自分から?
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・・・・・・違う! 私は過去にケリをつけるために、踏みはずしたレールをもう一度つくりなおして踏みしめるために退めるんだ。
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 私は自分を納得させた。
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 どこからかあの眼鏡をかけた少女の声がする。
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 「お前は、肩書きがほしいだけだ。無職はハジだから。フリーターになりたくないから。高校再受験して退学がチャラになると思ってるんだ。お前は、夢も希望も本当は何も持ってないくせに、高校生になればどうにかなるって思ってるんでしょう。世間の目が気になるから・・・・・・」
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 私は、襟首をつままれたような気分になった。希望とは心から喜んで、自分に嘘をつかないで希望と呼べるものではならないかもしれない。
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 “私の見つけた希望。退学? 再受験?”
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 「いいのよ別に。私は退めるの。もう決めたんだから」
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 私は言うと持っていた印鑑を印肉につけ、退学届けの用紙に押し付けた。
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「本校の試験は緊張して受ける試験ではないので、自然体でみなさん、リラックスしてうけてください」
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 広々とした体育館でマイク片手ににこやかに教師か教頭かわからない人物が言っている。
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 私はとうとう再受験に踏み切ったのだ。
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前回この学校へ見学に来てからまだ1か月経つか経たないかくらいだ。
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 試験の前日は、落ちたらどうしよう、そればかり考えてしまい、眠ったのは午前3時頃だった。寝不足の方が落ちる確率が高くなりそうだと思いながらも、寝つけなかった。何度も目覚め、何度も学校の資料を見た。そして試験当日の朝を迎えてしまったというわけだ。
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 出てくるときに鏡で自分の顔を見ると目の下にくまができていた。―――眠い。それにこんな顔じゃ、落ちる。受からない―――
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私はかなり心配性なところがある。だが、それを打ち消すほどの根性をもっているのかもしれない。
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―――でも私は受験する。
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 そうして、私は試験会場である学校へ来ている。私の予想以上に受験者が多い。この高校の試験には親子面接がある。だから会場には親子そろって並ばされた。私は母と並んだ。周囲を見渡すと父も並んでいる人が大勢いる。私の緊張感はますます高まった。
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 父はたばこを吸えないし、面接なんてあらたまった場所へ行きたくないと言い張り、車で待っていることになった。
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 試験会場である学校までは遠く3、4時間要するのだ。そこまで送ってくれたのは父である。試験にこない父が許せなかったが、「ここまで送ってやったのは誰のおかげか」とか言われれば、言い返す言葉が見つからなかった。
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 父を試験に連れていくのをすんなりあきらめたのはそれだけではないかもしれない。私は実の父を恥じているのかもしれなかった。見学に来たときのように、何を口走るかわからない。試験でだって、何を言うかわからない。私は父を信用していないのだ。
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 私は試験には中学時代の制服を来ていった。退めた高校はブレザーだったのでセーラーは懐かしかった。セーラーを着ただけで、私の気分は現役中学3年生だった。もう私は16歳なのだ。
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 まだ16歳。世間は言うだろう。けれど私にとってはもう16歳なのだ。何をどこで踊り間違えたのだろう。時間が月日が流れるのは早い。修正液で消せない、やり直せない時間を私ははうように越してきたのだ。
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 私の近くに並んでいる子たちはほとんどが15歳だろう。受かったとしても、彼女たちに追いつかなくてはならないのだ。合格することを思うと、本来なら嬉しいはずなのに少しばかりの哀しみが、波のようにおしよせた。
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 最初行われた試験は作文だった。原稿用紙が一人1枚ずつ配られたが、1枚以上超えても裏に続きを書けばよいということだった。私は鉛筆を持ち、どうしようかと止まってしまった。
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 作文のテーマが「最近見た気になるニュースについて」だったからだ。私は学校に行かなくなってからテレビなんてドラマ以外見ていなかったし、興味のある報道やニュースはこれといってなかった。
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 私が止まっている間に周りの子たち鉛筆をものすごい勢いで動かしている。刻々と時間が経っていく。
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 試験が行われている部屋には時計がない。それを知ってか知らずか他の子たちの腕をみると時計がはめられている。
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 普通、試験に腕時計をしていくのは常識である。私は寝不足のせいかそんなことさえ忘れてしまっていたのだ。筆が進まない。
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 仕方がないとあきらめかけ鉛筆を置こうとしたとき、アイデアが浮かんだ。
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 思いつくまま書いていくと、1枚をゆうに越えた。書き終えた後、達成感と受かるかもしれないという手応えを感じた。受かるかもしれないな、そう思いながら次は親子面接を受けた。
 +
 「何か考えてきた?」
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 私は母に尋ねた。母は笑いながら「ない」と答えた。どうしてこんな時に笑っていられるんだろうと思ったが、笑っていられるということは余裕があるのだろうと思い、番号を呼ばれると面接を受けた。
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 入学希望の理由は? 本校は遠いがなぜ受験したのか? 全寮制ですが上手くやっていけると思いますか? などとほとんど去年受験勉強し、面接の練習をした時と似たような質問をされた。
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 「お母さんはなぜこの高校にお子さんを入学させようと思われたんですか?」
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 という質問をされたが、母は口ごもり、
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 「本人が希望するので・・・・・・」
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 とだけ答えた。髪の毛はまだ茶色かったので黒く染めて試験に来ていたが、
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 「髪の毛を染めたことはありますか?」
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 と聞かれてぎくりとしたが「ありますが、この学校に入学できたら、校則に違反するようなことはありません」と正直に答え、フォローを入れて話した。
 +
 母にされる質問は一般的なものだったが、どの質問にも口ごもっていたため、落ちるかもしれないと思った。落ちる、確信してしまったのは最後の質問だった。
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 「この高校すべったらどうされますか」
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 「お父さんはなぜ来られていないんですか」
 +
 最後の実技試験はダンスだった。ジャージに着替え、背番号をつけさせられ体育館に集合した。
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 ステージに見本となる人が踊り、それを見ながら踊りを覚えるというものだった。一人ずつ踊らされ、試験されると思ったが違った。
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 小学校の時にやったマイムマイムなんかも踊ったりして、試験らしい試験ではなく場がなごんでいた。踊りを確実に踊ることよりも、どれだけ協調性があり楽しんで踊っているかを採点基準にしているのだろう。そう直感した私は楽しくもないのに、
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 笑顔であることに努め、踊った。
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 試験が全て終了し、車に戻ると力が抜け、すぐ眠ってしまった。受かる、と思ったり落ちる、と思ったりしたが、受かってもおかしくないし落ちてもおかしくない感じだった。合格発表は2月下旬。待つしかない。
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 車に揺られ眠り続けていた私だったが、家に着いてものろのろと車を降り、また人形のように眠り続けた。
  
 
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2011年2月17日 (木) 23:33時点における版

私の物語(7)

かれんでしたたかな雪

「父さん!許して!」 大きな声が耳にとびこんできて私は目を覚ました。額に汗をうっすらかいている。  一瞬まだ夢の中にいると思ったが、私がいるのはおんぼろ屋敷の居間ではなかったし、父も側にいない。  私は息を吐くと、時計を見た、まだ眠りについて30分だった。眠ったというより、普通に起きて活動するより疲労した感じがする。私は自分叫び声に驚いて目覚めたというわけか。  嫌な夢だった。でも夢でよかった。“夢解釈”今回の夢はどう解釈すればよいのだろう。“抑圧された願望”(?)。違う。この夢は、夢ではなくさかのぼった過去の私と父の姿だ。昔は夢ではなかった。現実だった。背中が痛むような気がする。ユメなのに。  「これは夢よ」  私は呟くと、幼い頃の私に子守唄を歌い眠らせてあげようとした。だが私の口から奏でられる子守唄など一つもないのだとはっとした。  子守唄とは、母から、母でなくともその代行となる人が子どもに歌うものなのだろう。そしてその子どもが成長し大人になり、自分の子どもの寝顔が天使のようになっていくのを見届けながら歌うのだろう。精一杯ゆるぎない優しさを込めて。  子守唄は習うものではない。耳にかすかに残る豆腐のように柔らかな歌声を、遠い遠い記憶の戸棚からひきだして、淡い乳の匂いのする、場所で口ずさむのだろう。自分がかつて歌ってもらったように。  私の耳に子守唄の項の扉は用意されていない。窓、扉、戸、ドア、それらはある場所と場所を区切るためにある。そして、それらを押したりひいたりあるいは横に開けば、決められた題目をもった部屋の中に題目をそったものが置かれている。  私は寝転びながら部屋の窓を見つめた。嫌悪せざるを得なくなった生徒玄関、変身を思い描いてとびこんだ美容院のドア、父に連れ込まれた風呂場の戸、病院の診察室の窓、私のそばにあった扉たち。  子守唄のしきつめられた扉は、その一見圧倒されそうな扉たちよりも、ずっとずっとがんじょうでぬくもりに満ちている。だからさまざまなものを区切ることができる強大な扉なのに私はもちあわせていない。  “扉”と聞けば人は開くことを思うが、私はあえて閉じる。閉じることで未来を守ることができそう気がするからだ。  抜き足差し足で扉のノブにとってに近づいて鍵をかけよう。幼い頃につくりそびれた子守唄の扉よりもっと極上でぜい沢な扉をつくって。  かみなりが怒りでわめきちらすように空全体を紫にそめ、嵐が訪れる前みたいに風が声色を変えて鳴きはじめた。  きっともうすぐ雪が天から落ちてくるのだろう。私は部屋の窓を開いて、顔を吹きつける冬の風に顔をさらした。海中を泳ぐ魚口をぱくぱくさせ酸素をうっかりとりにがさないように、私もおぼれないようにしようと誓った。  雪が降るのを待っている私はよほどひま人なのだ。そう思いながらも待っている私。どんな雪が降るだろう。雨も雪も空からの産物なのに、雪は形にできる。色もかわる。雨は年中降るけれど雪は冬でなければ見えない。チョコレートではないけれど冬期限定なのだ。希少だからこそ価値は生まれ、より美しく感じられる。  あっ、降ってきた。  私は、顔と腕を窓からいっぱいいっぱい出すと手のひらに雪が落ちてくるのを待った。  はかない雪の寿命。雪がどうつくりだされたかなんて私は詳しくは知らない。どんなに苦労したのかも。ただひらひらと舞う、かれんな雪に見とれている。それだけだ。  ぺたっ。冷ややかな感触が手のひらでした。雪は水になったのだ。雪ははかない。だが、したたかだ。カメレオンのように環境に適応し、生きのびようとしていく。  ふと私にある思いがよぎった。希望だった。子守唄は聞こえない。けれども、希望の音色が聞こえる。扉が待っている。  高校をもう一度受け直そう。

飛び立つ時

私は家のこたつに足を入れながら右手に印鑑を持っていた。こたつのなかはもんもんとし、足がべたついている。 “退学願”  高校を再受験するなら今の高校を退学しなくてはならない。手に持っている印鑑を押し、提出したら私は学生ではなくなる。無職になるのだ。何か肩書きのようなものがなくては心細い。  女子高生になりたいと思いながら入学したのに、こんなに簡単に退めてしまっていいのだろうか。“女子高生”は、ブランドだ。女子高生であり続けるためには、高校に在籍していなければならない。 “退学”、“無職”。  その文字が私を苦悩させた。 “何のために退めるんだ?”  逃げるために、学校から、友人から、そして自分から? ・・・・・・違う! 私は過去にケリをつけるために、踏みはずしたレールをもう一度つくりなおして踏みしめるために退めるんだ。  私は自分を納得させた。  どこからかあの眼鏡をかけた少女の声がする。  「お前は、肩書きがほしいだけだ。無職はハジだから。フリーターになりたくないから。高校再受験して退学がチャラになると思ってるんだ。お前は、夢も希望も本当は何も持ってないくせに、高校生になればどうにかなるって思ってるんでしょう。世間の目が気になるから・・・・・・」  私は、襟首をつままれたような気分になった。希望とは心から喜んで、自分に嘘をつかないで希望と呼べるものではならないかもしれない。  “私の見つけた希望。退学? 再受験?”  「いいのよ別に。私は退めるの。もう決めたんだから」  私は言うと持っていた印鑑を印肉につけ、退学届けの用紙に押し付けた。

「本校の試験は緊張して受ける試験ではないので、自然体でみなさん、リラックスしてうけてください」  広々とした体育館でマイク片手ににこやかに教師か教頭かわからない人物が言っている。  私はとうとう再受験に踏み切ったのだ。 前回この学校へ見学に来てからまだ1か月経つか経たないかくらいだ。  試験の前日は、落ちたらどうしよう、そればかり考えてしまい、眠ったのは午前3時頃だった。寝不足の方が落ちる確率が高くなりそうだと思いながらも、寝つけなかった。何度も目覚め、何度も学校の資料を見た。そして試験当日の朝を迎えてしまったというわけだ。  出てくるときに鏡で自分の顔を見ると目の下にくまができていた。―――眠い。それにこんな顔じゃ、落ちる。受からない――― 私はかなり心配性なところがある。だが、それを打ち消すほどの根性をもっているのかもしれない。 ―――でも私は受験する。  そうして、私は試験会場である学校へ来ている。私の予想以上に受験者が多い。この高校の試験には親子面接がある。だから会場には親子そろって並ばされた。私は母と並んだ。周囲を見渡すと父も並んでいる人が大勢いる。私の緊張感はますます高まった。  父はたばこを吸えないし、面接なんてあらたまった場所へ行きたくないと言い張り、車で待っていることになった。  試験会場である学校までは遠く3、4時間要するのだ。そこまで送ってくれたのは父である。試験にこない父が許せなかったが、「ここまで送ってやったのは誰のおかげか」とか言われれば、言い返す言葉が見つからなかった。  父を試験に連れていくのをすんなりあきらめたのはそれだけではないかもしれない。私は実の父を恥じているのかもしれなかった。見学に来たときのように、何を口走るかわからない。試験でだって、何を言うかわからない。私は父を信用していないのだ。  私は試験には中学時代の制服を来ていった。退めた高校はブレザーだったのでセーラーは懐かしかった。セーラーを着ただけで、私の気分は現役中学3年生だった。もう私は16歳なのだ。  まだ16歳。世間は言うだろう。けれど私にとってはもう16歳なのだ。何をどこで踊り間違えたのだろう。時間が月日が流れるのは早い。修正液で消せない、やり直せない時間を私ははうように越してきたのだ。  私の近くに並んでいる子たちはほとんどが15歳だろう。受かったとしても、彼女たちに追いつかなくてはならないのだ。合格することを思うと、本来なら嬉しいはずなのに少しばかりの哀しみが、波のようにおしよせた。  最初行われた試験は作文だった。原稿用紙が一人1枚ずつ配られたが、1枚以上超えても裏に続きを書けばよいということだった。私は鉛筆を持ち、どうしようかと止まってしまった。  作文のテーマが「最近見た気になるニュースについて」だったからだ。私は学校に行かなくなってからテレビなんてドラマ以外見ていなかったし、興味のある報道やニュースはこれといってなかった。  私が止まっている間に周りの子たち鉛筆をものすごい勢いで動かしている。刻々と時間が経っていく。  試験が行われている部屋には時計がない。それを知ってか知らずか他の子たちの腕をみると時計がはめられている。  普通、試験に腕時計をしていくのは常識である。私は寝不足のせいかそんなことさえ忘れてしまっていたのだ。筆が進まない。  仕方がないとあきらめかけ鉛筆を置こうとしたとき、アイデアが浮かんだ。  思いつくまま書いていくと、1枚をゆうに越えた。書き終えた後、達成感と受かるかもしれないという手応えを感じた。受かるかもしれないな、そう思いながら次は親子面接を受けた。  「何か考えてきた?」  私は母に尋ねた。母は笑いながら「ない」と答えた。どうしてこんな時に笑っていられるんだろうと思ったが、笑っていられるということは余裕があるのだろうと思い、番号を呼ばれると面接を受けた。  入学希望の理由は? 本校は遠いがなぜ受験したのか? 全寮制ですが上手くやっていけると思いますか? などとほとんど去年受験勉強し、面接の練習をした時と似たような質問をされた。  「お母さんはなぜこの高校にお子さんを入学させようと思われたんですか?」  という質問をされたが、母は口ごもり、  「本人が希望するので・・・・・・」  とだけ答えた。髪の毛はまだ茶色かったので黒く染めて試験に来ていたが、  「髪の毛を染めたことはありますか?」  と聞かれてぎくりとしたが「ありますが、この学校に入学できたら、校則に違反するようなことはありません」と正直に答え、フォローを入れて話した。  母にされる質問は一般的なものだったが、どの質問にも口ごもっていたため、落ちるかもしれないと思った。落ちる、確信してしまったのは最後の質問だった。  「この高校すべったらどうされますか」  「お父さんはなぜ来られていないんですか」  最後の実技試験はダンスだった。ジャージに着替え、背番号をつけさせられ体育館に集合した。  ステージに見本となる人が踊り、それを見ながら踊りを覚えるというものだった。一人ずつ踊らされ、試験されると思ったが違った。  小学校の時にやったマイムマイムなんかも踊ったりして、試験らしい試験ではなく場がなごんでいた。踊りを確実に踊ることよりも、どれだけ協調性があり楽しんで踊っているかを採点基準にしているのだろう。そう直感した私は楽しくもないのに、  笑顔であることに努め、踊った。  試験が全て終了し、車に戻ると力が抜け、すぐ眠ってしまった。受かる、と思ったり落ちる、と思ったりしたが、受かってもおかしくないし落ちてもおかしくない感じだった。合格発表は2月下旬。待つしかない。  車に揺られ眠り続けていた私だったが、家に着いてものろのろと車を降り、また人形のように眠り続けた。

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